昨日のバトルによってあたしは菜々美ちゃんと翼先輩と一緒にお月見山に入ることを認められた。 どういうわけか美香まで一緒なわけだけど。 12.お月見山お化け事件 翼:「現在のお月見山はポケモンゲットは可能だけど、ホウエン地方からルナトーンやソルロックが、 岩山トンネルからイワークが紛れ込んだことで生態系は大きく変化しているんだ。だけどピッピ、パラス、ズバット、 イシツブテ、サンドのように前々から生息しているポケモンも多く住みついた状態で、生態系が破壊されたわけじゃない。」 菜々美:「だから今回のトラブルもポケモンが住み着いて起こった事と思われるのよ。」 蓮華:「お化けってことはゴーストタイプ?」 翼:「可能性はある。しかしスペース団の可能性もある。既にこの辺りは俺たちが調査済みだからいいけどな。」 あたしたちはお月見山の上中下の下の部分にいた。ポケモンたちも普通にあたしたちの周りをうろつき、キレイハナやエイパム(美香の) が野生のポケモンに声をかけたりしている。 美香:「どういう事件だったっけ。」 そんな時に美香のボケが入った。静寂が広がりかけ、翼先輩が一から話すことに。あたしも大まかしか知らなかったわけだけど。 翼:「一週間ほど前からお月見山のどこかから変な音が聞こえるようになった。初めはポケモンの嫌な音だと思われていたけど、 それとは違ってポケモンに対し影響はなかった。しかしその音が聞こえなくなってすぐに、ポケモンやトレーナーが背後から 攻撃を受けるようになった。この辺りのトレーナーの多くはニビとハナダのバッジを持つものが多いから、それなりに程よいレベルにはいる。 しかしその彼らで歯が立たないらしい。それで俺と菜々美、健人がポケモン警察に頼まれたのさ。俺たちは結構事件解決に関わってるからな。」 と、美香がいなかった。 菜々美:「美香は?」 蓮華:「エイパムはここにいるのに…、何かあったのかな?」 翼:「お化けにさらわれたのかもな。急いで探すぞ。」 あたしたちが探そうとして分かれた時だった。いきなりあたしたち3人をバラバラにでもするように、岩が落ちてきたのだ。 翼:「何!?そうか、罠か。」 菜々美:「蓮華ちゃん、美香のエイパムとあなたのキレイハナはこっちにいるわ。安心して。」 キレイハナ:「蓮華、健人さんに知らせて。」 蓮華:「分かった!」 キレイハナに言われたあたしは急いで入り口に戻ることにした。でも、そんなあたしは何かを感じ、振り向いた直後口をふさがれて、気を失ってしまった。 岩によって桜笠や上草とバラバラにされた俺は、一応もう少し進むことにした。多分これはスペース団の仕業と読んでいいと思う。 俺たちは結構色々な事件の解決に貢献したりもしているために、その分、恨みを買っていてもおかしくない。 だからお月見山で事件を起こし、俺たちをおびき寄せたと思える。そうこう考えているうちに、誰かが後をつけていることに気づいた。 翼:「誰だ?後をつけているのは分かっているぞ。」 ??:「ばれたか。久しぶりだな。」 翼:「お前!タマムシシティでポケモンの異常増殖をしたルイズ!お前がお化け騒動の犯人か。」 ルイズ:「いかにも。元育て屋の俺にとってゴースト系のポケモンたちを複数育てて騒ぎを起こすことくらい朝飯前なのさ。」 翼:「やっぱりあの時警察に引き渡すべきだった。」 ルイズはタマムシシティの宿屋の一角でポケモンをペットに改良したと言って売っていた。しかしそのポケモンたちは実はすべて調教されていて、 自分を飼った家から貴重品を盗むようにしつけられていたのだ。それを暴くことができたものの、ルイズには後一歩のところで逃げられていた。 ルイズ:「あの時大事な俺の仕事場と仕事道具を壊されたことを忘れたわけじゃない。それにお前によって作戦を潰された奴らも大勢いる。 そいつらの協力もあるのさ。」 と、彼の後ろから二人の男が出てきた。彼らも見覚えがある。確か生息の少ない色違いのポケモンを狙う悪質コレクターたちだ。 が、二人は深田と桜笠を抱えていた。 