美咲ことフレイが自分の場所を見つけたことを期にスペース団を辞めた。それに対し、スペース団は大事な戦力の一つを失っていた。 スペース団に能力者は3人しかいなく、その中で伝説と呼ばれるポケモンを操れる可能性があるのは雷のエレクと炎のフレイのみだったために、 その痛手は大きかった。 番外編 スペース団の新団員 ボス:「ヤマトとコサブロウが行ったが駄目だったか。」 エレク:「はい。次は俺が行ってきます。」 ダーク:「そうだな、俺も行こう。」 今スペース団のボスの前にはエレクとダークが揃っていた。彼らはフレイが辞めたことに対し、怒りに似た物を持っていた。 彼らも迫害を受けていたことがあり、そのことで仲間意識を持っていたのだが、フレイがあっさり辞めてしまったからであった。 ボス:「待て。お前たちは引き続き、伝説ポケモンの調査を続けてくれ。」 エレク:「しかし、あいつはどうするんですか?」 ボス:「あいつ?草の能力者か?」 エレク:「はい、あいつをこれ以上野放しにしていてはスペース団の行う全ての作戦を邪魔される可能性があります。」 ダーク:「それに俺たちとは違い、いい思いをした弱い能力者たちも数多くこちらに来た。そいつらのことも何とかせねばなりません。」 エレクとダークはそう言って向かおうとした。しかし、それをボスは止めていた。 ボス:「お前たちに言う、これは命令だ。すでにスペース団を抜けた以上、あの女には用がない。鳳凰やエンテイを操れる可能性は減ったが、 それはお前たちの力を使ってもできるだろう。よってお前たちは俺の命令どおり、調査にもどれ!」 ボスは2人を自室から出した。 ??:「ルーク様、大変ですね。」 ボス:「リースイか。」 4人が出た直後、リースイと呼ばれた女性が部屋に入ってきた。 リースイ:「あの自己中な能力者たちをいつまで手駒にしておく気かしら?」 ボス:「お前は相変わらずのようだな。ダークはここに残すつもりだ。エレクは弱いから、いつか操り人形として使うことにしてある。 それよりも、今後のカントウでの活動部隊は決まったか?」 ヤマトとコサブロウが大事な育て屋の暗躍を失敗したためにハナダ・ヤマブキ周辺の警備が強くなってしまったため、彼ら以外のものを使うことに 決まったのだ。ヤマトとコサブロウの顔はかなり前からではあったが、今回のことで完全に割れてしまい、暗躍は難しいのだ。 リースイ:「ええ、一応ね。ちょっと欠点はあるけど使えるものばかりだし、バトルの腕はいいからそれなりに使えると思うわ。」 ボス:「分かった。お前がそう言うなら良いだろう。ヤマトとコサブロウよりは使えるものであってほしいものだがな。」 スペース団本拠地のボスの部屋でそんな会話がされていた時、その名前を言われているヤマトとコサブロウは、失敗の積み重なりにより、 ”私たちは雑魚です”という黄色の文字が模様になっているチャーミングピンクの服を着せられて床磨きをさせられていた。 さすがにスペース団内で、ヤマトとコサブロウのようなコンビは多く、幹部昇進を夢見るものも多い。そのために失敗した者たちに対しては、 それを嘲笑い、罰仕事を妨害するコンビも数多く存在していた。 ヤマト:「悔しい!」 コサブロウ:「どうして俺たちがこんなことをしなければならないんだ!」 ヤマトとコサブロウは散々墨や泥を床に落とされながらも、愚痴をこぼしながら床磨きを続けていた。 ヤマト:「こうなったら今度こそ、あの草の能力者を倒してやるんだから!」 コサブロウ:「ああ、俺たちを怒らせたらどうなるか、目に物を見せてやる!」 が、突然モップを洗うためにおいていた、ゴミが浮いて黒ずんでいるバケツが蹴飛ばされた。 そして。 ??:「それは床磨きが終わってからにしたら?弱小雑魚コンビ、いや、役立たずのお馬鹿コンビ!」 と、一人の女性がやってきた。 ヤマト:「あ!