サファリで新しい仲間をゲットしたあたしは、次の日、セキチクジムの前に立った。 ここは忍者屋敷らしいが、最近改築を始めたらしく、バトルフィールドは庭にある物を使うようだった。 そこはバトルフィールドと言うより、普通に木が生えていたりしている普通の庭のようだったけど。 34.接戦!セキチクジムの戦い キレイハナ:「どんなバトルになるのかしらね。蓮華、自身はある?」 蓮華:「普通かな。あたし、セキチクジムのタイプをよく知らないから。」 ??:「それなら教えてあげようか。」 いきなり背後から声がした。腕を降りながら振り返ると、その腕をつかまれた。 背後にいたのは制服のような服を着ているエリートトレーナーだった。 エリートトレーナー:「僕は稔。このセキチクジムのジムトレーナーさ。ここではまず、3人のジムトレーナーと戦ってもらうことになる。 そしてその結果、ジムリーダーのアンズさんと戦うことになるんだ。ここは毒タイプが専門のジム。 でも、僕が使うのはこいつだ!行くんだ、イノムー!」 稔が出したのは氷・地面属性のイノムーだった。 蓮華:「あたしは…カクレオン、お願いね!」 あたしは昨日捕まえたばかりのこの子で行くことにした。 稔:「ふぅ〜ん、昨日ゲットしたポケモンで、どこまで行けるのかな?」 蓮華:「いつゲットしても、あたしはこの子を信じてるから。だから絶対大丈夫よ。」 実は昨日、カクレオンをゲットしたことを浅香と園長が喋り捲ったらしい。あのカクレオンはいたずら好きだったらしく、 町でもかなり有名だったようで、あたしがゲットしたことはすぐに広まったようだ。 稔:「その自身を崩してあげるよ、イノムー、地震だ!」 蓮華:「カクレオン、近くの木の上に逃げて!上からサイケ光線よ!」 カクレオンは身軽な体を生かし、近くの木の上に逃げて、すぐにサイケ光線を使った。イノムーは逆に素早さが低いため、 サイケ光線をもろに受けていた。が、突然イノムーは眠りだした。そして、突然の吹雪攻撃をしてきた。 蓮華:「な、何!」 稔:「ははは、イノムーは素早さが低い。しかし動かなくても攻撃が可能であり、自分の身を守るために体が動くのさ。 眠っている間は吹雪などの攻撃が発動する。イノムーらしい攻撃さ。」 稔は笑っていたけど、その時あたしは、こっそりとある指示を出していた。 それは彼には聞こえなかったらしい。 稔:「さて、イノムー、木に突進しろ!そして落ちてくるカクレオンに乱れ突きだ!」 イノムーは木を思いっきり揺らし、さすがに落ちてきたカクレオンを攻撃した。 蓮華:「草むらに戻って!そしてサイケ光線よ!」 カクレオンが草むらからサイケ光線を放ちながら飛び出した。 稔:「今だ!イノムー、もう一度吹雪!」 イノムーはカクレオンを吹雪で攻撃した。 稔:「吹雪をまともに浴びて、君のポケモンは大丈夫なわけ…何!?」 稔は驚いていた。カクレオンが吹雪を受けて平然としていたからだった。 蓮華:「残念でした、さっき攻撃を受けたのは、カクレオンの身代わりよ。あなたが高笑いをしていたときに、しっかり指示を出していたの。 だから今、氷属性になっているカクレオンには氷攻撃は効果がないのよ!カクレオン、原始の力よ!」 カクレオンは吹雪に向かって体当たりするように向かい、イノムーの近くで思いっきり原始の力を放った。 地面属性でもあるが、氷属性でもあるイノムーに岩攻撃は弱点そのものだったため、イノムーは耐え切れずにダウンした。 稔:「そんな…イノムーが負けるなんて。」 蓮華:「ゲットしたばかりポケモンが弱いと思っていた、あなたのその思い込みが失敗を招いたのね。」 稔ががっくりと肩を落としていくと、今度はいい年した渋いおじさんがやってきた。 あたしはああいう人を見たことあったので、すぐに分かった。猛獣使いだ。 猛獣使い:「どうやら私が猛獣使いであることは分かっている様だな。」 蓮華:「ええ、その持ってるムチで…。」 猛獣使いはムチを持ってるから分かりやすいのだ。一時期、あたしのクラスメイトの妹が「進研ゼミ」で猛獣使いと同じ顔の先生を 見つけたといっていたから、それを覚えていたので分かったのだ。 猛獣使い:「そうか。私は名前は明かす気がないから好きに呼んでくれればいい。行くのだ、グランブル。」 何故か妖精ポケモンの仲間入りをしているブルドック型のポケモン、グランブルが出てきた。