蓮華:「…ん?」 美香:「あ、蓮華が起きたよ。」 キレイハナ:「蓮華、ようやくのお目覚めだね。」 涼治:「おい、大丈夫か?」 蓮華:「えっ?えぇ〜!?どういうことなの?」 クチバからあたしたちは船に乗り、ナナと美咲、ヒカリも入れて6人でナナシマに向かった。 まさか敵としてバトルをしていたヒカリがナナの親友になっていたとは知らず、港に着いてすごくビックリしたわけだけど。 出港した船に乗り、後数時間でナナシマにつくと聞いていた。 だからちょっとくらい眠って体力を温存しようと思った。 それなのに、気づいた時あたしは、ギャラドスのコイッチに乗っていて、他には涼治と美香の姿があった。 美香:「それが、船が突然二つに割れてね…」 涼治:「お前のボールからギャラドスが飛び出してこなかったら、俺たちだって危なかったぞ。」 蓮華:「そうだったの…」 気づいて回りを見回すと、美香のマリルリや、あたしの水ポケモン、メノノやぎょぴちゃん、アクア、サゴッピたちも 外に出ていた。 美香:「多分、はじめからあたし達がナナシマに向かおうとしていることを感づいてたのよ。だから船を攻撃していたか、 船に仕掛け(あるいは罠)を作っていたと思うの。」 キレイハナ:「ナナたちは多分大丈夫だと思うよ。コイッチとあたしが飛び出した時に、巨大な鳥の姿を見たの。 アレは多分、美咲ちゃんだと思うからさ、きっと大丈夫だよ。だからあたしたちは、蓮華が起きるまでは安全にいるために、 水ポケモンたちの力を借りて、警戒態勢に入っていたの。」 ナナシマ編 2.1の島!宝の浜の戦い そんな時、島が見えてきた。 蓮華:「アレがナナシマかなぁ?」 美香:「多分そうじゃない?」 涼治:「一応上陸してみるか。」 あたしたちは島に上陸してみた。 一応港のような場所があったのだ。 蓮華:「コイッチたちはこの島の周囲を調べてきて。出発する時は呼ぶわね。」 あたしは万が一のことを考えて、コイッチとメノノ、アクアを海に放った。 島は南国ムード満載の感じだったけど、どことなく静かだった。 島全体が静かなわけじゃないけど、人の姿が見当たらない。 と、突然草むらから突然ナッシーが出現した。 キレイハナ:「まさか敵!?必殺、マジカルリ…」 ??:「待つんや!攻撃はやめてくんなはれ。」 キレイハナが咄嗟に身構えたけど、ナッシーの前には聞き覚えのある声の人物が現れ、攻撃をやめるように訴えていた。 蓮華:「あ…」 美香:「あら…」 ??:「久しゅうなぁ。わい、ちょいと3人を迎えに来たんや。」 その人物は、ハナダのポケモン研究家のマサキだった。 ゲートがつながってから会うのをこれが久しぶりだった。 涼治:「俺たちを迎えにって、どういうことですか?」 マサキ:「ついさっきまではナナたちもおったんやけど、スペース団の情報が手に入ったで、先に他の島に向かったんや。 そいで、わいがあんさんらをニシキに会わせるっちゅうことになったんや。」 蓮華:「ニシキ?」 マサキ:「そうや。ニシキはこのナナシマでポケモンの転送システムを開発しとる、わいの仲間や。」 マサキが言うには、ナナシマの転送装置を調整するためにやってきたところ、スペース団の残党を見かけたとナナシマポケモン警察から聞き、 そしてフライゴンが飛び去るのを見たらしい。 だから速攻で適当にカントウのジムに連絡を取ったそうだった。 そしてハナダジムに通信した直後、通信回線が途絶えてしまったそうだ。 蓮華:「でも、どうしてスペース団はナナシマに?」 マサキ:「それが分からんのや。ナナシマは今まで犯罪がほとんど起こらん平和なとこや。」 美香:「そんな…」 マサキ:「そやけど、スペース団は何とかせんとあかん。3人には手伝ってもらわんとあかへん。」 涼治:「俺たちはどうすればいいんだ?」 マサキ:「島を渡ってスペース団を壊滅させるんや。