あたしは今、妙な興奮と緊張が体の中を走り回っている状態でいた。そういう状態にある人はあたしの周りに実際は結構いるし、 落ち着いている人もいる。何も考えてなさそうな人や、妙な存在感を放っている人も。 なぜなら、あたしは今、ポケモンリーグカントウ大会の開会式にいるからだった。 つい数日前にグリーンバッジをゲットしたあたしはトキワのポケモンセンターでリーグ出場の許可証を得た。 すでに哲兄や志穂ちゃん、それに美香たちも向かっていたのを聞いたので、あたしもトロに乗ってセキエイ高原に向かい、 そして予選に出場したのだ。 予選はポケモンリーグ開催の2日前に行われるので、あたしもギリギリ間に合った。 あの予選は結構楽だったんだよね。 48.ポケモンリーグ開幕! 〜回想〜 審判:「ただいまより予選Aブロック、グロウタウンの蓮華選手とハジツケタウンの旬選手の試合を始めます。 使用ポケモンは3体。そのうち、先に2体倒れた方が負けとなります。試合開始!」 予選はA〜Zまでのブロックに分かれていて、ジム戦を勝ち抜いてきてバッジを8個集めたトレーナーはA〜Eのブロック、 それ以外はF〜Zのブロックでバトルをして勝ち抜かなければならなかった。 元々、カントウリーグはカントウの公認ジムバッジを8個集めれば、A〜Eの予選で一度勝つことで出場できるのだ。 それだけ、強豪がここに揃っているといっても事実かな。普段はバッジをゲットして予選に来る出場者の数は多くて、ブロックも A〜Hくらいまであるらしいけど、今回は割と少なかったので、あたしとしてはラッキーな気がした。 しかも、哲兄や志穂ちゃんとは予選でぶつからなかったし。 それ以外のF〜Zのブロックにいるのは、バッジをゲットしないで参加してくる人たちで、バッジをゲットしなくても出場できるように ポケモン協会が配慮したものだった。ただし、1ブロックでトーナメント方式に行われ、3位までのものしか出場はできないのだから 難易度は高かった。 実は、健人先輩、翼先輩、菜々美ちゃん、美香ちゃんも予選に出ていたりする。結果はどうなるか知らないけど…。 そしてあたしは今、ホウエン地方から来た旬とのバトルを行っていた。 旬:「頑張れよ、オニドリル!」 彼が出したのはオニドリルだった。あたしは誰を出そうかと悩みかけたけど、自分から出てきたものがいて…。 キレイハナ:「キレイハナ!」 どうやら草ポケモンの意地を見せてやろうとしているらしい。しかも、リーグ戦に出るまでは喋れることを秘密にする寸法のようで、 無理やりのような鳴き声を出していた。 旬:「あははは…、君、バッジ持ってるよね?勉強しなおした方が良くないかな?オニドリル、キレイハナにドリルくちばしだ!」 さすがに審判はそうじゃないけど、観客や旬は失笑や苦笑をしていた。 蓮華:「キレイハナ、蔓のムチでジャンプよ!そしてソーラービーム!」 だが、勝負はすぐに決まった。 オニドリルがキレイハナを貫く前に、キレイハナは蔓のムチでジャンプして、一瞬の差で攻撃を避け、宙に飛び上がった時に 光を集め、それをドリルくちばしが失敗したこともあって背後ががら空きになっているオニドリルに思いっきり放ったのだ。 飛行タイプに草タイプの攻撃は効果ないが、防御もしていないところに苦手とはいえ草タイプの最大攻撃を受けたのだ。 オニドリルは戦闘不能になり、しかも綺麗に焦げた状態になっていた。 審判:「オニドリル戦闘不能、キレイハナの勝利!よって、グロウタウンの蓮華選手、ポケモンリーグ出場権獲得!」 〜回想終了〜 というわけで、あたしは開会式に出ているのだ。 あたし以外には、菜々美ちゃんと翼先輩以外の全員が参加していた。 菜々美ちゃんと翼先輩は予選4位だったらしく、しかも、そのブロックに美香や健人先輩が重なって入っていたこともあり、 3位以内を逃してしまったらしい。