蓮華:「タネボー、種マシンガン!ミニリュウは冷凍ビームよ!」 あたしはタマムシを出てすぐに、花いちもんめのように並んでいる4人のトレーナーたちから、代表者とのダブルバトル を申し込まれた。何気に並んでいたら、花いちもんめ状態になったらしい。 相手はミニスカート二人のヒトデマンとクサイハナだった。 ミニスカートA:「ヒトデマン、ミニリュウにスピードスター!」 ミニスカートB:「クサイハナ、タネボーに溶解液で攻撃よ!」 タネボーとミニリュウはその攻撃を避け、あたしの言った攻撃を放った。それにより、一撃で彼らを倒すことが出来た。 すると、タネボーとミニリュウは光りだした。 蓮華:「同時進化…」 キレイハナ:「最近、バトルが多かったからね。ドラちゃんたちはゲットしたてだけど、タネボーたちはそれなりの 経験してるし。」 そして、タネボーはコノハナに、ミニリュウはハクリュウに進化した。 蓮華:「頑張ったね、コノハナにハクリュウ。これからもよろしくね。」 あたしはそう言って二人をボールに戻した。 ヤマブキにいく通行所は確かに制限をしているようで、あたしはタマムシに行くには再び地下通路を通ることにした。 まぁ、動く床通路なので、疲れることはない。 27.タマムシ漫遊記 タマムシシティは華やかなレンガの道が連なり、近代的でモダンなデザインのビルや民家が立ち並ぶ綺麗な街だった。 キレイハナ:「ハナダとは別の意味で綺麗なところだね。」 蓮華:「本当ね。」 あたしは一度ポケモンセンターを寄ってから、街を歩いてみることにした。すると、真珠細工の露店を見つけた。 蓮華:「わぁ!可愛い!」 キレイハナ:「アゲハントの燐粉による粉細工に、パールルやシェルダーの真珠細工…すごい!」 ??:「どういたしまして。久々の縁でどれか貰ってくれない?蓮華ちゃん。」 蓮華:「へ?」 あたしはいきなり名前を呼ばれて驚いた。 ??:「ちょっと、まだ気づいてなかったの?あたしだよ、あたし!」 蓮華:「あ、玲奈先輩!」 キレイハナ:「蓮華、知り合い?」 蓮華:「うん。哲兄の彼女で、神秘の能力者の玲奈先輩。」 哲兄はかなりもてるのだ、シスコンと知られていないこともあって。そしてその哲兄の彼女に上り詰めたのが、 あたしのチア部の先輩の玲奈先輩なのだ。 蓮華:「先輩も来てたんですね。」 玲奈:「当たり前よ、突然哲也が翼や健人と一緒に消息を絶ったのよ。研究所のことは聞いていたし、行ってみたら、 ここにたどり着いたっていうわけ。哲也とも会ったけど、何か忙しいみたいだったから、あたしはこの街に残ったのよ。」 蓮華:「そうなんですかぁ。」 玲奈先輩はアクセサリーを作ったり、彫刻を作ったりするのが趣味なので、こういうことをしているのだろう。 多分、サニーゴをゲットしたらサニーゴの角飾りも作りそうだ。 蓮華:「それじゃ、これを貰いますね。」 あたしはアゲハントの粉の瓶詰めをもらった。よくお土産屋さんにある星の砂とかと同じ奴だ。 玲奈先輩と別れた後、街の外れにある、スロットマシンの置いてあるゲームセンターや、食堂、ホテルなどを回ってみた でも、どこに行ってもシルフスコープの情報は得られなかった。 キレイハナ:「まぁ、こんな街に幽霊が現れること自体ないものね。」 蓮華:「確かにそうだよね。だから知られてないのかも。」 しょうがなく、ポケモンセンターに戻ることにした。が。 蓮華:「泊まれないんですか?」 ジョーイ:「ごめんなさい、今日は訪れたトレーナーが多くてもう部屋が満室なのよ。申し訳ないんだけど、 ホテルに泊まってくれないかしら?この手紙を持っていけば泊まれるようにホテルにも頼み込んであるわ。」 たまにトレーナーが多く訪れてポケモンセンターに泊まれなくなることはよくあることらしく、どこの街にもホテルはあった。 キレイハナ:「しょうがないよ。」 蓮華:「そうだね。」 あたしとキレイハナは数匹のポケモンたちとホテルに行った。全部も連れて行くわけには行かず、何匹かはセンターに預けておいた。 タマムシシティホテルは他の街と比べて最もいいホテルらしい。 キレイハナ:「ロビーが広いね。それにあの植物、確かガイドブックで読んだけど、タマムシの特定の場所にしか 生えてない花だよ。」 蓮華:「キレイハナ、はしゃぎ過ぎだよ。」 キレイハナ:「そうだけど…あそこの子よりはマシだよ。」 キレイハナはホテルに泊まることをウキウキしている少年を指差した。ナマケロを体にべったりさせている眼鏡の少年がいた。 蓮華:「あたし、ちょっとフロントに行ってくるから、ここで待っててね。」 蓮華がフロントの方に並んで少ししたとき、あたしは誰かに背中をつつかれた。 