前もそうやったやろ?」 蓮華:「でもあれは親玉を叩いたから…」 美香:「そうだよ。もうイーブイ一族以外が仕切っているようなものよ。簡単には行かないと思うけど…」 涼治:「しかし、俺たちで何とかするしかないだろうな。それで、ポケモンセンターはまだなのか?」 キレイハナ:「そういえばもう20分も歩いたよね。」 マサキ:「もうそろそろや。ホントやったらバスが出とるんやけどな、この事態に誰も表に出てこんのや。 まぁ、ナナシマの中には例外も多くあるさかい。」 あたしたちが案内されたポケモンセンターは坂を上ったところにあり、とても大きな所だった。 そしてその中には大きな機械があり、そこには眼鏡をかけた青年が立っていた。 ??:「マサキ、ジョーイさんが呼んでるぞ。」 マサキ:「了解や。3人とも分かるやろうが、あれがニシキや。」 ニシキは大阪弁じゃなく、標準語っぽかったので聞きやすかった。 ニシキ:「君たちの事をマサキやナナから十分聞いているよ。…すぐ本題に入る。僕の仲間から特殊な通信によって スペース団の本拠地を教えられた。」 美香:「どこですか?そこは。」 ニシキ:「ナナシマ列島の一つ、7の島だ。あそこには渓谷やたくさんの遺跡が多く、奴らとしては隠れるにもってこいの場所だったのさ。」 蓮華:「そこに行く方法は?」 ニシキ:「ない!」 … 3人:「はぁ?」 ニシキ:「ないんだ。今ナナシマ間をつないでいる連絡船が出ない状態になっている。だからそこに行くには空を飛ぶか、 あるいは波乗りをして行くしかないんだ。ただ、2の島へはこの島にある船を使ってもらうよ。」 あたしたちの上にはかなりの問題が立ち上った気がした。 あたしと美香は大丈夫だけど、翼が生え始めた涼治はまだ飛ぶのは無理だった。 ニシキ:「もしかして、君だけは移動手段がないのか?」 涼治:「はい。俺のポケモンはライボルトとガラガラだけですから。」 それ以外はゲットしてもすぐに逃がしていたらしい。 すると。 ニシキ:「そうか。…それならこのポケモンを君に渡すよ。一度でも進化すれば、波乗りができるはずだよ。 あと、君にもこのポケモンを渡す事になっているんだ。」 ニシキは二つのモンスターボールを出した。 蓮華:「あたしにはないんですね。」 ニシキ:「ああ、これはナナがオーキド博士から預かってきたポケモンなんだ。」 ニシキが出したのはヒトカゲとゼニガメだった。 蓮華:「あ、そっか。ダネッチ、出てきて!」 多分あの二つのポケモンはダネッチ以外の2匹だろう。 ニシキ:「そうなんだ。君はフシギダネを持っているからね。ナナから聞いてるけど、炎の矢を使う君にはヒトカゲを、 そして君にはゼニガメを渡すよ。ファーストポケモンたちは近くで呼応しあう事で進化を早める傾向がある。 そのフシギダネを含めて、3匹はすぐ進化もするだろうな。」 ニシキはそう言うと、2の島に行くための船を整備しに行った。 あたしたちはしばらく待つ事になった。 蓮華:「1週間で何とかなるかなぁ?」 涼治:「やるっきゃないだろ。」 美香:「そうだよね。あたしはともかく、蓮華も涼治君も用事があるもんね。」 あたしたちは港の近くにある、通称「宝の浜」でニシキを待つ事にした。 ここはよくいろいろな道具が流れ着くらしく、その中にはかなり高価な物や珍しい物が含まれているから「宝の浜」というらしい。 あたしはリーフィー、キレイハナ、ソルルを出していた。 今出たい気分のポケモンたちを。 キレイハナたちは砂浜で追いかけっこをしながら遊んでいた。 蓮華:「でも、スペース団のボスって誰なのかなぁ?」 美香:「ここ最近の事件に絡んでいたのもそいつなんだよね。」 涼治:「らしいな。あの宗教集団も実はスペース団が裏で通じてたと聞く。」 