何とかあたしたちは洗脳され、ダーク四天王になっていた4人を元に戻す事ができた。 でも、哲兄や久美ちゃんたち、みんながみんな(あたしも含めて)無茶なことをしたから、スペース団を追い込める状態になったのに 戦えるメンバーがいなくなってしまっていた。 44.最終決戦!リースイとルーク あたしと涼治で行くはずだったけど、 氷雨:「悪いけど、お医者さん志望君は戻って治療を手伝ってね。」 という氷雨さんの言葉で、涼治とは別れざるを得ず…。 キレイハナ:「蓮華、しょうがないよ。どうなっても涼治君はポケモンバトルは無理なんだから。」 蓮華:「そうだけど…」 キレイハナ:「それよりも、早く行こう。今あたしたちがいいところまで戦っておけば、怪我してるみんなも出てこれるはずよ。」 キレイハナはそう言ってあたしを押し出すけど、実際は涼治の(操られた)ポケモンたちを倒したのがキレイハナだから、 その話題には触れないようにしようとしているだけなのだ。でも、確かに入り口前で歩き回っているのは、向こうにも悪いはずだし…。 蓮華:「そうだね。って、入るべきかなぁ?」 キレイハナ:「えっ?あ…、どうしよう…。」 さすがに無理やり隠れた状態でいる見られた二人組を見かけたのだ。 蓮華:「あの年で隠れるのはねぇ…」 キレイハナ:「パソコン打ってるのが丸見えだし…」 どうなっても足と頭がフロントから見えている女性と、隠れてるつもりが実は表から丸見えになっているのに気づかずにパソコンを 必死で打ってる男性がいて、そんな彼らの配下のように、たくさんの団員が、それもまた、同じように無理やり隠れているのだ。 キレイハナ:「あの団員、無理やり研究員になっているのは分かるけど…」 蓮華:「女装はちょっとなぁ…」 あたしたちはひとまず叫ぶことにした。これを叫べば多分…言葉に反応して出てきてしまうだろうから。 蓮華:「それじゃ」 キレイハナ:「せぇのぉで!」 蓮華&キレイハナ:「あんたたち、何なのよぉ〜!」 あたしたちが思いっきり叫んだ。すると、案の定。 マユミ:「あんたたち、何なのよぉ〜!と聞かれたって」 エイジ:「答えるか否かはわれらの勝手」 マユミ:「世界の破滅を防ぐため」 エイジ:「宇宙の輝き護るため」 マユミ:「愛と勇気の悪を貫く」 エイジ:「ラブリークールな敵役」 マユミ:「マユミ」 エイジ:「エイジ」 マユミ:「この宇宙にきらめくスペース団の二人には」 エイジ:「ミントブルー、清き青の明日が待っている」 マユミ:「なーんてね」 いつもの曲が流れ、マユミとエイジが外に現れた。二人の背後の入り口を、団員たちが溜まって塞いでいる。 マユミ:「ダーク様とリースイ様がご休養の間、あたしたちがあんたたちをこのビルの上に行かせないわよ。」 エイジ:「お前の戦いやポケモンのデータは全て、すでにこのパソコンに入っている。もうお前がどんなことをしようとも、 お前は俺たちに勝つことはできないぞ!」 今日の彼らは強気だった。 しかも、衣装もすごかった。マユミはリースイと同じチャイナドレスで、妙にピンク色の扇子を2枚持って腰やすそを隠している。 そしてエイジはドラゴン使いのゴージャス版の姿をしていた。 多分、四天王がいなくなったことで、彼らがエスカレーター式に昇格したんだと思う。 蓮華:「…あたしたちだって負けないから!」 キレイハナ:「そうよ。あなたたちがどんな戦略で来ても、あたしたちの絆で結ばれたバトルを超えることはできないわ!」 マユミ:「うるさい!あんたがどんなに強くなろうと、正義面したあんたみたいな女は嫌いなのよ! あたしの新しいポケモン、テッカニンとヌケニン!行きなさい!」 マユミはバトルが1ターン続くごとに素早さを増すポケモンのテッカニンと、弱点攻撃をつかない限り倒れない厄介ポケモンの ヌケニンを出してきた。 