確かあのでかい口は何でも噛み砕くはず。 蓮華:「グランブルに噛み砕けるものなし!だとしたら、柔らかい体のこの子で行くのが一番!お願いね、キマワリ!」 あたしはさっきのカクレオンに続き、昨日ゲットしたばかりのキマワリを出した。 蓮華:「キマワリの体は柔らかいから押さえ込まれるとしても、一応秘策もあるし!」 猛獣使い:「キマワリか。ならばグランブル、火炎放射だ。」 グランブル:「グ〜ラ〜!」 グランブルは火炎放射を覚えられるらしく、キマワリに火炎放射を放った。 蓮華:「キマワリ、神秘の守りで炎を防いで!そして剣の舞よ!」 キマワリ:「キマキマ!」 キマワリは神秘の守りで火炎放射を避けた後、すぐに剣の舞を使った。すると、キマワリの手でもある2枚の葉っぱが硬くなった。 蓮華:「キレイハナがリーフブレードをできるように、キマワリもリーフブレードが使えるのよ。」 猛獣使い:「ふん、それが何になるというのだ。グランブル、キマワリを噛み砕いてやれ!」 グランブルは葉っぱに向かって飛びつき、大口を開けて葉っぱに噛み付いた。 キマワリ:「キ、キマキマ!?」 そして思いっきりそれを引っ張り出した。キマワリは苦悶の表情を浮かべている。 蓮華:「ヤバイ!キマワリ、種マシンガンよ!」 猛獣使い:「させるものか!グランブル、キマワリの体を縦横にゆすってやれ!そして投げ飛ばすのだ!」 グランブル:「ガウッ!」 キマワリ:「キマァ!」 あたしが指示をミスったことも関係し、キマワリはグランブルに捉まった。そしてそのうえ、種マシンガンを放つよりも先に、 グランブルはキマワリに噛み付いたまま、キマワリを滅茶苦茶にゆすり、ひっくり返してしまった。 猛獣使い:「これでお主も終わりであるな。」 蓮華:「う〜ん…キマワリ、日本晴れよ!」 キマワリ:「キ〜マ〜!」 キマワリは顔を何とか空に向け、そして光を放った。するとフィールド上を日光が照らし出した。 蓮華:「フラッシュよ!」 猛獣使い:「させるか!グランブル、再びゆすってやれ!」 蓮華:「だったらキマワリ、グランブルの体ごと、地面に根を張るのよ!」 キマワリはグランブルの真上に投げられた時、足元からグランブルに向かって根を伸ばし、根はグランブルの首に巻きつきながら 根元に刺さった。 猛獣使い:「何!グランブル、ビルドアップして引きちぎれ!」 蓮華:「させないわよ!キマワリ、日本晴れの効果が出ているうちに至近距離からグランブルにソーラービームよ!」 キマワリの特性も「葉緑素」なので、日本晴れを行ったことでグランブルよりも素早さが上がり、今度はキマワリがソーラービームを グランブルに放った。噛み付かれていたこともあり、ソーラービームはグランブルの顔に命中した。 猛獣使い:「グランブル!」 グランブルは至近距離でパワーアップしているソーラービームを受け、しかも根に首を絞められてしまったこともあり、 戦闘不能になっていた。 猛獣使い:「お主の勝ちの様だ。悔しいが、負けを認めよう。」 そう言うと、猛獣使いのおじさんは行ってしまった。 蓮華:「ふぅ、助かったわ。キマワリ、後でゆっくり回復させてあげるからね。戻って!」 あたしはキマワリを戻した。 二人とのバトルが終わると、突然風が吹き、あたしとキレイハナの周囲を葉っぱが飛び交い始め、そして目の前に 浅香ちゃんが姿を現した。 浅香:「さすがは蓮華先輩ですね。でも、もうさっきの二人のようには行きませんよ。」 蓮華:「そう、あなたが3人目のジムトレーナーなのね。あたしも手加減しないから。」 浅香:「うふふ、あたしは手加減なしでも先輩には勝てますよ。行ってきてね、ハガネール!」 浅香ちゃんのポケモンは鋼・地面タイプの鉄蛇ポケモン、ハガネールだった。 浅香:「あたしのポケモンはこのジムより、ジョウトのアサギシティのアサギジムのほうがあってるらしいんですって。 でも、その分アンズさんを楽しませるトレーナーがいるかを確かめるには、あたしがいることがいいみたいなんですよ。 というわけで、蓮華先輩はどうします?」 まさか浅香ちゃんがハガネールを出すとは思わなかったので、あたしは驚いていたけど、すぐに正気に戻り、出すポケモンを考えた。 ハガネールのような巨体にはロコンやヘラクロスではちょっと不利だし、キレイハナやサニーゴの攻撃は効くけど、それでもちょっと 危ない。だったら…いる! 