リーグが決勝戦に進む中、 ??:「守備の方はどうだ?」 ??:「バッチリ順調よ。これであいつらを倒して3幹部様の下に献上しちゃいましょ。」 ??:「ああ。」 何かが再び動き出そうとしていた。 第60話 氷VS植物!そしてスペース団!? あ〜あ、まさかと思ってた事態が起きて、哲兄と健人先輩が敗退するなんてね。 そして志穂ちゃんは勝ち抜き、残るのはあたしのみ。あたしがこの3人と一緒に沙織選手に勝たないと、 帰る未来はない。可能性がなくなるだけだけど。 志穂:「そろそろ時間よ。」 志穂ちゃんが知らせに来た。 志穂:「頑張ってね。」 蓮華:「うん、みんなは?」 志穂:「美香と菜々美となずなが既にサポーター席にいるわ。観客席にも各地からみんなが集まってる。 流石に哲也と健人が敗れたのを知ったから、心配で来たみたいよ。」 ということは、ここには現実世界から来た能力者が全員集まってるのね。 ここは頑張りの見せ所!よま、ダネッチ、ひがめくん、頑張っていくよ! 美香:「蓮華、大丈夫かな?」 あたしはちょっと心配だった。蓮華は不可能を可能に変えるとんでもないバトルをする事が得意だけど、 一撃必殺の絶対零度を操る氷のプリマー、沙織選手を相手にしている事が、心配の種なのだ。 菜々美:「大丈夫じゃない?蓮華はここぞという時に強いんだよ。」 なずな:「そうそう、ここは応援よ!メタモン、ムウマ、ムチュール、応援するわよ!」 なずなは操られた時につれていたムウマに、ナツメさんからもらったというムチュールを連れて来ていた。 菜々美:「あたしも応援しないとね、蓮華は志穂ちゃんと同じ、希望の光!バタフリー、クロバット!」 美香:「そうだね。それじゃ、あたしも!マリルリ、エイパム、キルリア!」 あたしたちの応援スタンバイは準備完了だ。 哲也:「ん、ここは…。」 玲奈:「ポケモンセンターの救護室よ。大丈夫?バトルが終わった直後に倒れちゃったのよ。」 俺が目を覚ますと、玲奈が駆け寄ってきた。 哲也:「そうか…ピジョットが敗れて、それから…あれっ?健人じゃないか。」 玲奈:「そうなのよ。哲也と健人は一緒の部屋よ。元々、ポケモンセンターはあっても人間用の救護室は少ないんだから。」 健人:「俺も負けたショックで頭痛がしてな。哲也、お前は割りと元気そうでよかった。」 健人もいるが、菜々美ちゃんはいないようだ。 すると。 翼:「おっ、哲也、起きたのか。」 涼治:「先輩、蓮華の試合、始まっちゃいますよ。」 久美:「起きてるんなら一緒に行きましょ。」 来美:「せっかく全員揃ったのよ。」 突然部屋には翼、涼治、久美、来美が入ってくる上、全員ってもしや…。 玲奈:「優勝候補の哲也と健人が敗れちゃったから、現実世界から来た他のみんなが全員、ここに集まってきちゃったのよ。」 哲也:「やっぱりそうか。…蓮華の試合!?」 久美:「だからそう言ってるんじゃない!」 来美:「玲奈ちゃん、案内してくれない?」 玲奈:「ええ。」 俺たちは、玲奈に案内されるまま、いつもの応援席にやってきた。すると、本当に全員いた。 晃正:「あ、先輩たち遅いですよ。」 楓:「もうすぐ始まるみたいですよ。あ〜、よかった。蓮華先輩の試合を間近で見れるなんて思わなかった!」 清香:「そうよね、あたしたちはジムトレーナーとしてのお手伝いがあるから、こんな事態がない限り、 容易に見になんて来ないんだから。」 海斗:「ああ。哲也と健人が負けるとは、全く予想外だったからな。」 氷雨:「ともかく、蓮華ちゃんの試合よ。みんなで応援しましょうね。」 何だかものすごい能力の波動が伝わってくる感じがした。 どうやら、しっかりみんなが揃ってるようね。 沙織:「あら?顔色がよくないようですけど、バトルの方はあたしが優勢でいいのかしら?」 蓮華:「気のせいじゃない?あたしはいつもと全く変わらないわよ。簡単にあなたを勝たそうなんて思ってないし。」 沙織:「そうですわね。でも、あなたのポケモンも他のトレーナーの方々と同じように凍らさせていただきますわ。」 凍り状態にならない特性でも、絶対零度の一撃必殺では全てのポケモンが凍って倒れてしまう。 