エイジ:「マユミ、作戦通りに行くぞ。俺の新しいポケモンも行け!キノガッサにパラセクト!その生意気な餓鬼を倒せ! 俺も子供は嫌いだからな。」 エイジが出したのは草と格闘のタイプを持つキノガッサと、パラスの進化系のきのこポケモンパラセクトだった。 蓮華:「相手は虫と草メインのタイプ…」 キレイハナ:「キノガッサはあたしが行くよ。蓮華!」 蓮華:「了解!行くのよ、きっぴー、サゴッピ、リーフィー!」 虫や草には、炎、岩、飛行タイプが有利だからこの3人!それにキレイハナが出れば勝てるはずだと思った。 しかし、あたしは背後の団員たちのポケモンを見てぎょっとした。 マユミ:「あらっ?どうやらあたしたちだけを相手にしようとしていたようね。」 エイジ:「俺たちのポケモンに対する攻撃は、俺たちの後ろの団員たちが全て相殺する。残念だったな。」 二人は大笑いし、団員たちも笑い始めていた。 が、突如、辺りの温度が急激に下がり始めた。 現実世界から来たこの4人には効かないけど、ポケモン世界のポケモンたち、特に氷系攻撃を苦手とするポケモンたちには 寒さは弱点であり、彼らのスピードが落ちていた。 マユミ:「何!?何よ、この寒さは!」 エイジ:「分からない。しかし…このままでは俺たちのほうが不利だ。戻れ!キノガッサ、パラセクト!」 マユミ:「せっかくのチャンスだったのに!テッカニン、ヌケニン!戻って!」 彼らはポケモンを戻し、マユミとエイジはいつものポケモン、ハガネールとウィンディを放ってきた。 彼ら相手なら簡単だ。 蓮華:「キレイハナとリーフィーはハガネール、きっぴーとサゴッピはウィンディを相手よ!」 マユミ:「させないわよ!我らがスペース団を甘く見るんじゃないわよ!ウィンディ、大文字!」 エイジ:「マユミ、暴走はするなよ。…ハガネール、竜の息吹だ!」 彼らは攻撃を放ってきた。でも、リーフィーとサゴッピのバリアと神秘の守りはそれを容易に防ぎきり、 蓮華:「キレイハナ、日本晴れよ!そしてキレイハナ、ソーラービーム!きっぴー、オーバーヒート!」 キレイハナとロコンが日本晴れによるソーラービームとオーバーヒートのパワーアップバージョンを放っていた。 マユミ&エイジ:「何!?」 攻撃はもろに命中し、彼らのポケモンは倒れた。しかし、日本晴れでさっきまでの寒さは消えていた。 そのため、再びテッカニンとヌケニンが出てきていた。 マユミ:「これでまた元通りよ!テッカニン、シャドーボール!」 エイジ:「キノガッサ、爆裂パンチ!」 キノガッサはきっぴーを、テッカニンはキレイハナを背後から狙い、それを防ごうとしたサゴッピとリーフィーの攻撃(地震とサイケ光線)は、 敵も味方も避けたので…。 マユミ&エイジ:「うわぁ〜!こっちに来るなぁ!」 ちょうどキレイハナやキノガッサたちの向こう側にいたマユミ&エイジに、攻撃が向かい、普通にヒットしていた。 そして、彼らは建物の中にまで飛ばされていった。 団員A:「マユミ&エイジが倒れた!」 団員B:「くそぉ!俺たちで行くぞ!」 団員たちは、マユミとエイジを踏みながら向かってきた。しかも、キノガッサたちも襲ってくる。 キレイハナ:「蓮華!こいつらにはあたしたちだけじゃ、対処の仕様がないよ!」 蓮華:「分かってるわよ、キレイハナ以外戻って!そして、ゴン、コイッチ!行っちゃえ!」 あたしはゴンとコイッチを出した。何をやるかは予想に任せるけど、アレである。 ゲートを崩壊させたアレ、ダブル破壊光線だ。と、そこへひがめ君が飛び出てきた。 どうやらやる気だ。 キレイハナ:「蓮華、ひがめはヌケニン狙いらしいよ。」 蓮華:「あ、そうか。ヌケニンには破壊光線効かないもんね。」 そしてあたしたちは攻撃を放った。 