ルイズ:「こいつらに指一本でも触れられたくなければ、お前は俺たちの奴隷になるのだ。」 翼:「何!」 俺がボールに手をかけた。すると桜笠の首に男の手がかかった。二人とも意識を失っているらしく、抵抗する様子もない。 翼:「卑怯だぞ。」 ルイズ:「うるさい。なるか、ならないか。どっちだ!」 翼:「くそぉ…なれ…」 菜々美:「マリルリ、水鉄砲よ!」 俺は降参しかけていたが、そこに上草が乱入してきた。上草のマリルリが男たちを攻撃し、桜笠のキレイハナが蔓の鞭で二人を助ける。 キレイハナ:「形勢逆転ね。」 翼:「お前ら、どうしてここに来れたんだ?」 菜々美:「あたしのズバットが超音波であなたたちを探したの。それをキレイハナがズバットから聞いてあたしたちがここに来れたの。」 キレイハナ:「蓮華の力を感じていたのに途中で途絶えたんだから。何かあったことくらい分かるよ。」 が、ホッとしている間もなかった。 ルイズ:「己!ゲンガー、ゴースト、ムウマ、ゴース、ジュペッタ、サマヨール、一斉シャドーボールだ!」 ルイズが攻撃を仕掛けてきたのだ。 菜々美:「マリルリ、ハイパーボイスよ。」 上草が自分の力をマリルリに込め、マリルリのハイパーボイスがシャドーボールを一気に消滅させた。 ルイズ:「くそぉ、しかしゴーストポケモンはまだまだいるのだ。一斉にそいつらを叩きのめしてしまえ!」 ルイズは叫んだ。しかし向かってきたのはルイズがさっき放った奴らだけだった。 翼:「ハッサム、テッポウオ出てきてくれ。ハッサム、鋼の翼、テッポウオ、サイケ光線!」 菜々美:「マリルリ続けてお願いね、ズバット、バタフリー頼むわよ。マリルリは水鉄砲、ズバットとバタフリーは超音波!」 エイパム:「エイパム(目覚めるパワーだ)!」 キレイハナ:「マジカルリーフよ!」 ルイズのポケモンは一気に倒れた。コレクター二人は不利と感じて逃げ出していた。 ルイズ:「なぜだ、どうして俺のゴースと軍団が現れない!」 ??:「それは既に倒されているからですわ。あなた方の悪いポケモンはこのフシギダネがすべて種から吸い込んで、 綺麗に吐き出されています。その時にはすべて戦闘不能ですし。」 和服姿の女性が姿を現した。そばにはモンジャラが控え、先ほど逃げていったコレクターを捕まえている。 ルイズ:「どうしてここにタマムシのジムリーダーがいるのだ!」 ジムリーダー:「ポケモン警察に私も依頼を受けましたの。前回私の町を救ってくれた方にもお会いしたかったので。 それにしてもまたあなたと思いませんでしたわ。今度こそ、ポケモン警察に身柄を引き渡します。」 ルイズ:「されるか!」 ルイズは逃げ出そうとしていた。が、モンジャラの蔓の鞭がルイズの足を引っ掛け、眠り粉で彼は捕まった。 あっけなかった。 ジムリーダー:「ご協力を感謝いたしますわ。」 事件解決後、俺と上草と健人は彼女に会った。桜笠たちは薬で眠っている。 健人:「いえ、あなたのご協力がなければこいつも敵の手に落ちていたわけで、俺たちの油断がなければもう少し 早くに解決できていたものです。ありがとうございました。」 翼:「…。」 俺は何も言えない。 ジムリーダー:「それでは失礼しますわ。いずれ、男性禁制のジムと呼ばれていますが、タマムシジムにお越しください。 お茶をご馳走いたします。」 そういうと彼女は去っていった。彼女がいなくなると、健人が俺を向いた。 健人:「油断したな。」 翼:「悪い。」 健人:「上草の機転のおかげで多少助かったが、桜笠にも危険が及んだわけだ。 哲也に対して申し訳がたたない。お前は少し旅から離れるべきかもしれないな。」 菜々美:「そうかもね。あたしたちの中で一番恨まれてるとしたら翼先輩だし。この際、エリカさんのジムに行ったら?」 エリカ、先ほどのジムリーダーのところか。 菜々美:「でも、蓮華ちゃんのことも諦められないかぁ。」 健人:「翼、俺と上草は行くからな。お前は一度オーキド研究所に戻っていてくれ。」 あたしが起きたのは次の日のことだった。