誰も知らなかった事があった。 ヤツデに対してドリームが攻撃をし、海で大爆発が起きた時。 その時に目覚めたものがいた。 ??:「ん?誰だろ〜、あたしがせっかくいい気持ちで眠ってたのにそれを起こしちゃうお間抜けさんは♪」 目覚めた彼女が辺りを見回すと、すぐに傷ついた少年が沈んでくるのに気づいた。 ??:「あらら?あの子、どうしたのかしら?さっきの爆発に巻き込まれちゃったのかな?そうだ、陸地に送ってあげよ〜っと!」 彼女は少年、ヤツデを抱き上げ、海岸まで運び、姿を消した。 その数分後、海斗たちがヤツデを見つけていた。 ??:「それにしてもおかしいわ。この世界には氷雨が来てるって聞いたのに…。ど〜こにいるのかな〜???」 彼女は行動を始めてすぐ、気配を感じて隠れた。 すると。 見たことのない制服を着た青年たちがやってくるのが見えた。 何かを話しているらしい。 そこで岩の反対側から耳を立ててみた。 団員A:「聞いたか?ドリーム様があの雪女を破壊したらしいぞ。」 団員H:「本当か?やったな、これでスペース団の天下は決まったな。」 団員O:「そうだな、妖怪なんて、いたら邪魔だもんな。」 ぷっつり! ??:「氷雨がやられた…。あたしの友人、いなくなっちゃったのか…。それにしても、妖怪なんか?許せないな、あの言葉は。」 数分後。 突如発生した大津波が、そこにいた3人の団員を襲うのだった。 ??:「でもなぁ…。現実世界で寝てたはずのあたしが、どうしていつの間にこっちの世界に来ちゃったのかな? まぁ、いいや。誰かを探してみようかな。」 ナナシマ編 18.新たな導くもの!女の戦い バイツ:「君のポケモンの事はスパイから聞いている。だから俺のポケモンには君のポケモンの攻撃はあまり効果がないよ。 その場で土下座して、この俺に忠誠を誓った方がいいんじゃないかな?」 玲奈:「誰があんたなんかに土下座よ!するもんですか!」 清香と別れ、草原にまで来たあたしは、バイツと戦っていた。 でも、ポケモンバトルを始めようとしてすぐ、バイツはあたしに向かってこんなことを言ったのだ。 あたしの方はパルシェンとアゲハント、バイツはヘルガーとヤミカラス。 相性で言うと、確かにあたしのほうが不利。 でも、ここは負けるわけには行かない! それにしても…スパイなんていたの? 玲奈:「スパイって、どういうことよ!」 バイツ:「そのままの意味さ。お前らの仲間の中にドリーム様に忠誠を誓った奴がいたのさ。そいつに教えてもらったのさ。 貝の妖精だか知らないが、そんなポケモンで俺に勝とうなんて無理だね!」 バイツはそう言って、ポケモンを放ってきた。 バイツ:「ヤミカラスはアゲハントに乱れ突きだ!ヘルガーは火炎放射でパルシェンを煮立ててやれ!」 虫には飛行、氷には炎、と、バイツは攻撃を仕掛けてきた。 でも、そう簡単に負けるわけには行かないのよ。 相性不利でも逆転してやるんだから! 玲奈:「アゲハント、フラッシュよ!パルシェンは自分に渦潮よ!」 ヤミカラスがアゲハントを突付こうとして迫ったが、アゲハントの両羽が強く光った事でヤミカラスは仰け反り、 ヘルガーの火炎放射は、パルシェンの周囲に現われた渦潮によって阻まれていた。 バイツ:「ならば、ヤミカラス、凍える風で渦潮を凍らせろ!そのまま氷の中に閉じ込めておくんだ!」 玲奈:「パルシェン、飛び出…て…」 あたしが指示するよりも早く、ヤミカラスの凍える風は渦潮を固めてしまい、パルシェンは高い塔のような渦潮の柱の中に 閉じ込められてしまった。出ようにも、パルシェンの持ってる技では無理だし…。 バイツ:「これで楽になったな。もうお前はアゲハントでしか戦えないが、この悪タイプの技の威力を上げる力を持つアイテム、 黒い眼鏡をこいつらがつけた以上、フラッシュのような光の攻撃も役には立たないぞ!」 バイツはジリジリと近寄ってきた。 