これだけ喋っていて攻撃が来なかったのは、コイッチの威嚇と、そしてあのゲートの姿をここの団員が見ているからだった。 そして放たれた瞬間、彼らの戦意はすでに崩壊しており、一斉に逃げ出していた。 結果、攻撃は一階にいた団員と、マユミ&エイジ、そして彼らのポケモンがもろに受けていた。 数分後。 蓮華:「それじゃ、入りましょうか。」 キレイハナ:「そうだね。」 あたしたちは建物の中に入った。センサーは生きていたらしく、あたしが入った途端、侵入者警報を発令させていたけど、 一階部分にはあたしたちを捕まえる余力を残しているものは誰一人としていなかった。 破壊光線&火炎放射の威力のおかげだった。団員たちはその場に倒れ、起き上がろうともしていなかったから。 ただし、死んでいない。それはあたしが微量のヒーリングの光を照らしたからで、全員その後に出したワタッコの 眠り粉が効いているのだった。 あたしたちはその後も、色んなところで団員たちに出会い、色んなメンバーを選出し、倒していった。 そして着いた場所、そこは「秘書の間」と書かれた部屋だった。金のプレートに書かれているが、それを少しずらすと、 会議室になっていた。シルフをのっとった時に、会議室を自室にしたらしい。 蓮華:「ここはあいつの部屋よね。」 キレイハナ:「リースイね。」 と。 ??:「あなたたちを中に入れません!私たちがあなたたちを処理させていただきます!」 と言って、またどっちかの二人組が出てきた。 キレイハナ:「誰?」 キレイハナの言葉に、今度は音楽がパワーアップして聞こえてきた。 ヒカリ:「誰?と言われたら…」 ユウ:「めんどくさいけど、適当に答えてあげるよ…」 ヒカリ:「銀河の破滅を防ぐため…」 ユウ:「銀河の滅亡守るため…」 ヒカリ:「勇気と光が悪を貫き通す…」 ユウ:「プリティー・ガール・ボーイな敵役…」 ヒカリ:「ヒカリ」 ユウ:「ユウ」 ヒカリ:「全銀河を飛ぶ、スペース団の二人には…」 ユウ:「ゴールデンセンチ、黄金のオアシスが待ってるよ」 二人:「「よろしくねっ♪」」 ヒカリとユウ、そしてエネコロロとノクタスが出てきた。 ヒカリ:「リースイ様が手を出すまでもなく、侵入者は私たちが叩きます。エネコロロ、行きなさい!」 ユウ:「君たちを倒せばさらにいいゲームが買えるんだ!真っ向勝負で行くよ、ノクタス、行って来い!」 彼らも新しいポケモンできていた。お澄ましポケモンで、美しさやかわいさのコンテストに出る事が多い、ノーマルタイプで 意外な強敵のエネコロロ、そしてサボネアの進化系で草と悪のタイプを持つノクタス。 蓮華:「ここは…ドラちゃん、フィル、お願い!」 ヒカリ:「エネコロロ、コドラにメロメロ攻撃です!」 ユウ:「ノクタス、エーフィに騙まし討ちだ!」 メロメロは異性のポケモンをメロメロにする技で、騙まし討ちは必ず当たる悪タイプの技。 けど、あたしが策を練ってないわけではなかった。フィルは囮だった。 フィルはすぐにボールに消えた。フィルは瞑想を行ってすぐにバトンタッチを行ったのだ。 ユウ:「何!?」 蓮華:「エスパーポケモンを出せば、ノクタスが騙まし討ちをすることは予想ついたわ。」 そしてポケモンが一体、ノクタスの前に出ようとしていた。 ヒカリ:「隙ありです、コドラをメロメロにしちゃえ!」 コドラは蓮華に言われてヒカリのエネコロロの攻撃を避け続けていた。でも、あたしの意識が片方に向いたため、 ヒカリは攻撃を強くしていた。だったら…。 蓮華:「吠えるのよ!」 コドラは思いっきり吠え、エネコロロはボールに戻っていた。代わりに出てきたのはフーディンだった。 蓮華:「突進して噛み砕くのよ!あと、ヒメちゃん、炎のパンチ!」 フィルのバトンタッチで出たのはヒメちゃんだ。 