その日岬の灯台のカップルたちは、ポケモン研究家が引き起こす日常茶飯事の爆発音の前に白い影を目撃していた。 しかし彼らはまた何事もなかったかのように寄り添い、場違いの爆発音を効果音と一体化させて気にせずに過ごしていた。 16.灯台のポケ人 岬の灯台は旅立っているカスミでさえ告白された、カップルにとっての憩いの場所であり、告白のメインスポットである。 だが、それは灯台の外のことで、中ではポケモン研究家が研究・実験に明け暮れる状態の場所だった。そして今日も。 ??:「あ〜、これがこうで、それはそことして…」 カタッ、スゥ〜…ガチャン! 何かの機械を開発している彼は弾みでその機械に閉じ込められてしまった。彼の服が機械のふたに引っかかったのだ。 そして彼はふたに押し込まれるようにして機械に押し込められた。そして不運にも、その機械は誤作動を起こしていて…。 ??:「わ〜!!またこれや!」 キレイハナと徹夜した次の日、あたしたちは昼までぐっすり眠り、それからゴールデンブリッジに向かった。 キレイハナはボールの中でまだ眠っていた。そしてゴールデンブリッジに到着すると橋の入り口には短パン小僧が座っていた。 短パン小僧:「君は、もしかしてここを通るのか?」 蓮華:「そうだけど、何?」 短パン小僧:「ここはハナダシティ名物のゴールデンブリッジ、ここを通るトレーナーは5人のトレーナーと勝負をしなければいけないって 知ってるか?」 蓮華:「ううん。全然。でも、面白そうね。」 短パン小僧:「おぉ!久々に挑戦者が出たか。あのね、普通に通りたかったらあっちの橋を使えばいいからさ、あまりこっちを通る人、 最近はすごく少ないのさ。それじゃ、頑張ってくれよ。5人目に勝てば商品がもらえるからさ。」 あたしはゴールデンブリッジ(本当に金ピカの橋)を通り始めた。すると。 虫取り少年:「ちょっと待ってくれよ。まずはこの僕が勝負だ。」 蓮華:「いいわよ。」 虫取り少年:「それじゃ、行け!キャタピー!」 蓮華:「あたしはこの子、ロコン、お願いね。」 虫取り少年:「体当たりだ!」 キャタピー:「キャピ!」 蓮華:「火炎放射よ!」 ロコン:「コ〜ン!」 こんな感じであたしはバトルを続けた。虫取り少年はキャタピーとトランセルを、ミニスカートはニドラン♀とポッポ、 ボーイスカウトはマンキーとイシツブテ、ガールスカウトはエイパムとコラッタ、短パン小僧はパラスとズバットを出してきた。 でも、虫取り少年にはロコン、ミニスカートにはメリープ、ボーイスカウトにはルナトーン、ガールスカウトにはサニーゴ、 短パン小僧にはロコンとサニーゴを使って圧勝してしまった。 少年:「おめでとう、商品はこれ、神秘の雫だよ。」 橋の出口に来ると、一人の少年が立っていた。 蓮華:「ありがとう。」 少年:「あのさ、ここだけの話だけどスペース団に入らないか?」 蓮華:「えっ?」 少年:「黄身みたいな強いトレーナーが入ればスペース団は一挙に力がつくしね、君みたいな子は歓迎だよ。」 蓮華:「遠慮します。」 少年:「え〜、入ってよ。入って。入れよ、入れってば!入れ!」 でも、あたしは否定した。すると。 少年:「入らないのか、それなら無理やり入れてやる!」 そう言って、ゴーリキーを出してきた。 少年:「ゴーリキー、その子を締め上げろ。」 蓮華:「させないわよ。かわりにそのポケモンの自信をなくさせたげる。タネボー、お願いね。」 あたしはタネボーを出した。 少年:「そんな奴でこいつは倒せないぞ。」 蓮華:「どうかしら、タネボー、固くなるのよ。」 少年:「ゴーリキー、遠慮するな。そいつを思い切り握ってやれ!」 ゴーリキーはタネボーを持ち、そして握った。しかし、ゴーリキーは必死の表情だが、タネボーはまだ元気な表情で笑っていた。 少年:「何!?そんな馬鹿な!それなら、ゴーリキー、そいつにメガトンパンチだ!」 ゴーリキーはタネボーを上に投げ、それをメガトンパンチで叩き落した。 少年:「これで分かっただろう。タネボーなんかでゴーリキーには勝てな…何!?」 少年は驚いていた。タネボーは起き上がったからだけど、十分硬くなっているから攻撃があまり効いていないって、分かっていないようだ。 蓮華:「次はこっちから行くわよ。タネボー、我慢を解いて!」 実はタネボーは我慢していた。