キレイハナ:「バタフリー、そろそろ蓮華のところだね。」 バタフリー:「フィリ〜!」 キレイハナ:「あっ!見えた!って、嘘…。」 バタフリー:「フリー…。」 あたしたちは唖然としていた。蓮華はバトルをしていて、使っているのはコイキングなのに、全く優勢だったから。 短パン小僧:「くそぉ!卑怯だよ、龍の怒りをコイキングが使うなんて。」 蓮華:「卑怯じゃないわ。コイッチが頑張って覚えたのよ。努力の結晶を馬鹿にしないで。」 あたしたちはその時、コイキングが進化する姿を見た。進化したギャラドスはあたしたちの真正面にいた。 11.再会×調査×バトル!? 蓮華:「あははは…、別にコイッチは脅かすつもりじゃなかったのよ。」 キレイハナ:「分かるよ、それくらい。でも、さすがにあたしたちの目の前って言うのは驚くものじゃない。」 あれから少ししてあたしたちに気づいた蓮華は、あたしたちと久々に合流した。でも、まさか蓮華がコイキングを バトルで活躍できるくらいにまで育て上げていたとは思わなかった。 キレイハナ:「この子、普通のコイキングだったのよね?」 蓮華:「ええ。でも、あたしと一緒にいたことであたしの能力の影響を受けたみたい。それが龍の怒りやのしかかりを 覚えるきっかけになったみたいよ。」 それはありうると思った。そうでなきゃ普通の2倍の大きさには進化しないよ。 それから少しして、あたしたちはお月見山の近くまでやってきた。前回は美咲ちゃんたちにあったことで ここまで来ることしかできなかったけど、今回はやっと中に入れる。そう思った時だった。 蓮華:「あれっ?」 キレイハナ:「立ち入り禁止?」 あたしたちはお月見山の入り口が閉鎖されていることに気づいた。しょうがなく近くのポケモンセンターで聞いてみると、 お月見山の中でお化け騒ぎが頻繁に起き、つい昨日、ミニスカートが怪我をしたらしい。そのために閉鎖され、お月見山を通ろうとしている トレーナーたちは足止めを食らってここに留まっているらしい。 蓮華:「最も、トレーナーの多くがコーディネーター志望だからあまり実際のバトルに出したくないみたいなの。」 キレイハナ:「お化けと戦わせて怪我させたくないから、事件が収まるまではここにいよう、と考えてるってわけ?」 蓮華:「そうみたい。前に会った短パン君が教えてくれた。」 キレイハナ:「でも、あたし、お化けに会ってみたいな。」 蓮華:「あたしも。だから…。」 キレイハナ:「いいね、それ。」 あたしたちは深夜、こっそりセンターを抜け出した。既にポケモンは貰っているし、いつ出てもおかしくなかったからだ。 お化けに会うには、閉鎖された入り口を壊して進む以外にない。 蓮華:「それじゃ、行こうか。」 キレイハナ:「ええ。」 ??:「待つんだ。危ないまねはよしたほうが身のためだよ。」 突如、いつの間にいたのか、入り口の前には誰かが立っていた。 キレイハナ:「あなた、誰?」 ??:「俺はここのジョーイさんにトレーナーが入らないように頼まれている者。現在、中で二人のトレーナーが調査をしている。 勝手に入っては困る。」 蓮華:「でも、あたしたちは入りたいの。どいて。どかなかったらひどい目にあうよ。」 あたしが力を出そうとした。すると目の前のトレーナーは、はぁっと肩を下ろした。 ??:「…相変わらず強引に話を進めそうだな、お前は。」 蓮華:「えっ?」 思わず、どういう意味か聞こうとした。が。 ??:「確かに、気になることには首を突っ込んだり、思ったままに一直線行動をするのは蓮華らしいけどね。」 ??:「哲也と志穂から詳しく聞いてるからな。