ナナ:「全員集まったわね。」 次の日の朝、半壊したポケモンセンターのロビーには能力者メンバーが全員揃っていた。 ナナ:「みんな、スペース団と対決を決めたってことよね?」 律子:「そういう風に見ていいんじゃない?この中で最年長はナナなんだし。」 氷雨さんたちは既に別口で動いてるから、あたしが一番年上なのよね。 ナナ:「それもそうね。」 昨日のうちにあたしの正体と能力は細かいところまでみんなに話しておいたのだ。 驚いた面々も数多くいるし、一番驚かせたのは実年齢が20歳だった事だ。 でも、4年間は昏睡状態でそのままの姿で寝てたんだから、16歳なんだけど…。 ナナ:「スペース団との戦いでは何が起きるのか分からないし、今分かってるだけでも仲間や親友だった人が敵として 存在している事も事実よ。各島の戦いからも分かったけど、団員たちのレベルも上がってるから、苦戦を強いられる可能性もある。 でも、ここはあたしたちの力で乗り切るわよ。全世界がドリームたちスペース団の手に落ちないためにも。」 全員:「オ〜!!」 その時だった。 ナナシマ編 14.決戦の始まり ??:「ちょっと待ってくれよ、俺も参戦するぜ。」 誰かがポケモンセンターの中に入ってきた。 そしてポケモン世界の住人以外は、入ってきた彼の姿を見て驚いていた。 蓮華:「嘘…」 哲也:「え、こいつって…」 美香:「死んだはずじゃ…」 菜々美:「生きてたの?」 ??:「生きてたよ、ナナのおかげでな。」 入ってきたのは、数ヶ月前にあたしがホウエンに送り出したストールだった。 ストール:「俺も参戦していいだろ?それに、ナナの家が大変な事になってたぞ。」 ナナ:「えっ?」 あたしの家が?どういうことだろう・・・? ストール:「ナナの家のあのドアの事を奴らが突き止めたらしくてさ、特殊部隊がナナの家の周囲に隠れてたんだ。 俺が駆けつけたときには来美さんが倒れてて、他の能力者だと思う奴らが連れて行かれる姿だったんだ。」 ナナ:「嘘…」 ストール:「それで、来美さんを連れてきたんだ。」 あたしたちが外を見ると、ジョーイさんが来美さんの様態を見ているところだった。 ストール:「特殊部隊は俺が倒してきた。俺の能力で奴らの身体能力の発達したところを盗んで、動きが鈍くなったところで 気絶させてきたから大丈夫さ。」 ナナ:「そう、ならいいわ。」 と、ふと気づくと理由の分からない視線を向けている人が多かった。 だからあたしは、ストールとの関係と、あの時の本当のことを話した。 流石に蓮華や律子まで、罰の悪そうな顔をしていた。 蓮華:「あたしたちにまで秘密だなんて…」 律子:「ちょっと隠し事をしすぎだよ。」 ナナ:「ごめん、ごめん。でも、新たに2人、仲間が増えたわ。ストール、手伝ってくれるわよね?」 ストール:「ああ、そのためにホウエンから来たんだ。あ、ナギの姉貴から伝言。”久しぶりに手合わせ願いたい”だってさ。」 ナナ:「分かったわ。」 7の島スペース団本拠地付近の海岸には、たくさんのスペース団員が配置につき、海岸を埋め尽くしていた。 そしてそこには幹部ではないが下っ端軍団の隊長スペントがいた。 スペント:「がはははは、これだけの団員を相手に上陸するような愚か者がやってくるとは、倒しがいも殺しがいも あるというものだな。」 彼らスペース団員達はこの状態なら能力者が何人来ても大丈夫だろうと思っていた。 そんな彼らの前に、突然水柱が立った。 スペント:「来たぞ!一斉射撃の準備だ!」 しかし、身構える彼らの前に現われたのは、小さな小島に乗ったレオタード姿の少女、綾香だった。 綾香:「みなさん、こんにちは!今からあたしのとっておきの物をみせま〜す!」 彼女の出現には流石に団員たちも不意を突かれるような形になり、同時に緊張の糸を切る羽目になっていた。 