ヒカリ:「そういうわけだから、お願いね。」 1の島でナナと別れてからすぐ、あたしは自分の住む4の島に戻ってきていた。 4の島の親友のおかげでスペース団からこの島は守られているらしい。 でも、ほかの町はどうだか分からない。 だから2の島にいるあたしの相棒に、昔スペース団時代に作ったコンビ同志で可能な通信機を使い、連絡を試みたけれど…。 ??:「分かってるって。ゲーセン帰りにポケモンセンターに寄ればいいんだろ?」 あたしの相棒である彼のゲーム好きは相変わらずで、あたしは頭を抱える事になった。 ヒカリ:「ねえ、??、分かってるの?ナナシマ列島の危機を。」 ??:「分かってるって。僕を誰だと思ってるの?これでも元スペース団だよ。」 だから心配なんじゃない。 つい口からその言葉が出そうになった。 スペース団を脱退し、ナナシマに来てから2年が経つけど、あたしがスペース団に入る前のあたしに戻れたのと逆に、 変わっていないように見える彼に、蓮華ちゃんたちを任せるべきなのだろうか? ??:「なあ、僕のこと、信用してないのか?」 ヒカリ:「そんなことないって。信用してなかったら連絡してないもん。あたしのこと…そんな風に思ってたの?」 わざと泣きそうな声を出してみた。 今のあたしは昔みたいな泣き虫じゃないけど。 すると。 ??:「ちょっ!!!ヒカリ!落ち着いて!!どうどうどうどう!!!」 ヒカリ:「あっ、引っかかった。」 ??:「おい!ヒカリ!」 ヒカリ:「ごめん、ごめん。いつもの??だね。」 ゲームが好きでめんどくさい事が嫌いで、大雑把で、でも、強くてあたしの言う事はしっかり聞いてくれている。 そして、泣き虫だったあたしのストッパー。 変わってないけど、それが??らしくてあたしは嬉しかった。 ヒカリ:「あたしは、??だから連絡したの。信頼してるよ。だからよろしくね。」 ??:「分かったよ。…ヒカリ、この事件が終わったら、久々に会わないか?」 ヒカリ:「考えておくよ。」 あたしは通信を切った。これで大丈夫だろう。 ナナシマ編 3.カケラの秘密!? ユウ参上! ニシキが用意してくれた自動操縦機付きの船のおかげで、あたしたちは今、2の島に向かっていた。 2の島には何が待ち受けているか分からないけど、あたしたちは前よりも強くなりつつある下っ端軍団に負けないように、 バトルして、ナナシマを平和にしなきゃいけない。 と、2の島が見えてきた。 涼治:「あれが2の島か。」 美香:「あそこに行くと、いい事があるみたいなことをニシキは言ってたわよね。」 蓮華:「うん…。でも、何だろうね?」 2の島は1の島と違い、平坦な感じの島だった。 それにポケモンセンターも港のすぐそばにあった。 でも、やっぱり人数は少ない。 ジョーイさんが言うには、厳戒態勢が敷かれ、用がない場合はあまり外に出ないように警報が出されているらしい。 蓮華:「それで、あたしたち、これからどうする?」 美香:「この島はスペース団が来た形跡がないし…」 涼治:「もう少し外で色々と確かめてみないか?それで何もない様だったらあの船をもう少し借りれば…あれっ?」 蓮華:「涼治?どうかしたの?」 涼治が窓の外を見て固まっていた。 涼治:「船が…ない。」 美香:「えぇ!」 蓮華:「ねえ、あの遠くに見えるのってさ、あたしたちが乗ってた船じゃない?」 既に水平線に近い場所にそれが見えていた。 確か、…1の島でニシキは2の島までは船を出すって言っていた。 ということは、はじめから1の島に船が戻るようにセットされていたのかもしれない。 涼治:「船がないか。まあ、俺にはカメールの波乗りがあるし、蓮華も美香も波乗りが使えるポケモンがいるからいいな。」 美香:「うん。でも、今後のことを考えると厄介だよ。」 そんな時だった。 突然街の人たちが外に集まり始めたのは。 蓮華:「な、何ごと?」 美香:「スペース団の襲撃じゃないし…」 あたしたちはこの出来事にただ唖然としていた。 でも、ジョーイさんが教えてくれて理解できた。 