お前はここに入れたくない。それが俺たち3人の答えだ。」 入り口が開き、二人のトレーナーが出てきたので聞けなかった。その時に近くの明かりがともり、あたしは3人が誰か分かった。 既にお分かりのとおり、あたしの知り合いだったんだけど。 蓮華:「健人先輩に菜々美ちゃん、翼先輩まで…。」 健人:「久しぶりだな。」 菜々美:「美香からも色々聞いてるよ。」 翼:「ま、そういうことだ。帰ったほうがいい。」 あたしの中学時代の部活(応援部、いわゆる応援団)の先輩で応援団長だった健人先輩と、哲兄と同じ部活(バスケ部)にいた翼先輩、 それにあたしの親友で同じく一緒にチアをしてた菜々美ちゃんだった。あたしは久しぶりの感動を通り越していた。 でも、中には入りたいと思っていた。 蓮華:「嫌だ。」 キレイハナ:「あたしも同感。蓮華もあたしも入りたいの。調査に加えて。」 キレイハナがあたしの気持ちを代弁してくれた。すると、さすがに向こうは呆れていた。 菜々美:「蓮華らしいね。でも、哲也先輩に蓮華ちゃんを危ない目に合わせるなって、こっちにいるあたしたちを含むみんなが 釘刺されてるのよ。それを破るわけにはいかないわ。」 蓮華:「それじゃ、バトルで勝ったら入れてよ。」 翼:「バトルか。…美咲たちに負けたんだろ。それじゃ俺たちには勝てないぞ。」 やっぱり全部知ってるみたい。志穂ちゃんははっきり言うけどこういうことは言わないし、多分哲兄の仕業だ。 翼:「哲也はお前のことをすごく大事にしてるからな。俺が冗談でお前を口説いた時も結構切れただろ?」 蓮華:「…はい。でも、哲兄とあたしは…。」 健人:「喧嘩してるからとはいえ、血縁じゃないとはいえ、お前らは兄弟だ。それに変わりはない。 だが、本当に入りたいならそれを俺たちに見せてみろよ。」 蓮華:「えっ?」 あたしは問答無用で無理かと思っていた。でも、健人先輩はあたしが勝ったら中に入ってもいいとまで言った。 翼:「健人、いいのか?」 菜々美:「先輩?」 健人:「俺たちのパートナーとお前のポケモン3体で勝負だ。ただし、今は深夜だから勝負は明日とする。分かったな?」 蓮華:「はい!」 あたしは話しに入れないキレイハナを連れて、今日はセンターに戻った。 翼:「おい、いいのかよ。」 菜々美:「蓮華ちゃん、やる気だよ。コーディネーターのあたしに、ブリーダーの健人先輩、ウォッチャーの翼先輩じゃ、 蓮華の本気モードに太刀打ちできない気がします。」 健人:「いや、いいんだ。あいつに一方的に言うよりはこの方が。それに、俺たちはこれでも色んな場を経験した。 あいつの知らないこともいっぱい経験している。それの違いがバトルにも影響しているはずだ。それを分からせた上で、 とめる方法が一番だと思うがな。」 健人の言うことには一理あった。確かなことだった。でも、俺はあの子を巻き込みたくなかった。 翼:「健人、あの子は美咲たちにも負けているし、これ以上負けの経験を積ませてもいいのかよ。」 健人:「ああ。負けることにも意味があるからな。」 翼:「しかし、それで桜笠のトレーナーとしてのやる気が消えたらどうするんだよ。」 健人:「翼、お前が桜笠に好意を持っているからそういうことを言うのは分かる。しかし、それくらいで参るあいつじゃないさ。」 菜々美:「言えてる。蓮華ってそういうところあるし。」 蓮華はそういう子だから。あたしはだから蓮華が好きなの。蓮華とあたし、そして海ちゃんと美香となずな。 この5人の仲良しグループができたのだって、蓮華がいたからだよ。