キレイハナ:「厄介だね。」 エイパム:「厄介だ、厄介だ。」 ダネッチ:「まさかこんな事が起きるなんてな。」 リュウ:「…さっきから何回言ったの?それ。いい加減飽きない?」 キレイハナ:「でも…」 エイパム:「言うしかないよ。」 今あたしたち4人は森の中にいた。 メンバーは、キレイハナのあたしと、ハクリュウのリュウ、フシギソウのダネッチに、美香ちゃんのパートナーのエイパムだ。 そしてここは、5の島にある森の中。 どうしてこんなことになったのかと言えば、数時間前まではこんな風じゃなかったのよね…。 ナナシマ編 10.5の島大乱戦(前編) 数時間前・・・ 蓮華:「ここが5の島なの!?」 美香:「うわぁ…、無残だね。」 キレイハナ:「言えてる…。ひどいよ、これは。」 あたしたちが5の島に到着した時に見たのは、無残に破壊されつくしたゴージャスリゾートの跡地だった。 ナナちゃんが蓮華と美香ちゃんにゴージャスリゾートの写真を見せていたらしく、実際はどんな状態なのかを知っていたらしいけど、 その写真の面影がないくらい、ひどい状態の町並みになっていると言う。 ポケモンセンターやフレンドリーショップも破壊され、使い物にならない状態の商品や、ポケモンのカルテなども散乱していた。 キレイハナ:「どうしてこんなことをしたんだろう…」 美香:「言う事を聞かないのなら、全てを破壊するってことでしょ。」 蓮華:「でも、久美ちゃんや海が来てたはずだよ。」 美香:「確かにそうなのよね。」 あたしもそれは不思議に思った。 あたしたちがこの島に来る前に、5の島には電撃ガールズの二人と式神使いの海ちゃんが訪れているはずなのだ。 でも連絡が全くないために、あたしたちが5の島に向かうことになったわけだけど、この惨劇の後を見る限り、 この状態で誰かを探そうとするのは間違いじゃないかと思ってしまうくらいだった。 キレイハナ:「二人とも、これからどうするの?」 蓮華:「みんなを探すしかないよ。」 美香:「そうよね、5の島にはまだスペース団がいるって言う情報もナナが知ったらしいし、あたしたちが順番に島を訪れてることは スペース団の奴らにはバレバレなのよ。どうなっても5,6,7のどれかの島にあたしたちが行くかなんて分かってるから 待ち構えてるはずだし…、あっ!」 そんな時に美香ちゃんが、よからぬ(?)ことを思いついた。 キレイハナ:「どうしたの?」 蓮華:「何か見つけた?」 美香:「ううん、スペース団の連中がマユミやカエデたちみたいなのだったとしたら?」 美香ちゃんの言った意味は一瞬分からなかったけど、よく考えてるうちに思い出した。 キレイハナ:「なるほどね、アレを言えば奴らは出てくるんじゃないかって事?」 美香:「そういうこと。」 ようするに、美香ちゃんが言いたいのは、スペース団はあたしたちが反応しない限り口上を言おうとしないから、 出てこさせるには彼らが反応する「何なのよ」的発言をしようということだった。 蓮華:「それじゃ、言いますか。」 キレイハナ:「そうだね。」 美香:「せぇ〜の〜!」 3人:「一体何なのよ〜!」 あたしたちはおもいっきり叫んだ。 すると。 壊れたホテル外の中にいることで、周囲に声がこだまするかのように響き渡っていき… そして。 いつもの曲が流れ出した。 しかも、登場したのは強い幹部クラスかと思っていれば、そうではなくて、いつものコンビだった。 マユミ:「あんたたち、一体何なのよぉ〜!と聞かれたって」 ズルッ!ズコッ!(身構えていたキレイハナがずっこけた音) エイジ:「答えるか否かはわれらの勝手」 美香:「何だ、いつものか。」 蓮華:「それに、あんた達、は言ってないよね。」 キレイハナ:「言いたいみたいだから言わせておこうよ。」 マユミ:「世界の破滅を防ぐため」 エイジ:「宇宙の輝き護るため」 美香:「そろそろ口上変えたほうがいいと思うな。」 キレイハナ:「うんうん、大分飽きた。」 コクンコクン(美香ちゃんのエイパムが飛び出してうなずいた。) マユミ:「愛と勇気の悪を貫く」 エイジ:「ラブリークールな敵役」 蓮華:「エイジってクールなのかな?」 美香:「言わせておけばいいのよ。どうしてオジンとオバンだから。」 ピクピクピクッ!(美香の言葉に二人の米神が浮き出た音) マユミ:「マユミ!」 