綾香:「いっきま〜す!まずは鬼火のジャグリング!そして炎のフラフープ回しで〜す!」 鬼火をお手玉にジャグリングをはじめ、鬼火をどこかに飛ばすと、炎のフラフープをまわして魅惑の腰つきを演じ始める綾香。 今度は炎のついたバトン演技をやり、小さな小島の上で落ちかけながら演技を繰り返し、柔軟な演技を繰り返す。 綾香:「次はリボン演技で〜す!あたしの芸がうまく行ったら、皆さん手を叩いてくださいね、こんな感じに!」 綾香は軽く手を叩き、彼女の手からは綺麗な蛍火が放出していた。 しかし、海岸は既に綾香による蛍火空間、陽炎イリュージョンの状態になっていて、スペントを含めるスペース団員達は 戦わなければいけないことを忘れていた。 綾香はそんな彼らを横目に、取り出した長いリボンで演技を繰り返しながら、鬼火を回し続けるリボンの上で傘回しのように 落とさないように回し続ける。 綾香がここにいるのには、こんな理由があった。 数時間前のことだった。 氷雨:「7の島に上陸できるルートは二つだけよ。一つは港に近い海岸から。もう一つは遺跡の島が多くある島の裏側から。 そのどちらかに上がるためには誰かが敵の目を引き付け、そこに奇襲を仕掛けるしかないわ。」 能力者がスペース団の中にいるにしても、レーダーには映らないと言う特性を持った妖怪の氷雨たちが偵察に行ってきたのだ。 ナナ:「でも、誰かそれをやる?」 綾香:「あたしがやるわ!」 それを立候補したのが綾香だった。 しかし、綾香の立候補にはすぐにクレームが出ていた。 清香:「駄目よ、まだ能力が未熟なあなたには。」 海斗:「同感だな。綾香にはサポートを頼んだ方が良さそうだ。」 久美:「そうね。綾香の蛍火では向こうに能力者がいたとしたらさらに危ないわ。」 結集したメンバーの中で攻撃力を持たない綾香(一番攻撃力がないのはヤツデ)を敵の前に晒すのは危険だと、高校生組は 思ったのだ。だが、綾香は引かなかった。 綾香:「彼らの目をひきつけるなら、あたしの蛍火イリュージョンを行うのが一番確実だと思うの。確かにあたしは攻撃力を 持たないわ。でも、自分の力でやれるときにはやれるだけやりたいの。あたしは怖くないし、人の目をひきつける体操の演技力があるし。」 綾香は清香や久美が何度反論しても引く事はなく、結果的には綾香がやると決まったのだ。 綾香:「それじゃ、頑張りますね。ミロカロス、手伝って!」 綾香は決まったと同時にミロカロスを出していた。 清香:「えっ?あなたのポケモン、ヒンバスじゃなかったの?」 綾香がヒンバスをゲットしてまだ数日しか経っていないのだ。 ほんの数日でヒンバスがミロカロスに進化することはないのだが…。 だが、それを可能にする能力が綾香にはあった。 綾香:「あたしの蛍火の力には副作用があるんです。あたしの力は生命にほのかな安らぎの光をイメージを与えられるから、 野生の生き物やポケモンも、あたしにはすぐ懐いてくれるんです。だからヒンバスがミロカロスにすぐに進化したんです。」 そして綾香は小さな小島と小道具を準備し、ミロカロスに乗って7の島に向かったのだった。 綾香:「(これくらいでいいかな?もうあたしの術にはかかったみたいだし。)皆さん、最後の演技を行います。 蛍火の暖かな光よ、生き物に安らぎを与え、同時に遥かなる眠りを与えよ!蛍火マジック!」 綾香の体全体から放出された暖かな光と蛍火が海岸中のスペース団員を覆うように包み、彼らを次々に眠らせていったのだ。 そして、彼らに隙が出来たことで、蓮華たち他のメンバーはその海岸を飛翔したりして乗り越え、またはポケモンのテレポートや なずなによるテレポートによって、7の島に上陸、進入を果たしていった。 だが、その時だった。 突然、小島の周囲で爆発が起こり、その音で何人かの団員が目を覚ましてしまったのだ。 