蓮華って、結構傷ついたりしてるはずなのに、 負けず嫌いなのか、反発の影響が強いのか、芯が強いのか分からないけど、結構強いんだ。でも、しょうもないことで 混乱して倒れたり、弱気になるから変わってる。でも、多分そこも蓮華の特徴の一つで片付けれちゃうんだ。 菜々美:「だから、大丈夫ですよ。」 あたしは不服そうな翼先輩にはっきり言った。 次の日。あたしはセンターのバトルフィールドで彼らに会った。知らせを聞いたのか、美香が審判をやるらしい。 美香:「蓮華の使用ポケモンは3体で入れ替えは自由よ。」 蓮華:「了解。」 菜々美:「それじゃ、まずはあたしからね。」 菜々美ちゃんが前に歩み出た。 美香:「あ、蓮華にもう一つ、大事なルールがあったの忘れてた。」 蓮華&菜々美:「何?」 美香:「これは健人先輩と翼先輩からの提案。蓮華は2勝すればこの勝負は勝ったも同然だけど、健人先輩に負けた場合、 それは負けになるって。この中で、健人先輩は別格だからでしょ?」 美香が言うと、健人先輩はうなずいていた。 蓮華:「そんな〜!!」 菜々美:「先輩らしいかも。それじゃ、行って来てね。マリルリ!」 マリルリ:「ルリルリ!」 菜々美ちゃんのパートナーは色違いの水色のマリルリだった。 蓮華:「あたしはこの子で行く!サニーゴ!」 サニーゴ:「サニ!」 美香:「試合開始!」 蓮華:「サニーゴ、先手必勝のトゲキャノンよ!」 菜々美:「丸くなって!」 あたしはサニーゴにトゲキャノンを打たせた。サニーゴの特性の「はりきり」は命中力を上げ、急所に当てることができる。 それなのに菜々美ちゃんはマリルリに丸くさせた。 菜々美:「転がる攻撃よ!」 蓮華:「鉄壁で守って!」 マリルリはトゲキャノンのダメージを丸くなって受け流したらしく、転がる攻撃のコンボを使ってきた。 鉄壁で守るものの、サニーゴは後ろに押されている。 菜々美:「マリルリの転がる攻撃は半端じゃないのよ。いつまで受け止められるかしら。」 蓮華:「それなら、サニーゴ、地震よ!」 地震を転がる攻撃が間近に来た瞬間に放った。至近距離での地震は大きなダメージになるはずだった。が。 菜々美:「水鉄砲を地面に撃って!」 マリルリは水鉄砲の威力を利用して空中に逃れていた。そして。 菜々美:「破壊光線よ!」 破壊光線はサニーゴに命中し、サニーゴは跳ね飛ばされた。自己再生を使わせたけど、さすがにこれには驚いた。 菜々美:「どう?蓮華ちゃんにはまだまだ負けないわよ。マリルリ、アイアンテール!」 マリルリのアイアンテールは美香のマリルと同じ原理だった。でも、同じ手は食わない。 蓮華:「サニーゴ、岩石封じの岩柱を自分を中心に作り出して!」 サニーゴの周囲には複数の岩の柱が地面から現れた。普通、岩石封じは相手を岩の柱の中に閉じ込めるが、 これはそれとは違い、岩柱を作り出すことで相手の疲労を多くさせることができる。 マリルリは岩石封じの柱をアイアンテールで壊しながら向かってきた。これを待っていた。 蓮華:「ありったけの力で原始の力よ!」 菜々美:「!?しまった!」 菜々美ちゃんは気づいたけど遅かった。壊された岩柱の残骸が宙に浮き、すべてがマリルリに対しての攻撃物体に変わったのだ。 無数の岩の体当たりによってマリルリは倒れた。 美香:「マリルリ戦闘不能!蓮華の一勝よ。」 蓮華:「やったぁ!」 菜々美:「ごめんなさい。負けちゃいました。」 翼:「それじゃ、次は俺だな。もし次で桜笠がキレイハナを使わなかったら健人は有利だよな。」 健人:「ああ。そのつもりで作戦は組んである。しかし上草、さっきのバトルでは雨乞いや凍える風を使うべきだと 思うぞ。」 