そのため先ほどの効いてはいないが与えられたダメージがエネルギーの塊に変わり、ゴーリキーを跳ね飛ばした。 少年:「ゴーリキー!」 ゴーリキーはふらふら状態だった。 蓮華:「今よ、タネマシンガン!」 この攻撃はゴーリキーの顔に命中した。そしてゴーリキーは倒れた。少年はがっくりしていなくなってしまった。 まあ、いいか。 蓮華:「タネボー、ご苦労様。」 タネボー:「タネ!」 そしてやってきました。灯台です。が、今日は微妙に曇っているためか、人がほとんどいない。 キレイハナ:「よかったんじゃないの?恋人がいない状態で来るほうがショック受けやすいんじゃない?」 蓮華:「…いきなり出てきてそれはないんじゃない?」 キレイハナ:「でも、事実よ。」 蓮華:「確かにそうだけど…、あれは、何?」 あたしはふと視界に入った何かに疑問を思った。 キレイハナ:「何々?…何あれ。」 あたしたちが見たのは、コラッタの体に人間の髪の毛がつき、ぶつぶつ何かを喋りながら動いている物体だった。 ??:「あ〜、参ったわ。食料も何もあらへん。燃料さえもわいがやらなきゃいかんし…」 蓮華:「あの〜。」 あたしが近づくと、それは一瞬驚き、そして喜んで近づいてきた。 ??:「よっしゃ!怖がらんと近づく子がおったわ。」 それは関西弁みたいな言葉で喋った。コラッタの顔と人の顔が合わさったようなものだった。 キレイハナ:「あたしとニャース以外の喋れるポケモンかしら?それともポケ人?」 ??:「そうやない!わいは人間や!にぃしても、喋れるキレイハナがおるとはな。へぇ〜、ほぉ〜。」 それはキレイハナをまじまじと眺め、さすがのキレイハナは…メガトンパンチを一発食らわしていた。 ??:「何するん!痛いやないか。」 キレイハナ:「あんたのやってることは乙女の体をセクハラしてるのと同じよ!で、あんたは何者よ。」 するとコラッタ型の変なそれはかしこまったようにしていった。 ??:「わいの名は雅紀や。この灯台でポケモンの研究をやっとるんや。やけど、失敗してもうてポケモンと合体してもうたんや。 それにわいのこの姿を見てみんな気味悪ごうて近寄らん。そやから頼むねん。わいを元に戻すための手伝いを…。」 蓮華&キレイハナ:「あ…」 雅紀:「何や、わいがせっかく話しとるのに…って、またかい!」 雅紀さんはオニドリルに攫われた。 雅紀:「おい、そこの二人、助けに来んかい!」 訂正、雅紀はあたしたちに命令をしていた。さすがにムカッとしたけど、キレイハナが葉っぱカッターを放った。 オニドリルはそれを眼中なしのように避けた。 雅紀:「何やっとんのや!そないな草ポケモンでこいつが倒せるかっちゅうに。普通は氷や電気技やろうが!」 キレイハナ:「そないってちょっと!」 雅紀はあたしたちをさらにムカつかせていた。 蓮華:「せっかく助けてあげようと思ってるのに!メリープ、サニーゴ、ロコン、出てきて! メリープ、電気ショック、サニーゴ、トゲキャノン、ロコン、鬼火よ!」 そしてあたしもソーラー弾をキレイハナと一緒に放った。が。空を飛んでいるオニドリルには避けやすいらしく、 すかっ!すかっ!と避け、 雅紀:「うぎゃ〜!!」 その攻撃のほとんどは雅紀が受けていた。 雅紀:「下手糞!どこ狙って撃ってるんや!それでよう旅ができるな!」 当たったから言うのは分かるけど、言い過ぎなのよね。さすがにムカつき度は上がり続けていた。 キレイハナ:「助けてほしいんだったらもう少し低姿勢になりなさいよ!このドジ研究家が!」 先にキレイハナのほうがぷっつり切れてはいたけど。 そしてついにはオニドリルは空のさらに高いところまで上がってしまった。 キレイハナ:「蓮華、ギャラドスは?」 蓮華:「今日は6匹しか持ってきてないの!ロコン、メリープ、サニーゴ、ルナトーン、タネボーとキレイハナだけ!」 それに昨日のバトルでの怪我が治っていないギャラドスを出すわけには行かないのだ。 と、上空が赤く光り、何かが燃えながら落下してくるのが見えた。オニドリルだった。 ??:「全く、こういうときに限って厄介なことに遭ってるんだから。あたしがいなかったらこの人やばかったよ。」 オニドリルが戦闘不能状態の丸焦げで落下した直後、目を回して気絶していた雅紀を抱いて、美香が降りてきた。 蓮華:「美香。」 美香:「ヤッホ〜、蓮華!久しぶりってわけでもないけど。」 