あたしも多分、哲兄たちと同じブロックだったらここにいないので、かなりの運が 関係したと思い知るのでした。 開会式はつまらないものかと言うとそうではなくて、ファイヤーの神秘的な紅蓮の炎を見て、これからのことを強く思うのでした。 絶対に優勝してみせる!と。 キレイハナ:”蓮華、蓮華。” 蓮華:”何?” キレイハナ:”あたしもみんなも頑張るからね。” 蓮華:”分かってるよ。” あたしがキレイハナに言うと、ショルダーの中のボールがいくつも揺れた。 みんなも、キレイハナも、そしてあたしもやる気満々であり、すごく楽しみでしょうがなかった。 開会式が終わると、あたしは美香と菜々美ちゃんと共有のコテージに集まった。 美香:「明日からバトルが始まるんだよね。」 菜々美:「あ〜あ、あたしも3位以内だったら出られたのに…」 蓮華:「菜々美ちゃんの分も頑張るから、心配しないでよ!応援してよね。」 菜々美:「分かってるって。」 菜々美ちゃんは大きくうなずいて言った。 菜々美:「蓮華ちゃんと美香ちゃんの試合が重なったら迷うけど、でも絶対に見に行くから。」 美香:「それはそうと、明日からの試合は何だっけ?」 蓮華:「えっと、確か…4つのステージがあって、それぞれ、水、岩、草、氷のバトルフィールドなの。 その4種類のフィールドで戦って、4回勝つか、3回勝って1回引き分けまでなら次のステージに進む事ができるのよ。」 菜々美:「ベスト50くらいだっけ?」 蓮華:「今年はそうらしいね。今だって200人くらいがリーグに出場してて、それが4分の一に減るんだから。」 この後からちょっと話が脱線し始めた。すると、 美香:「ねえねえ、パソコンで対戦相手を見ておくことは可能だって。 明日はあたしたち、誰も試合はないけど、明後日からはあるんだし、対戦相手を見ておかない?」 あたしと菜々美ちゃんの話に入れずにいた美香がパソコンを操作し始めた。 所持しているポケモンや、トレーナーとしてのデータがここに入っていて、それを見ることで対戦相手に対する対策を 立てる事ができるのだ。あたしや美香のも載っている。 美香の場合は、ここ2週間でポケモンを10匹くらい補充し、育てているらしいから、それなりにやっていく事ができるだろうけど、 あたしの場合は36匹も色んなタイプがいるうえ、相手のポケモンに対して苦手なタイプを出して勝利していることが載っているため、 対戦相手は使用ポケモンを決めるのが厄介だろう。 あたしは相手は…あった! 菜々美:「美香の相手には何とかなるね。蓮華は…草のフィールドかぁ。」 蓮華:「草のフィールドだから、キレイハナやアゲハたちがいいのかな?やっぱり。」 菜々美:「それを予期して炎タイプや毒タイプを出すトレーナーもいるらしいしね。対戦相手は?」 蓮華:「この人、ボムボムタウン出身のトンパ選手。」 美香:「変わった名前ね。使用ポケモンは…パルシェン、ナッシー、マルマイン、ゴローニャって…爆弾軍団じゃん!」 蓮華:「うん。リーグ戦の場合、引き分けになったときは自爆を使った相手にはポイントが加算されるでしょ? それを利用して上り詰めてきたみたい。あたし、考えなきゃね。」 菜々美:「ポケモンのレベルや使用される技も高度なものが多いし、一応育て上げられてきてるみたいね。 爆発を防ぐだけじゃ、倒せる相手じゃないかもね。」 キレイハナ:「へぇ〜、…あっ!こいつ、おっさんじゃない!47歳だよ。」 美香:「うわぁ…」 トレーナーにはやっぱり色々いると思ったのはこの時。 そしてあたしたちは美香の対戦相手のほうを終わらせてから、キレイハナも交えて対戦相手への対策や、今後のことなどを話し合った。 そんなことをしているうちに、普通に夜は更け、あたしたちが寝たのは結構遅くだった。 