氷に強い炎タイプや、一撃必殺の効かない特性を持つポケモンでさえも、吹雪や冷凍ビームで凍り状態になってしまうらしい。 でも、そんなことで負けないのがあたしたちよ。 現に、あたしの持ってるボール3つはかすかに動き続けているし、キレイハナのボール(予備ボール)はさらに動いている。 蓮華:「あたしは負けないよ。植物の力強さを教えてあげる。」 沙織:「そういえば、あなたは植物を操るそうですわね。あたしは氷のプリマー。氷と植物、どちらが強いかを ここで示すのもいいでしょうね。」 そんなやり取りをしているうちに、あたしはバトルフィールドまでたどり着いた。 美香:「応援してるよ、蓮華!」 菜々美:「蓮華ちゃん、頑張ってよ!」 なずな:「みんなで応援してるから!」 サポーター席には、美香たちと一緒に座席を埋め尽くすようにポケモンがたくさんいて、旗やポンポンを持っていた。 美香たちに預けたあたしのポケモンも何体かいた。 沙織:「仲がよろしいようですわね。でも、勝負の行方は分かりませんことですわ。」 蓮華:「それくらい、分かってるわよ!」 そしてバトルフィールドは…こんな時に限って彼女のベストなフィールド、すなわち氷のフィールドになっていた。 既に彼女の戦法を知っている人が多いせいか、応援は哲兄たちや美香たちを除くほとんどが沙織コールに変わりつつあった。 審判:「これより、グロウタウン出身蓮華選手と、ナナシマ3の島出身沙織選手の試合を開始します! 今回からバトルはダブルバトルになり、使用ポケモンは3体。そのうち、相手のポケモン2体を倒した側が 勝利となります。また、今回からダブルバトルということで、自爆、大爆発による失格事項はありませんので ご注意ください。それでは、試合開始!」 蓮華:「ダネッチ、ひがめ君、お願い!」 沙織:「オニゴーリ、レアコイル、行ってきなさい!」 あたしのポケモンは、毒・草タイプのフシギダネことダネッチと、炎タイプのコータスことひがめ君だ。 あたしのポケモンのしかも片方がフシギダネだと知り、勝負は見えたように観客のコールは沙織選手一色になっていた。 対する沙織選手のポケモンは、鋼・電気タイプの磁石ポケモンレアコイルと、氷タイプの顔面ポケモンオニゴーリだった。 これで絶対零度がよく当たる理由が分かった気がする。 レアコイルのロックオンで狙いを定め、それをオニゴーリが横取りで自分の攻撃にし、そして絶対零度を放っていたのだ。 そうすれば、必ず命中率の少ない絶対零度を当てることをできる。 でも、簡単にはあきらめない! 沙織:「オホホホ、あなたのポケモンであたしに勝とうということは不思議でしょうがありませんわ。 オニゴーリ、フシギダネに冷凍ビーム、レアコイルはコータスに電磁波です!」 蓮華:「簡単にはあきらめないって、あたしは決めてるの!ダネッチ、蔓の鞭でジャンプして冷凍ビームをかわして! そしてそのまま日本晴れよ!ひがめ君は、レアコイルに火炎放射よ!」 オニゴーリはダネッチを凍らせようと、そして倒そうと弱点の冷凍ビームを放ち、レアコイルはひがめ君を痺れさせようと 電磁波を放つけど、ダネッチは蔓の鞭でジャンプするって言う、あたしの草ポケモンたちの特有の行動で難を逃れた。 そして日本晴れがフィールドを包み、ひがめ君の火炎放射はレアコイルの電磁波を突き抜け、レアコイルに直撃した。 でも、すぐに離れられちゃったから、倒れることはなかった。 でも、ダメージは与えられた。 沙織:「簡単に冷凍ビームを飛び越えた!?まあ、少しはできるようですわね。 ならば、オニゴーリ、霰を降らせるのですわ!レアコイルは電磁砲をコータスに当てなさい!」 霰はフィールドに霰を降らせる技で、これで日本晴れ効果はなくなってしまった。 しかも、レアコイルは電磁砲をコータスに発射させている。 でも、あたしにはもう一つ、奥の手があった。 蓮華:「こうなったらいくよ!ひがめ君、戻って!」 ひがめ君を間一髪戻したことで、電磁砲は当たらずに突き抜けていった。当たらなかった攻撃は途中で掻き消えていった。 沙織:「あなた、何をするおつもりかしら?」 蓮華:「こういうことよ、よま、出番よ!」 あたしは、ゴーストタイプのサマヨールことよまを出した。 