どんなに綺麗な星空も、いつか明けてしまうことはわかってる。 だから・・ だから、せめて今だけでも、夢を見ていたいよ・・ 星空よ・・消えてしまわないで・・    Maybe We are Dreamer・・    (わたし達はきっと『夢見る者』)    Wish『Starry Night』 were here・・    (『星空』が『いる』ことを願ってる)    And I will know that you also Dreamer・・    (そして、あなたもまた、そんな『夢見る者』とわかる)    Because Reading this Story,POKELINE2.    (この物語、ポケライン2を読むということ)    It means you feel in a Fantasy World.    (それは、あなた自身が幻想世界に陥ることなのだから)    Where is your『Starry Night』?    (あなたの『星空』はどこにありますか?) その日の夜、レギスタンの町にそびえるティール・システムズ本社ビルからは、銃声が途絶えなかった。 「謎のテロ集団による、世界トップの企業の中枢への襲撃」 大都市レギスタンに恐慌が走る。 ビルの下層部から上がる煙を、少女は、空中・・プレーン(1人乗りの超小型飛行機)の操縦席で見ていた。 「・・みんな・・がんばってる。わたしも負けられないね」 手元の操作パネルを動かすと、コクピットの小型モニターに文字が浮かぶ。 『PCD(プレーン・コントロール・デバイス) IDNo20101  ・・プレーナー名 リント』 ・・要するに、自動操縦装置。 「行こう!」 少女がスロットルを目一杯引き絞り、サイドボードのトリガーを引く。 両翼のガトリングガンが火を吹き、ビル上層の窓ガラスを粉砕する。 「オートパイロット・オン!」 少女・・リントは、操作パネルに素早く入力した。 自動操縦で、先に帰っていろという命令を。 「リール!」 彼女自身は、空中へダイブし、モンスターボールから出したとりポケモン・・ピジョンにつかまる。 「突入しよう・・!」    POKE IN ONLINE2 #1    「星空の下にて」 (社長室は、122F・・!) 大穴の空いた窓から、リントはビル内に降り立った。 ピジョンに抱かれたまま。 「タカマサッ!」 声を限りに、叫ぶ。 4年前のあの日から、ずっと忘れることなかった、怒り。 怒りを、叫びに変えて。 「・・ほう、リックスの娘だな」 返答するように飛んできたのは、中年の男の声。 「・・!!」 声の主は、意外にも、彼女の背後に立っていた。 スーツに身を包んだ、長身の男。 ティール・システムズ社長、タカマサ。 「君も、下層のテロ組織の仲間か」 リントは答えない。 代わりに、銃を取って突きつける。 「私を殺る気か、やめておいた方がいいぞ」 タカマサの忠告。 無視し、引き金を引こうとしたリントの目前を、銀の軌跡が切り裂く。 銃はそれに弾かれ、床に落ちた。 「その前に、君の首が飛ぶことになるからな」 「・・ッ・・」 すぐにリントは、何が起こったのか理解した。 「私を満足させる実力は、持っていないようだな」 天井から、黒いマント姿の人間がぶら下がっている。 右手につけられているのは、恐ろしいほどの銀色にきらめく、鉄の爪。 「彼女は、我が社の用心棒。通り名を『黒山羊』」 勝ち誇ったかのような、タカマサの微笑。 「私を殺るつもりなら、その銃を拾うしかあるまい。 もっとも、彼女の前でそれができるとは思わんが」 チラッ。 横目で、飛ばされた銃と自分との距離を測るリント。 「はッ!」 刹那、その身体が銃の元へ飛び込み、同時にピジョンが、力いっぱい羽ばたく。 強力な推進力に後押しされたリントは、一瞬の速さで距離をつめる。 だが、銃を右手に取り戻した時、彼女は何を思っただろう。 「遅い」 左の脇腹に走る激痛。 ライフセーブ(生命保持)機能が働き、モンスターボールへ戻るピジョン。 そして、先端を真っ赤な液で染めた、用心棒の爪。 「・・くぁっ・・!」 「・・安心しろ。その傷は痛みは深い。だが死ぬことはまずありえぬ。 私は無意味な殺しはせん」 倒れ、リントは動けなくなった。 否、動こうとしても、激痛で倒れてしまうのだ。 「そんな・・そんな! そんな!!  ここまで・・ここまで来て・・ッ・・」 「タカマサが、不穏な動きを見せているようだ。警戒しなければ」 リントの心の奥に不意に蘇る、両親がいつか交わしていた会話。 「私たちのやったことは・・まちがっていた・・」 リントはこの時、ベッドの中だった。 しかし、密かに起きて、一部を聞いていた。 「リント・・かわいそうな子だ・・」 この辺りまでを。 (お父さん・・お母さん・・わたしに内緒で、一体何をしていたんだろう・・) 子供心に、タカマサは悪者と記憶したのを、はっきり覚えている。 次の日だった。 町で両親が、交通事故に遭ったという知らせを聞いたのは。 「タ・・カマサ・・!」 死に際の父の言葉が、小さな少女の心に、大きな炎を灯した。 「タカマサが・・やったんだ・・」 綺麗な緑色の瞳に宿った、悲しみと怒り。 父の形見である銃を手にした時、リントは言った。 「・・殺して・・やるッ!」 いままで、誰も聞いたことがない冷たい声で。 涙で、顔をグチャグチャにしたまま。 (あの時・・誓ったのに・・) 顔を上げてみる。 タカマサが銃を、自分の頭に押し当てている。 「お父さん・・お母さん・・だめだったよ・・」 そのまま、彼女の意識は闇に溶けていった。 ――夜は、まだ長い・・ 「ん・・」 次にリントが目を覚ました場所は、ベッドの中だった。 青空が見える天窓。 部屋の対角線に張られたヒモにかけられている自分の服・・赤いバンダナとジャンパーケープに、ピンクのワンピース。 テーブルの上にある、食べかけのポテチ。 「誰かの部屋・・ここはどこ・・」 空気がすごく澄んでいる。 「レギスタン・・じゃない・・」 リントは察した。 機械都市レギスタンに、これほどに澄んだ空気が残されている場所などない。 「わたし・・助けられた・・? だれが・・?」 ベッドから起きてみる。 丁寧に洗われ、ヒモにかけられた自分の服一式の代わりに、リントが着ていた・・いや、着せられていたのは、ピンク地にハート模様のパジャマだ。 サイズは結構大きめ。 「わたし・・一体・・」 しばし呆然としていた、その時だ。 「気がついたかなぁ?」 「さぁ・・」 なぁんて声と共に、ドアが開き、2人の人間が登場した。 片方は、茶髪のショートカットに、星マークのついたバンダナ、黒いジャンパー姿の、リントより少し年下くらいの少女。 何と、背中に、小さいが、黒い羽がある。 もう片方は、オレンジがかった金髪の少年。15歳くらい。 青っぽいブラウスに、濃いベージュのズボン姿。 全体的に細身で、男性特有のゴツゴツ感がない。 女の子みたいだ。 リントが着せられているパジャマがピッタリサイズの少年だが・・まさか・・ とにかく。 彼らとリントの目は、ばっちり合った。 「あ・・おはよう」    続    あとがき はい、ポケライン2であります! なんかいろいろ忙しいオープニングでしたねぇ(爆) なんと#1だけでもう5人キャラが出てます! リントの境遇と『強さ』を全面に押し出した構成にしてみましたが、いかがなものでしょう? イントロの英語作戦は、ノーコメントで(核爆) ではではっ。    次回予告 見知らぬ地で目覚めたリント。 違う世界。思い知らされることはそれ1つ。 第2話「ネバーランド(仮)」