ニビジムを攻略した次の日、あたしとキレイハナは次のジムがあるハナダシティ目指して出発した。 昨日いきなりの進化を遂げたキレイハナは進化したことで草系のほとんどの技も使える様になったらしく、あたしとしては 結構嬉しい限りだった。 10.弱小 キレイハナ:「次はハナダシティだよね?」 蓮華:「うん。でも、その途中にお月見山があるし、そこを超えなきゃ。」 キレイハナ:「お月見山かぁ。博物館にあった月の石が取れる場所で、最近は極稀に太陽の石が取れるところよね?」 蓮華:「うん。何でもホウエン地方のポケモンが生息するようになったからみたいだけど、そのおかげで進化できたんだし、 いいんじゃないの?」 キレイハナ:「ま、それもそうだけど。」 話しながら進んでいくと、トレーナーがたくさんいるところにやってきた。でも、彼らはバトルをする気配がなく、何かを探しているようだった。 蓮華:「すいません、何してるんですか?」 あたしが聞いたのは短パン小僧だった。 短パン小僧:「えっ、知らないの?この草むらにプリンがいるんだぜ。」 蓮華:「プリンが!?でも、そういう可愛いポケモンは男の子が持たないんじゃないの?」 あたしが思ったままを言うと、短パン小僧はチッチと否定した。 短パン小僧:「分かってないなぁ。最近はこのカントウでもポケモンコンテストが行われるようになったんだぞ。 そのためにはそれなりにいいポケモンをゲットするのが大切なんだ。俺みたいにコラッタとニドラン♂しかない奴は、 コンテストで苦労するんだぜ。」 つまり、ポケモンバトル用として持っているコラッタたちでは技の内容なども考えるとコンテストでは不向きだから、 コンテストのポケモンはコンテスト専用で出場させるべき、ということだ。 短パン小僧:「いいことを教えてやるよ。もうすぐハナダでもポケモンコンテストが行われるぞ。 この辺に住んでる俺たちにとって、お月見山は歩き慣れた場所だから苦もなく通れる。だからこうしてコンテスト用の ポケモンを探しているわけだ。お前もハナダに向かうんだったら、コンテストに出てみろよ。俺が倒してやるよ。」 短パン小僧はあたしにそう言うと、再び草むらに入っていった。 キレイハナ:「蓮華、行こう。」 蓮華:「うん。」 あたしとキレイハナはさすがに先に進むことにした。コンテストにも出てみたいけど、キレイハナがいるから。 でも、その前にこのお月見山を通らないことには先に進めない。それに、あたしはまだ出ようとは思っていなかった。 それはキレイハナも同感のようで、あたしにコンテストに出ないか聞いた時、出る気はなさそうだったから。 そんな時だった。あたしとキレイハナの上を丸い影が通り過ぎた。そして。 周囲をスモークが覆い始めていた。 キレイハナ:「何?一体何なの!?」 あたしとキレイハナが慌て始めると、それは出てきた。 エレク:「一体、何なのですかと聞かれたら。」 フレイ:「答えてあげるが大事なこと。」 キレイハナ:「あ、また出た。」 蓮華:「しーっ、言わせてあげましょ。」 あたしとキレイハナが喋っていても口上は続く。 エレク::「宇宙の神秘を守るため」 フレイ:「宇宙の汚れを浄化するため」 エレク:「愛とナチュラルな悪を貫く」 フレイ:「究極のスペシャルな敵役」 エレク:「エレク」 フレイ:「フレイ」 エレク:「天の川を駆け巡るスペース団の二人には」 フレイ:「イエロー&レッド、最高の夜明けが待ってるぜ!」 スペース団が現れた。 エレク:「前回はよくもやってくれたよな。」 エレクはあたしに睨みつけてきた。戦う気か?と思ってけど、フレイこと美咲ちゃんはそのようじゃないみたい。 フレイ:「ちょっと、エレク。今日はそうじゃないでしょ。」 エレク:「悪い、悪い。おい、お前に今日は言うことがあってきた。」 蓮華:「何?」 フレイ:「あなたはあたしたちと同じ別世界出身で、能力を持っているわよね?こんな風に。」 フレイが手を出すと、フレイの手のひらに火の玉が浮かび、エレクの手からは少し放電された。 キレイハナ:「蓮華が草の能力者だとすると、あなたたちは炎と雷ね。」 フレイ:「そうよ。だからあたしたちのネームはそれを示しているの。