キレイハナ:「蓮華!みんな!起きて!大変だよ!」 美香:「…え?」 菜々美:「ん〜、もうちょっと…」 次の日、あたしたちはキレイハナに起こされた。しかも、何かの事件が発生していたらしく、キレイハナが慌てること自体珍しいので、 あたしは驚いて反射的に起きていた。美香と菜々美ちゃんは寝るのが遅かったことでまだ眠いらしいけど。 蓮華:「何?何かあったの?」 キレイハナ:「リーグ出場者のコテージの一つが何者かに襲われて、ポケモンが全て奪われた上に、トレーナーも3人のうち2人が重症で、 病院に運ばれたんだって!」 その言葉にあたしたちの目は覚め、外に出てみた。すると近くにあったコテージの一つが跡形もなく破壊されていた。 蓮華:「いつあったの?」 キレイハナ:「ついさっきよ。ソルルがうるさくてあたしたちは起きてたの。そしたら爆発音が聞こえて、外に出てみたらこうなってたのよ。 蓮華たちは爆睡してたから知らないだろうけど、さっきまで大変だったのよ。近くを歩いていた人以外の目撃者はあたしたちだけだから。 ソルルが切れちゃって…。」 どうやら災害ポケモンだから爆発が起きたと言われたらしい。 キレイハナ:「ヘラクロとデンとたねねが抑えたからいいけどね。後でセンター行ったほうがいいかも。 誰かのポケモンが大爆発をガスボンベのそばで行った事が原因みたいよ。」 菜々美:「出場者潰しかしら?」 美香:「どうであれ、ライバルが減ったと同時にあたしたちにも危険が来るかもしれないんでしょ?気をつけなきゃ。」 美香たちはそう言うと、2度寝のために戻っていった。 蓮華:「キレイハナ、ソルルは何か言ってた?」 キレイハナ:「ええ。トキワのジュンサーさんがさっきいたから教えておいたけど。」 ソルルは元々災害を察する能力がある。だから何かを察知したはずなのだ。 キレイハナ:「あのね、あたしたちのコテージに敵意の念が向いていたみたいなの。」 蓮華:「あたしたちのコテージに?」 キレイハナ:「ええ。あたしたちがいるこっちに対してそういうのが感じるのに、行動は近くで行ってたって不思議に思ったみたいよ。」 蓮華:「狙いはあたしたちに対してってことなのかなぁ?」 キレイハナ:「多分ね。あたしたち、特に蓮華はルークを説得してスペース団を解散させた張本人でしょ?」 蓮華:「そうだね。気をつけましょ。後で志穂ちゃんに頼んで結界張ってもらってもいいし。」 あたしはソルルもいて、志穂ちゃんたちもいるから大丈夫だと思った。 ただ、キレイハナがソルルから聞いた事が哲兄に伝わらないことを今、強く願った。 そして次の日。 あたしの草のフィールドでのバトルの日がやってきた。 昨日あんな事件があった割りに、昨夜は何もなかったから、ちょっと安心しているけど、出場者同士がピリピリしている面もあり、 自爆や大爆発を利用するトレーナーは全くいなかったほどらしい。昨日は哲兄と健人先輩がバトルに出たらしいけど、 二人は簡単に終わったといっていた。 あたしたちは寝てて見てなかったけど、翼先輩が言うには全部初めの一発で終わったから、他の出場者が表情を青くしていたらしい。 あたしもそう思われたいな。 と、あたしがバトルステージに向かうと、ナナに出会った。 ナナ:「蓮華ちゃん、元気そうね。次でしょ?」 蓮華:「うん。やっぱり見に来たの?」 ナナ:「当たり前じゃん。親友のバトルよ。頑張ってね。」 蓮華:「ありがと!」 ナナ:「明日、氷雨さんや美咲ちゃんもこっちに来るから、絶対に勝ってよ!」 蓮華:「ええ。」 ジムのことがあるから、来美ちゃんや久美ちゃん、氷雨さんは明日からしか見に来れないらしい。 清香先輩と海斗先輩は忙しいから画面で楽しむらしいし、晃正君は修行で、涼治は勉強で、玲奈先輩は商業で来れないと言っていた。 見に来ているのはなずなと浅香ちゃんくらいだ。 