この背丈の体につくから、多分同じポケモンかと思って振り向くと、そこにはロゼリアとエネコがいた。 ロゼリアはあたしをじーっと見つめている。 キレイハナ:「何?」 ロゼリア:「ロゼ?ロゼリィ(あなた、喋れるのね。ええと、初めまして。)」 キレイハナ:「初めましてvあたしに何か用なの?」 エネコ:「ネェ!ニェエニェ!(キレイハナもポケモンコンテストに出るために、ここに来たの?)」 どうやらタマムシシティでポケモンコンテストがあるらしい。また蓮華が美香ちゃんと菜々美ちゃんに会いそうな気がする。 キレイハナ:「あたしは出ないよ。コンテスト、興味ないから。」 ロゼリア:「ロゼ?ロゼゼ?(どうして?あなたくらいきれいなポケモンならライバルとしてもふさわしいのに。)」 エネコ:「ニェエニェ(まあ、いいんじゃない。違ったんだから。)」 あたしがコンテストに出るかどうかを確かめに来たようだった。 キレイハナ:「ねえ、あなたたちのトレーナーは?あたしのはあそこにいるけど。」 するとロゼリアとエネコは苦笑して別の方向を示した。 そこには、緑色の髪をしたバラを持った少年が、あたしがさっき見かけたナマケロ少年と、赤いバンダナを頭に巻いた少女と一緒に いるのが見えた。バラ少年とバンダナ少女は何やら口喧嘩をしているように見えるけど…。 ロゼリア:「ロゼ(あたしのトレーナーがあの少年なの。)」 エネコ:「ネェ(あたしのトレーナーはあの子だよ。)」 キレイハナ:「ふぅ〜ん、でもどうして苦笑したのよ。」 すると、再び二人は苦笑しながら教えてくれた。 どうやらロゼリアとエネコのトレーナーはポケモンコーディネーターらしい。今回タマムシでコンテストがあるらしく、 ホウエン地方からわざわざやってきたらしい。つまりあの二人は仲が悪いように見えてかなりラブラブなカップルらしい。 が、二人きり出来たはずなのに、バンダナ少女の弟のナマケロ少年が旅行に引っ付いてきたという。 ロゼリア:「ロゼ(まだ姉離れしてないらしいのよ。)」 エネコ:「ネェ(だからわざと付いて来たんだって、ナマケロが言ってた。)」 つまり、二人きりの旅行を許せるわけがなかった弟君は、 ナマケロ少年:「わ〜い、旅行だぞ〜!お姉ちゃん、大好き!」 と言いながら、わざと彼氏への当てつけのつもりでついて来たらしい。 エネコ:「ネエネ(そのうえあたしのトレーナーはそういうことに気づいてなくて…)」 ロゼリア:「ロゼ(恋には詳しいって言いながら、自分のことには鈍感なのよ…)」 バンダナ少女は「タマムシって綺麗な所かも!」と喜び、気づいていないらしい。間近で弟君と彼氏の目から火花が出ている、 そんなことにも気づかないで。 そして、今喧嘩している内容は、どうして弟君を連れてきたのか、ということらしく、二人はそれから避けるために、 あたしのところに話しかけに来たようだった。 キレイハナ:「トレーナーの性格が問題だと厄介だよね。」 ロゼリア:「ロゼ…」 エネコ:「ニェエ…」 そんな時、蓮華が戻ってくるようだったので、あたしは二人と別れた。またどっかで会えるかも知れないけど。 蓮華:「何を話してたの?」 キレイハナ:「ちょっと世間話をね。」 ??:「ねえ、話聞いてよ。」 ??:「聞いてるよ。」 そんな時、あたしは年齢がさほど離れてなさそうなトレーナーとすれ違った。 一人はピンク色の髪の少女で、もう一人の黒髪の少年に何かを話しかけているようだ。しかし、聞いてるといいながら、 少年はゲームに夢中のようで、少女は泣いているようだった。あたしも蓮華も、関わりたくないと思ったので、そのまま 通り過ぎた。 次の日。 あたしはポケモンセンターでポケモンを返してもらってから、ジムに行くことにした。 が、ジムが見つからない。 キレイハナ:「ジムはあるのよね?」 蓮華:「うん…でも、ガイドブックにも場所は書いてないのよ。」 玲奈:「どうかしたの?」 蓮華:「あ、先輩、タマムシジムってどこにあるんですか?」 玲奈:「ああ、蓮華ちゃん、ジム戦に行くのね。案内してあげるわ。」 あたしとキレイハナは玲奈先輩の案内でジムに向かった。どうやら何本かの木を居合いぎりしたり、森を通ったりしないと 辿りつけない様だった。 玲奈:「元々扱っているのが植物タイプだからね。前は街からすぐにいける場所にあったらしいんだけど、ロケット団の奇襲で一度火事になってから、 こっちの森の中に移したそうよ。」 そしてようやくジムに到着した。 するとそこには着物姿の女性が花に水をあげていた。 ??:「あら、玲奈さん。この街には慣れましたの?」 玲奈:「ええ、あなたのおかげで十分に。