…あの時の思い出は悲しかった…

…それまで僕は誰だったのかも覚えてなかった…

…そう…これはサトシと出会う前の話…

…僕への贈り物…僕への呪い…

………これは、僕の物語り………


ポケットモンスター小説版
読み切り編 
Showers Story 〜失われた絆、新たな遭遇(であい)〜


…僕の覚えている記憶では…五年前、僕の親はロケット団にいた。 その当時僕は
産まれていなかった。 僕の母親はイーブイで、そのトレーナーがケニー。 ケニーは
ロケット団員の下っ端だけど、腕はとてもよくて、誰にでも尊敬される人。 対戦にも
強く、ポケモンの世話も良く出来て、誰にでも尊敬されていた。 もちろん、あの
ロケット団のボス、サカキでも…でも、彼がロケット団に入った理由があるんだ…

ケニーとイーブイは、ロッカールームにいた。 彼らはベンチに座り込んでいた。
ケニー「はぁ…今日も仕事疲れたな…けど、おかげで俺達もちょっと強くなれたし、
    給料も上がってるし、このまま進めば上手く行くかも知れないな。」
イーブイ「ブイ〜!」
ケニー「…分かってるよ。 本当はいけない事をしてるって…でも、これしか方法は
    なかったんだ。 …俺の母さんは、ロケット団に殺されたって聞いたし…俺は
    それの仇を取るために、ロケット団に入隊したんだ。 何れ、潰すために…。 
    けど、サカキが俺に伝えたルールでは、殺人は組織に禁じられてるって聞いた…。 
    ロケット団が母さんを殺ったって言う証拠がなかった…。 俺は知りたい…
    本当はロケット団が殺ったのか…それとも他殺なのか…。 その真実を必ず
    掴めたいんだ!」
イーブイ「ブイブイ!」
その後ケニーはイーブイを持ち上げた。
ケニー「…大丈夫だよ。 何れ辞めるつもりはあるさ。 真実を知り、母さんの仇を
    取れたら、必ずここを辞めるよ。 そして、普通のトレーナーとなって、お前と
    一緒にポケモンリーグを目指してな!」
イーブイ「ブイ〜!」
ケニー「だから、ちょっとだけ辛抱だ! 嫌なのは分かってるけど、このまま続けて
    行こうぜ。 全てが終わったら、俺達は自由だからな!」
イーブイ「ブイ!」

…ケニーとお母さんはとても仲が良かった…。 話では、お母さんが小さい頃、雨の日で
ケニーに拾われたって聞いた。 恐らく、お母さんは捨てイーブイで、誰にも拾われ
なかったポケモンだったみたい…。 でも、ケニーがいてから、お母さんは救われ、
ケニーと仲良く暮らしてたみたい…。

…その後、数ヶ月も経って、お母さんは二匹のイーブイを生んだ。 一匹は僕らしいけど
…後のもう一匹は分からない…誰だったのか…覚えてない…。 でも、この事でケニーは
喜んでた。

ケニー「よくがんばったな、イーブイ! 二匹産んだじゃないか!」
イーブイ「ブイ〜!」
ケニー「え〜っと…一匹は…♂で…もう一匹は♀だ! しかも生まれたのは♀が先だった
    から…♂が弟か! よかったな、イーブイ! 二匹の子供が出来て!」
イーブイ「ブイ!」

…♂…? それ、僕の事だね…。 …でも…♀の方は………僕の…姉…? いや…そこ
までは覚えていない…。 記憶ではそう映ってたけど………本当にいたのか…よく覚えて
ない………。 けど、ケニーとお母さんは…とても喜んでいた…僕が生まれた事で………。 
僕も、生まれて嬉しかった………。

…しばらく経つと、お母さんとケニーは僕を一生懸命育てていた。 朝でも昼でも夜でも、
一生懸命育てていた。 ケニーの育成する仕方は、とても優しく感じた…。 でも、一年
経って、ある日の事…ケニーがアイテムの整理をしていた時からだった…。

ケニーはアイテムを全部出し、始めにモンスターボールを磨き始めた。
ケニー「たまにはモンスターボールの汚れを落とさないとな。 中にいるポケモン達に
    妙な黴菌が入っちまったら大変だぜ…。」
と、その時…ケニーがモンスターボールを磨いている間、イーブイ(シャワーズ)は
近くにある石ころを遊んでいた。 その石ころは青くて、中には泡が入っていた。
イーブイ(シャワーズ)「ブイブイ♪」
ケニー「…ん?」
ケニーは振り向いた。
ケニー「…って、だぁあああああ!!!! イーブイ(シャワーズ)、それは「水の石」だ!! 
    触っちゃ…!!!」
イーブイ(シャワーズ)「ブイ?」
カァッ!!! その後「水の石」が光、イーブイ(シャワーズ)に包んだ!
イーブイ(シャワーズ)「ブイ〜〜〜!?」
ケニー「あ、しまった…!!!」
ボン!!! そして光が収まり、イーブイはシャワーズに進化した!
シャワーズ「シャ、シャワ!?」
ケニー「あっちゃ〜…進化しちまった…。」
…と言ったケニーだが、なぜか彼はシャワーズの姿で見惚れてしまっている。
ケニー「…け、けど…何か…奇麗だな………。 可愛いじゃねぇか、お前!!!」
ギュッ!!! ケニーはシャワーズを強く抱き締めた!
シャワーズ「シャワァアアア!!?」
ケニー「あ、悪い悪い…強く抱き締めちゃって…。 あ、でもこの事イーブイに伝えない
    と…。」
シャワーズ「シャワ〜〜〜…。」