菜々美:「あ、波乗りでフィールドを多いつくせばよかったってことですか?」 健人:「ああ。サニーゴはどう足掻いても岩タイプを含む。水の強い攻撃には多少のダメージは防ぎきれないからな。 それに、たとえ相手がミラーコートを使ったとしてもあいつの動きには斑があった。あれでは攻撃と防御の間に十分な隙ができる。」 健人は蓮華のバトルをしっかり観察していたのだ。そして蓮華の弱点を次々と見抜いていた。 健人:「今あいつのバトルを点数につければ10点にも満たないだろう。」 菜々美:「あたしは?」 健人:「同じくらいだな。相手を下手に見て油断したから負けただろ。」 菜々美:「厳しい。」 健人:「それくらいではないと成長しないものだ。」 翼:「菜々美を倒せるとはな。でも、俺には勝てないと思うぞ。」 蓮華:「そんなことないです。翼先輩と健人先輩のポケモンは大体予想できてるから。」 翼先輩は水翼の能力者だから、水系か飛行系のどっちかを使ってくるし、すばやさが高い。だったらそれには。 蓮華:「翼先輩のポケモンは絶対にすばやさが高い。だからこの子です。ロコン、お願いね。」 あたしはメンバーの中ですばやさのバトルに向いているロコンを投入した。 翼:「(これで健人の勝利は見えた)そうか、ちょっと不利かもな。ハッサム、行ってこい!」 翼先輩の表情が一瞬ニヤッとした。それが気になったけど、相手は鋼という炎に弱い属性。あたしに勝利が向いた。 あたしはそう確信していた。でも。 美香:「試合開始!」 試合開始直後、ハッサムの姿が消えた。 蓮華&ロコン:「!?」 翼:「ハッサム、スピードスター!」 いきなりハッサムはロコンの背後に現れた。スピードスターの連続攻撃に避ける間もなく、ロコンは攻撃を受けてしまう。 蓮華:「ロコン、高速移動と電光石火のコンボよ!」 ロコン:「コ〜ン!」 これですばやく動いてるロコンに攻撃は当てにくくなった。 蓮華:「ハッサムが消えたのは高速移動によるものですよね。」 翼:「ああ。やっぱり分かったか。そういうことだ。それならこれはどうだ!影分身。」 ハッサムがロコンの周囲に現れた。 翼:「続いて嫌な音と睨みつける攻撃だ!」 ロコンは何故かほぼ混乱に近い状態になっているのが分かった。 蓮華:「ロコン!?」 翼:「ハッサムの体は目が4つ見えるような姿をしている。それによって威嚇に似た症状が出たんだよ。 これで防御は0に等しい。ハッサム、メタルクロー!」 蓮華:「ロコン、穴の中に逃げて!」 メタルクローが当たりそうになる瞬間、間一髪ロコンは穴を掘って逃げた。 翼:「逃げたか。でも、それで攻撃はかわせていないぞ。ハッサム、穴に向かってスピードスターだ!」 蓮華:「鬼火よ!」 ハッサムは穴の真上にいなければスピードスターを当てることは不可能だった。それを察した蓮華はすばやさを下げさせるために 鬼火を放たせた。スピードスタート相殺するものの、鬼火はハッサムに燃え移った。 翼:「何!?」 蓮華:「火傷を負ったハッサムはすばやさが下がるわ。ロコン、穴から出て火炎放射よ。」 翼:「影分身だ!」 蓮華:「封印!そして怪しい光!」 ロコンは影分身を封印させ、使おうとした直後に使えなくなったハッサムには少しの隙ができた。そこに怪しい光が放たれた。 翼:「ハッサム!」 翼先輩はハッサムに指示をしているけど、ハッサムは自分にスピードスターを打ち、自分の羽を挟んでいる。 蓮華:「ロコン、今よ。オーバーヒート!」 ロコン:「コ〜〜〜ン!」 オーバーヒートはハッサムを貫き、ハッサムは倒れた。 美香:「ハッサム戦闘不能。