ナゾノクサ:「蓮華、やっと旅に出たよね。」 蓮華:「うん。昨日はマサラタウンから一歩も出てなかったもんね。」 あたしたちはついさっき、町を出て森や原っぱに続く道に入った。遠くには野生のポッポやコラッタ、サンドやエイパムの姿が見える。川にはトサキント、池にはコイキングがいた。 4.トキワでの再会 蓮華:「う〜ん、せっかくだから記念にバトルしてみようかな。」 ナゾノクサ:「バトル?大丈夫?」 蓮華:「うん。勉強したし、みんなの技は全部覚えてるから。」 ナゾノクサ:「でもさ、誰とやるの?」 蓮華:「ポケモン。」 ナゾノクサ:「それってゲットするって言わない?」 蓮華:「あ…。そうだった。…ボール持ってなかった。」 ナゾノクサ:「おいおい。」 あたしはバトル、いやゲットをしようと思っていた。でも、モンスターボールなしではゲットできない。 蓮華:「やっぱり早くトキワシティに行こう。」 ナゾノクサ:「そうしたほうがいいよ。…あ、バトルにベイリーフ出たら呼んでね。あたしが行く。」 蓮華:「ナゾちゃん…(これじゃあ、チコリータゲットできないよ)。」 こうして進んでいると、ゲームみたいにアイテムが落ちていた。落ちているものなんだと思いながら、あたしはボールを手に入れた。 そこへ。 ??「ねえ、お姉さんはポケモントレーナー?」 蓮華:「えっ?そうだけど…あなたは?」 ??:「俺は虫取り少年の義一さ。お姉さんにポケモンバトルを挑むよ。行け!カイロス。」 義一はクワガタのポケモン、カイロスを出してきた。カイロスの武器はあの牙みたいな触角。 蓮華:「それならあたしは…ナゾちゃん、ゴー!」 ナゾノクサ:「了解…って蓮華!あいつ虫タイプじゃない!あたしの天敵よ!」 ナゾちゃんはあたしに怒り、 義一:「…ナゾノクサが喋ってる。お姉さん、もしかして初心者?虫タイプに草タイプを出すとはね。相性が悪い。お姉さんの負けだよ。」 義一はあたしを笑っている。でも。 蓮華:「そんなことはないよ。ナゾちゃんなら勝てる!そのために技マシンも使ったの。」 昨日の夜、ナゾちゃんのボールに使った。だからナゾちゃんも覚えてるはずだよ。 義一:「はいはい。カイロス、ナゾノクサを挟め!」 カイロス:「カイッス!」 蓮華:「ナゾちゃん、剣の舞でリーフブレード!」 ナゾノクサ:「分かった!」 昨日使ったのは剣の舞。今の技マシンにはそんなのはないけど、ナナちゃんがくれた昔の技マシンにはあった。 そしてカイロスの触角がナゾちゃんを挟もうとしたけど、ナゾちゃんの頭の葉っぱ全てが光り、角を受け止めていた。 義一:「何!?そんな馬鹿な!」 蓮華:「油断してるね。ナゾちゃん、ジャンプして毒の粉よ!」 ナゾノクサ:「えーい!」 ナゾちゃんが触角を払いのけてジャンプし、つんのめったカイロスに毒の粉をかけた。元々、ナゾちゃんは歩き回ってるから足腰がついててジャンプが得意だったりする。 純粋な虫タイプのカイロスには毒の粉は弱点に等しく、毒が回って動きも鈍くなっていた。そして数歩歩いた後、カイロスは倒れた。 義一:「カイロス!?そんな…草ポケモンの、しかもナゾノクサが勝つなんて。」 蓮華:「でしょ?ナゾちゃんが勝つって。」 あたしは自信たっぷりに言った。初勝利だった。 ナゾノクサ:「蓮華、すごいじゃん。」 蓮華:「えっ?」 ナゾノクサ:「バトル経験まだ一回なのに、あんなのすごいよ。」 ナゾちゃんは言った。でも。 蓮華:「だったらナゾちゃんもすごいよ。ナゾちゃんこそ、初バトルじゃない。」 ナゾノクサ:「あ、そうだった。でも、この調子で頑張ろうよ。きっとみんなも指示出してくれれば動けるよ。」 蓮華:「分かった。」 あたしはナゾちゃんと走り出した。そして途中で休み、みんなも休んで夕方、ようやくトキワシティに着いた。 ジョーイ:「あなたが蓮華ちゃんね。私はこのポケモンセンターのジョーイです。オーキド博士から連絡を受けています。」 あたしを迎えてくれたのはジョーイさんだった。多分、アニメと同じでこの顔が全国にいるんだろうな。あたしは妙に違和感を覚えそうな気がしていた。 蓮華:「ありがとうございます。あたしのポケモンたちを、よろしくお願いします。」 ジョーイ:「かしこまりました、ラッキー。」 ラッキー:「ラッキー!」 あたしはナゾちゃんたちを預け、ポケモンセンターの中を回っていた。