ここはどこかのごく普通の森の中。 木の枝を見ればキャタピーが葉っぱを齧ってて、足元を見ればナゾノクサが歩いてて、耳を澄ませばポッポの鳴き声が聞こえる。 そんなのどかなこの場所で・・・ 「ここはどこだぁーーーーー!!!!!」 ・・・いるんですよね、道に迷っちゃう人が・・・ あるトレーナーの憂鬱 〜どこかの森の中で〜 「あー、もう!どうしろって言うんだよ!ポケナビもポケギアも圏外だし、道は分かんないし・・・って、それ以前に、ここ道じゃないし!あー、こんな事なら調子に乗ってモンスターボール買いまくるんじゃなかったーーー!!」 さっきから自棄になって叫びまくる、ボサボサ頭のこの少年(うるさいこと極まりない)、名前はクウト。 トレーナー暦5ヶ月。ファーストポケモンはミズゴロウ。 近くの町でモンスターボールを買い込み、この森でゲットに精を出していたが、最後の一個となったところでピカチュウに遭遇。 必死に追いかけてバトルしてゲットしたはいいのだが、深追いしすぎて道に迷ってしまい、そして今に至る。 好きなものはポケモンと一緒に食べる昼飯(何故昼なのかは不明)。嫌いなものは飛行ポケモンの糞(頭上に落とされた経験があるとか無いとか)。趣味は・・・ 「こら!長すぎるぞ、筆者!そんなどうでもいい事まで話すな!」 ・・・すまん。 と、そんなこんなで森の中を彷徨うこと早一時間。さすがに疲れてきたようである。 「ダメだ、出口が見つからない・・・仕方ない、一休みするか・・・」 ぽとっ。 「うわっ!?」 至近距離に鳥ポケの糞、落下。 「・・・げ・・・くそ、誰だっ!?」 上を見れば、悠々とヤミカラスが飛んでいる。無論、犯人はこいつ。 「・・・くっそーーーーー!糞を落とすなんて卑怯だ!降りて来い!!勝負しろ!!」 すると、ヤミカラスは旋回して・・・ ぽとっ。 「またかぁーーーーー!もう、トール!行っけー!!」 と、叫んでさっき捕まえたピカチュウを勢いよく繰り出すクウト君。かなりムキになっているご様子。 「トール!電気ショック!!」 「チュウーーー!!」 が、あっさりとかわされ、そして・・・ ぽとっ・・・ 「?ピ・・・ピカ!?」 「・・・また糞かよ!しかも今度はトールの頭上直撃!?」 「・・・ピカ・・・」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・ どうやら、2人ともかなり頭にきたようである。 「・・・もう許さないぞ・・・トール!10万ボルトで、あの身も心も真っ黒なヤミカラスを、更に真っ黒にしてやるんだぁーーー!!!」 「ピカァーーーーヂュゥーーーーーーーーーー!!!!」 バリバリと轟音を立て、凄まじい勢いでヤミカラスに襲い掛かる10万ボルト。 「ヤーーーーミーーーーーー!!!!?」 直撃。 宣言どおり、更に真っ黒になったヤミカラス。見事墜落。 「ふーんだ!」 「ピーッカ!」 教訓:イタズラも程々に。 が、それでもトールの頭上の糞は取ってあげなきゃいけないわけで・・・ 「シュトロム、頼んだよっ!」 ミズゴロウを繰り出し、水で洗い流すことに。 「シュトロム、軽ーく水鉄砲ね。トールの頭の糞、流してあげて。」 「ゴロー!!」 バシャーーー!! 「ピカァーー!?」 「って、ちょっと、シュトロム!強すぎ、強すぎだって!!」 「ゴ、ゴロ!?」 一応糞は取れたが、トールは水浸しだ。 どうやら、シュトロムは手加減が苦手なようである。 「・・・ピカァー・・・」 「おーい、トール、大丈夫かー?」 「ピカピカ・・・チャァ・・・」 「・・・シュトロム、今度はもっとそーっとやるんだぞ。」 「・・・ゴロ。」 そして、現在の状況を思い出したクウト。 「・・・で、出口、どこだか分かるか?」 「・・・ピカ?」 「・・・お前、この森のポケモンだろ・・・」 「ピ・・・ピカ・・・」 どうやら、トールにも分からないらしい。 「はぁ・・・いつになったら出られるのか・・・?」 ふと気づくと、近くの茂みがガサガサと揺れている。 「・・・今度は何・・・?」 やがて茂みから出てきたのは・・・ 「あーーっ!やっぱり誰かいたーーー!!」 何やら元気な女の子だ。 「・・・人だ・・・!じゃあ、もしかして、道知って・・・」 「ねえねえ、出口分かる?迷っちゃったんだけど・・・」 「・・・それ、俺が言おうとしたんだけど・・・」 ・・・要するに、この少女も道に迷ったって事である。 「んじゃ、北から来て西へ向かってるわけか・・・俺は南から西なんだけど。」 「なーんだ、行き先は同じなんじゃん。で、あんたも迷ったわけ?」 「・・・君もね。」 何か早くも打ち解けている様子の2人。後から来たポニーテールの少女、名前はサヤカ。 トレーナー暦4ヶ月。ファーストポケモンはチコリータ。 とてとて歩いているナゾノクサを「かわいいーーーー!!」っと追いかけていたが、見失ってしまい、ふと気づいたら「ここはどこ?」だったそうである。 