あたしとアゲハントは後ろに下がる事しかできない。 背後は断崖絶壁の崖。 崖下には鋭そうな岩が多く存在している海で、あたしが能力を発揮してもあの岩にぶつかれば切り傷や擦り傷じゃすみそうにない。 ただ、一つだけ、有利なことがあった。 バイツのポケモンは飛行タイプや炎タイプであるが、悪タイプでもあり、虫タイプの技に弱いこと。 そして同時にアゲハントは銀色の風という、虫タイプの技の中で威力の高い技の一つを持っていた。 これを放つチャンスがあれば、バイツを倒せるかもしれないけど…。 バイツ:「これまでのようだな。俺の誘いを断った事を後悔するがいいさ。」 ヘルガーの火炎放射が、ヤミカラスのナイトヘッドが放たれた。 あたしもアゲハントも足がすくんでしまっていて動けないでいた。 このままだと攻撃に当たる。 でも、ここから身を投げるわけにも行かない…。 どうしよう…。 でも、その時に不思議な事が起きた。 目の前まで来ていた攻撃が、急に消滅したのだ。 まるで何かの力によって、阻まれるようにして。 バイツ:「何だ!?一体何が起きたんだ!?」 不思議に思って驚いてるのはバイツも同じのようだけど、あたしも能力を使っていないだけに不思議だった。 ??:「な〜に、不思議がってるのかな?」 そこに誰もいないのに声が聞こえた、いや、響いたのだ。 玲奈:「誰?」 ??:「別に誰でもいいじゃん!てゆ〜か、貝の妖精さん、今その場所は、あなたにとって最高の場所になってるはずよ〜ん!」 遊び半分のようなその声は言い終えるとピタッと聞こえなくなった。 バイツ:「何だ?スパイの奴、こんな事は言ってなかったが…」 玲奈:「あたしにとって、最高の場所…」 バイツ:「まぁ、いい!ヘルガー、もう一度火炎放射だ!」 バイツは再び攻撃に出てきた。 考え事を仕掛けたあたしは出遅れたけど、いつまでたってもヘルガーが火炎放射を放ってこなかった。 いや、放ってるのは姿で分かるけど、ヘルガーの口から出てすぐに、炎が水で消されているかのように消滅していたのだ。 バイツ:「ヘルガー、おい、どうしたんだ!」 バイツは混乱しているようだったけど、あたしにはさっきの言葉の意味がこれでようやく分かった。 玲奈:「そういうことなのね。さっきの声が誰なのかは分からないけど、あたしの味方のようだし、これはさっきの人のおかげ…。 アゲハントは戻って、サクラビスとハンテール、出てきて!」 あたしは、水中戦向きの二人を放った。 するとあたしの予想通り。 二人はまるで水があるかのように、空気中を水中と同じように泳いでいた。 バイツ:「何だって!?」 玲奈:「分かってないようね。この辺り一帯は今、水中の擬似空間に変化しているの。だから炎が存在する事はできないわけよ。 その代わり、あたしの水ポケモンには水中と同じ行動ができるの。サクラビス、ハンテール、渦潮よ!」 サクラビスとハンテールはバイツたちの周囲をグルグルと泳ぎ始め、巨大な渦潮の水竜巻に包まれていった。 バイツ:「何!?」 玲奈:「水の中ではこちらの方が有利。パルシェン、出てきて!トゲキャノンよ!」 あたしは今ならパルシェンを救えると察し、トゲキャノンの指示を出して、パルシェンに周囲の氷を割らせる事に成功した。 バイツ:「そんな…!?」 玲奈:「うふふ、これでおしまいよ!パルシェン、オーロラビーム!サクラビス、ハンテールはハイドロポンプよ!」 水竜巻に包まれたバイツたちは、3匹の水ポケモンの攻撃によってどこかに吹っ飛ばされていくのだった。 奴らを倒すと同時に、水中擬似空間も姿を消したようだった。 玲奈:「みんな、どうもありがとう。戻って!」 ポケモンをボールに戻すと、周囲を見回してみた。 でも、周囲には誰もいなく、もしや崖下かと思ったけど、そこにも誰の姿もなかった。 玲奈:「あれっ?おかしいな…。」 あたしはすごく疑問に思ったけど、そのまま清香のいる方に戻る事にした。 