綾香:「きゃっ!何者!」 ??:「まさか、綾香が出てくるとは思わなかったわ。今の爆発でも団員の半数も起こせなかったし、あなたもやるようになったわね。」 この声、聞き覚えがある! 綾香:「その声は香玖夜ね!」 香玖夜:「ええ、あなたがここで団員の目をひきつけておく予定だったんでしょ?流石にそれにはやられたわ。 既に7の島各地にテレポートで能力者たちが侵入してしまったもの。本部も画面越しに司令室の団員が蛍火でやられてしまった。 でも、その分のお返しはあたしがさせてもらうわ。そこの団員たち、あの子に一斉攻撃よ!」 香玖夜の言葉と共に、一斉にあたしに向かって総攻撃が放たれていた。 綾香:「ミロカロス、神秘の守りよ!そしてドクケイルは吹き飛ばし、ペリッパーは水の波動よ!」 あたしはそれらを頑張って防いでいた。 いつの間にか香玖夜の姿はない。 あたしも一応香玖夜の彼氏のことは知ってる。 あたしの兄貴は、香玖夜の彼氏の兄貴が生きてれば同級生になるはずだったらしいから。 そのことで香玖夜の彼氏の家は暗くなったけど、香玖夜の彼氏が無理をして明るくしたらしい。 そのことが闇を作っていたようだ。 あたしのほのかな明かりがあっても、人を失った悲しみはなかなか癒せるものではない。 香玖夜もそれを知っていて、結構つらかったんだと思う。 だけど、忘れていいものではないよ。 同時に、彼氏のことと香玖夜のことは別だもの。 スペース団にいて、あたしたちの敵になることは許しちゃいけない。 だけど、少しずつ、あたしは押され始めていた。 向こうの下っ端団員たちが続々と目を覚まし始めていたのだ。 綾香:「お願い…誰か早く来て…!」 あたしは強く祈った。 その時、海の下の海流が大きく動いた事に、綾香は全く気づいていなかった。 彼女の光が少しずつ、かすかに海中に放出されていた事にも…。 その頃。 上陸を果たした能力者たちは一人、あるいは二人で行動し、スペース団員を倒したり、本部に乗り込む手はずを整えたり しようとしていたのだったが、能力者の存在を感知したドリームによって、能力者たちの目の前には実力のある団員が 立ちはだかっていった。 蓮華:「まさかあなたともう一度戦う事になるなんて思わなかったわ。」 キレイハナ:「言えてる。」 あたしの目の前にエネコロロを伴って現れたのは、前回戦った経験のあるレイクだった。 今回は戦うために来たような感じで、前みたいなおとなしい感じには全く見えなかった。 レイク:「それは私も同じよ、草使い。今度と言う今度は私の研究のためにも、スペース団を潰すわけには行かないの。 あなたをここで倒してあげるわ。」 美香:「山風財閥のお嬢様がこんなところにいたとはね…」 あたしの目の前に現れたのは、お母さんに連れられて一度だけ行った各財閥が集まって行ったパーティで見かけたことの ある人だった。明らかに他の会社の社長の息子のアプローチを馬鹿らしそうに見ていて、多分、あたしの同類なんだろうな って感じがした。 ??:「何の話かしら?あたしはプラント。あなたをここで切り刻んであげるわ。」 プラントの周囲を空気の渦が回りだした。 美香:「なるほど、風使いなのね。でも、あたしも容赦はないわよ。」 あたしは炎の弓矢を手に取った。 ??:「お主たちに罪はないが、親友を守るためにここでお前たちの命を頂く!」 突然あたしとなずなの前に現われたのは、ソードと名乗る団員だった。 ただ、すぐに彼女は妖怪だと察した。 冷気を纏い、同時に両手が鎌になっているのだ。 妖怪同士のハーフのようだった。 海:「出てきて、亀甲壁!」 あたしは式神でその攻撃を受け止めた。 なずな:「あなたは洗脳を受けていないのね。」 ソード:「ああ、その代わり、親友を守るためにここに入った。私がお前たちの元に転がれば、私の親友は消されてしまう。 