蓮華ちゃん、あなたの力、あたしたちはしっかり見せてもらったわ。」 フレイこと美咲ちゃんはそう言って近づいてきた。 蓮華:「何?」 フレイ:「今日は、あなたをスカウトに来たの。あなたもスペース団に入らない?」 蓮華&キレイハナ:「!?」 エレク:「俺たち能力者はスペース団の中では幹部クラスに位置している。それに君は強力な力を持っているようだ。 元々、俺たちスペース団には能力者も何人か必要だし。君も入ってみれば分かるよ。俺たちの活動が正しいことを。」 キレイハナ:「ポケモンセンターを襲撃して、人のポケモンを盗むことが?」 エレク:「ああ。彼らはそれぞれ自分の持つ能力を知らずに使われている。それを教え、正しい力を使える様にすることが 大切だからな。そのためにはトレーナーが知らないうちに奪うことがもっとも大切だ。」 蓮華:「それでもただの泥棒じゃない。」 フレイ:「いいえ。それにあなたなら歓迎するわ。あたしが保証する。あなたの力を使用して、悪いトレーナーに対しての 木々の怒りを見せてあげなさい。あなたのトキワの森での行動、あたしは、スペース団は知っているのよ。あなたもあのキャタピー みたいにひどい仕打ちを受けているポケモンの気持ちが分かるでしょ?」 あたしもキレイハナもは正論を言われてしまい、何も返せない。彼らは正論と反論の両方を話しているけど。 蓮華:「あたしはそれでも嫌。あたしはあたしなりの行動をするから。それより、美咲ちゃん、スペース団を辞めて、 あたしと旅しようよ。」 フレイ:「えっ?」 蓮華:「そんな悪いことをする組織にいるよりも、旅したほうが断然楽しいよ。それに悪いことをするなんて美咲ちゃんらしくな…」 フレイ:「勝手なこと言わないで!」 いきなりあたしは言葉を遮られた。美咲ちゃんが目の前で、いつの間にか切れていた。 フレイ:「あなたに何が分かるの?あたしたちのことを何も知らないで、勝手なことを言わないで!」 エレク:「そうだ。お前はこの5年間の俺たちの苦しみや悲しみを知らない。それを知らずにスペース団を辞めろって? はっ、せっかくの居場所を辞めるなんてできるわけねえだろ、そんなこと。お前みたいな甘すぎるトレーナーなんか、もうスカウトする気もない。 ここで俺たちが潰してやる。行け!エレブー!」 フレイ:「そうね。エレクの言うとおりだわ。あなたを倒し、そのポケモンたちを頂くわ。コータス、やっちゃって!」 あたしは逆鱗に触れたみたいだ。でも、2年前にいなくなったのに、5年間って…。 キレイハナ:「やるしかないよ。蓮華。」 蓮華:「うん。」 エレク:「させるか、エレブー、電撃の充電してやるぜ!電磁砲だ!」 フレイ:「コータス、あたしの炎の力、あなたに補充してあげる。オーバーヒートよ!」 エレブーとコータスが二人の力を受けて、電磁砲とオーバーヒートをあたしたちに向かって打ってきた。 蓮華:「キレイハナ、神秘の守りよ!」 キレイハナ:「ええ。」 フレイ&エレク:「甘い!」 蓮華&キレイハナ:「えっ?きゃあ〜!!」 キレイハナの神秘の守りは攻撃によって簡単に打ち破られ、大爆発と共にあたしたちは吹っ飛ばされた。 エレク:「そんなしょぼい守りで攻撃が防げるとでも思ったのか?」 フレイ:「あたしたちがこの子と組んでるのはね、あたしたちの力をこの子に使うことで、パワーをあげることができるからなのよ。 その力に対して、神秘の守りなんかで勝てるわけがないわ。守ることも見切ることも不可能なのよ。」 エレク:「そういうこと。だから甘いって言っただろ。そんな奴が俺たちに対してスペース団を辞めるなんて言う資格はないんだよ。」 彼らはゆっくりと近づいてきた。キレイハナは戦闘不能状態、他の子を出そうかと思えばさっきの衝撃ですべてのボールの開閉装置が壊れてしまっていた。 あたし自身も強い衝撃を受けて動けない。 フレイ:「最後にもう一度聞くわ。スペース団に…」 蓮華:「入らない。あたしは、絶対あなたたちを説得してみせ…」 エレク:「ごちゃごちゃうるせえんだよ!弱小のお前が勝手なこと言うなっつうの!」 あたしはお腹にもろ、蹴りを入れられた。能力で対抗しようと思ったけど、あたしの両手はエレクに踏みつけられていた。 