29.ゴーストパニック!シオンの戦い タマムシから北東、シオンから北西に位置するハナダでは、一人のジムリーダーと助手を始めた少女がひと時のティータイムを行っていた。 来美:「海ちゃん、研究所に戻らなくてもいいの?」 海:「ええ、あたしはここの手伝いをしていたほうがいいみたいです。」 蓮華ちゃんの時以来、あたしは来美さんの手伝いを行っている。カスミさんが旅に出たことでポケモンも少ない今、 あたしの突然変異型タッツーも役に立つはずだから。 そんな時、事件は前触れもなくやってきた。 なずな:「お願い!力を貸して!」 海:「なずなちゃん!」 来美:「何があったの?それに、どうやってここへ?」 来美さんもあたしも、この世界に来てからなずなちゃんに会うのは初めてだったけど、今は再会を懐かしがっている 暇はなかった。 なずな:「あたしは行った事ある場所と、手持ちの物体がが置かれている場所にだけ、テレポートすることが可能なの。 海ちゃんがくれたキーホルダーのおかげでここに来れたの。シオンタウンに来て、フジ老人を助けて!」 何やら厄介なことが起きたようだ。 海:「詳しく話して。」 なずな:「分かったわ。これ、一応蓮華ちゃんも関わってることなんだけど…」 あたしたちはなずなちゃんからシオンタウンでの出来事を聞いた。 なずな:「多分フジ老人はポケモンタワーにいると思うんだけど、この本を狙ってる奴らもいるはずなの。 だから、メタモンしかいないあたしには荷が重すぎるし、動くに動けないのよ。」 海:「それで、その本には何が書かれているの?」 なずな:「ゴーストポケモンを集めるための本らしいけど…フジ老人が詳しく教えてくれなかったから厄介なものであることは、 あたしでも分かる事実よ。」 その時だった。突如ジムの中を煙幕が包み込み、それが消えた時、本がなくなっていた。 海:「本が…!」 来美:「うっかりしてたわ。」 なずな:「やられ…ううん、やられてないよ。二人とも、あたしに捉まって!」 さっき本に目印をつけておいた。何かあったときのために。これでテレポートで本のところに飛べる! ハナダでそれが起きていた時、あたしはシオンに向かっていた。でも。 ??:「待って!あなたを先には行かせないよ。」 ??:「面倒くさいけど、君をシオンに向かわせるわけにはいかないん…」 「カシャッ!ジー…」 ??:「おい、僕が喋ってる時くらいは…」 ??:「だって、初対面の子はデジカメに納めないと…」 あたしとキレイハナの前には、年齢がさほど変わらない、あのホテルにいた二人組が立ちはだかった。 黒地に銀色のSマークのコスチューム…多分、スペース団だと思うけど…。 蓮華:「言ってみる?」 キレイハナ:「言うしかないでしょ。あんたたち、何なのよ!」 しょうがなくキレイハナが「何なのよ」を言うと、ここでいつもの音楽が流れ出した。 こういう言葉を言わないと、彼らは口上をしないというか…こっちからしてみれば面白いような、厄介のようなものである。 ??:「何なのよと言われたら…」 ??:「めんどくさいけど、適当に答えてあげるよ…」 ??:「銀河の破滅を防ぐため…」 ??:「銀河の滅亡守るため…」 ??:「勇気と光が悪を貫き通す…」 ??:「プリティー・ガール・ボーイな敵役…」 ??:「ヒカリ」 ??:「ユウ」 ヒカリ:「全銀河を飛ぶ、スペース団の二人には…」 ユウ:「ゴールデンセンチ、黄金のオアシスが待ってるよ」 二人:「「よろしくねっ♪」」 蓮華:「あたしに何の用なの?」 ヒカリ:「シオンではダーク様が計画を実行中。