だから私は親友のためにお前たちを倒す。ニューラとオニドリル、奴らに攻撃だ!」 ボールから飛び出したニューラとオニドリルが、まっすぐあたしたちに向かってきた。 海:「なずな、やるしかないよ!」 なずな:「そうだね、ムウマ、出てきて!」 海:「カポエラー、迎え撃つよ!」 哲也:「お前は…一志!」 行動に移ろうとした矢先、俺に向かって炎の攻撃が放たれ、現われたのは紛れもなく、親友の一志だった。 だが。 ??:「一志だと?誰の事だ?俺はフレイム、風使いよ。俺はお前を見るととてもお前を憎く思えてくる。 多分過去に因縁があるのだろう。俺の失われた記憶の中に、お前に何かをされた記憶があるならば、今ここで その因縁を消す。風使い、覚悟しろ!」 一志は俺に攻撃を続けている。 俺はかわすしかなかった。 親友に攻撃をするなんて、できるわけがない! 悠也:「何でお前がここに!」 ??:「さあね?別にいいじゃん。」 悠也:「結人、お前が今所属してるのは悪の組織なんだぞ!」 俺の目の前に現れ、立ちはだかった団員は、紛れもなく俺の知り合いだった。 知り合いと言うより、俺の幼馴染で、同じ風使いの一族として接している妖怪、天狗の結人だった。 なのに、どうして結人が…。 結人:「悪いけど、悠也。俺は結人じゃなくてユウタルに生まれ変わったんだ。」 悠也:「結人…」 結人:「俺さ、お前のこと嫌いなんだ。だからここでお前を潰してやるよ。そしてお前を潰し、俺が風使いの一族を 乗っ取らせてもらうよ。」 悠也:「結人、どうしてだよ!俺たち数日前に友情の誓いをしたば…」 結人:「あれのこと?あれは遊びだ。俺はお前を破滅させるためにわざとやってやっただけさ。」 悠也は結人の言葉を聞くうちに頭に血が上り、数秒後には結人に飛びかかっていた。 結人:「うわっ、ここはポケモン世界だぞ。ポケモン勝負ってのもできないんだな。だからお前は跡継ぎに指名されにく かったんだよな。アリアドス、そこのプライドだけしかない奴に攻撃だ。」 この時、悠也がいつものように冷静でいれば、結人の言葉が敵意を持っていないことにも、遊んでる時と同じ口調である事にも 気づけただろう。 しかし、悠也はそのまま結人に対し、カブトプスで攻撃を始めていた。 菜々美:「ここは絶対に通さないから。」 周囲から音が聞こえる。 みんながバトルをしてる。 そしてみんなが苦戦したり、接戦になったりしてる。 そしてあたしの前には健人がいた。 でも、あたしのことなんてすっかり忘れたみたいで、あたしを睨みながら、 健人:「邪魔だ、すぐにそこをどけ!」 と言い放った。 だから。 菜々美:「あたしはここを絶対通させないわ!通りたかったらあたしに勝ってから行きなさいよ!」 と言ってやった。 菜々美:「あたしは音使いの菜々美。マリルリ、バタフリー、出てきて!」 すると、健人もポケモンを出してきた。 出したのはエビワラーとサイホーンだった。 相性的にはあたしの方が有利だったけど、バトルは健人の方が強い。 でも、あたしは負けるわけには行かない! 絶対に健人を元に戻すんだから。 健人:「俺を相手にか?いい度胸だ。俺はロック、すぐにお前を倒す。時間もそうかからないだろうな。」 健人はそう言って、向かってきた。 でも、負けない!負けるわけには行かない! 綾香:「どうしよう…このままじゃヤバイ!」 浮き島の上であたしは苦戦を強いられていた。 すでに団員たちの半分はミロカロスの波乗りがなぎ払ったけど、あたしはドクケイルとペリッパーを倒されてしまい、 ミロカロスの自己再生を繰り返させながらバトルを続けていたけど、そろそろ限界だった。 そして海岸には、スペントと名乗るおじん団員が他の団員に指示を出していた。 スペント:「あのトレーナーはそろそろ倒れるぞ!一斉に攻撃だ!」 再び攻撃が来た。 