後、マサラのトレーナーとして哲兄が出てるから、オーキド博士やニャースも来ているらしい。 そしてあたしはフィールドに向かった。 その頃…。 ??:「あ、ヤバイ!そろそろだったよね?」 タイム:「セレ。」 リーア:「ロゼ。」 ??:「分かってるよ。見に行かなきゃ。それじゃタイム、頼むよ!リーアはボールに戻っててね。」 リーア:「ロゼ♪」 ポケモンリーグのステージは今までもジム戦とは違い、ものすごい熱狂に包まれて、体がとっても震えるような場所だった。 観客がワァワァ言っていて、かなり沸いている。 草のフィールドは野原とかと同じくらいの感じのフィールドだった。 対戦相手のトンパって人はいい年をとっくに通り越したおじさんで、見た感じはやさしそうのようで、でも、いかにも狡賢そうな感じもし、 自分勝手な人っていう外見も持っていた。そして太めだった。 審判:「ただいまより、ボムボムタウン出身トンパ選手とグロウタウン出身の蓮華選手の試合を始めます。 使用ポケモンは3体。ポケモンの交代は認めます。それでは試合開始!」 あたしとトンパは、装置みたいなところに座っていて、相手のデータなどもここでみる事ができ、図鑑などの機能も出ていた。 そして、手持ちのボールは横に置いてある。 試合は始まった。先行はトンパのほうだった。 トンパ:「お前が蓮華か。バッジを8つ集めた凄腕って聞いていたが、実際に見るとしょぼくれた餓鬼だな。 昨日はせっかく初バトルのはずだったが、運の悪い奴が病院に送られたらしいからな。ようやくバトルができるってなもんだ。」 どうやら、爆発事件に遭った人は、彼と戦うはずだったトレーナーのようだ。…って、もしかして…。 あたしはある事が頭に浮かんだ。そして同時に、さっきの印象に今、最低毒舌野郎という言葉が加わった。 蓮華:「見た目だけで判断されると困るんだけど。」 トンパ:「お前は見た目で十分だ。お前なんか、一発で倒してやるから見てろよ。パルシェン!行ってこい!」 トンパの最初のポケモンは2枚貝ポケモンで、水・氷タイプのパルシェンだった。 やっぱり爆弾軍団のようだ。 蓮華:「キレイハナ、行くよ!」 キレイハナ:「任せて!そこの最悪男のポケモンなんて、爆発できない状態で倒してあげるよ!」 キレイハナは思いっきり言い放った。その瞬間、一瞬会場が静まり、今度は驚愕の声が上がっていた。 アナウンサー:「おおっと!蓮華選手のキレイハナは珍しく、喋る事ができるようです!」 実はアナウンサー(司会)も一応いるのだ。 そしてキレイハナに一発言われたトンパはというと…、 トンパ:「けっ、雑魚ポケモンの戯言に過ぎないな。」 と、禁句を言っていた。 蓮華:「キレイハナ、行く?」 キレイハナ:「行く。やる!」 トンパ:「お前ら、何言ってんだ?まぁ、いいわ。パルシェン、キレイハナに冷凍ビームだ!」 蓮華:「神秘の守りよ!そして日本晴れ!」 冷凍ビームは神秘の守りで普通に防がれ、キレイハナの日本晴れが発動した。 トンパ:「ソーラービームをする気だな?パルシェン、鉄壁だ!」 パルシェンは殻に篭り、ソーラービームを防ぐようだ。パルシェンが殻にこもった場合、どんな攻撃でも効かないし、 その殻はナパーム弾でも壊れないというのだ。しかも、相手は爆弾軍団の一人。近づいて攻撃したらどうなるかなんて、 分かりきっている。 だったら、殻に篭れなくしてから攻撃するしかない! 蓮華:「キレイハナ、蔓のムチをパルシェンの角に巻きつけて!駒回しよ!」 トンパ:「させるか!パルシェン、蔓が巻かれたら高速スピンだ!」 キレイハナは蔓のムチをパルシェンの殻にある角に巻きつけ、駒回しの要領で回そうとした。 すると、パルシェンが逆に蔓を巻きつけるために回転をし始めた。パルシェンにキレイハナがひきつけられていく! トンパ:「ここで爆発させればいいな。