沙織:「ゴーストタイプですわね、ならばオニゴーリ、噛み砕くのですわ!」 蓮華:「その前にこれを受けるのよ!ダネッチ、地震よ!」 あたしの奥の手、それは「地震」。ダネッチの技を図鑑で確認していたら見つけたのだ。 これは使うべき!多分、遺伝したのね。親がフシギバナだったとしたら。 ダネッチの地震は浮遊特性のよまを除く、沙織のポケモン2体に強烈なダメージを与えた。 それと同時に、ダネッチを中心として蜘蛛の巣張りに、氷に皹が入っていた。 沙織:「レアコイル、オニゴーリ、耐えなさい!」 蓮華:「耐えるだけが勝負じゃないよ!よま、オニゴーリに炎のパンチよ!」 オニゴーリはよまを噛み砕こうとして近づき、地震を受けた。ひるまない精神力の持ち主だけど、ダメージを受けて スピードが少し遅くなっている。 その隙を狙って、よまは至近距離から炎のパンチをぶち当てた。 沙織:「そんな!?嘘ですわ、これは夢ですわ!でもやるしかありませんわね。」 沙織選手が一瞬戸惑った表情をしたけど、すぐに表情が引き締まった。 これは、来る! 蓮華:「ダネッチ、戻って!ひがめ君、出て!鉄壁よ!」 沙織:「レアコイル、堪える攻撃ですわ!そしてオニゴーリ、大爆発ですわ!」 オニゴーリが大爆発を起こした。でも、あたしはしっかりこの手をパソコンで調べて読んでいたので、それで このメンバーを選出したわけで、ひがめくんはしっかり鉄壁で身を守り、よまはゴーストなので大爆発を受けず、 レアコイルは堪える攻撃のおかげで保たれたらしく、オニゴーリだけが倒れた。 審判:「オニゴーリ戦闘不能!」 沙織:「これくらいでは負けませんわ!オニゴーリ、お戻りなさい!そしてトドゼルガ!お行きなさい!」 次に出てきたのは氷割りポケモンで、氷タイプのトドゼルガだった。 沙織選手が一匹失っても、今だ止まず、さらに激しくなる沙織コール。 どうやら、ポケモンを見る限り、あたしの方が弱いように見られているようだ。 沙織:「レアコイル、サマヨールにロックオン!そしてトドゼルガ、横取りですわ!」 蓮華:「これがあなたの戦法ね。ひがめ君、日本晴れよ!そしてよま、…!」 ここでトラブルが起きた。 コールのうるささで、あたしの指示がよまに聞こえなかったらしい。 よまが動揺したようにキョロキョロしている。しまった…。 沙織:「何を言ったのか知りませんが、ポケモンに聞こえていないようですわよ。 オニゴーリ、絶対零度ですわ!そしてレアコイル、再びコータスの電磁砲ですわ!」 蓮華:「コータス、オーバーヒートよ!そしてよま、分かってるでしょ!」 あたしは一か八か、よまに問いかけるように叫んだ。 そして、電磁砲とオーバーヒートがぶつかり合い爆発を起こし、氷のような波動が通り過ぎた時、よまがカチンコチンに 氷漬になっていた。コータスとレアコイルはまだ立っていたが。 沙織:「惜しかったですわね。トドゼルガの絶対零度を受けて平気なポケモンはいませ…何ですって!?」 沙織が驚いた。 というのも、一瞬で観客もシ〜ンとなったんだけど、ほとんどダメージを受けてないに等しいオニゴーリが突然戦闘不能状態で 倒れていたのだ。 蓮華:「知らなかった?道連れよ。よまに、何かあったときの一か八かって教えておいたの。 道連れの指示は聞こえなかったみたいだけど、偶然覚えていてくれたみたい。 あなたを応援する声がかき消した事が、逆にあたしを勝利に導いてくれたみたいね。残念だったわね。」 沙織:「そんな…あたしが負けたなんて…」 審判:「オニゴーリ、戦闘不能!よってこの勝負、グロウタウン出身蓮華選手の勝利!」 蓮華:「これがあたしたちの力強さと絆の力よ。簡単に負けないって言ったでしょ?」 沙織はがっくりと肩を落とし、気づけば会場はいつの間にか、蓮華コール一色になっていた。 キレイハナ:「蓮華、やったじゃん!」 ダネッチ:「ダ〜ネダネ!」 ひがめ:「コ〜!」 よま:「サマヨ〜(目がハート)!」 あたしは咄嗟によまをボールに戻し、他の子と抱きついて喜ぶのでした。 よま、あたしはよまとはラブラブじゃないってば! そんな時。 蓮華が喜んでる時、あたしたちも喜んでいた。 美香:「やったぁ!蓮華の勝利!」 