エイジ:「エイジ!」 キレイハナ:「あ、切れた。」 エイパム:「エイパム(大人気ない)…」 マユミ:「この宇宙にきらめくスペース団のかっこよくて若い有望な二人には」 エイジ:「スペシャルミントブルー、清き、すばらしく美しい青の明日が待っている」 マユミ:「絶対にね!」 ようやく口上は終わった。 でも、口上の合間合間にあたしたちが野次と聞こえてもいい悪口の独り言を言ったことで、既に二人は怒りMAXの 状態になっていた。 マユミ:「あんたたち!毎度毎度あたしたちスペース団の作戦を邪魔してくれたわね!」 エイジ:「この島に来たからには、貴様らは処刑させてもらう。既にボスからの許可も得た。」 二人は口調も荒くなっていた。 特にマユミの視線は美香に向いているが、美香は全く気にせず、逆に、 美香:「あ、オバサマ方、皺が寄ってますよ。嫌ですわね、気色い年増になるとお肌が劣化するようで…」 プッツン! マユミがマジ切れするのを楽しむかのように、美香はさらなる毒を吐いていた。 そしてマユミの冷静になろうとするための糸(?)は音を立てたかのようにして切れた。 マユミ:「あったまきた!てめえら、あの二人の力で地獄に送ってやる!」 マユミは叫んだ。 エイジもこのマユミを止めるのは無理とあきらめているのか、何も言わない。 蓮華:「二人?」 そんな時に蓮華がつぶやいた言葉には、あたしも妙に引っかかりを感じた。 キレイハナ:「ちょっと、あんた達以外にも、スペース団員はいるの?」 あたしは聞いたけど、答えたエイジの言葉はマユミをからかい続けて楽しんでいた美香ちゃんでさえも冷ましてしまうくらい の発言力を持っていた。 エイジ:「俺たち以外に団員はいない。しかし、ボスから預かったこのゲンガーの力で、すでにここに来た2人の能力者は 我が手にある。お前たちはその能力者、自称電撃娘たちの手で処刑されてもらおう。」 と言われたために。 蓮華:「そんな…久美ちゃんたちがやられたなんて…」 あたしたちは流石に意気消沈してしまっていた。 エイジ:「ボスのゲンガーにかかれば、お前たちの能力など、適うものではない。まぁ、式神使いを逃したのは痛かったが、 そいつも我々のポケモンの攻撃で痛手を負った。当分は表に出ることもできないだろうな。 …マユミ、そろそろ落ち着け。形勢はスペース団が有利だ。」 あたしたちが落ち込むのとは逆に、さっきまで怒り狂っていたマユミの変貌はすごかった。 ただ、あたしたちも海ちゃんがどこかで無事だって言う事にはホッとする面があった。 マユミ:「えっ?あら、そうなの、オ〜ッホホホホホ…、小娘たちが粋がっても所詮は弱いものたちなのね。 さて、スペース団の新メンバー、電撃娘たち、そこにいる能力者たちをやっておしまい!」 そしてマユミの言葉と共に、電撃ガールズの久美ちゃんと希ちゃんが姿を表した。 でも、何故か知らないけど、二人にも口上があった。 久美:「闇夜を切り裂き天に立ち、」 希:「輝く二つの稲妻を、」 久美:「遥か宇宙に向かわせし、」 希:「銀河の輝きを我らの手に!」 久美:「我らスペース団!」 希:「電撃の名の下にここに参上する。」 久美:「電撃娘、久美!」 希:「同じく、電撃娘、希!」 久美:「私たち、電撃娘の二人には」 希:「トロピカルイエロー!最高の未来が待ってるわよ!」 マユミたちよりかっこいいと思ったのは、あたしだけじゃないと思う。 何故なら、あたしも美香ちゃんも蓮華もエイパムさえも拍手してしまったのだから。 でも、催眠術にかかっているらしい二人はあたしたちのことを全く覚えていなかった。 久美:「あら?そこにいる弱そうなトレーナーさんが拍手を送ってくれてるわ。」 希:「そのようね。命だけは助けてほしいって言う、命乞いかしら?」 蓮華:「二人とも、私だよ!蓮華だよ!覚えてないの?」 久美:「何それ、そんなどこにでも生えてそうな雑草のような女の名前なんて初めて聞いたわ。」 希:「あたしも。あなた、弱そうね。」 蓮華:「そんな!」 蓮華は二人に散々言われ、泣きそうになりながら訴えようとした。 でも、それはあたしと美香ちゃんで止めた。 美香:「蓮華、今は無理だよ。ここはあの二人を攻撃して、ゲンガーの洗脳をとかないと。」 蓮華:「うん、分かった。