ポケットモンスター小説版
第144話 もう1人の生き別れの兄

第12回戦でレッドと戦い、見事に勝利するサトシ。 しかし、そのレッドは実の兄で
あり、今や再会で喜ぶサトシであった。 サトシの試合中、アキラ、カツコとサイゾウは
無事に勝利したようだ。 次に行われるのは第13回戦! 果たして、サトシを待って
いるのは一体誰なのか? とその前にサトシ一行は今、レストランドードーズにいた。 
そこにはサトシ、レッド、シゲル、ブルー、カスミ、アオイ、ハナコとコゴロウがいた。

サトシ「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃん…」
カスミ「ちょっと、サトシ。 しつこくてうるさいわよ!」
サトシ「だってさー、俺1度こう言う言葉言いたかったんだよー。 もう言ってるのに
    すっごく嬉しくなっちゃってー。」
レッド「ははは、聞いてると何だか照れる感じだな。」
カスミ「全くもう、子供みたいな事言って…」
コゴロウ「言わせてやれ。 初めて使う言葉だ。(そう言ってもお前だって10歳の子供
     じゃねえか。)」
ハナコ「で、レッド。 旅立っている間どうなの? ちゃんと歯を磨いてる? 誰にも
    迷惑かけてない? ちゃんとご飯食べてた?」
レッド「もう、母さんったら…そこまでちゃんとやってるから心配かけなくていいよ。」
ハナコ「いいじゃないの、心配かけるぐらい。 だってこの7年間ずーっと会ってないの
    よ? 心配するのも当然の事よ。」
レッド「はは…確かにな…」
ブルー「(へぇー…あれがあのレッドなの…本当に似てるわ…サトシと…)」
ブルーは顔を赤くなりながら、レッドを見詰めていた。
サトシ「ん? どうした、ブルー? 顔が赤いぞ?」
ブルー「え!? あ、ううん! 別に何でもないの! 気にしないで!」
サトシ「お前、いつもそう言うぞ? 最近そんな感じだし、ホントに大丈夫なのか?」
ブルー「だから大丈夫だって! おほほほ…(な、何考えてたのかしら、あたしって…
    本命の人以外の人物に惚れるなんて…やっぱりあたしの本当の事をばらさない方
    がいいわね…)」
サトシ「…?」
シゲル「でもサトシって羨ましいよな。 サトシに兄貴がいたなんて。 俺もサトシと
    同じく、兄貴が欲しいと思うな。」
2人「え?」
シゲル「なあ、姉ちゃん。 俺達の家族の中にも、兄貴いたと思うか?」
アオイ「ううん、いないと思うわ。 お父さんとお母さんが亡くなった時、引き取られた
    様子もないし、本当はいないと思うわ。」
シゲル「そうなんだ。 じゃあ、レッドみたいにどこかへ旅立った訳じゃないんだな?」
レッド「…!」
レッドはシゲルの発言で驚く。
レッド「あ、ああ…多分な。」
シゲル「そうだ、今度じいさんに話してみよう! じいさんなら何か分かるかもしれない
    し!」
アオイ「何言ってるのよ、シゲル。 おじいちゃんにはそんな事知る訳ないでしょ?」
シゲル「そうか?」
コゴロウ「ん? おっと、もう直ぐ時間だな。 カスミ、みんな、早めに客席の所に
     行こうぜ! 席取られたら大変だからな!」
カスミ「あ、そうね!」
ハナコ「レッドはどうするのかしら?」
レッド「俺もうちょっとここにいるよ。 サトシに話す事いっぱいあるし。」
ハナコ「そう、じゃあ、先に行ってるからね!」
レッド「ああ!」
シゲル「みんながそこまで言うのなら、俺も早めに次の試合に行くぜ。」
ブルー「そうね、あたしも行くわ! ヒロシもちょうど先に行ったかもしれないし! 
    じゃあ、サトシ! 試合がんばってね!」
サトシ「ああ、ありがとう!」
カスミ「サトシ、がんばってね! 応援してるから!」
サトシ「ああ、ありがとう、カスミ!」
レッド「……………」
カスミ達とシゲル達は行ってしまった。
サトシ「ふう、行ったな。 で、話したい事って?」
レッド「ああ、さっき見たんだけど…お前、カスミの事が好きだな?」
ギク!!! 図星であった。
サトシ「な、な、何でその事を!?」
レッド「カスミがお前にがんばってと言った所、そう思ったんだよ。 聞いてるだけで
    お前も喜ぶ。 さては好きなんだな、カスミの事を?」
サトシ「………う、うん。 もちろん、好きだよ。 だって、あいつ今まで俺と一緒に
    旅立ってたからな。 よく口ケンカとかするけど、本当は俺、あいつの事が好き
    なんだ…俺の前に笑ったり、怒ったり、泣いたりして、結構可愛い奴なんだよな、
    カスミって…そう思うだけに俺あいつの事が好きになっちゃって…」
レッド「ふーん、なるほど。」
サトシ「…で、でもさ、この事は…」
レッド「誰にも言うなと言うんだろ? 分かってるよ! 秘密は誰にも言わない事を、俺
    は黙ってるから、心配するな!」
サトシ「はぁー、ありがとう、お兄ちゃん。」
レッド「まあ、その話は置いといて…お前、リユニオンを倒すつもりだろ?」
サトシ「え? …ど、どうしてその事を…?」
レッド「数ヶ月前、ポケモンリーグが始まる日の前、俺は1度オーキド博士の所に電話
    したんだ。 話によると、この世界にはロケット団以外にも、人類と現世破壊を
    企む邪悪な軍団がいると聞いた。 そしてお前と仲間達は、そいつらを倒すと
    考えていると聞いた。 この事は、オーキド博士やアオイ姉ちゃんにしか
    知らない様子だけど、この事は母さんに言わなかったよな?」
サトシ「ああ、まだ言ってないさ。 もしも言ってしまったら、俺達の旅立ちを
    止めさせてしまうからさ。 ママはあー見ても心配性だからな。 言うと直ぐに
    止めさせてしまうからな。」
レッド「ああ、特に、このポケモンリーグに出場させない所だったな、もしも言って
    しまった場合ならばな。」
サトシ「うん。 でも…」
レッド「分かってるよ! 母さんには言わないように、だろ? 心配するな! 俺達兄弟
    は、必ず兄弟の内緒を、母さんに言わないようにするよ!」
サトシ「あは、ありがとう、お兄ちゃん!」
レッド「まあ、リユニオンを倒すのに、多くの人数で戦うのも、よっぽどいいな! 俺も
    協力するぜ、リユニオンを倒すためによ!」
サトシ「ありがとう、お兄ちゃん…」
レッド「ま、いいってもんよ! じゃあ、俺もう行くから! カスミ達のいる客席んトコ
    で、お前を応援してるからな! それまでに次の試合がんばれよ!」
サトシ「うん! ところで、次に俺と挑戦する事になる相手は誰なんだ?」
レッド「………それは見てのお楽しみさ!」
サトシ「は?」
レッド「まあ、その相手は、お前の知ってる奴さ! もちろん、「シゲルにもな」!」
サトシ「え?」
レッド「じゃ、精々がんばるんだぜ!」
サトシ「あ、うん。」
レッドは行ってしまった。
シャワーズ「結局レッドもサトシの秘密知っちゃったね。」
ピカチュウ「ピカ。」
サトシ「あ、ああ…」
シャワーズ「はぁー…いいな、家族って。 僕もサトシのように、僕を生んだ家族が
      欲しいなー…」
サトシ「え? シャワーズって、自分の家族、全然記憶に残ってないのか?」
シャワーズ「うん。 親も誰なのか覚えてないんだ。 覚えているのは、オーキド博士が
      僕を拾った時だけど…」
サトシ「拾った?」
シャワーズ「分からないけど、サトシと会う前に、僕はある日、強雨の時に倒れてたんだ。 
      そこでオーキド博士に拾われて…」
サトシ「なるほど…」
シャワーズ「それだけじゃないんだ。 僕、今まで思ってたんだ。 ロケット団の事を…」
サトシ「え? ロケット団がどうしたって言うんだ?」
シャワーズ「よく分からないけど、ロケット団って言う名前を聞くと…何だか悲しく
      思っちゃう気がするんだよ…」
サトシ「え?」
シャワーズ「まあ、別に対した物じゃないけど、気にしないで!」
サトシ「…ああ、そうだな。 まあ、お前も気にするなよ! だってお前の本当の家族は、
    ここにいるんだから! それは俺とママとレッドとピカチュウとみんなさ! 
    だから、そう気にするなよ!」
シャワーズ「サトシ…うん!」
サトシ「じゃ、早速行こう! 連絡が来る前に先にステージに行こうぜ!」
シャワーズ「うん!」
ピカチュウ「ピカ!」

