「今頃はハルカたちは頑張ってるんだろうなぁ。」 俺がカントウでの事件を聞いたのはついさっき、父さんに頼まれて行ったオレンジ諸島から帰って来た直後の事だった。 「俺も行く。」 そう言ったけど、父さんと母さんが一緒になって止めるから行くのを断念した。 普段は放任主義者の癖に、今回に限っては絶対に駄目と釘を押されてしまうし、俺だってポケモントレーナーとしてのレベルは ミクリさんに勝ってるから十分あるのにも拘らず、父さんが言った事は、 「だからといってスペース団を相手に勝てるという見込みもない。ここは向こうの人たちとサトシ君たちに任せるんだ。」 と言って、首を縦に振らなかった。 「俺のこと、信用してないからなのか?」 こう聞いたときの父さんの言葉は、 「信じてるさ。でも、お前はここにいて私の手伝いをしてほしい。」 と言うだけだった。 父さんと母さんが心配して言うのは分かるよ。 子供ができない二人の目の前に、突然まだ凄く幼かった俺が現れて、神の奇跡とかってこの近辺で言われてたんだよな。 俺の本当の両親じゃないけど、父さんと母さんは俺のことを自分の子供として育ててくれた。 その割に10歳を超えるとポケモンを持てるからという理由で放任主義になって、今に至るわけだけど。 子供が遠くに行く事が、まだまだ心配なのかもしれないな。 けれど、俺の本当の両親は一体誰なんだ?                        by??? 第67話 続く戦い!勝算は優勢? サカキさんと別れてすぐのあたしはとある部屋に迷い込んだ。 そこには翼先輩たち4人が縛られた状態で寝かされていた。悪夢を見ている、というのがよく分かった。 そこにやってきたのは一人の女性団員。 彼女はレイクといって、ドリームが見せている夢に入り込み、先輩たちを夢の中と言う事に気づかないように 翻弄しているらしい。 でも、あたしにはその技がまず効かないから、ドリームの攻撃が全く効かないのがあたしだから、彼女はあたしを 倒そうとしていた。 だから、あたしはスピアーのはり君と、タマザラシのタマちゃんを出した。 レイク:「あたしと戦っても、あなたの仲間であるこの4人は夢から覚めることはないわよ。いえ、あたしを倒したとしても、 ドリーム様を倒したとしても、この4人は永久に動けない病室にいると言う呪縛から、逃れる事はできないわ。」 レイクのポケモンはエスパータイプのキルリアと、ノーマルタイプのエネコロロ。 どちらも♀のようだ。それに対してあたしのポケモンは♂。 メロメロボディの特性を持つエネコロロに一撃でも与えたら、二人はメロメロになってしまうのが普通だけど、 でもあたしはそうならない方法を知っているから、だからこの二人を選んだ。 レイク:「キルリア、マジカルリーフよ!エネコロロはスピアーに吹雪!」 蓮華:「はり君、高速移動で避けてキルリアにダブルニードル!タマちゃんは丸くなってアイスボールよ!」 吹雪攻撃を高速移動でかわしたはり君は、そのまま吹雪を放ってくるエネコロロをタマちゃんの方に誘導し、タマちゃん吹雪の 盾にしていた。元々氷タイプなので、タマちゃんには吹雪は通用しない。 そして逆にタマちゃんを盾にした事で、キルリアの攻撃をはり君が受けることになるけど、はり君は両腕の針でマジカルリーフを受け止め、 ダブルニードルでキルリアを攻撃した。 「ダブルニードル」は虫タイプの技で、両腕の針で相手を攻撃する技。しかも、受けた相手は毒状態になる事もあった。 キルリアの特性がシンクロだとしても、毒タイプでもあるはり君には通用しない。 そして吹雪が止んだのを見計らい、タマちゃんは丸くなって体を氷で固めた氷の塊になってエネコロロに体当たりをした。 「アイスボール」は自分の体を氷で固めて、丸くなって相手に突撃する技。転がる攻撃と効果が同じで、当たるたびに威力が増すのだ。 しかも、室内には「ポンポン」という音が響いているから、タマちゃんがメロメロになる事はない。 レイク:「キルリア、サイコキネシスでスピアーを倒すのよ!エネコロロはアイアンテールよ!」 でも、流石に候補生だけあるのか、レイクのポケモンはあたしのポケモンの弱点を突いてきた。 蓮華:「はり君、背後に下がってミサイル針、そして突進よ!タマちゃん、守る攻撃から泥かけよ!」 「サイコキネシス」はポケモンによって色々なバージョンがある。 物を浮かせたりする場合や、光線やモヤ、光となって相手に放たれる場合など、色々。 そして今回は光線のような感じになってはり君に襲いかかっていた。 はり君はミサイル針を放つ事でそれらを相殺し、そのままキルリアに突進した。 