ポケモン劇場  〜シンデレラ〜 『キャスト』 シンデレラ:サーナイト     王子:アブソル 継母:バクオング        執事:フーディン 姉A:ライチュウ        兵士A:ハッサム 姉B:ブーピッグ        兵士B:スピアー 郵便配達人:ペリッパー     魔法使いのおばあさん(?):ヤミカラス …昔々、ある所に、幸せな家族がいました。 その家族の娘であるラルトスは、とても 幸せでした。 …所が彼女の母親は突然病で亡くなり、大切な人を失ってしまいました。 まだその娘は キルリアに成長したばかりの事…。 …そんなある日、彼女の父親は突然他の女性と結婚したのです。 そんな彼女の継母と なるのは、バクオング。 二人の姉のライチュウとブーピッグといながら、賑やかな 家庭を始めました。 …所が継母も姉達は当然意地悪で、いつもいつも罪のないキルリアを虐めていました。  毎日のように洗濯や掃除、そして食事をしたりして、キルリア自身も毎日のように疲労を しました…。 ………そしてそのキルリアが美しいサーナイトへ成長した時……… …ある日の事、この物語の主人公となるサーナイトが奇麗に成長したにも関わらず、家の 玄関前を箒で掃除していた。 そんな彼女は腕で顔を防ぎながら、太陽の陽射しへ 見上げた。 サーナイト「わぁ…今日もいい天気…。」 …そんな彼女は陽射しを見終わると、残念そうな顔で溜め息を吐いた。 サーナイト「…それなのに私は毎日のように掃除ばっかり…。 一分も休ませて       くれないし…。」 彼女はそう言いながら箒で地面を掃除するが、気を変えながら再び空を見上げた。 サーナイト「…でも、お母さん…私、負けないから! がんばってがんばって…お母さん       みたいな人になってみせるわ! 義母さんや義姉さん達よりも相応しい       女に…!!」 ???「ゴルァ、サーナイトぉ!!! 何外でぶつぶついってるんだい!?」 突然家の中から大声が飛び込み、その一瞬サーナイトは驚いた。 サーナイト「は、はい、義母様!?」 彼女は家の中に入ると、目の前にバクオングが立っていた。 恐らく彼女がサーナイトの 継母である。 バクオング「あんた、外で掃除してるはずなのに独り言を言う暇があるとはいい度胸       だねぇ? もしやあたしの悪口でも言いたい放題してたんだじゃないだろう       ねぇ!?」 サーナイト「そ、そんなぁ…私はそんな事言ってません!」 バクオング「じゃあ何だい!? それとも掃除自体愚痴を言ってたんじゃないのかい!?」 サーナイト「そ、そんな事はありません…。」 バクオング「ならいい!! それにあんた、外にある枯れ葉、一つ残らず全部       片付けたんだろうね!? 例え小さい枝一本だけでも残したら許さないから       ね!! それと最近トイレででっかいの出したせいで詰まっちゃってて       流れそうにもないんだよ。 掃除終わったら何とかしなさいよ!!!」 サーナイト「(…し、下ネタ…;)は、はい、分かりました…。」 サーナイトが了解した後、隣の部屋からライチュウとブーピッグが現れた。 どうやら 彼女がサーナイトの姉達らしい。 ライチュウ「ちょっと、サーナイト!! まだ掃除終わってないのぉ!? こっちの       部屋も掃除しなさいよ!! 後あたしの服全部洗濯してちょうだいよ!!」 ブーピッグ「そうよ!! テレビの修理もしなさいよ!! 今晩録画する予定の       トゲチック・ユタカとキマワリ・タクヤのドラマが見れないじゃないの!!        それと今日は叉焼ラーメン食べたいから作んなさいよ!! この前みたいに       味噌汁辛かったら「メガトンキック」で蹴飛ばすわよ!!!」 サーナイト「は、はい………。」 重くて激しい命令によって、サーナイトは押し付けられている事で疲労を感じ始めた。 サーナイト「はぁ………こんなんで本当にがんばれるのかなぁ………。」 ………………………………………………………………………………………………………… …翌日、サーナイトの家の前にペリッパーがやって来た。 しかも頭に青い郵便帽子、 そしてあごに赤い郵便マークを付いていて、見た目では郵便配達人だと思われる。 ペリッパー「グッモ〜ニン、エブリバディ〜! メールよぉ〜! 誰かいないのぉ〜?」 ガチャッ! 玄関のドアが開けると、中からサーナイトが出て来た。 サーナイト「はぁ〜い…あぁ、ペリッパーさん! おはようございます!」 ペリッパー「OH、これはこれはサーナイトちゃんネ! ハウ・アール・ユー?        トゥデイもハッピー元気かなぁ〜?」 サーナイト「え、えぇ…ちょっと疲れてますけど…。」 ペリッパー「OH、それは大変! ラストナイトレイトまで起きてたぁ? それともユーの       ベリーベリーイビルマザー・アンド・シスターズに虐められてたぁ〜?        ユーはプアリトルガールネェ〜。 