ナナ:「何だか厄介な事になってきたね。」 律子:「本当ね。まさか再びあたしたちがここに来る事になるとは思わなかったわ。4の島は大丈夫かしら?」 ナナ:「カンナさんに任せたから大丈夫よ。1の島と3の島はポケモン警察が、2の島はシバさんとキクコさんが いるし、5の島にいた蓮華ちゃんたちも6の島に向かったわ。あたしたちも用事を済ませたら、6の島に行くわよ。 そこから7の島にみんなで殴り込みをかけるのよ。」 律子:「そうね…あ、ナナ、見えたわよ、へそのいわが。」 ナナ:「ええ。」 あたしがナナに案内されて今までに訪れた場所には、数多くの伝説ポケモンたちがいた。 フリーザー、ファイヤー、サンダー、セレビィ、ラティアス、ラティオス、グラードン、カイオーガ、そしてレックウザ。 あたしはナナのすごさを知った。 そして、このナナシマ列島にも来た事が、一度だけあった。 今回来たのは…。 ナナ:「あら、もうお出迎えよ。」 律子:「本当ね、懐かしいわ。」 あたしたちの目の前には、普通なら滅多に見ることもない、巨大な2体の飛行物体が…。 ナナ:「あなたたちに聞きたい事があってきたの。」 律子:「デオキシスの復活を阻止する方法を教えて。」 ナナ:「あと少しで、カケラが集まりそうだから。あたしと律子の持ってるこれ以外は、もう集まったらしいの。」 あたしたちは首から提げたロケットの中に埋め込まれた、二つのカケラをみせた。 カケラは、全てを集めて合わせない限りオーロラのカケラとしての力を発揮しないから。 ナナ:「もうすぐで、デオキシスが復活するわ。宇宙に住むと言われる方ではなく、ナナシマ列島に封印された邪悪な デオキシスが。」 だけど、あたしたちはすぐに彼らから、恐るべきことを知らされた。 ホウオウとルギア、ナナシマのへその岩を拠点としている伝説ポケモンから。 伝説ポケモンだからとはいえ、ルギアだって、ホウオウだって、この世界には1体しか存在していないわけではない。 ルギアがアーシア島や、渦巻き列島に生息しているかのように。 ホウオウ:「ナナ、律子、そなたたちは知らないようだが、すでにデオキシスの核は復活している。」 ナナ:「核?」 律子:「復活してるって…」 ルギア:「核となる物体は、このナナシマ列島に本体を封印された時、我らの住むこのへその岩の中心に封印し、 我らが護ってきた。しかし、我らが留守にしている間に、何者かによって封印が説かれ、核は盗み出されていた。」 ホウオウ:「我らが調べたところ、核は盗み出した人間に融合し、新たな核として成長してしまったらしい。 こうなってしまった以上、その核を封印する以外に復活を阻止する方法はないだろう。」 律子:「それで、その人物はどこにいるの?」 嫌な予感がした。 とんでもなく嫌な予感がした。 ルギア:「そなたらも感づいているようだな。」 ナナ:「ってことはやっぱり?」 ホウオウ:「さよう、そなたらの仲間とそなたら以外のカケラと、核は一緒の場所にいる。」 ナナシマ編 13.戦いの序章、意外な敵と意外な正体 蓮華:「それじゃ、リュークっていう幹部が渚ちゃんの恋人かもしれないのね?」 渚:「うん。」 蓮華:「それじゃ、あの時にコンテストで感じたのは何だったんだろう…」 渚:「えっ?何のこと?」 美香:「あ、あたしも感じたよ。でも、あれは輝治さんの幽霊じゃないよ。多分、輝治さんの想いが具現化したものだと思う。 だけど、次に会うときは敵として遭うのかもしれないのって嫌だよね。」 渚:「うん。だから微妙な気分なの。」 あたしたちには何となく分かる気がした。 今までにスペース団と2度の戦いを繰り広げてきた。 そして、操られた仲間と戦った事もある。 