あなたはダーク様の計画に支障をきたす邪魔因子と見なされていますので、 私たちが排除しに来ました。…ユウ!次はユウが言う番だよ。」 ユウ:「はいはい、やればいいんでしょ。仕方ないね…。能力者が何なのかは別として、そっちのポケモンのデータを見る限り、 僕たちの方が強いので参上しました。ボーマンダ、やっちゃいなよ。」 ヒカリ:「あたしの子は、フライゴン!お願いねv」 両者ともドラゴンタイプ…でも、あたしには氷系のポケモンはいないし…、どうしよう〜。 片手には花束もある。これをボロボロにするわけにもいかない!これはリングマやゴースたちのためのもの! キレイハナ:「蓮華、下がって。ここは出たがってる子がいるよ。」 蓮華:「えっ?」 あたしが驚いた時、ボールからはコイッチとハクリュウが飛び出してきた。 コイッチは出るなり怖い顔でボーマンダに威嚇をし、ハクリュウもフライゴンを睨みつけている。 ヒカリ:「うわぁv怖そうなポケモンね。」 ユウ:「ま、僕のボーマンダに勝てるわけないさ。ボーマンダ、フライゴンの邪魔しない程度に好きにやっていいよ。」 ヒカリ:「ユウ!」 ユウ:「だって俺はさっきのゲームの続きがしたいし…」 ヒカリ:「だってじゃない!そんなんだからあたしは色々と…」 ユウ:「わぁ!ヒカリ、落ち着けよ。どうどうどうどう…」 突然ヒカリは泣き出し、ユウはヒカリを落ち着かせ始めた。しかし、ポケモンは普通に襲い掛かってきた。 蓮華:「え、ちょっと!コイッチ、竜巻!ハクリュウはバブル光線よ!」 ボーマンダの火炎放射を竜巻で吹き飛ばし、フライゴンの砂嵐をバブル光線の連続攻撃で相殺する。 蓮華:「続けてダブルで竜の怒りよ!」 竜の怒りがボーマンダとフライゴンを包み込む。 ヒカリ:「グスン、はぁ、はぁ、はぁ…」 ユウ:「ほらほら、しっかりしろよぉ。って、負けてんじゃん!戻れ、ボーマンダ!」 ヒカリ:「フライゴン戻って!バシャーモ、次はお願い!」 ユウ:「フーディン、行って来い!」 泣きつかれたヒカリが落ち着いた時には、バシャーモとフライゴンは竜の怒りの連続攻撃によって倒れていた。 それに気づいた二人はポケモンを変えてきた。 蓮華:「ポケモンを代えた…」 キレイハナ:「一気に4匹で攻めてくると思ったけど…」 ユウ:「僕は、そんな姑息な真似は、やりたくない派だね、寧ろ、僕は、真っ向勝負派だね。フーディン、テレポートで近づいて、 爆裂パンチだ!」 ヒカリ:「バシャーモ、ハクリュウに炎の渦!」 コイッチはフーディンの爆裂パンチを背後から受け、ハクリュウもバシャーモの炎の渦を受けてしまう。 キレイハナ:「蓮華、こっちもポケモンの交代だよ。ポケモン戻して!」 蓮華:「ええ、コイッチ、ハクリュウ、戻って!」 あたしが戻すのと同時に、再びボールからは勝手にだけど、エーフィとコノハナが出てきた。 ヒカリ:「バシャーモ、コノハナに火炎放射よ!」 ユウ:「フーディン、サイコウェーブをエーフィにぶつけてやれ!」 が、エーフィとコノハナはそれをするりとかわした。 ヒカリ&ユウ:「何!?」 蓮華:「コノハナ、剣の舞からフーディンにカマイタチ攻撃よ!そしてエーフィ、瞑想してから影分身、 そしてサイケ光線をバシャーモに!」 コノハナはすばやい動きでサイコウェーブの体制から解けていないフーディンに一撃をいれ、エーフィもバシャーモの スカイアッパーをかわしながらサイケ光線を確実に撃った。 フーディンは防御力が弱いために攻撃力の上がったコノハナの一発で倒れた。バシャーモはまだ戦える様子だ。 