ジョーイ:「この街にはお店がない代わりに、毎週2回、フレンドリィショップ本社の方が、 普通にお店で売っているような品物と一緒に特別な道具を売りに来ることがあって、それが今日なのよ。 それに他の店よりも少し安く売っているからお得だと思うわよ。あなたたちも この島にせっかく来たんだから行ってみたら?」 あたしは思った。 この島はホントにまだまだ平和だと。 スペース団のことで厳戒態勢が敷かれ、警報が出ているというのにこんなにも人が外に出る市場があるくらいだから。 そんなわけで、あたしたちが外に出ると、たくさんの品物がシートの上においてあり、一人の店員さんが素早く動いて それらを売りさばいていた。あたしたちも品物を見てみたが、何とタイマーボールやリピートボール、モーモーミルクなど、 ホントに普通にショップで見かけないような品物が置いてあったのだ。 中にはエネコの尻尾や水の石、ピッピ人形などもあり、あたしはエネコの尻尾を一応買っておいた。 そんな時、あたしはいきなりショルダーを引っ張られた。 蓮華:「きゃっ!」 あたしは転びかけたところを何とか保った。 そしてショルダーの方を見ると、そこには一人のおばあさんがいて、おばあさんがショルダーの中を物色していたのだ。 蓮華:「あの、あたしのポケモンがどうかしたんですか?」 妙にある一つのボールを真剣に見ているため、あたしも美香たちも怒れず、理由を聞こうとした。 でも、おばあさんはダネッチのボールを見たまま動かない。 美香:「おばあさん、どうしたのよ。」 涼治:「どうかしたんですか?」 美香と涼治も聞くが、逆に気づけば腰につけていたボールを掠め取られていた。 それはリザードとカメールのボールだった。 おばあさん:「お主ら、今旅の者はこの島には来ないはずじゃが、なぜこの島に来た。」 蓮華:「あたしたちはポケモンマスターのナナに頼まれてこのナナシマ列島で何かを企んでいるスペース団と戦うために来たの。 あたしのダネッチを返してくれない?」 あたしはおばあさんが妙に真剣な表情をしている上、ファーストポケモンの3匹に対してのみ、意識が向いていたので 正直に話した。 すると。 おばあさん:「お主らがナナの言っていた者じゃな。」 美香:「おばあさん、ナナを知ってるの?」 おばあさん:「ああ、あの娘はわしの知り合いじゃ。ナナは後々にこの島に来る者に技を伝授するように頼んでいた。 それがお前らじゃろうな。」 蓮華:「技?」 ニシキが言うには、ナナと美咲は先に7の島に行き、スペース団を偵察し、監視すると言っていたらしい。 でもその前に色々な知り合いにあたるとも聞いていた。 その知り合いの一人がこのおばあさんのようだけど、おばあさんの言っている技というのはどういうものなのだろう…。 おばあさん:「そうじゃ。わしはこの島に住むキワという者じゃ。カントウで配られるファーストポケモンが最終進化を果たし、 トレーナーに十分懐いている時、わしは彼らにそれぞれの属性の最大奥義を伝授する役割を持っている。 お主らの持つフシギソウ、カメール、リザードが最終進化を果たした時、わしはお主らのポケモンに最大奥義を伝授するぞよ。」 そう言うと、おばあさんは彼女の家があるらしい方向に歩いていった。 美香:「何かさ、ナナに振り回されているようにも感じるんだけど。」 蓮華:「あたしも。でも、最大奥義って何だろうね?」 涼治:「さっきジョーイさんに聞いてきた。炎、水、草の属性の技で威力は破壊光線並みの強力なものらしいぞ。 ブラストバーン、ハイドロカノン、ハードプラントと言うらしい。」 蓮華:「ふぅ〜ん。」 そんな時、ふとゴミ箱の中に光る物を見かけた。 あたしは妙に気になっていってみると、それはあのガラスのカケラだった。 蓮華:「これ…」 美香:「あのカケラだね。」 涼治:「つなげてみようぜ。」 あたしたちは3つのカケラをつなげてみた。 でも、まだまだ足りないらしく、何の形にもなっていない。 