我が力よ、闇に覆われた心を…」 美香ちゃんの助言で蓮華は力を解放しようとしたけど、その時には既に遅かったのだった。 マユミ:「一斉射撃よ!」 美香:「何ですって!?」 あたしたちの知らないうちに、瓦礫の影や、建物の上などに、マユミ、エイジ、久美ちゃん、希ちゃんのポケモンが隠れていたらしく、 あたしたちは彼らの攻撃をまともに受け、その攻撃による大爆発でバラバラに吹き飛ばされていたのだった。 そして気づいてみると、あたしはエイパムと、リュウと、そしてダネッチと一緒だったのだ。 近くにモンスターボールのカケラがあることから、蓮華と美香ちゃんの持っていたボールがあの攻撃と爆発によって 全て割れてしまったんじゃないだろうか。 だとすると、他のみんなも同じ状況になっているのかもしれない。 それで探そうとして、今に至った。 キレイハナ:「リュウ、あなたの意見を教えてくれない?」 リュウ:「あたし?」 キレイハナ:「ええ、見事にこのメンバーは良識派が集まったけど、その中で一目を置けるのはあなただもの。」 怒ると怖いけど、一番の年長者的な面を持つのはリュウなのだ。 リュウ:「そうね、まずこの森を抜ける方法を考えないといけないわね。川を探しましょ。海に出て、海岸線を辿れば 誰かに会うこともできるんじゃないかしら?」 エイパム:「あ、それはいいね。」 ダネッチ:「あ、こっちに水の匂いがするよ。こっちじゃないかな?」 リュウの言葉にエイパムが賛同し、ダネッチが水の匂いを感じたらしいので、あたしたちはそこに向かうことにした。 でも、そんなあたしたちの前にとんでもないものが立ちはだかってきた。 メタグロス:「待ちな。」 他のメタグロスよりも一回り大きなメタグロスだった。 リュウ:「あなたは?」 リュウが普通に尋ねるけど、実は戦闘意欲満載なのだ。 何故なら、メタグロスが妙な敵意を醸し出しているからだった。 メタグロス:「仲間の元に戻ろうとしているらしいが、ここを通すわけには行かない。我の主人の言葉どおり、お前たちは ここで力尽きてもらいたい。」 キレイハナ:「我の主人?もしかして…」 あたしたちはこの時に察した。 エイパム:「お前、スペース団のパソコンオタクのポケモンだな!」 メタグロス:「いかにも。」 このメタグロスが、エイジのポケモンであると。 (それにしても、エイジはポケモンにはパソコンオタクって思われてるのね) キレイハナ:「どうして主人がいないのよ!それに、どうしてここに?」 メタグロス:「主人とうるさい女は本部にいて先ほど捕まえたお前たちの仲間の式神使いとか言う奴を尋問していて忙しいのだ。 その間に我らスペース団ポケモン軍団によって、この島の付近に散らばったお前たちを処分するように承った。 我らに倒される事を快く思うがいい。」 そういうなり、メタグロスはあたしたちに襲い掛かってきた。 エイパム:「戦いだね!」 ダネッチ:「やるしかないね。」 リュウ:「キレイハナ、行くよ!」 キレイハナ:「ええ!」 あたしたちは、メタグロスが宙に浮き、あたしたちのいる場所に落下してきたので、一斉に散った。 エイパム:「スピードスターだ!」 ダネッチ:「葉っぱカッター!」 リュウ:「電磁波よ!」 キレイハナ:「必殺、ソーラービーム!」 枝に蔓を伸ばして木に上がったあたしとダネッチ、空を飛ぶように逃れたリュウ、尻尾で枝を逃げ回るエイパムが 一斉に攻撃を放ったけど、鋼タイプのメタグロスにはあたしたちの攻撃は全く効果がなかった。 しかも、神秘の守りを使っている事でリュウの電磁波さえも効かないようだ。 メタグロス:「所詮はこの程度のようだな、今頃はお前たちの仲間も我の仲間の攻撃を受けている事だろう。 そしてそのあたりでくたばってるのだろうな。」 メタグロスはあたしたちの攻撃を全くの無防備で受けながら、傷つかない状態で笑った。 そして木々にコメットパンチを、空にスピードスターを放ち、あたしたちを攻撃してきていた。 リュウ:「神秘の守りよ!…ここまで攻撃が来ると厄介ね。」 エイパム:「僕の力じゃメタグロスにダメージが与えれないし…」 ダネッチ:「でもあきらめちゃいけないんだ!僕たちは蓮華に合流しないといけないよ!」 キレイハナ:「ダネッチの言うとおりよ。あたしもあきらめない!」 