…多分、僕がシャワーズになったきっかけはこれだったみたい…。 僕、案外
いたずらっ子だったなんて知らなかったよ。 その後、ケニーは僕の事をお母さんに
伝えた。

ケニー「ごめんな、イーブイ(母)。 お前の息子、シャワーズに進化しちまってさ…。」
イーブイ(母)「ブイ…。」
ケニー「お前が気に入ってくれるかどうかは…。」
シャワーズ「シャワ〜…。」
イーブイ(母)「……………。」
だが、イーブイ(母)は優しく笑み、シャワーズに優しく擦り寄った。
シャワーズ「!」
ケニー「え…? まさか、気に入ったのか?」
イーブイ(母)「ブイ!」
ケニー「そ、そうか…よかったな、シャワーズ!」
シャワーズ「シャワ!」
イーブイ(姉)「ブイブイ!」
ケニー「え? お前も進化したい? 悪ぃ、そうしたいけど、進化の石は「水の石」で
    最後なんだ…。 だからもう…。」
イーブイ(姉)「ブゥウウウ!!!」
イーブイ(姉)は怒りながら頬を膨らませた。
ケニー「でも大丈夫さ! 機会があったら必ずお前を進化させるよ!」
イーブイ(姉)「ブイ!? ブイ〜〜〜
vvv
イーブイ(姉)はケニーに飛び付き、擦り寄った。
ケニー「あははは、擽ったいよ!」
その後イーブイ(姉)はシャワーズの前に立った。
イーブイ(姉)「ブイブイ!」
イーブイ(姉)は優しい笑顔でそう言った。 恐らく、「よかったね、シャワーズ!」と
言ったらしい。
シャワーズ「シャワ!」
シャワーズは笑顔で返した。

…お母さんと…もう一匹のイーブイは許してくれたみたい…。 僕はその事で喜んだ。 
そう、僕はシャワーズ…シャワーズなんだ。 …その後、ケニーは僕ともう一匹の
イーブイに戦闘特訓をしていた。 これからのバトルに鍛えるため、激しく特訓した。 
おかげで僕ともう一匹のイーブイには色々な技を学び、立派に成長し続けた。 …と、
二年も経ち、ある日、ケニーが他の下っ端から話を聞いてた…。

ケニーは掲示板のチラシを見ていた。 と、その間二人のロケット団員の下っ端は彼の
方へ歩き通っていた。
下っ端
A「おい、聞いたか? ヤマブキのシルフカンパニーで言葉を喋れるラプラスが
     いるって!」
下っ端
B「ああ、聞いた聞いた! 人間の会話を聞いて偶然言葉を覚えたって言う知能の
     高いラプラスだろ?」
下っ端
A「そうそう! あれどうやってポケモンに言葉を習わすんだろうな?」
下っ端
B「さあな。 世の中は難しいからな。 当然激しい勉強とかするんだろ?」
二人の下っ端が歩き去った後、ケニーは振り向いた。 どうやら話を聞いていたらしい。
ケニー「…喋るポケモンか…。 盗むのは俺の主義じゃねぇけど…やっぱすげぇよな、
    喋るポケモンって…。 ………そうだ!」

…その時、ケニーは早速僕ともう一匹のイーブイに言葉の練習を始めた。 さすがに
人間語も喋れない僕達だけど、ケニーと会話が出来るためだったから、一生懸命練習
したんだ。 来る日も来る日も、苦労する練習が続けていた…。 そしてある日の事…。

???「ケニー!! ケニー!!」
その間のケニーはロッカーの中で何かを調べていた。
ケニー「はーい、何か用ッスか〜?」
ケニーは振り向いたが、そこには誰もいなかった。
ケニー「あれ? いない?」
???「ここだよ、ここ!」
ケニー「へ?」
ケニーは下を向いたら、そこにはシャワーズがいた。 その後、ケニーは驚いていた。
ケニー「………ま、まさかお前………!?」
シャワーズ「うん、そうだよ! ケニー♪」
ケニー「……………。」
余りにも驚きで固まっていたケニー。 その後、イーブイ(姉)も彼の元へ走って行った。
イーブイ(姉)「私も喋れるわよ、ケニー!」
ケニー「………う、うそ………。 やったじゃねぇか、お前達ぃいいい!!! 遂に言葉
    喋れたじゃねぇかぁあああ!!!」
ケニーはシャワーズとイーブイ(姉)を抱えながら喜んでいた。
シャワーズ「ケニーのおかげだよ! 一生懸命練習したんだ!」
イーブイ(姉)「これでいつでもケニーと会話出来るね!」
ケニー「おお、そうだぜ…! けど良かった、お前達が喋れてぇええ!!!」
シャワーズ・イーブイ(姉)「あはははは!!」

…僕ともう一匹のイーブイは嬉しかった…。 この事を知った他の下っ端達は、とても
羨ましがっていた。 サカキも、その事でケニーを尊敬していた。 これでずーっと、
ケニーと会話する事が出来た。 …けど、そんな喜びは、長くはなかった…。 あの悲劇
があってから…。

…ある日、サカキの命令で、下っ端達の戦闘特訓が始まった。 ケニーの相手は、銀髪の
男…。 そう、そいつはハザン。 ケニーはお母さんを使って、ハザンはストライクを
使っていた。 けど、ストライクと言っても、何かが違う…。 色は黒緑で、白目状態…。 
それに…薄赤色に染めた鎌…。 まるで血を拭き取ろうとした時、跡が残ってしまった
かのような色だった…。 僕は、ステージの外でケニーを見ていた。 側にはもう一匹の
イーブイはいなかった。 …そして…死闘(たたかい)が始まった…。