パルシェン、大爆…」 蓮華:「キレイハナ、爆裂パンチよ!」 あたしはこうなることも読んでいた。だから爆裂パンチをさせた。 パルシェンは爆裂パンチを受けて混乱していた。だが、殻が開かずに困っているらしい。当たり前である。 キレイハナの蔓のムチが体に巻きついているのだから。 キレイハナ:「蓮華、どうする?」 蓮華:「駒回しよ!」 キレイハナ:「了解!そぉれぃ!」 キレイハナは体を思いっきり動かして、パルシェンを駒回しの要領で振り回し、角を下にして駒回しを行った。 勢いよく回るパルシェンは回り終わると、殻をパカっと開けてフラフラな表情を示していた。 まだ混乱状態も残っているようで、トンパが散々叫んでいるが、ただ左右に揺れ動いているだけだった。 トンパ:「おい!パルシェン、おい!聞きやがれ!指示に従え!」 トンパはだんだん指示が荒れていた。 蓮華:「ちょっと、ポケモンに対して優しくしてあげなさいよ!かわいそうじゃない!」 トンパ:「うるせえ!ポケモンは俺の言うことを聞いてればいいんだよ!別に優勝する気なんてさらさらない! 優勝すれば他人が俺を敬うからな。ポケモンはそのための道具に過ぎない。」 キレイハナ:「ちょっと、それは酷いじゃない!」 トンパ:「雑魚は黙ってろ!パルシェン、大爆発だ!」 その直後、フィールドは大爆発の爆風、爆煙、爆音に包まれた。 混乱していても、指示を聞く場合があるのだ。そして結果は…。 審判:「パルシェン、戦闘不能!キレイハナの勝ち!」 フィールド上をキレイハナはまだ立っていたのだ。そしてパルシェンは倒れていた。 トンパ:「な、何!?お前、ずるしやがったな!」 蓮華:「違うわよ!キレイハナの堪える攻撃よ!」 大爆発が起きた時、キレイハナは堪えていたのだ。元々ダメージも受けていなかったため、堪えてなくても大丈夫だったけど。 トンパ:「ちぇっ、使えないポケモンだな。こいつも雑魚だ。次こそ行くぞ!ナッシー!」 トンパはパルシェンをボールに戻すとそのボールを投げ捨て、ナッシーを出した。 すでにトンパには帰れコールも出ているが、奴はそれをシカトし続けていた。 あたしはこいつをバトルでやっつけてやるつもりでいた。 トンパ:「ナッシー、ソーラービームだ。」 蓮華:「キレイハナ、ソーラービームよ!」 日本晴れ状態は続いているので、ソーラービームが一騎打ちをした。これは相殺され、再び爆煙が起きた。そう思ったら、 たくさんのタマと卵爆弾が飛んできたのだ。しかも、見境ない上に、色んなところ、あたしの近くや審判にも。 審判はタマ投げのタマと5,6個の卵爆弾をまともに受け、これで交代した。 ポケモンバトルの審判の際は、間違って攻撃が審判に当たる場合もある。その場合、審判に攻撃を当てて失格、ということはないが、 あたしが思うに、煙に包まれているから、トンパはわざと審判の方に飛ばしたような気がする。 だって、普通攻撃の大半が飛ぶなんてこと、ないよ。 キレイハナ:「ふぅ〜、あたしには当たってないけど…蓮華、大丈夫?」 蓮華:「ええ。」 あたしはアゲハたちがボール越しに神秘の守りやバリアを使っていたのだ。それで助かっていた。 トンパ:「(ちぇっ、当たらなかったか。)」 あいつがそう言ったのは、ボール越しに鋭い目でカモネギが見たらしかった。 トンパ:「失敗したな。ナッシー、今度はサイコウェーブだ!」 蓮華:「キレイハナ、マジカルリーフよ!」 サイコウェーブをマジカルリーフで相殺し、種マシンガンをサイケ光線で相殺される。 トンパ:「くそぉ…ナッシー、サイコキネシスでキレイハナを自分のそばに寄せるんだ!」 キレイハナはサイコキネシスで動けなくなり、ナッシーのそばに移されていた。 蓮華:「キレイハナ!逃げて!」 トンパ:「無駄だ!