ただ、この場所にこんな風に捨ててあったという事は、これは全部集めさせないためのように見える。 あたしは思ったことを二人に話してみた。 涼治:「そうだな。ゴミ箱に捨ててしまえば、後々に回収された時、それの居場所なんて見当もつかないもんな。」 美香:「でも、それだけバラバラにしなきゃいけないこれって、一体何なのかしら?」 涼治:「ニシキが詳しい事が分かれば知らせるって言ってたけど、数時間前の話だしな。もう外も暗いし、今日はここまでか。」 あたしたちは適当に話を切り上げて、ポケモンセンターに泊まった。 その夜。 2の島に何者かが上陸したのだが、島の裏側から侵入したために、誰一人としてそれに気づいていなかった。 そして朝。 涼治:「これ以上、ここにいても仕方ないよな。」 美香:「そうよね、波乗りで3の島にでも行きましょう。」 あたしたちの会話は今後、どうするかだった。 二人はすぐにこの島を出ようと考えてるみたいだったけど、あたしはあのおばあさんが、キワさんが何かを知っているような気がしたから、 キワさんを訪ねてみようと考えていた。 涼治:「確かにそうだな。ナナシマに前から住んでるようだったし。」 美香:「行ってみて無駄だったら元の子もないけどね。でも、情報収集は大事だもんね。」 蓮華:「でしょ?だから行ってみよ!」 あたしたちはジョーイさんにキワさんの家を聞いた。 すると、どうやら島の反対側にあるキワの岬に一人で住んでいるらしい。 またしても上り坂の上、何段あるんだと考えるくらいの階段だったので、あたしたちは途中で行くのをやめようかと考えるほどだった。 涼治:「最大奥義を授かるには、これくらいは普通って事だろうな。」 美香:「そうかもね。」 蓮華:「でも、疲れるよね。」 出発してから早3時間。 しかも階段を上り始めて1時間。 キワの岬は2の島の高い山の山頂付近にあり、灯台もあるらしい。 でも、もう少し、もう少しって思ってるのに、歩いても歩いても、全くたどり着ける気がしなかった。 蓮華:「あと数段って気がするのに、どうしてこんなに歩いても辿りつけないのかなぁ?」 美香:「さぁ?あたしも分からないよ。」 こうなると自然にあたしたちの中で一番頭がいい涼治の方に視線が向く。 涼治:「う〜ん、…待てよ。」 涼治は突然手を前にかざし、冷風を放った。 すると。 美香:「えっ?目の前に壁があるの?」 あたしたちの目の前には壁のようなものが現れ、それを通り抜けた美香は20段くらい下の位置に移動していた。 美香:「えっ?あ、あれっ?」 涼治:「やっぱりな。」 蓮華:「…?ねえ、どういうことなの?」 あたしはどういうことなのか、全く分からない。 涼治:「多分、俺たちは罠にはまったのさ。誰かが無限ループの空間を階段に作った。そこを通ると、どのくらい歩いても 頂上にはたどり着けない。しかも、俺たちが気づかないようにもしてあるんだ。時間が経った時に気づいても遅いということになる。」 蓮華:「それって、あたしたちを頂上に向かわせないために行ってるって事?」 涼治:「多分な。しかし、その罠を破壊できるぞ。」 美香:「どうやって?」 涼治:「俺の能力がこの壁に触れたとき、壁は霜が出た。しかし、美香が壁に触れると通り抜けていった。 ということは、この壁は特殊な効果によって作られていて、特殊な効果なら破壊できるって事さ。」 美香:「なるほどね。」 あたしたちは涼治の指示で、一斉に攻撃を放った。 あたしのソーラー弾、美香の炎の矢、涼治の冷風が一気に壁にぶつかっていくと、壁にひびが入り始めた。 涼治:「思ったとおりだな。このまま行くぞ。」 あたしたちは続けて何発か放ち続けた。 すると、何かの鳴き声と共に壁が崩れ落ちた。 壁が消えた直後に現れたのは、戦闘不能状態のバリヤードとケーシィだった。 涼治:「バリヤード、ケーシィ、共にエスパータイプのポケモン。空間を歪め、俺たちを無限ループに閉じ込めていたのは こいつらだったのか。しかし、一体誰が何でこんなことを…。」 