今度はもう防御できない! そう思ったときだった。 ??:「そなたが温かき炎の持ち主だな。我が手助けをしてやろう。」 水中から響くような声がして、突然水竜巻が出現し、そしてスペース団員たちの攻撃を次々となぎ払っていった。 綾香:「あなたは…?」 あたしは聞いたけど、竜巻の中に見えた姿は紛れもなく、あのポケモンだった。 あたしの炎の叫びが、祈りが、海流の下にいる彼を呼び起こしたのだろう。 綾香:「ありがとう、ルギア!」 あたしは強力な助っ人をなかまにした。 このまま押し進めて、あたしは香玖夜を探しに行く! もう一度会って話したいから。 香玖夜を彼氏の呪縛から解き放つためにも。 ナナ:「生きてたの?ていうか、スペース団にまだ属してたのね。」 ??:「私は死なない。同じ幹部だったドリームの配下になったとしても、世界を征服できるドリームの元で、それに力を貸す方が 私の性にあっている。」 ナナ:「そう、でも、それは阻まらせていただきます。」 あたしの目の前に現れたのは、サカキさんや涼治君を倒した経験のある元幹部のボムだった。 まさか彼女がいるとは思ってなかった。 でも、あたしの代わりに出していたヘラクロスとカイロスがナッシーの大爆発で倒された以上、他のみんなが戦うには 厄介であるこいつは、あたしが倒す! あたしは強く心に決めた。 ナナ:「ポケモンマスターの実力がどこまですごいのか、しっかり見せてあげるわ!」 律子:「うわぁ、まるでハイエナね。いや、ゴキブリかな。うじゃうじゃいるわね。」 あたしはセレビィの力を借りて、7の島の町に侵入していた。 そして偶然にも、人質として島民が監禁されている施設を見つけたのだ。 食べ物も与えられず、死にそうな表情を示している島民たちがいるのに、スペース団員達はそんな彼らを苛めて遊んでいる。 あたしは見ていられない! 他のみんなは多分どこかでバトルをしているから、ここに呼ぶわけには行かない。 あたしだって能力者よ。 仲間だって3人いる。 あたしはここの人たちを解放するために頑張らなきゃ! 律子:「スペース団、覚悟!」 あたしは施設の天井から出て、下っ端団員たちが一杯いるところに飛び込んだ。 このまま団員たちを一掃してしまおうかしら? 律子:「セレビィ、ハピナス、ロゼリア、遠慮は要らないよ!」 相変わらず一直線な奴だ。 コタロウもまっすぐ過ぎる馬鹿だったけど、こいつも馬鹿だったなって、ものすごく僕は思う。 ワンパターンな攻撃しかやらないのがこいつの特徴だったっけ。 ユウ:「さっさとバトルを終わらせてやるからな。覚悟しろよ!タロス!」 僕は目の前にいる、ケンタロスを引き連れたタロスに対して言い放った。 攻撃してこない理由は、僕のボーマンダが睨みをきかせているからだ。 スペース団時代の時から僕のボーマンダはタロスのケンタロス軍団に睨みを利かせていたくらい。 タロス:「くそぉ…、ユウ、お前は俺が倒す!絶対倒す!」 ユウ:「できるかな?ボーマンダ、行くぞ!」 余裕かまして油断したりはしないけど、この勝負は楽に終わらせてやるぞ! ヒカリ:「色ボケ女に出会うなんて、あたしもついてないなぁ。」 あたしの相手はよりによってセイラムだった。 でも、それはセイラムも同じだったようで、 セイラム:「こんなガキに出会うなんて、あたしのお肌のすばらしさと美貌が理解できないお子様は嫌いだわ。」 と言っている。 ガキとかお子様だとか、すごく頭に来るわね。 ヒカリ:「前回はポケモンの邪魔が入っちゃったけど…」 セイラム:「今日という今日はあなたにあたしのすごさを思い知らせてあげるわ!」 ヒカリ&セイラム:「あんたみたいな洗濯板(腐って変色したマネキン)には負けないわよ!」 島の一角で、女の意地と意地の張り合いが行われようとしていた。 ライ:「アタイの相手はあんたのようだね。」 