ケニー「…イーブイ、「スピードスター」!!」
イーブイ(母)「ブイ!!!」
シュシュシュシュン!!! イーブイ(母)は「スピードスター」でストライクに攻撃
した!
ハザン「…ストライク、「切り裂く」攻撃!!」
ストライク「スット!!!」
ズァシャッ!!! ストライクは「切り裂く」攻撃で「スピードスター」を弾き飛ばした!
ケニー「なっ!?」
シャワーズ「あっ!!」
ハザン「甘ぇんだよ、てめぇの技がよ! ストライク、「剣の舞」!!」
ストライク「ストラァアアア!!!」
ザシュザシュザシュザシュ!!! ストライクは「剣の舞」で真空波を撃ち捲くり、
イーブイ(母)に攻撃した!
イーブイ(母)「ブイィイイイ!!!」
シャワーズ「お母さん!!!」
ハザン「次は「電光石火」だ!!」
ストライク「ストストォオオオオ!!!」
ドカァッ!!! ストライクは「電光石火」でイーブイ(母)を突き飛ばした!
イーブイ(母)「ブイッ!!!」
ケニー「イーブイ!!」
シャワーズ「お母さん!!」
イーブイ(母)「ブ、ブイ………。」
その後、スピーカーからサカキの声が流れた。
サカキ『…特訓終了! ケニー、そのイーブイを手当てするんだ!』
ケニー「あ、はい! イーブイ、戻…!!」
ハザン「…とどめだ、ストライク。 殺れ!」
ケニー・シャワーズ「!?」
グサッ!!!! ストライクは命令通り、イーブイ(母)を斬った!
イーブイ(母)「!!!」
ケニー・シャワーズ「!!!」
斬られたイーブイ(母)は、傷口から血が出始め、そのまま倒れ落ちた。
ケニー「………イ、イーブイ!!!」
シャワーズ「お、お母さん!!!」
ケニーとシャワーズは、イーブイ(母)の方へ駆けつけた。 その後も、ステージに
サカキが立ち上がった。
シャワーズ「お母さん、お母さん!!!」
サカキ「ハザン!! 何て事を…!!」
シャワーズ「お母さん!!!」

…僕は何度もお母さんに欠け付けた…。 その時はお母さん、まだ息してたけど…そんな
に長くは掛からないみたいだった…。 するとお母さんは、閉じそうな目を僕に見詰め、
こう言った…。

イーブイ(母)『………シャ…シャワーズ………ご……ごめん……ね………貴方を………
        こんな……危険な…場所に……いさせて…しまっ………て……………。』
シャワーズ「!!!」
イーブイ(母)は、一粒の涙をこぼした後、目を閉じ、息を引き取った…。 それを見た
シャワーズは、大粒の涙がこぼれ始めた。 しかも余りのショックで、言葉も出ない
様子…。
ガシッ!!! その時、ケニーは思いっきりハザンの襟を引っ張り上げた。
ケニー「てめぇ!!! 何て事するんだ!? なぜそこまでしなきゃ行けないんだ!?」
ハザン「あぁ? 何が何だよ? 殺しこそ何が悪いってんだぁ?」
ケニー「!?」
ハザンは不敵そうにケニーに睨んだ。
ハザン「殺しこそこの組織の全てだろ? 貴様のポケモンを殺したぐらい何が悪い…。」
ケニー「!!!」
サカキ「ハザン!! 貴様はまだルールを守らないのか!? 我が組織は殺人不要の組織
    なんだぞ!! これ以上ルールを破り続ければ…!!!」
ギロッ!!!! だがハザンは殺意を感じそうな鋭い視線でサカキに睨んだ。
ハザン「あぁん? 何だよ…文句あんのかぁ?」
サカキ「うっ………。」
余りにも鋭い視線で、サカキは逆らえなかった。
ハザン「…野郎っ!!!」
ガシッ!!! ギュッ!!!! ケニーがハザンに一発殴ろうとすると、ハザンをそれを
素手で受け止め、捻り始めた!
ケニー「うがぁあああっ!!!」
サカキ「ケニー!! ハザン、いい加減に…!!」
ギロッ!!!! だがハザンは殺意の視線で返す。
サカキ「ぐっ…!」
そしてサカキは逆らえなかった。

ピチャッ! その後シャワーズは、イーブイ(母)から流れ込んだ血を踏み入れ、
シャワーズはそれを見た…。
シャワーズ「……………。」
真っ赤に染み込む液体…シャワーズはそれを踏んでいた。 それを見続けていた
シャワーズは、恐怖に怯え始めた。 何も考えたり、何も言えないほど、大きな恐怖を
与えていた。
ドサッ!! 大きな恐怖を与え過ぎたシャワーズは、気を失い、倒れ落ちた。
サカキ「!! シャワーズ!?」
ケニー「シャ、シャワーズ!? どうした!?」
ハザン「ほう、どうやらあのガキはその小細工の子か? これは面白ぇ…。」
ケニー「くっ…誰が小細工だっ、この野郎ぉ…!!」
その後ハザンは、ケニーの手を捻り続けながら、顔を近づけた。
ハザン「ならいい事教えてあげよう…どうせそのガキは母親の元へ戻りたいんだろうな。 
    なら俺がそいつを母親の元へ連れてやっても構わねぇんだぜぇ?」
ケニー「なっ!?」
ハザン「当然そうすればそのガキも喜ぶさ。 地獄で待っている母親の顔を見るその
    瞬間をよぉ…。 いつでも頼んで来るんだな。 望み通りお前のポケモンを、
    ぶっ殺してやるよ!!!」
ドサァン!!! ハザンは思いっきりケニーを床に叩き落した!
ケニー「ぐわっ!!!」
サカキ「ケニー!!」
その後ハザンを自分の背をケニーとサカキに向かせた。
ハザン「…クックックック…ケッケッケッケ……ハーーーーッハッハッハ
    ッハッハ………!!!!」
ハザンは不気味に笑いながら、そのままステージから去った。 今でも倒れたままの
ケニーは、歩き去るハザンの方へ睨み続けた…。
サカキ「…くっ…何て怪しからん部下だ…!」
ケニー「……………。」