あんたはホウエン支部のマユミじゃない!どうしてこんなところにいるのよ。」 コサブロウ:「しかもそこにいるのは同じくホウエン支部のエイジ!」 エイジ:「ああ、久しぶりだな、コサンジ。」 コサブロウ:「俺はコサブロウだ!」 エイジ:「お前はコサンジで十分だ、失敗ばかりのお前が俺に楯突く気か?」 エイジと呼ばれた、妙に髪型がコサブロウに似ている男が何かの書類を見せた。 ヤマト:「なっ!あんたたち、あたしたちを差し置いて幹部に上り詰めたわね!」 マユミ:「そうよ、いいでしょ。どっかのお馬鹿コンビと違って、あたしたちは優秀なの。 あんたたちみたいなのがいるから、スペース団はお笑い集団と一緒にされるのよ。分かってるのかしらね?エイジ、あんたも何か言ってやりなさい。」 エイジ:「言う必要はない、こいつらはお馬鹿コンビで十分だ。それより、早く仕事にかかるぞ。」 マユミ:「ええ。」 そう言ってマユミと呼ばれた女性は近くのゴミ箱を蹴り倒し、エイジと共に歩いていった。 マユミ:「しっかり片付けなさいよ、役立たずの下っ端コンビ!」 エイジ:「マユミ、いい加減にそこで辞めておけ。」 マユミ:「何ですって?」 エイジ:「…いや。何でもない。」 マユミ:「そう、ならいいけど。」 彼らが立ち去った後には、初めよりも汚くなった廊下と通称お馬鹿コンビが残った。 ヤマト:「悔しい〜!何よ、あいつらは。」 コサブロウ:「あいつら昇進したからって、元々は俺たちより下だったじゃないか!今に見てろよ!」 床磨きを一からやり直すことになった二人は、ふとそこで気づいた。自分たち以外にもう一人、床磨きを行っているものがいたことを。 ??:「うんしょ、うんしょ…あ、どうも。」 目の前にいた女性スペース団員がペコリと頭を下げたので、つい返してしまう二人だった。が。 ヤマト:「何やってんのよ、あんた。」 ??:「あ、ちょっと大変そうだったので手伝ってもいいかな?って。あたし、今日からカントウの活動部隊に任命されたカエデといいます。 仲良くしましょうね。」 カエデと言う女性は妙にヤマト達に親しそうに話しかけていた。 そこへ。 ??:「おい!カエデ、勝手なことすんな!」 と、彼女のパートナーらしき青年が姿を現した。いや、青年というよりは青年と少年の間にいるような顔と背丈だったが。 カエデ:「だってぇ、バケツひっくり返されててかわいそうだったんだよぉ。」 ??:「あのなぁ!こいつらは俺達よりも下の下のもっと下の下っ端なんだよ。手伝わなくても良いんだ! それにこいつらなんかでも、昇進したらライバルになるかもしれないんだぞ、まぁ、昇進出来たらの話だが…。 あ、し、しまった…ついホントの事を…!!」 明らかにヤマトとコサブロウを見下しているのか、そうでないのか分からない男性団員。 カエデ:「ライバルでもいいじゃん。あたしは仲良くしたい!」 ??:「駄目だ。こいつらとつるんだらお前がもっとドジになるだろ。行くぞ、作戦の準備だ。」 カエデ:「あ、待ってよぉ〜!」 と、男性団員はバケツを再び、今度は奥の方に蹴飛ばしてから言った。 ??:「俺はこいつのパートナーのコタロウさ。下っ端のお前ら、覚えておけよ!」 そしてコタロウはカエデを引きずりようにして連れて行った。 さすがの二人もあの二人のキャラには押されてしまい、様子を見にやってきたボスの秘書、リースイに雷を落とされるのだった。 数時間後、マユミとエイジのコンビがリースイに呼び出された。 マユミ:「お呼びですか?」 エイジ:「ただいま、参りました。」 リースイ:「ボスからの指令よ。」 リースイはナイフを投げるようにして紙を二人に放った。 リースイ:「あたしがあなたたちを選び出したのは知ってるはずだけど、データだけでは不十分なの。 それでこの指令を送るわ。成功すれば、今あたしが取り組んでいるプロジェクトに加えてあげるわね。」 