ヒカリとユウとはぐれたライが出会ったのは、笠を被り、歴史の教科書に出るような農民の子供スタイルをした少年団員だった。 ??:「俺はレイン。あなたは俺の力で屈させてやるよ。」 ライ:「アタイは屈しない!悪い奴の手先になる奴は、絶対に生かしたくない!だから負けないぞ!」 レイン:「強がりだね、でも、本当にそんな事が言えるのかな?」 レインが持っていたヤツデの葉の団扇を振ると、ライに向かって雨が横雨となって、ライに襲い掛かっていた。 レイン:「妖怪雨降り小僧の僕の力で、君はポケモンを出す前にお陀仏だね。」 玲奈:「悪いけど、あたしたちには彼氏がいるから。」 清香:「そういうこと、だからあなたたちの彼女にはなれないわよ。」 あたしと清香の目の前に突然テレポートしてきたのは、年がそう変わらなそうな二人の少年だった。 彼らは操り兄弟のバイツとベイルだと名乗っていた。 バイツ:「それじゃ、君たちの記憶を書きかえてやるよ。」 ベイル:「そうだな、邪魔な彼氏はもうその辺で野垂れ死にしてるかもしれないしさ、俺たちが君たちを俺たちの彼女として 永遠に扱ってやるよ。」 そして、あたしたちが彼らのナンパを打ち砕くと、彼らは妙なオーラを出しながら近づいてきていた。 玲奈:「やる気ね。」 清香:「玲奈、ここは二手に分かれるわよ。そして倒したら再び合流しましょ。」 玲奈:「ええ、洗脳を打ち消す力を持ってるあたしたちがここで倒れるわけには行かないものね。」 清香:「そういうこと、トゲチック、フラッシュよ!」 清香が出したトゲチックが、この場所を中心に広くフラッシュを放っていた。 バイツ:「なっ、…待ちやがれ!」 バイツはその場から逃げたあたしを追いかけてきていた。 ということは、清香の相手はベイルね。 あたしは適当な場所で迎え撃つ事に決めた。 清香、すぐに戻るからね! 嫌な奴に出会った。 ものすごくそう思った。 2の島で、俺のペースを散々狂わせたあいつに、再び会うなんて思ってもみなかった。 ヒータスなんかに会うなんて…。 涼治:「今度こそ、お前を倒す!」 ヒータス:「ふぅ、ドルク、僕は君に倒されはしないよ。その逆に、僕が君を倒してあげるよ。そして僕が再び君を スペース団員にしてあげよう。」 涼治:「誰がお前なんかに!」 ヒータス:「怒った姿も可愛いね。ドルク、さぁ、かかってくるんだ!」 ハァ、調子が狂う。 でも、やらなきゃな。 みんなが頑張ってるし、俺は平和を願うために戦いに参戦したんだから。 ここで俺が頑張らなきゃ、みんなに申し訳がないし、蓮華に悪い。 涼治:「ヒータス、俺は宣言どおりにお前を倒すからな!」 ??:「来美は少し優しく笑った方が、俺は好きだよ。」 そう言ってくれたあなたが、あたしの敵になるとは思ってもみなかった。 今、現実世界にもドリームの力が浸食されつつあった。 現実世界とポケモン世界をつなぐあのドアから、ドリームの力が漏れ出し、そしてあたしたちの町にいた、他の能力者たちが その力によって自意識とは別に誘い込まれた。 そして捕まった。 あたしはあたしの彼氏であり、風の能力者でもある彼と一緒にスペース団特殊部隊と戦った。 でも、彼らの攻撃にあたしは負け、彼はあたしを助けようとして倒されてしまった。 その時にストールが助けに来てくれた。 でも、彼は、秋一は連れ去られてしまった。 今あのドアはストールが外してくれたから、現実世界に侵食される事はないと思うけど、それだけドリームの力が強力に なっているのなら、今まで参戦していなかったあたしも参戦しなきゃ! ものすごくそう思った。 そして今、あたしの目の前には秋一がいる。 ウォースと名乗り、ギャロップに乗り、あたしを睨みつけている。 いつもの優しい彼じゃなくて、あたしを心底憎むように洗脳された、一人の団員として。 