多分、時間がかかりそうだ。なぜなら、ついさっきニドラン♂を捕まえ損ね、ロコンが毒を受けているから。 そしてキョロキョロ歩いていたので。 ドン!と、あたしは誰かにぶつかっていた。 ??:「すいません!」 あたしはぶつかった相手に謝ろうとしたけど、それはできなかった。だってそれは知り合いだったから。それは向こうも気づき、 蓮華&??:「「どうしてここに?」」 が第一声だった。驚いてそれ以外に声が出なかったし。 数分後。 ??:「まさか、蓮華もこっちに来てるとはね。」 蓮華:「あたしだって驚いたよ。まさか美香がここにいるなんて思いもしなかったから。」 出会ったのはあたしと同じ、現実世界出身の深田美香ちゃんだった。あたしとは同じクラスの親友の関係だ。 美香:「あたしだけじゃないよ。多分、こっちの世界に来たのは蓮華が最後だよ。」 蓮華:「どういうこと?」 あたしが最後というのがよく分からない。 美香:「あたしと蓮華、それに哲也先輩以外にも、菜々美と志穂ちゃんと翼先輩、それに健人先輩も来てるのよ。」 あたしは唖然とした。どうしてそうなったかと言えば、きっかけはあの研究所だった。 美香:「蓮華は知らないみたいだね。まあ、当たり前だけどさ、あの時、あの研究所にはあたしたちも忍び込んでいたのよ。」 蓮華:「嘘…。」 美香:「本当よ。あそこはいろんなところに入り口があるから、みんないろんな場所から入っていたの。そして蓮華以外は罠にはまって出られなくなり、爆発に巻き込まれた。」 蓮華:「それがきっかけで、こっちの世界に来たの?」 美香:「そうよ。」 漫画みたいな話だと思ったけど、さすがに笑い事ではなかったので言えなかった。 蓮華:「それじゃ、美香もリーグに出るの?」 美香:「ううん。あたしと菜々美はコーディネーター、健人先輩はブリーダー、翼君はウォッチャー目指してるの。」 蓮華:「えっ?それじゃ、元の世界には帰らないの?」 あたしは驚いた。てっきりみんな、トレーナーになってリーグに出ると思ったからだ。 美香:「違うよ。蓮華と哲也先輩はオーキド博士とナナって子の家にたどり着いたでしょ。」 蓮華:「うん。」 美香:「あたしたち5人はここなの。」 蓮華「へ?」 美香:「着いた場所が5人ともちょうどトキワのポケモンセンターだったの。」 蓮華:「そうなんだぁ〜。」 美香:「そういうこと。で、ジョーイさんに色々話を聞いて、あたしと菜々美はコーディネーターに、とか夢を持っちゃったの。」 蓮華:「ふぅ〜ん。…じゃ、リーグとかセレビィはどうなるの?」 美香:「志穂ちゃんがトレーナーになったからいいの。志穂ちゃんは強いよ。この辺の強豪も倒しちゃったし。」 志穂ちゃんというのはあたし達の一つ上だけど、一時期外国にもいたことのある帰国子女で、頭はいいし、運動はできるし、そのうえ美人。 そのうえ、性格もよくて、全然あたしたちが嫌な感情を持たない女性なのだ。そして美香の幼馴染であたしは親友だった。 志穂ちゃんは何をするのにも天性の才能を持ってるから多分、強くても当たり前だ。納得がいく。 蓮華:「なるほどね。志穂ちゃんにリーグを任せたってわけ。」 美香:「そう。それに蓮華も哲也先輩もトレーナーなら、誰かが勝てると思うし。帰るときにあたし達も帰るから。」 蓮華:「帰るときはみんな一緒ってこと?」 美香:「うん。いいでしょ?」 多分、帰るときはみんな一緒というのは美香たち5人で考えたことだと思う。美香が哲兄のことを知っているということは、哲兄も知っていておかしくない。 だからあたしもそれを了承した。 美香:「あ、でもトレーナーであることには変わらないし、バトルならしてもいいよ。」 蓮華:「本当?」 美香:「うん。…でも、あたしも強いよ。ポケモンは一対一のバトルを2回。どう?」 蓮華:「乗った!」 あたしはジョーイさんに預けたポケモンを貰い、バトルフィールドに行った。 ナゾノクサ:「ふぅ〜ん。あの時子供が多いと思ったら、蓮華の親友だったの。」 ナゾノクサに話をしたら、すぐに察していた。どうやらあの時、すでにあたしと哲兄以外にも誰かいたことを気づいていたようだ。 蓮華:「そうよ。それでバトルするの。いい?」 ナゾノクサ:「いいけど。…あっ!あたしに聞くって事はあたしを使うの?」 蓮華:「うん。」 