が。 ヒカリ:「ユウ、しっかりしてよ!…ユウ?」 ユウ:「悪い、ちょっとゲームに取り込み中♪」 ヒカリ:「ユウ、もう、本当にしっかりしてよ!」 蓮華:「今ね、コノハナ、バシャーモに自然の力よ!」 自然の力は場所によって攻撃が変わる技。今回はスピードスターが飛び出し、バシャーモを攻撃したのだが…。 バシュッ!ボン!プスプスプス…。 ユウ:「よくも…よくも、僕の命から2番目に大切なゲーム機を壊しやがったなぁぁぁぁ!!!!」 スピードスターの攻撃がユウのゲームに当たり、ゲームが壊れた。それが起きた途端、ユウは真っ向勝負とは裏腹に ボーマンダとフーディンを回復させ、大暴れを始めさせた。すると、その攻撃はヒカリに当たり、 ヒカリ:「うぇ〜〜〜〜ん!!!!フライゴン!!バシャーモ!!やっちゃえぇぇ!!うわぁ〜ん!!!」 ヒカリもユウも、タマムシシティのど真ん中で大暴れを始めた。 蓮華:「きゃあ!どうしよう、これじゃ、あたしのポケモンじゃ…」 コノハナとエーフィは連続攻撃で倒されてしまった。あたしもキレイハナの神秘の守りを能力で防御アップにして 耐えていたけど、いつまで持つか分からない。 と、背後から何かものすごいものが通り過ぎ、暴れているポケモンとヒカリとユウを思い切り吹っ飛ばした。 ヒカリ:「イヤ〜ン!」 ユウ:「うわぁ!」 二人:「最悪な感じ〜!」 あたしは爆風がなくなったときに背後を振り返った。すると、そこにはカビゴンやサイドン、ケンタロス、カイリュウを連れた ナナが立っていた。どうやらナナのポケモンの破壊光線のおかげらしい。マスタークラスのナナはほとんどのポケモンを手持ちに しているらしいけど、これほどとは…。 ナナ:「蓮華ちゃん、急いで。シオンタウンでは事件が大きくなってるの。」 蓮華:「う、うん!分かった!」 あたしとキレイハナはシオンへ急いだ。 それにしても…途中、タマムシの地下通路の近くでポコッと緑色の球根みたいなのが生えていたのは何だったのかなぁ。 あたしがシオンに着いた時、シオンタウンはどす黒い空気が漂い、腐敗臭のする場所に変わっていた。 街も汚れてしまっている上、人々があちこちで倒れ、植物が枯れてしまっていた。 と、あたしは近くの民家に引っ張り込まれた。 海:「大丈夫?」 蓮華:「海ちゃん!それになずなちゃんに来美ちゃん、志穂ちゃんまで…」 そこにはシオンで見かけた数人の人たちと、海ちゃん、来美ちゃん、なずなちゃん、志穂ちゃんがいた。 志穂:「こことポケモンセンターに結界を張ったから、ここでは外のようになることはないわ。」 蓮華:「一体、何があったの?」 なずな:「蓮華ちゃんがタマムシの方に向かってから数日後、スペース団の幹部がフジ老人を攫ったの。 あたしはフジ老人から預かってた本を守ってハナダに助けを求めたんだけど、それでも本が盗まれてしまったの。 それで急いで戻ってきてみれば、シオンはすでにこういう状態になり始めてたの。」 海:「ポケギアに志穂ちゃんのアドレスを入れてたから、急いで志穂ちゃんを呼んで、一時的に避難場所を作ったのよ。」 なずなちゃんが会った幹部は多分、ヒカリたちが言っていたダークのことだろう。 なずな:「本にはゴーストポケモンを集めるための内容が書かれていたみたい。ゴーストポケモンが集まり、 この街の生命エネルギーを吸収したからこのような状況に陥ってしまったの。あれっ?でも…蓮華ちゃんはどうして 大丈夫だったの?」 そういえば、あたしは2,30分くらい外にいて、シオンの中を回ってたけど、全然倒れることはなかった。 