こんなことはもう、2度と起きてほしくなかった。 蓮華:「大丈夫だよ、あたしが何とかしてあげる。」 美香:「そうだね、渚、蓮華の力は操られた人を戻す力でもあるから。」 渚:「本当?お願い、輝治を…元に戻して。」 蓮華:「分かった。でも、本当に人の心を元に戻す場合、あたしの力よりも効果的なのは、その人を思う、強い心だから。」 渚:「うん。」 キレイハナ:「3人とも、見えたよ、6の島が。」 キレイハナが船首から戻ってきた。 キレイハナ:「町の様子は全然変わってないよ。破壊された様子もないし。後、港に3人ともいたよ。」 どういうことなんだろう、他の島と違って、6の島だけが無事なのは…。 ともかく、あたしたちは6の島にたどり着いた。 蓮華:「攻撃がなかったって?」 着いてすぐに教えられた言葉で、あたしと美香は言葉を失っていた。 渚ちゃんは旅疲れで眠っている。 鈴香:「そうなのよ、島の人たちやジョーイさんも不思議がってたけど、この島には何も攻撃がされなかったの。」 なずな:「だから何もする事がなかったってわけじゃないけどね。」 悠也:「スペース団たちは、わざとこの島を避けているみたいなんだ。」 美香:「6の島を、避ける?」 悠也:「ああ、鈴香となずなちゃんはあの子と一緒にいてあげてくれよ。俺が二人に説明してくるからさ。」 鈴香:「分かったわ、悠兄。」 なずな:「渚ちゃんのことは任せて。あたしも一応面識あるから。」 あたしと美香は悠兄に連れられて外に出た。 悠也:「この島には『記しの林』という森と『天の穴』と呼ばれる遺跡の洞窟があるんだ。そこに手がかりがあった。 何やら厄介そうな事なんだけどな。あのデオキシス伝説に関わる事なんだ。」 美香:「デオキシス伝説…」 蓮華:「あたしや他の島にいるみんなが各自見つけたりしたこのカケラ、そして、スペース団に奪われたカケラが合わさった時に デオキシスが目覚める事と、関係しているのね…。」 あたしは昨日ゴンやフィルが見つけたと言うカケラ、少々汚れているのはゴンが体を掻いたからだけど、を取り出した。 悠也:「まずは記しの林に行こうか。」 悠兄の案内で、あたしたちは記しの林に向かった。 その頃。 スペース団内部で…。 ドリーム:「どうやら能力者たちが6の島に集まりだしたらしい。そこで、そろそろ決戦の準備をした方がいいと思う。 4幹部たちよ、実力のある各団員達と、飛行部隊、水中部隊、及び特殊部隊にも伝えろ。」 ミアトス:「はっ、仰せのとおりに。」 セクトス:「ドリーム様、ところであの洗脳の解けかけたリュークの恋人と思われるものが、能力者と接触しているそうですが、 いかが致しましょうか?」 マルトス:「そのうえ、あのポケモンマスターとセレビィのトレーナーも怪しげな動きをはじめています。 彼女たちはへその岩でホウオウとルギアに接触したそうです。」 ドリーム:「そうか、ほおっておけ。我らが全てを支配できる時期は近い。そしてガントス、お前には別の任務を与える。」 ガントス:「ありがとうございます。」 4幹部が出払うと、ドリームは新たに4人の団員を呼び出していた。 ドリーム:「ユウタル、フレイム、レイン、グロウよ。あと一人仲間が加わった時、お前たちにも使命を与える。 スペース団の邪魔立てとなるものを処刑するという、重大な使命をな。」 ユウタル:「ありがとうございます、ドリーム様。」 扇子を片手に持った青年が言うと、 フレイム:「我らのお力ならば、いくらでも捧げましょう。」 ともう一人の青年が言い、笠を被った少年団員と、長い黒髪の女性団員が頭を下げていた。 1の島からの船の中で…。 氷雨:「…来る!」 