蓮華:「でもそれが実は、ここでの行動を隠すためだったらしいし…あたしたちの知ってる奴がボスなのかなぁ?」 美香:「…」 涼治:「…」 あたしたちは何も言えなくなっていた。 そうとしか思えなかったからだ。でも、一体誰が…。 と。 キレイハナ:「蓮華、リーフィーが何かを見つけたみたい!」 バタフリーのリーフィーが砂浜で何かを見つけたと、キレイハナが駆け寄ってきたのだ。 行ってみると、そこには草むらに隠すように置かれたバスケットがあり、中には2匹のポケモンが何かを持って入っていた。 美香:「うわぁ…」 キレイハナ:「ひどい傷ね。」 涼治:「…人為的に意図的に付けられた傷だな、これは。すぐに手当てをしないといけない。」 中に入っていた、いや、押し込まれていたポケモン、ポチエナとレディバは傷だらけで、血を流した状態で気を失っていた。 あたしはハンカチを敷いて、ポチエナとレディバをそこに寝かせてあげた。 蓮華:「あたしの力で治すよ。ポケモンセンターに行くまではもちそうにないから。」 あたしの力、癒しの力をポチエナとレディバに送った。 すると、傷が少しずつ回復し、ポケモンの表情も落ち着きを取り戻してきていた。 美香:「このポケモンが持っていたのは…何だろう、これ。」 涼治:「何だろうな、ガラスのカケラに見えるけど、二つを合わせられるとしても、まだまだ足りないようだし…。」 水色のような青色のような色をしたガラス細工のカケラが二つ。 でも、どうしてそんなものをポケモンが、しかもこんな中に入れられて持っていたのだろうか…。 蓮華:「あ、目を覚ましたよ。」 ポチエナとレディバが目を覚ました。 ポチエナはあたしたちを見て唸りだし、レディバは震え始めていた。 何かあった後にあたしたちに出会ったのだとしたらしょうがないことだろう。 蓮華:「…ソルル、リーフィー、この子達をお願い。同属性なら、話が通じるはずよ。」 悪タイプのソルル、飛行・虫タイプのリーフィーなら、二人をおとなしくすることも、安心させる事もできると思った。 そしてすぐにうまくいった。 レディバはあたしたちの周囲を飛び始め、ポチエナもあたしに擦り寄っていた。 キレイハナ:「蓮華の事が気に入ったみたいよ。助けてくれてありがとう、だって。」 蓮華:「よかったぁ。」 その時だった。 ??:「見つけたわよ!」 ??:「どうやら厄介なゴミが一緒のようだな。」 聞き覚えのある声が響き、巨大なクラブ型のメカが海から出現したのは。 …でも。 美香:「ねえ、何も襲ってこないわよね。」 涼治:「ああ、さっきの勢いはどうしたんだろうな?」 蓮華:「う〜ん、あれっ?このパターンだとさ、いつもの場合…」 キレイハナ:「あ…、…言うべきなのかな?」 メカは動かず、声も聞こえてこず、あたしたちとメカの間をキャモメが5匹通過し、風がヒュ〜っと吹いた。 そしてあたしたちは言うのを迷っていた。 美香:「言うしかないのかもね。」 涼治:「はぁ、俺はパスだ。」 蓮華:「あたしもパス。未だにやってるなんて、呆れるわよ。」 キレイハナ:「じゃ、あたしが言うね。あんたたち、一体何なのよ!」 キレイハナが叫んだ。 すると、効果があった。 あのいつものどうでもいい曲が流れ始め、そして懐かしいコンビが登場したのは。 マユミ:「あんたたち、一体何なのよぉ〜!と聞かれたって」 エイジ:「答えるか否かはわれらの勝手」 マユミ:「世界の破滅を防ぐため」 エイジ:「宇宙の輝き護るため」 マユミ:「愛と勇気の悪を貫く」 エイジ:「ラブリークールな敵役」 マユミ:「マユミ」 エイジ:「エイジ」 マユミ:「この宇宙にきらめくスペース団の二人には」 エイジ:「ミントブルー、清き青の明日が待っている」 マユミ:「なーんてね」 マユミ:「久しぶりだね、あんたたち。」 エイジ:「攻撃されたくなければ、早くそのポケモンとそいつらが持っていたものをよこすんだな。」 