なずな:「流石は蓮華だよね、会場がほとんど相手を応援してるのに、自分のペースでバトルしてるし。」 菜々美:「確かに。これは、いけるんじゃない?…あれっ?」 ふいにあたしは何かを見かけた気がした。 美香:「菜々美?どうかした?」 なずな:「何か変なものでも見たの?」 菜々美:「ううん、別に(ちょっと確かめてみないと見たって言えないかな)。あたし、ちょっと健人のところ行ってくるね。」 美香:「いってらっしゃ〜い。」 なずな:「いいなぁ、菜々美は彼氏がいて。」 美香:「あたしたちも見つけないとね(なずなには言えないな、あたしも好きな人がいるって)。」 菜々美:「確か、ここのはず…あっ!」 あたしはリーグ会場の裏手にある森の中にいた。こっちの方に歩いていく影、あの姿は見覚えがあるわ。 どう考えても、あれはスペース団のマユミ! 前にも哲也先輩がスペース団の雑魚残党にやられかけたし、多分元スペース団たちは動き始めてるはず。 残党でも、よくよく考えれば美咲ちゃんと拓也と後二人で4幹部をしていたし、ダークやリースイの他にも 側近がいたはず。それなのに、今回の戦いで誰一人見ていない。 とすれば、今その幹部クラスが動き始めてるのかもしれない。 そんな時だった。 ??:「おや?この森にお客さんですか?」 突然森の中を響くように声が聞こえた。もしかして、つけたのがバレてたの? 菜々美:「誰?何者?」 ??:「おやおや、これは失礼しました。私はスペース団3幹部の一人、夢使いドリームと申します。」 菜々美:「3幹部?スペース団は解散したはずよ!」 ドリーム:「いやいや、それは違いますね。ルークが編成した我らが別部隊が残っておりますからね。 そろそろ動き出そうとしていたところを、元幹部の団員が見つかってしまい、あなたに見つかってしまったわけです。」 やっぱり、そうだったのね。みんなに知らせなきゃ。 ドリーム:「おやおや?森を出ようとしているようですが、あなたは既に私の手中に納まっていますよ。 この森自体に私のポケモンの技を放ちましたからね。」 菜々美:「何ですって!でも、それくらい、姿くらい見せて言いなさいよ。このアイドルの菜々美ちゃんに向かって 失礼極まりないわよ!」 マユミ:「あら?あんた、アイドルだったのね。ぶりっこぶってかわいくないと思ってたら。」 突然あたしの目の前にはマユミの姿があった。 ドリーム:「マユミ、私は忙しいのだ。その少女の始末はお前に任せよう。」 マユミ:「承知いたしました。ウィンディ!」 マユミはウィンディを出した。 あたしもボールを出そうとしたけど、体が動かない!? マユミ:「あんたにいいことを教えてあげるわ。ドリーム様は人間の意識を起こしたまま、体は眠らせた状態にできるのよ。 すなわち、あんたは夢で現実を見せているの。ウィンディ、この小娘に火炎放射よ!」 ウィンディの火炎放射があたしを襲った。 熱いけど、動けないし、体が焼けるように痛い!こんなことなら、みんなに教えてくるべきだった…。 健人…ゴメンね。あたし、もう…。 マユミ:「うふふ、小娘一人の始末くらい簡単ね。こいつを連れて行けば、あたしは幹部昇進ね!」 氷雨:「そんなことはさせないわよ!必殺、猛吹雪!」 マユミ:「お前!ヤマブキシティの雪女!くそっ、ウィンディ!」 マユミはウィンディを出そうとしたが、ウィンディは既に氷付けになっていた。 氷雨:「菜々美ちゃんにひどい目にあわせて、許さないからね!」 氷雨の吹雪は一瞬で森の中にいるマユミと、それ以外の団員たち(隠れていた)を氷漬けにした。 氷雨:「やっぱりスペース団が動いてたのね。菜々美ちゃんのこともあるし、いったん戻らなきゃ。 そこのあんた!次に会う時は承知しないわよ!」 氷雨は近くにいるもう一人の人影に気づいていたが、菜々美を優先にして姿を消した。 ドリーム:「はははは、ばれていましたか。さすがは妖怪ですね。次会うときは、逆にこちらが溶かして差し上げませんとね。」 そして数時間後。 このことは、能力者全員と全国のジムリーダーたちに知らされたのでした。 リーグと共に、何か怪しい動きがあることに、そして菜々美がやられたことに、あたしはすごく心配です。 by 蓮華。