―セキエイスタジアム―

ワーーーーーーーーーーー!!! 観客達は大きな歓声を出した。
アナウンサー『大歓声をバトルステージに浴び出せる観客達! いよいよ第13回戦
       Bブロック第2試合が行われます! 最終戦まで後まだまだ先が長い! 
       果たして、次こそどんなバトルが行われるのでしょうか!? まずは選手
       紹介を致します! 西側コーナーは、元気な力でどんな相手に勝ち捲くる
       少年トレーナー、サトシ選手!!!』
サトシはバトルステージに立ち上がった。
ワーーーーーーーーーー!!! 観客達は大きな歓声を出した。
サトシ「今回もがんばろうな、ピカチュウ、シャワーズ!」
ピカチュウ「ピッカ!」
シャワーズ「おう!」
カスミ「サトシ、がんばってねーーー!!!」
レッド「がんばるんだぜ、サトシーーー!!!」
タケシ「がんばれよ、サトシーーー!!!」
マサキ「必ず相手をしばけよ、サトシーーー!!!」
サムライ「また無茶な発言を…」
トオル「今回もいい写真撮るから、がんばれよ、サトシーーー!!!」
ハナコ「がんばるのよ、サトシーーー!!! ママも応援してるからねーーー!!!」
アオイ「サトシ君、がんばってーーー!!!」
ボイジャー「がんばってください、サトシくーーーん!!!」
ウンディーネ「ダーリン、ウチのためにもがんばってーーー!!!」
ドリヤード「サトシさん、がんばってくださーーーい!!!」
サラマンダー「兄貴兄貴ゴーゴーゴー!♪ 負けるな負けるなゴーゴーゴー!!!♪」
ジン「…何ダスか、その歌は?」
ウィスプ「変わった応援の歌ッスね…」
シェイド「ったく、くだらん歌を考えよって…」
サラマンダー「し、失礼な! この歌歌っても別にいいだろ!?」
アナウンサー『そして東側コーナーは…』
東側コーナーには、マントをしていた、シゲルとよく似た顔と髪型をした少年が立ち
上がった。
サトシ「え!?」
全員「…!?」
アナウンサー『クールな表情で連勝し続ける美少年トレーナー、グリーン選手!!!』
キャーーーーーーーーーー!!! 女性観客達は大きな歓声を出した。
アナウンサー『ははは…さすがにファンの多いですね…よく聞こえるんですよね、この
       歓声が…』
グリーン「…よろしく。」
サトシ「よ、よろしく…」
アナウンサー『さて、ゲストの皆さんは誰を応援する事になりましたか?』
会長『うむ、ワシはともかくサトシ君を応援するつもりじゃ。 彼の実力はなかなかな物
   じゃからのう!』
じいちゃん『うひょひょひょ! ワシもサトシぢゃ! ぢゃがあのグリーンと言うやらも
      結構強いのう! でもワシはまだサトシを応援するぢゃがな!』
アキハバラ『私はもちろんサトシ君を応援しますよ。 きっと勝ち目ありそうですし!』
オーキド『ワシは両者共応援するがね。 あの2人の実力はさすがに最高じゃからのう! 
     2人共がんばるといいじゃろう!』
アナウンサー『なるほど、そう言う決まりが出ましたか。 でもまだ分かりませんよ? 
       何しろグリーン選手のプロフィールによると、第9回ポケモンリーグの
       準優勝者であるそうです! そのため、あのチャンピオンのレッド選手に
       負けた事があるそうです! 果たしてサトシ選手、準優勝者である
       グリーン選手に勝てる事が出来るのでしょうか!?』
サクラ「あのグリーンって言う子、準優勝者なのね? でも何かしら、あの子?」
アヤメ「分からないわね。 何だか顔によるとシゲル君に見えるけど…」
ボタン「顔はカッコイイけど、髪型とかはシゲルに見えるね?」
アオイ「……………」
アキラ「ん? どうしたんですか、アオイさん?」
アオイ「え? あ、ううん! 何でもないの!(何なのかしら? あの子を見ると何だか
    見た事あるような雰囲気がするけど…)」
サトシ「(このグリーンって言う奴、第9回ポケモンリーグの準優勝者だとは…レッド
    お兄ちゃんに負けたとしたら、恐らくお兄ちゃんはあいつの事知ってるみたい
    なんだな。 でも何だ、あいつは? 何でシゲルみたいな奴なんだ? 顔は
    カッコよく見えるけど…髪形はシゲルとよく似てる…あいつ、一体…あれ? 
    ちょ、ちょっと待てよ? そう言えば…)」

レッド(まあ、その相手は、お前の知ってる奴さ! もちろん、「シゲルにもな」!)