マユミとエイジはその紙を見た。 ”オーキド研究所にいる二人の能力者のうち、どちらか一方を倒してくること。” リースイ:「行きなさい。」 マユミ&エイジ:「はっ!」 そしてその数時間後、今度はカエデ&コタロウコンビが呼び出され、指令を受けた。そこには、 ”ハナダシティにいる能力者のうち、どちらか一方をを倒してくること” と書かれていた。 リースイ:「渡してきたわよ。」 ボス:「分かった。」 リースイはコンビ二つとの対面を終え、ボスの部屋に戻っていた。 リースイ:「でも、あんなことでよかったのかしら?」 ボス:「ああ。もしあいつらが負けたとしても能力者のデータが取れるように情報収集部隊を多数送っておいたからな。」 リースイ:「そう。」 と、リースイはボスの体に身を沈めた。 リースイ:「これが一番落ち着くわ。ずっとあなたのそばにいたい…」 ボス:「…勝手にしろ。」 その頃。 オーキド研究所には翼と哲也を訪ねて、海がやってきていた。 海:「それじゃ美咲ちゃん、元に戻ったんですね。」 翼:「らしいよ。桜笠、結構嬉しがってたからな。」 哲也はホウエンにお使いに行ったまま、それが忙しくてまだ戻っていなく、博士とケンジはオレン諸島に出かけて留守で、 今は翼とニャースが残っているだけだった。 そして会話が弾みかけた時だった。突然、外で爆音が聞こえたのだ。外に駆け出してみると、いつも元気に走り回っているケンタロスの群れが 無残に倒されていた。 海:「ひどい!一体、誰なのよ、こんなことをしたのは。」 すると、女性の高笑いと共に音楽が流れ始めた。 ニャース:「にゃ?!これは…」 そしてニャースがいち早く察した。 マユミ:「なんだかんだと聞かれたって」 エイジ:「答えるか否かはわれらの勝手」 マユミ:「世界の破滅を防ぐため」 エイジ:「宇宙の輝き護るため」 マユミ:「愛と勇気の悪を貫く」 エイジ:「ラブリークールな敵役」 マユミ:「マユミ」 エイジ:「エイジ」 マユミ:「この宇宙にきらめくスペース団の二人には」 エイジ:「ミントブルー、清き青の明日が待っている」 マユミ:「なーんてね」 海、翼、ニャースの前にはスペース団の二人がいた。 海:「変な口上ね。馬鹿みたい。」 ニャース:「にゃーたちの口上のパクリだにゃ。」 翼:「本当にヒマな奴らだな。」 マユミ:「うるさいわね!裏切り者とそこの小娘には言われたくないわよ!」 裏切り者とはロケット団が解散した時に悪の道を離れたニャースのことである。スペース団にとっては、元ロケット団員で、 今平和に暮らしてる奴らは全て、裏切り者なのだ。 エイジ:「確かここには二人の能力者がいたはずだが、一人しかいないようだな。」 翼:「それがどうした!」 エイジ:「ボスの命を受け、お前を倒しに来た。覚悟しろよ、俺はエイジ。」 マユミ:「私はマユミ!覚えておきなさい!けどそこの娘!あんたは覚えなくてもいいわよ!そっちの男の子だけでOK!」 3人:「…」 さすがにマユミとエイジの正反対コンビには3人とも唖然とさせられていた。 マユミ:「さてと、行きなさい、ウィンディ!」 エイジ:「ハガネール、出ろ。」 翼と海の前にはウィンディとハガネールが姿を現した。 エイジ:「悪いが、ここで倒れてもらおう。ハガネール、破壊光線だ。」 翼たちの背後にはオーキド研究所があり、逃げれば研究所が木っ端微塵である。そのため、翼たちは逃げられなかった。 そして破壊光線は放たれた。が…。 マユミ:「えぇ〜?!」 エイジ:「…何。」 マユミは叫びながら、エイジは冷静に驚いた。 目の前には透明のような亀の甲羅が出現し、破壊光線を受け止めていたのだ。 海:「防御用の式、亀甲壁よ。研究所を壊すわけには行かないの、悪いけど、あたしも能力者だから、相手になるよ、オバサン。」 