何かを感じた。 邪悪な何かが向かってる、そんな気が。 双葉:「氷雨!」 大河:「行くか?」 氷雨:「ええ。」 双葉と大河も何かに気づいたようだ。 菜々美:「あたしも感じました。何か、こっちに向かってくる音がありま…きゃぁ!」 突然船が大きく揺れた。 菜々美:「健人、何があったの?」 何か起きたのかと思って外に出た。 健人:「ああ、何かが船の下にいる。船のかじが動かないんだ!」 氷雨:「船の下?」 健人:「お前には言ってない!出てくるな!」 健人君はあたしから目を反らした。 菜々美:「健人!…あたしがあぶりだしてやるわ。必殺、超音波!」 菜々美ちゃんが超音波を海に放った。 すると、それは飛び出してきた。 氷雨:「何者!」 叫んだけど、すぐに誰か分かった。 それは、体格の大きなスペース団幹部のガントスだった。 ガントス:「悪いが、俺はそこの男に用があってきた。」 健人:「俺に?」 ガントス:「ああ、ドリーム様よりスペース団へのご招待さ。」 健人君が招待された!? 氷雨:「どういうこと?」 ガントス:「それは言えない。カブトプス、切り裂く攻撃だ!」 突然船が真っ二つに割れた。 あたしや双葉、大河、そして菜々美ちゃんは反射的に空を飛んだり、宙に浮いたりしたけど、健人君は飛行能力を持っていない。 氷雨:「健人君!」 健人君は、あたしが出した手を掴もうとした。 でも。 ガントス:「邪魔だ!カブトプス、オムスター、原始の力だ!」 海から飛んできた多数の岩によって、あたしは行く手を阻まれ、健人君は波に飲み込まれた。 菜々美:「健人!」 ガントス:「悪いがこいつは頂いていく。さらばだ!」 次に健人君の姿が現われたのは、気を失った状態でガントスに担がれた姿だった。 ガントスはそのままボールから出てきたソルロックのテレポートで姿を消した。 菜々美:「健人ぉ〜!!」 菜々美ちゃんの声がずっと海面上で響いていた。 2の島からの船で…。 哲也:「もうすぐで決戦か…」 玲奈:「雪美まで参戦してくるなんてね。」 雪美:「いいじゃない、別に。でも、大丈夫なのかな?」 玲奈:「何が?」 雪美:「何か、嫌な予感がするのよ。」 その時。 あたしの予感が当たった。 翼:「何!?健人が!?」 外で通信をしていた翼君が叫んでいた。 玲奈:「どうしたの?」 哲也:「健人に何かあったのか?」 翼:「それが…健人がさらわれたらしいんだ。」 当たってほしくなかった。 志穂:「十中八九、健人君が敵として出てくる気がするわ。彼は今、一番洗脳されやすい状態よ。 氷雨さんとの仲たがいを知られているとしたら。」 哲也:「健人が…敵…」 翼:「戦うしかないのか…」 志穂:「もう一つ。あたしの式神からの情報よ。どうやらスペース団内に、他の能力者の影があるわ。 そのうち、二つは妖怪の影。ドリームが操っている可能性も高いわね。玲奈、あなたの光の力が必要になると思うわ。」 玲奈:「…分かった。」 悠也:「ここが記しの林だ。」 悠兄に案内されて着いた場所は森の中の一角だった。 森の中に広けた場所があり、奇妙な感じで散らばった草むらがあった。 一面の草むらというわけではなく、所々が何かの印であるかのように何も生えていない地面になっていたのだ。 悠也:「ポケモンセンターで調べた結果、歴史書にはここで昔何があったのかは書かれていなかったが、 なずなちゃんと鈴香の力で調べた結果、ここには何かが眠っているらしいんだ。」 美香:「デオキシスのこと?」 悠也:「いや、生命反応ではないそうだ。」 鈴香の超音波と、なずなの気を地面に送り、返ってきた波動から分かったのは、何かの物体がここに封印と言う形で 眠らされているらしい。 