メタグロス:「ふん、そんなことを言ってるだけでは、我には勝てないな。この際だ。サイコキネシス!」 あたしたちは攻撃の態勢に入ろうとした。 でも、メタグロスのサイコキネシスはあたしたちの動きを完全に封じ、あたしたちは体中に痛みさえも感じた。 中でも一番ダメージが大きいのは、属性に毒を兼ねているダネッチだった。 メタグロス:「はははは、その程度で我に勝とうなどというのが全ての間違いなのだ。このままサイコキネシスで圧勝だ!」 苦しい。でも、それはみんなも同じなのよね。 あたしはサイコキネシスを受けながらもそう思った。 でも、一番必死に動いてる姿が見えた。 キレイハナだった。 ダネッチも、属性が不利なのに頑張ってる。エイパムも一緒だった。 あたしも諦めちゃいけないんだよね。キレイハナに一目置かれてるだけじゃいけないんだ。 あたしの本当の力を出さないと。 あたしはドラゴンタイプだから。この中ではみんなよりも能力が高いはずだから、ここでみんなより先に負けるわけには行かない! リュウ:「みんなはあたしが守るんだから!」 あたしは強く思った。 その時だった。 体が、少しずつ変化していくのを感じた。 長かったあたしの体に、手が、足が、翼ができていく…。 キレイハナ:「リュウ…ようやくなのね。」 メタグロス:「何だと!?ハクリュウがカイリュウに進化だと!?そのようなデータは我も持っていないというのに。」 あたしは、メタグロスのクリアボディに写る、自分の姿を見た。 すごい。 あたしは、最終進化を遂げたんだね。 これでもう、負ける気がしないよ。 リュウ:「行くわよ、ドラゴンクロー!」 あたしはメタグロスの足場辺りに攻撃をして、メタグロスをひっくり返した。 すでにあたしの進化に驚いて、メタグロスはサイコキネシスをやめているからあたしたちは攻撃に移りやすかった。 メタグロス:「くっ、このままですむとは思わせん!体制を整え…体が動かないだと!?」 キレイハナ:「残念でした!」 ダネッチ:「僕たちがいることを忘れないようにね。」 あたしがひっくり返した直後、キレイハナとダネッチが両足を蔓の鞭で絡めていたのだ。 攻撃力の高いメタグロスが振りほどこうとするけど、キレイハナとダネッチも負けてはいない。 エイパム:「僕だっているのを忘れるな!僕の得意は物拾い!さっきそこで拾った技マシンを自分に使ったよ。」 メタグロス:「それがどうした!くそっ、これでも食らえ!」 ダネッチ:「うわぁ!」 エイパムが何かをしようとしていた。 でも、それよりも先にメタグロスが、ダネッチにサイコキネシスで攻撃をして、片足から蔓を外していた。 エイパム:「よぉし、行くぞ!必殺、シャドーボール!…うわぁ!」 エイパムの両手から黒い球体が弾き飛んだ。その衝撃でエイパムも後ろに吹っ飛んでいた。 覚えたてだから、まだ完璧に覚えてないみたいだった。 シャドーボールも方向音痴に別の方向に飛んでしまったし。 メタグロス:「所詮そんな攻撃か。そっちのキレイハナにもサイ…何!?」 もう見ていられなかった。 エイパムたちが攻撃をすると思って待っていたけど、もうあたしが攻撃すると決めた。 そしてメタグロスを持ち上げたのだ。 リュウ:「行くわよ、地球投げ!」 あたしはメタグロスを持ち上げたまま(ビルドアップ3回した甲斐があった)、空を飛び、宙をぐるぐると回り、 メタグロスを地面にたたきつけた。 メタグロス:「ぐえっ!くっそ…、よくもやりやがったな…」 メタグロスは衝撃で体の半分を地面に埋め込んだまま、何とか体勢を立て直そうとしていた。 でも。 リュウ:「これで最後よ!必殺、火炎放射!」 キレイハナ:「あたしも!ソーラービームよ!」 ダネッチ:「ほら、僕が抑えててあげるから。」 エイパム:「うん、ありがと、ダネ君。シャドーボール、発射!」 3つの攻撃がメタグロスに集中し、メタグロスは叫び声を一つもあげることなく、その場で沈黙した。 目をつぶっているけど、動く様子もなく、多分戦闘不能だと思う。 リュウ:「終わったね。」 キレイハナ:「そうね。リュウ、進化おめでとう。」 リュウ:「ありがとう。…ダネッチ、大丈夫?」 ダネッチ:「う、うん、何とか…」 エイパム:「ふぅ…、シャドーボールの威力調整は難しいや。」 