フレイ:「残念だったわ。あなたなら分かると思ったのに。エレク、帰るわよ。」 エレク:「おい!こいつのポケモンを奪うんじゃ…。」 フレイ:「弱小のトレーナーの弱すぎるポケモンを持って帰っても、ボスは喜ばないわ。」 エレク:「それは命令違反だろ。ボスが何と言うか…。」 フレイ:「エレク。」 エレク:「はいはい、分かったよ。それじゃ戻るぞ。」 スペース団は去っていき、あたしは彼らの足音を聞きながら、意識を失った。 次に目を覚ました時、あたしはポケモンセンターにいた。周りを見回すと、あたしのベッドの周りにはポケモン用の治療器具があり、 キレイハナたちがそこで眠っていた。みんなもボールにいたのにもかかわらず、怪我を負って。 ??:「気がついた?」 あたしは声をかけられて振り返った。そこにはあたしの一つ上の親友、志穂ちゃんがいた。 蓮華:「あたし、どうしてここに?」 志穂:「爆発音を聞いて駆けつけた、と言った方がよかった?あたしと同じ二つの力と草の力を感じたから、多分と思って駆けつけてみたら あなたはスペース団の拓也と美咲と戦って敗北してたのよ。あたしが駆けつけなかったら、あなたたちはあのままで、 哲也君がものすごくやばい方向に向かうんじゃないかと思ってみんなに協力してもらってここに運び込んだの。」 志穂ちゃんは炎と雷の両方の力を持つ能力者で、神社の巫女をしている。そのせいか、勘がするどかったり、霊感が強かったりしている。 そのおかげで助かったみたいだ。 蓮華:「ありがとう。」 志穂:「どういたしまして。…それにしても、あの二人を説得しようとするとはね。」 蓮華:「あ、そういえば拓也って…エレクのこと、知ってるみたいだけど。」 志穂:「知ってるわよ。美咲とは蓮華ちゃんが引き合わせてできた友達だし、拓也は2年前にてっきり水難事故で死んだかと思ってた あたしの幼馴染だもの。」 志穂ちゃんはあっけらかんとしていた。ま、確かに美咲ちゃんと志穂ちゃんを会わせたのはあたしだけど。 志穂:「この世界に来て、旅をして、あたしはすぐにベストメンバーを確定したわ。その6体以外はゲットもしてないし。 そんな時に同じ能力が二つも向かってくると思えば拓也と美咲で、時間軸のずれで今から5年も前にこの世界に飛ばされてきてたわけ。 しかも、5年前はまだロケット団もいたけど、能力者はあの二人が初めてでていうか存在が確認されていなくて。結構つらい思いをしたらしいわ。」 蓮華:「それで怒ったんだ…。」 志穂:「そう。そしてロケット団がなくなったとき、居場所がなくなりかけた二人は今のスペース団のボスに出会ったのよ。 だから、あの二人は今スペース団が居場所なの。」 居場所がなくなったら、あの二人にとっては地獄になる。だからあたしが言ったことに怒った。そしてあたしは敗北した。情けないくらいに。 蓮華:「ねえ、志穂ちゃんもスカウトされた?」 志穂:「されたわよ。多分、他のみんなも。でも、あの二人を怒らせなかったか、能力で追い払ったかでみんなはこんな風にはなってないわ。 あたしは拓也の方があたしを見て動転したし、あたしのほうが先に彼らに気づいたから。だからあたしは何もなかったの。 その代わり、今の話を教えてくれた、いえ、言わせたって言ったほうがいいかも。」 蓮華:「志穂ちゃんらしい。」 あたしが笑うと、志穂ちゃんも笑い、ちょっと気分が軽くなった。あたしは酷い事を言った、という罪悪感が重たくのしかかっていたけど、 少し助かった気がした。 志穂:「ねえ、これを聞いて、まだスペース団をやめるように言うつもり?そしてスペース団を倒したい?」 蓮華:「えっ?」 志穂:「ニャースに全部聞いた。」 蓮華:「ニャースに言ってないけど…、あ〜、キレイハナだな。もう…。」 志穂:「それで、どうするの?」 蓮華:「もしあたしが旅をしていて、悪いことをしているんだったらそれを止める。そしてそれが続くようだったら、 あたしは絶対に潰す。でも、当分は保留。あの二人、あたしの前には出てきそうにないし。」 志穂:「確かに当分はね。あなたはあの二人の逆鱗に触れたし、それ以前にまだバッジ一つ。弱小とも決め付けられたし。 