好きなものはかわいいもの。嫌いなものは面倒くさいもの(その中でも特にパズルゲームは大嫌いだそうである)。 特技は・・・ 「だから長いってさっきも言っただろ!!」 ・・・すんません。 「・・・で、どうやってこの森から出ようか?」 「そうよねー・・・とりあえず、目的地のある西に向かって歩く!!」 「・・・西、どっち?」 「えーっと、太陽を見れば一目瞭然・・・あれ?」 「・・・いつの間にか曇りだね。」 「・・・じゃ、適当に行こう!」 「おー!・・・っておい!!適当じゃ余計迷うだろ!!」 「大丈夫大丈夫!」 「大丈夫じゃないと思う・・・」 どうやら、サヤカは超絶無敵突風娘のようである。 「・・・サヤカ、コンパスとか持ってないの?」 「え?あ、うん、一応持ってるんだけど、さっきからぐるぐる回りっぱなしで・・・」 「へ?ちょ、ちょっと見せて・・・」 「うん。はい、これ。」 コンパスの針は、ぐるぐるというよりも、ぎゅいーんと超高速で大回転している。 「・・・この辺の地盤が磁石含んでるのか・・・しかも高密度で。」 「ああ、だからさっき森なのに野生のコイルがうようよいたんだー。」 「なるほど・・・入ってきたときは、どうだったんだ?」 「えーっと、確か普通に使えたけど?」 「じゃ、局地的なのか・・・?って、そーいやトール、磁石の影響とか平気なのか?」 「・・・ピカ・・・」 「・・・平気じゃなさそうだな・・・しょうがない、戻れ、トール!」 「へぇー・・・結構優しいじゃん。」 「・・・褒めないで、照れるから。」 「はいはーい。んで、どうするの?」 「うーん・・・曇ってて太陽が見えないんだから・・・日本晴れ使えるポケモン、いる?」 「ゴメン、いない。」 「・・・そうだ、飛行ポケモンは?」 「ポッポのぱたたがいるけど・・・今、ダウン中。クウトは?」 「・・・俺も、スバメのエアーがダウン中・・・」 「・・・じゃ、やっぱりテキトーに!」 「結局それかよ!」 「だから何とかなるって!」 「はぁ・・・もう、いいよそれで・・・ボーっとしてても出られないんだし・・・」 「んじゃ、行こー!」 「おー・・・」 数時間後・・・ 「・・・出口、まだ?」 「まだみたい・・・」 「・・・晴れ間、見えないし・・・」 「コンパスも、まだぐるぐるだし・・・」 「・・・気のせいか、暗くなってきてないか?さっきから・・・」 「そーいえば・・・今、何時かな?」 「えっと、ポケギアで・・・げ、もう5時半!?」 「うわー、暗くなるよね、それじゃ・・・」 「・・・やばいかな・・・」 更に30分後・・・ 「・・・もう真っ暗。」 「そーだね・・・」 「・・・ポケナビは・・・まだ圏外だな・・・」 「えっと、コンパスは・・・回るのはさっきよりゆっくりみたい。」 「・・・とりあえず、コンパスが普通になるまで、頑張る?」 「うん!そこまで頑張ろっ!」 「・・・元気だな、お前。」 「うん、それが自慢だもん。」 「それ『だけ』じゃないよな?」 「当ったり前でしょ!失礼しちゃうなぁ、もう・・・明日、朝一でバトってみる?あたしの実力、分からせてあげるんだから!」 「そう来る・・・?ま、いーけど。俺も実力見せとかないとな。何かなめられてそうだし。」 「ギク!・・・バレてた?」 「いや、何となくカマかけただけ。」 「う・・・あんた、さり気なく腹黒い?」 「・・・多分、違うと思う・・・自信ないけど・・・」 「・・・その『多分』って何?ってか、自信ないの!?」 「さあ・・・って、さっきからボケとツッコミが逆になってないか?」 「そーいえば・・・って、本来あたしがボケであんたがツッコミなの!?」 その通りである。 「筆者は黙ってなさいっ!ひらら、体当たりっ!」 「チコっ!!」 お、おい、ちょっと待て、筆者を話の途中で吹っ飛ばすのは止め・・・ ぎにゃぁーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!! ひらーんひらーん・・・ 「あ、何か降ってきた・・・紙?」 (筆者のメモ)筆者がお星様になりましたので、続きは後編でお楽しみください。 「え、あたしのせい!?違うでしょ!単なる筆者の力量不足でしょ、これは!!」 (裏面)細かいことは気にしない。 「うるさいっ!!」 後編に続く♪ 筆者のぼやき どもも、非常にお久しぶりですっ!ストーム黙示録です! 受験勉強(+慢性的ネタ切れ地獄)の為、長らく執筆中断していましたが、この度、大学合格を機にやっと再開となりました!! で、気合を入れるためにこんな短編を書くことにしました。 実は、前と比べて文章力が進歩しているのかいないのか・・・自分でも分かっていません。これでもかなり気を使ったのですが・・・成果はでているのでしょうか? とりあえず、これからも精一杯頑張ります!(執筆速度は低下しているでしょうが) では、後編をお楽しみに・・・してもらっても大丈夫なのだろうか?(汗)