ヒメちゃんは出た瞬間にニードルアームに襲われたが、それを火炎車でノクタスの針ごと、体中を取り巻く炎で燃やし、 そしてすぐに掴みかかっていた。 ヒカリ:「あ〜ん、2対1で勝てると思ったのに!フーディン、サイコキネシスでコドラを体から引き剥がして!」 ユウ:「ノクタス、ギガドレインだ!」 フーディンは噛み付かれ、牙が腕に刺さった状態でサイコキネシスを行い、ドラちゃんを宙に浮かせていた。 そしてノクタスはギガドレインで少しずつ体力を取り戻している。このままだと不利だけど…ニヤッ。 あたしはヒメちゃんのほうを向いた。 蓮華:「ヒメちゃん、ノクタスをフーディン目掛けて投げ飛ばすのよ!」 ヒカリ:「えっ!?」 ユウ:「何!?」 ヒメちゃんはノクタスをフーディンに投げつけた。ノクタスはギガドレインを行おうとしていたため、フーディンに行ってしまい、 そしてフーディンもサイコキネシスを無理して行っていたので、ノクタスの直撃と攻撃でついに倒れてしまった。 ヒカリ:「あ〜〜!フーディン、しっかりしてよ。ユウ君、しっかりやってよ!」 ユウ:「僕は頑張ったよ。そっちが失敗したんじゃないか!せっかく真っ向勝負してたのに。」 自分のポケモンが倒れたことで泣き出すヒカリと、怒り出すユウ。 蓮華:「ドラちゃん、電撃波よ!」 あたしは、ノクタスが残っているのに喧嘩しているので、二人+αを電撃波で飛ばした。 そしてリースイの部屋に入ると、そこにはさっきとは別人のリースイが、新しいチャイナドレスを着て立っていた。 化粧もしっかりしてあり、髪形も崩れていない。 リースイ:「あらあら、よくここまでたどり着けましたわね。先ほどはどうも、お見苦しい姿にされてしまい、 恨みに思っていますわ。トドゼルガ、この小生意気な少女とポケモンを氷漬けにしなさい!」 リースイは自分もポケモンの姿になり、トドゼルガと共に襲ってきた。 ポケモンがポケモンを操れるのはできないけど、このトドゼルガは目が虚ろであり、操られている事がよく分かった。 蓮華:「キレイハナ、行って。」 キレイハナ:「了解。あたし一人?」 蓮華:「いいえ、あたしもいるわ。十分でしょ?」 キレイハナ:「そうだね。」 あたしはキレイハナを出して彼女と戦うことにした。 リースイ:「オホホ、あなたたち、あたしとこの子相手におひとりで戦うつもりなの?」 蓮華:「お一人、というより、二人よ。我が草の能力よ、我がパートナーへ力を与えよ!」 あたしは力を集中し、キレイハナにあたしの持つパワーの一部を送った。そして。 蓮華:「あなたがポケモンになりながら攻撃と指示をするというなら、ポケモンではないけどこの形で応戦するわ! 変化、鬼草!」 あたしは久しぶりに鬼草という半妖怪の姿になった。キレイハナの横に並び、 蓮華:「これで2対2よ。」 と言ってやった。 キレイハナ:「確かにそうね。」 リースイ:「あら、それは反則のような気もしますけど…まぁ、いいでしょう。行きますよ!吹雪!」 リースイとトドゼルガは一斉に吹雪を放ってきた。 キレイハナ:「神秘の守りよ!蓮華、ここはあたしの意思でやってもいい?」 蓮華:「ええ。」 キレイハナは意思でやるつもりだけど、結局あたしと同じことをしようとしていることは感じられていた。 リースイ:「攻撃を弾くばかりですの?トドゼルガ、のしかかり攻撃よ!」 リースイは吹雪を神秘の守りで防がれたために、トドゼルガにのしかかりを指示した。でも、これをチャンスと あたしは近づき、蔓のムチで縛った。そこをキレイハナが爆裂パンチの一撃で倒す。 キレイハナ:「蓮華、ナイスフォロー!」 蓮華:「当たり前よ。パートナー同士、やろうとしていることは分かるんだから。」 あたしたちはそう言いながら、マジカルリーフと葉っぱカッターでリースイを攻撃するが、リースイは溶けてかわし、 バブル光線や水の波動を使ってくる。 