岩山トンネル、そこは一言で言えば真っ暗なトンネルだった。 モココのフラッシュのおかげで助かっているとはいえ、野生の岩ポケモンも多く、ガルーラのようなポケモンもいるため、 それなりに強いポケモンじゃないと通り抜けるのは厄介なようだった。 そしてトレーナーも多かった。 蓮華:「ココドラ、キレイハナ、お願い!」 そして、野生のポケモンはどうやらフラッシュを使うポケモンの明かりが嫌いらしく、モココが執拗に狙われた。 26.幽霊の叫び!ポケモンタワーの怪! モココは精一杯のため、あたしは格闘攻撃のダメージがあまり効果なく、岩タイプ、地面タイプに有利なキレイハナと、 ノーマルタイプの技があまり効果なく、岩タイプに有利なココドラで迎え撃っていた。 キレイハナ:「蓮華、あたしとココドラだけじゃ追い払えないよ。格闘とノーマルに有効な技が出せる子を出して!」 キレイハナのマジカルリーフ、ココドラのメタルクローはイシツブテやイワーク、ゴローンには最適な技だった。 でも、ガルーラやワンリキーたちにはなかなか致命傷が与えられず、ズバットたちも多く光に集まってきていた。 蓮華:「分かったわ。ルナトーン、ヘラクロス、力を貸して!」 ボールから飛び出てきたヘラクロスはガルーラに瓦割り攻撃を、ルナトーンは広範囲にサイコウェーブを放ち、 野生のポケモンを追い払っていた。途中、キレイハナとココドラからタネボーやハネッコにも力を借りた。 が、進むに連れてあたしのポケモンのレベルが分かったらしく、野生のポケモンは次第に襲ってこなくなった。 キレイハナ:「はぁ、疲れた。」 蓮華:「でも、ジムリーダーみたいに育てられてるわけじゃないから、野生のポケモンに対して攻撃は可能よね?」 キレイハナ:「ええ、攻撃は当てやすいわね。でも、あれだけ襲ってきたんだもの。みんな疲れてるわよ。」 確かにキレイハナを筆頭に出したポケモンはみんな疲れきっていた。 蓮華:「分かったわ。それじゃ、当分バトルは他の子に頼むわ。無理に戦わせるわけには行かないから。」 そんな時、誰かが話しかけてきた。 ??:「ねえ、そこの君。僕とバトルしないかな?」 蓮華:「バトル?ええ、いいわよ。」 フラッシュの範囲内に入ってきて、誰かはようやく分かった。怪獣マニアだった。 怪獣マニア:「それじゃ行くよ。ヤドラン、頼む!」 蓮華:「ヤドランね。あ…今はキレイハナたちは無理…、そうだ!ヤドランはエスパータイプだったわね。 アゲハント、お願い!」 あたしは草タイプと虫タイプの技を使えるアゲハントを出した。 怪獣マニア:「ヤドラン、念力でアゲハントを地面に叩きつけろ!」 蓮華:「アゲハント、念力を振り切って風起こしよ!ヤドランを吹き飛ばして!」 アゲハントは念力を振り切り、地面すれすれから上昇した。そして風を起こしてヤドランを吹き飛ばそうとした。 しかしアゲハントの風起こしではヤドランを後ずさりさせるのがやっとだった。 怪獣マニア:「風起こしか。でも、それくらいではヤドランに勝てないよ。ヤドラン、水鉄砲だ!」 が、蓮華には策があった。 蓮華:「風起こしから、銀色の風よ!」 銀色の風とは虫ポケモンの技の一つで、エスパータイプにはそれなりに効果がある。 水・エスパータイプのヤドランにはさすがに効いたらしい。が、まだまだ致命傷にはいっていない。 怪獣マニア:「ヤドラン、サイコキネシスでとどめだ!」 蓮華:「アゲハント、ヤドランの背後に回って!メガドレインよ!」 サイコキネシスが放たれるより前に、アゲハントはヤドランの背後を回った。そしてメガドレインを使うと、 尻尾のシェルダーがヤドランに何かを訴え、そしてヤドランは倒れた。 怪獣マニア:「あぁ〜、僕のヤドランが!」 蓮華:「ふぅ〜、勝ったわ。アゲハント、ご苦労様。朝の日差しを使って回復してね。」 あたしは怪獣マニアと戦った後、ミニスカートやガールスカウト、山男とも戦った。 でも、彼らが出したのはニドラン♀やコラッタ、ポッポ、イシツブテだったので、サニーゴやサンドたちでも十分に 戦えた。 そんなこんなのうちに、ようやくあたしは岩山トンネルを抜けることが出来た。 そしてあたしは妙に薄暗くて静かな町、シオンタウンにやってきた。 ジョーイ:「それではあなたのポケモンをお預かりします。」 蓮華:「お願いします。」 あたしはシオンタウンに着いてすぐ、ポケモンたちをジョーイさんに預けた。岩山トンネルの中では持っているポケモン 全員にバトルに出てもらったのだ。そうでないと、抜けることは出来なかっただろう。 でも、これで経験値も稼げたはずだ。スペース団のポケモンも強い奴らばかりだから、今のメンバーの強さではやっと 倒せる範囲でしかない。