悠也:「もしかしたらデオキシスに関係する事かもしれないと思うんだ。蓮華、そこの土質を調べてみろよ。」 蓮華:「分かった。」 あたしは草むらの土と、何も生えてない場所の土を触れてみた。 蓮華:「嘘…、何も生えていない土なんだけど…、この土には栄養も含まれたりしてるのに、何故か冷たいの。 まるで、この土の部分だけ、眠っているみたい。」 悠也:「俺が思うに、この地に何かを封印しているんだと思う。そのために、何も生えていない地面は、土自体も時間が 止まった状態なんだ。ここを上から見たけど、魔方陣のようなものではなかったが、この何も生えていない部分をつなげてできる模様は、 封印のための文字か何かだろうな。次は天の穴に案内するよ。」 3の島からの船で…。 海斗:「やっぱりお前たちも来るのか?」 清香:「本当なら来させたくなかったけど…」 あたしと海斗は目の前の二人の後輩を見ていた。 泡の能力者のヤツデ君と、蛍火能力者の綾香。 ヤツデ:「行きますよ、俺は海のポケモンたちが何か起ころうとしてるって震えてるので、それをなだめてやりたいんです。」 綾香:「あたしは、あたしなりに出来る事があると思ったし、あたしでも団員に対抗できるって分かったから。」 ハァ…。 ついため息が出た。この二人はマイペースというか、何と言うか。 しょうがないかと思った。 晃正:「でも、厄介そうな事が起こりそうっすよね。」 浅香:「うんうん、まだ4幹部自体を倒せてないんだよね。」 海斗:「それを何とかして、何としてもドリームを倒さなければならないな。」 清香:「あたしや玲奈、律子ちゃんや浅香ちゃんの光や神秘の力で何とかなればいいんだけどね。」 そんな時にあたしたちは健人君がさらわれたことを知ったのだった。 5の島からの船で…。 久美:「あたしたちの二の舞になったのがまさか先輩だったとは…」 希:「氷雨さんの事があるけど、それを知られたのかしら?」 海:「多分そうだと思います。でも、厄介ですね。あたしたちが6の島に行く事も知られてそうだし。 総攻撃をかけるときは、考えて行動しないとヤバイですよ。」 久美:「そうね。」 最後に案内された場所。 天の穴と呼ばれる洞窟が見えてきた。 悠也:「この辺りの岩を見て、思い当たるものはないか?」 悠兄に言われて眺めていたあたしたちは、周囲の岩がポケモンを象ったものだったと知った。 美香:「図鑑とかで見た伝説ポケモンの姿と似ているわね。あれがホウオウで、向こうにはルギア。」 蓮華:「そして、その2体の間に挟まれている、人型のポケモンが…デオキシスなのね。」 悠也:「ああ。多分そうだろう。そして、あれを見てくれよ。」 悠兄が示したのは、デオキシスを象った岩の足元だった。 そこには、何かをはめ込めるためにあると思われる穴が開いていた。 悠也:「これは天の穴の伝説とは関係ないものだから、誰もこの穴の事は知らないらしいが、もしかしたらオーロラのカケラを はめるためにあるのでは、と思うんだ。」 その時だった。 ??:「そのとおりだ。」 何者かが背後に来ていたのだ。 振り返ったあたしたちが見たのは…。 悠也:「お前…」 美香:「ドリーム…」 蓮華:「どうしてここに…」 あたしたちの目の前にはドリームが立っていた。 しかも、その後ろには見覚えのある幹部たちの姿もある。 ドリーム:「我々に最終決戦をしようとする動きは既に気づいているが、それより先に動いたのだ。 その穴を埋めるためにな。」 ドリームは持っていたオーロラのカケラをその穴に向かって投げた。 すると、穴がカケラを誘導するかのように動き、穴にはまった。 その瞬間! 