サトシ「(まさか、あいつ、俺やシゲルの知ってる奴!? でも、誰なんだ? 俺この人
    の事なんか全然知らないのに…1度にも会った事ないのに…いや、待てよ? 
    この人、もしかして…)」
グリーン「…そっちの準備はいいか、サトシ?」
サトシ「え!? あ、ああ、準備オッケーだぜ!」
グリーン「そうか。 じゃあ、こっちも準備でもするよ。」
バッ!!! グリーンはマントを投げ捨てた!
サトシ「な!?」
全員「え!?」
そのグリーンの姿は、シゲルと同じ紫色のロングなシャツ、シゲルのとよく似た
ペンダントと黒いロングパンツをしていた!
サトシ「(そ、その服装は…シゲルのと同じ!?)」
グリーン「さあ、早速バトルを始めよう。」
サトシ「あ、ああ…(な、何だあいつは!? 何でシゲルと同じ服装を!? はっ! ま、
    まさか…この人本当は…)」
セイヨ「な、何なのかしら、あのトレーナー!?」
ジュン「服装によればシゲルさんと全く同じですね!?」
ダイスケ「何であいつがシゲルと同じ服装を!?」
アオイ「…あ、あの服装…やっぱり、あの子、どこかで見た事あるわ!」
マチス「ホワット? あるのか?」
アオイ「え、ええ…そうらしいみたいですけど…誰だったのか思い出せないのです…」
ハナコ「…私もあの子、どこかで見た事がある気がするわ。」
ナツメ「ハナコさんも知ってるのですか?」
ハナコ「ええ、でも誰だったのかしら…? 思い出せないのよ…」
アオイ「(あの服装…あの髪型…そしてあの顔…シゲルとよく似てるけど…どこかで見た
    気が…あの子…一体…)」
アナウンサー『では、サトシ選手、グリーン選手、準備いいですね? それでは、
       第13回戦、試合開始です!』
グリーン「行け、カイリキー!」
カイリキー「リキーーー!!!」
サトシ「(まだ分からないけど、取り合えず戦ってみるしかない!)ニョロボン、君に
    決めた!」
ニョロボン「ニョロ!!!」
アナウンサー『サトシ選手はニョロボンを繰り出し、グリーン選手はカイリキーを繰り
       出しました! 互いのタイプは格闘系! 果たして、この同じタイプの
       ポケモンで、どんなバトルを繰り広げられるのでしょうか!?』
グリーン「カイリキー、「空手チョップ」!」
カイリキー「リッキーーーーー!!!」
サトシ「ニョロボン、「影分身」だ!」
ニョロボン「ニョロ!」
シュン!!! ニョロボンの「影分身」!
スカ! カイリキーの「空手チョップ」! しかし攻撃が外れた!
サトシ「(よし! このまま…)」
グリーン「…カイリキー、後ろに「けたぐり」!」
カイリキー「リキ!!!」
ドカ!!! カイリキーの「けたぐり」! その攻撃は後ろに移動したニョロボンに命中
した!
ニョロボン「ニョロ!?」
サトシ「な!?」
ドサ!!! ニョロボンが倒れた!
アナウンサー『おーーーっと!? ニョロボンの「影分身」で攻撃を交わし、そのまま
       後ろへ攻めようとしたら、「けたぐり」を食らった!? もはや
       グリーン選手、攻撃が見切られたか!!!』
グリーン「さすがに攻撃を交わしたのはすごいが、後ろから攻めるなんてまだまだ甘い
     ぜ?」
サトシ「く…こうなったら…ニョロボン、「メガトンパンチ」!」
ニョロボンは立ち上がった。
ニョロボン「ニョロボーーーン!!!」
ガシ!!! ニョロボンの「メガトンパンチ」! だがカイリキーは攻撃を掴み止めた!
ニョロボン「ニョ!?」
サトシ「く、今度は「メガトンキック」!」
ニョロボン「ニョ、ニョロ!」
ガシ!!! ニョロボンの「メガトンキック」! だがカイリキーは攻撃を掴み止めた!
ニョロボン「ニョロ!?」
サトシ「な!?」
グリーン「カイリキー、念のために片方の手足も掴め!」
カイリキー「リッキ!!!」
ガシガシ!!! カイリキーはニョロボンの片方の手足を掴んだ!
ニョロボン「ニョ!?」
サトシ「な、何!?」
アナウンサー『おっと! これは何と言う事でしょうか!? グリーン選手のカイリキー
       がしっかりとサトシ選手のニョロボンの両手と両足を押さえています! 
       もはやニョロボンを攻撃させないようしっかり押さえているのでしょう! 
       でもこの後一体どうするのでしょうか!?』
ニョロボン「ニョ、ニョロ!」
ニョロボンはカイリキーの手から離そうとするが、カイリキーがしっかり手足を握り
締めている限り、離れない。
グリーン「…カイリキー、「怪力」をして跳べ!」
カイリキー「リキ!」
ニョロボン「ニョロ!?」
ダッ!!! カイリキーは「怪力」でニョロボンを持ち上げ、高くジャンプした!
サトシ「な!?」
グリーン「よし! そのまま「地獄車」で落下だ!」
カイリキー「リキーーーーーーーーーー!!!!」
グルルルルルルル!!! カイリキーの「地獄車」! 2匹は逆さま状態で回転し始め、
ステージを目掛けて落ちて行く!
ニョロボン「ニョローーーーーー!?」
ドカーーーーーーーーン!!! カイリキーとニョロボン思いっきりステージに落下
した!
サトシ「あ!!!」
そしてニョロボンが倒れ、カイリキーが立ち上がった!
ニョロボン「ニョロ〜〜〜…」
サトシ「にょ、ニョロボン!?」
審判「ニョロボン、戦闘不能!」
ワーーーーーーーーーーーー!!! 観客達は大きな歓声を出した。
アナウンサー『おーーー!!! これはすごい! 「怪力」でサトシ選手のニョロボンを
       抱えたまま高くジャンプし、「地獄車」で回転しながら落下し、そのまま
       ニョロボンを倒しました! もはやこれのためにニョロボンの手足を握り
       掴んでいたのでしょう! さすがグリーン選手! 全く
       敵えません!!!』
会長『あっちゃー、サトシ君のニョロボン負けてしもった…』
オーキド「(ふむ、グリーンの奴、なかなかやるのう? しかし、サトシなら、あの
     カイリキーを倒せるはずじゃ。 グリーンも甘く見てる場合じゃないぞ?)」
エリカ「あらら、サトシさんのニョロボン、負けてしまいましたね。」
キョウ「あのグリーンと言うお方、なかなか強いトレーナーでござるな。」
アヤ「サトシはこの後どのポケモンを出すのかしら?」
グリーン「…お前の実力はこんな物じゃないはずだぞ、サトシ。 本当にマサラタウンの
     最強のトレーナーならば、本気を出してみろ!」
サトシ「え!? な、何でお前、俺がマサラタウンのトレーナーだと分かるんだ!?」
グリーン「噂で聞いたんだよ。 お前がマサラタウンの最強のトレーナーだとな。 
     でも今はそれを気にしてる場合じゃないぜ? さっさと次のポケモンを
     出しな。」
サトシ「く…こうなったら…ピカチュウ、君に決めた!」
ピカチュウ「ピッカ!」
アナウンサー『サトシ選手、ピカチュウを繰り出しました!』
グリーン「ほほう、次は小型のポケモンを繰り出したのか。 そいつを使えば、避けも