涼治がそう言った直後だった。 あまり聞きたくない、聞き覚えのある曲が流れ始めたのは。 涼治:「…こいつらの仕業だったのか。」 美香:「最悪かも。」 蓮華:「もしかして、キワさんの身にも何かあったのかもしれないよ。」 そして彼らは現れた。…ただ、あのコンビにオマケがついていたんだけどね。 カエデ:「一体誰が何でこんな事を、と聞かれたら…。」 コタロウ:「正直言って答えてやろう…。」 カエデ:「星の破壊を防ぐため…。」 コタロウ:「星の平和を守るため…。」 カエデ:「愛と希望の悪を貫く…。」 コタロウ:「クール&チャーミングな敵役…。」 カエデ:「カエデ!」 コタロウ:「コタロウ!」 カエデ:「太陽系を光速に飛ぶスペース団の二人には…。」 コタロウ:「シャイニングゴールド、金色に輝く明日が待ってるぜ!」 カエデ:「なぁ〜んちゃって☆」 ヒータス:「そして、華麗なる炎の芸術家、ヒータス!ここにファイアーイリュージョン、燃える熱き輝きを見せてやる!」 前に氷雨さんが教えてくれた、強力な炎のポケモン使いと思われる団員が、カエデ&コタロウコンビと一緒に現れていた。 カエデ:「うわぁ、久しぶりな人たちで…うぅ…感動して思わず涙が止まらない…。」 コタロウ:「おい、カエデ、泣くな!」 ヒータス:「全くあなたたち二人には困ったものですね。…そこの3人にお伝えします。 これ以上深入りをすれば、そこの小屋にいる婆さんが燃えるよ。さっさと帰ったらどうだ?」 蓮華:「燃えるって、そんな事は許さない!」 涼治:「同感だな。お前らの目的は何だ!」 ヒータス:「目的ですか?それを言うわけにはいきませんよ、ドルク君。」 ドルクというのは涼治がスペース団に操られていた時に付けられていた名前だ。 涼治:「何だと!それに俺はドルクじゃない!」 ヒータス:「おやおや、お忘れのようですね。君はドルクという名前のスペース団員じゃないですか。」 涼治:「違う!それは操られたからだ。お前らに操られて無理やりなっていただけだ!お前の言葉には惑わされないぞ!」 ヒータス:「ふっ、冷風を操る者が熱くなった時、弱さが滲み出ているようですよ。負けを認めた方がよろしいでしょう。」 あたしや美香が見ても、今の涼治は手の上を転がされているように見えた。 そのうちに、カエデとコタロウが会話に入ってきていた。 カエデ:「あたしたちを忘れないでください!あなたたちに言います。お帰りください!」 コタロウ:「帰らないと言うなら、遠慮なく倒させてもらうぜ!」 ヒータス:「というより、降参しない限りは逃れられませんよ。後ろを見たらどうですか?」 はっとして、あたしたちは振り向いた。 すると、マグカルゴとマグマッグに背後を塞がれていた事が分かった。 カエデ:「前門はチルタリスとバクフーン。」 コタロウ:「後門はマグマッグとマグカルゴだ。どうだ?」 あたしたちは動くに動けなかった。 その数時間前のことだった。 ??:「あ〜、もうちょっとで勝てたのにぃ…」 ゲームセンターで少年が一人、ゲーム機に熱中していた。 彼はほぼ毎日何があってもゲーセンに来ている。 昨日も来たのだが、電話で頼まれた用件をすっかり忘れ、ゲームに熱中して帰っていったのだった。 そしてそこに電話がかかってきた。 それは彼の相棒的存在の少女からだった。 ヒカリ:「えぇ〜!?会ってないの?」 ??:「悪い悪い、ちょっと用事があってさ。」 ヒカリ:「用事って、どうせゲームじゃない。」 ??:「ゴメンって!今から会いに行くよ。」 少年は早々に電話を切ると、ポケモンセンターに出かけたが、会いに行かなきゃいけなかった人物はいなかった。 ??:「あれっ?おかしいなぁ…、ここにいるはずなのに…。」 ジョーイ:「あらっ?ニイザキ君じゃないの。どうかしたの?」 ??:「あ、ジョーイさん。あの、ここにカントウから来た3人くらいの男女が来ませんでした?」 ジョーイ:「ああ、あの子達ならキワさんを訪ねていったわよ。でもおかしいわね。