レストさせるタイムもないなんて、       あいつらなんか即行ゴー・トゥ・ヘルネ!!」 サーナイト「あ、あははは…そ、それはどうも…。」 余りにも激しくて微妙な英語をペラペラと喋るペリッパーに対し、サーナイトは 笑顔のまま冷や汗を垂らしていた。 ペリッパー「まぁ、それよりも…んぐぁ〜。」 ペリッパーは口の中から一通の手紙を取り出した。 ペリッパー「ユーにメールよ! ベリースペシャルメールよ!」 サーナイト「あ、はぁ、ありがとうございます。」 彼女はペリッパーから手紙を取り出すが、笑顔のまま不吉にこう思い始めた。 サーナイト(…もっとまともな場所に手紙置かないのかなぁ…?) 無理な疑問である。 なぜならペリッパーは全ての郵便や配達品を口の中に入れながら 運んでいるのだ。 その問題を彼に問うのは、明らかに無理な事である。 ペリッパー「OK、それじゃあサーナイトちゃん、シー・ユー・レーター、ア〜ンド       ハヴ・ア・ナイス・デイ〜♪」 バサバサバサバサァ!!! ペリッパーはそう言った後、翼を羽ばたきながら飛んで 行った。 その後サーナイトは、何かの紋章の付いた封筒を見た。 サーナイト「…あら? この紋章は………お城から?」 …それからサーナイトは手紙をバクオング達に渡し、早速その手紙を読み始めた。 その 手紙にはこう書かれてあった。 『…住民の皆様へご報告…  …本日によって我が国に王妃が必要としています。 そのため王子と結婚するために、  今夜7時から1時まで舞踏会を開きます。 ご来場の方は舞踏用のドレスを着て、この  招待状と共にお越しください。                         』 バクオング「まぁ、お城で舞踏会ですってぇ!? これは素敵な事ねぇ!!」 ライチュウ「舞踏会ですってぇ!? それは面白そう!!」 ブーピッグ「しかも王子に選ばればお妃になれるんですってぇ!! これは       大チャンス!!!」 ライチュウ「もしも王子様に選ばれば、あたしは華麗な乙女になれる…。 あぁ、       し・あ・わ・せv」 ブーピッグ「ちょっと、何ふざけた事言ってんのよ!? 王子様に選ばれるのはあたしに       決まってんじゃない!!」 ライチュウ「何言ってんの!? あたしよ!!!」 ビタァッ!!! ライチュウとブーピッグは言い合いながら顔をぶつけ合った。 ライチュウ・ブーピッグ「あ・た・しぃ!!!」 そんな言い合いの中、バクオングは二人を引き離した。 バクオング「えぇ〜い、やめんかい見苦しい!!! あんたらね、分かってんのかい!?        王子様と結ばれるって事は、あたし達は大金持ちになれるって事よ! そう、       富と名声、そして美と金!! それがあたし達のナンバーワンの目的       なのよ!!!」 ライチュウ「えぇ〜、それってつまんなぁ〜い。」 ブーピッグ「ぶぅ〜〜〜。」 二人はバクオングに呆れそうに言い出した。 バクオング「あんだとぉ、文句あんのかい!?(怒)」 ライチュウ・ブーピッグ「ひぃっ!!!」 バクオングの勢いでライチュウとブーピッグは驚いた。 サーナイト「…あ、あのぅ…。」 彼女が話し掛けると、バクオング達は彼女に振り向いた。 ライチュウ「なぁ〜にぃ〜? まだそこにいたの、あんたぁ!?」 ブーピッグ「とっとと仕事に戻んなさいよ!!」 二人は彼女を追い払うように言った。 バクオング「ちょいお待ち!! あんたも踊りに行きたいのかい?」 サーナイト「え!? い、いいんですか!?」 バクオング「もちろんよぉ! ただし仕事が終わってからねぇ〜!」 サーナイト「あ…は、はい!!」 ライチュウ「それだったら早くカレー味○ール買いに行きなさいよ!! あたし腹       減ってんだからぁ!!」 ブーピッグ「そうよ!! 後○ームキュー○の修理してよ!! 買って来たばかりの       ○うぶつの森e+が遊べないじゃない!!」 バクオング「その前に冷蔵庫の整理に窓拭き、クーラーの掃除に昼飯の炒飯作んなさい!!        行きたければ全部終わるまでよぉ!!!」 サーナイト「は、はぁ〜〜〜い!!(涙)」 ………………………………………………………………………………………………………… …その日の夜、バクオング達は舞踏会へ行くための準備をしていた。 その間の サーナイトは自分の部屋(って言うか屋根裏;)で準備をしようとしているが、戸棚の 中に何か違和感がした。 サーナイト「? ??」 早速サーナイトはバクオング達に駆け付けた。 サーナイト「あ、あのぉ〜、私のドレス知りませんかぁ〜?」 ライチュウ「あぁ、あれぇ〜? ごめんなさぁ〜い! てっきりゴミかと思って       燃やしちゃったわぁ〜☆」 サーナイト「えぇええええええ!?!?!? ど、どうしてそんな事するんですかぁ!?        あれは私の母から貰った大切なドレスなんですよぉ!? 何で燃やしたり       したんですかぁ!?」 ライチュウ「だって古くて汚かったんだから仕方ないでしょ〜? 