あなたが能力を使って何か大きなことをしない限り、何もしてこないわよ。」 志穂ちゃんはそう言うと立ち上がった。 志穂:「あたしも行くね。後3つだから、バッジは。」 蓮華:「うん。ありがとう。…志穂ちゃん。」 志穂:「ん?」 蓮華:「いつかあたしがバッジを全部集めたら、勝負して。リーグ戦行く前に。」 志穂:「ええ。」 志穂ちゃんはやさしい穏やかな顔で言って、部屋を出て行った。 志穂:「あ、哲也君には内緒にしておくね(敵とはいえ、幼馴染と親友殺されたくないし)。」 蓮華:「うん!」 あたしは志穂ちゃんと別れた後、また再びぐっすりと寝た。じっくりと休んで、みんなが元気になったらまた旅を再開するために。 それまでは安息の日々を過ごさなきゃ。そう思いながら。 しかし、安息の日々はやっぱり続かなかった。 次の日。どこから情報を聞きつけたのか、哲兄とニャースがやってきたのだ。 哲也:「聞いたからな、すべて。」 哲兄の表情は完璧に怒っていた。全く怒りを押し殺してなんかいなかった。チラッとニャースのほうを見れば、 ニャース:「志穂ちゃんからじゃにゃーからにゃ。」 と、言われてしまった。それは事実だと思う、志穂ちゃんは結構口が堅い。まずは哲兄に一応謝ることにした。 蓮華:「ごめんなさい。」 哲也:「これで旅の危険が分かっただろ。ニビでのジム戦攻略も運がよかっただけだろうし、この際旅を辞めたらどうだ?というか、辞めろ。 俺は辞めさせるために来たんだからな。」 蓮華:「嫌。辞めないよ。あたしは旅に出るんだから。哲兄が何を言っても無駄。」 哲也:「そうか、でもそれも無理だ。」 蓮華:「!?どういう意味よ。」 哲也:「お前のポケモンはさっき、全部オーキド研究所に送った。お前も怪我が治り次第、オーキド研究所に運ぶからな。」 哲兄は一方的に言って出て行った。ここまでの行動に出るとは思ってみなく、あたしはさすがに哲兄に心配かけたことを後悔した。 今までだって無理やり連れ戻すことはできたはずだから。 ニャース:「ごめんにゃ。哲也さんすっかり頭に血が上ってるにゃ。にゃーや博士やナナちゃんが説得しても無駄だったにゃ。」 蓮華:「いいよ。ニャースは悪くないし。あたしが無茶しただけだから。」 あたしはそう言うと、ポケモンセンター内を歩くことにした。今は強制送還されたせいか、キレイハナがいなくて淋しい。 そんなときだった。 ??:「お譲ちゃん、このコイキング、この辺じゃとっても珍しいよ。買わない? これは珍しい金の玉を売るコイキングだよ。コイキングの産んだ金の玉を売れば、君は大金持ちになっちゃうよ。」 あたしにコイキングを売りつけてくるおじさんがいた。しかも金の玉を売るなんて嘘まで言って。コイキングはそんなものを産むポケモンじゃないのよ。 ポケモンを買うことは違法だと思い、ちらっとジョーイさんを見てみればすっかりあきらめている様子だ。多分、何度も注意しているのだろう。 視線をコイキングに戻してみると、コイキングは結構元気そうだったが、買う人がいるわけない、そういう顔が普通に見て取れた。でも、育ててみれば…。 蓮華:「いいよ。買う。」 あたしが買うと言ったら、さすがにおじさんもコイキングも驚いたようだった。おじさんだけじゃなく、ジョーイさんや周囲の人たちも驚いていた。 おじさん:「よし、今回は君が怪我人と言うことで200円に負けてやろう。その代わり、突き返して来るなよ。」 蓮華:「うん。」 あたしはどこでも連れるこのコイキングを買った。 蓮華:「あたしが何で、あなたを買ったか教えてあげるね。」 あたしがプールの近くでコイキングのボールに言った。するとボールは激しく揺れた。 蓮華:「あなたを強く育ててみたくなったの。」 あたしはこれまでの経歴を教えた。 蓮華:「それで弱小って言われちゃったけど、弱小でもそれだけ強くなれる可能性があると思うの。 だから、あたしはあなたもあたしと同じくらい、弱小から最強にしたいの。」 すると、コイキングは外に出てきた。勝手に出たわけだけど、それがあたしのポケモンらしい。そして元気に跳ねていた。これは肯定と取っていいだろう。 蓮華:「これからもよろしくね。えっと、コイッチ、これがあなたの名前よ。」 