     簡単になる…か。 でも、俺のカイリキーはでかいと言っても、その早さ
     だけはなめるなよ! カイリキー、「空手チョップ」連続攻撃!」
カイリキー「リキリキーーーーー!!!」
サトシ「やばい! ピカチュウ、「高速移動」で避けろ!」
ピカチュウ「ピカ!」
シュンシュンシュンシュン!!! ピカチュウの「高速移動」! ピカチュウは
カイリキーの連続攻撃を避け続けている。
アナウンサー『おっと、これはさすがにすごいです! グリーン選手のカイリキーは
       「空手チョップ」を連続に攻撃しますが、サトシ選手のピカチュウは
       「高速移動」で簡単に避け捲くっています! しかしカイリキーの攻撃が
       早い限り、ピカチュウも回避で苦労しています!』
グリーン「遅いな。 カイリキー、「メガトンパンチ」!」
カイリキー「リッキーーー!!!」
バキ!!! カイリキーの「メガトンパンチ」!
ピカチュウ「ピ!!!」
サトシ「あ!!!」
ドサ!!! ピカチュウは倒れた!
アナウンサー『おーーーっと!!! 鋭い当たり!!! グリーン選手のカイリキー、隙
       を狙って「メガトンパンチ」を仕掛けました! おかげさまでサトシ選手
       のピカチュウ、かなりのダメージを与えました!!!』
ピカチュウ「ピ…」
ピカチュウは立ち上がった。
グリーン「どうした、サトシ? お前の自慢のピカチュウはこんな物か? そんな早さ
     じゃ、俺のカイリキーに勝てないぞ! さっさと本気を出してみろ!」
サトシ「く…(あのカイリキーの早さは半端じゃねえぜ! どうにかしてあの
    カイリキーを倒さないと…でも、攻撃の素早さが早過ぎて、避ける隙も全くない! 
    くっそー、あの腕さえなければ…ん? 腕さえなければ? そ、そうか! 
    分かったぞ!)」
グリーン「どうした、サトシ。 来ないのか? だったらこっちから先に行くぜ! 
     カイリキー、行け!」
カイリキー「リキーーーーー!!!」
カイリキーはピカチュウに襲い始めた!
サトシ「ピカチュウ、カイリキーの両腕に「電磁波」!」
ピカチュウ「ピカ! チュウーーーーーーーー!!!」
ビリリリリリリリリリリ!!! ピカチュウの「電磁波」!
カイリキー「リキ!?」
ガク!!! カイリキーの両腕が麻痺状態になり、下がってしまった!
グリーン「な!?」
アナウンサー『おーーーっと!!! これは何と言う攻撃!? ピカチュウの「電磁波」
       でカイリキーの4本の腕を痺れさせました!!! さすがに隙を
       狙いましたか、サトシ選手!』
じいちゃん『うひょー、これはすごいのう、サトシ君!』
キース「なるほど…4本の腕を麻痺させれば、それなりにカイリキーは「空手チョップ」
    や「メガトンパンチ」などの拳闘技を使えなくなる。」
フウコ「だから両腕に「電磁波」を使ったのね!」
ドリオ「いいぜ、サトシ! そのまま奴を倒せ!」
サトシ「よーし!!! 行け、ピカチュウ! 「10万ボルト」だ!!!」
ピカチュウ「ピーーーカーーーチュウーーーーーーーーーーーー!!!」
ビリリリリリリリリリリリリリ!!! ピカチュウの「10万ボルト」!
カイリキー「リキ〜〜〜…」
審判「カイリキー、戦闘不能!」
ワーーーーーーーーーーー!!! 観客達は大きな歓声を出した。
アナウンサー『やりました、サトシ選手! ピカチュウの「10万ボルト」でフィニッシュ! 
       見事な技です!』
アキハバラ『さすがによくやりますね、サトシ君!』
カスミ「サトシーーー!!! その調子よーーー!!!」
レッド「その調子だぜ、サトシーーー!!!」
タケシ「次もがんばれ、サトシーーー!!!」
シュウ「がんばれ、サトシーーー!!! 負けるなよーーー!!!」
マロン「がんばって、サトシくーーーん!!!」
グリーン「…なかなかやるな、サトシ。 さっきの攻撃は上手く行ったようだけど、今度
     はそう簡単には上手く行かないぜ? カイリキーを倒しただけでも、油断
     しない方がいいぜ? なぜかと言うと、次に繰り出す俺のポケモンは、強力
     なんだからな! キュウコン、行け!」
キュウコン「コーーーン!!!」
アナウンサー『グリーン選手、キュウコンを繰り出しました!』
サトシ「キュウコンか…確かに強力に見えるな…ピカチュウ、油断するなよ!」
ピカチュウ「ピカ!」
グリーン「…キュウコン、「怪しい光」!」
サトシ「はっ!!! やばい! ピカチュウ、目を閉じろ!」
ピカチュウ「ピ、ピカ!」
キュウコン「コーーーーーン!!!」
キラーーーーーン!!! キュウコンの「怪しい光」! しかしピカチュウの目が閉じて
いる限り、上手く行かなかった!
アナウンサー『おっと、これは残念! どうやらグリーン選手、キュウコンの「怪しい光」
       でピカチュウを混乱させようと言う作戦でしたが、どうやらピカチュウの
       目が閉じられているため、無効です! これは作戦失敗と言う物
       でしょうか?』
サトシ「残念だったな! 目を閉じれば、そんな攻撃効かないぜ!」
グリーン「そこが狙い目なんだよ!」
サトシ「え?」
グリーン「キュウコン、今の内に「電光石火」!」
キュウコン「コーーーーン!!!」
ドカ!!! キュウコンの「電光石火」!
ピカチュウ「ピカ!?」
サトシ「あ、しまった!!!」
アナウンサー『おーーーっと!!! いきなりの「電光石火」! 一瞬にピカチュウに
       「電光石火」を食らいました!!!』
マサ「そうか! ピカチュウは目を閉じると少しの間だけしか見えなくなる! もちろん
   見えない状態じゃ動きも出来なくなるんだ!」
ミサ「それがグリーンの狙い目だったのね!?」
ドサ!!! ピカチュウは倒れた!
サトシ「ピカチュウ! 負けるな! 立ち上がれ!」
ピカチュウ「ピ…」
ピカチュウは立ち上がろうとする。
グリーン「キュウコン、ピカチュウが立ち上がる前に、とどめの「大文字」だ!」
キュウコン「コン!」
ボボボボボ… キュウコンの尻尾の先に炎が付いた!
サトシ「ん!?」
ピカチュウ「ピ!?」
キュウコン「コーーーーーーーーン!!!」
ブォーーーーーーーー!!! キュウコンの「大文字」!
バシューーーーーン!!! ピカチュウは攻撃で吹き飛ばされた!
ピカチュウ「ピカーーーーー!!!」
サトシ「ピカチュウ!!!」
ドサ!!! ピカチュウは場外に落ちてしまった。
審判「ピカチュウ、場外!」
ワーーーーーーーーー!!! 観客達は大きな歓声を出した!
アナウンサー『おーーーっと!!! これは何と言うとどめ技! ピカチュウが立ち
       上がる前に、一撃に「大文字」でピカチュウを場外まで弾き飛ばしました! 
       これは見事に残念、サトシ選手! そしてさすがグリーン選手! 全く
       自分でも敵わないトレーナーです!!!』
アキハバラ『あちゃー、サトシ君残念だねー…』