清香はベイルを倒せたのかな? 玲奈がバイツと対峙していた頃。 清香はバイツの弟のベイルと対峙していた。 ベイル:「俺と兄さんを別々にしても、俺の目的は変わらないよ。君は俺のものにしたいからね。」 清香:「そんなこと、あたしは全身全霊で拒否するわ!」 ベイル:「そうか、それじゃそんな事が言えない様にしてやるよ!」 ベイルはあたしに対してのアプローチをやめず、流石に嫌だったあたしが拒否し続けると、3匹のポケモンを出して襲い掛かってきた。 相手はハッサム、ストライク、デリバードだった。 ベイル:「さぁ、俺のものになるなら今のうちだよ。じゃないと、君の体は切り刻まれる事になるんだからさ。」 清香:「…キモい!あたしは絶対に嫌!プテラ、トゲチック、オムスター、出てきて!」 あたしはベイルに対し、トリプルバトルをすることに決めた。 ベイル:「ストライク、ハッサム、銀色の風だ!デリバードは凍える風で攻めろ!」 清香:「トゲチック、神秘の守り!そしてオムスターは原始の力!プテラは超音波よ!」 岩タイプに虫タイプの攻撃の威力は薄いだろうけど、切れ味のありそうな翼による銀色の風と、それと共に吹き荒れる凍てついた 風は、周囲の木々をなぎ倒しながら向かってきた。 それらをトゲチックの神秘の守りが防御し、プテラの超音波がハッサムとストライクに、原始の力がオムスターに襲い掛かるのだった。 でも、超音波は銀色の風と相殺される事になり、原始の力もその3つの風に粉々に崩されてしまうのだった。 ベイル:「どうやら互いの力は互角のようだな。」 清香:「そのようね。」 ベイル:「しかし、これならどうだ!デリバード、吹雪!ハッサムとストライクは剣の舞だ!」 清香:「トゲチック、光の壁よ!」 何をするつもりだろうか? 咄嗟にあたしは光の壁で攻撃を防いだけど、ハッサムとストライクが何かしようとしているのが分かった。 でも、何なのかは分からない。 ベイル:「ハッサム、ストライク、高速移動だ!そしてハッサムはプテラにメタルクロー、ストライクはトゲチックを切り裂け! デリバードはオムスターに吹雪だ!」 清香:「えっ、ちょっと…あぁ!」 あたしは素早いスピードでプテラとトゲチックが倒されてしまい、指示が出せなくて、オムスターも氷付けにされてしまった。 プテラも鋼の技で一撃で倒れてしまったし、咄嗟に自分から堪える攻撃を使ったトゲチックが何とか残ってるけど、今の状態では あたしは勝てないし…。 化石の能力者のあたしのポケモンは化石ポケモンたちばかり。 だけど、そのポケモンはこの3匹だけで、後のポケモンはまだ、復元していない。 だから、本当ならいるはずのカブト、リリーラ、アノプスがまだ使えない。 このままじゃ、負けちゃう! 綾香やヤツデ君にはできるようなことを言ってたけど、こんな状態になったら、逆にあの二人の方が強く感じてきちゃう。 せっかく教える側にいたのに、これじゃ、あの二人に何も教えられないじゃん! ベイル:「どうした?攻撃してこないのならこちらから行くぞ。」 清香:「う…」 ベイル:「デリバード、吹雪だ!氷の彫像として俺の部屋に飾ってやるよ!」 避けなきゃ!って思った。 でも、あたしは負けを認めちゃったのか、体が動かなかった。 その時だった。 ??:「飛び出せ、噴水!」 子供番組で聞くような明るい声と共に、地面から水が噴き出し、デリバードの吹雪はそれらを凍らせて、あたしは助けられた。 ??:「全く、何しめっとしてるのかしら?あなたの能力を活用しないと負けちゃうよ!」 あたしの、能力…? ??:「あなたの能力なら、機械を使わなくても復元できるんじゃないかなぁ?」 清香:「えっ?ちょっとあなたはだ…」 あたしは声のした方に呼びかけたけど、そこには誰もいなく、誰かがいた気配すら消えていた。 あたしの能力が、化石を復元できるの…? 清香:「やってみるしかないよね。