さあ出てこい、ラッキー。 今日こそつかまえてやるぞ。 エサとボールをたくさん持って、ボクはサファリに入りびたる。 タマタマやケンタロス、ミニリュウなんて興味ない。 ボクの狙いはただ一つ。その名はラッキー。 しあわせをはこんでくれるポケモンだ。 ことの起こりはずっと前。 「ラッキーはしあわせをはこんでくれる」 そんなうわさを耳にして、さっそく図鑑を買ってきた。 しあわせをはこんでくれるポケモンか。 とってもほしい。ぜひともほしい。 しっかりしっかり画面を見つめ、その姿を目に焼きつけた。 うん大丈夫。覚えてる。 ラッキーは全身ピンクのタマゴ型。頭にふさふさついていて、 おなかのふくろにタマゴを入れた、小さな手足のポケモンだ。 まず草むらに身を伏せて、あいつがくるのをじっと待つ。 がさごそがさごそ、ポケモンが近づいてきた音がする。 ボクはひょいと頭を上げて、そいつの姿を確かめる。 「チョッキピー」、一声鳴いて現れた。 白とベージュのタマゴ型。頭がトゲトゲつんつんで、 おなかに赤青さんかく模様、小さな手足のポケモンだ。 このポケモン違う。 ラッキーは全身ピンクのタマゴ型。頭にふさふさついていて、 おなかのふくろにタマゴを入れた、小さな手足のポケモンだ。 おまえはいらない。あっちいけ。 ボクは小石を投げつけて、そのポケモンを追いはらう。 図鑑のランプがピカピカ光り、こいつの種類を調べてる。 ボクは気にせず図鑑をしまう。こんなポケモン興味ない。 『トゲピー  はりたまポケモン  カラのなかに しあわせが たくさん つまっているらしく  やさしくされると こううんを わけあたえる という』 また草むらに身を伏せて、あいつがくるのをじっと待つ。 がさごそがさごそ、ポケモンが近づいてきた音がする。 ボクはひょいと頭を上げて、そいつの姿を確かめる。 「ハピィーッ」、一声鳴いて現れた。 ピンクと白のタマゴ型。頭にふわふわもこもこカール、 おなかのふくろにタマゴを入れた、腰にふさふさのポケモンだ。 このポケモン違う。 ラッキーは全身ピンクのタマゴ型。頭にふさふさついていて、 おなかのふくろにタマゴを入れた、小さな手足のポケモンだ。 おまえはいらない。あっちいけ。 ボクは小石を投げつけて、そのポケモンを追いはらう。 図鑑のランプがピカピカ光り、こいつの種類を調べてる。 ボクは気にせず図鑑をしまう。こんなポケモン興味ない。 『ハピナス  しあわせポケモン  ひとくちでも くちに したなら どんなひとでも えがおになる という  しあわせが つまった タマゴをうむ』 また草むらに身を伏せて、あいつがくるのをじっと待つ。 がさごそがさごそ、ポケモンが近づいてきた音がする。 ボクはひょいと頭を上げて、そいつの姿を確かめる。 「ラッキィ」、一声鳴いて現れた。 緑とピンクのタマゴ型。頭にふさふさついていて、 おなかのふくろにタマゴを入れた、小さな手足のポケモンだ。 なぜだかキラキラ光ってる。 このポケモン違う。 ラッキーは全身ピンクのタマゴ型。頭にふさふさついていて、 おなかのふくろにタマゴを入れた、小さな手足のポケモンだ。 キラキラなんて光らない。 おまえはいらない。あっちいけ。 ボクは小石を投げつけて、そのポケモンを追いはらう。 図鑑のランプがピカピカ光り、こいつの種類を調べてる。 ボクは気にせず図鑑をしまう。こんなポケモン興味ない。 『ごくまれに いろちがいの ポケモンに であえる ことがある。  とても めずらしくて きちょうな ポケモンだ』 また草むらに身を伏せて、あいつがくるのをじっと待つ。 がさごそがさごそ、ポケモンが近づいてきた音がする。 さあ出てこい、ラッキー。 今日こそつかまえてやるぞ。