キワさん、普段なら今くらいの時間には ここのランチを食べに来るはずだし、あの子達も全く帰ってこないのよ。30分くらいで向こうに着けるはずだし、 すぐに帰ってくると思ったのに、もう既に3時間も経つのよ。」 ニイザキ少年は、それを聞いてポケモンセンターを飛び出していた。 ??:「うかつだったな。あいつら、会っちまったのか?それとも、罠にはまりやがったのか?」 少年はキワの岬に続く道を走っていった。 ヒータス:「さあ、どうするんだ?」 あたしたちは全く動くに動けなかった。 カエデ:「人質がある以上、動けないもんね。」 コタロウ:「弱い奴だからしょうがないもんな。…ゲッ!! し、しまった…ついホントの事を…!!」 かなりムカつく。 コタロウのわざとらしさにはあたしも美香も涼治も切れかけていた。 そんな時でした。 キワ:「わしがどうしたのじゃ?」 キワさんが階段の下に現れたのでした。 ヒータス:「何!?」 カエデ:「えぇ!?」 コタロウ:「そんな…、柱にしっかり縛り付けたのに。こうなったらバクフーン、ブラストバーンだ!」 コタロウがバクフーンを出し、キワさんに放っていた。 しかし、キワさんの出したカメックスが逆にものすごい攻撃を放ち、その攻撃を打ち消し、バクフーンごと倒していた。 キワ:「そのようなブラストバーンでは修行が足りんぞ。わしのカメックスのハイドロカノンの威力はどうじゃ!」 あたしたちは最大奥義のすごさに驚いていた。 と、今度は上空から何かの攻撃が飛んできて、背後にいたマグカルゴとマグマッグを弾き飛ばしていた。 ヒータス:「あぁ!俺のマイプリティーとマイゴージャスが!?」 どういうネーミングだろうか…。 氷雨さんもあいつにはかなりムカついたし、嫌だったと聞いていたけど、確かにそうかもしれない。 と、空から何かが降りてくるのが見えた。 ??:「相変わらず変なネーミングだな、ヒータス。」 ヒータス:「誰だ!」 ??:「誰だ!と聞かれたら、適当に答えてやるよ!」 蓮華:「その口上…」 美香:「まさか!」 ??:「銀河の滅亡を守るプリティーボーイな敵役、ユウ、参上!」 降りてきたのは、ヒカリの相棒の元スペース団員、ユウだった。 ユウ:「3人とも悪かったなぁ、ヒカリに合流するように言われてたけどさ、ゲーセンで遊んでたら忘れちまったんだ。 …さてと、そこの弱い奴ら!僕の真っ向勝負を受けろ!」 ユウはフーディンを出して身構えていた。 美香:「あたしも行くよ!エイパム、出てきて!」 涼治:「蓮華はキワさんのところに行けよ。ここは俺たちに任せろ!カメール、任せたぞ!」 ユウが身構えてすぐ、美香と涼治もポケモンを出して身構えていた。 そしてあたしはキワさんのところに行った。 カエデ:「チルタリス、行くよ!子供だからって、エイパムだからって手加減はしないから!」 バトルが始まり、すぐに3つに分かれていた。 あたしの相手はカエデ。 ドラゴンタイプのチルタリスに、あたしはチルタリスと大きさが全く違う小柄なポケモンの、パートナー、エイパム。 カエデ:「チルタリス、龍の息吹で逃げ道を塞ぐのよ!そしてゴッドバードよ!」 チルタリスの龍の息吹はエイパムの周囲に連続で放たれ、エイパムの素早い動きを封じている。 そして、ゴッドバードが飛んできた。 でも、負けない。 美香:「エイパム、ゴッドバードを見切ってチルタリスに飛び乗るのよ!」 エイパムは見切る攻撃でゴッドバードを見切った。 見切る攻撃は逃げ道が少なくても見切れるから助かった。 そしてカエデの乗っているチルタリスに、エイパムは飛び乗っていた。 カエデ:「きゃあ!このぉ、チルタリス、振り落とすのよ!」 カエデは元気のカケラで復活させたケーシィのサイコキネシスで飛び降り、チルタリスにエイパムを振り落とさせようと していた。 カエデ:「ケーシィもスピードスターでエイパムを攻撃するのよ!」 エイパムはチルタリスに振り落とされないように必死で攻撃に移れず、しかもスピードスターの攻撃を受けてしまった。 美香:「あぁ!