蓮華:「もしかして…これ?」 あたしはエリカさんに貰った白菊の花を見せた。これも全然枯れてない。 志穂:「これね。白い菊の花がゴーストポケモンたちへの慰霊と慈悲を意味しているから、彼らは蓮華ちゃんに近づかなかったのね。 しかも、蓮華ちゃんが持っていることで植物能力の影響を受けて、花自体も強く枯れにくくなってるわ。」 志穂ちゃんはそう言うと、菊の花を一本取った。 志穂:「あたしはこれを持って外で除霊を始めるわ。やれるだけやってみる。海ちゃんはこの結界に支障が出始めたら、 式を使って何とか食い止めて。」 海:「分かったわ。」 志穂:「そして蓮華ちゃん、ポケモンタワーに向かって。今あそこに入れるのは蓮華ちゃんだけよ。」 蓮華:「うん。」 あたしたちは行動を開始した。外に出てシルフスコープをつけてみた。すると、ゴース、ゴースト、ゲンガー、 ムウマ、ジュペッタ、ヨマワルなどのゴーストタイプのポケモンたちがウロウロしている。近づいてくる子もいるけど、 花に気づくと気持ちいい顔をしてすぐに去っていく。菊の花を見て心が安らいだのだろう。 蓮華ちゃんがタワーに入ったのを見て、あたしは除霊をはじめた。 手から蛍火の様な明るさの、赤やオレンジ、黄色の火の粉を放出し、それを放出しながら、家に伝わる浄化の舞を舞う。 そして火の粉が少しずつ、ゴーストポケモンたちを包み込んでいく。 右手でその作業を行いながら、あたしは左手から火の粉を出すのをやめ、たくさんのプラズマの球を放ち始めた。それらは 火の粉に包まれたゴーストポケモンに近づくと、大きくなり、そのゴーストたちをさらに包み、光の力で彼らの元いた場所に飛ばす。 現実世界でなら、光に包まれた時点で幽霊は浄化・成仏するけど、彼らは生き物なので、そういうことはない。 たまに例外はあるだろうけど、あたし自身も普段の除霊よりも力を弱めているので大丈夫なはずだ。 が、あたしが菊を持っていても、除霊を快く思えないポケモンはいるもので、ゲンガーやジュペッタが襲い掛かってきた。 志穂:「ブラッキー、ベロリンガ、騙まし討ちと舌でなめる攻撃でゲンガーたちの対処、お願いね。 そしてランターン、フラッシュよ!ベイリーフは甘い香りを広範囲に放出して。 この街の中のゴーストたちを集結させるわよ。」 後はあたしと彼らの耐久戦。それまでに蓮華ちゃんが解決してくれればいいけど、間に合わなかったら、ここに出したこの子たちと、 ボールの中のガーディとピッピ、そしてムウマとゴーストに賭けるしかない。 ポケモンタワーの中は外と違って普通だった。 ただ一つ、違うとしたら…。 ??:「ヨマ〜(ハート)」 ヨマワルに懐かれたことだけ。 キレイハナ:「ゴーストポケモンは植物のにおいに弱いとか、そういうデマは聞いたけど、蓮華の場合はいい香りだもの。 この子が懐いちゃうわけよ。この際、ゲットしちゃったら?」 さすがに2階、3階になっても何も起こらなかったけど、ウザいことには変わりない。あたしはボールを投げて、ヨマワルをゲットした。 キレイハナ:「あ、そうだ!」 キレイハナは大きく息を吸い込み始めた。…そして。 キレイハナ:「一体何なのよぉ〜〜〜〜〜〜〜!!!」 すると、何かが動き出す音がした。さっきから何か監視されてる気はしたけど、どうやらどっちかがいたらしい。 