美香:「このポケモンたちに怪我を負わせたのはあなたたちなの?」 マユミ:「そうよ。そいつらを研究していた科学者が死ぬ間際にあたしたちの手からそいつらを奪って海に投げ捨てた。 まぁ、あの科学者の最後としては幸せだったのかもしれないが、こちらにとっては大迷惑よ。」 エイジ:「そいつらはスペース団の実験生物だ。それにそのガラスのカケラはお前たちが持っていても全く意味がない。 すぐに俺たちに渡せ!」 この2匹はどうやらとんでもない過去を持っていたようだった。 しかもこのガラスのカケラが、スペース団がナナシマに現れた事と関係を持っているようにも聞こえる。 これは渡すべきじゃない。 蓮華:「あんたたちには絶対に渡さないんだから!」 涼治:「悪いが、お引取りを願う。」 涼治が手をかざすと、海が凍り始め、メカも凍り始めていた。 冷気が放たれたのだ。 エイジ:「何!それならこれはどうだ!」 メカクラブの口が空き、出てきたのはたくさんのシャボン玉だった。 涼治:「蓮華と美香は下がっていろよ。ここは俺が何とかするからな。冷気、放出だ!」 涼治はそのシャボン玉も凍らせようとした。 しかし、シャボン玉は凍らずに涼治の近くで大爆発を起こしていた。 涼治は爆発に巻き込まれていた。 蓮華:「涼治!」 あたしたちには爆風で何も見えない。 蓮華:「リーフィー、吹き飛ばしで煙を吹き飛ばすのよ!」 リーフィーの吹き飛ばしが煙を飛ばした。 すると、メカクラブの片方のはさみには涼治が捕らえられていた。 怪我を負ってないところを見ると、能力で自己防衛したようだけど、人質に取られてしまった。 しかも、爆発のショックで気を失っているらしい。 エイジ:「草使いのお前の恋人は人質だ。返してほしければ、そのポケモンをよこすんだな。」 マユミ:「そうよ。返さないんだったらあたしがこの坊やを貰っちゃうからね。」 エイジはともかく、マユミの言葉は本音に聞こえた。 蓮華:「そんな…」 マユミ:「さあ、どうする?」 エイジ:「計算外の事故だったが、今までのデータを残しておいてよかった。このデータからいけば、間違いなく俺たちの勝ちだな。」 蓮華:「分かったわよ。」 あたしは二人を抱え、クラブに近づいた。 メカクラブも調子に乗って砂浜に上がってきていた。 ポチエナ:「グルル…」 レディバ:「キュ〜」 2匹はあたしの顔を心配そうに見上げていた。 そしてあたしはメカの前に立った。 すると、マユミとエイジがメカから出てきた。 マユミ:「正直なところは変わらないようだね。」 エイジ:「さあ、早く渡せ。」 蓮華:「分かったわ。」 あたしは二人を高く上に投げた。 蓮華:「ポチエナ、スペース団に体当たりよ!レディバは涼治を助けて!」 無防備に出てきた彼らだったので、あたしは容赦なく不意打ちに出た。 ポチエナはあたしが上に向かって投げた時にすぐ気づいたらしく、そのままマユミとエイジを体当たりでなぎ払った。 マユミ:「きゃぁ〜!」 エイジ:「何だと!?」 レディバは一瞬戸惑ったが、飛んできたリーフィーと一緒に涼治を助けてくれた。 蓮華:「涼治!大丈夫?」 涼治:「…ん、…あぁ、何とかな。このお礼はしてやるぜ。行け、ゼニガメ!」 涼治はゼニガメを出し、ポチエナに続いて体当たりを食らわしていた。 エイジ:「くそっ、それならこいつだ!エレブー、そいつらをなぎ払え!」 マユミ:「行くのよ、シザリガー!バブル光線よ!」 彼らはポチエナとゼニガメの体当たり攻撃を受け続けていたが、エレブーとシザリガーの攻撃でなぎ払い、戦闘態勢に入っていた。 エイジ:「お前たち、よくも俺たちを愚弄してくれたな。お前たちのデータがここにある以上、俺たちは負けないぞ。」 マユミ:「よくもあたしの顔に泥を塗ってくれたわね!許さないから!」 