タマちゃんは守る攻撃でアイアンテールを受け止め、顔に向かって泥を吐いた。 「泥かけ」は命中率を下げる技。 それを顔にかけられたのだ。命中率はかなり下がっているはずだ。 レイク:「キルリア!エネコロロ!」 蓮華:「これで終わりよ、はり君、破壊光線!タマちゃん、オーロラビーム!」 キルリアに破壊光線、エネコロロにオーロラビームが飛び、2体は倒れていた。 蓮華:「あたしはこれでもポケモンリーグを優勝してるわ。100対1には負けたけど、1対1では簡単に負けたりしないんだから。」 キレイハナ:「蓮華、お疲れ様!」 そこに離れて見守っていたキレイハナが戻ってきた。 その手には赤い何かがあった。 レイク:「それは、赤いビードロ!それでアイスボールを使ったタマザラシがメロメロにならなかったのね。」 キレイハナ:「初めからあたしは離れる時にこれを持たせられたもの。使わないわけがないわ。」 レイク:「そんな…。」 蓮華:「それじゃ、あなたはここから出て行って。」 あたしは力を使うために敵をそばにいさせるわけにはいかなく、レイクに部屋を出るように言った。 レイク:「分かったわ。…あなたはここを解散させるつもりでしょ?」 蓮華:「ええ。」 レイク:「あたしはもうあなたに負けた時点で自分のレベルが分かったわ。幹部候補生の身であるとはいえ、あなたに力が及ばないのなら、 あたしは一から自分を鍛えなおすためにここをさっさと辞める。」 蓮華:「レイク…」 レイク:「いつか会いましょうね、草使いの蓮華ちゃん。」 レイクはスペース団幹部の称号のバッジを捨てて、部屋を出て行った。 キレイハナ:「…何か、話の分かる人だったね。」 蓮華:「うん。」 スペース団の人がみんな、ああいう人だったら争いごとは起きないと思うのにね。 そう思いながら、あたしは自分の力を解放した。 あたしの草の力による癒しの力で、翼先輩、玲奈先輩、海斗先輩、清香先輩を目覚めさせるために。 蓮華:「我の体に溢れる癒しの心よ、悪夢に魘されし、迷える人の心を光に導きたまえ!」 あたしがまずやることは、先輩たちを起こすことだから。 菜々美:「マリルリ、凍える風よ!」 ヒカリ:「フライゴン、かわして竜の息吹です!」 あたしは飛行部隊の幹部に競りあがったヒカリとバトルをしていた。 前回会ったときに比べると、断然大人になってる。 あの時はすぐ泣いているような泣き虫の団員だったのに、今は全く泣く様子がない。 ヒカリはフライゴンに乗って空から攻めてくるのに対し、あたしのポケモンは主な4体のうち、バタフリーとクロバットしか飛べない。 だからヒカリを別の場所に誘導し、そして地上から攻めていた。 ヒカリ:「菜々美さん、あたしのフライゴンの力、甘く見てませんか?甘く見てると火傷をしますよ。 あたしはもう、昔のあたしじゃないんですから!」 ヒカリは前よりも強く、すでにバタフリーとオドシシが倒されていた。 ヒカリのバシャーモにがオドシシの威嚇を跳ね除け、ビルドアップと二度蹴りでオドシシを倒し、バタフリーにも 火傷を負わせていた。でも、バタフリーのサイコキネシスでヒカリのバシャーモを一蹴しているけどね。 そして今、水タイプの技でも倒しやすいフライゴンにマリルリで立ち向かっていた。 ヒカリ:「フライゴン、急降下して炎のパンチよ!」 菜々美:「マリルリ、光の壁で受け止めて!」 ヒカリ:「だとしたら瓦割り!」 向こうの方が一歩前進のくらい、上手だった。 フライゴンの急降下と共に威力を増した炎のパンチが繰り出される。だからあたしは光の壁で受け止めるように指示をしたけど、 すぐに指示は瓦割りになってしまい、壁ごとマリルリは攻撃を受けてしまった。 菜々美:「こうなったら雨乞いよ!」 ヒカリ:「させません、砂嵐です!」 マリルリとフライゴンは同時に動いた。普通ならどちらかの技が不成立するところを、両方が成立し、泥の雨が降る状況になっていた。 ヒカリ:「まさかこうなるとは…。こうなれば、フライゴン、破壊光線です!」 泥の雨になった以上、砂嵐のダメージはマリルリが受けることになるが、両方の命中力が下がってしまうのはやむ負えない状況にもなり、 しかもフライゴンは地面タイプ。 雨乞いの水分が乾燥した肌にあたり続けるのはいい気分でもない。 簡単に言うと、一瞬にして両方にとっての最悪のコンディションに変わったというわけで、ヒカリは勝負に出たのだ。 菜々美:「だとしたら…マリルリ、この泥の雨に吹雪よ!」 破壊光線が放たれた直後、マリルリは泥の雨に向かって吹雪を放った。 泥は吹雪で一気に凍り、フィールドが霰というより、吹雪が吹き荒れる状況に変わったのだ。 