ずるい!」 カエデ:「ずるくないわ。手加減無しって言ったでしょ?」 手加減無しなら、ずるくてもいいのね。 そう、分かった。 美香:「エイパム、チルタリスの首に尻尾を巻きつけておくのよ!そして乱れ引っ掻きを続けていて!」 あたしはそう叫ぶと、炎の矢を具現化させた。 カエデ:「何をする気?サクラビス、水の波…」 美香:「手加減無しでいいなら、手加減無しで行くからね。必殺、飛翔の舞!」 あたしが上空に放った矢がUターンして、たくさんの矢羽に分裂して、チルタリス、サクラビス、ケーシィを攻撃した。 威力は一つ一つが乱れ突きと同じくらいの威力だけど、この攻撃は上空からだから、まともに命中させ、急所にも当てれた。 カエデ:「ポケモンが一気に倒されたの!?そんな!チルタリス、元気のカケラで…」 美香:「させないわよ!エイパム、尻尾でアイアンテール!」 エイパムは元気のカケラを大きく尻尾で地面にたたきつけた。 砕け散る元気のカケラ。 美香:「これで終わりよ。エイパム、目覚めるパワー!」 目覚めるパワーはカエデとポケモンたちを大きく吹っ飛ばしたのでした。 カエデ:「いや〜ん、やな感じですぅ!」 ユウ:「コタロウ、久しぶりだね。」 コタロウ:「ふん、裏切り者のユウか。あの婆さんを助けたのもお前だな。」 相変わらずだな、コタロウは。 かっこつけな性格は変わってないし、冷静っぽいようにも見えるし。 ユウ:「まあね、さてと、君のポケモンは3匹中、2匹とも倒れてるし、僕の勝ちは決まってるかな。」 ただ、冷静っぽいところは熱くなってて全然だけど。 コタロウ:「そんなことはない!行くぞ、サンドパン!」 コタロウはサンドパンを出してきた。 ユウ:「あのさ、ゲーセンに新しいゲーム機が入ったばかりなんだ。ヒカリには協力するように言われたけどね、 さっさと終わらせちゃいたいからさ、瞬殺と行こうかな。エレブー、行け!」 コタロウのポケモンが地面タイプなのに対し、俺が出したのは地面タイプに攻撃が与えられない電気タイプのエレブー。 ユウ:「フーディンやボーマンダをわざわざ出すまでもないんだよね。エレブー、やっちゃってよ。」 僕がエレブーを出した事で、コタロウは切れた。 どうやら自分を倒すには弱いポケモンを出しても十分だとか、相性が悪くても全然有利だとか考えられたから、と思ったに違いない。 確かにそのつもりで出したけどな。 コタロウ:「くそぉ!それなら遠慮なく行くぞ!サンドパン、地震だ!」 ユウ:「エレブー、尻尾でジャンプしろ!そして上空からスピードスターだ!」 サンドパンが地震を放つが、エレブーが尻尾アイアンテールを地面に叩きつけた勢いでジャンプしてかわす。 そしてスピードスターは地震を放った直後のサンドパンに全部命中した。 ユウ:「続いて連続パンチだ!」 コタロウ:「サンドパン、ブレイククローで受け止めろ!」 ユウ:「かかったな。」 コタロウ:「何だって?」 サンドパンはエレブーのパンチを受け、その場に倒れていた。 サンドパンの右半分は凍り、左半分は麻痺していたのだ。 ユウ:「エレブーは冷凍パンチと雷パンチを放ったのさ。」 コタロウ:「しかし、雷パンチは電気技だ。サンドパンのような地面タイプには効かないはずなのに…。」 ユウ:「ブレイククローを出した時、サンドパンの爪は尖っていた。それが避雷針になったのさ。しかも、冷凍パンチで体中が凍って いるからな、電気は地面タイプの体にも通りやすかったのさ。出て来いよ、ボーマンダ。」 種明かしもすんだからいいよな? コタロウ:「な、何をする気だ?」 何をって、当たり前だろ? ユウ:「ボーマンダ、破壊光線だ。」 コタロウは何も言えないまま星になった。 さて、向こう二人のバトルが終わったら、話をきりつけてゲーセンに行くかな。 ヒータス:「ドルク君、君の相手は僕が行こうか。コータス、オーバーヒートだ。」 涼治:「うるさい。カメール、殻に篭る攻撃だ。そして水鉄砲!」 コータスのオーバーヒートは強力だった。 