だからこういうときにバトルの経験をしておく必要もある気がする。 ??:「メタ!?」 と、あたしは何かを踏んづけたらしい。柔らかいそれはピンク色の体をしたアメーバみたいな感じのポケモン、 メタモンだった。 蓮華:「あ、ゴメンね。考え事してたから、気づかなかったのよ。」 あたしはメタモンを持ち上げた。すると、メタモンは妙に赤くなっていた。 ??:「あ、すいません。その子、あたしのなんです。」 背後から声がした。どうやらトレーナーが来たらしい。 蓮華:「そうなの。はい、どう…」 ??:「あ、蓮華ちゃん見つけた。」 メタモンのトレーナーはあたしの親友のなずなちゃんだった。 なずな:「蓮華ちゃん、お久!」 蓮華:「なずなちゃんこそ。でも、こんなところで何をしてるの?」 なずな:「あたし?あたしはケアハウスでフジ老人の手助けをしてるの。来ない?紹介したいから。」 あたしはなずなちゃんに誘われて、ポケモンを貰った後にケアハウスに行ってみた。 するとそこには、何匹かのポケモンと遊ぶ子供たちと、そして一人のおじいさんがいた。 なずな:「フジ老人、メタちゃん、ポケモンセンターにいました。」 フジ:「そうかい。それでその子は誰なんだい?」 なずな:「この子があたしの探してた親友の蓮華ちゃんです。」 蓮華:「どうも、初めまして。あたしはポケモントレーナーの蓮華です。」 あたしは自己紹介をしてから、フジ老人の話を聞いた。彼はここで捨てられたり親と逸れたり死に別れたりしたポケモン を引き取り、世話をしているという。ここにいる子供たちは近所に住む、まだポケモンをもらえない世代の子供らしく、 ここでポケモンと触れ合っているらしい。 なずな:「あたしはメタモンしか持っていないし、あまりバトルは好まないの。だからここでフジ老人の手助けをして、 過ごしているのよ。海ちゃんたちは元気?」 蓮華:「ええ。海ちゃんも美香も菜々美ちゃんも元気だよ。」 なずな:「そう。氷雨さんとは前にここに訪れた時に会ったからいいけど。」 町民:「大変だぁ!」 そこにシオンタウンの人たちが何人か駆け込んできた。 フジ:「何が起きたのだ?」 町民:「ポケモンタワーにいる祈祷師たちがまた乗り移られたんだ。」 フジ:「またなのか。これで10回目だな。これはもう、トレーナーの力を借りる他ないのか…」 何か大変な様子だ。 蓮華:「どういうこと?」 なずな:「一週間前から、ポケモンタワーに幽霊が現れるようになったの。その幽霊は強い思いに捕らわれていて、 成仏できずにいるの。それでシオン中の祈祷師が集まって除霊をしているんだけど、祈祷師たち、乗り移られてばかりで…。」 蓮華:「使えないのね…」 なずな:「ある意味ね。それに、あのポケモンタワーにはゴースやゴーストたち、ゴーストポケモンも多くて、お墓参りで行く人以外 が行った場合は彼らに襲われてしまうのよ。祈祷師たちも多分、ゴースたちに乗り移られてると思うの。」 フジ:「私たちが行ったとしても、同じことが起きるかもしれぬ。ここはトレーナーに頼む他、ないのかもしれないのだ。」 蓮華:「分かったわ。行ってみる。」 あたしはポケモンタワーに向かった。 キレイハナ:「あんな安受けあいしちゃってよかったの?」 さっきまでボールの中にいたキレイハナがタワーに近づいたところで飛び出してきた。 蓮華:「だって、行ってみないことには何も分からないもの。」 キレイハナ:「そりゃそうだけど…」 あたしは微妙な思いのキレイハナを連れて中に入った。すると、突如祈祷師たちに囲まれた。 彼らは「ぎゃぎゃぎゃ…」などの擬音語を吠えているばかりだが、乗り移られているからだろう。 蓮華:「ここはルナトーン、あなたの力が必要なの!サイコウェーブで彼らに取り付いているポケモンを追い払って!」 ルナトーン:「ル〜ナ〜!」 ルナトーンがサイコウェーブを放った。するとたくさんのゴースやゴーストが飛び出てきて、祈祷師たちは倒れた。 蓮華:「今あなたたちと戦っている暇はないの!ロコン、吠えて!」 ロコン:「コ〜〜〜〜〜〜ン!」 ロコンが吠えたことで、ゴーストポケモンは散っていった。しかし、その直後だった。 あたしたちの目の前にはゴースたちではない、真っ黒な靄が現れた。 蓮華:「これが…」 キレイハナ:「幽霊…攻撃あるのみよね、必殺、葉っぱ…きゃっ!」 キレイハナが幽霊に攻撃をしようとしたときだった。お墓の裏に隠れていたと思われるポケモンがキレイハナを攻撃し、 再びお墓の裏に隠れたのだ。あたしは図鑑に内蔵されているカメラにその子を写してから、一旦外に出た。 蓮華:「ゴメンね、ちゃんとした解決にはならなくて。」 なずな:「ううん、いいよ。