54.火雷の巫女は最大級!特性バトル 成り行きでこの世界に来たけど、あたしは結構旅行する事が好きだったから、旅をすることに対しては、別に何も感じてなかった。 そして、このポケモン世界での旅って言うのは今までにない旅であり、とっても楽しく感じられた。 ずっとこのまま旅をするのもよかったけど、あたしは火雷の巫女としての役目もあるし、この世界に居続ける訳には行かない。 だから、元の世界に帰るためにもあたしは、この大会を勝たなければならない。 そして、あたしと一緒に旅をしてきたみんなとも頑張る。 多分、蓮華ちゃんや哲也、健人ともバトルをしなければならないかもしれないけど、それはみんなも分かっていること。 最終的には8人に残るところまでは戦わなくてもいいし、そこまで行ければ、あたしたちのうちの誰かが優勝することもできる。 あたしは、実際は元々優勝することには興味はないし、それはあたしのポケモン8匹も分かってることだ。 でも、みんなが応援してくれているし、あたしは8人に残るところまでは行く。 この旅が始まったのはあの時からだった。 〜回想〜 志穂:「えっ?美香ちゃんのところにも?」 美香:「うん。この子、かわいいでしょ?」 あたしが神社の掃除をしていたら、美香ちゃんがやってきた。美香ちゃんの体には尻尾の長いかわいいお猿さんが引っ付いていた。 そして、見てすぐに分かった。この子もポケモンであると。 あたしの元にも2体のポケモンが来たのだ。迷い込んできたって言い方のほうがいいかな。 ちょうちんあんこうに似たようなポケモンと、オレンジと黒の縞模様の犬のようなポケモンが。 多分、あたしの火雷の力を感じてここに来たと思っていた。 志穂:「美香ちゃんにとっても懐いているのね。」 美香:「でしょ?何かさ、氷雨さんや海ちゃんのところにもいるみたいなのよ。」 意外と色んなところにいるのね、そう思ったときだった。 突然あたしたちは、軍隊の特殊部隊のような人たちに囲まれた。 志穂:「あたしたちに何か用ですか?」 あたしが美香ちゃんをかばうようにして冷静に問うと、彼らの代表のような人は、町に散らばったポケモンを回収しているという。 美香:「この子はあたしに懐いてるんだけど?」 志穂:「普通ポケモンが存在していることは不思議なことよ、どうして、しかもなぜあなたたちのような人たちが 動いているのかしら?」 あたしと美香ちゃんが聞いて、回収を防ごうとしたけど、結局無理やり、みんな連れて行かれてしまった。 その後で菜々美ちゃんや健人、翼と合流したところ、どうやらみんなのところにも、ポケモンはいたらしい。 でも、回収されてしまったらしかった。 菜々美:「ポケモンがこの世界にいることは不思議としか言いようがないわ。」 美香:「でも、存在していることは確かだし…」 健人:「そういえば、あいつらが向かったのは町外れの研究所だったな。」 翼:「もしかして、あの研究所で作られたのかもしれなくないか?」 志穂:「あり得るわね。行ってみましょ。」 あたしたちはこうして研究所に向かった。菜々美ちゃんの音の力による防音バリアの中にいながら移動したことで、 全く気配を察せられることはなく、美香ちゃんの炎の力によって熱監査システムにも引っかかることはなかったけど、 あたしたちは突然の爆発に巻き込まれた。 そのせいで気を失い、気づいた時には回収されたポケモンを含む、たくさんのポケモンたちと一緒にトキワシティで 倒れていた。 すべてはあの時から始まったのだ。そして今、色々あって、あたしはここにいる。 ウィンディ、ランターン、ベロリンガ、ブラッキー、ピクシー、メガニウム、ゲンガー、ムウマの8匹と一緒に。 蓮華:「もうすぐで志穂ちゃんのバトルね。」 キレイハナ:「とっても見ものね。この中では一番強いんでしょ?」 菜々美:「ええ。」 美香:「志穂ちゃんは冷静かつ、特性をフルに生かしたバトルだから、このメンバーの中では強いわね。」 