蓮華の2勝目!」 蓮華:「やったぁ!」 菜々美:「あ〜あ、翼先輩も負けちゃった。」 健人:「勝負を急ぎすぎて穴の真上から狙ったのが問題だろうな。穴に攻撃を仕掛けておびき寄せるほうが得策だっただろう。」 翼:「悪い、負けた。」 すると健人は今菜々美に話したことをそのまま話した。 翼:「そっか。そうすりゃよかった。」 菜々美:「でも、あたしも翼先輩も自分の能力で強くなってるパートナーの技、使わなかったね。」 翼:「あいつが使ってこないからな。ま、桜笠がそれに気づいているかが問題だけどな。」 菜々美:「多分気づいてないですね。でも、もし蓮華ちゃんが気づいて使ってたら、あたしはマリルリに鳴き声やハイパーボイス、 使わせてました。」 翼:「だろうな。」 菜々美:「翼先輩は蓮華ちゃんに好意持ってるし、だからでしょ?」 翼:「…。」 健人:「それじゃ、俺があいつを倒してくるよ。頭を冷やさせると言うほうがいいか?」 菜々美:「どっちでも。頑張ってください。」 ついにこの時が来た。健人先輩がすでにエビワラーを出してあたしの前にいた。 健人:「あの二人を倒したことはまずよくやったと言いたい。が、お前の弱点がよく分かった。俺はお前を倒すからな。」 蓮華:「あたしも手加減しません。多分、この子の方があたしよりもやる気満々だから。」 キレイハナ:「そういうこと。」 あたしの言葉に反応してキレイハナがボールから飛び出してきた。 キレイハナ:「あたしには草タイプに使えない技がかなり使えるの。だから半端じゃないよ。」 健人:「油断する気はない。エビワラー、行くぞ。」 美香:「それでは最終試合を始めます。これで健人先輩が負けた場合、蓮華のお月見山に入ることが許可され、 蓮華が負けた場合、当分ここに留まるということが決まります。それでは試合開始!」 健人:「エビワラー、気合だめだ!」 蓮華:「キレイハナ、剣の舞よ!」 エビワラーは気合を溜め、キレイハナは剣の舞を行う。本当は先手必勝をするつもりだったけど、菜々美ちゃんとの戦いで それが意味なかったのでやらないほうがいいと思ったからだ。 健人:「エビワラー、連続でマッハパンチだ!」 蓮華:「リーフブレードと爆裂パンチで受け止めて!」 キレイハナ:「分かった!」 健人先輩のエビワラーはマッハパンチで先制攻撃を仕掛けた。それをキレイハナの左手のリーフブレードが受け止め、 右手のマッハパンチを爆裂パンチで止める。 健人:「なるほど。それならエビワラー、スカイアッパーだ!」 エビワラー:「エビ!」 キレイハナ:「きゃっ!」 キレイハナはエビワラーが一瞬の間合いを取ったことでふらつき、スカイアッパーをまともに受けた。 健人:「高速移動でジャンプ、そしてメガトンパンチだ!」 蓮華:「花びらの舞で目くらましよ!」 エビワラーはすばやい動きで宙に浮いたキレイハナに近づき、キレイハナの花びらの舞を受けながらもメガトンパンチで キレイハナを地面に叩き落した。 蓮華:「蔓の鞭で体を支えて!」 キレイハナ:「分かった!」 キレイハナの体から伸びた蔓が落下の衝撃を和らげ、キレイハナは普通に地面に降り立った。 健人:「なかなかやるな。しかし、これで終わりだな。」 あたしの目の前で健人先輩は何かのポーズを取った。するとエビワラーが同じポーズをして、健人先輩の体から青いオーラが 出てくるのが見えた。そしてそれはエビワラーに入っていった。 健人:「エビワラー、マッハパンチだ!」 蓮華:「キレイハナ、リーフブレードで受け止めて!」 再び攻撃が来た。