……………その間の僕は、ずーーーっと気絶したままだった…。 まるで脳みそが狂い
始めたみたいに、気を失った…。 あれから何があったのかは覚えていないけど…
ケニーの仲間だった人から、次の話を聞いた…。 あの惨劇の後…大雨の日…ケニーは
濡れながら、走っていた…。 強雨に打たれながら、必死に走っていた…。 そして
ケニーは………始まりの町とも呼ばれる、マサラタウンへ着いたんだ…。

ケニー「はぁ…はぁ…。 み、見つけた…。」
ケニーは町に入り、そのまま走って行った。 そして彼が辿り着いた場所は、ある家。 
坂道の先に家があり、風車も付いていた。 壁に付いていた名札には、「オーキド研究所」
と書いてあった。 彼はそのまま密かに研究所の玄関前に着いた。
ケニー「…はぁ…はぁ…こ、ここなら安全かも知れない…。」
そしてケニーは、ベルトに付いている一個のモンスターボールを出した。 そう、
シャワーズ入りのモンスターボールを…。
ケニー「…シャワーズ、ごめんな…お前に辛い思いをさせてしまって…。 お前をあの
    基地にいさせるのが間違ってた…。 ちゃんとした環境にいさせるべきだった…。 
    けど、もう安心してくれ。 ここにいれば、お前は殺されない…。 あいつには、
    近づけない…。」
そしてケニーは、玄関にモンスターボールを置いた。 その後、ケニーの目から涙が少し
出て、辛そうな顔をしていた。
ケニー「…シャワーズ………元気でな!」
ピンポーーーン!!! そしてケニーは呼び鈴のボタンを押し、そのまま走り去った。
???「はぁーい! どなたですか?」
ガチャッ!! ドアが開け、そこから茶髪の髪長い女性が出て来た。
女性「あら? 誰もいない…?」
カッ! 女性は一歩踏み入れたら、モンスターボールを蹴ってしまった。
女性「あら?」
その女性は下を向き、そこにはモンスターボールが転がっていた事を気付く。 彼女は
それを拾い、不思議そうに見詰めた。
女性「…モンスターボール…? どうしてこんな所に…? …おじい様に知らせた方が
   いいわ!」
バタン! そう言いながら、彼女はモンスターボールを中に連れ、ドアを閉めた。

―研究所内―

研究所の中で、ある一人の老人がパソコンを使っていた。 彼は白い研究服を着ていて、
白髪の老人だった。 そう、彼はあの有名なポケモン研究家の「オーキド博士」である。 
彼がパソコンを使っている間、女性が彼の元へ着いた。
女性「おじい様!」
オーキド「おお、アオイ! さっきは誰だったんじゃ?」
どうやら女性の名はアオイと呼ぶようだ。
アオイ「それが、誰もいなかったの。 その代わり、このモンスターボールを見つけた
    けど…」
オーキド「何じゃと?」
アオイはモンスターボールをオーキド博士に渡した。
オーキド「中には何が入っておるんじゃ?」
ポン!! オーキド博士はモンスターボールのボタンを押し、ボールから気絶したままの
シャワーズを出した!
オーキド「ぬぉ!? こ、これは!?」
アオイ「シャワーズだわ!!」
その後、余りの大声のせいか、シャワーズはゆっくりと目を開けた。 どうやら正気に
戻ったらしい。 そしてシャワーズは、ゆっくりと立ち上がり、周りを見回った。
シャワーズ「…う…ん………?」
オーキド「おお、これは正にイーブイの水の進化系、シャワーズじゃ!」
アオイ「でも何でモンスターボールに…?」
シャワーズはゆっくりと、オーキド博士とアオイに振り向いた。
シャワーズ「………だ……誰……?」
その一言で、オーキド博士とアオイは驚いた。
オーキド・アオイ「喋った!?」
オーキド「これはまたすごい!! 喋るシャワーズとは正に珍しいぞ!!!」
アオイ「でも、何か様子が変よ?」
シャワーズ「………貴方は…誰……? ここ………どこ……?」
なぜか見慣れていないのか、シャワーズは周りを見回り続ける。
オーキド「確かに様子がおかしいのう………あぁ、オホン! これは申し遅れた! 
     ようこそ、オーキド研究所へ! ワシの名は大木戸 幸成(おおきど 
     ゆきなり)! 誰でも知るポケモン研究家じゃ! そしてこちらはワシの
     孫娘のアオイじゃ!」
アオイ「よろしくね、シャワーズ。」
シャワーズ「………シャワー…ズ?」
アオイ「ん? どうかしたの?」
シャワーズ「………分からない………思い出せない………僕の名前…思い出せない……
      …。」
オーキド・アオイ「!?」
オーキド「ちょ、ちょっと待ちたまえ!! 君、自分の名前すら覚えとらんのか!?」
シャワーズ「………分からない…僕の名前…分からない………。」
アオイ「じゃあ、貴方のトレーナーは誰? どこから来たの?」
シャワーズ「………分からない………何も…思い出せない………。」
シャワーズは悲しそうに、下を向けた。
アオイ「おじい様…これってまさか…?」
オーキド「うむ………記憶喪失じゃな。 君、本当に何も覚えておらんのか?」
シャワーズ「…ううん…何も……。」
オーキド「ふむぅ、それは大変じゃな…。 じゃが、君の名前だけならワシは知っておる。 
     君の名前はシャワーズと呼ぶんじゃ。」
シャワーズ「…そうなの…?」
アオイ「ええ。 けど、貴方と同じ名前と姿は何十匹もいるけど、貴方はそれの一匹よ。 
    貴方はイーブイって言う進化系の一匹で、水のポケモンなの。 ところで、
    貴方はどうしてここにいるかは分かるかしら?」
シャワーズ「…ううん…分からない…。 気が付いたら…ここにいた…。」
アオイ「う〜ん…これは大変ね…。」
オーキド「何も覚えとらんのなら困ったもんじゃの…誰のシャワーズも分からんし…。」
アオイ「これって捨てシャワーズかしら?」
オーキド「捨てたとしても何かの理由があるはずじゃ。」
アオイ「もしかして………安全な場所にいさせるために…かしら?」
オーキド「う〜ん? だとしたら、このシャワーズは誰かに狙われとるのか?」
アオイ「さあ…そこまでは分からないけど…。」
シャワーズ「…あ、あの………話がよく分からないんですけど…僕、どうすれば…。」
オーキド「お? ああ、まあ、詳しい事はよく分からんが、心配するでない。 ここに
     いれば、何か思い出せるじゃろ。」
アオイ「この町にはいい人ばかりいるし、自然にもとてもいいわ。 ここにいてもいいわ
    よ!」
シャワーズ「ホントに…いいんですか…?」
オーキド「もちろんじゃ! 気楽にここに暮らしても、いいぞ!」
シャワーズ「…ありがとうございます。 迷惑かけたりするかもしれませんけど、これ
      からもよろしくお願いします…。」
アオイ「迷惑だなんて、そんな事ないわよ!」
オーキド「まあ、これからもよろしくな、シャワーズ!」
シャワーズ「はい!」