突如、デオキシスの像が光り出し、その光がドリームに吸い込まれていくのだった。 蓮華:「な、何なの!?」 美香:「ドリーム、あんた一体何者?」 悠也:「ただの催眠能力者ではなさそうだな。」 ドリーム:「ふっ、お前らは知らなくてもいいことだ。今ここで、私の力で倒してやろう。食らうがいい、この波動を!」 ドリームが放ったと思われる波動は、その場にいたあたしたちが避ける間もなく、そのままあたしたちをふっ飛ばした。 蓮華:「何なの…、この尋常じゃない力は…」 悠也:「今までにない力だ…俺たちとは比べ物になんねえよ。」 美香:「どうしてこんな力を…」 ドリーム:「ふん、お前たちはここで死ぬのだ。知らなくてもいい。ゲンガー、スリーパー、ナイトヘッドとサイコキネシス!」 波動の威力で動けないあたしたちに対し、ドリームのポケモンが攻撃を加えてきた。 蓮華:「そんな…」 美香:「これで…終わりなんて…」 でも。 まだ終わってなかった。 突然強力な炎と空気の波動が飛んできて、スリーパーとゲンガーごと攻撃を跳ね飛ばしたのだ。 ナナ:「まだ終わってないわよ!」 律子:「ドリーム、いえ、デオキシス、あんたの野望はあたしたちが崩してあげる!」 ホウオウとルギアが現われ、その上にはナナと律子が乗っていたのだ。 でも、デオキシス…? ドリーム:「何のことかな?ポケモンマスターよ。」 ナナ:「しらばっくれるのはいい加減にしたら?」 律子:「ルギアとホウオウからしっかり聞いたわよ。あなたは昔スペース団員としてこの島にやってきた時、 へその岩にあるデオキシスの核を盗み出した。その核はあなたの邪悪な部分と融合し、そしてあなたは新たなデオキシスの 核となったのよね?」 ルギア:「我らの目はごまかされないぞ。」 ホウオウ:「素直に認めたらどうだ?」 ドリーム:「ふっ、ばれてしまっては仕方ない。しかし、お前たちが動いたところでもう遅い。」 ナナ:「何ですって!?」 律子:「何が遅いのよ。」 ドリーム:「私の元には既にほとんどのカケラが揃った。先ほどポケモンセンターを襲撃し、お前たちの荷物からも カケラを貰ってきた。邪魔立てをしようとした鳥の羽の子供も、弱い波動の少女も、あのリュークの恋人とか言う奴も、 今頃は瓦礫の下になってるだろう。」 蓮華:「嘘…」 ドリーム:「後はそこの二人の持つ小さなカケラのみだが、スペース団の本拠地、7の島に持ってきてもらおうか。 こちらには人質もあるのだからな。 それでは、7の島で待つ。」 ドリームたちは消えた。 ナナ:「とんでもないことになったわね。」 律子:「ルギアとホウオウを前にしても動じないとなったら、前よりパワーアップしてるってことになるわ。」 ついさっきこの世界に集まった現実世界からの能力者たちが集まった。 でも、健人君が攫われていると言う事件も知った。 そのうえ、いつの間にか他のみんなが見つけていたカケラも盗まれていたのだった。 後は、あたしと律子の持つこのカケラのみ。 襲撃を受けたのはポケモンセンターだけだったのがせめてもの救いだった。 しかも、なずなちゃんの力で中にいたポケモンや人はみんな、外に助けられていた事が分かったのだ。 その時だった。 7の島にいた美咲ちゃんと拓也やヒカリ、ライ、ユウが戻ってきたのだ。 スペース団は戦闘準備につき、いつでも攻撃できる態勢にいると言う。 5人が無事だったのは、多分ドリームがわざと帰したからだろう。 戦いが始まる。 あたしたちも、心に決めないといけないわね。 蓮華:「涼治!」 あたしは別便の船で来た涼治と再会した。 涼治:「よお!元気そうだな。」 蓮華:「うん…でも…」 涼治:「そうだな。