蓮華:「浅香ちゃん、レベルの違いを教えてあげるわ。行くのよ、カビゴン!」 あたしの持ってるポケモンの中でハガネールに対抗できそうなのはカビゴンとギャラドスくらいだった。 浅香:「カビゴンですか。でも、これはどうですか?ハガネール、竜の息吹!」 ハガネールは竜の息吹という相手を麻痺させることもできる技を放った。 蓮華:「カビゴン、破壊光線でなぎ払って!」 カビゴンは破壊光線で竜の息吹を突き破り、そのままハガネールに破壊光線を命中させた。鋼タイプなのでそれほど効くわけではなく、 破壊光線は途中で尻尾によって防がれてしまった。 浅香:「アイアンテールよ!」 蓮華:「カビゴン、尻尾を掴んで怪力で投げ飛ばして!そのままのしかかりよ!」 ハガネールが尻尾によるアイアンテールをカビゴンに振り下ろした。でも、カビゴンはそれを掴み、そのまま地面に叩きつける。 そして、思いっきりジャンプしてハガネールに飛び降りた。 浅香:「ハガネール!?」 ハガネールはさすがに巨体の重みを受け、一瞬怯んだようだ。 蓮華:「今よ!カビゴン、ジャンプして瓦割よ!」 カビゴンはジャンプして、そしてその落下の勢いを含めた瓦割り攻撃をハガネールに叩き付けた。 さすがに皹も入り、ハガネールはその場に倒れた。 蓮華:「浅香ちゃん、どう?」 浅香:「負けました。強いですよ、先輩は。」 ??:「違うでござる、浅香殿が弱いのでござる。」 突如声がして、振り返ると。そこにはくのいち忍者の装束を纏った少女がいた。 ??:「お主が蓮華殿でござるな。ナナ殿からはよくよく聞いているでござる。拙者はアンズ。このセキチクジムのジムリーダー でござる。拙者と4対4のジム戦を行うでござる。」 ナナとの知り合いであることは当たり前か。でも、浅香が負けたことで出てきたらしい。 あたしはキレイハナを含む4体で彼女に勝たなきゃ! 浅香:「それでは今からジムリーダーアンズと、グロウタウンの蓮華によるセキチクジムのジム戦を行います!」 アンズ:「それではまずはアリアドス、行くでござる!」 蓮華:「あたしはロコン!お願いね!」 虫タイプに対しての炎タイプ。ただし、相手は忍者トレーナー。どんなことを仕掛けてくるか、全く分からないから気を抜くことはできない。 アンズ:「アリアドス、糸を吐き、蜘蛛の糸。ロコンの移動を制限するでござる。」 蓮華:「糸で制限なんてさせない!ロコン、火炎放射で糸を焼ききるのよ!」 あたしはアリアドスがロコンの周囲に飛ばした糸を炎で焼こうとした。でも、その糸は燃える様子もなく、その場で原型を残している。 アンズ:「このアリアドスは我が毒忍術によって生まれた蜘蛛ポケモン。炎で簡単に倒す考えは間違っているでござる。 すでに蜘蛛の糸によって周囲は固めた。これでもう逃げ場はないでござる。アリアドス、影分身、そして高速移動で近づき、 ナイトヘッドでござる!」 アリアドスは動こうとした。が。 蓮華:「無理よ。」 アリアドスは影分身の体制をとっているが、影分身を行えず、高速移動もできなく、その場からナイトヘッドを放っていた。 無論、発射している場所が分かっているためにロコンの鬼火と相殺しているが。 アンズ:「なるほど、封印でござるな。」 蓮華:「ええ、あたしのロコンはスピード重視型。だから影分身と高速移動を覚えていることは必須よ。もちろん電光石火もだけど。 多分あなたはクロバットを出すかもしれないけど、彼もまた、ロコンが覚えているそれらと怪しい光は封じられるのよ。」 ロコンがスピードに関係する技を覚えているために、ロコンと戦うトレーナーはスピードには苦戦を強いられることになるのだ。 アンズ:「そうでござるか。ならば、アリアドス。戻るでござる。」 蓮華:「えっ?」 いきなりアンズはアリアドスを戻した。 アンズ:「我がポケモンのうち、アリアドスとお主の言うクロバットは拙者が扱うポケモン。しかし、そのロコンによってスピードを 生かす技が使えないとならば、このアリアドスの策は尽きた。そのためアリアドスは負けでござる。クロバットも同様に使うことは不可能。 よって、拙者は残る2体に勝てるかで、バッジを渡すかを決めるでござる。マタドガス、ベトベトン、行くでござる!」 アンズはアリアドスの負けを主張し、それと同時に2体のポケモンを出した。毒タイプで有名なマタドガスとベトベトンだった。 アンズ:「彼らもまた、拙者の家に伝わる力を修行によって秘めた者たち。