あたしたちは何とかメタグロスを倒し、これからは空から探そうと思い、あたしは3人を抱き上げながら空を飛んだ。 まだ、あたし自身驚いてるけど、このままみんなを助けられるように頑張りたい! その頃。 他のみんなもあたしたちみたいに戦っていたのでした。 あたしたちみたいに苦戦しながらも、あきらめることなく…かな? 4人:「一斉水鉄砲!」 ぴぴ:「天使のキッス!」 突然襲い掛かってきたネンドールとラブカスに、あたしたちは海上を逃げ回っていた。 あたしはピクシーのぴぴ。 大爆発の煽りを受けて海に落ち、おぼれていたところを、マリルリに助けられた。 マリルリは蓮華の親友のポケモンだった。 そして近くにはアクア、ぎゃぴ、メノノもいた。 合流したのも束の間、あたしたちは突然水の波動を受け、その方角を見ると、空中にはネンドール、海面にはラブカスの姿があった。 ネンドール:「お前たちは処刑が決まった。」 ラブカス:「だから、私たちがあなたたちを海の藻屑にしてあげるわね。」 と言いながら。 そして、逃げながらのあたしたちの攻撃は続いていたんだけど…。 アクア:「水鉄砲が効かないなんて…」 ぎょぴ:「ネンドールの光の壁が水鉄砲の威力を打ち消してるのよ。」 メノノ:「しかも、ラブカスは神秘のしずくを持ってる。あれで水の波動の威力を上げて、僕達の水鉄砲を打ち消してるんだ。」 マリルリ:「ぴぴちゃんが泳げればよかったけど…」 実は、あたしも今の状況を打開できない原因の一つだった。 泳げない代わりにアクアが乗せてくれてるけど、そのせいで4人の得意な水中戦ができないのだ。 ぴぴ:「ごめん…」 ぎゃぴ:「謝らなくてもいいわよ、しょうがないことだから。でも、このままだと埒が明かないわね。」 そこにラブカスの水の波動が襲ってきた。 アクア:「アイアンテールよ!」 アクアのアイアンテールが水の波動を打ち返すけど、それはネンドールの念力が四散してしまった。 ネンドール:「生ぬるい攻撃だな。」 ラブカス:「そんな攻撃で私たちに反撃なんてね。うふふ、行くわよ、高速移動から捨て身タックル!」 ラブカスが突然至近距離にやってきた。 狙いはぎょぴらしい。 この中で唯一進化をしていない小柄のポケモンだからだと思う。 ラブカス:「覚悟!」 メノノ:「させるか!」 ぎょぴに攻撃が当たると思ったら、突然メノノが触手をラブカスとぎょぴの間にいれ、絡みつく攻撃に出た。 メノノ:「このまま締め付け…、うがっ…」 メノノの攻撃は続くと思ったが、突然メノノが苦しみだした。 原因はネンドールだった。 メノノは毒タイプで、ネンドールが得意のエスパー攻撃を仕掛けてからだった。 アクア:「メノノ!ハイドロポンプよ!」 アクアがハイドロポンプを放つけど、ネンドールの光の壁がそれを弾いてしまう。 マリルリとぎょぴはラブカスのスピード攻撃によってあたしたちのところに駆け寄る事もできないでいた。 ネンドール:「ふっ、ここまで弱いとは思わなかったな。徐々に痛めつけるとしようか。」 メノノ:「う、うわぁ!」 アクア:「メノノ!」 あたしは何もできないでいた。 メノノがこんなに苦しんでるのに、アクアも光の壁を壊そうと頑張ってるのに、ぎょぴが、マリルリが、ラブカスの 攻撃を受けながらも必死で戦ってるのに、あたしは陸上以外の場では戦えな…あ、でも…。 …でも一つだけ手があった。 失敗すれば駄目だけど、何が起きるか分からないけど、やってみないことには分からない。 ぴぴ:「ぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴっぴ…」 あたしの必殺技、「指を振る攻撃」だった。 あたしが指を降り始めたのはアクアもメノノも気づいてるようで、でも、何も言わなかった。 ただ、問題はネンドールだった。 ネンドール:「指を降り始めたか。しかし、この状況ではできないだろうな。ラブカス、お前は水中に潜れ!」 ラブカス:「了解!」 ラブカスが水に潜った直後、砂嵐があたしたちを包み込んだのだ。 あたしたちは誰も地面タイプではないから砂嵐のダメージを受けてしまうし、そのうえ水中からはラブカスの攻撃が 上がってきていた。 こんな事ってありなのかと思いたかった。 砂嵐と一緒に水の波動があたしたちを攻撃してくるなんて。 