来美:「秋一、どうしてあたしの事が好きなの?」 前にそう尋ねた時、彼は、 秋一:「来美は俺の全てを知っても、俺が過去に何をやったのか知っても、全てを包み込んでくれそうな、広大な海のような、 そんな人として感じるんだ。だから、俺はたくさんの女性の中からお前を選んだ。」 こう言っていた。 でも、結局彼の過去については聞かなかった。 それも洗脳には関係しているのだろうか…。 全てを知るには、そして、秋一を助けるには方法は一つしかない。 あたしが秋一を元に戻すこと。 来美:「負けないから。」 あたしが今、彼に言えるのはこれだけ。 彼はあたしに何も言わない。 ただ、睨みつける視線がさらに強くなっただけ。 でも、あたしは屈しないよ。 秋一、いえ、ウォース、あなたの心を水で洗い流してあげるわ! 志穂:「陽気な人ね、でも、あなたの行動や口調に翻弄されるあたしじゃないわ!」 あたしの目の前に現れたのは、サンバを踊る団員だった。 見覚えがあった。 3人組で行動している人の一人、ブラストだ。 でも、この人はすごく弱い。 他の二人よりもすごく。 だから早く片をつけないとね。 でも。 ブラスト:「そうかな?」 ブラストはあたしの言葉に意味深な表情を向けていた。 どうやら、何かを企んでるようだ。 あたしも油断できないわね。 スパイル:「裏切り者の処刑人をすることになるとは思わなかったよ。」 俺と美咲が本部と思われる建物に近づいた時だった。 真っ赤なバラと共に、オーロラのホログラムと共に現われたのは、ナルシスト団員のスパイルだった。 スパイル:「君たちのような裏切り者は生かしておけないからね。まぁ、簡単な事だろうな。」 拓也:「それは違うな。」 美咲:「そうね、スペース団にいたときよりもあたしたちは強くなってるわ。」 拓也:「エレクとして。」 美咲:「フレイとして。」 拓也&美咲:「俺(あたし)たちは負けない!」 スパイル:「ふっ、美しくないね、究極の愛を探し、神秘的な密林を駆け抜けるスペース団のスパイルが、オーロラの風に乗って 君たちを処刑してやるからな!」 スパイルは俺たちの言葉を聞いても全く動じず、処刑と連呼していた。 拓也:「美咲、久しぶりにやるぞ。」 美咲:「ええ、そうね。」 俺たちは久しぶりの口上をすることにした。 拓也:「処刑するだとかと言われたら。」 美咲:「答えてあげるが大事なこと。」 拓也:「宇宙の神秘を守るため」 美咲:「宇宙の汚れを浄化するため」 拓也:「愛とナチュラルな正義を貫く」 美咲:「究極のスペシャルなソルジャー」 拓也:「雷使い、拓也!」 美咲:「炎使い、美咲!」 拓也:「天の川を駆け巡る元スペース団、現在大好きクラブ会員の二人には」 美咲:「イエロー&レッド、最高の夜明けが待ってるわよ!」 拓也:「決まったぜ!」 口上が終わってすぐ、俺たちは攻撃に移した。 パートナーと共に。 浅香:「あなたが香玖夜さんですね。」 香玖夜:「ええ、こうして会うのは初めてね、あたしの対となる能力者さん。」 あたしが偶然出会ったのは、あたしの光の力と対となる、闇の能力者だった。 すぐに誰か分かった。 そしてやっぱりそうだった。 浅香:「光と闇は対なるものですね。」 香玖夜:「そうね、そして同時に敵対する力でもあり、この世になくてはならない力でもあるわ。」 浅香:「そうですね。…あなたがどうしてスペース団にいるのかは別として、あたしはあなたにバトルを申し込みます。」 香玖夜:「えっ?元々あたしはあなたを倒すために来たのに?」 浅香:「光と闇、どちらの力が強いのかを試すため。そして個人的にポケモン勝負がしたいんです。 あたしと対になる、闇の能力者とは、一度手合わせしたかったってことです。」 香玖夜:「そう…負けられないわね。」 ヒカリとセイラムに続き、もう一組、光と闇による因縁の戦いが始まろうとしていた。 