律子:「それに、志穂ちゃんは元々優勝する気はないらしいし、欲がない分いいと思うのよね。」 ナナ:「確かに。優勝したいっていう欲があるだけで、つい失敗してしまったりするのよね。」 美香:「そうだよね、あたしもそうだった。」 菜々美:「ところで、志穂ちゃんのバトルの相手って誰なの?」 ナナ:「あたしの相手をした特別枠の子で、一志って言うんだけど…、多分、志穂ちゃんの方が強いわ。」 律子:「特別枠にしておいてそんなことを言うの?」 ナナ:「あいつの場合、冷静になれれば強いけど、暑くなりすぎると弱いのよね。ただ、執念だけはあるって言うか。 執念でバルビーの羽に焦げ目を作ったほどなのよ。」 律子:「嘘…、だったら強いじゃない。この勝負、志穂ちゃんが苦戦したりするんじゃないかしら。」 そんな時、冷静かつ優雅に歩く志穂と対照的に緊張した面持ちで歩いてくる少年の姿が目に入った。 一志:「これがポケモンリーグなのか…すげえ!」 志穂:「あなた、こういうバトルをしに来るのは初めてなのかしら?」 一志:「ああ、だから今、すげえ燃えてるぜ!」 志穂:「熱い人ね。その熱さが仇にならなきゃいいけど。」 一志:「何!俺の熱さはポケモンとの友情の熱さだ!仇なんかにはならない!」 志穂:「そう。…それじゃ、あたしもやる気を見せないとね。」 控え室でし忘れたから。 あたしは今着ている物を、別のものに瞬時に着替えた。 律子:「あ〜!」 ナナ:「巫女装束?」 蓮華:「あれ、確か…」 美香:「あれって、志穂ちゃんのバトルコスチュームよね?」 菜々美:「ええ。志穂ちゃんがあれを着る時は、かなりやる気なのよね。」 一志:「巫女装束?お前、巫女さんなのか?」 志穂:「ええ。あたしは別世界から来た火雷の巫女。炎と雷を纏い、操りし、闇に光を照らすもの。 あたしは、元の世界に帰るためにも、ここであなたに勝ちます。」 一志:「へ?…あははは、そんなこと言っても無駄だよ。脅しや嘘には乗る気はないからさ。 俺はここで君に勝つ。これを決まってるからね。」 別世界に来たということは既に、他のみんなも色々な場所で喋っているから、だからあたしももういいかなって喋った。 でも、信じていないようだ。どっちでもいいけど。 そんな時、ルーレットがバトルフィールドを決めた。 今回は水のフィールドだった。4つのステージの時と唯一違うのは、足場は土台ではなく、大きな浮き島だった。 でもあの浮き島はカビゴンが乗っても沈まないようにできた特別製だった。 一志:「すっげえラッキーだ!これならお前に勝てる!」 一志は喜んでるようだった。でも、負けないよ。 審判:「ただ今より、フスベシティ出身一志選手と、トキワシティ出身志穂選手の試合を始めます。 使用ポケモンは3体。ポケモンの交代は自由とみなします。ただし、3体目のポケモンでの自爆行為は失格とみなしますので、 ご注意ください。それでは、試合開始!」 一志:「手始めにこいつだ!ライボルト、行ってこい!」 浮き島の上にライボルトが降り立った。 志穂:「それならあたしはランターンよ!」 ランターンはプールの中に飛び込み、水面に姿を見せた。 一志のポケモンは放電ポケモン、静電気と避雷針が特性のライボルト、対するあたしは発光と蓄電の特性をもつライトポケモンの ランターン。タイプから言えば、あたしのほうが不利に見えるかもしれないけど、特性がある限り、あたしは有利かもしれない。 一志:「ライボルト、先手必勝だ!雨乞いから雷だ!」 突如フィールドを雨雲が覆い、雷がプールに大量に落下していた。 でも、ランターンはそのプールの中を楽しく泳ぎまわっていた。特性の蓄電により、電気タイプの技が逆にランターンを元気にさせていたのだ。 一志:「な、何!?ライボルトの雷が通じない!?」 志穂:「特性の蓄電よ。こっちからも行くわよ、ランターン、波乗り!」 雨乞いによって水の技の威力が増し、大津波がライボルトを包み込んだ。 志穂:「そのまま、蓄電で溜めた電気によるスパークよ!」 