それと、エリカさん、あなたにジム戦を申し込みたいっていう、あたしの知り合いを 紹介するわ。」 エリカ:「そうですの。分かりましたわ。初めまして、タマムシシティジムリーダーのエリカと申します。」 蓮華:「初めまして、あたしはグロウタウン出身の蓮華です。」 あたしは玲奈先輩とそこで別れ、エリカさんの案内でジムに入った。 先輩には露天商があるから、ジム戦をのんびり見ているわけにはいかないようだ。 ジムの中は植物がいっぱい生えていた。同じ植物であるあたしにとっては楽園のようだった。 エリカ:「知ってのとおり、タマムシジムは草ポケモンのジムですわ。でも、草ポケモンだからといって油断することは なりません。でも、あなたの場合はその能力とパートナーがいるから、もうすでにお分かりのようですね。」 蓮華:「あたしの能力を知ってるの?」 キレイハナ:「蓮華、ナナちゃんだよ。」 蓮華は多分、気づいてなさそうだったので、あたしが教えた。あたしは薄々気づいてたから。 エリカ:「キレイハナの言うとおりですわ。私はナナから聞きました。多分、カントウのジムリーダーたちは全員知っていると 思われますわね。ナナは私たちと仲がいいですし。」 そしてバトルフィールドのある温室にやってきた。 キレイハナ:「あの、妙にガス臭いんだけど…」 エリカ:「えっ?あら…またですわ。」 エリカさんの表情が曇った。そして温室に入ったとき、あたしは目を疑った。 虫除けスプレーを持ったトレーナーがビードルを追い詰めている様子を見たのだ。 エリカ:「皆さん、何をおやりになさっているのですか?」 エリカさんの声は妙に凛としていた。怒っている様子…当たり前だけど。 するとエリカさんとは違い、派手なコスチュームに身を包んだ大人のお姉さんがやってきた。 大人のお姉さん:「エリカさん、私たちのポケモンがビードルに怯えていたから追い払っていただけですわ。」 ミニスカート:「虫は無視が一番ですけど…」 ガールスカウト:「でも、このジムは大事な植物も多いんですよ。虫ポケモンが生息したら大変ですよ。」 アロマなお姉さん:「だからちょっと可愛そうですけど、麗華さんの勧めで虫除けスプレーを使ったのですの。」 麗華という女性は大人のお姉さんのことだろう。 エリカ:「なぜ、眠らせて外に逃がすことをしなかったのですか?彼らだって同じ生き物です。 むやみやたらと道具を使用して、たとえ虫ポケモンであっても彼らの生命の危機になるようなことはしていけないと思いますが。」 麗華:「甘いわよ、ビードルがここの場所を覚えることで、他のビードルやスピアーが来たら、そっちの方が危険よ。 それにここは植物ジムよ。虫ポケモン自体、いてはいけないと思います。だからこの子は駆除するべきです。」 麗華がビードルにノズルを向けたとき、一個のボールがビードルをゲットしていた。 それを投げたのは蓮華だった。 麗華:「何するの。せっかく駆除できたのに。」 蓮華:「駆除?ポケモンも生き物なの。ポケモンを殺すようなら、あたしが許さないわよ。」 麗華:「でも、ここは草タイプのジムですし、これは内輪毎です。関係ない挑戦者の方は黙ってくれませんか?」 蓮華:「嫌よ。確かに虫と草は天敵でもあるけど、どちらか一方がいなかったら、虫と草も生きていけないのよ。 それと同じで、虫を苛めるのは許せないんだから。」 すると、アゲハント、バタフリー、ヘラクロスが蓮華のボールから飛び出した。 麗華:「あら、キレイな蝶にたくましいポケモンですこと。」 蓮華:「それはどういう意味?皮肉?」 麗華:「いいえ、あたしは思ったことを言ったままです。蛾や蜂のようなポケモンは嫌いですけど、そのような綺麗なポケモンや 逞しいポケモンは大歓迎よ。」 キレイハナ:「性格歪んでる…最低。」 さすがにあたしも彼女がムカついた。すると。 麗華:「喋ることが出来るキレイハナですね。でも、躾が悪いんじゃないの?悪口は言っていけないんですわよ。」 キレイハナ:「それはこっちのセリフよ。すでにスピアーたちの悪口を言い、バタフリーたちを綺麗といい、 虫ポケモンを差別しているのはあなたじゃない。あたしは草ポケモンとしてあなたを軽蔑するわ。」 麗華:「何ですって!?」 と、ここでエリカさんが手を叩いた。 エリカ:「あなた方、言い合いほど愚かな事はございませんわ。そこまでの言い合いは見るほうにも耐えません。 ここはバトルで決着を付けなさるべきですわ。」 麗華:「いいわよ、やってやろうじゃない。」 蓮華:「あたしもやる。キレイハナもやるでしょ?」 キレイハナ:「当然よ。」 そんなわけで、あたしと蓮華は、あのムカつく奴と3対3のバトルを行うことになった。 あたしたちの意地、見せてやる!