放たれた破壊光線は、吹雪に耐え切れないフライゴンが弱る事ですぐに力を失い、フライゴンは落下した。 ヒカリ:「そんな…あたし、頑張ったのに…そんなの、そんなのないよ!」 ヒカリはついに大泣きを始めた。 一方で、美香はユウと戦っていた。 ユウはボーマンダとフーディンを使い、執拗にあたしとエイパム、マリルリを攻め続けていた。 ユウ:「お金は人を幸福にできるんだ!そんな事も分からない奴がいい気になるなよ!ボーマンダ、火炎放射! フーディン、サイケ光線だ!行け!」 ユウはゲーム天国になる夢を叶えるためらしくて、あたしを倒そうと躍起になっていた。 でも、あたしはお金だけが幸福を運ぶものじゃないって分かってるから。 自分自身が体験してるから。 こういうところはお金持ち(大会社のご令嬢)というところが役に立ってるのかもしれないわね。 お金がいっぱいあっても空しいだけ。実際にお金がいっぱいあるだけで、心が空っぽな人を何人も見てきた。 だから、あたしはあなたに負ける気がしないわ。たとえ、劣勢であっても。 美香:「エイパム、スピードスターで翻弄して!」 逃げながらエイパムは、背後にスピードスターを放つ。 絶対に当たるこれらの技を彼らが相殺する間に、あたしは煙玉を5個投げつけ、一旦姿を隠した。 ユウ:「おい!僕は真っ向勝負派だ!卑怯な事は許さないぞ!」 煙幕に怒るユウ。 でも、その割には蓮華ちゃんに劣勢を強いたり、色々卑怯な事をやってるじゃない。 そういうところが変なのよね、スペース団員は。 あたしのポケモンのうち、キルリアとドンファンがすでにやられてしまっているから、エイパムとマリルリで戦うしかない。 あれっ?そういえばあいつ、ゲーム持ってたっけ? ユウ:「くそぉ、どこに行った!」 美香:「ここよ。」 あたしはボーマンダに乗って上空から探すユウの前に姿を見せた。 ユウのそばにはサイコキネシスで体を浮かせているフーディンの姿もある。 ユウ:「ポケモンもいないようだし、わざわざやられに来たようだね。フーディン、サイコキネシスだ!」 フーディンが技を放つと言う時、フーディンの真下方向から何かが吹き上がってきた。 ユウ:「何!」 吹き上がってきたのは大量の水で、その水にはエイパムが乗っていた。 美香:「エイパム、アイアンテールよ!」 水で噴き上げられるスピードで飛んできたエイパムは唖然としているフーディンの体に、とっておきの尻尾アイアンテールを 当て、フーディンを落下させていた。そしてエイパムはそのまま、水と共に下降していた。 ユウ:「フ、フーディンが!くそぉ、こうなったらボーマン…何!?」 ユウはエイパムの行動を見ていて気づいていなかったようだ。 あたしはすでに炎の矢をセットしていた。 美香:「ポケモンバトルにこれを使うのは嫌だけど、あなたの自信を壊すにはこれしかないわね。 炎の一点圧縮ショットよ!」 あたしはユウのある部分を狙って、矢を放った。 そして矢は、その部分に当たり、それは綺麗にはじけ飛んで、落下していった。 ユウ:「…ぼ、ぼくのゲームが!!!!」 あたしが狙ったのはユウのベルトに装着されているポケット。 普段からゲームをやっているはずの彼ならば、すぐに取り出せる場所に自分の大事な愛用のゲーム機を入れているはずだったから。 だとしたらあそこしかなかったし。 そしたら見事、大正解。炎によってポケットは焼け、中からは複数のゲーム機とソフトが飛び出したけど、矢の威力で何個かは砕け、 それ以外も落下していった。 ユウ:「よくも…よくも、僕の命から2番目に大切なゲーム機を壊しやがったなぁぁぁぁ!!」 ユウは一瞬呆然としていたが、すぐに怒ってボーマンダの破壊光線を連打してきていた。 美香:「どこを狙ってるの?こっちよ。」 あたしはそれを全部、能力の攻撃予知でかわし、地上のマリルリとエイパムをボールに戻して飛んだ。 ユウ:「待て〜〜!!!絶対、絶対、許さないぞ!」 美香:「怒ってるわね。…いた!」 菜々美:「あれっ?美香!」 美香:「菜々美、一緒に飛んで!」 突然美香が舞い降りてきたと思えば、あたしたちに向かって放たれるのは破壊光線の大群。 流石にぎょっとしたあたしは、ヒカリを置いて、そのまま飛んだ。 すると、破壊光線はヒカリの元に大量に激突して…。 ヒカリ:「えっ?何?何?あたし…殺されるの!?いやだ〜〜〜〜!!!」 ヒカリは恐怖のあまり(破壊光線が自分のそばに5発も落下してきたから、ものすごい恐怖になる)、半狂乱になって、 フライゴンで破壊光線を返していた。 ユウ:「うわぁ!何だ!?ボーマンダ、破壊光線だ!」 ヒカリとユウはお互いが、同士討ちをしているとは知らず、破壊光線を放ち続け、ついにお互いが放つと気づいたが、 ヒカリ:「ユウなの!?」 