海はさらっと正体を明かし、女性に対して言ってはならないことをわざと言った。 マユミ:「オバ、オバサンですって!」 海:「そうよ、オバサン。悪いけど、こんなひどいことをするのなら、容赦しないんだから。」 マユミ:「うるさいわね!なんであんたみたいな小娘に言われなきゃいけないのよ!あたしはあんたみたいな小娘は嫌いなのよ。 特にあんたみたいな正義面した奴はね。どれだけ強いか知らないけど、ここで叩きのめしてやるわ。ウィンディ、火炎放射!」 しかし、それも亀甲壁で防がれていた。 海:「わざわざポケモンを出すまでもなさそうね、オバサン。」 さらっと言う海の言葉はさらにマユミの怒りをマックスにしたらしい。 マユミ:「この餓鬼、生意気なこと言ってぇ!!エイジ、あんたもやっちゃいなさい!」 マユミは隣でノーパソを叩いているエイジに言った。エイジは亀甲壁のデータ分析を行っているのだ。 エイジ:「待ってくれ、もう少しであの壁の分析が…出た。ハガネール、龍の息吹を中心に圧縮して放出しろ。」 マユミ:「中心を狙うのね、ウィンディ、火炎放射よ!」 二つの攻撃は亀甲壁を貫き、そのまま二人に向かっていった。 マユミ:「ふふ〜ん、どう?あんたみたいな小娘なんかじゃ、まだまだあたしは倒せないのよ。」 エイジ:「待て、マユミ。どうやらまだ終わってないらしいぞ。」 マユミ:「何ですって!」 エイジはノーパソのカメラ機能を使い、それを知った。研究所には攻撃の跡が残ったが、翼と海の姿はなかったのだ。 マユミ:「ちょっとエイジ、火炎放射と龍の息吹で跡形もなく消しちゃったんじゃない?」 マユミはそう言うが、 海:「そんなこと、あるわけないでしょ!オバサン!」 海の声は上空から聞こえてきた。 マユミ:「なっ、何!?」 マユミは空を見て唖然とした。 海:「悪いけど、簡単に殺される覚えはないの。」 海は小型の龍のような式に乗り、避難していたのだ。そして翼はといえば。 ウィンディ:「キャイ〜ン!」 ウィンディの情けない声と共に、ウィンディは倒れ、近くに翼とハッサムが姿を現した。 マユミ:「ウィンディ!いつの間に!」 翼:「亀甲壁が壊された時、ハッサムの破壊光線で攻撃を相殺し、その隙にここまで来てたのさ。ハッサム、ハガネールに鋼の翼だ!」 しかし、鋼の翼は鋼タイプのハガネールにはあまり効果がない。 そのため。 エイジ:「硬くなれ、そして火炎放射。」 攻撃は効かず、火炎放射によって、ハッサムは墜落した。 翼:「やっぱり駄目か、それなら、ポニータ、頼む!」 マユミ:「行かせないよ!」 マユミが翼を遮ろうとしたが、その前に海が入った。 海:「オバサンの相手はあたしよ。」 マユミ:「あんたねぇ!エイジ、こいつらを何とかしなさいよ!」 エイジ:「待てよ、もう少しでデータが…」 マユミ:「データなんかどうでもいいの、倒しちゃえばいいじゃない!」 エイジ:「データが揃った方が戦いやすくなる。マユミ、墓穴を掘るのはやめろ!」 スペース団の二人はすでに、特にマユミが一番、熱くなっていた。そのため、この些細な痴話喧嘩は失敗だと気づくのが遅かった。 気づいたのは、ハガネールが倒れた時だった。 エイジ:「しまった。」 マユミ:「あ〜ん、もう!今日に限ってポケモン一匹しかいないのにぃ!エイジ、ひとまず引くわよ!」 海:「待って。それよりもオバサン、星にしてあげる。」 海が手をかざすと、何かの光が海に集まりだし、その光が発射され、二人に当たった時、それは大爆発を起こして二人を吹っ飛ばした。 マユミ:「あ〜ん、失敗じゃない!覚えてなさいよ!あ、そこの少年だけでいいわよ。」 エイジ:「はぁ、またか。マユミ、いい加減にしておけよ。」 翼:「終わったな。しかし、変な奴らがまた出てきたな。」 海:「研究所にも被害は少なくてよかったけど、ケンタロスに対しての攻撃もひどいし。