キレイハナのトリプル粉攻撃には黒い霧を、嫌な音や睨みつける攻撃には白い霧を使ってきていた。 蓮華:「さすがにポケモンと人間を使い分けてないわね。」 キレイハナ:「ポケモンの攻撃をどのように防ぐかが全て現れてる。さっき戦ったマユミやヒカリよりもすごいわね。」 リースイ:「当たり前よ。あたしをあの人たちと一緒にしたら大間違いです。ハイドロポンプです!」 リースイはついに必殺技を使ってきた。狙いはあたしだった。 蓮華:「くっ…、キレイハナ、日本晴れ、そして蔓のムチでジャンプ!」 あたしは迸る激流の水攻撃を受けながらキレイハナに叫んだ。 キレイハナ:「分かった!え〜い!」 キレイハナが日本晴れを行ったことで、多少攻撃が緩まる。そして蔓のムチでジャンプしたキレイハナは、空中からの ソーラービームを放っていた。 リースイ:「何!?」 ハイドロポンプを放っているリースイにとって、斜め上からの攻撃は避け切れなかった。 驚きと防御に徹しようとして、あたしに対する攻撃もこの時に弱まった。あたしはそれを逃していなくて、 蓮華:「必殺、ソーラー弾!」 リースイに向けて必殺技を打ち出した。空からのビーム攻撃と、陸上からの弾丸攻撃はリースイに容赦なく命中し、 リースイは奥に吹っ飛ばされていた。 リースイ:「うぅ…、あたしが負けるなんて…。」 リースイはそう言うと、起き上がろうとしたが、すぐにその場に倒れた。そしてシャワーズの姿から女性の姿に変わったのだが、 少しずつ煙のようなものが出始めていた。それと共に、彼女の体が少しずつ消え始めていた。 リースイ:「あたしがここで消滅することになるなんて…。ルーク様…おいたわしや…あたしは、ずっと…そばにいたかった。」 リースイの体は徐々に薄れ、そして彼女は最期まで泣いていた。あたしたちはその姿に圧倒され、そして、何もできなかった。 リースイ:「ルーク様…を…助けて…あげ…て」 最後にこんな声が聞こえた気がした。その声と同時に、リースイは消えた。 後には、彼女の付けていた装飾品が残り、リースイと言うシャワーズの化身の女性は消滅した。 蓮華:「彼女は結局何者だったのかしら?」 キレイハナ:「さあ?あたしもよく分からないわ。」 と、秘書の間の奥にあるドアが開き始めていた。そのドアの名前は、「王の間」だった。 蓮華:「ついにここね。」 キレイハナ:「そうだね。」 あたしたちは中に入った。すると、王様が座るような座椅子には、一人の青年が座っていた。18,19くらいの年齢のようだった。 そして金色のマントをつけ、戦士のような装束をしていた。顔はかなりイケ面かもしれない。 ??:「来たか、草使いの少女と喋れるキレイハナ。」 蓮華:「あなたがスペース団のボスなの?」 ??:「そうだ。俺はルーク。俺の恋人はどうした。」 恋人…多分、リースイのことだ。 蓮華:「消滅したわ。」 ルーク:「何!?」 どうやら秘書の間のみ、モニターがついていないらしい。恋人に対する行為だからだろう。 そしてあたしがリースイを倒したとしても、リースイは倒れていると思っていたのだろう。彼の驚きは普通ではなかった。 ルーク:「あいつが…消滅しただと…」 キレイハナ:「ええ。あたしと蓮華のダブル攻撃を受けたからね。」 蓮華:「後はあなたよ。」 あたしたちが言うと、ルークはあたしたちに顔を向けた。その顔は…あたしたちに対する憎悪が強い表情だった。 ルーク:「よくもリースイを倒したな。あいつと俺は運命共同体。今まで共に難を乗り越えてきたというのに…。 俺はお前たちを許さない、そしてこの世界もだ!全てを征服してやる!」 蓮華:「させないよ。あなたたちの思うようにはさせない。」 あたしが言うと、ルークはあたしに手をかざした。 蓮華:「えっ?…きゃあ!」 