カメールが防御から攻撃に移ることでも相殺がやっとだった。 でも、ここで負けるわけにもいかない。 涼治:「カメール、上空に水鉄砲だ!」 ヒータス:「あれっ?どこに放ったんだ?当たってないぞ。…そうか、試合をやめたんだね。 それならもう少し遠慮なくいくよ。ブーバー、あのカメールに火炎放…」 ヒータスはカメールに出した指示の理由に気づいていないようだった。 そのためにブーバーが出て攻撃をしようとしていた。 涼治:「待ちなよ。カメールの攻撃はまだ終わってない。」 ヒータス:「えっ?それは負け惜しみじゃないのか?」 涼治:「違うよ。カメール、今度は上空に凍える風だ!」 カメールの行動にヒータスはようやく気づいたようだった。 でも、すでに後の祭りだった。 上空に放たれた水鉄砲が凍える風で凍り、氷柱となってコータスとブーバーに向かって落ちてきていたのだ。 元々俺は、コータスの噴火口を塞ぐつもりだったが、俺たちとヒータスの間に氷の壁を作る事になったようだ。 ヒータスたちの周囲に氷柱が落ちて、氷柱の檻の様になったのだから。 ヒータス:「ふん、コータス、熱風だ!ブーバーも炎のパンチで溶かしてやれ!」 ヒータスはそれでも負けていないという自信があるようだった。 でも、それは違っていた。 氷柱を溶かすために攻撃を必死にしていたため、俺たちからの攻撃を避ける事はできなかったのだ。 涼治:「カメール、吹雪だ!」 氷柱の檻にいることで十分に冷却効果がある場所に、カメールの吹雪が放たれたため、ヒータスたちは氷の塊に変わっていた。 と、そこにユウと美香が戻ってきた。 美香:「涼治も終わったのね。」 涼治:「ああ、しかし、これ、どうしようか?」 ユウ:「僕に任せろよ。フーディン、えっと…そうだ、地平線の果てまで吹っ飛ばしてね。」 フーディンは巨大な氷の塊を綺麗な弧を描いて飛ばした。 ユウ:「さてと、お前たちに話す事があるんだ。」 涼治:「何だ?」 ユウ:「お前らが持ってるカケラの正体さ。この島の奴はみんな知ってるぜ。あの蓮華って奴もキワの婆さんから 聞いてるはずだ。」 美香:「どういうことなの?」 俺たちはユウから、蓮華がキワさんから聞いてるのと同じことを聞いた。 これはこんな伝説と関係するカケラだった。 「ナナシマには二つの伝説の島がある。それは海を統治する神と天を統治する神が舞い降りる島と、生命の使者が 降り立つ島。ただし、その島に行くには必要なものがある。神の島に行くには神秘を纏う織物を、そして使者の島に行くには 光を纏う神器を。 だが、その島に行くことは許されない。唯一行く事ができる者、それは悪意のカケラを持たぬ、この星の生き物に認められた 生き物のみ。そのものが以外が降り立った時、ナナシマは沈む。」 ユウ:「っていう内容さ。お前らの持ってるカケラは多分、光を纏う神器だろうな。スペース団はそのカケラをナナシマで探し続けているはずだ。」 美香:「そうだったの…。ねえ、その生き物ってポケモンでしょ?」 涼治:「お前、もしかして何のポケモンか知ってるのか?」 ユウ:「ああ。生命の使者、それはデオキシスだ。あいつはキワのばあさんが言うには、太古の昔にナナシマを壊滅に追い込んだため、 世界中の伝説ポケモンの手でその島に封印されたらしい。その封印をとく事ができるのはその神器を集める事ができた奴だけ。 だから気をつけろよ。」 ユウはそう言い残すと帰っていった。 蓮華:「厄介だよね。」 美香:「うん、このカケラが大変な事を意味していたなんて…。」 涼治:「これで決まったな。俺たちでこのカケラを先に全部集め、現実世界に持っていくんだ。」 涼治の提案とは、デオキシスの封印の解除を防ぎ、カケラを現実世界で封印し、スペース団を倒すという事だった。 蓮華:「やるしかないね。」 美香:「明日は3の島に行きましょ。ユウが言うには、もうこの島にはカケラがないそうだから。」 カケラが隠されてると思われるのは、3〜7の島のみ。 あたしたちは、何とかしてこれを防がなきゃ!