エレブーとシザリガーは攻撃する姿勢でいた。 蓮華:「ポチエナ、レディバ、リーフィー、ソルル、キレイハナ、行くよ。それにダネッチも出てきて!」 美香:「あたしも!ヒトカゲ、出てきて!」 エイジ:「ふん、所詮な非力なポケモンばかりだ。エレブー、電撃波で蹴散らせ!」 マユミ:「シザリガー、水の波動よ!」 電撃波と水の波動が融合するように向かってきた。 蓮華:「ダネッチ、種マシンガン!リーフィー、サイケ光線よ!」 涼治:「ゼニガメ、泡攻撃だ!」 美香:「ヒトカゲ、火の粉よ!」 こっちは例え非力でもあきらめない。 威力は弱いけど、4つの攻撃で何とか彼らの攻撃を相殺した。 が。 マユミ:「だったらこれはどうなの?ウィンディ、出てくるのよ!」 エイジ:「行け、ネンドール!」 彼らは執拗にポケモンで襲い掛かってきた。 マユミのポケモンは水・悪タイプのシザリガーと炎タイプのウィンディ、エイジのポケモンは電気タイプのエレブーと、 地面・エスパータイプのネンドールだ。 涼治:「蓮華、美香、ここは二手に分かれて攻撃だ。集中すると攻撃を一箇所に受ける。」 美香:「分かったわ。蓮華、ポケモンの持ち数が少ないあたしたちはマユミを攻撃するわ。」 蓮華:「ええ、あたしはエイジに攻撃するから。」 あたしたちはスペース団が再び攻撃した時に、二手に分かれた。 マユミ:「何!逃げるな、待て!」 エイジ:「あ、おい、マユミ!」 美香のあかんべ顔を見て、マユミは美香と涼治を追いかけていった。 蓮華:「あなたの相手はあたしよ。」 キレイハナ:「もう負けないんだから。」 エイジ:「ふっ、そういうことか。二手に分かれて攻撃するようだが、あいつも俺もポケモンは5体いる。 お前たちが勝てるとは思えないな。」 蓮華:「そんなこと、やってみないと分からないわ。」 エイジ:「そうか。ならば攻撃するしかなさそうだな。ネンドール、破壊光線だ。エレブーは10万ボルト!」 エイジは本気を出したのか、あたしたちに攻撃を仕掛けてきた。 マユミ:「うふふふ、あたしから逃げようったって、そうはいかないよ。」 俺たちはさっきいた場所から遠くまでマユミを誘い出していた。 しかし、マユミのそばにはウィンディ、キュウコン、シザリガー、ナッシー、ゴルダックが控え、俺たちを狙っていた。 しかも、俺たちは行く手を絶壁に遮られ、逃げ道を失っていた。 マユミ:「あたしとエイジを引き離したとしても、あんたたちにあたしは負けないよ。お前たち、あいつらに一斉攻撃だ!」 マユミは問答無用で俺たちに攻撃を放ってきた。 美香:「キルリア、神秘の守りよ!」 咄嗟に美香がキルリアを出し、その隙に俺たちはポケモンを全部出した。 全部といっても数少ないけど。 美香:「キルリアの神秘の守りがそろそろ限界よ。」 涼治:「分かった。あいつらの攻撃まで持てば、一瞬でも隙が出来れば攻撃可能だ。」 だが、それは不可能に近かった。 ここは攻撃しかない。 涼治:「行くぞ。」 美香:「分かった。」 まず俺がキルリアの背後から飛び出した。 彼らの攻撃はキルリアの神秘の守りに向いているため、俺にすぐ攻撃を仕掛けようとしたが、そのためには一度攻撃をやめざるを得なかった。 美香:「今ね、キルリアは戻って!エイパム、スピードスターよ!ヒトカゲは火の粉、マリルリは水鉄砲よ!」 進化後のポケモンに対しては攻撃が弱い。 しかし、ここはけん制弾だった。 攻撃を受け、ウィンディとゴルダックが美香に向かったのだ。 マユミ:「こらっ!あたしのいう事を聞け!」 しかし、ウィンディとゴルダックは命令を聞かず、怒りで美香に向かっている。 どうやらマユミには5匹のポケモンを一気に使う事ができないらしい。 涼治:「どうやら戦線は乱れたようだな。」 マユミ:「ふん、もういい!キュウコン、炎の渦であの少年を捕らえなさい!あたしがかわいがってやるんだからね。」 