ユウ:「ヒカリなのか!?」 互いに破壊光線を近距離で放った直後のため…。 しかも、別方向の上空から炎と音の波動も放たれ、大爆発が起きていた。 ヒカリ:「せっかく幹部にもなれたし、成長できたと思ったのに、これだと全部失敗だよ!」 ユウ:「くそぉ、僕のゲーム帝国の夢が!!!」 ヒカリ&ユウ:「最悪な感じ〜!!」 二人は綺麗な弧を描いて飛んでいった。 美香:「ふぅ、終わったね。」 菜々美:「全く、いきなり飛んでくるから何かと思ったら。…でも、あたしたちの持ってるポケモンであの二人のドラゴンタイプに勝つには、 能力を使わないと無理な部分もあるもんね。なずなたちのところに行きましょ。」 美香:「ええ。」 ヒータス:「あははは、あなたの力はそんなものですか。僕の炎ポケモンのほうが強いようですね。」 あたしは追い詰められていた。 あたしのいるこの室内の温度は多分160度くらい。 ヒータスは防護服を着てるから温度上昇に耐えられるみたいだけど、あたしの体は既に溶け始めていた。 ポワルンが雨乞いを行っても、霰を行っても蒸発してしまい、水の波動も効果がない。 氷雨:「あたしを溶かす事が初めから目的だったのね。」 ヒータス:「当たり前さ。あんたが存在していたら、スペース団の今後の行動に差支えが出てしまうからね。 雪女という妖怪は溶けて消滅してしまった方がありがたいのさ。マグカルゴ、マグマッグ、熱風とオーバーヒートだ!」 先ほど参戦していたジュペッタとボスゴドラも倒されてしまい、ポワルンもついに力尽きていた。 この温度まで耐えてくれた事に感謝するけど、あたしも、もう駄目。 ヒータス:「あははは、やっぱりこれくらいが限度のようだね。」 氷雨:「…」 これで…終わらせるわけないじゃない。 人間と妖怪がどれくらい違うのか、教えてあげる。 あたしはいつも押さえ込んでるもののタガを外した。 これで雪女は消滅した。 そう思っていた。熱風とオーバーヒートに続き、炎の渦と大文字を受けた彼女は炎に消えたかと思った。 僕の炎は、燃え盛る美しい炎は氷を溶かせる芸術と思っていたのに、それなのに、突然炎が一瞬で消え、 僕の大事な恋人であるマグマッグとマグカルゴが倒れていた。 温度計も20度を示していた。 ヒータス:「どうしたんだ?いきなりこんな事が起きるなんて…僕の大事な恋人たちまでが…。」 僕が防護服のメットを外すと、さらに温度がマイナス10度になっていた。 ヒータス:「こ、これは…」 メットをかぶろうと思ってメットを見ると、メットが凍りついてひびが入っている。 いや、この部屋の壁にも、この防護服にも不備が出始めていた。 160度の場所が一気に冷やされて1分でマイナス10度になったのだ。 ヒータス:「寒い…一体どうして…何が…」 氷雨:「教えてほしい?」 突然部屋に響く彼女の声がして、彼女が現れた。 先ほどよりも冷酷な表情の彼女が。 氷雨:「あたしを、妖怪の事を、雪女一族の事を否定し、あたしを溶かそうとしたあなたを許す事はできないわ。」 逃げよう。 そう思っても、足が動かない。いや、体が凍りついている。 防護服が役に立たず、寒さは僕の体にも侵食し、体が凍り始めていた。 もう、思考さえもとまりそうだ…僕は…炎が好きなのに…芸術、が…。 氷雨:「うふふ、あなたのような殿方、久しぶりかもしれないわね。」 氷雨はヒータスを完全に氷の彫像に変えていた。 彼女は自分の心のタガを外し、妖怪としての本性を取り戻す事で自分を危機から回避させ、復活したのだ。 氷雨:「…ここであなたから魂を貰い、私の美貌を保たせ、そしてあなたを粉々にする事は可能だけど、 私はそうすれば妖怪としての人生に戻る事になるわ。でも、私の使命は能力者を導く事。 あなたみたいな人のために、自分の身を犠牲にするのは嫌。だから、タガを戻すわ。」 氷雨は、すでに何も聞ける状態ではないヒータスに囁くように、冷たく言い、そして普段の姿に戻った。 黒髪、白い着物、赤い帯の冷酷な色白美人姿から、普段の彼女の姿に。 氷雨:「ふぅ、やりすぎたかしら。でもいいわね。」 温度はもともとの室温20度くらいに戻り、氷も溶け始めていた。 氷雨は、ヒータスを突付く。すると、彼の体から服が凍りついたことで粉々になって割れていき、ほぼ全裸姿になったヒータスが 後に残されていた。そして戦闘不能のマグカルゴたちと共に、その部屋に倒れているのだった。 氷雨:「うふふふ。あたしをなめてもらっては困るのよ。」 カエデ:「チルタリス、竜の息吹よ!」 コタロウ:「バクフーン、火炎放射だ!」 