キレイハナ:「ねぇ、一体何をしたの?どうしてあのオニドリルが焦げてるの?」 美香:「それはあたしが能力を使ったからよ。」 美香は何もないところから弓矢を出した。 美香:「あたしの能力は具現化した弓矢。これを真上に放つことで翼に、物体に撃つことで攻撃する炎の矢に変えることができるの。」 オニドリルが焦げ焦げなのは、炎属性の美香が攻撃したからだったのだ。 美香:「エイパムとトレーニングしてたら悲鳴が聞こえてね。何かなって思ったら、雅紀の声がするし。また失敗したんだって思って助けたのよ。 そしたら蓮華たちが走ってくるから。」 蓮華:「またって?」 美香:「数日前にここを訪ねたときも、雅紀はニドラン♂と合体してたのよ。間違ってボールでゲットしちゃったら、 中から声がするから驚いちゃった。」 そう言うと、美香はあたしに雅紀を預けて飛び立った。 キレイハナ:「え、もう行っちゃうの?」 蓮華:「美香も雅紀の家に行かない?」 美香:「遠慮しておく。あたしは来週に伸びたコンテストの特訓しなきゃいけないから。」 美香は行ってしまった。 それからしばらくして、あたしは気がついた雅紀の指示で、彼を元に戻した。 雅紀:「助かったわ。ずっとあのままやったらどないなことになっとったか。」 キレイハナ:「それはそれで見ものだけどね。」 キレイハナはさっきから雅紀に小声で攻撃を仕掛けていた。雅紀も初めは言い返していたけど、最後には無視するようになっていた。 雅紀:「まあ一応助けられたお礼や。この釣竿やるさかい、もらってくれへんやろか?」 蓮華:「いいの?」 雅紀:「ええ。それはすごい釣竿やない、いい釣竿や。釣れるポケモン、限られてるけどそれなりにええ代物やさかい。」 あたしは釣竿を貰った。後で早速釣ってみよう。 雅紀:「そういや名前聞かへんかったな。」 蓮華:「あ、そう言えば言わなかったっけ。あたしは蓮華。一応グロウタウンから来たの。」 すると、グロウタウンという言葉に反応したらしい。 雅紀:「ナナはんの…なるほど、別の世界から来なさったのか。」 蓮華:「ええ。」 雅紀:「しかも、能力者やな。美香っちゅう子と同じ。」 蓮華:「そうよ。あたしは草の能力者。」 雅紀:「そうやと思っとったで。さっき手から何か発したやろ。」 蓮華:「見てたなら気づいてたって事じゃない。」 雅紀:「だけど今の今まで忘れてたんや。」 この後あたしと雅紀の会話はすれ違いを含めて10分くらい続きました。その時キレイハナは何かの機械を見て回っていた。 いきなり部屋の明るさに変化があり、あたしたちが顔を上げるとキレイハナの近くの機械の一つが電気を発していた。 雅紀:「何したんや!」 キレイハナ:「知らないわよ、いきなり光りだしたの!」 多分キレイハナの言ってることが正しいと思う。キレイハナは好奇心旺盛だけど、変なことはしない大人びた面があるから。 と、ポン!という音と共に機械から何かが飛び出していた。 雅紀:「嘘やろ…」 雅紀は呆然としていた。明らかにありえないという表情をしていた。 蓮華:「ねえ、どうしたの?」 雅紀:「あり得へん。これ、故障した奴やで。動くことも起動することもないんや。」 あたしはその機械に近づき、雅紀の言葉に確信を持った。コンセントが抜け、燃料が全く入っていなかったのだ。 雅紀:「これはポケモン転送装置あるやろ、ポケモンセンターの。あれの失敗作なんや。でも、なんでなんや? ポケモンが送られてくること自体、ありえへん!」 雅紀は混乱しながらもポケモンを出した。すると、イーブイが出てきた。 蓮華:「イーブイ?」 キレイハナ:「みたいね。」 雅紀:「…」 あたしたちはさすがに驚かされていた。しかもイーブイは元気に走り回っていた。 蓮華:「どこから送られてきたのか、わかる?」 雅紀:「わからへん。何もわからへん。…なあ。」 蓮華:「ん?」 雅紀:「このポケモン、もらってくれへんやろか。」 蓮華:「どうして?」 雅紀:「持ち主も分からんポケモンや。わいがしっかり育てるのもええけど、トレーナーが育てるのもええと思うねん。」 雅紀はそう言って、あたしにイーブイをくれた。新しい仲間だけど、どうして送られてきたのかあたしも気になった。 そして、イーブイから感じたあたしの能力の残り香にも。 この先の旅で、いつかこれの理由が分かるといいな。