ナゾノクサ:「蓮華。」 蓮華:「ZZZ…」 ナゾノクサ:「蓮華ってば!」 蓮華:「ZZZ…」 ナゾノクサ:「起きて!」 あたしは誰かに呼ばれるようにして起こされた。 目が覚めたとき、あたしはベッドで寝ていた。そして目の前にはナゾノクサがいた。 1.出会い 蓮華:「ここは?」 あたしは哲兄やみんなと一緒に爆発に巻き込まれたはず。そして今の今まで眠っていたみたいだけど、ここはどこなんだろう。 ??:「あ、起きたのね。よかったぁ、家の前で倒れているから心配しちゃったのよ。」 ナゾノクサが答えるより早く、部屋には見知らぬ少女、多分この部屋の持ち主が入ってきた。この子も爆発に巻き込まれたのかな。 ??:「蓮華ちゃんね。詳しい話はこの子から聞いたわ。具合はどう?」 蓮華:「大丈夫、だけど…。ねえ。」 ??:「ん?」 蓮華:「驚かないの?ナゾノクサが喋ってるのに。」 ??:「う〜ん、喋れるニャースに会ったことがあるし、別に喋れるポケモンがいてもおかしくないでしょ。」 蓮華:「そ、そうだね。」 そんなポケモンがいたなんてすごい。ていうか、割り切ってる。 ??:「ところで、朝食食べる?」 蓮華:「食べる!」 あたしが部屋を出て、階段を下りていくと、そこにはロコンたちとバルビートとイルミーゼがいた。 二匹の蛍ポケモンは多分、この子のだと思う。ロコンたちはみんなちゃんといた。みんな無事で何よりだった。 ??:「蓮華ちゃん、そこに座って。あ、みんな、蓮華ちゃんのこと、心配してたのよ。」 蓮華:「そうなんだ。みんな、心配しなくても大丈夫だよ。あたし、元気だから。心配してくれてありがとう。」 あたしはみんなに言ってから席に着いた。そしてすぐ、あたしはさっきから思ってた疑問を聞いた。 蓮華:「あの、あなたもポケモンを助けたの?」 ??:「えっ?…ああ、あのね、ここはあなたが今まで住んでいた世界じゃないの。」 蓮華:「…???」 ナゾノクサ:「蓮華、あたしたちはあたしたちがゲームやアニメだと思っているポケモンの世界に来ちゃったみたいなの。」 あたしはナゾノクサに言われても、まだよく理解ができなかった。 ナゾノクサ:「あのね、あたしたちが爆発に巻き込まれたとき、 あの実験で最後に生まれたポケモンの力が働いたみたいなの。 それであたしたちごと、この世界に飛ばされちゃったみたいなのよ。 爆発とポケモンの力によって空間や次元が力で捻じ曲げられたみたい。」 ??:「そして、あたしの家の前にあなたたちが来たっていうわけ。そして今に至るのよ。」 何となく、意味が分かった気がした。 蓮華:「ねえ、あの…、あ、名前は?」 ??:「ああ、あたしは八雲ナナ。」 蓮華:「それじゃナナちゃん、あたし以外には誰かいなかった?」 ナナ:「いなかったわ。でもね、あなたのように他の世界からこの世界に迷い込む人は少なくないの。」 蓮華:「えっ?」 ナナ:「そういう人が出た場合、大方それはセレビィが関わっていて、彼らはあたしたちのような存在のところに迷い込んだ人を置いていくの。 だから、ナゾノクサに言われてすぐに、あなたのお兄さんも探してみたわ。」 蓮華:「本当?」 ナナ:「ええ。」 あたしはホッとしたら食欲が出てきた。食べている間にナナちゃんに色々聞いた。 ナナちゃんはどうやらジムリーダーらしい。 でも、ただのジムリーダーじゃなく、ポケモンリーグなどで優勝したマスタークラスのトレーナー用のジムのジムリーダーらしく、 実はかなりレベルが高いらしい。あたしと同じ年でもこれだけ違うんだ。 ナナ:「さっき調べてみたけど、あなたのお兄さんはどうやら半年前にこの世界に来たみたいよ。 オーキド博士が保護したみたい。そしてトレーナーとして旅立ったって。」 蓮華:「哲兄が…。あの、あたしはどうしたら元の世界に戻ることができるの?」 ナナ:「方法はあるわ。多分、そのためにあなたのお兄さんも旅をしているから。」 ナナちゃんの表情が少し険しくなった。 蓮華:「そんなに大変なの?」 ナナ:「ええ。あなたたちを運んだセレビィは他のセレビィと違うのよ。 セレビィは2種類いて、時渡りをして過去や未来を行き来するセレビィとさまざまな世界や空間を移動するセレビィ。 