あたしとカンナさんはカエデ、コタロウのコンビと戦っていた。 カンナさんは四天王、あたしはポケモンマスターなので、既にバルビーの10万ボルトでサクラビスを、パルシェンの オーロラビームでサンドパンを倒していた。 カンナ:「コンマ0.2秒遅いわね。あたしのパルシェンでも避けられるわ。パルシェン、右斜め32度の場所に冷凍ビームよ!」 四天王のカンナさんは強く、正確にポケモンの急所を狙って攻撃を当てる事ができた。 カエデのチルタリスは攻撃をすぐにカンナさんに相殺されてしまううえ、冷凍ビームとオーロラビームを交互に受けていたために、 すぐに倒れていた。 カエデ:「そんな!」 コタロウ:「カエデ!くそっ、こうなったらバクフーン、煙幕から大文字だ!」 ナナ:「バルビー、雨乞いよ!そしてイミルー、水の波動!」 あたしもカンナさんほど正確じゃないけど、あたしなりの蛍コンボでバクフーンを倒していた。 彼らは強くなったかもしれないけど、でもあたしとカンナさんに勝負を挑んだ事が失敗ね。 カンナ:「弱いわね、この二人は。さぁ、ワタルたちのところに案内して。」 カエデ:「…嫌です。行きなさい!」 カエデがいきなり指示をすると、下っ端の団員が再び現れていた。 流石にあたしもカンナさんも、これにはしつこいと思った。 ていうか、しつこい以外のものじゃない。 カンナ:「はぁ、しつこいわね。ルージュラ、悪魔のキッスよ!」 ナナ:「ムチュール出てきて!天使のキッスよ!」 天使と悪魔の交互のキッスは団員たちを一斉に混乱させ、眠らせていた。 それだけじゃ弱いので、パラセクトとモルフォンの眠り粉とキノコの胞子も使った。 一斉に眠る団員。 カンナ:「それにしても、ワタル達はどうしたのかしら?」 ナナ:「捕まってる事はないわよね。」 あたしとカンナさんはエスパーポケモンの力で団員を外に放り出して(テレポートで外に運んで)、再び通路を進む事に下。 途中、全裸の少年が寝ている部屋に入ってしまい、驚いて出ようとすると部屋が崩れ落ちて驚いたけど。 多分、氷雨さんが戦った後なのかもね。 その頃。 ポケモンリーグ会場ではスペース団が追い出されようとしていた。 ムサシ:「コジロウ、そこの筋肉幹部は任せたわよ。ソーナンス、コジロウを援護して!」 ソーナンス:「ソォ〜ナンス!」 タケシとオーキド研究所勢(博士、ニャース、ケンジ)を倒した幹部、ブレイクに対し、駆けつけたムサシ&コジロウの元ロケット団 コンビが駆けつけ、応戦していたのだ。 ブレイクのポケモンは打撃系の技を得意とするカイリキーとツボツボ。 技の出し方から見ると、特殊な技は全く持っていないらしい。そのため、攻撃のほとんどをムサシのソーナンスが 「カウンター」で跳ね返していた。 また、ツボツボのどくどく攻撃もソーナンスの神秘の守りによって効果のない状態になっていた。 そしてムサシは途中からソーナンスを残し、博士たちの元に向かった。 ムサシ:「オーキド博士にニャース、細目ボーイとウォッチャー、大丈夫だった?」 タケシ:「だからその呼び方はやめてくれないか?」 ムサシ:「いいじゃない。…その様子だと大丈夫そうね。」 細目ボーイとはタケシ、ウォッチャーとはケンジのこと。 あたしたちはロケット団を辞めてからも、彼らのことはあまり前と変わらない言い方で呼んでいた。 慣れかしら。でも、彼らもそれに馴染んでいるのよね、細目ボーイを除いて。 ニャース:「そっちも大変だったようにゃ。」 ムサシ:「ええ。多分、研究所の電話を盗聴されていたか、盗聴器があると思うから確かめた方がいいでしょうね。 ハピナス、出てきなさい。」 あたしのハピナスはハッピータウンで働いていた、昔の看護ラッキー学校でのクラスメイトであり、親友である。 脱退して、1年の刑を受けてからすぐにハッピータウンに行き、彼女と会ってあたしと一緒に行くか聞いた。 すると、彼女は了承してくれたし、それ以前にそこのジョーイが、あたしたちがロケット団を辞めたときにハピナスから事情を聞いていたらしく、 ハピナス以上に賛同してくれた。 そしてあたしは、彼女と一緒にいる。 彼女はおっちょこちょいだけど、すごく頑張りやな性格だから「たまごうみ」などの技もマスターしてくれた。 そしてずっと、あたしたちのサポート員として役立ってくれている。 ムサシ:「ハピナス、博士たちのポケモンやニャースにたまごうみよ。体力を回復してあげて。」 ハピナス:「ハッピ〜!」 ニャース:「にゃー、体力が戻ってくるにゃ。…にゃにゃ!ムサシ、アレを見るにゃ!」 ニャースが回復したと思えば、突然叫んで何かを指差していた。 