蓮華ちゃんたちに知らせないといけないですね。」 ニャース:「にゃ〜、やっと終わったにゃ。」 そこへさっきまで隠れていたニャースが出てきた。 翼:「おい、ニャース、どうして隠れてたんだ!少しは加勢しろよ。」 ニャース:「にゃ!?それは無理にゃ!」 ニャースはこの後、翼に怒られながらケンタロスの治療と研究所の修理をすることになった。 そしてまたその頃。 ハナダでも同じようなことが起きていた。 ハナダジムの来美のところに行こうとした美香と、その美香にコンテストで再会した菜々美の目の前に、スペース団が姿を現したのだった。 一人は赤いリボンをした可愛い系の女性、もう一人は子供の容姿を残したような童顔の男性だった。 簡単に言えば、見た目がお子ちゃまコンビなのだ。 美香:「あなたたち、誰?」 菜々美:「あ、言っちゃった…どうでもいい口上を聞くことになるよ。」 美香:「でも、聞かなきゃこの人たち、答えそうにないし。」 そんな美香達の会話がありながらも、口上は始まった。 カエデ:「何だかんだと聞かれたら…。」 コタロウ:「正直言って答えてやろう…。」 カエデ:「星の破壊を防ぐため…。」 コタロウ:「星の平和を守るため…。」 カエデ:「愛と希望の悪を貫く…。」 コタロウ:「クール&チャーミングな敵役…。」 カエデ:「カエデ!」 コタロウ:「コタロウ!」 カエデ:「太陽系を光速に飛ぶスペース団の二人には…。」 コタロウ:「シャイニングゴールド、金色に輝く明日が待ってるぜ!」 カエデ:「なぁ〜んちゃって☆」 美香&菜々美:「ださい口上…」 コタロウ:「うるせえな!お前ら能力者を倒すために来たんだ。悪いが遠慮なく倒されてもらうぜ。」 カエデ:「そうだよ、子供だからって手加減はなしだよぉ。でも、この子達可愛い〜!」 カエデが美香と菜々美に手を降り始め、かっこよく決めたコタロウはこけた。 コタロウ:「おい、カエデ。俺たちは仕事としてきたんだぞ。こいつらを倒すために。」 美香:「あたしたちを…倒す?」 菜々美:「そう、それじゃ相手になるわよ。」 美香と菜々美はボールを構えた。 コタロウ:「ほう、俺と相手したいっていうのか。面白い、やってやろうじゃないか!出て来い、バクフーン!」 カエデ:「あ、待ってよ、コタロウ。出てきて、チルタリス!」 目の前には大きな炎を背にしたバクフーンと、飛行・ドラゴンタイプの大きな鳥ポケモン、チルタリスが現れた。 美香:「負けないよ。」 菜々美:「あたしたちのポケモンだって!」 美香と菜々美は圧倒されかけたが、それぞれのボールを放った。が、出てきたのは…。 カエデ:「いや〜ん、可愛い!」 コタロウ:「そんな奴らで戦うって言うのか?」 出てきたのは丸い体をキュートに見せるマリルと、水と共に現れた美しいターンを決めるマリルリだった。 美香:「そんなポケモンとは失礼よ。」 菜々美:「ま、元々あたしたちのポケモンはコンテスト向けの子だもの。でも、だからといって負ける気はしないよ。」 マリルとマリルリは同時に水鉄砲を放った。しかし、バクフーンの熱風によってそれは遮断されてしまう。 コタロウ:「バクフーン、お前のすごさを見せてやれ!火炎放射だ!」 カエデ:「やるしかないんだね。チルタリス、破壊光線だよ!」 マリルとマリルリの攻撃が終わった直後、強力な攻撃を仕掛けてくる二人。さすがに攻撃の恐ろしさを見て、マリルとマリルリは 震え上がってしまっていた。 コタロウ:「よっしゃ!これで俺たちの勝ちは決まったぜ!」 コタロウは2大攻撃が当たる前に喜んでいた。そして攻撃は命中した。 カエデ:「あ〜ん、あの子達かわいかったのにぃ!」 コタロウ:「カエデ、いい加減にしろよ。あいつらに勝つことが…って何だ!」 煙が晴れると同時に、コタロウとカエデは二人がまだその場に姿を現したことに驚いた。そしてさらに、コタロウは見た。 