今の時代は新品が       流行りなんだから、古い物を捨てるのが当然で常識でしょ〜?」 サーナイト「そんなぁ…!!!」 ブーピッグ「お母ちゃ〜ん、サーナイトは行かれないみたいだよぉ〜?」 バクオング「あら、そう? ならしょうがないわねぇ〜。 留守番決定ね。」 サーナイト「えぇ!?」 準備し終わったバクオング達は早速立ち上がった。 ドレスはド派手でメイクも厚化粧で あった。 見た目通り、キモくて怖い…。 バクオング「さぁ〜て、そろそろ行こうぜ、野郎共!!!」←セリフ違う(汗) ライチュウ・ブーピッグ「おぉ!!!!」←これもセリフ違う(汗) そう言いながら三人はガッツポーズで決めた。 バクオング「それじゃ、サーナイト。 留守番お願いねぇ〜。 ついでにゴキブリが       入らないよう見張るのよぉ〜。」 ライチュウ・ブーピッグ「バイバイキィ〜ン♪」 そう言いながら三人は歩き去ってしまった。 置き去りされてしまったサーナイトは、 見送るどころか、落ち込みながら自分の部屋へ戻った。 サーナイト「うわぁあああああああああああああああ!!!!」 部屋に戻ったサーナイトは、ベッドに寝そべりながら号泣した。 さすがに姉達に酷い 事をした事で精神的に傷付いたのだろう。 そんなサーナイトは悲しみに泣きながら、 顔を上げた。 サーナイト「…ひっく…お母さん…お母さん…ひく…私…どうしたらいいの…? うく…       どんな事しても…えぐ…どんなにがんばっても…うっ………私…お母さん       みたいに…幸せになれない………。 ぐすっ…もう嫌だ………うぐ…もう       嫌だよ…こんな生活………。 …我慢するのも………ひく…これ以上       がんばるのも………うっ………うぅううう………。」 自分に嫌気をさしたサーナイトは、再びベッドに寝そべりながら号泣した。 しかし その時…。 ???「おい、そこの姉ちゃん。 何で泣いてんだい?」 サーナイト「!?」 謎の声に聞こえたサーナイトは、窓の方へ振り向いた。 そこには窓の外から顔を出して いるヤミカラスであった。 サーナイト「………?」 泣き顔のまま、サーナイトはヤミカラスを見詰めていた。 そんなヤミカラスも 遠慮なしで部屋の中へ入り込み、お気楽そうにこう言った。 ヤミカラス「ヘイヘイヘイ、姉ちゃん! 泣き顔も奇麗かも知れねぇが、そんな顔       しちまったらせっかくの奇麗な顔が台無しになっちまうぜぇ? 悲しむ       だけじゃ、何も解決したりはしねぇよ!」 サーナイト「………貴方…誰…?」 ヤミカラス「あぁ、俺か? これは失礼しました! 俺の名はヤミカラス!!        ひと呼んで史上最強となる魔法使いのダンディ(?)だぁ!!!」 彼はカッコ付けながら自己紹介するが、サーナイトは唖然となっていた。 サーナイト「………魔法…使い………?」 ヤミカラス「あぁ、そうともぉ!! 驚いたかぁ? 俺はこれでも魔法大会では3年間も       連勝し続けたんだぜぇ? 正に天下無敵の魔法使いってかぁ?」 サーナイト「………それって…魔法使いの『おばあさん』のはずじゃ…?」 ヤミカラス「あ? あぁ、おばあさんねぇ? 悪ぃけど、あれは俺のばあちゃんだ。        いやぁ、本当はばあちゃんがこの仕事すんだけどよぉ、ちょうど三日前       ぎっくり腰で倒れちまってよぉ〜、病院に行っちまったんだぁ。 だから       今日は俺が代役っつ〜わけ。 ったく、年寄りは体を安全にさせなきゃ       行けねぇって言ってんのに、これだから無茶ばっかりしてんだからなぁ…。」 サーナイト「…そ、そう…。」 ヤミカラス「で、早速仕事に戻るが…あんた、何か悩みがあるようだな? その泣き顔、       俺には分かるぜ?」 サーナイト「!」 ヤミカラスがそう言うと、サーナイトは涙を拭き始めた。 ヤミカラス「悩みがあるんなら、ちと俺に聞かせてくれねぇか? 相手にして       やっからよ!」 サーナイト「………実は………。」 彼女はヤミカラスに全てを話した。 ヤミカラス「…なるほどぉ…それであいつらがあんたの大切なドレスを燃やして舞踏会に       行かれなかったのか…。 しかもそのドレスはあんたの死んだ母親から       貰った形見みてぇな物だってぇ?」 彼はそう言うと、サーナイトは頷いた。 ヤミカラス「うぉおおお、許せねぇえええ!!!! いくら継母や姉だろうがその罪は       絶対ぇ許せねぇえええ!!!! 例え『ブ』ポケモンでも       許せねぇえええ!!!!(激怒)」 彼は激怒に燃えながらそう言った。 サーナイト「……………。(汗)」 ヤミカラス「よしっ、話はだいたい分かったぜ!! あんたは母親と同じ幸せを       味わうために舞踏会に行きてぇんだな!?」 サーナイト「え…えぇ…。」 ヤミカラス「よぉ〜し、任せとけ!! その望み、確かに俺が受け取った!! そんなら       あのブスポケモン共に負けねぇほど、その願いを叶えさせてやるよ!!!」 