が、ライボルトもただ波乗りに巻き込まれたわけじゃなかった。電気を纏って水を蒸発させて波乗りを耐えているライボルトの姿が。 志穂:「考えたわね。でも、ランターン、スパークで突進よ!」 一志:「へへん、ライボルトの10万ボルトさ。次はアイアンテールだ!」 どうやらちょっと見くびっていたようだ。 一志の10万ボルトによる水を弾く事が、雷の鎧となって防御になっていた。 それと同時に、スパークがアイアンテールと大きくぶつかり合っていた。 一志:「そのまま怪力で押し返せ!そして背後に回って噛み付いてやれ!」 さっき蓄電のことを話したからか、もう電気技で攻めようとしていない。 でも、あたしのランターンはまだ奥の手を多く残してるから。 志穂:「ランターン、堪えて怪しい光よ!それが通じてるかどうかは別として至近距離からのハイドロポンプよ!」 ライボルトが力押しで来るのに対して、あたしは耐久戦だ。 怪しい光はどうやら通じなかったらしい。というより、ライボルトの周囲に張ってある光…神秘の守りが怪しい光を弾いたようだ。 でも、ライボルトはハイドロポンプで後ろの方に押し返されていた。 一志:「もう一度10万ボルトを纏って突進だ!水を弾け!」 志穂:「ランターン、水に戻って!」 突進をランターンは何とか回避できた。 ぶつかった場合のダメージが少量でも、後々に響くと厄介だからだ。 たとえ、ぶつかった時に吸収できる電力で回復できたとしても。 一志:「だったら嗅ぎ分けてスピードスターだ!」 嗅ぎ分ける攻撃は相手の回避率に関係なく攻撃を当てるようにする技。そしてスピードスターは必ず当たる技。 それらのコンボで水中にも攻撃が向かってきた。 志穂:「水中に唯一向けることができる攻撃ね。だとしたら、もうこの手で行くしかないわね。 ランターン、プールの最も深い場所にダイビング、そしてそこからハイドロポンプ及び滝登りで浮き島を打ち上げて!」 カビゴンが乗っても浮く浮き島だけど、それは丈夫であり、傷付けなければ浮いているものだけど、浮き島の下の方向には しっかりとポケモンが乗っていることによる圧力がかかっている。 だから、そこを突くしか手はない。 蓄電のランターンと電気タイプのライボルトの対戦だから、もうこれしかない。いや、残ってない! スピードスターが必ず当たる技でも、プールの底にいる限り、水圧でスピードが少しずつ遅くなっている。 だから、それらはバブル光線で相殺することは簡単だった。 そして、ライボルトがいる浮き島は少し沈んでいるからどこにいても攻撃は可能。ただし、ライボルトの方は それが不可能だった。なぜなら、相手はプールのそこにいるうえ、しかも、ランターンは浮き島の真下などにいたりするために 攻撃するにも当たらないのだ。 死角を攻撃するのはとっても難しい、そういうことだった。 そして、ライボルトが移動する前に、プールの底からダイビングの浮き上がりスピードと、滝登りの上昇スピードを纏い、 さらにダイビングを放ったランターンが、ライボルトのいる浮き島に突進した。 そして数秒、観客も一志も、志穂さえもその結果を待つことになり、そして。 強力な水爆発と共にライボルトが宙に浮き上げられた。 浮き島が3つの強力な水攻撃で破れ、爆発したのだ。 カビゴンが乗っても沈まないのは、大量の空気が圧縮して入っているからだった。 一志:「ライボルト!?」 ライボルトは爆発のショックで既に混乱していた。 志穂:「ランターン、今よ!吹雪!」 吹雪は爆発で打ち上げられた水を一緒に凍らせ、ライボルトは氷漬になった。 審判:「ライボルト戦闘不能!ランターンの勝利!…ただ今より5分の休憩を取り、フィールドを別のものに変更します。」 もう、ライボルトは戦うことはできないと判断されたようだ。 そして水のフィールド自体も、吹雪と水爆で今は使用不可能な状況になっていた。 志穂:「ちょっとやりすぎたかな。」 そして変更されたフィールドは砂漠のフィールドだった。 