あたしが見ると、向こうから何十匹ものケンタロスに乗ったスペース団員が突撃してくるところだった。 オーキド博士:「何じゃと!わしらを狙っとるぞ。」 タケシ:「くそぉ、あんな数じゃイワークたちでも抑えきれない。」 見たところ、ケンタロスの数は20くらい。一応やってみましょうか。 ムサシ:「おじけづかなくていいわよ。ハピナス、自分にたまごうみよ。そしてサイコキネシスよ!」 ハピナスがどれくらい持ちこたえられるか分からないけど、一つの賭けだった。 平和を愛するハピナスの必殺技、サイコキネシスでケンタロスたちを宙に浮かせ、突撃を何とか止めたのだ。 でも、数匹のケンタロスはまだそれを振りほどこうとしていた。 ニャース:「ムサシィ〜…」 ムサシ:「黙ってみていなさい。行くのよ、愛しのドクケイルちゃん!ケンタロスたちを眠らせる、眠り粉よ!」 普通はアゲハントでさえも眠り粉は覚えない。ドクケイルは遺伝技でも覚える事のない技だけど、あたしのドクケイルちゃんは あたしとコンテストのために特訓して覚えてくれたのだ。 ケンタロスたちも、流石の眠り粉には眠ってしまったようだ。 すると。 ??:「おいおい、よくも俺のケンタロス軍団を眠らせたな!俺はスペース団幹部候補生のタロスだ! よく見れば元ロケット団の弱小ムサシじゃないか。お前なんか一ひねりにしてやる。行くんだ、ドードリオ!」 タロスって言う奴は見た事があった。 確かロケット団幹部の候補生でもあった奴だ。でも、確かこいつはケンタロスの育成が得意で、ドードリオのあの弱点が起きると、 弱いのよね。未だに弱点なのかしら?試してみましょ。 ムサシ:「あたしが弱小なのは昔の事よ。証拠を見せてあげるわ。行くのよ、ベロリンガ!」 あたしのベロリンガは、一度間違ってソーナンスと交換され、あたしと離れ離れになった。 その時は、新しいトレーナーに懐いていたらしいけど、バトルには不向きだったらしく、できることは「舌でなめる」攻撃か、 体当たりくらい。 そのせいで、さすがにそのトレーナーもベロリンガを交換したがり始めたらしい。 その割に4年も持ち続けたのは凄いけど。 でも、リースタウンの人たちはそのベロリンガの事をよく分かっているため、交換を嫌がっていた。 そこにあたしが行き、ロゼリアとの交換で再ゲットしてきたのだ。ベロリンガはあたしを見て驚いていたけど、 あたしが少しは成長したと気づき、ついてきてくれた。 技も前のままじゃないわよ。 タロス:「ドードリオ、ドリルくちばしだ!」 ムサシ:「ベロリンガ、守る攻撃よ!そして爆裂パンチ!」 ドリルくちばしのするどさはベロリンガの柔らかい体にも傷をつけられるほど。だけど、それを守る攻撃で防ぎ、 飛行タイプには効果が薄いけど、爆裂パンチで攻撃をして混乱させた。 ドードリオは混乱し始めた時、一匹の頭がもう一匹を突付いた事で大喧嘩を始めていた。 タロス:「あぁ!こら!やめろよ、喧嘩するなよ!おい!」 タロスはそれを見て大慌てだけど、自分が突付かれるほど、喧嘩は発展していた。 ムサシ:「これでいいわね。ジャリボーイ、イワークで吹っ飛ばして上げなさい。」 タケシ:「…」 ムサシ:「細目ボーイの事よ!言い方変えたら気づいてないようだし、細目ボーイで行くわ。イワークよ!」 タケシ:「…はっ!…慣れてしまったようだな。イワーク、尻尾でドードリオと団員をなぎ払ってやるんだ!」 イワークは団員のタロスとドードリオを軽くホームランにした。 それと同時期、コジロウ&ソーナンスVSブレイクのバトルも行われていた。 ブレイク:「くそっ、カウンターは厄介だ!カイリキー、ツボツボ、ビルドアップからジタバタ攻撃と空手チョップだ!」 ブレイクは名前だけ、ロケット団時代に聞いた事があった。 頭脳面では結構下のほうに位置し、俺やムサシでもテストで勝てるほどらしい。 ただし、頭脳面以外の部分はスペシャリストなのだ。 だから幹部になれたらしい。 コジロウ:「ソーナンス、あいつらの攻撃をカウンターで跳ね返し続けてくれ!」 ソーナンス:「ソォ〜ナンス!」 ムサシがソーナンスを貸してくれて助かった。あいつには世話になりっぱなしだな。 結婚してからはルミカと一緒に攻撃する事だけ厄介だけど。…ただ、今3ヶ月なんだから危ない事はしないでくれよな。 ブレイク:「この野郎、カウンターを使いやがって!それならもう一匹増やしてやるぞ。こいつにカウンターは意味はない! シザリガー、ソーナンスを倒せ!カイリキーとツボツボは再びウィンディに攻撃だ!」 ブレイクのシザリガーはカウンター直後のソーナンスにバブル光線と水の波動で攻撃をした。 普段ならミラーコートも使えるが、技を使った直後はソーナンスでも防ぎきれないのだ。 