オーキド「(ふむ、グリーンのキュウコンもなかなかな物じゃな。 しかし、まだまだ
     じゃぞ、グリーン。 まだサトシの本当の実力を分かっとらんぞ。 サトシよ、
     次こそ本当の実力を奴に見せるがいい!)」
イミテ「あー、サトちゃんのピカチュウ負けちゃった…」
タイチ「サトシ兄ちゃん、何だか負けそうだよ?」
ライゾウ「ああ…あのグリーンっつー奴、かなり手強すぎる! いくらなんでも、サトシ
     にとっちゃ敵わない相手だ!」
アツシ「ああ、実力も、行動も、知識も、サトシよりも上だ! サトシじゃ絶対無理だ!」
ミズキ「それに、後1匹しか残ってないサトシは、一体どうするのか!?」
レッド「(サトシ…)」
アナウンサー『サトシ選手、残るポケモンは後1匹! 次に繰り出すポケモンは、水系に
       なるのか!? それとも何を繰り出すのか!?』
サトシ「ピカチュウ、大丈夫か!?」
ピカチュウ「ピ、ピカチュウ…」
サトシ「ううん、いいんだよ。 お前のせいじゃないさ。 でも無事でよかったぜ。 
    お前はよくがんばったよ。 俺のために、ありがとう。 ゆっくり休んでくれ。」
ピカチュウ「ピカピ…」
サトシ「(くそ…等々使用するポケモンが1匹だけ残っちまった。 あのキュウコン、
    かなり強くなっている。 立派に育てられたみたいな感じだぜ。 この先、どの
    ポケモンを出そうか…水系ならば、一撃で倒せるけど、奴のスピードだけは絶対
    に勝てない! こっちが攻撃するどころか、先に負けちまう! 一体どの
    ポケモンで…ん? 待てよ? そう言えば、あいつさっき…そうか! 分かった
    ぞ! ヘッヘッヘ、いい事考えたぜ!)」
シャワーズ「ねえ、サトシ! 次は僕に任せて! 僕なら絶対に…」
サトシ「…いや、今回シャワーズが出なくていい。 危険過ぎるからな。」
シャワーズ「え!? ど、どうしてなの!? 僕なら炎系のキュウコンに勝てるよ! 
      だって炎の弱点は…」
サトシ「弱点を狙っても勝てないんだよ! よく考えてみろよ、シャワーズ。 お前も
    さっきの戦い見ただろ? ピカチュウがあのキュウコンと戦ってた時、色々な
    攻撃で完全にピカチュウを倒した! 例えどのポケモン使っても、同じ戦略を
    繰り返すだけだ! したがって、水系でも同じ事になる! だからシャワーズ、
    悪く思うかもしれないけど、今回は出ないでくれ。 俺のためなら感謝するけど、
    今回だけは…な? 頼むから…」
シャワーズ「サトシ…分かった! サトシがそこまで言うなら、今回は出ないよ! 
      気持ちは分かったから!」
サトシ「ごめんな、シャワーズ。 こんなわがままな事言って…」
シャワーズ「いいんだよ。 気にしないで! でもそうだとしたら、どのポケモン繰り
      出すの?」
サトシ「さっき色々考えたのさ。 あのキュウコンを倒せる事が出来るのは、こいつだけ
    しかいないとな!」
シャワーズ「こいつ?」
サトシ「これが俺の最後のポケモン! フシギダネ、君に決めた!」
フシギダネ「ダネーーー!!!」
全員「えーーーー!?」
アナウンサー『な、な、何と!? サトシ選手、フシギダネを繰り出しました!? これ
       は一体どう言う事でしょうか!? 正しく炎に弱いはずのフシギダネを
       繰り出すなんて、一体何を考えたのでしょうか!? まさか悪足掻きでも
       するのでしょうか!?』
サトシ「悪足掻きでも何でもねえぜ! 俺は本気でこいつを使う! それが俺の決まり
    だ!」
グリーン「…なるほど。 それでも正気なんだな? ならば仕方ない。 そこまで決める
     のなら、こっちも手加減なしで行くぜ?(ん? 待てよ? そう言えば、何か
     気になるな。 こう言うの、どこかで…)」
ヤス「さ、サトシの奴、一体何する気なんだ!?」
カズ「本気に血迷ったか!?」
ケイタ「血迷ったかもしれないな。 何しろ炎系に弱い草系のフシギダネじゃ、あんなの
    勝てっこないぜ!」
ルミカ「でも何か考えたようですけど…果たしてそれは何でしょうか?」
カスミ「サトシ…」
レッド「……………」
シャワーズ「ちょ、ちょっと待ってよ、サトシ! フシギダネであのキュウコンに勝てる
      の!?」
サトシ「心配するな! このフシギダネなら、絶対に勝てるはず! そう信じろ!」
グリーン「…何モタモタしてるんだ? さっさと攻撃してみろよ!」
サトシ「言われなくても分かってるよ! 行け、フシギダネ! 「つるの鞭」だ!」
フシギダネ「ダネフシーーー!!!」
シュルルルルルルル!!! フシギダネの「つるの鞭」! 攻撃はキュウコンに襲い
掛かる!
グリーン「フン! 一撃で終わらせてやるぜ! キュウコン、「大文字」の準備をしろ!」
キュウコン「コン!」
ボボボボ… キュウコンの尻尾の先に炎が1つずつ付いて行く。
カツラ「もうだめだ…このままサトシ君の負けになる!」
カスミ「サトシ!!!」
ボ… 尻尾の先の炎が8つも残った!
グリーン「後もう1つで、「大文字」は完成だ!」
サトシ「させるか! フシギダネ、そのまま奴の尻尾を縛るんだ!」
グリーン「何!?」
フシギダネ「ダネ!」
シュルルルルル!!! フシギダネの「つるの鞭」がキュウコンの尻尾に縛った!
キュウコン「コン!?」
ギュウーーーー!!! その攻撃は強くキュウコンの尻尾を縛った!
キュウコン「コーーーーーーーーン!?」
フッ… かなりの痛さで、尻尾の先の炎が全て消えた!
グリーン「な!?」
アナウンサー『おーーーっと!!! これは驚き!!! フシギダネの「つるの鞭」で、
       キュウコンの尻尾を強く縛り付きました! おかげでかなりの痛さで、
       「大文字」が出来なくなりました!!! もしやフシギダネを出したのは、
       これのためだったのでしょうか!?』
オーキド『ほっほう、やるのう、サトシ君! さすがにいい考えをしたのう!』
グリーン「く…キュウコン! 「怪しい光」で奴を混乱させろ!」
キュウコン「コンコンコンコンコーーーーン!!!」
しかしキュウコンは言う事を聞いていない!
アナウンサー『グリーン選手、これは残念! キュウコンがかなりの激しい痛さを感じて
       いるため、暴れ回りながら命令を聞いていません!』
グリーン「く…」
サトシ「よーし! 今だ、フシギダネ! そのまま叩き付けるんだ!!!」
フシギダネ「ダーネーーーーーーーーー!!!」
ドッサーーーーーーン!!! フシギダネは「つるの鞭」で、キュウコンを床に叩き
付けた!
キュウコン「コ〜〜〜ン…」
審判「キュウコン、戦闘不能!」
ワーーーーーーーーーー!!! 観客達は大きな歓声を出した!
アナウンサー『おーーー!!! これはすごい! フシギダネはそのまま「つるの鞭」で
       キュウコンをノックアウトさせました! 炎に弱いはずのあのフシギダネ