一志:「すごいことをするお姉さんが相手だな。」 志穂:「うふふ、でも、あなたもすごいわよ。電気の通じない相手にここまで接戦を繰り広げたから。 もしまだ水のフィールドが使えてても、ランターンはこれ以上バトルできないから。 ライボルトの力でダメージを受けすぎたわ。さっきも水に打ち上げられながら、しっかりランターンの背中を引っ掻いてたわね。」 ちゃんと見逃さなかったわよ。 律子「…すごい。」 ナナ:「蓮華ちゃん、8人に残ったとしてもかなり厄介よ。」 菜々美:「今年の優勝者…」 美香:「志穂ちゃんだね。」 キレイハナ:「かもね。」 蓮華:「うん…。」 審判:「それでは、ただ今より試合を再開したいと思います!試合開始!」 一志:「砂漠に生かしたこいつでいくぞ!サンドパン!」 一志の2番手はねずみポケモンサンドの進化系で、特性として砂がくれを持つサンドパン。 サンドパンは飛び出てくると同時に砂嵐を起こしていた。 志穂:「あたしのポケモンの中に、砂嵐のダメージを防げる子はいないわね。でも…この子の力をあたしは信じるわ! メガニウム!行ってきなさい!」 ジョーイさんにもらった時はまだ小さなチコリータだったけど、成長はとっても早かった。 ベイリーフの期間が長かったし、まだ進化したての状態だけど、十分に強いはずだから。 一志:「先手必勝だ!砂にまぎれて近づいて切り裂いてやれ!」 志穂:「今の段階だと素早さは向こうが上だけど、この攻撃を逆に受ければいいわ。マジカルリーフよ!」 メガニウムに近づく気配は見ていてすぐ分かった。 だから、必ず当たる草技のマジカルリーフを放たせた。 至近距離にいるために、方向が違っていても変化球並みにサンドパンに向かっていった。 一志:「乱れ引っ掻きで打ち落とせ!そして穴を掘るんだ!」 サンドパンはマジカルリーフを寸でのところで切り刻んでいた。 そして、砂嵐にめげずに攻撃するメガニウムから逃げるようにして穴に潜っていった。 志穂:「穴に逃げたのね。でも、あたしのメガニウムは地震が使えないから無理だし…。」 技マシンの地震はサカキさんが旧型の地割れと一緒にくれた。でも、それを使った相手はベロリンガ。 素早さの遅い彼を強化するには、彼だけが妙に異様な攻撃力を高く持っていたので、あたしはそれを使ってしまったのだ。 でも、今ベロリンガを出すわけにはいかない。出したところで格闘タイプを出されてはまずい。 ポケモンの交代がコロコロ可能なのは、もし相手が自分の弱点を持っていたら、それを出されて倒される可能性があるからだった。 登録してある3匹に、今回予備で一匹登録してあり、途中でその予備のポケモンに変えてもいいのだけど、 それでも2匹目のバトル中に変えるのはまずい。 すでにランターンはバトルの疲れでもう戦えない。ほぼ相打ちになっていることに等しかった。 だから、今はメガニウムで乗り切るしかない。 でも、サンドパンがいない今がチャンスでもあった。 志穂:「日本晴れよ!」 メガニウムの特性は新緑だけど、日本晴れはあたしたちの有利に動くから。 一志:「くそっ、こうなったら穴から外に出て砂嵐だ!」 志穂:「させないわ!ソーラービームよ!」 サンドパンは穴を出たすぐにソーラービームを受けていた。 影分身も使って回避率を上げていたのだが、メガニウムが甘い香りを大量に放出していたのだ。 それによって回避率を下げ、攻撃を当たりやすくしていたのだ。 だが、HPがまだあったらしく、フィールドは再び砂嵐状態に変わっていた。 一志:「今度はこっちから行くぞ!剣の舞から毒針と連続切りだ!」 志穂:「蔓の鞭でジャンプして避けるのよ!」 あたしは、攻撃を避けるために蓮華ちゃんのキレイハナやフシギダネから教わった方法を使った。 サンドパンからの攻撃は、それによって避けられたが、すぐにサンドパンのブレイククローが向かってきていた。 志穂:「あのツメの攻撃のすごさは、健人のバトルで実証済み。