サーナイト「え!? い、いいんですか!?」 ヤミカラス「当ったり前ぇでぃ!!! 俺は人を助けるのが第一の仕事なんだよぉ!!!        伊達にばあちゃんの代役になった訳じゃねぇぜ!!! んじゃあ、早速       だけど外に出よう。 俺の仕事はそれからだ。」 サーナイト「は、はい…。」 ………………………………………………………………………………………………………… …そしてサーナイトとヤミカラスは家の外へ出た。 ヤミカラス「さて、そろそろ始めよっかぁ!! …とその前に、姉ちゃん。 ちたぁ       頼みたい事があんだが…。」 サーナイト「は、はい!?」 ヤミカラス「野生のコラッタ6匹と新鮮なカボチャを持って来てくれねぇか? あれが       ねぇと何も出来ねぇんだ。」 サーナイト「へ…? ………あ、は、はい! 直ぐ探して来ます!」 そう言いながらサーナイトは早速ヤミカラスに言われた材料を探しに行った。 ……………30分後…………… …サーナイトは6匹の野生のコラッタを抱えながらヤミカラスの所へ戻って来た。  コラッタ達は逃げようと暴れるが、サーナイトは必死に彼らを抱き締めていた。  余りにも激しい探しだったようなので、サーナイトもドロドロになっていた。 サーナイト「はぁ…はぁ…た、ただいま持って来ましたぁ…。」 ヤミカラス「おぉ、待ってたぜぇ! 悪ぃなぁ、こんな物を頼んじまってよぉ。」 サーナイト「い、いいえ…慣れてますから…。」 ヤミカラス「そっか…。 えぇ〜っと、ちゃんとコラッタ6匹いるな? カボチャは?」 サーナイト「カボチャは…ここです!」 サーナイトはカボチャをヤミカラスに手渡すが、何か違和感をした。 カボチャなのに 顔が描かれていた。 ヤミカラスもそれを見て少し混乱していた。 ヤミカラス「………姉ちゃん…これは…?」 サーナイト「えぇ、ウチの畑で生えている『パンプキンボム』って言うカボチャです。        爆発はしませんけど、とにかく美味しいですよ?」 ヤミカラス(聖○伝説ネタぁ!?) 名前を聞いて何かを思い付いたヤミカラスは思わず冷や汗を垂らした。 ヤミカラス「………な、ならいい…。 まぁ、とりあえず全部ここに置いてくれ。」 サーナイト「あ、はい…。」 ヤミカラスの指示で、サーナイトは材料を地面に置いた。 ヤミカラス「では…始めましょう…。」 そう言いながらヤミカラスは目を閉じながら呪文を唱え始めた。 ヤミカラス「………ピィ〜リカピララポポリナペェ〜ペルトォ〜!!!」 サーナイト「!?(何、その呪文!?)」 余りにもどこかで聞いた事のあるような呪文なので、サーナイトは思わず驚き出した。 ポォン!!! ヤミカラスが呪文を唱え終えると、6匹の野生のコラッタはギャロップに 変身し、カボチャは美しい馬車に変身した。 サーナイト「!? こ、これは…!?」 ヤミカラス「じゃじゃ〜ん!! 華麗なるギャロップと神秘的な馬車さぁ〜♪ あんたに       似合うように完全乙女チックにしてみたぜ! どうだ、意義あり?」 サーナイト「いや、意義はないけれど………奇麗………。」 サーナイトは馬車を見ながら感激していた。 ヤミカラス「あ、そうそう。 舞踏会に行くにはそんな格好じゃダメだな。 せめて服も       入れ替えよう。」 サーナイト「え?」 ヤミカラス「プゥ〜ルルンプルンファ〜ミファ〜ミファ〜!」 サーナイト「!?(またその呪文!?)」 余りにもどこかで聞いた事のあるような呪文なので、サーナイトは思わず驚き出した。 ポォン!!! ヤミカラスが呪文を唱え終えると、サーナイトの姿は突然変わった。  彼女は奇麗に輝く白いドレスに髪飾り、そしてガラスの靴をしていた。 見た目通り 彼女は美しい姫君のようになっていた。 サーナイト「!? こ、これは…!?」 ヤミカラス「へっへぇ〜、驚いたか? あんたのために超美しいドレスにしてみたぜ!        それなら、例え王子でもイチコロさ!」 サーナイト「………奇麗………信じられないほど奇麗………ありがとう、       ヤミカラスさん!! 本当にありがとうございます!!!」 感動の涙を流しながら、サーナイトはヤミカラスに握手を交わした。 ヤミカラス「ハッハッハッ、礼なんていらねぇよ! 当然の事をしただけさ! あぁ、後       これも持ってけ。」 ヤミカラスは一つの手紙を取り出し、サーナイトに渡した。 その手紙は何と、 舞踏会への招待状であった。 サーナイト「? ………こ、これは…舞踏会への招待状!?」 ヤミカラス「城へ向かってもどうせ証拠が必要だろ? それを兵士に見せんだ。        それなら警戒されずに済むだろ?」 サーナイト「で、でも…何でこれは貴方が…?」 ヤミカラス「偽造だよ。」 サーナイト「……………。」 ヤミカラス「……………。」 彼がそう発した後、空間は沈黙と化した。 サーナイト「………いりませんいりません!!! 偽造でも盗品でもいりません!!!」 