あたしは突然体に何かを受け、秘書の間の外まで弾き飛ばされた。そしてキレイハナも続いて。 キレイハナ:「痛ぁ…、あいつも…能力者なの?」 あたしたちが見ると、ルークの体が放電しているのが見えた。 ルーク:「能力者だと?俺をその辺の人間と同じにするな。俺は神だ。人間であり、ポケモンである新生物。 すなわち、人間とポケモンに代わってこの世界の王となるものだ!」 あたしたちは彼の姿が変化するのが見えた。その姿は、リースイと同じくポケモンであり、そして。 蓮華:「サンダース…」 キレイハナ:「それがあなたの本当の姿…」 ルーク:「そういうことだ。俺はサンダースの化身、そしてお前たちと同じ世界で生まれた。」 蓮華:「まさか…」 ルーク:「驚くだろうが、あの爆発でこの世界に迷い込んだのだ。リースイと共に。しかし、あそこで妙な液体をかぶったことで、 俺とリースイは人間にもなれるという妙な力を持った。そして今まで、偏見と差別の多い暮らしを続けてきて、ロケット団に 捕獲された。お前たちには分かるのか?分からないだろうな。お前たちの言い分は、主張は、最後には取り上げられている。 しかし、俺とリースイは人間からポケモンになれる姿を一瞬見られたことで、速攻で全ての権利を失い、差別と偏見を受け続ける羽目になった というのに。」 ルークとリースイは美咲ちゃんたちとは違う、ポケモンでしか分からないような差別と偏見を受けてきたらしい。 そのために人間を憎んできたようだ。そしてロケット団が解散した際、ロケット団のポケモンだった二人は、人間の姿と代わり、 ポケモンや人間に催眠術を使い、能力者のダークを仲間にし、スペース団を設立したのだった。 そして、偶然差別を受けていたエレクや美咲ちゃんをスカウトしたのだ。 ルーク:「お前たちは最終的に、幸せと呼ばれる生活を送ってきた。だから、俺の苦しみを理解できるわけがないのだ。」 キレイハナ:「ちょっと?それはひどくない?蓮華だって色々と…」 蓮華:「キレイハナ。言わないで。あたしが言う。」 あたしはキレイハナを止め、ルークのそばに行った。 蓮華:「あたしの力はあたしの親が事故で死んだ直後に目覚めたの。でも、初めは能力の制御も難しかったから、 あたしは友達に裏切られたり、いろんな人に勝手なことを言われたりしてた。でも、それを乗り越えてここまで来ているの。 何も知らない幸せだけの人生を送ってるわけじゃないわ。」 あたしはいつの間にか怒鳴っていた。 あたしにとって、友達は大事なもの。それと同時に、信頼が大事だった。人を信じ、友達を大事にして、あたしは、今までの まだ少ない人生を頑張って過ごしている。それでも、親がいないことで酷いことを言う人はいるけど。 それでもあたしは今、たくさんの人に信頼され、幸せでいる。 あたしはあたしの思うことをルークに語っていた。 蓮華:「だから、あなたも憎むのをやめて。信頼を大事にして。」 ルーク:「…」 ルークは黙り込んだ。あたしは、話が通じたと想い、近くによってみた。すると。 ルーク:「そんな話が俺に通じるとでも思ったのか!」 ルークはあたしを壁に叩きつけ、あたしの首に手をかけていた。息が…苦しい…! キレイハナ:「蓮華!よくも蓮華を!」 キレイハナが飛び掛ってきた。でも、ルークの背中から何かが飛び、それを受けたキレイハナが倒れた。 ルーク:「馬鹿目が。俺の背中はサンダースと同じ。背後から近寄ったものはリースイを除き、全てがミサイル針の餌食になるのだ。」 キレイハナ:「うぐっ…、あたし、失敗しちゃった…」 キレイハナはそう言って倒れてしまった。 蓮華:「キレイハナ…。もう、やめて。あなたは憎むだけの生活をするために生きているわけじゃないはず…。 あなたが一生、その生活を続けることは、リースイは望んでないよ。」 