今度も受け止められる、そう思ったけどエビワラーの攻撃にキレイハナが押されていた。 キレイハナ:「何これ、さっきとはパワーもスピードも別格だよ。」 蓮華:「分かった。ハイパーボイス!」 あたしはキレイハナにハイパーボイスを使わせてエビワラーを一時遠ざけた。 蓮華:「これってもしかして美咲ちゃんたちが行ったことと…。」 健人:「ああ。全く同じだ。俺の闘力の力をエビワラーに込めた。この状態でお前はエビワラーに勝てるのか?」 蓮華:「そんな…。」 健人:「はっきり言おう。上草や翼も同じことができる。あえて使わなかったが、使ったとしたらお前は負けていた と言うことになるだろう。これが最後だ。エビワラー、気合パンチ。」 あたしは力の差に愕然としていてキレイハナに指示が出せずにいた。しかし、それに対してキレイハナが向かっていった。 キレイハナ:「蓮華、あたしは負けないよ!蓮華の必殺、光の爆弾!」 キレイハナは手から緑の光の玉を無数出して、それをエビワラーに投げつけた。気合パンチを準備中のエビワラーは攻撃を受けたことで、 気合パンチを止めてしまっていた。 蓮華:「キレイハナ…。」 キレイハナ:「蓮華らしくないよ。あたしも蓮華も勝つ自身があるんだし、頑張らなきゃ。 今の技、野武士に使ったでしょ。一度あたしもできないかと思って練習しておいたの。」 キレイハナが使ったのはあたしが野武士に使った攻撃能力だった。ソーラービームが圧縮されて弾丸みたいになったもの、というのが 正しいんだけど。キレイハナは光合成の光を溜めて放ったようだ。 健人:「なるほどな。桜笠はパートナーに助けられてここまで来たのか。しかし、本当にこれで最後にしてやろう。 エビワラー、カルテットパンチだ。」 健人先輩の攻撃が来た。 蓮華:「技の正体が分からないし、キレイハナ、高速スピンで葉っぱカッター!」 けん制技である。これでエビワラーを足止めした。エビワラーはパンチによって葉っぱカッターを防いでいた。するとカルテットパンチの正体が分かった。 蓮華:「炎のパンチ、冷凍パンチ、雷パンチ、そしてマッハパンチ。その4つの力が働いてる。このスピードに追いつくには、 キレイハナ、日本晴れ!」 日本晴れがフィールドを包んだ。それによって空気が乾燥し、冷凍パンチと雷パンチの威力は薄れていた。しかし、 この状態では炎のパンチの威力は上がる。 蓮華:「蔓の鞭でジャンプして、地面にソーラービームよ!」 キレイハナ:「了解!」 地面はソーラービームの攻撃を受けて爆発の煙に包まれていた。 健人:「目くらましのつもりだな。エビワラー、キレイハナの気配を探れ!そしてそこに破壊光線だ!」 エビワラーは気を集中させ、周囲の物音を聞いた。そして音のする方向に破壊光線を打ち出した。が。 キレイハナ:「残念でした。」 煙が消えると同時にエビワラーに蔓の鞭が巻きついた。破壊光線の反動で動けないエビワラーはさらに動けなくなった。 健人:「何!?今確かにキレイハナに攻撃を当てたはずだが…何!?」 先輩たちもエビワラーも気づいた。キレイハナは身代わりをつくり、身代わりを動かしていたのだ。身代わりは攻撃したことで 今ようやく消えた。 健人:「しかし物音を消すとは考えたな。」 キレイハナ:「根を張ったのよ。地面と一体化したの。これで終わりね。」 キレイハナはエビワラーを振り回し、地面のソーラービームでできた穴にたたき付けた。 健人:「エビワラー!」 でも、エビワラーはまだ倒れていなかった。が、体の下半分が地面にはまってしまっていた。 蓮華:「今よ、キレイハナ、ソーラービーム!」 