二人の手元にはさっきまでなかったものがあることを。 美香は赤いオーラを放つ弓矢、菜々美は淡い緑のオーラを放つメガホンを持っていた。 美香:「あ〜、危なかった。でも、よかったのかな?これで。」 菜々美:「咄嗟の事だし、しょうがないよ。マリルリがおびえなかったら神秘の守りで助かってたのに。」 カエデ:「何?あれ。あれが能力者の能力っていうものなの?」 コタロウ:「おい!お前ら、ポケモンバトルを正々堂々とやる気はないのかよ!」 コタロウが言うが、 美香&菜々美:「スペース団にそんなことを言われる筋合いはない!」 と言い返す二人。 美香:「こうなったら、マリル、雨乞いだよ!」 コタロウ:「負けるか!バクフーン、日本晴れで押し返せ!」 一定の周囲を雨雲と強い光が覆い、それぞれが対抗しあうように水蒸気が舞った。 カエデ:「それじゃ、チルタリス、龍の…」 コタロウ:「カエデ、余計なことはするな!」 カエデ:「え、でもぉ…」 コタロウ:「するな!お前は見てろよ。いっけえ!バクフーン、大文字だ!」 菜々美:「マリルリ、水の波動よ!」 美香:「マリル、水鉄砲!」 カエデの助力を拒み、大文字で攻撃するコタロウに対し、美香と菜々美のマリル&マリルリが水の攻撃を放つ。 それぞれ、雨乞いと日本晴れによって力を増した物同士のため、攻撃は押し合いの白熱したものとなった。と、そこで 経験値を積んだことで、美香のマリルが進化を果たした。これが勝負を決めた。 コタロウ:「バクフーン!?」 バクフーンは美香のマリルリの波乗りに押し流され、そこで菜々美のマリルリの水の波動の直撃を受けたために、戦闘不能になっていた。 コタロウ:「くそぉ!でも、俺はまだ戦える!行く…って、おい!」 突如、コタロウのバンダナが真上に引っ張られ、コタロウの体が浮いた。それはチルタリスに乗ったカエデが引っ張っていたからだ。 コタロウ:「カエデ、勝手なことはするな!」 カエデ:「だってぇ、あたしたち負けだよ。ここは引いた方がいいよ。だから撤退しま〜す。次は負けないからね!」 カエデがのほほんとした声で言い、そのまま去っていった。 コタロウ:「カエデ!下ろせよ!俺はあの餓鬼を倒すんだ!あんな温室育ちで何も知らないような馬鹿餓鬼を!」 コタロウの叫ぶ声を余韻として残して。 美香:「行っちゃったね。」 菜々美:「そうね。でも、スペース団…美咲が味方になったのはいいけど、また妙な奴が出てきたものね。」 大体、あの口上を言う奴がまだ居たなんて。菜々美は健人と翼と共に旅をしてスペース団の作戦を壊してきたが、 ヤマコサと美咲たち以外のスペース団は口上を持っていなかったのだ。 美香:「自己主張が多いってことだよ。それにしても、あいつ!あたしたちを馬鹿呼ばわりした!」 菜々美:「次に会ったときにお返ししてあげればいいよ。」 美香:「そうだね。」 その後、美香と菜々美は来美のいるハナダジムに向かうのだった。 そしてスペース団基地では…。 リースイ:「…というわけで、負けたみたい。」 ボス:「そうか…お前、どうしてそんな奴らを選んだんだ?」 リースイがボスに今回の結果を報告していた。 リースイ:「別にいいでしょ。でも、彼らのデータはそれなりに好成績よ。バトルも彼らが能力を使わなければ 勝利していた可能性もあるし、このまま使い続けるわ。いいでしょ?」 ボス:「勝手にしろ。ただし、ロケット団時代のあいつらみたいに借金を増やさせるなよ!」 リースイ:「はいはい。その辺は大丈夫だから。」 リースイは不適な笑みを浮かべ、ボスはそれを黙って見届けた。そしてまた、スペース団は新たな作戦を開始するのだった。 ヤマト:「結局、あたしたちはどうなるのかしら?」 コサブロウ:「どうなるんだろうな?」 そしてこの二人は、当分床磨きをする羽目になりそうだった。 ヤマコサ:「やな気持ち〜!!」