この世界でよく知られているのは時渡りの方よ。 でも、空間を移動するセレビィがいることはポケモン協会が認めているわ。 そのセレビィに出会うことができたトレーナーだけが元の世界に帰ることができるの。 そうして帰ったトレーナーも存在しているし。」 蓮華:「それで、そのセレビィに会うには?」 ナナ:「ポケモンリーグでベスト3に入ったトレーナーのみがそのセレビィに会える何かをもらえるらしいの。 それを使用するとそのセレビィが現れるらしいわ。」 蓮華:「ふぅ〜ん。」 ナナ:「だから、旅に出る必要があるのよ。安心して。蓮華ちゃんは一応この町の人間ということにできるし、それで登録すればいいから。 でも、本当にそうするかどうかは自分で決めて。」 ナナちゃんは慣れているように言った。 あたしは時間をかけて考えることにした。 でも、大体考えはまとまっていた。 だから。 ナゾノクサ:「蓮華、どうするの?」 蓮華:「う〜ん、迷いはあるよ。でも、舞さんに絶対に帰るって約束したから。」 ナゾノクサ:「それじゃ、旅に出るんだ。」 蓮華:「そうだね。」 こんな感じで時間はかからなかった。 ナナ:「そう。それじゃ登録ね。トレーナー名は蓮華。パートナーポケモンはナゾノクサ。 グロウタウン出身で、現在の持ちポケはナゾノクサ、ロコン、サニーゴ、サンド、メリープ、ミニリュウ。」 あたしと一緒に来たみんなはあたしと一緒に行くと決めたらしい。ナゾノクサが教えてくれた。 ナナ:「蓮華ちゃん、このグロウタウンはポケモンセンターとあたしの家しかないのよ。それでここはジョウト地方にあるの。 フスベシティとワカバタウンの間の山奥にあるのよ。」 蓮華:「そうなんだぁ。」 ナナ:「それにしても、蓮華ちゃんが羨ましいな。蓮華ちゃんには心配してくれる家族がいるから。」 蓮華:「えっ?ナナちゃんにはいないの?」 ナナ:「うん。あたしの親、二人ともポケモンウォッチャーだったんだけど、2年前、スリバチ山の落石事故で死んじゃったの。」 蓮華:「そうだったの。…あたしもなんだ。」 ナナ:「えっ?でも、蓮華ちゃんには…」 蓮華:「うん。心配してくれる人はいるよ。幼かったあたしを育ててくれた施設の人。 舞さんっていうんだけど、舞さんは従来の施設じゃなくて普通の家を施設ということにしてあたしと哲兄と久美ちゃんと来美姉を育てたの。 あたしと一緒に施設、舞さんの家にいる3人もあたしの両親と同じ事故でなくなってるの。どうしてか知らないけど 親戚として名乗り出る人もいなくて、そしたら一応それなりの許可や免許のある舞さんがあたしたちを引き取ってくれたの。 だからあたしにとって舞さんがお母さん代わり。」 ナナ:「そうだったの。…あたしは違ったの。もうこのジムを任されちゃってて。 淋しいときもあるけど、両親が残してくれたポケモンたちや、あたしのゲットしたポケモンたちがいるから、 少しずつ淋しさも薄れたの。それに、妹の存在も大きかったかな。」 蓮華:「妹?」 ナナ:「うん。今旅に出てるんだけど、一応あたしが出れない時ジムリーダーになれる免許は持ってるの。 あたしよりも早く、両親の死を吹っ切っちゃってて。 元々そういう子だったから。そのせいか、あたしが逆に元気付けられちゃった。」 蓮華:「ふぅ〜ん。」 それからあたしたちは自分たちのことを色々喋った。 ナナ:「明日からここを旅立ってワカバタウンに行くといいわ。 そこでウチキド博士に会うの。そして図鑑やトレーナーに必要なグッズをもらって。 それから、これはあたしからの餞別よ。ちょっと古いけど誰かに使ってあげて。」 ナナちゃんはあたしに技マシンをくれた。確かに古く、他の技マシンと微妙に形が違う。 蓮華:「分かった。ありがとう、ナナちゃん。一応使ってみるね。」 ナナ:「どういたしまして。これからは長いのよ。カントウとジョウトのどちらかを回るんだから。頑張ってね。」 蓮華:「うん!」 こうして、次の日からあたしの旅は始まった。 が。 ナナ:「あ、蓮華ちゃんたち、この世界初めてなのよね。 地図渡すの忘れちゃったけど、大丈夫かな?…??に知らせておこうかしら?でもなぁ…。」 不安要素はかなり大きいようだった。