七色のしおり ある日なんとなく近くの丘に行ってみた 暇だったから風景でも描こうかと思っただけだった そして夕方になりそろそろ帰ろうかとした時・・・ 虹が・・・見えた・・・ いや虹じゃなくて七色の翼を持ったポケモンだった そのポケモンを見た瞬間今まできれいだと思った風景もきれいに思えなくなった すべてがあのポケモンの引き立て役のように見えた 僕はすぐに筆を持ちあのポケモンを描こうと思った でも、どうしても描けなかった、あの七色が、虹のような色が・・・ そのポケモンが見えなくなるまで僕は色を作り続けた でも作れなかった、七色が作れなかった・・・ くやしかった、色が作れないのが悔しくて泣いた 悔しくて、悔しくて、泣き続けた そして泣きつかれてからしばらくして家に帰っ時はもう辺りは真っ暗だった それから僕は何度も何度もあの丘に通った あのポケモンに会うために そして・・・あのポケモンの七色を再現するために・・・ そしてあれから数日後 いつもみたいに丘に行くと 誰かがいて空を見上げていた 「こんにちは」 僕が声をかけるとその人は振り返って 「こんにちは」 と、返してくれた その人は20代前半くらいの男の人だった 見た目は普通なのだがなぜか近寄りがたい印象を僕に与えた 僕はその人の横を通り過ぎていつもの場所に座って色を作り始めた それから数十分たった時にその男の人が僕に近づいてきた 「何してるの?」 「色を作っているんですよ」 「何色を作っているの?」 「七色です」 「七色?いったいどんな色なの?」 それに僕は一息ついてから返した 「何日か前、僕はこの丘ですごくきれいなポケモンを見たんですよ七色の翼の大きな鳥のポケモンでした」 「えっ?」 「僕はすぐにそのポケモンを描こうと思いました でも、どうしてもあのポケモンの七色が作れないんですよ」 「そうなんだ・・・」 男の人はしばらく黙り込み僕に話しかけた 「あのさ、君なに色を使って七色を作ろうとしているの?」 「え、えーと、赤とか黄色とか」 「僕はあまり色に詳しいわけじゃないんだけど、黒とか暗い色も混ぜてみたらどうかな」 「ええっ!?」 「そのポケモンもつらいことや嫌な事を乗り越えてその七色の翼を持っているんだと思うんだ」 「でもそんなの普通だったら「普通にやってもその七色はできないと思う」 僕は男の人の(普通にやってもその七色はできないと思う)と言うのはあっていると思った 「だからさ普通じゃない方法をためしてみてよ」 「わ、わかりました・・・」 半信半疑で今まで作っていた色に黒などの暗めの色を足していっていった すると、七色のようにきれいでもない汚い色になっていったにのに あの、七色に近づいていっている気がした 僕はそれから夢中に色を作っていって気がついたら夕方になっていた 「できた・・・」 「ほんとだきれいな七色だね〜」 その時の僕のパレットにはあのポケモンの七色には程遠いけど七色ができていて 辺りはあの時のような夕方になっていた 「よかったね〜これでその七色のポケモンが描けるんじゃあないの?」 「はい!あとは、あのポケモンが現れるのをここで待ちます」 僕達は顔を見合わせてニッ、と笑った 「そう言えばあなたはいったい何者なんですか?」 「何者でもないよ、ただの通りすがりだよ」 ただの通りすがりなわけない僕はそう思ってその人に追求しようとした時に 「あと、これ七色ができた記念にあげるよ」 「えっ?」 そう言って男の人が出したのは 「っ―――!!!」 あのポケモンの七色の羽だった 「なっ、なんで!!!」 「それじゃあ、さようならまた会おうね」 僕が男の人に近づこうとした瞬間突然強い風が吹き付けた そして次の瞬間男の人がいた場所には・・・ 七色の翼を持ったポケモンがいた そして空に向かって大きく羽ばたき始めた 僕は呆然とその光景を見たいたが すぐに筆を取り飛んでいる七色のポケモンを書き始めた 僕には描いている時間が何時間にも感じられた そして描き終わったとき辺りは真っ暗になっていた 辺りにおいてある道具を片付けて家に帰った 正直まだ信じられない あの男の人があの七色のポケモンだったのが でも・・・ 今もっているスケッチブックにはちゃんと七色が書かれていて 手には七色の羽を持っていた 僕はスケッチブックを机において スケッチブックの間に そっと、七色の羽を挟んだ・・・