       が、1匹だけ炎系のポケモンを倒しました! まるで自分の弱点を克服
       したように見えます! さすがサトシ選手! 無理だと思いましたが、
       まさかあそこまでやるとは思いませんでした! 見事な攻撃です!!!』
会長『うーーーん、さすがにやるのう、サトシ君!』
カスミ「よかったー、サトシが負けなくて…」
レッド「ああ、やれると思っていたぜ…」
タケシ「でも安心してる場合じゃないぜ。 グリーンの奴、まだもう1匹しか残ってない
    からな!」
シュウ「でもその1匹は一体どのポケモンなんだろうか…」
マロン「サトシくーーーん!!! あんな奴絶対に負けちゃだめよーーー!!!」
アナウンサー『グリーン選手、サトシ選手と同じく残るポケモンは後1匹! 果たして、
       どのポケモンを最後まで繰り出すのでしょうか!?』
グリーン「…なぜ尻尾を狙ったんだ?」
サトシ「さっき「大文字」をしようとした時、尻尾の先に炎が付いてただろ? 多分その
    炎は、「大文字」の火炎エネルギーを溜めるため、先から出て来たんだと
    思ったんだ。 もしも尻尾をそのまま縛れば、「大文字」のチャージの集中力が
    失い、攻撃が出来なくなると思ったんだ! でも、どうやら当たっちまったけど
    ね。 やっぱ感がよかったのかな? でも、少しだけでも分かっただろ? 
    キュウコンにはそう言う弱点があるって事をよ。」
グリーン「…さすがにいい事考えたみたいじゃないか、サトシ。 フシギダネで俺の
     キュウコンを倒せるとは、最初から思わなかった。 でも、フシギダネで俺の
     キュウコンを倒しただけでも、調子に乗る場合じゃないぜ! 俺にはまだ最後
     の一匹がいるんだからな! その1匹は、フシギダネの最も弱い存在! それ
     は、こいつだ! 行け、リザードン!!!」
リザードン「リザーーー!!!」
サトシ「な!?」
フシギダネ「ダネ!?」
アナウンサー『おーーー!!! 何と、グリーン選手、リザードンを繰り出しました!!! 
       リザードンと言えば、炎技を使える上、空も飛べるタイプ! フシギダネ
       の最も苦手な存在です! 果たしてサトシ選手、フシギダネしか使えない
       限り、どうやって勝ち抜ける事が出来るのか!?』
サトシ「り、リザードン!?」
グリーン「間違えて水系を出してしまったら、草系の技でアウトになる。 しかし、草に
     全く効かないこいつなら、下手にはやられないぜ! それに言っておこう。 
     草系の弱点は炎と飛行だ! リザードンはその2つのタイプを持っている限り、
     フシギダネを一撃倒せる自信がある! フシギダネなら、そいつに勝てる自信
     を失う事になる! そのため、何も出来ないぜ! さあ、どうする? 降参
     するか、そのまま倒されるか、どっちか決めないと行けないぜ?」
サトシ「く…」
アツコ「やばいわ、これ。 フシギダネと言えば、炎と飛行に最も弱いタイプよ! あの
    リザードンじゃ、絶対に勝ち目はないわ!」
コゴロウ「リザードンを繰り出した今、何も出来ない! これは完全サトシの負けに
     なる!」
カスミ「そんな!!!」
レッド「……………(グリーンの奴、リザードンを繰り出すなんて、相当間違った事した
    な? リザードンを繰り出しても勝てる訳がないぜ? どんなポケモンを繰り
    出そうとしても、それでも負けるんだ。 思い出してみなよ、グリーン。 
    サトシが繰り出した「順番」をよ…)」
グリーン「どうする? この戦い続ける気か?」
サトシ「あ、当たり前さ! 俺は絶対に勝つと信じる! こいつに賭けてな!」
グリーン「フン、無理も言わんな。 ならば、遠慮なく勝たせてもらうぜ! リザードン、
     「空を飛ぶ」!」
リザードン「リザーーーーー!!!」
バサ!!! ヒューーーー!!! リザードンの「空を飛ぶ」! リザードンは空高く
飛び上がった!
サトシ「フシギダネ、「葉っぱカッター」だ!」
フシギダネ「ダ、ダネ!!!」
シュシュシュシュ!!! フシギダネの「葉っぱカッター」!
グリーン「無駄だ! リザードン、「火炎放射」!」
リザードン「リザーーーーーーーー!!!」
ブォーーーーーーー!!! リザードンの「火炎放射」! 攻撃はフシギダネの「葉っぱ
カッター」を消し散らした! そして攻撃はフシギダネに目掛けている!
サトシ「あ、危ない! 避けろ!!!」
フシギダネ「ダネ!」
フシギダネは見事に攻撃を避けた!
グリーン「甘いぜ! リザードン、上空から「突進」だ!」
リザードン「リザーーードン!!!」
ドカ!!! リザードンの「突進」攻撃!
フシギダネ「ダネ!!!」
サトシ「フシギダネ!!!」
グリーン「次は、「スピードスター」!」
リザードン「リッザーーーー!!!」
シュシュシュシュ!!! バキバキバキバキ!!! リザードンの「スピードスター」!
フシギダネ「ダ、ダネーーー!!!」
アナウンサー『おーーー!!! これはまた派手な戦い方! グリーン選手のリザードン
       の「突進」と「スピードスター」で、フシギダネを多くの体力を奪い
       続きます! おかげでフシギダネの体力はギリギリまでしか残って
       いません! もはやこれでサトシ選手の負けとなるのでしょうか!?』
カツコ「もうだめだわ。 あのフシギダネは絶対に勝てないわ!」
スバル「もう、これでサトシの負けか…」
カスミ「サトシ…」
レッド「……………」
グリーン「もう限界のようだな? 諦めな。 そんな体じゃ、いくら何でも俺の
     リザードンには勝てない。 このまま負けを認めるべきだ。」
サトシ「誰が負けるかよ! 俺にはまだ敗北を認めないぜ! 最後まで勝つと自分自身で
    約束したんだ! ここまで来たって言うのに諦めてたまるか!」
グリーン「…何度も言っても無駄だな。 まあ、それはしょうがない。 じゃあ、こっち
     は遠慮なくとどめをさしてもらうぜ!」
サトシ「く…」
アナウンサー『サトシ選手、いよいよ敗北へとなるのか!?』
カスミ「サトシ!!!」
グリーン「リザードン、とどめの「火炎…」! …!」
グリーンは突然命令を止めた。
サトシ「ん?」
グリーン「(ま、待てよ? そ、そう言えば…あいつが繰り出したポケモンは…最初は
     ニョロボン…次にピカチュウ…そしてフシギダネ…!!!)」
その後目の錯覚なのか、グリーンはフシギダネの事をフシギバナと見間違える。
フシギダネ「…?」
グリーン「(ふ、フシギバナ!? 待てよ…この順番もしかして…)」
その後グリーンはサトシの方へ見詰めた。 これも目の錯覚なのか、グリーンはサトシの
事をレッドと見間違える。
サトシ「…?」
グリーン「(れ、レッド!?)」
そしてグリーンは、ある言葉を頭の中から思い出した。