…この時から僕は記憶を失ったんだ…。 けど、オーキド博士とアオイさんは、僕を家に
いさせてくれた…。 居候みたいな僕だけど、二人は僕を大切そうに育ててくれた。 
その二日後、オーキド博士は僕を研究所の裏庭に連れて行ってくれた。 たくさんの
ポケモン…覚えているかどうか分からないポケモン達のいる裏庭に…。

オーキド「ここはポケモン達の気を安らかにさせる裏庭じゃ。 ストレス解消にも役に
     立つぞ! ここにいれば、君の記憶も戻れるかも知れん。 もちろん、いい
     友達も出来るぞ!」
シャワーズ「友達…ですか?」
オーキド「大丈夫じゃ! ここにいるポケモン達は皆優しい。 話しかければ、もう直ぐ
     に友達が出来るよ! じゃあ、ワシは片付けなければならない書類があるから、
     ここで楽しんで遊ぶんじゃぞ!」
シャワーズ「あっ…!!」
バタン! オーキド博士は部屋に戻った。
シャワーズ「どうしよう…。」
シャワーズは裏庭の辺りを見回った。 そこで彼はある
3匹を目撃した。 一匹は、岩の
上で自分の毛を舌で磨いているサンダース。 後の二匹は、鬼ごっこをしているイーブイ
とブースターである。 シャワーズは無言のまま、緊張しながらその三匹に近づいてみた。
三匹・シャワーズ「!」
お互い見詰めた後、お互いの動きが止まった。 その後サンダースは自分の行動を止め、
岩から降り、シャワーズに近づいた。

☆ポケモン通訳版☆

サンダース「見掛けないポケモンだな?」
シャワーズ「え、あ、いや、その…。」
イーブイ「あは、お兄ちゃん奇麗だね!」
シャワーズ「え!?」
ブースター「ねえ、貴方ここの新しいポケモン?」
シャワーズ「あ、う、うん…。 お、一昨日入ったばかりの…。」
サンダース「一昨日? ああ、博士から聞いた事があるな。 お前は記憶喪失になってる
      ポケモンだろ?」
シャワーズ「う、うん…。」
サンダース「話は聞いたよ。 詳しくは知らねぇが、何か辛い事が起こったんだろう。」
イーブイ「ねえ、お兄ちゃん。 何も覚えてないってホントなの?」
シャワーズ「うん、そうだけど…。」
ブースター「だったら、気にしないで。 ここにいれば、多分何か思い出せるから。 
      ここは自然にとてもいいし、気も落ち着けるから!」
サンダース「だから、ここで気楽に過ごせ。 とてもいい場所だからさ。」
シャワーズ「あ、うん! 僕、シャワーズって言うんだ!」
サンダース「俺はサンダース! よろしくな!」
ブースター「あたしブースターって言うの! よろしくね!」
イーブイ「僕はイーブイって言うんだ! よろしくね、お兄ちゃん!」
シャワーズ「……………。」
シャワーズはイーブイを見詰めながら、ボーっとしていた。
イーブイ「? お兄ちゃん、どうしたの?」
シャワーズ「え…?」
ブースター「も、もしかして、何か思い出したの!?」
シャワーズ「え? あ、ううん。 まだ、何も思い出せないよ。」
サンダース「まあ、無理に思い出さなくてもいいぜ。 ゆっくり行った方が楽だ。」
シャワーズ「うん…。 あ、それよりも、これからもよろしくね! サンダース、
      ブースター、イーブイ!」
その間、シャワーズ達はお互い会話し始めた。 研究所内では、オーキド博士とアオイは
窓を眺めながら、シャワーズの行動を見ていた。
アオイ「どうやら大丈夫そうね。」
オーキド「うむ。 このままじゃったら、シャワーズも元気になるじゃろ!」

…記憶が消えて以来、今まで臆病だった僕は、とても素敵な友達が出来たんだ。 一緒に
話したり、遊んだり、楽しい事をいっぱいした。 そう言えば、ある日サンダース達から、
こんな話もしたんだっけ…?