メノノには砂嵐の状態でネンドールのサイケ光線が放たれていて、あたしたちはぴぴとメノノを守るために、その攻撃を 相殺し続けていた。 でも、ネンドールの攻撃はサイケ光線やサイコキネシスではなかった。 ネンドール:「ちょこまかとうるさい奴らだ。岩石封じを食らえ!」 砂嵐で視界が分からない状態で、あたしたちに降り注いだのはたくさんの岩だったのだ。 ぎょぴ:「きゃあ!」 あたしはその中の一つを角ドリルで壊し損ね、そのまま岩を突き刺して抜けないまま、そのまま沈んでしまった。 アクア:「ぎょぴちゃん!」 メノノ:「ぎょぴ!」 ぴぴ:「ぎょぴちゃん!」 マリルリ:「ぎょぴちゃん…」 あたしはみんなの声を聞いた気がしながら沈み、そして水中でラブカスに出会った。 ラブカス:「あらあら、そんな小さな体で受け止めようだなんて無理があったのよ。」 ぎょぴ:「何よ、大きさは全く変わらないじゃない。」 ラブカス:「でも無謀なのよ。だから自爆してるようなもの。美しさもかわいさも私には劣ってるし、その姿で沈んでいけばいいわ。 かわいそうなポケモン、主人に見放されて沈んでいくなんて…。これは餞別よ!」 体が急にひんやりしたのを感じた。 いや、冷やされたのだった。 あたしはラブカスの冷凍ビームで氷状態になってしまったらしい。 体が重いまま、沈んでいくなんて…。 蓮華…、あたしが非力でも、小さくても、あたしにしかできないようなバトルを考えてくれて、みんなが笑っても、その笑いを驚きに変えるような バトルとしてあたしを使ってくれて、あたしは蓮華に会えてよかったと思う。 いえ、これからも蓮華と一緒にバトルがしていきたい。 2年以上も会えないままで、今度は永久に会えないんだったら嫌だから。 あたしは、まだ負けたくない! アクア:「雨乞いよ!」 何とか砂嵐を竜巻と雨乞いによって振り払う事ができた。 ただ、雨乞いを起こしたけど、砂嵐の威力ですぐに晴れてしまったんだけど…。 でも、既にメノノは限界に近く、あたしたちもこれ以上バトルを続けると倒れてしまいそうだった。 ネンドール:「所詮はその程度ってことか。」 ラブカス:「トサキントも氷漬になって沈んでいったし、そこで指をふってるあなたも、諦めた方がいいんじゃない?」 ぴぴの指を振る攻撃は全く何も起こらなかった、いや、起こっていなかった。 ぴぴは次期を待って、それまでの発動を抑えているようだったけど、その時期が来てないらしい。 メノノ:「みんな…僕のことはいいから逃げ…」 マリルリ:「そんなの駄目!あたしたちは仲間だよ。主人が違っても仲間だから、あたしはメノノを守っていられるんだもん。」 アクア:「そうよ、メノノ。あたしたちは仲間だから、だからあたしはあなたを守るわ。」 あたしたちはメノノを支えて言った。 でも、そこに水を指すように、ラブカスが攻撃をしようと襲ってきた。 ラブカス:「くだらないわね。これで最後よ!必殺、水の…」 ぎょぴ:「滝登り!」 ラブカスが水の波動を放とうとしたその時、水面から強力な滝登りの水流がラブカスを打ち上げた。 ラブカスはそのままあたしたちのほうに向かって落下してきていた。 その時、ぴぴが動いた。 ぴぴ:「時期が来た!必殺、指を振って雷パンチ!」 ぴぴの片手が放電を放つように輝き、雷パンチの一撃がラブカスにおもいっきり放たれるのだった。 ラブカス:「痺れるぅ…もう、駄目…」 ラブカスはそのまま水面に浮くようにして倒れていた。 ぴぴ:「ラブカスが近くに来ないと、この攻撃ができないから。そろそろしないとまずいと思ってたの。」 アクア:「そうだったの、…そういえば、ぎょぴは?」 ぎょぴ:「ここだよ!」 声がするほうを振り返ると、水面からはトサキントが…ではなく、アズマオウが飛び出していた。 赤と黒の勢いがあって、美しさとかっこよさを合わせ持つかのような模様を付けたアズマオウに進化したぎょぴが。 ぎょぴ:「蓮華に対して頑張りたいって強く思ったら、進化してたの。後はあたしと、ぴぴ、海底で拾ったこの技マシン、 あなたが使って!」 ぎょぴはヒレで持っていた技マシンをぴぴに渡した。 ぴぴ:「これ…!!これなら勝てるね!」 ぎょぴ:「でしょ?乗って!」 ぎょぴはぴぴを乗せた状態でネンドールに向かっていった。 ネンドール:「進化したからといっても勝たせはせん!破壊光線だ!」 