ナッシー、そいつを地面に叩きつけて踏みつけろ!」 キレイハナは地面に叩きつけられた。そしてナッシーの踏み付けがキレイハナを襲う。でも、 あたしはキレイハナに口パクで指示を出していた。トンパはいい気になっていて気がつかなかったのだ。 トンパ:「ナッシー、もう一度踏みつ…おい、何やってんだ!」 突然ナッシーは自分から宙に浮き、思いっきり自分から地面に落下したのだ。 蓮華:「今よ!キレイハナ、ヘドロ爆弾!」 キレイハナは真っ黒な塊をナッシーにぶっかけた。それはナッシーの顔にかかり、ナッシーは倒れた。 審判:「ナッシー、戦闘不能!キレイハナの勝ち!」 観客はさっきのナッシーの行動に驚いていたが、すぐに沸き、そして蓮華コールが起きていた。 トンパ:「おい、審判!今度こそ、その餓鬼がズルをしただろ!」 トンパは審判に言いがかりをつけていた。でも、そうじゃないのよね。 キレイハナが行ったのは威張る攻撃だった。あたしは口パクで「威張って」と言ったのだ。 キレイハナとナッシーの視線が合い、威張られたナッシーは混乱したのだ。しかも、威張る攻撃は相手の攻撃力を3倍にして混乱させるため、 ナッシーが落下で受けたのはかなりの威力だろう。 そして、ナッシーはエスパーと草のタイプなので、うちの例外のキレイハナとは違い、毒攻撃には弱いのだ。 そのため、ヘドロ爆弾を受け、ダメージがついにHPを奪ったのだった。 トンパ:「何!威張る攻撃だと!?てめえ、嘘じゃねえよな?あぁ?」 トンパは散々、彼よりも年下だと思われる審判、多分まだ成り立てだと思う20代前半くらい、に散々楯突き、 嫌々所定の位置に戻った。ただし、トンパは審判の胸倉をつかむなどのことはしていなくて、言葉の一方的攻撃だけだった。 でも、散々嫌味を言われ、審判は気分が優れない様子だった。 ナナ:「たまにいるのよね、ああいう人。」 菜々美:「へぇ〜、ナナちゃんは結構知ってそうね。」 ナナ:「当たり前よ。これでもジムリーダーだもの。それよりも、あのトンパって奴、何か企んでそうね。」 菜々美:「ナナちゃんもそう思う?あたしも。」 ナナ:「何かは分からないけどね。それと、あの審判、多分今回が初仕事よ。いわゆるデビュー戦。 それが最悪な思い出になるとは…哀れね。審判は、色々言われたりもするんだけど、ああいう風にやられることは滅多にないから。 後味はすごく悪いし。」 菜々美:「かわいそ〜。」 トンパ:「今度こそ、そのキレイハナを叩きのめしてやるからな!ゲンガー、行け!」 トンパの最後のポケモンはゲンガーだった。あたしはキレイハナのままだ。さっき、キレイハナはナッシーがまだ出ている間に、 光合成や月の光を行ったので、十分に回復できていた。 観客はすでにあたしの味方らしく、蓮華コールとトンパ帰れコールが続いていた。 トンパ:「ゲンガー、シャドーパンチだ!」 蓮華:「キレイハナ、リーフブレードよ!」 キレイハナのリーフブレードがゲンガーのシャドーパンチを受け止め、逆に切り返すが、ゲンガーは素早く避け、 シャドーパンチを再び行おうとした。しかし今度は、キレイハナが種マシンガンを発射したために、大きく後ろに下がっていた。 トンパ:「くそぉ、あのキレイハナ、化け物かよ。ゲンガー、ナイトヘッドだ!」 蓮華:「キレイハナ、ソーラービームよ!」 キレイハナがゲンガーに追いつけているのは、光合成の時に行った日本晴れ効果が続いているからだった。 そして、ナイトヘッドとソーラービームがぶつかりあい、そして大きく球体になって膨らみ始めた。そして。 大爆発が生じ、再び今度は会場中を煙が包み込んでいた。 蓮華:「キレイハナ!大丈夫なの!」 あたしは叫んでいた。と、背後に気配を感じた。振り返ると、そこにはゴーストとゴースがあたしに攻撃しようとしていた。 蓮華:「ゴーストにゴース!?