マユミは美香を追うのをやめて、俺に攻撃をしてきた。 涼治:「ゼニガメ、高速スピンで炎の渦を弾け!ライボルトはシザリガーを、ガラガラはナッシーを攻撃するんだ! そしてゼニガメ、キュウコンに水鉄砲だ!」 炎の渦のような相手の動きを封じる技を打ち破る事ができるのが「高速スピン」だ。 ゼニガメの高速スピンは弱いものの、炎の渦を弾くくらいならできるようだった。 これがハガネールのようなポケモンの巻きつく攻撃だったらまだ無理だっただろう。 ライボルトとガラガラに行く手を遮られ、ナッシーとシザリガーは俺たちへの攻撃ができなくなっていた。 その隙を突いて、ゼニガメの水鉄砲はキュウコンにテクニカルヒットを与えていた。 マユミ:「キュウコンが!?…ならばシザリガー、ライボルトにクラブハンマーよ!ナッシーはガラガラに卵爆弾!」 シザリガーが右手を振り回し、ナッシーは頭から丸いものを一気に放出した。 涼治:「ライボルト、そのままスパークして相手の攻撃を押し返すんだ!ガラガラは骨こん棒で卵爆弾を弾き返せ!」 シザリガーの体は特性のシェルアーマーによって急所を受けない頑丈な体になっている。 しかしクラブハンマーの攻撃を押し返しながらのスパーク攻撃には全く耐性がない。しかも相手は電気タイプであり、 ライボルトの特性は静電気だった。 そのため、シザリガーはまともに電撃を受け、麻痺しながら倒れた。 ガラガラも卵爆弾を軽く打ち返し、ナッシーは自分の技で倒されていた。 マユミ:「な、何ですって!?」 涼治:「残念だったな。俺のポケモンは数が少なくても優秀な奴らばかりなのさ。」 涼治君が指示してくれた方法のおかげで、あたしはポケモンを2体、マユミから引き離せていた。 相手はウィンディとゴルダック。 明らかにあたしには不利な相手だけど、ここは倒してみせる! 美香:「ドンファン、ウィンディに転がる攻撃よ!エイパムは目覚めるパワー、マリルリは冷凍ビームでゴルダックを攻撃して!」 ウィンディの神速にドンファンは対抗してくれていた。 そのドンファンに水鉄砲を使おうとするゴルダックには残りの3匹の攻撃を与えている。 でも、ゴルダックは頭がいいため、そんなあたしの作戦にはすぐ感づいたようだ。 高速移動であたしたちを翻弄し、クロスチョップでエイパムを地面に叩き落してしまった。 美香:「エイパム戻って!」 これであたしのポケモンは二人倒されてしまった。 元々コンテストポケモンだから、本格的なバトルにはかなり弱いのがあたしだ。 まぁ、現実世界では強い部類に入るらしいけど、それでも蓮華たち、仲間内では弱い。 だけど、ここは何とかするしかない。 ドンファンは転がる攻撃で神速に対抗し続けているけど、いつまで持つか分からない。 美香:「ここはマリルリ、ゴルダックに凍える風よ!」 ゴルダックの素早さを何とかするために、マリルリは凍える風を吹いた。 ゴルダックは風に包まれていく。 しかし、スピードはあまり衰えていなかった。 やっぱり素早さが高いようだ。 美香:「マリルリ、ゴルダックの動きを封じるしかないよ。ここは捨て身タックル!」 マリルリの捨て身タックルに、ゴルダックはメガトンパンチで対抗していた。 美香:「今よ、ヒトカゲ、ゴルダックを切り裂いて!」 残っているメンバーの中で一番非力なヒトカゲを戦闘で先に使えば、すぐに倒されてしまうのは明らかだった。 だからここは最後まで攻撃に出さなかったのだ。 背後からの攻撃にゴルダックは顔をしかめ、その隙にマリルリの冷凍ビームがゴルダックを襲った。 攻撃が当たったのは、ゴルダックの額の部分。 そこは輝くと神通力を放つ事ができ、彼の破壊光線や冷凍ビームもそこから出ていたのだ。 額を凍らされた事で力が弱まったらしい。 そこをドンファンが転がる攻撃で突っ込んできた。 