キレイハナに事情を聞くと、翼先輩に悪事を見破られた人が起こした復讐だったらしい。 翼先輩が悪いわけじゃなくてあたしが油断して捕まったのに、翼先輩は自分の責任と感じてオーキド研究所で謹慎処分を受けるらしい。 美香や健人先輩は既に出発した後だった。 蓮華:「ちょっと電話してくるね。」 キレイハナ:「おう!それじゃ待ってるね。」 あたしは翼先輩にかけた。でも、出たのは哲兄だった。 哲也:「よぉ。」 蓮華:「哲兄、元気そうだね。怪我治った?」 哲也:「その原因はお前だろうが。」 蓮華:「うるさいなぁ。ねえ、翼先輩に代わって。」 しかし。 哲也:「駄目だ。」 蓮華:「だって捕まったのはあたしのせいだし。」 哲也:「いや、あいつが今出たくないらしいんだ。多分お前からかかってくると思ったらしくて、お前からかかってきたら 代わらない様に言われたからな(お前に好意を持ってることはムカつくけど)。」 蓮華:「分かった。それじゃ元気付けてあげてよ。」 哲也:「気が向いたらな。」 結局それで電話を切った。 あたしは翼先輩に会いたかった。何故か知らないけど、会いたくなった。でも、会いに行っても会えない気がした。 キレイハナ:「まだ先輩のことを考えてるの?」 蓮華:「だって…。」 キレイハナ:「しょうがないよ。今はそっとしておいたほうがよさそうだし。」 結局あたしは出発していた。というより、キレイハナにせがまれてだったけど。 蓮華:「うん。そうかもしれないけど。」 あたしはどうしてか分からないけど、妙に先輩が気になっていた。それをキレイハナに聞こうと思った時だった。 ??:「そこのトレーナーに一つ勝負を挑ませてもらいたい。」 目の前に大きな男の人がやってきた。多分、山男トレーナーだと思える。 ??:「俺は山男の昇という者だ。お月見山がようやく通れるようになったがトレーナーの数が少ない。 バトルでもして気分を盛り上げたいところだ。」 あたしは「いいですよ」と言おうとした。が。 ??:「面白そうだな。俺も参戦させてくれよ。」 ノボルの横に着ぐるみを来たお兄さんがやってきた。多分、怪獣野郎。 ??:「俺は怪獣野郎のアキラだ。俺は昇さんの横に着く。ダブルバトルだ!」 蓮華:「あ、はい。」 あたしのこの驚きの了解はダブルバトルでいいということに思われたらしかった。そのため、 昇:「行け!ゴーリキー。」 アキラ:「それなら俺はニドリーノ、お前だ!」 と、二人はポケモンを出してきた。あたしは引くに引けなくなったので、バトルをすることにした。 蓮華:「毒と格闘タイプにはエスパーね、バタフリー、それからメリープ、お願い!」 あたしはバタフリーとメリープを出した。 蓮華:「バタフリーはサイケ光線、メリープは電気ショックよ!」 バタフリー:「フィ〜!」 メリープ:「メィ!」 アキラ:「させるか、ニドリーノ、バタフリーを睨みつけろ!」 昇:「ゴーリキー、メリープに猫騙し。」 バタフリーは睨みつけられて驚き、サイケ光線を発動させられず、メリープは猫騙しにひるんでしまった。 アキラ:「今だな、昇さん、ちょっとすいませんね。ニドリーノ、ゴーリキーに毒針だ!」 蓮華:「えっ!」 アキラは昇さんのゴーリキーに攻撃をした。が、逆にゴーリキーはその攻撃を受けてる上、昇さんも怒っていなかった。 キレイハナ:「蓮華、ゴーリキーの特性は根性、これは状態異常のときに攻撃力が上がるの。」 キレイハナが見かねてこっそり教えてくれた。 蓮華:「ゴーリキーの攻撃力が上がった…、それならニドリーノを先に倒すわ。メリープ、体当たりよ!」 メリープ:「メィ!」 アキラ:「ニドリーノ、受け止めて押し返せ!」 メリープの攻撃はニドリーノが受け止め、そして突進で押し返されてしまう。そのうえ、メリープの動きが鈍くなっていた。 蓮華:「状態は…毒!?どうして!」 アキラ:「ニドラン系のポケモンの体に攻撃をすると毒にやられるのさ。知らないようだな。ニドリーノ、突進だ!…ニドリーノ?」 