ブレイク:「食らえ!この馬鹿力を!カイリキーもクロスチョップだ!」 晃正:「負けない!必殺、トールブラスト!ダグドリオは穴に潜って地震だ!」 俺の相手は元幹部クラスのブレイクだった。 俺はケンタウロスの姿になって、ブレイクに立ち向かっていた。 でも、既に右腕と4本の足のうち、2本を折られてしまっていて、動くに動けない状態だった。 だけど、俺の武器「アーストマホーク」による大地の攻撃でブレイクの馬鹿力を受け止めるしかなかった。 このままだと負ける。 でも、俺は絶対に負けない! 負けると信じたらいけない。 戦うと決めたからには、戦いの戦士であるケンタウロスは弱気になってはいけないんだ! 鈴香:「スカイ、超音波よ!」 ヒュンレイ:「そんな攻撃ではこのメカを壊せはしない!」 あたしの相手はヒュンレイって言う団員だった。 しかも、ずるい事に、ヒュンレイはカイリキー型のメカに乗っていた。 あたしは音の力でひびを入れようと頑張っている。 あたしだって、できるって事を教えるために。 そして、同時に、あたしが成長を遂げるために。 平和の歌を伝えるセイレーンとして。 雪美:「う〜ん、…あたしの相手、あなたなんだよね?」 目の前のそれは頷いていた。 どうしてあたしの相手は人間じゃないのかな? どうしても分からなかった。 あたしが出会ったのはゲンガーだったのだから。 雪美:「あたしを倒すために来たんだよね?」 頷くゲンガー。 雪美:「それじゃ、どうしてあなたのトレーナーは出てこないの?」 すると悩みながら、結局分からないを意味する、両手の平を上に向けたポーズを取るゲンガー。 雪美:「ふぅ〜ん、…それじゃ、バトルよ。」 あたしはサイドンを出した。 流石にあたしがサイドンを持ってるギャップに驚くゲンガーだけど、サイドンのレベルの高さを感じたのか、ゲンガーはやる気を見せていた。 さて、あたしも頑張らないとね。 この、妙に面白い、そして律儀なゲンガーに翻弄されないように。 各地で戦いが行われていた。 そんな中、氷雨、翼、久美&希の電撃ガールズ、そして海斗&ヤツデは4幹部と対峙していた。 氷雨はガントスと、翼はセクトスと、久美&希はマルトスと、海斗&ヤツデはミアトスと。 強大なバトルの数々は、今、7の島で始まる。 そんな中、実は戦いに出れない本部に留守番の団員がいた。 本部には瞑想のために眠っているドリーム以外には、6人しかいなかったのだ。 しかし、彼らはそれを嬉しく思ってるわけじゃなかった。 そんなときの会話がこれだった。 命令自体がまともに出ていなかったこともあり、忘れられたと解釈されたのだろう。 マユミ:「あ〜ん、どうしてあたしたちには攻撃命令が出ないのよ!」 エイジ:「忘れ去られたようだな。」 カエデ:「あ〜あ、せっかく戦えると思ったのに…」 コタロウ:「ま、気長に待つしかないよ。あの雑魚コンビも出てないんだしさ。」 彼らは戦う事になるのだろうか? それは誰も知らない。    『おまけ』 そして、さらに存在すら忘れられた人物もいた。 ヤマト:「あ〜、あたしたちも出たい!」 コサブロウ:「どうして俺たちの出番はこれだけなんだよ!」 それは…弱いからである。 その受け答えをしたのは、人間にテレパシーで話ができるユンゲラーだったが…。 何でもはっきり言ってしまう性格だった。 ヤマト:「どうしてあたしたちが弱いのよ!」 コサブロウ:「そうだ、そうだ!俺たちはエリートコースを登っていた人物なんだぞ!」 しかし。 …負け続ければ出世コースを転落してもおかしくないな。 それよりも、ヤマト、お前の化粧は濃すぎるぞ。コサンジもそろそろ名前を改名するべきではないか? ユンゲラーは、はっきりそう言って、姿を消すのだった。 コサブロウ:「俺はコサンジじゃな〜い!」