コイッチ:「コイ!」 それからあたしは能力を使ってこっそりと怪我を治した。元々あたしたち能力者には怪我を治す力が備わっていたので、やろうとすればできた。 それをなぜ今まで使わなかったかと言えば、すっかり忘れていたからだった。そしてこっそりとポケモンセンターからコイッチと共に抜け出した。 キレイハナ:「蓮華が脱走した!?」 あたしがオーキド研究所に閉じ込められてから4日が過ぎた。一日目はケンタロス(の大群)に喧嘩売って柵を壊して 脱走してみたけど、哲也さんが預けてるポケモンに見事に捕まえられ、それ以降はベイリーフの奴が見張ってるから変な行動は取れなかった。 まぁ、ベイリーフ以外のポケモン、特にあたしと同じ仲間はあたしのことを気に入っていたようだし、ヒノアラシやヨルノズクもいい奴だったし。 ワニノコとはよく一緒に踊ったし、それにしてもあんなに人懐っこい(?)ベトベトンやあまり物を食べないカビゴンがいるとはね。意外中の意外。 他にもオーキド邸のことを知りすぎてて色々詳しく教えてくれるフシギダネや寡黙だけど頼りになるキングラーなど、ベイリーフ以外はみんないい人(?)ばかりだった。 そんな時にニャースからこれを聞いたのだ。 ニャース:「そうにゃ。哲也さんが必死こいて探してるにゃ。」 キレイハナ:「ふぅ〜ん。蓮華にしてはなかなかやるじゃない。」 あたしは蓮華を感心した。でも…。 キレイハナ:「でも、ポケモンなしでの旅って大変じゃないの?」 ポケモンを持っていない状態だと色々大変だと思うのよね。ポケモンセンターだってポケモンをもっていない人は泊まれないし。 ニャース:「それがだにゃ、蓮華ちゃんは一匹だけ持ってるらしいのにゃ。」 キレイハナ:「持ってた?」 ニャース:「そうにゃ。哲也さんがジョーイさんに確認したらしいにゃ。」 おかしいなぁ。あたしが知る限り、蓮華のポケモンは、み〜んなここにいるはずなのに。 ニャース:「それがにゃ…。」 キレイハナ:「何?その思いっきりしかめっ面。まさか、何か言えない事でもあるの?」 ニャース:「にゃはは…、そうじゃないにゃ。蓮華ちゃんポケモン買ってたにゃ。」 キレイハナ:「買った!?…もしかして、まさかとは思うけどあのコイキング売りの?」 あたしが連れ戻される日に見かけた、あのあくどくて絶対に売られることはないだろう、あの商売。アレを買う変わった人いるとはと思ったけど、 まさかそれが蓮華だったとは…。 キレイハナ:「何考えてるんだか。コイキングはポケモンの中で一番弱いメンバーに属してるのに。」 ニャース:「でもしっかり防犯カメラにさえ映ってたそうにゃ。多分、弱小って言われたのが効いてると思うにゃ。」 あたしたちが蓮華のことを喋っていると、蓮華を探しに行ってた哲也さんが帰ってきた。 が、体中傷だらけで、背中には大火傷を負っていた。 ニャース:「にゃんにゃ〜!?どうしたにゃ、その怪我。誰に襲われたにゃ?」 キレイハナ:「うはぁ〜…、無残…誰にやられたんですか?」 さすがにあたしもニャースも直視しにくい。が、哲也さんは驚くことを言った。 哲也:「…蓮華にやられた。」 ニャース&キレイハナ:「はぁ(にゃぁ)?」 哲也:「せっかく見つけて連れ戻そうとした瞬間、蓮華の必殺技が連打で至近距離で打たれた。」 ニャース:「哲也さんのほうが強いはずにゃ。どうして抵抗しなかったにゃ。」 哲也:「あいつに傷つけれるわけがないだろ。」 キレイハナ:「極度のシスコンね。ある意味、自業自得。」 哲也:「うるせえな。…しかし、あいつにお前らを返してもいいかもな。」 キレイハナ:「本当?」 哲也:「ああ。今のあいつでも十分強いが、コイキング一匹ではつらいだろ。」 キレイハナ:「コイキング一匹は強いじゃなくて不利じゃないの?」 哲也:「いや、強いの部類に入る。俺の火傷の原因はコイキングだ。」 あたしはこの人が頭を打っておかしくなったのでは、と思ってしまった。それは手当てをしていたニャースも同じで、 それでもあたしはバタフリーに乗り、手持ち6匹を軽く越す蓮華の全ポケモンのボールを持って、そのまま蓮華のところに向かった。 しかしそのあたしの考えは、蓮華の下に行くことで変わってしまうのだけど。