シャワーズ「ポケモントレーナー?」
サンダース「ああ。 ポケモンを連れて戦ったり、育てたり、一緒に旅に出るポケモン
      使いの人間さ。」
ブースター「そのトレーナーがね、来年でポケモンマスターを目指すために旅立つの! 
      でも、旅立つにはポケモンが必要らしいのよ。」
シャワーズ「それって、僕達が選ばれてるの?」
サンダース「ああ。 俺達も来年、その選ばれたトレーナーと一緒に旅立つんだ。 
      ポケモンマスターを目指すためにな。」
ブースター「あたし早く外の世界に行ってみたいな〜!」
イーブイ「僕も! 外の世界、行った事ないもんね!」
サンダース「それに、一度外の世界に行けば、お前の記憶も何れ戻るかも知れないだろ? 
      どうだ、行ってみたいだろ?」
シャワーズ「…うん! 僕も、早く僕のトレーナーになる人と会いたい! そして、外の
      世界に行って、冒険してみたい!」
サンダース「そうだな! けど、例え俺達にトレーナーがいたとしても、どうやらお互い
      ライバルになっちまいそうだな…。」
ブースター「そうね…。」
イーブイ「友達なのにライバルになるなんて、何かやだなぁ…。」
シャワーズ「…大丈夫だよ! 例えお互いライバルになったとしても、僕達はずーっと
      友達だよ!」
サンダース「…そうだな。 お前の言う通りだな。」
ブースター「シャワーズの言う通りね! 例えあたし達がライバルになっても、ずーっと
      友達よね!」
イーブイ「僕もお兄ちゃんに賛成!」
シャワーズ「えへへ…。 でも、来年は楽しみだなぁ!」

…そう、その時僕は期待してたんだ。 どんなトレーナーと一緒にいられるのか、どんな
ポケモンと会えるのか、どんな所へ行けるのか…色々楽しみにしてたんだ…。 けど…
その間でも僕はケニーの事を覚えていなかった…。 …けど、ケニーの仲間から聞いた時
…この事は全く知らなかった…。 ………ケニーが、もういなくなって行くその瞬間が
………。

その間ロケット団の基地にいたケニーは、屋上へ辿る階段に登っていた。 しかも、
寂しげな表情をしながらと、トボトボと登っていた。
ケニー「…シャワーズ…どうしてんのかな…。 元気にやってるといいんだけど…。」
そして彼が屋上へ辿り着いた時、ドアを開けたら、外には誰かがいた。
ケニー「!」
ケニーは一瞬に隠れ、少し外を覗いた。 そこには何と、ハザンがいた…。
ケニー「(ハザン!! あの野郎…!! 何でこんなトコにいんだ!? って言うか…誰と
    話してんだ?)」
そう、気付けばケニーは無線で誰かと話していた。 ケニーはそれを盗み聞きした。
ハザン「…ああ、この世界のスパイ、今でも続行中だ。 相変わらず自然だの平和だの、
    くだらねぇゴミがウジャウジャしてるさ。」
ケニー「(何!?)」
ハザン「けど安心しな。 お前らの計画はばっちり実行するさ。 屑な人間共を皆殺し、
    このガラクタ星をぶっ壊す作戦、完璧に行けるはずさ。」
ケニー「(何だって!?)」
ハザン「その間お前らは到着までしばらく時間が掛かるらしいな? まあ、そんな
    急がなくてもいいぜ? その間こっちは楽しく人殺ししてっからよぉ。 
    こっちはポケモン(虫けら)一匹ぶっ殺したからさ。 次は楽しみだぜぇ…。 
    その内また新しい情報が来たら、そっちに連絡するぜ。 あばよ。」
ハザンは無線をしまった。
ガチャッ!!! そしてケニーはドアを思いっきり開けた!
ハザン「!」
ケニー「てめぇ!! 一体何者だ!? 話は全部聞いたぞ!! てめぇは誰に
    雇ってんだ!? 計画ってどう言う意味だ!? その前にてめぇは一体何者
    なんだ!?」
ハザン「あぁ? 何だ、いつもの虫けらか。 どうやら俺の話を全部聞いちまったよう
    だな。 なら仕方がねぇ…。 口封じにてめぇを殺すとしようか。」
ケニー「てめぇ…今度と言う今度は絶対に…!!」
ポン!!! だがハザンは素早くフーディンを繰り出した! しかしフーディンと
言っても、白目状態で、全体ダークな色だった。
ハザン「「サイコキネシス」!」
フーディン「フゥ!!」
ガシッ!!! モンスターボールを取り出そうとしたケニーは、「サイコキネシス」で動力
を封じられた!
ケニー「ぐっ!?」
ハザン「困るんだよぉ、てめぇ見たいな屑野郎が俺の秘密を知ろうだなんてなぁ…。 
    俺達の計画も知らせるのも一番困るんでねぇ…。」
ケニー「くっ…俺達って誰だ!? 誰に雇ってんだ…!?」
ハザン「そこまでは貴様ら人間には教えねぇ。 実行すれば俺好みの地獄になるんだ。 
    そうすれば貴様も同じくみ〜んな死ぬんだからよぉ。」
ケニー「何っ…ぐわっ!?」
グワァッ!! その後ケニーは「サイコキネシス」でもっと高く上がった!
ハザン「そう言えばてめぇ、俺が殺すはずのポケモンを逃したんだよな? よくも汚ぇ手
    で俺から逃げたな?」
ケニー「ぐっ…だ、誰がてめぇなんかに…!!」
ハザン「…まあ、いい。 どうせ俺が殺したあのゴミはお前のポケモンなんだ。 いつ
    までも大切にしてたぬいぐるみだったらしいかんな。 だったらてめぇの
    ポケモンの代わり、てめぇが地獄に落としてやるよ! もちろん、てめぇの母親
    の元へな!」
ケニー「!? 母さんへ…!? ま、まさか…母さんを殺したのは…!?」
ハザン「あぁ、そうさ。 俺だよ、俺。 殺し易い獲物だったからよぉ、楽々に殺したの
    さ。 まあ、相手は当然弱かったが、おかげで気持ちよかったぜ!!」
ケニー「何だとぉ!?」
ハザン「まあ、怨むんなら神か仏に怨むんだな。 貴様ら人間は俺に殺されるために
    生まれてんだよ。 てめぇも死ねば、俺の正体は明かされる事などない…。」
ケニー「き、貴様…それで逃げられるとでも思ってんのか!? この事をサカキに
    知ったら…!!!」
ハザン「バカか、てめぇは? 俺はてめぇらみてぇな人間じゃねぇんだよ。 殺すの
    大好きな究極殺人鬼なのさ…。 そう、俺は永遠に死ぬ事が出来ねぇんだよぉ。 
    永遠になぁ!!」
ケニー「な…に…!?」
ハザン「殺れ!!!」
フーディン「フゥ!!!」
ヴァッ!!! そしてフーディンは「サイコキネシス」でケニーを屋上から投げ落とした!
ケニー「あっ……………!!!」
そしてケニーは、そのままと地面に………。