キレイハナはソーラービームを放ち、エビワラーを倒した。 美香:「エビワラー戦闘不能により、この勝負は蓮華の勝利となりました。」 あたしは勝った事がすごくうれしかった。 健人:「負けたか。残念だが、すがすがしい、いい気分でもあるな。桜笠、強くなったな。」 翼:「健人が負けるとは思わなかったぜ。おめでとう、桜笠。」 菜々美:「蓮華ちゃん、おめでとう。ポケモン休ませたら、明日、一緒にお月見山に入りましょ。」 あたしは(何故か美香もだけど)お月見山に入ることができる権利を貰うことができた。 と、いきなり煙幕が出てきて。 エレク:「何も言われてないけれど」 フレイ:「答えてあげるが大事なこ…。」 と、スペース団の二人が現れ、いつもの口上が始まろうとしていた。でも。 キレイハナ:「答えなくてもいいわよ、スペース団のエレクとフレイ!」 キレイハナが二人の口上をさっさと遮った。 フレイ:「ちょっと、せっかくのいいところを邪魔しないで。…強くなったのね、だったら弱小じゃないようだし、 考えは変わったかしら?そちらの4人にも聞きたいところよ。」 エレク:「俺たちの仲間に入らないか?お前たちは俺たちがここに入った理由を志穂から聞いて知っているはずだ。 だったら、俺たちの気持ちも分かるだろ?」 二人は再びスカウトに来たようだ。しかも今度は美香たちにも再びのよう。でも。 蓮華:「あたしは絶対に入らない。」 美香:「あたしも。悪の手先になる気はないわ。」 菜々美:「同感。」 翼:「ポケモンの生態系への影響もスペース団が悪くしている傾向もある。それに関してお前らを倒さなければならない 傾向も出始めてきているところだ。」 健人:「能力者に対する差別・迫害には俺たちも分からなくはないが、俺は仲間にはならない。悪いけど、帰ってくれないか?」 あたしたちは全員、拒否した。 フレイ:「それはあたしたちの居場所を潰すという事ね。」 エレク:「やっぱり叩きのめさないといけないな。お前らのポケモンは倒れた状態で、後はそこのポケモンセンターに預けてあるだろうが、 既にそこのポケモンセンターの機械は電気が遮断してある。だからお前たちはポケモンを持っていないことに等しい。」 フレイとエレクはコータスとエレブーに引き続き、マグカルゴとライボルトを出した。 フレイ:「残念だけど、ここで倒れてもらうわ。」 蓮華:「それは無理よ。あたしと同じで弱小の波に飲まれていたこの子が相手になるから。」 エレク:「弱小のお前が勝てるというのか?」 蓮華:「ええ。出てきて、あたしの新しい仲間、コイッチ!」 あたしがボールを投げると、大量の水と共にギャラドスが姿を現した。 菜々美:「ギャラドス!?持ってたの!?」 翼:「こいつを使われたら終わってたな。」 さすがのみんなも驚いている様子。 エレク:「しかし、ギャラドスは水と飛行の属性だ。ライボルト、電撃波!エレブー、雷だ!」 だが、雷の攻撃はギャラドスの足元にいるポケモンにすべて向いていた。 エレク:「何!?」 健人:「残念だが、俺のサイホーンの避雷針の特性がある以上、お前たちはギャラドスを倒せないだろうな。 桜笠、止めを任せる。」 蓮華:「はい!ギャラドス、ハイドロポンプ!」 ギャラドスはハイドロポンプを使ってスペース団を吹っ飛ばした。 フレイ:「う〜ん、絶対に次は負けないんだから!」 エレク:「弱小があれほどになるとはな。次こそ負けない!」 スペース団:「最悪なバッドエンド!」 彼らは星のように消えた。あたしたちはポケモンセンターの回復を手伝い、次の日、お月見山に入ることにした。 中では何が待っているのやら。