(俺の大切の…仲間だ!)

グリーン「(こ、この言葉は…)」
リザードン「リザーーー…」
グリーン「はっ!!! り、リザードン! 攻撃を止めろ!!!」
リザードン「リザ!?」
フシギダネ「ダネ!?」
サトシ「え!?」
アナウンサー『おや!? グリーン選手、攻撃を止めました!?』
グリーン「…戻れ、リザードン。」
グリーンはリザードンをモンスターボールの中に戻した。
サトシ「な!?」
アナウンサー『え!? こ、今度はリザードンをボールに戻した!?』
グリーン「…フッ。 まさかお前、あんな事をするとはな…」
サトシ「え? な、何を?」
グリーン「ポケモンの順番だよ。 お前は最初にニョロボンを繰り出し、次にピカチュウ、
     そして最後にフシギダネを繰り出した。 何だかよく分からないけど、お前の
     フシギダネをフシギバナと見間違えたけどな。 お前がフシギダネを繰り
     出した理由、あれで分かったよ。」
サトシ「え?」
グリーン「思わなかったな、お前があんな順番に繰り出すなんて…おかげで3年前の嫌な
     思いが記憶に蘇っちまったよ。 俺あー言うの苦手なんだよな…でも、これで
     やっと分かったよ。 俺がお前に勝てないと言う事を…」
サトシ「そ、それって、どう言う…」
グリーン「サトシ、俺の負けだよ。 降参だ。」
サトシ「え!?」
グリーン「審判、俺は降参する。 合図を出してくれ。」
審判「え!? は、はい。 グリーン選手、降参! よってこの試合、サトシ選手の勝ち!」
ワーーーーーーーーーーーーー!!! 観客達は大きな歓声を出した!
アナウンサー『な、何と言う事でしょうか!? グリーン選手、いきなりと降参を
       願いました! リザードンなら余裕綽々で勝てたはずなのに、なぜか降参
       を願いました! どんな理由で降参を願ったか分かりませんが、これは
       グリーン選手の負けとなるでしょう! なお、両者共残りポケモンは
       1対1! グリーン選手が降参を願いましたので、よってこの第13回戦の
       勝者は、サトシ選手に決定です!!!』
会長『運がよかったのう、サトシ君! おめでとさん!』
じいちゃん『うっひょー、こりゃ危機一髪ぢゃったわい! よかったのう、サトシ君!』
アキハバラ『よかったですね、助かって! おめでとうございます!』
オーキド『うむ、サトシとグリーンもよくやったのう! すごかったわい!』
カスミ「や、やったーーー!!! サトシ勝ったーーー!!!」
レッド「(フッ、どうやら思い出してくれたようだな、グリーン…)」
タケシ「よくやったな、サトシーーー!!!」
マサキ「ようがんばっとったな、サトシーーー!!!」
トオル「サトシーーー!!! いい写真撮ったよーーー!!! 
    おめでとうーーー!!!」
シュウ「よっしゃーーー!!! サトシ勝利だぜーーー!!!」
マロン「おめでとう、サトシくーーーん!!!」
サラマンダー「やっほーーー!!! 兄貴無事勝利だぜーーー!!!」
ジン「でも何であのグリーンと言う少年が負けたダスかね?」
ウィスプ「さあ、何でしょうッスね?」
ウンディーネ「まあ、エエやないの、ダーリンが勝って! ね、ドリヤード!」
ドリヤード「ええ! まことに嬉しいですわ!」
シェイド「まあ、それもそうとも言えるだろ…」
ボイジャー「おめでとうございます、サトシくーーーん!!!」
ハナコ「おめでとう、サトシーーー!!! さすが私の息子よーーー!!! あら?」
アオイ「……………」
ハナコ「どうしたの、アオイちゃん?」
アオイ「え!? え、いや、その、やっぱり、まだ気になるんですよ…あのグリーンって
    言う子…見てるだけで懐かしく感じて…本当にどこかで…」
ハナコ「アオイちゃん…?」
サトシ「な、なぜだ!? なぜいきなり降参するんだ!? さっきの攻撃なら、一撃で俺
    に勝てたはずだろ!? 何で攻撃を止め、降参したんだ!?」
グリーン「…3年前、第9回ポケモンリーグで、お前の兄のレッドが俺と戦った事を、
     知ってるだろ?」
サトシ「え!? そ、それは知らないけど…何でお前がレッドお兄ちゃんの事を、俺の兄
    だと…!?」
グリーン「…その話は後にして、元の話に戻ろう。 俺とレッドは、その時に決勝戦で
     戦った。 どちらがポケモンマスターとして認められるかと言う決着をね。 
     そこで奴は、お前が繰り出した順番のように、ニョロボン、ピカチュウと
     フシギバナを繰り出した。 その3匹の合体技で、俺のリザードンを見事に
     倒したんだ。 「俺の大切の…仲間だ!」と言う言葉を残して…あの時は
     驚いたよ。 あの時俺は自分の敗北でショックを受けてたんだからな。 まあ、
     その時まで敗北を認めたけどな、俺は…でも何でだろうな? 何でお前が
     レッドと同じく繰り出したポケモンで、俺が恐怖感を感じたのか…トラウマ
     かな、これって? あの時負けたショックでそう感じたのかな? まあ、そう
     言うのなら別にどうだっていいけどな。 けれど、お前よくがんばったな。 
     ここまでよく勝ち続けたな。 いい勝負になったよ。 感謝するよ、サトシ。」