必死に招待状をヤミカラスに返しながらサーナイトはそう慌てながら言った。 ヤミカラス「冗談だよ、冗談!!! 俺はそんな犯罪者みてぇな野郎じゃねぇよぉ!!!」 とりあえずサーナイトは馬車に乗って、ヤミカラスにこう言った。 サーナイト「ヤミカラスさん、本当にありがとうございました! 貴方のおかげで       舞踏会に行かれます! 本当にありがとうございます!」 ヤミカラス「おぅよ! 楽しく過ごせるといいな! おっと…言い忘れる所だった!」 サーナイト「?」 ヤミカラス「いいか、姉ちゃん。 よぉ〜く聞けよぉ? 俺がお前にかけた魔法はな、       実は期限っつぅ〜物があんだよ。 夜中12時にその効力が消えちまうんだ。           12時経っちまったら、その場者とあんたのドレスは消えちまうんだ。        だから12時になる前に急いでそっから脱出するんだぞ! 例え誰に       言われようとしても振り向いたり止まるなよ!」 サーナイト「12時………ですか…。 …分かりました、12時になる前に必ず城を出ます!」 ヤミカラス「いいかぁ? 12時だぞぉ!? 絶対ぇ忘れんなよ!! 分かったな!?」 サーナイト「はい、分かりました!」 ヤミカラス「よし、ギャロップ! 城へ目指して行って来い!!」 ギャロップ達「ヒヒィ〜〜〜ン!!!」 パカパカパカパカァ!!! ヤミカラスがそう指示すると、ギャロップ達はサーナイトを 乗せた馬車を動かしながら出発した。 サーナイト「ヤミカラスさん、ありがとうございましたぁ〜〜〜!!!」 彼女は手を振りながらそう言った。 ヤミカラス「気を付けて行くんだぜぇ〜〜〜!!!」 彼も手を振りながらそう言った。 ………………………………………………………………………………………………………… …一方、ここは舞踏会が行われている城。 会場ではたくさんのポケモン達が集まって おり、それぞれは食事をしたり、会話したり、踊ったりしていた。 その中にも バクオング達もいた。 バクオングは何かを企むように独り言をぶつぶつ言っているが、 ライチュウとブーピッグはただテーブルに置かれている食べ物をガツガツ食べていた。 バクオング「ぐふふふふ…お妃として選ばれば、この城はあたしらの物…。 金も宝石も       みぃ〜〜〜んなあたしらの物…。 ぐっふっふっふっふっふぅ〜〜〜v」 ライチュウ「もがあがむぁふぁんぁんぃむぶむぶいっべんむぉがむぃわぁ?       (お母様は何ぶつぶつ言ってんのかしら?)」 ブーピッグ「もわんまがぎぼぐべひやばむぇ〜…。       (何だかキモくて嫌だねぇ〜…。)」 …そう言うお前らだって食い方キモイよ。(爆) その間城のバルコニーでは、一人の赤いマントと金色の冠をしたアブソルが立っていた。  恐らく彼はこの城の王子らしい。 彼は会場を見ながら、バルコニーに佇んでいた。  その隣には執事のフーディンも立っていた。 フーディン「いやぁ〜、今夜はとても楽しい舞踏会ですねぇ。 アブソル王子も是非お相       手を探して踊ったらどうでしょうか? そっちの方がよっぽど楽しい       ですぞ?」 アブソル「………俺は楽しそうとは全く思ってもいないよ、フーじぃよ。」 フーディン「はい?」 アブソル「フーじぃ、見ろよ。 この舞踏会の景色を…。 じぃは何が見える?」 フーディン「うむ?」 アブソルはそう指示すると、フーディンは会場を見詰めた。 フーディン「…いきなり何を仰るか知りませんが、もちろん愉快な景色しか見えませんぞ?        みんな楽しそうに踊っているし、奇麗なドレスを着た者もたくさんいるし…       最高の景色にしか見えませんが?」 アブソル「…俺にはそう見えない…。 よく見ろ、フーじぃ。 この中にどんな奴が      いるか分かるか?」 フーディン「はい?」 アブソル「よく見ろ。 余りに気に食わない色んな奴がいる…。 子連れでやって来た      夫婦…既に結ばれているカップル…ただ欲でここにやって来た心汚れし      愚かしい者…そして………醜いのばかりだ…。」 フーディン「………確かにそうですな………。」 そう察しながら、二人は落ち込んだ。 その後アブソルは溜め息を吐きながらこう言った。 アブソル「…いくらこれほどの相応しくない者ばかりいると、俺は誰かと踊る気も      しない…。 心も汚れた者とも付き合いたくもない…。 俺が望むのは外見も      中身も美しい者だけだ。 欲望のない、悪意もない、愛情と優しさと言う心を      持つ者だけだ。 この中にいなければ、俺の出る幕などない。 席を外させて      もらう。」 フーディン「えぇ!? そ、そんなぁ!? 王子、それは行けません!!! 今夜は       王子が舞踏会に立ち上がると宣言し、後もう少しで王子が立ち上がる       時間が…!!!」 アブソル「なら中止にしろ。 会場の者がどう思うとしても俺には関係ない。」 