この小説は読みきりですが、同じキャラが登場するため私の本棚にある「れいかいのぬの」を読んでからだと一層わかりやすいと思われます。 「しかし、ゴーストポケモンはもともと『恨み』が使える。その場合、ポケルスはどう働くのかというと―」 〜続・ポケルス〜 私はミソラ。今は人間の姿だけれど、正体はムウマージ。え?何でそんなことするのかって? ・・・ま、色々あるの。これ以上追求すると・・・ まあいいわ。今急いでるし。 今日出勤帰りに図書館によったの。そこで面白そうな文献を見つけたから帰って読むのよ。 「ゴーストポケモンの秘密」 ・・・まあ、自分がゴーストポケモンなんだからほとんど分かりきったことかも知れないけど、新しい何かが分かるかもしれないじゃない。人間が人間を調べるのと同じよ。 目次を見て、どこから読むか決める。 「ゴーストポケモン と ポケルス」 私はそこを読むことにした。 〜ポケルスというのは、ご存知の通りバトルでの強い衝撃によってポケモンにつく生命体のことである。  そして、ポケルスがつく、または抗体がつくとポケモンが育ちやすくなるのもご存知であろう。  なぜ、育ちやすくなるのか。  それは、激しいバトルをさせたがために、ポケモンがトレーナーに対しての「恨み」を持つからである。    その証拠に、野生のポケモンにはポケルスがつかないのである。  トレーナーに対して、「恨み」を持ったポケモンたちは、必死に強くなる。    いつかやってくる、トレーナーへの復讐の日まで。  そして、これ以上強くなれない、というところまで強くなったポケモンは―    トレーナーを、殺す。〜 え、ちょっと待ってよ。私達ゴーストポケモンはもともと「うらみ」とか「のろい」が使えるのに? 不可解な心持のまま、ページをめくってみた。 パラリ、という音と共に現れた文章。 「しかし、ゴーストポケモンはもともと『恨み』が使える。その場合、ポケルスはどう働くのかというと―」 〜ゴーストポケモンの場合、ごく稀に野生のポケモンにもポケルスがつくこともある。  それは、人間への気持ちがひきがねとなる場合が多数である。  既に死にながら生きるゴーストポケモンたちは、精神が「恨み」または「呪い」を柱として構造している。  この精神の構造のために、野生でもポケルスが難なく潜り抜けて入ってきてしまうのだ。  では、実際にゴーストポケモンにポケルスがついたら?  もともとある「恨み」の能力にプラスされるわけだ。そのエネルギーは、時として恐ろしい力を生み出す。  歴史を操れたり、他の生命体を何か別なものに変えられたり、記憶を失わせたり―    そして、もっと恐ろしいことがある。  普通のポケモンの場合、ポケルスがついたらトレーナーを殺した後、他界するはずだ。  しかし、既に死んでいるゴーストポケモンは、  恨みをはらしたら、人間の心の中に黒い心として入っていく。〜  その時、私は感じた。  自分の中で渦巻く、黒く大きいなにか。  今、気がついた。  私の体は、私のものではない。  私は昔、1つの恨みをはらしたんだ。    そして、黒い心のまま、この人間の体に入り込んで―  新しい恨みをはらすために。      そう、この恨みも、いつかはれる。  ポケモンを大切にしない人間達への、いつか必ずはれる恨みの気持ち。  黒く、渦巻く、この気持ち。  終