ぎょぴ:「つかまっててね、高速移動!」 ぎょぴは高速移動で破壊光線を避けながら、ネンドールに向かった。 と、そこでぴぴが飛び出した。 ぴぴ:「必殺、瓦割よ!」 ぴぴは繰り出した瓦割りは、光の壁を割り、そのままぎょぴに降り立った。 ぴぴ:「今だよ、みんな!」 時が来た。 あたしはぴぴの言葉を受けて、無意識的に体を動かしていた。 アクア:「行くわよ、竜巻とハイドロポンプのコラボレーション、水竜巻!」 マリルリ:「スピードスターと凍える風のコラボレーション、アイススター!」 あたしの水の攻撃と、マリルリの氷の攻撃が、ネンドールを包み込み、竜巻が晴れた時、ネンドールは既に海に落下していた。 弱点である水と氷の攻撃を受けた事で、しっかりと全身に水を含み、そして戦闘不能になっていた。 ようやくこの水上戦が幕を閉じた。 直後、メノノが気を失った。 アクア:「メノノ…疲れたのね。」 マリルリ:「ボールがあるとよかったんだけど…」 ぴぴ:「モンスターボール、みんな破壊されちゃったもんね。」 ぎょぴ:「しょうがないし、メノノが疲れないように移動しながらみんなを探そう。」 あたしたちは波に乗るように、移動を始めた。 キュウコン:「美しくない方々だこと。そのような攻撃では私の神秘の守りを使った防御を破れないわね。」 デン:「くそぉ、充電から電撃波だ!」 キュウコン:「鬼火よ!それにスピードスター!」 たねね:「これはたまらん!」 ドラ:「俺も熱いのは苦手だよ。」 ドンファン:「俺に任せろ!必殺の泥かけだ!」 キュウコン:「そんな攻撃であたしの攻撃がかわせるとでも思ったの?スピードスターよ!」 僕たちは非常にきつい戦いをやっていた。 爆発で飛ばされてきたのは、デンリュウの僕とコドラのドラ、ダーテングのたねね、蓮華の友達のドンファン、 そして最近仲間になったポッポのポーだったけど、草むらを移動してすぐに炎に囲まれてしまったのだ。 しかも相手は炎タイプで、さらに言えば神秘の守りを使って僕達の攻撃を全て防御してばかりいる。 この状態が続いているせいで、僕たちは反撃の一つもまともにできていなかった。 キュウコン:「うふふふ、もう反撃はおしまいかしら?」 デン:「それは違う!僕が相手だ!ドンファン、ドラとたねねを頼むよ。ポーは僕と攻撃を手伝って。」 ドンファン:「任せろ!」 ポー:「分かった!」 ドンファンが泥かけで炎を消しながら、たねねとドラを戦闘から離し、ポーは僕についてきてくれた。 キュウコン:「殿方から攻撃なさい。」 デン:「それならいくよ!電気ショックだ!」 僕は額の赤玉に電撃を集中し、キュウコンに放った。さらにそこをポーのスピードスターが風起こしの風に乗って 放たれていく。 キュウコン:「それくらいですのね、それでは、オーバーヒートです!」 キュウコンは僕達の攻撃を軽く飛んで受け流し、9つの尻尾を広げて炎を体に集中させ、一斉に僕たちに向けて放っていた。 デン:「ポーは僕の後ろに!光の壁だ!」 僕はポーを背後に呼び、光の壁でオーバーヒートを受け止めた。 ものすごい威力だったけど、何とか光の壁で受け止め続け、攻撃から身を守る事ができた。 デン:「ハァ、ハァ、ハァ、もう負けな…、キュウコンがいない?」 キュウコン:「どこを見ていますの?私はここですわ。噛み付く攻撃です!」 キュウコンはオーバーヒートを放ってすぐに電光石火で移動していたのだ。 気づけば、ポーが片足で押しつぶされ、僕も尻尾に攻撃をされてしまった。 尻尾に痛みが走り、力があまり出ない。 キュウコン:「オーバーヒートの威力を受け止めたことは褒めて差し上げますわ。けれども、威力を光の壁で支えた分、 疲れもたまったようですわね。のしかかりですわ!」 力も出ず、攻撃のできない状態のまま、ポーと一緒に僕は、キュウコンにのしかかられていた。 キュウコン:「弱い方ですわ。そんなことで私に勝つおつもりでしたの?それでは、最後の一撃を致しましょうか。 先ほど、白いハーブを食べて復活しましたの。木炭を持ってますし、ここは大文字でもいかがかしら?」 デン:「くそぉ…」 僕は雷パンチの体勢に入ろうとしたけど、それをキュウコンの前足に踏みつけられ、しかも彼女の尻尾から飛んできた鬼火が 手足に火傷を作っていた。 デン:「うぅ!」 