ねえ、君は「れいかいのぬの」をどう作るか知ってる?            れいかいのぬの  れいかいのぬの、サマヨールに持たせて通信交換するとヨノワールに進化する道具のことね。  私はそれを作っているの。  そういう会社、と言うよりも事務所程度の職場があって、私はそこで働いているの。  社員は7人。管理、売り込み、製作の仕事があって、私の仕事は製作。  どうやって作っているのかは、企業秘密。知られてはいけないの。  でも、あなたにだけ、特別に教えてあげるわ。  知ってる?布は普通、好きな色に染めた糸をはたで織ってつくるの。昔話の挿絵で見たことない?  でも、私達はそんな面倒なことはしないわ。  あるポケモンを使えばすぐにできるわ。  簡単よ、とっても。    ヨマワルを使うの。  あっというまにできるわ。  ヨマワルをモンスターボールに入れたまま、火にかけるの。  モンスターボールは絶対燃えない。でも、中の温度は急上昇。  後に中に残るのは、ヨマワルの皮膚のみ。  それが、れいかいのぬの。  サマヨールに持たせて進化することが出来るのは、ヨマワルの皮膚に溜まった栄養分を吸収して進化エネルギーにあてられるから。  そういうこと。    酷い?  そんな顔してるわね。  その気持ちはわからないでも無いわ。  でも、何が酷いの?  あなただって、同じじゃない。    別の生き物、ポケモンを食べて生きてるでしょう?  それと同じ。  別の命をもらって生きているの。  なんてね。  私達はポケモンを殺したりはしてないわ。  どういうことかって?  いずれ分かるわよ。  そうだ、事前に言っておくけど、話を聞かれたからなんて理由じゃないから。  一方的に私がしだしたんだし。    さっき、あなた、瀕死のポケモンをつれていたのに急ぐ様子も無かったじゃない。    ポケモンセンターに行けばいつでも平気、私はそういう風に思っている人間が大嫌いなの。  ポケモンはあなたのために必死に戦ってくれたのよ。    だから、今度は、あなたがポケモンに恩返ししなくちゃ。  怖い?  大丈夫。この薬を飲めばすぐヨマワルになれるから。  恐れることはないわ。  苦しいのは、最初だけ。      悪く思わないでね。  これが私たちの計画。  ポケモンを粗末にした人間だけを、れいかいのぬのにする。  幼い頃、大切なポケモンを殺された私達の、世界への復讐。  ポケモンを大切にしない方が悪いのよね?  ・・・・・・・・・・・・・・。  「れいかいのぬの、一枚千円でーす。はい、毎度ありがとうございます・・・・」                                   終 ******************************************************************************* 計画性のかけらもない山椒魚ならではの、後から書く設定でございます。はあ・・・・  まず、語り部の女の名前はミソラと言います。美空ひばりの事をテレビでやってたときに思いついた話なので。って、どうでもいいな、これ。  次に、ミソラも含めた事務所の奴らはみんなゴーストポケモンです。ミソラはムウマージ。んで、「大切なポケモン」っていうのは仲間のこと。  そんで、ヨマワルにされちゃう理由になった「瀕死のポケほったらかし」ですが、山椒魚の「誰でもゲームで一回はやったことあるだろ!」という滅茶苦茶な確信からきました。私はやったことあります。山椒魚も、ヨマワル決定です。  そういうわけです。みなさんもミソラに見つからないようご注意を。