が、ニドリーノも動きが鈍くなっていた。 実はあたしも気づいてなかったんだけど、体当たりと突進がぶつかった時にニドリーノは麻痺状態に、メリープは毒状態になっていたのだ。 そんな時、いきなり昇さんの様子が激変していた。 昇:「こっちを忘れては困るな。ゴーリキー、地震だ!」 アキラ:「へ?昇さん、どうして俺まで…」 地震はニドリーノとメリープを倒し、アキラのおなかを殴って気絶させていた。 昇:「俺の計画には元々お前などいない。邪魔な存在にはこの場から消えてもらいたいからな。」 蓮華:「メリープ、戻って。…あなた、ただのトレーナーじゃなさそうね。」 明らかにトレーナーとは違う。まさか…。 昇:「ああ。俺はこれでもスペース団探索部隊の隊長だからな。君が草能力の少女だな。」 蓮華:「それを知ってるってことはやっぱりあたしのこと、スペース団にばれているのね。」 昇:「ああ。フレイとエレクが敗れた以上、二人の名目上の上司である俺が代わりに君をスペース団に迎えたい。」 またスカウトだった。スペース団を潰す発言で切れられる可能性は少ないけど、でも明らかにレベルが高そうだった。 というのも、いつの間にかゴーリキーが戻されているのだ。あたしが一瞬目をそらした時に戻したみたいだけど、それでも1秒にも満たないはずだ。 昇:「今のところ他の君のようなトレーナーは能力を俺たちの前には示していない。そのために他のトレーナーに対してはスカウトが無理な状態だ。 しかし君の能力は俺たちの組織では重要な位置になることは間違いない。」 蓮華:「嫌よ、バタフリー、吹き飛ばし…」 あたしは断り、人間に対してのポケモンの技はよくないけどこの人が嫌だったから吹き飛ばそうと思った。しかし、 バタフリーは一瞬でボールから飛び出したゴーリキーによって地面に落とされていた。 昇:「俺を甘く見ては困るな。さて、もう一度聞こう。スペース団に入るか、それとも入らないか。どっちだ。」 蓮華:「あたしは…」 キレイハナ:「蓮華、何も言わなくてもいいよ。あたしたちは入らない、それが答えだから。」 キレイハナがあたしの前に飛び出した。 昇:「そうか、それならゴーリキー、破壊光線だ!」 しかしゴーリキーの破壊光線はあたしたちに飛ばず、他の方向に飛んでいった。 昇:「何!?」 キレイハナ:「残念でした。あたしもさっきからここに出てたのよ。でも、蓮華とバタフリーにしか意識が向いてなかったのが失敗ね。」 蓮華:「どういうこと?」 だが、あたしが聞くよりも早く、その方向からポケモンが寄ってきたのだ。 昇:「隕石ポケモンのルナトーンにぬいぐるみポケモンのピッピだと!?」 キレイハナ:「あたしがついさっき作った友達よ。そしてあなたたちにはこれ。指はもう振り終わったわ!!」 キレイハナが言った直後、辺りをとてつもない光が包み、大爆発が起きていた。 数分後、あたしとキレイハナはお月見山から外に出ていた。 蓮華:「それじゃ、あたしがバトルしてたときからあの場所にいたの?」 キレイハナ:「そうよ。ヒマだったから試しに野生のポケモンに声をかけたの。そしたら蓮華がまたスカウトされてるし、 断ったらどうなるか、大体予想できたし。だからルナトーンにリフレクタを張ってもらった状態でピッピにゴーリキーが技を出したら この指止まれをするように頼んだの。それからあたしは指を振ってたの。」 それにより、ルナトーンのリフレクタを張った場所に破壊光線が飛び、スペース団の意識がそれた時、キレイハナの指を振るが発動したのだ。 しかもそれが運良く「大爆発」だったのだ。 蓮華:「ありがとう。さすがに助かったわ。でも、こっちに来てるみんなも結構見られてることが分かったし、 これからも気をつけないとね。それから、この二人も仲間になったし。」 あたしはキレイハナに紹介を貰って、ルナトーンとピッピをゲットしていたのだ。 多分、あたしの前にはまだまだスペース団が出てくると思える。今のあたしだと、絶対に勝てない。でも、みんなでもっと頑張らなきゃ。