俺たち、初めは楽だと思ってこの戦いに参戦したけど、いつの間にかこんなことになってたもんな。 でも、やるしかないよ。俺は平和のために頑張る。」 蓮華:「あたしは…」 言いかけたときだった。 周囲が暗闇で覆われ、何者かが近くにいた。 ??:「うふふふ、それができるのかしら?」 蓮華:「誰?」 ??:「あたし?あたしはグロウ。あなたに一つ教えてあげる。この世には永遠の闇しかないの。」 涼治:「お前、闇の能力者か?」 グロウ:「ええ、そうよ。蓮華ちゃんと涼治君、あたしに勝てるかしら?あたしは洗脳されたわけじゃないけど、 彼の闇が増徴しないためにも、彼の心の闇を闇に消してくれたドリーム様についていくと決めたの。」 闇の能力者だと認めた誰かは、あたしと涼治の名前を言った。 蓮華:「あたしたちの…知り合い?」 涼治:「待てよ、どこかで聞いたことあるな、その声。」 グロウ:「当たり前よ、クラスメイトだもの。あたしの彼氏は洗脳を受け、それによって今まで苦しみとなっていた心の闇を 失った。でも、そのおかげで彼は助かっているから、あたしはドリーム様についていくって決めたの。」 声が聞こえたと同時に今度は、闇が消えた。 そして目の前には、長い黒髪の少女が立っていた。 服装はスペース団のコスチュームだったが、顔をさらしていた。 涼治:「お前…」 蓮華:「嘘、香玖夜ちゃんじゃない!」 香玖夜:「ヤッホ〜、あたしが闇の能力者だったの。でも、闇の力は能力者の中でも忌み嫌われるものだったし、 あなたたちがポケモン世界で出会った闇の能力者のことを現実世界で話したことで、みんなは闇を悪と思うようにもなった。 あたしの存在はないものにしないといけなかった。だから、あたしは今まで話さなかったの。」 そして、あたしたちの目の前で香玖夜ちゃんはポケモンを出した。 ブラッキーだった。 香玖夜:「この子の名前はダーク。あなたたちと戦ったダークよ。」 蓮華:「嘘…」 香玖夜:「あたしは偶然ポケモン世界にやってきて、惹かれるようにこの子の元に導かれた。あたしと同じ、闇の能力を持っていたから。 あなたたちに言うわ。あたしは手加減しないから。それと、あなたのお兄さんに伝えて。 あなたの親友と、もう一人、サッカー部に所属している親友が、今はあなたのお兄さんを憎むようになってるって。」 涼治:「何故そんなことを言うんだ?」 香玖夜:「何故かしら…?気まぐれかな。ドリーム様には許可を得てるけどね。それじゃ、ラフレシア、花びらの舞よ。」 香玖夜ちゃんのラフレシアの花びらがあたしたちを包み、花びらが消えると同時に香玖夜ちゃんの姿も消えていた。 あたしと涼治がそのことを哲兄たちに話すと、みんなはやっぱり青ざめていた。 特に、哲兄が。 玲奈:「寝れないの?哲也。」 哲也:「いや、健人はともかくさ、今まで能力者じゃないって思ってた一志が、実は能力者で、しかも俺を狙ってるって、 恨んでるって聞いて、何かな。どうしようもない、どうすればいいかも分からない気分なんだ。」 玲奈:「今、みんな葛藤しながらここにいるの。哲也だけじゃないわ。気にしないで。」 哲也:「あ、ああ。」 みんなが悩んでる。 みんなが葛藤してる。 戦う事を決める事ができたのは蓮華ちゃんとヤツデ君、綾香ちゃん、海ちゃんくらいだけ。 後はみんな、悩んでいた。 でも、結局戦う事になりそうだ。 この世界を守るために、あたしたちは集まったのだから。 今までにない戦いだと思う。 だって、妖怪との戦いでは大きな戦いはなかったと聞くから。 この戦いが、世界を決めるのかもしれない。 あたしも…頑張ってみようかな。 この神秘の力が目覚めたばかりだけど、セレビィとロゼリアとハピナスと一緒に。 (by律子)