* トラウマ:過去に起こった嫌な出来事で、成長し続けてもその恐怖症を残ってしまうと
      言う心の古傷。

サトシ「ちょ、ちょっと待ってくれ! あ、あのさ…俺、お前に質問があるんだ。 これ、
    まさかなのか分からないけど…お前…もしかして…もしかしすると…」
グリーン「………サトシ、俺はお前が思っている通りだよ。」
サトシ「…!?」
グリーン「そう。 俺は生き別れたオーキド博士の「孫」、アオイの「弟」、そしてお前の
     幼なじみであり、俺の「弟」でもある、シゲルの兄だよ。」
サトシ「え!?」
全員「え!?」
アオイ「…!?」
サトシ「じゃ、じゃあ…お前は…レッドお兄ちゃんの…」
グリーン「ああ、あいつの幼なじみさ。」
サトシ「じゃ、じゃあ…どうして…」
グリーン「…あれは7年前だった。 あの時代、お前の父、ツネカズおじさんが事故で
     死んだ時だった。 あの時俺は葬式に招待され、号泣するお前とハナコ
     おばさんを見ていた。 でもレッドは、おじさんの事を思い、悔しがっていた。 
     なぜかと言うと、奴はおじさんの死を絶対に認められなかったから…そこで俺
     は思ったんだ。 俺も奴と同じだった。 なぜなら、俺のお父さんとお母さん
     は、おじさんと同じく「事故」と言う物で死んだから…俺はその時思った。 俺
     もレッドと同じく、自分の両親の死は認められなかった。 大切な人を失って
     しまったから…そこで俺は葬式の後の夜、レッドがおじさんの代わりに
     ポケモンマスターを目指すために旅立つところを見た。 そこで俺は同じ事を
     するため、奴と一緒に旅立った。 あれ以来はライバルとしてよくケンカとか
     してたけど、それでもあいつは俺の大切な幼なじみの親友だからな。」
サトシ「じゃ、じゃあ、その4年後にまさか…」
グリーン「ああ、その4年後、レッドと一緒にマサラタウンに帰郷した。 でも俺は
     レッドと同じく、真っ直ぐオーキド博士、俺のおじいちゃんの研究所に
     行ったんだ。 そしておじいちゃんからヒトカゲの頃だったリザードンを貰い、
     俺が帰って来た事をシゲルやアオイお姉ちゃんに言わないようにと
     おじいちゃんに約束させ、レッドと一緒にポケモンマスターへの道へと
     旅立った。 もちろん、図鑑完成の旅立ちでもあるけどな。 そして今まで
     解説した通り、俺が第9回ポケモンリーグに準優勝してから3年後、
     おじいちゃんに電話し、お前とシゲルとブルーとイエローがポケモンマスター
     への道へと旅立ったと聞いた。 俺は思った。 もしシゲルが立派な
     トレーナーとなったら、必ずここで俺と再会出来るだろうと…そして俺は武者
     修行し、長月も過ぎてから、俺はこのリーグに再参加した。 感通りシゲルは
     このリーグに参加していたようだけど、それでも俺は弟と戦える事が
     出来なかった。 レッドのように、弟と戦えると思っていたけどな。 結局
     最後まで弟と再会出来なかったけど、まあ、それはしょうがない事だな。 
     でも、お前と戦ったおかげで、すっきりしたよ。 これで俺の出番も終わりだ。 
     じゃあな、サトシ。」
サトシ「あ、ちょ、ちょっと…!」
サトシはグリーンを止めようとするが、グリーンはそのままステージから下りた。
サトシ「………」
アオイ「あ、あの子が…そんな…」

―スタジアムホール―

グリーンはスタジアムホールの中で1人歩いていた。
グリーン「……………」
???「待ってくれ!!!」
グリーン「…!」
グリーンが振り向いたら、後ろにはシゲルとアオイがいた。 どうやらシゲルは試合中
無事に勝ったらしい。
グリーン「し、シゲル…アオイお姉ちゃん…」
???「話は全てサトシから聞かせて貰ったよ。」
グリーン「…!」
再び振り向いたら、後ろにはサトシ、レッド、オーキド博士と仲間達がいた。
グリーン「サトシ、レッド、おじいちゃん…」
シゲル「話はサトシから聞いた。 お前、まさか…本当に…」
アオイ「そうよ。 貴方、本当に私の…」
グリーン「………フッ。 ああ、そうだよ。 俺はお姉ちゃんの弟で、シゲルの兄だよ。」
2人「……………」
グリーン「2人共ごめんな。 7年前勝手に家出ちまって。 これでみんなとまた会えて、
     俺嬉しいよ。 その時まで傷付いてしまって、ごめんな。」
2人「……………」
グリーン「シゲル、お姉ちゃん、これからも一緒に、楽しく暮らそうな。 今でも天国に
     いるお父さんとお母さんの代わりに、家族、そして姉弟として…」
2人「…!」
その時2人の目から涙が流れて来た。
シゲル「…に、兄ちゃん!!!」
アオイ「グリーン!!!」
シゲルとアオイはグリーンを抱き締めた。
シゲル「…兄ちゃん…会いたかったよ…俺ホントに会いたかったよ…」
アオイ「…グリーン…私も会いたかったわ…本当に…会いたかった…」
グリーン「…俺も会いたかったよ…シゲル…お姉ちゃん…」
他のみんなはそれを見て、感動していた。
サトシ「シゲル…アオイ姉ちゃん…」
ブルー「これも何だか、感動するね…」
カスミ「うん…思わず涙でちゃうね…」
その時レッドはグリーンの肩を叩いた。
レッド「よかったな、グリーン。 姉弟とまた会えて。」
グリーン「ああ…ありがとう、レッド。」
次にオーキド博士がグリーンの肩を叩いた。
オーキド「これで家族が揃ったな。 改めて、お帰りなさい、グリーンよ。」
グリーン「おじいちゃん…」
シゲル「…俺からも…お帰りな…兄ちゃん…」
アオイ「…私からも…お帰り…グリーン…」
グリーン「…ただいま、シゲル、お姉ちゃん…」

第13回戦でグリーンと戦い、見事に勝利したサトシ。 グリーンがシゲルの兄だと
気付き、これでやっと家族が揃ってよかったね。 さて、次回戦は第14回戦! 
果たして、どのトレーナーがサトシを待ち続けているのか? とその前に、サトシ達の
近くに、角にあの謎のトレーナー、ブラックバロンが隠れていた。 どうやら彼は覗いて
いたらしい。

ブラックバロン「仲間が増えたようだな。 まあ、それもよかろう。 「奴」を倒すには、
        多くの人数が必要でもあるがな。 しかし、サトシもここまで勝ち
        続けるとは、思った通りよくやるな。 だが、次はまだ分からんぞ。 次
        の挑戦は、そう簡単に上手く行かないかもな。 まあ、その時まで、
        サトシよ、お前の力、期待しているからな。 世界最強の、星の救い
        戦士、サトシよ…」
そしてブラックバロンは、そのまま暗闇の中へと消え去った…

果たして、ブラックバロンは一体何者なのか? 彼の正体は遂に…次回に続く!
続くったら、続く!!!