フーディン「そ、そんなぁ…!!!」 アブソル「分かってくれ、フーじぃよ。 父上は死ぬ前俺にこう言った。 心の      温かい者と幸せに暮らすのだと。 そうすれば自分だけではなく、この国は皆      幸福と希望に満ちるであろうと…。 だから俺は優しさと温もりを持つ者と      結ぶためにこの舞踏会を開かせたのだ。 しかし今夜はそのような者がいない      と言うのなら、もうどうでも………!」 彼は言い続けようとすると、入り口前にあのサーナイトが参り上がった。 彼女は 戸惑いながら緊張していたが、アブソルは彼女を目撃した後、見惚れてしまった。  そんな彼女の登場により、会場のポケモン達は彼女に注目した。 バクオング「!? な、誰よ、あの小娘は!?」 ブーピッグ「!? ちょ、ちょっと、あれまさか、サーナイトじゃないの!?」 ライチュウ「まさかぁ〜、サーナイトは家にいるはずよぉ? ドレスだってないのに…       隣街から来た別人に決まってるでしょ?」 そんな混雑の中、サーナイトは緊張していた。 サーナイト(うぅ………何か恥ずかしくて緊張するなぁ〜………。 どうしよう…何を       したらいいのかなぁ………?) そんな風に戸惑うサーナイトだが、兵士のスピアーが彼女に近付いて来た。 スピアー「すみません、招待状をお持ちですか?」 サーナイト「ひゃっ!? は、はい…!」 彼女はそう返事すると、緊張しながら招待状をスピアーに渡した。 スピアー「………はい、結構です。 ごゆっくりお楽しみください。」 サーナイト「あ…はい。(はぁ〜…偽造じゃなかったのね…。)」 そう思いながら彼女は少し安心した。 一方アブソルは彼女が会場へ向かう所を注目しながら、フーディンにこう言った。 アブソル「………フーじぃ。 俺が会場に参るのはいつだ?」 フーディン「ほっ…!? えぇ〜…確か後5分で…。」 アブソル「気が変わった。 時間変更。 今参る。」 そう言いながら彼は急いで会場へ向かった。 フーディン「え!? お、王子!?」 その後、サーナイトは会場へ足を踏み入れた。 その間客達は彼女を見ながら小声で 騒いでいた。 そんな空間の中、サーナイトは更に緊張し始めていた。 サーナイト(…うぅ…何だかみんな噂されてるわ…。 どうしよう…。 ハッ!!!        そう言えばこの中に義母さん達がいるんだった!! どうしよう…       バレなきゃいいんだけど…。) そう思いながらサーナイトは慌て始めた。 そんな空気の中、アブソルはサーナイトの前に現れた。 サーナイト「!」 彼女はそう気付くと、アブソルは彼女の前にお辞儀した。 アブソル「ようこそ、我が舞踏会へ…。 よろしければ私と踊ってくれませんか?」 サーナイト「え!? …い、いいんですか…わ、私と…?」 アブソル「私は貴方を選んだのです。 是非私と踊ってください。」 サーナイト「………はい。」 彼女は喜びながら、アブソルの言葉を受けた。 その瞬間音楽が鳴り始め、お互いは踊り 始めた。 そんな華麗に踊る二人を見ていたポケモン達は見惚れてしまった。 しかし、 『あいつら』だけ悔やんでいた。 バクオング「きぃ〜〜〜!!! 何であんな小娘とぉ〜〜〜!!!」 彼女はハンカチを口に加え、それを引っ張りながら悔やんでいた。 ライチュウ「悔しい〜〜〜!!!」 ブーピッグ「あたしらの方がもっと相応しいのにぃ〜〜〜!!!」 …お前らは所詮妖怪だ。(爆) その間フーディンは、バルコニーからアブソルとサーナイトの踊る姿を見ながら感動して いた。 フーディン「おぉ…王子…。 お似合いなお相手を見付かりましたか…じぃは       嬉しいぞよ…。」 ………………………………………………………………………………………………………… …踊りの後、アブソルはサーナイトを連れて外のバルコニーへ辿り着いた。 外は森で 暗いが、夜空は無数の星空で輝いていた。 サーナイトはそんな風景を見ながら感激して いた。 サーナイト「わぁ〜…奇麗…。」 アブソル「俺はこの景色が好きでな、よくここに来るんだ。」 彼がそう言った後、サーナイトは不安そうに彼にこう言った。 サーナイト「…あの…何で私を選んだのですか…?」 アブソル「え?」 サーナイト「私…そんなに相応しいような女ではありませんのに…何故…?」 アブソル「………君には心の優しさと温かさを感じた。 誰をも愛せる、誰をも優しく      接しるその心…。 俺はそう感じた。」 サーナイト「でも、どうやって分かったんですか…? 外見ならそうでしょうが、中身は       そう簡単に…。」 アブソル「…君の目を見て分かる。」 サーナイト「え?」 アブソル「俺は君の目を見て感じれるのだ。 君の目は愛と優しさに篭っていて、      それほどの強い欲望や悪意を決して持たない。 君は人を愛せる優しさと      温もりがあるからだ。 だから俺は君を選んだのだ。 …それに…君の目には      悲しみも感じる…。」 サーナイト「………え?」 