マユミ:「なんだかんだと聞かれたって」 エイジ:「答えるか否かはわれらの勝手」 マユミ:「世界の破滅を防ぐため」 エイジ:「宇宙の輝き護るため」 マユミ:「愛と勇気の悪を貫く」 エイジ:「ラブリークールな敵役」 マユミ:「マユミ」 エイジ:「エイジ」 マユミ:「この宇宙にきらめくスペース団の二人には」 エイジ:「ミントブルー、清き青の明日が待っている」 マユミ:「なーんてね」 蓮華:「また足止めのつもり?」 キレイハナ:「遊覧船でのお返しをしてあげるよ。」 マユミ:「うるさいわね!あんたのような正義面したお邪魔虫はここで本当に終わりにしてあげるわ! 行きなさい!ウィンディ!」 エイジ:「すでに分析のデータも取れている。お前はここで負けだな。行け!ハガネール!」 彼らは強気のようだ。でも。 蓮華:「あたしはもう負けないよ。みんなも勝つ気でいるから。思いが強ければ強いほど、勝てる!」 あたしがそう言ったとき、あたしが出そうと思っていた子が自分から飛び出した。 コイッチとサニーゴだ。向こうは炎と鋼・地面だから水攻撃に弱い! マユミ:「ウィンディ、神速でふっ飛ばしなさい!」 エイジ:「ハガネール、竜の息吹だ!」 蓮華:「サニーゴ、ビルドアップから、ウィンディに捨て身タックルよ!コイッチ、ハガネールにハイドロポンプ!」 ウィンディの神速とサニーゴの捨て身タックルが衝突した。そして同じく、竜の息吹とハイドロポンプがぶつかり合う。 ウィンディは押し返されかけたが、踏ん張ってサニーゴを天井に投げ飛ばした。コイッチはまだ続けている。 蓮華:「サニーゴ、最大パワーで地震!」 サニーゴは落下の衝撃を含めて地震を使った。コイッチは少しでも浮いているのでダメージはないが、ウィンディとハガネールには 効果抜群だ。ハガネールは地震で竜の息吹を吐くのが止まり、そのままハイドロポンプをまともに食らった。 ウィンディも地震のダメージが強いようだ。 マユミ:「く〜!!悔しい〜!!キュウコン、あんたも行きなさい!ほら、エイジ、あんたも出すのよ!」 エイジ:「おい、待て。まだ分析による策が残って…」 マユミ:「いいのよ、ほら、メタグロス、出てきなさい!」 マユミはエイジのメタグロスを勝手に出した。メタグロスが破壊光線を、キュウコンが火炎放射を放つ。 しかし、それらの攻撃は突如軌道を変え、別の方向に飛んでいった。そこにはルナトーンとピッピがいた。 蓮華:「ルナトーンの神秘の守り、そしてピッピのこの指止まれよ。今のうちに、コイッチ、最大パワーで破壊光線! サニーゴは水鉄砲よ!」 そして、勝負は決まった。 マユミ:「何であんな小娘に負けなきゃいけな…」 エイジ:「おい、マユミ、いい加減にしろよ。俺の策ならあの状態でも逆転…」 二人とそのポケモンは遠くに飛ばされていった。 あたしはポケモンを戻し、キレイハナとまた再び、上に向かった。すると、リングマの墓と思われるものが壊され、 フジ老人とヒメグマが縛られているのが見えた。そしてそこには、怪しげな魔方陣とグラエナを連れたダークの姿が あった。 ダーク:「来たか。」 蓮華:「今回の事件の大元はあなたね。あたしが許さないんだから!」 ダーク:「ふっ、しかしこいつにはお前は勝てない。行け、リングマ!」 ダークが魔方陣に叫ぶと、リングマの幽霊が現れた。ダークが操っているようだった。 蓮華:「リングマ!?ダーク、何てことをするのよ!」 ダーク:「カントウを征服するためだ。すでに外にはゴーストタイプのポケモンも集めてあ…何!? 一匹もいないだと!?」 蓮華:「残念でした。あたしの親友が除霊をしたのよ。キレイハナ、この哀れなリングマも成仏させてあげよう。 