ウィンディはドンファンを追いかけてきたところをマリルリの水鉄砲で倒されていた。 ウィンディとゴルダックはこうやって何とか倒した。 そしてあたしは、ドンファンの突進で彼らをマユミに向かって投げ返した。 そんな時だった。 ヒトカゲ:「…カゲッ!」 美香:「えっ?ヒトカゲ?」 ヒトカゲが光り始めていた。 ヒュ〜〜〜〜…ドシン! いきなりマユミと俺の間にはウィンディとゴルダックが降ってきた。 どうやら美香が勝ったらしい。 マユミ:「ウィンディとゴルダックが負けた、ですって!?」 涼治:「これ以上の攻撃はやめたほうがいいぞ。観念したらどうだ?」 マユミ:「くそぉ…覚えておきなさい!」 マユミは煙玉で姿を消した。 涼治:「逃げたか。…仕方ないな。ライボルト、ガラガラ、戻れ。ゼニガメ、お前も…」 ゼニガメ:「ゼニガ〜!」 ゼニガメが光り始めていた。 エイジ:「お前だけで俺に勝負を挑むとはいい度胸だな。お前のデータは十分にあるんだぞ。行け、俺のポケモンたち!」 あたしに向かってエイジが出してきたのはハガネール、メタグロス、サイドンだった。 そこにネンドールとエレブーが加わる。 どうやら、エイジのポケモンは防御に優れているようだった。 エイジ:「これで勝てると思うのか?」 その時だった。 海からハイドロポンプ、水の波動、バブル光線が飛んできたのは。 エイジ:「何!?」 攻撃を受けたネンドールとサイドンは、苦手な水攻撃ですぐに倒れていた。 攻撃を放ったのは、コイッチたちだった。 キレイハナ:「コイッチにメノノにアクア!」 蓮華:「みんな!ありがとう!」 エイジ:「くそ、伏兵がいたようだな。エレブー、海に雷攻撃だ!メタグロスとハガネールはアイアンテールとコメットパンチで そこの小娘たちに攻撃しろ!」 エイジはすぐに動いていた。 蓮華:「ソルル、ポチエナ、メタグロスにシャドーボールよ!ダネッチとキレイハナは蔓の鞭でハガネールを封じて! リーフィーは風起こし、レディバはスピードスターで援護して!」 あたしはアクアとコイッチが海に逃げ、メノノが飛び出して雷を受け続けているのを見て、すぐに動く事にした。 だってメノノは電気タイプの攻撃に強い耐性を持っていたのだから。 メタグロスはシャドーボールを受けてコメットパンチを命中できずにいた。 またキレイハナたちの蔓の鞭も的確にハガネールを封じている。 そして、リーフィーとレディバの攻撃は鋼タイプにはほとんど効果がないものの、微々たる攻撃を与えれていた。 しかし。 エイジ:「くそっ、ハガネール、砂嵐だ!メタグロスはサイコキネシスでそいつらを払いのけろ! エレブー、お前もこっちに加勢するんだ!」 エイジの判断力によって、それらも長く続かなかった。 蓮華:「砂嵐なら、こっちは…。そうだ、コイッチ、雨乞いよ!キレイハナとダネッチはエレブーに種マシンガンと葉っぱカッター、 ソルルとポチエナも援護してエレブーを倒して!」 だから、砂嵐の状態を消すために雨乞いを起こし、雷コンボを封じるためにエレブーに一斉攻撃をした。 エイジ:「何!?ハガネール、メタグロス、エレブーを助けろ!」 しかし、エレブーには攻撃が与えられた。 そして、ハガネールとメタグロスにはコイッチとアクアのハイドロポンプが命中するのだった。 エイジ:「何!?全滅だと!?」 蓮華:「これ以上いても意味ないわよ。立ち去ったら?」 エイジ:「それはできない!俺たちはガントス様の命を受けてここに来た。果たさぬまで戻らない!」 エイジは煙玉で身を隠し、メカクラブに乗って襲い掛かってきていた。 マユミ:「あんたたちだけならこのメカクラブで倒せるわよ!覚悟しなさい!」 いつの間にか、マユミも戻ってきていたようだ。 エイジ:「いくぞ、メカクラブのシャボン玉爆弾だ!」 さっき涼治が倒されかけた攻撃が放たれた。 