あたしがナゾノクサに教えたとき、美香がやってきた。 美香:「蓮華、準備はいい?」 蓮華:「いいよ!」 美香:「それじゃ、行ってきて、エイパム!」 エイパム:「エイパム!」 一番手はパートナーを使おうといっていたので、多分あれが美香のパートナーだろう。 蓮華:「あたしも。ナゾちゃん、頼んだよ。」 ナゾノクサ:「了解!」 ナゾちゃんとエイパムが対峙した。美香が先行でバトルが始まった。 エイパム:「エイパム、スピードスター!」 星型の必ず当たる攻撃がエイパムから放たれた。 蓮華:「ナゾちゃん、種マシンガンで相殺して!」 ナゾノクサ:「了解!」 種マシンガンとスピードスターがぶつかって攻撃は相殺されたが、いつの間にかエイパムがナゾちゃんの近くにいた。 蓮華:「えっ!」 美香:「蓮華、油断しすぎだよ。高速移動。エイパム、尻尾ではたく攻撃!」 蓮華:「ナゾちゃん、かわして!」 でも、エイパムのほうが早かった。ナゾちゃんは背後からの攻撃で跳ね飛ばされた。 美香:「エイパム、今度は捨て身タックルよ!」 エイパム:「エイパム!」 蓮華:「ナゾちゃん、今度こそ避けて!剣の舞!」 ナゾノクサ:「了解!」 ナゾちゃんは今度は避けた。そして剣の舞をした。そして。 美香:「エイパム、一撃で決めるよ!尻尾でアイアンテール!」 蓮華:「ナゾちゃん、リーフブレード!」 ナゾちゃんの硬くなった葉っぱとエネルギーが集まった尻尾がぶつかり合った。 美香:「エイパム、泥かけ!」 美香がさすがにヤバイと感じて目くらましを仕掛けてきた。 蓮華:「ナゾちゃん、マジカルリーフ!」 あたしはスピードスタート同様の必ず当たる技を放った。すると、エイパムが避けきれずに食らったらしく、エイパムは倒れた。 美香:「エイパム、戻って。…蓮華もナゾノクサも強いね。」 蓮華:「そんなことないよ。多分、普通のナゾノクサだったら負けてる。」 ナゾノクサ:「そうだよ。あたしだけだよ、剣の舞使って葉っぱ硬くしてリーフブレード使うようなナゾノクサなんて。」 あたしがナゾちゃんのことをすでに話しているので、美香はナゾちゃんが喋っても驚くことはない。 美香:「でも、強いことには変わりないよ。それじゃ、次行くよ。」 蓮華:「うん。今度はあたしが先行よ。お願いね、サニーゴ!」 サニーゴ:「サニサニ!」 美香:「あたしはこの子、頑張って!マリル!」 マリル:「リルル!」 美香:「ちょうど進化したばかりなのよ。」 蓮華:「へぇ〜。」 サニーゴとマリルが対峙して、バトルは始まった。 蓮華:「サニーゴ、先手必勝のトゲキャノン!」 美香:「マリル、バブル光線で相殺よ!」 サニーゴ:「サニ!」 マリル:「リル!」 この後、美香のマリルが雨乞いをして波乗り攻撃をかけたけど、ミラーコートという技によってサニーゴが倍にして押し返し、 マリルは尻尾のアイアンテールを使い、サニーゴが自己再生を使い…、簡単に長々となるような戦いが続き、最後は引き分けという形になっちゃいました。 美香:「一勝一分けで蓮華の勝ちね。」 蓮華:「でも、美香、全然強いよ。」 美香:「そうかもね。…蓮華、この技マシンあげるね。ナゾちゃんに使ってあげて。」 あたしは美香から技マシンを貰った。 美香:「それじゃ、蓮華も頑張ってね。あたし、もう行くから。」 蓮華:「行っちゃうの?」 美香:「うん。あたし、今の2体しかいないからさ、もう少し集めてトレーニングして、コンテストに出したいからね。 蓮華、能力は使わないようにね。まだ、誰もばれてないから。」 蓮華:「分かった。」 美香:「それと菜々美ちゃんたちも強いよ。いつか会ったらバトルしてみたらいいと思う。」 蓮華:「了解。」 美香:「それじゃあね。またどっかで会おうね。」 美香はそう言ってあたしと別れた。 ナゾノクサ:「おぉ〜。」 ナゾちゃんは美香がどんな風にこの場を離れたかを見て驚きの声を上げている。 ナゾノクサ:「ねえ、蓮華やあの子みたいに、この世界に来た蓮華の知り合いって、みんな能力って言うのがあるの?」 蓮華:「うん。それがきっかけで知り合った人も多いし。でも、誰もアレでばれてないなら安心かも。」 ナゾノクサ:「でもさ、哲也さんがすごく心配してるってことは気をつけなきゃいけないよ。」 蓮華:「そうだね。」 あたしとナゾちゃんはしばらくしてセンターに戻った。 今日はここに泊まるのだ。