親がいない子供にとって、その親が幽霊としてでも帰って来たのは嬉しいけど、長く留まっていては利用されてしまうし、 生きているものには生きているものの生き方があるの。それをヒメグマに教えてあげなきゃいけない!」 ダーク:「そんなこと、お前が言えるのか?」 蓮華:「言えるよ。あたし、親いないもん。孤児だもん。でも、淋しいけど、今はみんながいるから大丈夫。 ヒメグマ、親と別れるのは悲しいと思うけど、それを乗り越えなきゃいけないの。分かって!」 すると、リングマの幽霊が揺らぎ始めた。ヒメグマは涙を流しながら何かを吠えようとしている。 ダーク:「くそっ!リングマ、俺の力でこいつを倒せ!」 ダークから黒いオーラがリングマに放たれた。苦しそうな声を上げるリングマ。 蓮華:「させない!キレイハナ、白菊の花びらの舞!そしてヨマワル!ダークのオーラにナイトヘッドよ!」 キレイハナはあたしと一緒に持ち続けた白い菊を使い、花びらの舞を行った。白い菊の慈悲と慰霊の思いを包み込んだ 花びらの舞で、苦しみから解放され始めるリングマ。元々ヒメグマの離れたくない思いがこの世にリングマを残していたと 思われるので、ヒメグマがあたしの思いを聞いてくれた今、リングマは成仏が可能だった。 そしてヨマワルのナイトヘッドは闇の力なので、同じ闇の力に対抗できる。だからダークのオーラをリングマから弾くことに成功した。 そしてすうっと消えていくリングマ。ヒメグマは涙を流しながらもそれを見送った。その時のリングマの表情は とても和やかだった。 ダーク:「この野郎!よくも邪魔しやがったな!グラエナ、シャドーボールだ!」 あたしに向かってシャドーボールが放たれた。しかし、何かの光線がそれを相殺した。 ヒメグマ:「ヒンメ!」 キレイハナ:「蓮華、ヒメグマが蓮華と一緒に戦いたいって!」 キレイハナがヒメグマのロープを解いたようだ。今のはヒメグマの目覚めるパワーのようだ。 蓮華:「うん!ヒメグマ、グラエナに爆裂パンチよ!」 グラエナはヒメグマの小柄な体とは裏腹な強力パンチによって倒れた。 蓮華:「次はダーク、あなたよ。」 ダーク:「くっ、この次はこうはいかないからな!」 ダークは黒いオーラと共に消えた。こうして、シオンでの幽霊事件はようやく幕を閉じた。 なずな:「フジ老人、もう大丈夫なんですか?」 フジ:「ああ。心配かけたけど、もう心配することはないよ。」 あれから3日。シオンタウンは復旧が進んでいる。リングマの壊されたお墓も元に戻り、シオンは前よりは明るくなり始めていた。 フジ老人は色々とダークにやらされたようだったが、それほど怪我を負わされたわけではなかったので、今こうして、 あたしと一緒にケアハウスを続けている。 志穂ちゃんは除霊が終わると旅立ってしまい、海ちゃんたちもジムに帰った。蓮華ちゃんは、この付近の植物を元に戻すために力を 使い、昨日まで寝込んでいたけど、今日の早朝、ヒメグマとヨマワルという新しい仲間を連れて旅立っていった。 蓮華ちゃんは強いから、きっと大丈夫だと思う。確か、これからヤマブキによってからセキチクに向かうといっていた。 セキチクに向かうには、自転車ロードを通らなきゃいけないけど、今そこには巨体ポケモンが眠っている。 でも、蓮華ちゃんは大丈夫。フジ老人が渡したあの笛。アレを吹けば、多分…。 フジ:「おや?しまったぞ。」 なずな:「え、どうしました?」 フジ:「いや、あの子に渡した笛は確かに「ポケモンの笛」じゃが、あれはポケモンでしか吹くことができない笛じゃった。」 なずな:「…」 どうやら、旅はまだまだ雲行きが怪しいままみたいだね。頑張れ、蓮華ちゃん!