やる気?」 あたしは手から光の球を発射し、威嚇するけど全く効果がない。そのうえ、あたしにジリジリ近寄ってくる。と、 ソルル:「ソル!」 ソルルが飛び出し、ゴーストとゴースを切り裂いた。 蓮華:「ソルル、ありがとう。」 あたしがお礼をすると、ソルルは煙の向こうを見つめているようだった。そしてあたしに何かを訴えている。 蓮華:「何かが起きているの?」 聞いてみると、ソルルはうなずいた。あたしは精神を集中して耳を傾けた。あたしの特殊能力だ。草のフィールドにいるから、 草の息吹が溢れている場所だから、何が起きているかを聞き取る事ができるのだ。すると…。 キレイハナ:「きゃあ〜!」 審判:「コラッ!何をする、やめろ!うわぁ〜!」 キレイハナや審判が襲われていることと、 トンパ:「へへへ、審判と雑魚と餓鬼が倒れて俺が気を失ったふりをすれば、この勝負は一度元に戻るな!」 というトンパの声が聞こえた。さっきのは多分、トンパのポケモンだ! あたしはムカッと怒りがこみ上げた。 蓮華:「アゲハ、リーフィー、カモネギ!煙を吹き飛ばすのよ!」 あたしは3人の力を借りて、爆煙と爆風を吹き飛ばした。途中、ハクリュウも出てきて、竜巻も起きた。 そして会場の煙が消えたとき、気を失った審判をボコボコに痛めつけているカイリキーとバクオング、キレイハナに炎攻撃を繰り返す マグカルゴと翼やくちばしで攻撃するドードリオ、そしてあたしのいる機械の周りにもタマタマ、ドガース、ヤジロン、イシツブテなどがいて、 いつの間に出ていたのかチリリ、フィル、タマちゃん、ドラちゃん、デン、ヒメが相手をしていた。 そしてちょうどサワムラーとエビワラーを出し、空のボールが周囲に散乱していたトンパの姿があり、彼がズルを行っていることは明らかだった。 一斉に会場はトンパに対して「出てけ!」と叫び出した。そして、警備員やポケモン協会の係員、審判員たちが駆け寄ってき始めていたが、 突如爆発するポケモンたちが一斉に大爆発を行い、あたしの機械は足元が壊れ、あたしは機械ごと投げ出されていた。 トンパ:「けっ、せっかくのチャンスだったがお前のせいでつぶれちまったじゃないか!」 トンパはいつの間にかあたしの近くにいて、あたしはゲンガーに押さえつけられていた。 係りの人たちは大爆発が突如起きたことで近づくのが遅れ、しかもあたしがトンパの人質にされたことで近づけずにいた。 そして。 トンパ:「こんなことならお前のコテージもつぶしておけばよかったぜ。」 やっぱりと思った。あの爆破事件の犯人はこいつだったらしい。 トンパ:「さっき審判やお前の雑魚を痛めつけたのは、あの時盗んだ奴らさ。ゲンガーの催眠術が効いてるからな。」 ゲンガーはナイトヘッドの構えをしていて、ソルルたちでさえもうかつに近づけずにいた。 その時だった。 会場の真上に、魔方陣みたいなものが神秘的な変わった音と共に現れたのだ。そして。 ??:「はぁ、いつの時代にも最悪な奴はいるのね。」 という、聞き覚えのある声が辺りを響き渡った。 トンパ:「おい!誰だ!」 ??:「あんたに言う気はないわよ。正々堂々とした勝負をする気のないあんたが許せないの!」 声と共に、上空から何かが落ち、それがゲンガーを貫いていた。同時に倒れるゲンガー。また。 ヒュ〜…ゴ〜〜〜〜〜ン! トンパの頭にもレンガが落下して、石頭だったらしく、血は流れていないようだけど、トンパは気絶した。 あっという間だった。 そして、魔方陣からは光に包まれた何かがゆっくりと降りてきた。 ??:「ヤッホ〜、蓮華ちゃん!元気だった?」 それは、その人は、あたしの前に下りてきて言った。 蓮華:「嘘…律子!?」 あたしの前に下りてきたのは、あたしの現実世界の親友で、全くの普通人の律子だった。 しかも、一緒にいるのは…セレビィだった。