………その時ケニーは、ハザンに殺された…。 ポケモンを使って、そのまま基地の屋上
から投げ落として…。 ケニーの死体を見た下っ端達は、屋上へ誰かがいるのかを調べに
行った。 けど、そこにはハザンがいなかった…。 恐らく、フーディンの「テレポート」
でそこから脱出したんだろう…。 サカキはこれは殺人かと思い、全ての下っ端達に
事情聴取を伺ったんだけど、全員アリバイがあった。 けど、ハザンには偽アリバイで、
サカキを騙したんだ。 その結果、殺人だと言う証拠が失い、これを「自殺」と断定して
しまった…。 僕はそれを気付かなかった………何も知らなかった………まさかまた、僕
から何か大切だった者が………失うなんて………。

………その事も全く気付きもしなかった僕は、今のようにマサラタウンで平和に暮らして
いた。 そして、とうとう一年も経ち…トレーナー達が旅立つ時の前日になった。 
その夜、オーキド博士は、僕達に旅の説明をしていた。

オーキド「よいか、諸君? 明日からはいよいよトレーナーと旅立つ時じゃ! 旅立って
     いる間、必ずトレーナーと協力する事! トレーナーこそ、君達の親であり、
     主でもある! どんな時でも、必ずお互い助け合うのじゃ! 決して逃げては
     ならん! これが、トレーナーとポケモンの生き方じゃ! よいな!」
シャワーズ「はい!」
サンダース「サン!」
ブースター「ブー!」
イーブイ「ブイ!」
オーキド「よし。 それでは、君達はこのモンスターボールに入るんじゃ。 明日に君達
     のトレーナーはどちらかの君達を選ぶんじゃ。 選ばれたら、そいつは君の
     トレーナーじゃ! さあ、明日の準備も出来たし、皆大丈夫じゃな?」
シャワーズ「はい!」
サンダース「サン!」
ブースター「ブー!」
イーブイ「ブイ!」
オーキド「よし! それならいい!」

☆ポケモン通訳版☆

サンダース「…例え俺達がライバルになっても、俺達は親友だからな。」
ブースター「離れても、お互いがんばろうね!」
イーブイ「お兄ちゃん、一緒にがんばろう!」
シャワーズ「うん!」
その後シャワーズは、上を向きながら真剣な顔をした。

シャワーズ(…よーし…がんばるぞぉ!!!)





………時は流れて、僕の記憶が戻っていた。 そして世界を破壊しようとした伝説の
ソルジャー、セフィロスが倒されてから
3日経ち、ロケット団を解散させたボス、サカキ
は、僕と僕の新しいトレーナーサトシと、僕の友達ピカチュウを連れて、ある草原に
歩いていた。 その時サカキは、僕達に何かを見せようとして、ここへ連れて来たみたい。