蓮華:「もうさっきと同じ手は食わないわ。行くのよ、デン!リュウ!」 あたしは雨乞いが続く間にデンリュウのデンとハクリュウのリュウを出した。 エイジ:「ポケモンの攻撃ではそのシャボン玉は割れないぞ。これ以上の攻撃を受けたくなければ降参するべきだな。」 蓮華:「そんなことはしない!リュウ、竜巻を起こしてシャボン玉をまとめるのよ!」 リュウの竜巻がシャボン玉を吸い上げていく。 そして、その竜巻はメカクラブに向かっていった。 マユミ:「な、何よ、これ!」 エイジ:「竜巻の威力が前のデータと違うだと!?」 マユミ:「イヤ〜ン、目が回るぅ…」 メカクラブも竜巻に吸い上げられた。 蓮華:「今よ、デン、特大の雷を落とすのよ!」 デンの雷が竜巻の中心に向かって落ちた。 雷はメカクラブに当たり、メカクラブの小さな部品の爆発が、シャボン玉爆弾を誘爆させ続け、竜巻が大きく大爆発した。 マユミ:「あ〜ん、せっかくの仕事だったのにぃ!」 エイジ:「データが違うとは…あいつら、侮れないな…」 マユミ&エイジ:「最悪な感じ〜!!」 彼らは飛んでいった。 そして同時に、雨乞いが晴れ、ダネッチが光りだした。 キレイハナ:「これは…」 蓮華:「ダネッチの進化?」 ダネッチは光と共にフシギダネからフシギソウに進化していた。 美香:「蓮華!」 涼治:「大丈夫だったか?」 そこに美香と涼治も戻ってきた。 蓮華:「何とかね。ダネッチも進化したし。」 美香:「あたしのヒトカゲもリザードに進化したよ。」 涼治:「俺のゼニガメもカメールに進化した。しかし…あいつらも強くなってるな。」 蓮華:「うん。」 あたしたちは気楽に戦えるわけじゃないと感じたのだった。 美香:「あたし、もう少しポケモンをゲットしてみるね。それで少しはバトルもできるようになる。 じゃないと、足を引っ張りそうだもの。」 涼治:「俺もそうするかな。マユミは俺たち二人で何とかなったけど、蓮華はこんなにポケモンの力を借りた。 それだけあいつらが強くなってるってことだもんな。」 今までのあたしだったらポケモンはあまり出さなくてもよかったのだ。 彼らが強くなってる事は、ホントに頑張らなきゃいけない。 キレイハナ:「ところで、ポチエナとレディバはどうするの?」 蓮華:「決めてるわよ。行け、モンスターボール!」 あたしはポチエナ(命名ポチ)とレディバ(命名テンテン)をゲットした。 ニシキ:「スペース団が…ですか。」 それから2時間くらい経ってから、ニシキはやってきた。 蓮華:「これ、何か分かりますか?」 あたしはあのガラスのカケラをニシキに見せた。 ニシキ:「これは…」 美香:「何か知ってるんですか?」 ニシキ:「ええ。もしかしたらスペース団は伝説の島に行こうとしているのかもしれません。」 涼治:「伝説の島、ですか?」 ニシキ:「ええ。でもまだはっきりしてませんから、1の島でもう少し調査をしてみます。 分かった事があれば、何とか皆さんに連絡しますから。」 ニシキの言った伝説の島。 そして透き通るような青色っぽい色のガラスのカケラ。 これらが何を示すのか、あたしたちはまだ分からない。   『おまけ』 哲也:「ナナシマに行っただって?」 久美:「らしいよ。蓮華と美香ちゃんと涼治君だけみたい。」 哲也:「…涼治だって?あいつ、確か試合前だったはずだが…」 久美:「だからペナルティを受ける約束したって。」 哲也:「ペナルティ、か…。あいつらの考えるペナルティじゃ緩いからな。俺と翼でもう少し増やしてやるかな。」 久美:「…(全く蓮華ちゃんが関係してて、しかも涼治君の試合の相手が前に負けた学校だからって、私恨むき出しじゃないの)」 久美は哲也のこの行動にあきれ返ったのだった。 久美:「それにしても、ナナシマかぁ…。あたしたちも予定が空いたら駆けつけてあげないといけないかな?」