だったらこっちはこれよ! サンドパンの顔を狙って種マシンガンよ!」 種マシンガンは空中の不安定な体制だったが、サンドパンがメガニウムに向かってきていたこともあって、 命中させる事ができた。顔を攻撃され、落下したのはサンドパンで、メガニウムは再び蔓の鞭で無事降り立っていた。 志穂:「もう一度日本晴れよ!そして今度もソーラービームよ!」 一志:「サンドパン、避けろ!」 サンドパンはソーラービームを避けた。しかし、目の前にはメガニウムはいなかった。 一志:「何!?…上か!?」 あたしはソーラービームを囮として使ったのだ。 すでに蓮華ちゃんの使った作戦だったこともあり、控え室で見ていたのか、すぐに上にメガニウムが跳んだことに気づかれていた。 でも、気づくのは少し遅かったようだった。 メガニウムは落下してきていたのだから。 一志:「サンドパン、もう一度穴に潜…」 志穂:「のしかかりよ!」 サンドパンは落下のスピードをかねたのしかかり攻撃を受け、その場に倒れた。 審判:「サンドパン戦闘不能、メガニウムの勝利!」 一志:「サンドパン!?くそ、よくもやったな!」 あたしは勝利に喜び、一志はついに切れたようだった。 ナナ:「あ〜、一志が切れた。」 律子:「本当だ。あれはもう頭にきてるわね。」 蓮華:「何か、嫌な予感がする。」 美香:「あたしも。」 菜々美:「志穂ちゃんの持ってるポケモン少ないから、それにつけこんで襲ってくるんじゃないかしら?」 一志:「もうこうなったらこいつで行くぞ!リザードン、行ってこい!」 一志が出してきたのは、多分彼の持っているポケモンの中で、一番最強と思われるクラスのリザードンのようだ。 あたしの持っている誰かとメガニウムで倒すべき相手だけど、ここは厄介だとしか思えない。 志穂:「メガニウム、一旦戻って!」 あたしが登録していたのはピクシー。そして予備のポケモンは…ブラッキーだった。 一志が草ポケモン、虫ポケモンを持っていなかったから、ウィンディは登録しなかったのだ。 志穂:「ここはかけてみるしかないわね。ピクシー!お願い!」 あたしが見る限り、リザードンは♂。あたしのピクシーは♀。 志穂:「行くわよ、ピクシー!ソーラービーム!」 一志:「させないぜ!リザードン、大文字だ!」 さっきの日本晴れ効果を残したまま、あたしたちのバトルは始まった。 でも、大文字とソーラービームでは威力が同じでも、差が出ていた。 なぜなら、大文字は木炭を持つリザードンが出し、あたしはただピクシーにソーラービームを放たせただけなのだ。 結果的にいえば、炎ポケモンが出し、しかも木炭を持っていることもあって、大文字の威力は大きかったということだ。 志穂:「コスモパワーよ!そして神秘の守り!」 防御力と特殊防御力をあげて、神秘の守りを使い、火傷や炎の力から回避するピクシー。 でも、それでもさすがにピクシーは、大文字に吹っ飛ばされてしまった。 力の差がありすぎたようだ。 一志:「さっきまでの威勢はどうしたんだ?リザードン、炎の渦だ!そして竜の怒りだ!」 志穂:「水の波動、そしてバブル光線よ!」 炎の渦を水の波動で相殺させれたけど、竜の怒りはバブル光線で弾けずに終わっていた。 そして竜の怒りでもピクシーはダメージを受け、外に弾き飛ばされてしまった。 もうほとんど動けない状態のピクシーだった。 一志:「やったぁ!もう俺の勝ちだ!ここは指を降らせて遊んでみるかな。」 優勢になったことで、どんどん熱くなり、一志は面白半分に楽しみ始めたらしかった。 リザードンは指を振り始めた。 と、リザードンが少しずつ何かを体に帯び始めていた。 志穂:「あらっ?これ、この感じ、この感覚はもしかして…!ピクシー戻って!かけるわよ、ランターン!」 あたしはあと少しでダメージを受ければ瀕死になるランターンを出した。 その直後、リザードンが放ったのは電磁砲だった! 一志:「何!?」 志穂:「やっぱりね。あたしは火雷の巫女。雷を感じたから代えてみて正解だったわ。」 