サトシ「おい、サカキ…俺達をどこへ連れて行くつもりなんだよ?」
サカキ「五年前ロケット団本部だった場所へ連れて行こうとしているんだ。 旧本部は
    それ以前崩壊されてしまったが、ある物だけは残っている。 それを君達に
    見せようと思っているのだ。」
シャワーズ「それって何なの?」
ピカチュウ「ピカァ?」
サカキ「………あっ、あった!」
サトシ・シャワーズ「え?」
サカキ「シャワーズ、見ろ。 あれだ…。」
サカキは、先にある二つを指した。 一つは、木の枝で出来ている十字架に、もう一つは
Kenny」と書かれてある石版。 二つは、地面に突っ立っていた。
シャワーズ「………こ、これ………一体………?」
サカキ「…ケニーと、お前の母親の墓だ。」
サトシ・シャワーズ「え!?」
サカキ「…これは、ハザンに殺された、シャワーズの母親と、シャワーズのトレーナー
    だったケニーの墓なのだ。 本当はどこかの墓地で置くつもりだったのだが、
    危険の存在である私やロケット団は、無理にも近寄れず、仕方なくここに埋めた
    のだ。 ここは元々本部の裏側にあったんだが、本部が崩れて以来、ここで
    残っていたのだ…。」
サトシ・ピカチュウ・シャワーズ「……………。」
その後サカキは、墓の前に膝を曲げた。
サカキ「…久しぶりだな、ケニー。 お前に報告がある。 ロケット団は解散したよ、
    何もかも。 これはお前の望みだったんだろ? 私は分かっていたのだからな。 
    お前にはポケモンに対して大きな優しさがあった。 そんな優しさがあるほど
    お前がロケット団に入ったのはおかしいと私は思っていた。 だが、安心
    したまえ。 ロケット団は見事に終わった。 もう戻る事もない。 ………
    ハザンだけは、逃げてしまったがな…。 何度も言ったが………すまなかった…
    お前を助けなくて…。 もっとその「自殺」が「他殺」だと知っていれば、
    お前やイーブイの仇を取れたのだが………。」
サトシ・ピカチュウ・シャワーズ「……………。」
サカキ「…そうだ、お前にまだ会ってなかったんだよな? 紹介しよう…。 お前の
    ポケモンのシャワーズと…彼の新しい主の、勇崎 智(ゆうざき さとし)だ。」
サトシは墓の前に膝を曲げた。
サトシ「…初めまして、ケニーさん。 俺、勇崎 智。 マサラタウンのトレーナーで、
    つい最近ポケモンセキエイリーグに優勝したトレーナーさ。 もちろん、
    シャワーズのトレーナーさ。 それと、こいつは俺のもう一匹のポケモン、
    ピカチュウだ!」
ピカチュウ「ピッカ!」
サトシ「話は全部、貴方の仲間やシャワーズに聞いたよ。 とても辛い思いをしたんだ
    な…。 俺、貴方を尊敬したよ。 守りたいって言う気持ちで、必死に
    シャワーズを守ろうとしてたんだね? けど、心配しないでくれ。 貴方は十分
    シャワーズを守り続けた。 今度は俺は、シャワーズのトレーナーとして、
    シャワーズを守り続けるよ! 例え誰がシャワーズの命を狙おうとしても、俺は
    必ず、シャワーズを守り続ける!」
シャワーズ「サトシ…。」
サトシ「だからケニーさん…。 貴方の任務は終わった。 ゆっくり、天国で安らかに
    眠ってくれ。 必ずシャワーズを守る事…約束するから…。」
その後、サトシはシャワーズに振り向き、シャワーズは墓の前に座り込んだ。
シャワーズ「………ケニー………お母さん………ただいま。 あのね…謝りたい事が
      あるんだ………。 あの時、お母さんが死んだ時…僕、そのショックで記憶
      失ったんだ…。 でも、ロケット団が解散して以来、僕の記憶が戻ったんだ。 
      ケニーの事も、お母さんの事も………そして………あの事件の事も………。 
      ごめんね、今まで忘れてしまって………。」
シャワーズはそう言いながら、思わず目から涙が流れ始めた。
サトシ「シャワーズ…。」
シャワーズ「………でもね、心配しないでね。 僕、あれからとてもいい友達が
      出来たんだ。 サンダースやブースターやイーブイ、それにサトシと
      ピカチュウに、サカキと他の人達も! 僕ね、あれからサトシと旅立って
      からいっぱい友達が出来たんだ! だから、僕は一人じゃないよ。 僕、
      みんなと一緒でとても幸せだよ! でも、例えこんな幸せを持ったとしても
      …僕は、ケニーやお母さんの事を忘れない。 例えどんなに遠くに離れても、
      僕は決して、ケニーやお母さんの事を忘れない! ケニーとお母さんは、
      ずーっと僕の心にいるんだから…。 だから、約束する。 絶対に…絶対に
      ケニーとお母さんの事を忘れないって…!」

その後、今まで静かだった草原に、とても爽やかな風が吹いて来た。 その風が、
シャワーズ達に包み込んで来た。 それに浴びたシャワーズ達は、奇麗な大空を見上げた。
シャワーズ「………ねぇ、僕の声、ちゃんとケニーとお母さんに届いたのかな?」
サトシ「…ああ。 きっと届いたよ。」
サカキ「彼らにも聞こえたはずだ。 君の声を…。」
シャワーズ「…………うん!」
そしてシャワーズは、サトシ達に微笑んだ。
サカキ「…さて、そろそろ戻ろうか。 みんなも待ってるだろうがな。」
サトシ「そうだな! さ、戻ろうぜシャワーズ!」
シャワーズ「うん!」
サトシ達はそのまま歩き去ろうとするが、シャワーズはもう一度墓の方へ振り向いた。
シャワーズ「……………。」
そしてシャワーズは再び前に振り向き、そのままサトシ達と走り去った。




……………バイバイ、ケニー、お母さん…けど、絶対に忘れないよ……………




End

ソニックの後書き:
第一章終了の記念に、シャワーズの読み切りストーリーを作っちゃいました♪ 第
165
でシャワーズとケニーとの関係やハザンとの関係はどう言うのだったのかなと思いました
か? 書きましたぜ、シャワーズの過去話! ちとダークでグロくて申し訳ない。(汗) 
実はケニーにある秘密があるんですよ。 でも秘密なので教えません☆(おい) では、
次回「オレンジ諸島編」お楽しみに〜♪