「ほっ・・『星狩り』って消えたんじゃなかったの!?」 仰天するスミレに、返答するミュウツー。 「シスター・レイの撃ち出したヘイトの圧力で、一時的に、奴を構成するヘイトが分解されたにすぎん。ヘイトを集め、その身にまとう『核』を滅せぬ限り、永遠に倒すことはできん」 「核!? そいつは何者なんだよっ!?」 じれったそうに、もどかしそうに、ショウは言う。 「今・・ここで聞く勇気は、ある?」 うつむいたまま、小さな声で、はるかぜが確認を取る。 「・・ある」 「・・わかった・・」 数瞬の沈黙。 そして・・ 「『星狩り』の正体・・ショウ・・だよ・・」    POKE IN ONLINE #16    「明かされた真実 〜『星狩り』」 「ショウ!?」 「ショウって!?」 「ショウだと!?」 「フフ・・へぇ、そうだったの・・」 「おねえちゃん、あの青い服の人だよね?」 「そうだみゅ」 「・・オレ!?」 心臓をライフルで撃ち抜かれたような、そんな衝撃を受けるショウ。 が・・ 続いて、Kがこれまたとんでもない発言をする。 「それは・・ショウが死神であることと関係してるのか?」 「えーっ!?」 「えーっ!?」 「みゅーっ!?」 「うそーん!?」 再び驚く、K、リコ、はるかぜ、ミュウツーの4人を除くメンバー達。 「オ・・オレ、死神!?」 「・・親父がお前を森で拾った時の話だ。 その時、お前は全身にひどい火傷を負っていたという」 「その時から死神・・だったんだね」 「・・なぜお前がポケモンと話せるのか、昔から不思議で仕方がなかった。けど、今日再会してやっと気付いたんだ。 ・・俺よりずっと前から、この力を持っていたんだな・・」 「あ〜の〜・・」 ここで突然、ひとみが割って入る。 「お取り込み中失礼しま〜す! ショウが死神ってのは驚いたけど、それよりショウが『星狩り』ってのの方が知りたいよ!」 「・・わかったよ・・」 静かに、はるかぜはうなずく。 「終わらない無限のループ・・繰り返される歴史の悪夢・・ その中心が・・ショウ。そして・・サリア」 「サリア・・ですって!?」 バッ! とリコが立ち上がる。 サリアとは、リコが先日倒した母親の名・・ 小さな声で聞いて来たひとみ達に、Kが耳打ちで教える。 「フフ・・面白いことを言うのね・・はるかぜ。どういうことかしら」 普段通りを装うリコ・・ 明らかに動揺している。 「サリアという死神・・そう、リコのお母さんがね・・ 沢山の生命を殺して・・そのヘイトを『星狩り』に取り込ませているんだ・・」 「ちょっと待ったぁ!」 「・・待って」 ショウとリコが、同時にはるかぜを遮った。 「オレは、ここにいるけど・・?」 「お母さん・・サリアなんか、私が倒したわ」 「キミ達じゃない。ずっと・・ずっと前のショウとサリア・・ 前の歴史のショウとサリア」 ・・前の歴史? 「優しいショウは、ポケモンの苦しみを引き受けようとする・・」 「あ・・」 ひとみの脳裏に、先日のサイドンとショウのやりとりが蘇る。 「だから、ヘイトだって自分で取り込んで見せようとする・・」 「・・」 ミュウツーは、初めてショウと会った時のことを思い出す。 「だから、本人の限界を超えたヘイトを取り込んで・・暴走して」 「果ては『星狩り』・・」 「おおまかに、それで正解・・そして、暴走してもショウの優しさを残しているから・・ やがて、あいつは本能的にヘイトを求め、自身に取り込んでいく恐ろしい怪物『星狩り』になったんだ・・ いわば、人とポケモンの間に開いてしまった距離の象徴・・」 なるほど・・ 俺たちが『星を取り込む』として理解している奴の行動は、正確にはヘイトを取り込んでいたわけか・・ Kは素早く察した。 「生命が減って、ヘイトも減れば、新しいヘイトを求めて、あいつは過去の世界へワープする・・ 取り込んだヘイトの思念に干渉することで・・」 「みゅ・・じゃ、さっき言ってた『歴史のループ』って・・」 「そう・・この世界は、そうしてループしてる・・ もう、7回も、恐ろしいほどに全く同じ歴史の繰り返し・・」 「・・ねぇ」 すっかりメンバーと同化したキリカが、全員揃って初めて口を開く。 「なんで、そんなこと知ってんのさ?」 「それは・・」 「でぃぐ♪」 ディグダにより、はるかぜの足元に大穴が空いた。 しかし、はるかぜは落ちない。 ・・宙に浮いているから。 「それは、わたしが・・」 いつかショウが見た不思議なモンスターボールを天にかざすはるかぜ。 確か『ルギ』という名のポケモンが入っているはず・・ カッ! 強力なフラッシュを発し、彼女の身体は光の粒となり、大気に溶けていく。 ――永遠(とわ)に生きる者・・星と運命を共にせし者だから―― 光が上空で再構築され、はるかぜと全く違った、巨大な生物の姿を形作る。 「わたしは・・はる・・かぜ・・」 銀色の翼をはばたかせ、圧倒的な存在感を叩きつける、まるで神のようなポケモン・・ 「またの名を、ルギア」 【同日夜・・ヒューン第3ポケモンセンター・ロビーにて】 「過去7回、必ず『星狩り』は、今日、この星にやって来る・・ぷはぁ」 缶ジュースを飲み干し、人間の姿に戻ったはるかぜが言う。 「今日は、事情により、今までの歴史と違う展開になったけど・・どうせ明日にまた来る・・その時は今度こそ、星の最期・・ 正確には、わずかな人間を残して全滅する日だけど・・」 この時点で、ひとみはハッと気付いた。 自分はその『わずかな人間』の子孫なのだと。 「わたし、今まで7回『星狩り』を食い止める為に戦ったんだ」 「みゅ。でも私たちの歴史があるってことは、0勝7敗だにょ?」 ぐさぐさっ。 はるかぜの心に、今確かに、何かが刺さりまくった。 「でっ・・でも、今回はなぜか、今までの歴史に出て来なかったミュウツーサンもいるし・・ けど・・」 不思議そうに首をかしげるはるかぜ。 「前までの歴史には、確かにあんなコは存在してなかったはず・・ 1度ループが完成した歴史が自然に崩れるなんてありえないのに・・」 「どうでもいいんじゃん?」 はるかぜの疑問を振り切るように言うショウ。 「考えても仕方ない! 『星狩り』をどうにかすればいいんだろ? そうすれば、星の未来は守られる!」 「おーっ!」 仲間達から巻き起こる拍手。 だが・・ この時ショウは、とんでもない事に気付いてしまった。 ひとみは『星狩り』が星を直撃した後の歴史から生まれた人間。 『星狩り』を倒すことで歴史が書き換えられれば・・ その時、彼女の存在は・・    続    あとがき さあさあ! 今回のは一旦接続を切って、じっくりご覧あれ! 濃い内容ですよ! 濃い内容! はるかぜ・・ショウ・・星狩り・・その他もろもろ・・ ほんと、書くのに疲れました・・ よって、これから寝ます(爆) ではでは。    次回予告 運命の日の・・夜。 それぞれの想いは交錯する・・ 第17話「それぞれの真実(仮)」