ランターンの蓄電特性を活用して、あたしはランターンを再び回復させる事ができた。 志穂:「今度はこっちの番よ!ランターン、雨乞い!」 フィールドは日本晴れから雨乞いに再び変化した。 一志:「くそっ、これだとリザードンが不利だ!リザードン、地震で一気に決めるんだ!」 リザードンはどうやら日本晴れを覚えていないらしく、雨乞い状態を止める事ができないようだ。 だとしたら、雨乞いで尻尾の炎が危険な状態なので、早くバトルをしてしまいたいらしい。 地震は電気タイプのランターンには厄介な攻撃だった。 でも。 志穂:「ランターン、滝登りで上昇して!そこからリザードンにハイドロポンプよ!」 蓮華ちゃんの作戦を再び借りた。 滝登りで宙に浮き、地震から自分を守り、それと同時に地面に足をつけているリザードンにランターンはハイドロポンプを噴射した。 リザードンには効果抜群だった。 一志:「こうなったらこれが最後だ!リザードン、ブラストバーン!」 あたしは一瞬、何が起きたのか分からなかった。 突如起きた爆発が、ランターンを倒したのだった。 志穂:「はっ、こういうときこそ図鑑…。この技は…リザードンのみが覚える炎技の最大攻撃ね。 しかも、今の攻撃でランターンは倒されちゃったわ。次はピクシー、もう一度お願い! 月の光で回復するのよ!」 リザードンが技の反動で動けない状態だったので、今のうちに回復をした。 今から、逆転よ。 志穂:「ピクシー、メロメロよ!そしてサイコウェーブ!」 メロメロで、リザードンをメロメロな状態にし、砂漠フィールドの砂をサイコウェーブでリザードンにぶつけた。 リザードンは苦しがっているようだった。 砂も目に入り、メロメロな状態でもあり、リザードンは既に劣勢だった。 一志:「くそっ、指を振ったのが裏目に出たなんて…」 志穂:「これで終わるわね。ピクシー、水の波動!」 あたしはちょっと残虐行為だったけど、尻尾の炎に水を放ち、リザードンを倒した。 雨乞いのダメージもあったらしく、さすがに水攻撃は効果があったのだった。 審判:「リザードン戦闘不能!よってこの勝負、トキワシティ出身志穂選手の勝利!」 観客たちは再び、盛り上がっていた。 一志:「負けたか。…また修行すっかな。」 志穂:「今度は何事にもしっかりやったほうがいいわよ。指を振る攻撃は、あの場では遊びに過ぎないわ。 あそこでピクシーを倒していたら、あなたは勝っていたのだから。」 一志:「はいはい、分かったよ。あんたとは、もう一回別の時に戦いたいな。」 志穂:「その時は、もっと容赦ないから。」 すると、一志はあたしのそばに近づいて、 一志:「そんなに怖い顔をすると、綺麗な顔が台無しだぞ。」 と、耳元でささやいた。 志穂:「ちょ、ちょっと!」 一志:「あれ?初心だったのか。てっきり実際は年齢が高いオバサンかと思ったけどな。 まあいいか。じゃあな!」 一志は行こうとした。でも、「オバサン」と呼ばれて嬉しい女の子がどこにいるのよ! 志穂:「待ちなさい。」 一志:「へ?」 志穂:「炎は大地を照らし、物を燃やすと同時に命の営みを与え、雷は大地に炎を授ける光を照らし、 そして同時に明るさを世界に広げる。炎の精霊よ、雷の精霊よ、我が手に力を与えよ! 炎の力、雷の力、融合せよ!炎の力、雷の力よ、我の前に強力なパワーを!」 一志:「おい、何するつもり…」 志穂:「オバサン呼ばわりしてくれたお返しよ!必殺、火雷砲!」 一志は炎と雷の攻撃で吹っ飛ばされ、焦げ焦げになっていた。 ナナ:「あれが…火雷砲…」 律子:「うわぁ、初めて見たわ。」 蓮華:「志穂ちゃん、マジ切れね、あれは。」 美香:「そうね。マジ切れじゃない限り、あんなことを復唱しないもの。」 菜々美:「それに、あの力は初めてよ。あそこまで妖怪にも放ったことはないわ。」 キレイハナ:「どうやら、「オバサン」は志穂ちゃんに対しては最も禁句らしいわね。」 5人と一匹は、志穂の勝利を喜ぶつかの間、志穂の恐ろしさを感じたのだった。