些細な念や大地の力では倒れないでござるよ。」 見た感じは普通に見えるけど、でも、マタドガスたちからは何か普通の毒タイプとは違うものを感じた。 蓮華:「それなら、この二人しかないわ。毒に強い子、そして毒に対しての免疫を持った子。 出てきて、ドラちゃん!そしてキレイハナ、行ってきて!」 鋼タイプには毒攻撃は無効化と同じことだし、キレイハナは毒を体に蓄積させることができる、ある意味ありえない体質だ。 だから今はこの二人にかけるしかなかった。 キレイハナ:「了解!」 ココドラ:「ドララ!」 アンズ:「そうでござるかな?ベトベトン、キレイハナにのしかかるでござる、マタドガスはココドラにスモッグでござる!」 蓮華:「避けて!」 あたしは今はそういうしかなかった。 スモッグが少し近くの屋根瓦に触れたとき、どろっと瓦が溶け出したからだった。 蓮華:「さすがに鋼も溶かす毒なのね。ドラちゃん、気をつけて!ベトベトンに泥かけ攻撃よ!」 ドラちゃんはキレイハナの神秘の守りでヘドロ攻撃を防ぎながら、ベトベトンに対して泥をかけた。 さすがのベトベトンもこれには参っている様子だ。が、キレイハナの神秘の守りから煙が出てきていた。 キレイハナ:「蓮華、あたしの防御もそろそろ限界だよ。あたしだって、あのヘドロがかかったらただじゃ済まなさそうだから。」 蓮華:「分かってるわ。キレイハナ、フラッシュと同時に日本晴れよ!」 あたしは指示を出し、キレイハナはマタドガスの目をフラッシュでくらませ、日本晴れを行った。 アンズ:「日本晴れで素早さを上げたようでござるが、ベトベトンとマタドガスが炎攻撃を使えると知らずの行動。 命取りでござるな。」 蓮華:「いいえ、キレイハナ、バトンタッチよ!」 キレイハナはバトンタッチでロコンと変わった。変わる前に行っていた神秘の守りも、ポケモンが変わったことで元に戻っていた。 アンズ:「何と。しかしロコンで勝てるでござるか?ベトベトン、マタドガス、ヘドロ爆弾連続投下でござる!」 蓮華:「ドラちゃん、金属音よ!そしてロコン、特大のオーバーヒートよ!」 ドラちゃんが金属音によってヘドロ攻撃を受けながらも彼らに嫌な思いをさせ、特殊防御力を下げさせた。 そしてロコンはキレイハナの「成長」によって特殊攻撃力が上がっているため、日本晴れの力も借りたオーバーヒートを 2体に発射していた。 そして。 浅香:「マタドガス、ベトベトン、戦闘不能!よってこの勝負、グロウタウンの蓮華の勝利!」 あたしはセキチクジムをクリアしていた。 浅香:「さすがは蓮華先輩です。」 アンズが姿を消すと、浅香ちゃんが近くまでやってきた。 蓮華:「そんなことないよ。ロコンの封印を行っただけでアリアドスを戻したり、クロバットを出すのをやめて3対3に変えたりなんて。 アレをアンズがしなかったら、あたし、苦戦してたよ。」 キレイハナ:「確かにね。ドラちゃんやあたしの神秘の守りを溶かす溶解液を持った毒ポケモンだし、彼女があんなことを考えなかったら、 あたしだってやばかったよ。」 あたしもキレイハナも、アンズがどうして封印を使っただけでやめたのか、それが不思議だった。 浅香:「それはですね。アンズさんがただバトルを行っていたわけじゃないってことです。 しっかりとポケモンとトレーナーの信頼や、技の出し方、バトルでの先読みなどを見ていて、それでいて、自分のポケモンを出した時に どうなるかを読み取り、このように決めたんだと思います。あたしも一応数ヶ月、ジムトレーナーをしてますから。」 浅香ちゃんの説明で、何となく分かったような気がした。そんな時だった。 アンズ:「何かが来る!」 突然現れたアンズがあたしたちに言った。 浅香:「何ですか?それは。」 アンズ:「分からぬ。しかし急いでこちらに向かっていることが感じられるでござる。」 と、その物体が見えた。赤く燃えるような羽をした人…。 浅香:「あれっ?あれって深田先輩じゃ…」 向かっている物体というのは美香だった。 アンズ:「確かにあれは美香殿のようでござる。」 前に美香はここにも来たらしく、アンズも浅香も分かったらしい。 美香:「蓮華!浅香ちゃんにアンズさん、キレイハナも聞いて!大変なことが起きたの!」 美香があたしたちに言ったことはとてつもない驚愕のことだった。 美香:「スペース団がヤマブキシティを占拠したの!」