ソーナンス:「ソ〜ナン!?」 コジロウ:「くそっ、こうなったらチリーン、クチート、協力してくれ!」 ヒワマキシティで出会い、昔(今でも)はよく頭に巻きついていたチリーンと、ウツボットやチリーンの行動を見て自分もと言うように、 真似をしてどこかに噛み付くようになったクチートの2体を出した。 ブレイク:「ふん、そんな奴らか。カイリキー、岩なだれだ!ツボツボはチリーンにどくどくをかけてやれ!」 コジロウ:「チリーン、神秘の守りだ!そしてカイリキーに念力だ!」 チリーンはエスパータイプのポケモンなので、格闘タイプのカイリキーには天敵なのだ。 コジロウ:「ウィンディはツボツボの相手をしてやるんだ!あいつは虫タイプでもあるから、大文字と火炎放射でけん制しろ!」 俺のウインディは、元々実家で飼っていたペットのガーちゃんだ。 実家に帰り、ムサシとの結婚を認めてもらったときに再会し、自分から炎の石で進化して結婚を祝福してくれた。 元々俺に懐いていて、俺が指示をしなくても自分の意思でもバトルをしてくれる。 だからここはウインディにツボツボの相手を任せる事にした。 コジロウ:「クチートはソーナンスを援護しろ!噛み付く攻撃だ!」 クチート:「クチ〜!」 シザリガーが挟む攻撃でソーナンスを攻撃しようとしたが、そこをクチートの大あごバサミによる噛み付く攻撃で、 シザリガーの両手を挟んだ。 ブレイク:「何!?次から次へと…!!シザリガー、クチートを振り払って破壊光線だ!カイリキーはクロスチョップ、 ツボツボは原始の力で攻撃だ!」 ブレイクは俺がソーナンスを含める4体のポケモンに指示をしているからか、逆に逆上していた。 だから俺は攻撃がしやすかった。 コジロウ:「ソーナンス、カウンターだ!クチートも破壊光線でソーナンスを援護しろ!チリーンはサイコキネシス、 ウインディはオーバーヒートでカイリキーとツボツボを攻撃だ!」 そしてブレイクのポケモンは倒れた。 が。 ブレイク:「くそぉ!しかし俺自身は強い!お前のような弱腰くらい、素手で倒してやる。」 ブレイクは肉弾戦を挑んできた。 ヤバイ!と思ったときだった。 突然地面から噴出した水がブレイクをどこかに投げ飛ばしていた。 ブレイク:「な、何だと!?やな感じ〜ってか?」 まさか俺たちの閉め台詞を叫ぶとは思わなかったが。 しかし、一体誰が…。 ムサシ:「コジロウ、大丈夫?」 そこにムサシたちが駆け寄ってきた。向こうも片付いたようだった。 と、見知らぬトレーナーの姿があった。 コジロウ:「君は?」 ??:「あ、あたしは来美と言います。カスミさんがいない間、ハナダ三姉妹と一緒にハナダジムの代理ジムリーダーをしてました。 どうやらあたしの攻撃がうまくいったようですね。」 コジロウ:「え?攻撃って…」 ムサシ:「コジロウ、この子は能力者らしいわよ。今スペース団本拠地で戦っている人たちの知り合いの子みたい。 心配になって駆けつけてきたそうよ。」 コジロウ:「なるほど…。」 今の水流の噴出は彼女の力らしい。おかげで助かった。 すると彼女は言った。 来美「あたしはみんなのところにこれから向かいます。お手伝いをお願いできませんか?」 ムサシ:「いいわよ。あたしたちの力になるんだったら、好きなだけ力を貸してあげる。」 コジロウ:「俺もだ。せっかく助けてくれたわけだからな。」 ムサシがとってもやる気だった。 だから、俺たちは急いでスペース団本拠地に向かった。 久美:「確かこの辺よね。」 希:「ええ、スペース団員たちはカントウ中のトレーナーに追われる様になったし、ここに逃げてきてたのが見えたから、 この辺りのはずよ。」 あたしと希の電撃ガールズはクチバにいたんだけど、スペース団の暴挙に耐えられなくなった人々が一斉に立ち上がった事で、 カントウ中がスペース団に対しての抵抗を強めた。 それはポケモンたちも同じで、セキチクのサファリやポケモン保護区でポケモンたちがスペース団を追い出し始めたのを 皮切りに、色々なところで野生ポケモンたちも立ち上がっていた。 そしてマサラタウンに旅に出ていた強いトレーナーが帰って来てスペース団を撃退したニュースが入ってからは、スペース団たちは さらに追われるようになり、あたしたちは能力による攻撃でクチバから奴らを追い出したのだ。 すると奴らはディグダの穴を、ディグダたちに攻撃されながらも退却し続けていて、トキワの森に入り、そして、あたしたちは その奥にやってきたのだ。 そしてあたしたちは森の中にいた。 あたしと希の電撃能力によるレーダーによっても、流石にこの辺りにあるってことくらいが感知の限界らしい。 