あたしはいきなり、さっきのリースイの言葉が脳裏に浮かんだ。 リースイはあたしたちと戦い、あたしたちの絆を見て、もしかしたら自分たちが間違った道を進んでいることにようやく 気づいたのかもしれない。それでルークを助けるように言ったのかも。 蓮華:「リースイは…最後に分かったの。憎むだけではいけないこ…うぅ…!」 ルーク:「うるさい!言うのはこの口か!そんなことをいえない体にしてやる!リースイを失った、俺の気持ちを、 お前の恋人にも味合わせてやる!」 ルークの力はどんどん入り、あたしは首をさらに絞められた。しかも、体中を電気が流れ、限界に達しようとしてた。 でも、あたしは負けないよ。この人も最終的には、道を間違っただけ。あたしの力…で、何とか…。 蓮華:”あたしの体の中にある力よ、憎むことしかできなくなり、憎むことだけの生活を送ることになった彼を、 癒して。そして、彼の誤った道を…戻してあげて!草の能力よ!お願い!彼にポケモンとして、または人間としての、 幸せな時間を与えてあげて!お願い!” あたしは心の中で強く叫び、そして能力を全快にして放出した。 ルーク:「何!?これが草の癒しの…己!させるものか!」 ルークはあたしの癒しの力を跳ね返そうと、さらに力を強めていた。 体は苦痛が走り、手にかかる力も増してるけど、彼が分かるまで、あたしは…教えるんだ!彼のために。 あたしは…リースイの代わりに、教えてあげるの! そしてようやく、体に電撃は流れなくなり、彼は頭を抱えて倒れこんでいた。あたしはホッとした瞬間、体中が疲れ、 その場に倒れこんでいた。 ルーク:「俺は…間違っていたのか…。この少女、すごい奴だ。俺の力を受けても、自分の信念を貫こうとするとは。 …そこにいるのは誰だ?」 ??:「あら、見つかってしまったみたいね。あたしは志穂。蓮華ちゃんのサポートに来たけど、すでに話はついたようね。」 あたしが来た時、すでに蓮華ちゃんが彼を、ルークを説得していたらしい。 志穂:「でも、あたしもやる事が残っていたみたいね。まだ、完全に成仏していない魂を見つけたし。 これがあなたを、最後に導くようね。」 ルークはよく分からないような顔をしている。 志穂:「成仏できぬ過去を残した悲しみの魂よ、最愛なるものの心に導きを示せ!鎮魂の舞!」 あたしは成仏できないリースイの魂を実体化させた。それから、蓮華ちゃんとキレイハナを連れて、一時的に部屋の外に出た。 ルーク:「リ、リ、リ、リースイ!」 リースイ:「ルーク!」 中では数分だけの最後の別れを含めた新たな導きが始まっているはずだ。そして数分後、魂の成仏を確認したあたしは、 中に入った。 志穂:「どうやら決めたようね?」 ルーク:「ああ。ありがとう。あの草使いにもよろしく伝えてくれ。」 そういい残し、ルークは姿を消した。当てのない旅をこれから、始めるんだと思う。そんな気がする。 そして、スペース団の解散を意味するルークの言葉が全国に流れたのは、その直後だった。 それは全国に歓喜の渦を巻き起こしていた。でも、まだまだ、スペース団の残党が残っている。 あたしも含め、蓮華ちゃんやあたしたちには、様々な苦難が残るとは思うけど、あたしは慣れてるし、ルークの心を改心させるほどの 癒しの能力を放った蓮華ちゃんなら大丈夫だと、あたしは思う。 志穂:「ベイリーフ、ブラッキー、出てきて。この子達を運んで。」 あたしはそう指示した後、ビルを後にし、ジムに向かった。そんな時、ビルの中からあたしたちに、特に蓮華ちゃんに対し、 憎悪の視線を向けるものがいるのを感じた。 あたしがいるから襲ってこないのか、それとも何かの策があるからかは分からないけど。多分、ダークだ。 もしかしたら、残党を引き連れて襲ってくるかもしれない。 これからの数日は、まだまだ気が引けないわね。