蓮華が無事でよかった。」 蓮華:「ありがとう。それから、このポケモンに見覚えはない?」 あたしは図鑑のカメラで写したポケモン、ヒメグマの写真をなずなとフジ老人に見せた。 なずな:「この子、ヒメグマ…」 フジ:「この子がどうしたのじゃ?」 キレイハナ:「あたしが攻撃しようとしたら突然飛び掛ってきて邪魔したの。幽霊を傷つけたくなかったみたい。」 あたしは帰った直後、他の子供が居ないことを確認してキレイハナを紹介したので、二人はもう驚かない。 フジ老人に至っては、喋るニャース(多分あいつ)に会ったことがあるらしく、全然驚かなかったが。 フジ:「そうか。やっぱりそうなのか。」 蓮華:「どういうことですか?何か知っているようですけど。」 フジ老人は写真を見て心当たりを思い出したようだ。 なずな:「それはあたしが話すわ。」 なずなちゃんが代わって言った。 なずな:「数週間前、この町をスペース団が襲って、たくさんの人のポケモンが取られたの。氷雨さんがちょうどいたから 追っ払えたけど、たくさんのポケモンが盗まれちゃったの。そしてその時、近くの森で暮らしてて、この町の人とも仲がいい ヒメグマとリングマの親子もスペース団に襲われたの。リングマはヒメグマを守るためにスペース団の銃に撃たれて、 当たり所が悪かったせいで亡くなったの。」 フジ:「多分ヒメグマは親が亡くなったことを理解していても、成仏できるまでは親を守ろうとしているのじゃろう。」 蓮華:「でも、成仏させてあげないといけないんじゃ…」 なずな:「そりゃそうだけど…幽霊が本当にリングマなのか、よく分からないのよね。よく考えたら…。 リングマのお墓のそばに出るからとはいえ、それがヒメグマに幻影を写している可能性もあるし。フジ老人、何か いい方法はないんですか?」 フジ:「うむ、一つだけある。シルフスコープというアイテムがあれば、幽霊の正体を見ることが出来るのだ。 しかし、それはどこにあるか分からないがな。」 蓮華:「それじゃ、あたしが探すよ。」 キレイハナ:「あたしも。これからクチバに戻るつもりだし、次のジムのあるタマムシにも行かなきゃいけないの。 その途中途中で情報を集めればいいでしょ?」 なずな:「そうだね。それじゃ、あたしもフジ老人もここを動くわけには行かないから、お願いするわ。」 フジ:「私からも頼む。ヒメグマにはこれ以上、つらい思いをさせたくないからな。」 そういうわけで、あたしはシルフスコープを探すことを決めた。 次の日。あたしが旅立とうとすると、なずなが走ってきた。 なずな:「一つ言い忘れてたわ。今、クチバとヤマブキには行けないの。」 蓮華:「どういうこと?」 なずな:「クチバは途中の道路が何かで塞がっているらしくて。それにヤマブキに行く通行所も何かの事故で通行制限 をしているの。あたしの力使えば、出入りは可能だけど、着いていくのは…」 蓮華:「なずな、いいよ。あたし、それならタマムシに先に向かうから。」 あたしはシオンタウンを出発した。 蓮華ちゃんは旅立って数日が過ぎた。あれからまだ連絡はない。でも、きっと何とかなると思う。 あたしはフジ老人を助けながら、もう少しタワーの様子を見ないと。そして町の人たちを安心させないといけない。 なずな:「フジ老人、蓮華ちゃん、旅立ちま…誰!」 あたしがケアハウスに戻ると、そこは滅茶苦茶に荒らされ、フジ老人の姿はなく、知らない少年がいた。 ??:「お前に名乗るほどのものではない。ここにゴーストポケモンを集めるための資料があるはずだが、 知っていたら全て教えてもらおうか?」 多分アレだと思う。フジ老人はあたしがここで働くと決めた時に教えてくれた。誰が来ても、この本だけは渡しちゃいけないと。 なずな:「知らないわ。何のことよ。」 ??:「嘘を言うな。あの爺さんがどうなってもいいのか?」 なずな:「フジ老人に何をしたのよ。」 ??:「まだ何もしてないさ。ただし、お前の今後の動きで決めることも出来る。」 なずな:「何ですって!?…駄目!渡しちゃいけないって約束したから渡せないわ。」 ??:「そうか、ならばグラエナ、その女にシャドーボールだ!」 あたしに向かって、シャドーボールが飛んできた。でも。 あたしはその絶対避けられないくらい迫っていた物を避けた。 ??:「何!?…お前、能力者だな。」 なずな:「ええ、あたしは空気使いの能力者のなずな。悪いけど、この本は渡せないから。」 あたしは一時、シオンから離れることを決めた。 得意の能力、空気使いって言いながら、使えるのは二つだけ、攻撃技が一つと、後もう一つの力。 テレポート。これでまずは逃げるしかない。 誰かに救援を頼まなきゃ!