そこへ、あたしたちの足元に手裏剣が飛んできた。 久美:「誰!」 希:「何者?」 あたしは空手の姿勢を取り、希は手から電気を発した。 すると、目の前には黒装束の忍者トレーナーが現れた。どうやら大人のようだ。 でも、森が薄暗いために、はっきり表情が分からない。 ??:「くっくっく、我はスペース団に仕えし、忍びの者なり。お主らを本拠地には行かせぬぞ。ここで死んでもらう。」 あたしと希に向かって、突然アーボックとベトベトンが襲い掛かってきていた。 草むらに隠れていたらしく、とっさだったのでフラッシュをたててかわすのが精一杯だった。 しかも、2匹だけじゃない。 アーボ、ドガース、アリアドス、リリーラ、ニドリーノ、マルノーム、クロバット、それにラッタとワンリキーもいる。 久美:「いつの間にこんなにいたのかしら。」 希:「多分モンスターボールが隠してあったのよ。でも、この数だとあたしたちがポケモンを出していてはやられてしまうわ。」 ??:「くっくっく、おぬしらでもさすがにこの状態ではまずいようであるな。そのまま毒の餌食になるといいわ。 せっかくの人質に逃げられて、ボスも怒りの様子。ここはおぬしらを捕らえて何とか機嫌を取らねばならないな。」 あたしたちはピンチだった。 そこへ。 「ピィカァチュ〜〜〜〜〜〜〜!!!」 ピカチュウの鳴き声と共に雷が多数落ち、ポケモンたちに降り注いでいた。 久美:「今ね、希。」 希:「ええ。」 久美:「エレブー、出てきて!」 希:「サンダース、行くのよ!」 あたしたちはこの隙にポケモンを出し、誰かのピカチュウが降り注いでいる雷の電力を、10万ボルトと電磁砲で高めてあげた。 そしてあたしたちは、相手トレーナーの姿がはっきりと分かった。 ??:「くっ、誰だ!」 ??:「俺の声を忘れちゃったのか?セキチクジムの元ジムリーダー、キョウ!」 久美:「えっ!」 希:「アンズちゃんのお父さん!?」 キョウ:「ばれてしまっては仕方あるまい。俺は確かにセキチクジムの元ジムリーダー、キョウである。 しかし今は、スペース団ボス、ブライトの第2秘書幹部、キョウだ。お前こそ、姿を現せ!」 まさか彼があたしたちの敵として出てくるとは思わなかった。 でも、それよりも驚いたのは、あたしたちを助けてくれた少年だった。 ??:「俺はマサラタウンのサトシだ。キョウ、久しぶりだな。」 ??:「ピィ、ピカチュウ!」 まさかポケモンマスターに助けられるとは思っても見なかったのだ。 サトシさんはリザードンに乗り、ピカチュウとユキワラシを連れていた。 キョウ:「サトシか。しかし、ポケモンマスターであっても容赦はしない!アーボック、噛み付く攻撃だ!ベトベトンはヘドロ攻撃!」 キョウは唯一さっきの電気攻撃に倒れなかった2体のポケモンを放ってきた。 しかし。 サトシ:「リザードン、吠える攻撃だ!」 リザードンが勢いよく吠えると、キョウのポケモンは倒れているポケモンも含め、一斉にボールに戻っていた。 あたしたちのポケモンもその余波を受けたけど。 でも、相手は全くポケモンを出していない、さっきの逆の状況になったのだ。 ここは…。 キョウ:「何!?くっ、ここはひとまず何もしないでおいてやる。しかし、この次は…」 キョウは倒れた。 あたしが電撃を放ったのだ。 でも、サトシさんは驚かない。多分、哲也がマサラタウンから出発してたから。別に驚く事ではないのだろう。 サトシ:「二人とも、大丈夫だったか?」 久美:「ええ。」 希:「助けていただき、ありがとうございます。」 サトシ:「そうか。…そろそろカスミたちも助けおいているはずだし、君たちを仲間のところに案内するよ。」 久美:「えっ?」 サトシ:「俺とピカチュウも、俺の仲間とこの戦いを終わらせるために来たからな。スペース団を解散させて、 平和にするために。」 希:「…そうですね。」 あたしたちはサトシさんのポケモンの???に乗って、本拠地に向かった。 まさかこんな大きさの???に出会えるとも思っていなく、それでも興奮してた。 このまま、みんなを助けに行かなきゃ。 ブライト:「何!?ホウエンの連中にやられただと!?」 キョウ:「申し訳ありません。しかし、全ての奴らがここに来た時にあの罠を作動させれば、そこにいたドラゴン使いのように 捕まえられると思いますが…。」 ブライト:「それは既に考えてある。お前は下がれ!そして再び彼らを倒しに行くのだ。倒せるまで帰って来るな!」 キョウ:「…はっ。」 キョウが出て行くと、ブライトは怒りを押し沈めながら再び画面を見つめていた。 ほとんどのバトルが終わりを迎え、ボスの怒りはたまる一方だった。