アブソル「君の目から悲しみを感じるんだ。 きっと何か嫌な事があったんだろう。       例えば虐めとか、大切な者を失った事とか…。」 サーナイト「……………。」 アブソルがそう言うと、サーナイトは落ち込み始めた。 アブソル「………実は俺も同じなんだ。 ちょうど5年前、俺は父上と母上を同時に      無くしてしまった。 今じゃ一人でこの城を支えているがな。 父上が      死ぬ前に言われたのだ。 心の温かい、優しさを持つ者と結べと…。」 サーナイト「……………。」 その後アブソルはサーナイトに振り向いてこう言った。 アブソル「…よかったら、俺と結婚してくれないか? 君は俺よりも大きな不幸と      悲しみに導かれたのかも知れない…。 約束する…俺は君を幸せにすると…。       金でじゃない…宝石でじゃない…。 心で…。」 サーナイト「………王子様………。」 優しい言葉を胸に沁みたサーナイトは、感動の涙が目から出始めた。 サーナイト「!!!」 彼女は時計台の方へ見上げると、時間は11時55分になっていた。 後5分で12時に なってしまう。 彼女は慌て始めた。 サーナイト「行けない…後5分で…!!!」 アブソル「?」 サーナイト「…ごめんなさい…!!」 そう言いながら彼女は走り出した。 アブソル「!? き、君…!?」 ………………………………………………………………………………………………………… …彼女は長い階段を下り続けた。 下り続けながらアブソルは彼女を追い掛けていた。 アブソル「待ってくれ、君!! 急に何で…!?」 サーナイト「ごめんなさ…きゃっ!!!」 ドテッ!!! サーナイトは突然転び、足からガラスの靴が外れ落ちてしまった。 アブソル「!?」 サーナイトは急いで立ち上がり、そのまま逃げ出した。 アブソル「ま、待ってくれ!!」 サーナイト「王子様…ごめんなさい…!!!」 そう言いながらサーナイトは逃げ去った。 見失ってしまったアブソルは、ただ彼女を 見守るしかなかった。 その後彼は、サーナイトが転んだ直後に外れてしまったガラスの 靴を拾った。 アブソル「………これは………?」 ………………………………………………………………………………………………………… …ボォ〜〜〜ン、ボォ〜〜〜ン、ボォ〜〜〜ン!!! すると時計台の鐘が鳴り、上手く 城から遠く逃げたサーナイトは元の姿へ戻ってしまった。 どうやら時間通り、 ヤミカラスがかけた魔法が解けてしまったのだろう。 彼女は悲しそうな表情で、城を 見詰めていた。 サーナイト「………王子様………ごめんなさい………。 さようなら………。」 そう言った後、彼女は悲しそうに歩き去った。 ………………………………………………………………………………………………………… …舞踏会が終わり、その頃のアブソルは外のバルコニーで満月を見詰めていた。 アブソル「……………。」 その間、フーディンが彼に近付いて来た。 フーディン「これは王子、どうなさいましたか? 先ほどのお嬢さんは?」 アブソル「…分からない、急に逃げて行ったよ…。」 フーディン「これは残念な事…。 もはや王子には相応しくはなかったのでしょうか…?」 アブソル「いや、そんな事はない…。 俺は彼女を認めたのだ。 今でも彼女の事が      頭から離れない…。 彼女の優しさ、温もりさ…忘れようともしない…。       それに………。」 アブソルはサーナイトが落としたガラスの靴を手に持ちながら、それを見詰めていた。 フーディン「おや? それは珍しい物ですな?」 アブソル「彼女が落とした物だ………。」 その後彼はフーディンに振り向いた。 アブソル「フーじぃ、翌朝この靴を落としたあのポケモンを探したい。 この事を      兵士達に伝えてくれ。」 フーディン「おぉ、承知致しました!!」 ………………………………………………………………………………………………………… …翌朝、城内の兵士達は団体に集まり、ハッサムが舞台に立ち上がった。 そんな彼は ガラスの靴を手にしながら、兵士達にこう宣言した。 ハッサム「よぉ〜し、みんなぁ!!! アブソル王子のご命令により、この靴を落とした      者を捜査しに行くぞ!! この靴と同じサイズにはまった者なら、それが      王子が選んだ者だ!! 町中探して捜査開始だ!!!」 兵士達「おぉおおおお!!!!」 ………………………………………………………………………………………………………… …そして兵士達は町中に彷徨い、ガラスの靴を村中のポケモン達にはめてみた。 しかし 誰も合わず、兵士達も困り始めていた。 そして彼は一つの家、サーナイトの家へ辿り 着いた。 スピアー「ここが最後の家だぜ…。」 ハッサム「うむ…ここで誰も合わなかったら、ここは仕方なく諦めるとしよう。」 コンコン! ハッサムはドアを叩き、ドアが開いた。 中からバクオングが出て来た。 バクオング「はぁ〜い、誰ぇ〜?」 ハッサム「(び…ビックリしたぁ…。)