「で、アルセウスのいる『始まりの間』への行き方ですが。」 「はい。『天界の笛』というものを使うと聞いたことがあります。」 真剣な顔で相槌を打つ姉貴。ところで・・・・・・・・・・・・・・・ 「なんで家で作戦会議をやるんだぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」 「しょうがないだろザクロ。僕達にとっては、ここでやるのが一番都合いいんだから。」 「そうね。こんな変な男の変な推論に力を貸してる時点で私達、頭がおかしいっていわれても仕方が無いのよ?」 「変な男・・・・・・・・・・・・変な推論・・・・・・力を貸してる時点で頭がおかしい・・・・・・・・・」 「えっと・・・・・・・・・・・大丈夫ですよ?私はそんな事思っていませんから。」 部屋の隅で体育座りをするタツムラを、アジサイが一生懸命慰める。 「スズランさん。『天界の笛』ってなんですか?」 「wiiの『ポケモンバトルレボリューション』というソフトで手に入ると言われていたものの、 結局現時点ではPARを使わないと手に入らないバグアイテムのこと。 持っている人を見かけたら改造厨と思っても間違いではないわ。」 「ストーーーーーーーーーーップ!!!!!!!!!!!姉貴!2次元の世界で PARとか改造厨とか行っちゃ駄目だから!!!!!!PARは任天堂のライセンス商品じゃないから!!!!!」 「そんな事私が知らないとでも?」 「わざとかよ!!!!!!!」 「「??????」」 意味が分からない、という顔をしてみせるアオとアイ。まぁそんな反応は当然だ。 「えっと、まぁ、つまり、アルセウスのところへ行くには、『天界の笛』って言う道具が必要だってことだよ。」 シュウヤが補足してくれた。さすがはこの物語内で数少ない常識人。 「ああ、そういうことですか。」 「でも、その天界の笛っていう道具、どこにあるかわかるんですか?」 「ここにありますよ。」 しれっというタツムラ。 「って、えええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」 ほら、と言う風に、奴は紫色のオカリナのような笛を取り出す。 タツムラは、「いい音がするんですよ。」とか何とかいって、それを吹いた。 低く、柔らかい音がゆっくりと部屋を満たす。 「なんか、気持ちが落ち着きますね。」 確かに、聞いていると心がとろけてしまいそうだった。 「って、何であんたがそれ持ってんだよ!!!!!!!!!!!!!」 「この笛は鍵になってましてね。」 「鍵?」 「これは、アルセウスの封印とその解除に使われるようです。 かつての人々は、アルセウス程の強力なポケモンが 大人しく永遠に封印されるわけがないと考えて笛を残したんでしょうね・・・・・・・・・・・・・。」 「いや、だから何でそれを?」 「カンナギの遺跡の隠し部屋にありました☆いやー大変でしたよ持ち出すの。 本当に昔の人が作ったんかいってほどの厳重な施しがしてありましてねー。」 「それ泥棒じゃないですか!!!!!!!!!!」 ああっ、俺のセリフを! 「ま、いいじゃない別に。結果的に世界を救えるんだし。 それに、その程度の遺跡荒らしなら日常茶飯事じゃない。」 「今さらっととんでもないこと言ったよなぁ姉貴!!!!!!!!!!!!!!」 姉弟として10年以上の付き合いだけど、やっぱりこの姉貴にはついていけん。 「じゃあ行きますよ。」 すたすたと家を出ようとするタツムラ。 「おい、ちょっと待t・・・・・・・・・・」 バタン バタン 「死ぬほど寒いじゃないですか!?」 やっぱり。 「当然だな。ここはテンガン山外部で、万年雪の積もらないギリギリの地域だからな。 そんな白衣にTシャツだけで行ったら凍死は確実。」 「それよりお洒落に感心もったらどうですか?」 アイが突き刺すように言う。「ついでにアジサイさんも。」となんとかいってアジサイまで巻き添えに成るし。 30分後 「ふ〜。こんな感じかな?」 「うぅ、恥ずかしいです・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 アジサイは、真っ白なワンピースに麦藁帽子と言うかなりはかなげな格好になっていた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・おい。」 「はい?ザクロさん気に入らないことでも?もしかしてザクロさんもプロデュースして欲しいんですか?」 「もしかしねーよ。さっきのタツムラさんの格好で凍死確実だったんだぞ? これじゃあ洞窟の中で死ぬだろ。こういう格好はホウエンでさせればいいんじゃないか?」 「ザクロさん・・・・・・・・。この格好、気に入らないんですか?」 「そんな悲しげな目で見るな。もちろん似合ってるぞその格好は。 似合っちゃいるけど、冬の雪山でするべき格好じゃないだろって話なんだよ。」 アイはぶつぶつ言いながらも普通の服をアジサイに返していた。 「・・・・・・・・・・・・・・・ところで。」 ずっと黙っていたタツムラが口を開く。 「何でわたしはきぐるみなんですか?」 「・・・・・・・・・・・・ぶわははははははははは!!!!!!!!!!!!!!」 そう、あいつはきぐるみを着せられていたのだ。 それも、顔の部分だけ出した、ピチューのやつを。 「ひーっ、ひーっ、アイ、ナイス!!!!!!!!!!」 アイは着せた自分でも大笑い。 「似合ってる、似合ってるーーーー!!!!!!!!!!」 「いい加減にしないかザクロ、アイ、アオ!!!!!!!!!!!僕らはもっと真剣に・・・・・・・・・・・・ぷっ。」 シュウヤもさすがに耐えられなかったようで、最後にふきだした。 「(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)」 必死に笑いをこらえる姉貴。クールキャラを通そうとしているのだろうか。まぁ肩が震えているのだけど。 「さて、アルセウスを止めるため、槍の柱に出発しましょう。一刻を争う自体ですから。」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「あの、タツムラさん?」 まさか、アジサイ、「あれ」を言うつもりか? 「はい?」 「その格好でそんなシリアスな顔とセリフされましても・・・・・・・・・・・・・。」 「あ・・・・・・・・・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 「えっ!?えっ!?」 突然精神が崩壊するタツムラに、困惑してパニックを起こすアジサイ。悪気は無かったのだと俺は信じる。 「アジサイ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 「は、はいっ!!!!!!!!!!!」 「人にはね、時によって深く傷つけられる言葉があることを覚えましょうね・・・・・・・・・・・。」 「はい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 この日、出発できるような状態ではなかったため、槍の柱に行くのが明日になったのは、いうまでも無い。