キュウコン:「私が簡単に攻撃されるような手をお使いとでもお思いになさったのですか?残念ですが、もう不可能ですわ。」 ポー:「そんな!」 キュウコン:「うふふ、すぐに天国に召されるとよろしいですわね。必殺、大文…きゃあ〜!」 僕たちはやられてしまう。 そう思った直後にキュウコンの叫び声が聞こえ、痛みを堪えて起き上がってみると、そこにはドンファンやたねね、ドラの姿があった。 デン:「みんな…、逃げるように言ったのに…」 たねね:「頑張ってるお前を見捨てていけるわけがないだろうが。そこの若造も頑張ってるのに。」 ドンファン:「僕だって炎には強いからね。このまま黙って見過ごすわけには行かないんだ。」 ドラ:「それに、デン、この木の実を使えよ。火傷に効くよ。」 ドラとたねねがくれたのは火傷状態を治すチーゴの実だった。 デン:「ありがとう。」 僕は忘れていたのかもしれない。 弱点にも負けない蓮華の頑張りに、たねねたちが答えられる事を。 そして、どんなに逃げるように言っても、僕たちが簡単に諦めるような気持ちではない事を。 キュウコン:「あなたたち、なかよしごっこはおしまいですの?私の体を汚した罰は、受けていただきますわよ!」 たねね:「それはどうかな?行くぞ!」 僕たちはたねねの掛け声と共に動いた。 キュウコン:「何をしようとしても無駄ですわ!必殺、大文字ですわ!」 キュウコンが強力な大の字の炎を放ってきた。 たねね:「させっか!必殺、神通力に種マシンガンだ!」 たねねの放つ種マシンガンが、神通力の波動と共に大文字を打ち破っていた。 キュウコン:「何ですって!」 ドンファン:「行くぞ、ドラ。」 ドラ:「おう!」 たねね:「デン、俺の手につかまれよ!」 突然たねねに呼ばれ、彼の手を掴んで飛び上がった直後、ドンファンとドラの地震がキュウコンを襲い、さらに神秘の守りを使おうとした 彼女の顔面に、ポーの電光石火と翼で打つ攻撃が襲った。 キュウコン:「いや〜!私の顔と体が…、こんな事で負けるなんて許しませんわ!」 たねね:「奴はもう終わりだ。デン、お前が最後を決めろよ。」 デン:「分かった。充電だ!」 体中に力を溜めるように、力を込め、額の赤玉に電気を溜めた。 そして。 デン:「行くぞ、雷だ!」 雷は日本晴れ状態に近い状態だったけど、そのままキュウコンを襲い、彼女はこんがり色に焦げ上がり、僕たちは勝利した。 デン:「やった…、勝った…ね。」 僕はそのまま疲れて気を失ってしまった。 たねね:「デンの奴、疲れて眠っちまったのか。」 俺は適当に葉っぱを集めてデンにかけてやった。 このままだったら風邪引くぞ。ポケモンセンターもマシな状態で動いてないんだ。しっかりしろよ。 ドラ:「そのようだな。」 ドンファン:「自分の力で戦おうと頑張りすぎたんだ。しょうがないさ。…ポー?どうしたんだ?」 と、ふとドンファンがポーの異変に気づいた。 確かにおかしいな。 ポー:「いや、体が何か熱くて…」 俺たちが駆け寄ろうとした、その時だった。 ポーは光だし、少し大きくなり、ピジョンに進化していた。 ポー:「僕、進化したの?」 たねね:「そうらしいな。」 ドンファン:「これからも頑張るんだぞ。」 ドラ:「ついでに、デンのこともあるし、俺たちはここにいるから偵察してきてくれないか?」 ポー:「分かった。行ってくるね。」 ポーは周囲を偵察に向かった。 このまま誰かを見つけてくれるといい。 そう思って数時間、遠くからキレイハナたちがカイリュウに乗って飛んでくるのが見えた。 どうやら、リュウが進化したようだな。 あいつもやったな。 さて、俺たちははやく蓮華に合流したいところだ。 その様子を森から見ているものがいた。 闇に覆われていたために誰も気づかなかったが。 集まりだしているわ…ポケモンたちが。 蓮華ちゃんのポケモンたちは蓮華ちゃんが好きなのね。 あたしが出て行くべきではなさそうだし、当分はここから見ているのもいいだろう。 ??:「なあ、???、俺たちがここにいる意味はあるのか?」 ???:「さあ?あたしたちはあたしが作ったゲートを潜ってきたわけだけど、来た意味はなさそうよ。 でも、何かが起きたら影ながら力を貸すのがいいんじゃないかしら?」 ??:「そうかもな。」 彼らが敵なのか、味方なのかはまだ、分かっていない。