城の者だが、ちょっと中にお邪魔しても      よろしいでしょうか?」 バクオング「あらぁ〜、警察みたいな物〜? 悪いけど朝っぱらから逃亡中の       下着泥棒ならウチに来てないわよぉ。」 スピアー「いや、そうじゃなくて…詳しい内容は中で説明しますので…。」 バクオング「まぁ、構わないけどぉ〜?」 ハッサムとスピアーは中に入ると、リビングでバクオング達と会話していた。 その間 サーナイトは台所を掃除しているが、彼女も密かに話を聞いていた。 ハッサム「…と言う訳なのだが…。」 バクオング「まぁ、つまり靴が合ってれば王子様と結ばれるって事ぉ〜?」 ライチュウ「はめたいはめたい〜〜〜!!!」 ブーピッグ「今直ぐはめさせてぇ〜〜〜!!!」 スピアー「ちょ、ちょっと落ち着いて…!! では、試しにはめてみてください。」 そう言いながらスピアーはガラスの靴を用意したが、それを見てバクオング達は冷や汗を 垂らし始めた。 バクオング「あら、小さいわねぇ…。」 ライチュウ「小さすぎ…。」 ブーピッグ「あんた、サイズ当ってんの?」 スピアー「とんでもない!! 確認ではこれしかないのですよ!」 バクオング「これは困ったわねぇ…全然入れそうにもないわね…。」 ライチュウ「えぇ〜〜〜!? やっだぁ〜〜〜!!!」 ブーピッグ「サイズ変えなさいよ!!!」 ハッサム「無理ですよ! これと同じサイズの持ったポケモンでないと行けないの      ですよ!」 バクオング「本当に困ったわねぇ〜…。」 サーナイト「あ、あのぉ…。」 言い合いそうな会話の中に、サーナイトが割り込んだ。 バクオング「あぁ!? あんた何やってのぉ!? これはあんたには関係ないんだから       仕事に戻んな!!!」 ライチュウ「そうそう、邪魔邪魔!!!」 ブーピッグ「しっしっ!!!」 三人はサーナイトを追い払うようにそう言った。 スピアー「あれ? そう言えばあの娘どっかで…。」 サーナイト「!」 ハッサム「ん? 知ってるのか?」 スピアー「あぁ、昨夜舞踏会に来てたような…。」 ハッサム「ふぅ〜ん………これは確認するべきだな。 君、ちょっと試しにこれをはめて      みてくれないか?」 サーナイト「え、私が!?」 バクオング「えぇ!? あぁ〜ら、兵士さん、申し訳ございませんけど、この子は全く       関係ないのですよぉ〜? この子はただの召使でぜぇ〜んぜん関係       ないんですからぁ〜。」 ハッサム「いや、確認の上で調べたいので…。」 ライチュウ「ちょっとぉ、その靴って会場に来た奴のでしょ? だったらサーナイトは       関係ないわよ。 あの日からずーっと家で留守番してたし、ドレスだって       なかったんだもん。」 ブーピッグ「そうよ! どうせ隣町かどこかから来た別の奴でしょ?」 ハッサム「…そうなのか、スピアー?」 彼はスピアーに振り向いてそう言った。 スピアー「いや、そんなはずはないんだが…。 しかも隣町からと言っても、我々はあの      招待状をこの町だけしか送っていなかったぞ? 他の所に送ろうとも      しなかったが…。」 バクオング「いあ、ですからぁ〜…。」 ハッサム「とにかく!!! 話はそこまでだ! とにかくはめてみてくれないか?」 サーナイト「………はい。」 彼女はそう言いながら、ガラスの靴に近付いた。 バクオング「…まぁ、試しにやるんだったらいいけど?」 ライチュウ「どうせあんたには小さ過ぎるだろうけどぉ?」 ブーピッグ「絶対無理に決まってるぅ。」 三人はそう言うが、サーナイトは無視した。 サーナイトは足を出しながら、その ガラスの靴にはめてみた。 はめた後、靴はピッタリと合っていた。 バクオング「えぇ!?」 ハッサム「おぉ、ピッタリ入ったぞ!!!」 スピアー「やっぱり、君は昨夜の娘だったんだな!?」 サーナイト「えぇ、実は…。」 バクオング「何ですとぉ〜〜〜!?」 ライチュウ「うっそぉ〜〜〜!? あの時の奴がぁ〜〜〜!?」 ブーピッグ「そんなバカなぁ〜〜〜!?」 三人はショックでそう言った。 その後ハッサムとスピアーはサーナイトの前で拝み始めた。 ハッサム「探しておりました…貴方の事を…。 王子は今でも貴方のお戻りをお待ちして      おります。 今外で馬車を用意しておりますので、是非城へ行きませんか?」 サーナイト「………はい。」 ………………………………………………………………………………………………………… …そしてサーナイトは城へ住む事になり、アブソルと結婚した。 結婚式では、花嫁姿を したサーナイトは幸せそうに涙を流していた。 アブソル「…これからもずっと一緒だよ。 幸せに…。」 サーナイト「………はい!」 そしてサーナイトは空を見上げながら、心の中からこう言った。 サーナイト(………お母さん………私…幸せになれたよ…。 お母さんみたいに…!!) …こうしてサーナイトはアブソルと共に、幸せの日々を過ごすのであった…。 ☆めでたしめでたし☆