我が力よ、化石に眠りし太古の記憶を目覚めさせよ!そして新たな時を与えよ!」 あたしは持っている3つの化石に、あたしの力を送り込んでみた。 すると、化石が大きくなり、色がつき、生命の息吹と共に、ポケモンとして再び命を授かって存在していた。 そして、あたしに擦り寄っていた。 清香:「カブト、リリーラ、アノプス…、あたしの事が好きなの?」 すると、ポケモンたちはうなずいた。 清香:「よし、第2ラウンド行くわよ!トゲチック、戻りなさい!」 トゲチックを戻すと同時に水が吹き出なくなり、びしょ濡れになったベイルたちがいた。 ベイル:「スパイから聞いてない内容には戸惑わせられたが、もう一度君を俺のものにするために、そこのポケモンは倒させてもらうよ。」 清香:「そんなこと、させないんだから!」 ベイル:「どうかな?ストライク、ハッサム、高速移動からメタルクローと切り裂く攻撃だ!」 再びポケモンが襲ってきた。 清香:「早ければいいってもんじゃないわ!リリーラ、溶解液を噴射して!」 リリーラの口(?)から、溶解液が噴出した。 それらはポケモンたちに向かってきたストライクたちにもかかり、ストライクはそれを受けてもがいていた。 効いていなかったのは、鋼タイプのハッサムと、甲羅に包まれたカブトとアノプスだけだった。 ベイル:「ハッサム、何してるんだ!やれ!」 清香:「させないわ!リリーラ、ハッサムに絡みつく攻撃よ!そしてアノプス、ハッサムの羽を切り裂くのよ! さらにカブトはストライクに原始の力よ!」 溶解液の噴射で一時期動きの止まっていたハッサムは、我に返って攻撃をしようとしたが、リリーラの絡みつく攻撃で首に絡まれ、 さらにハッサムの体の中で唯一生身と思える、甲冑に包まれていない羽の部分をアノプスが切り裂いた。 ハッサムはこの攻撃によって仰け反り、痛みに苦しむような表情を示していた。 そしてカブトは、ストライクを原始の力によって倒していた。 ベイル:「くそぉ!よくもストライクをやってくれたな!デリバード、吹雪だ!」 清香:「カブト、殻に篭るのよ!アノプスは守る攻撃!リリーラはハッサムにギガドレインよ!」 吹雪の威力が大きくても、相手に効果がなければ意味がなく、デリバードの攻撃はリリーラごとハッサムにダメージを与える結果になっていた。 さらにハッサムはリリーラに体力を吸われ、戦闘不能になっていた。 清香:「ベイル、残念だったわね!カブト、アノプス、デリバードを切り裂くのよ!」 形勢逆転したあたしたちには、もうベイルは負けたの同然の状態だった。 そしてデリバードも倒れ、ベイルは後がなくなった。 ベイル:「こうなったら、力ずくでも君を俺のものにしてやる!」 清香:「させないわ!化石の力、見せてあげる!」 あたしは向かってくるベイルを横目に見ながら、一本の牙を出した。 清香:「化石よ、我を助ける力となれ!ティラノサウルスの牙!でっかいの口の噛み砕く攻撃よ!」 あたしが叫び、牙に力を込めると、あたしの目の前にはティラノサウルスの頭の化石が現われ、大きな口をあけてベイルに向かっていった。 ベイル:「な、何!?ぎゃあ〜!?」 ベイルはそのまま頭に突っ込み、化石の噛み砕く攻撃を受けた。 でも、血は出なかった。 だって、本当に存在しているのは一部分だけだから。 ティラノサウルスの牙のカケラに力を込めて、立体映像を作り出し、襲わせただけなのだ。 でも、受けた攻撃の痛みは感じるというもの。 感じるだけで死ぬ事はないけど、体中を噛み砕かれた痛みは相当なものらしく、ベイルは泡を吹いて気絶していた。 清香:「情けないわね。…それにしても、さっきの声は誰だったのかしら?」 その後、あたしは玲奈と合流した。 玲奈:「清香も聞いたのね、それじゃ。」 清香:「うん。一体、誰なんだろうね。」 玲奈:「そうね。」 もう駄目だ!これで俺は終わりなんだ! 俺は珍しく恐怖を感じると同時に負けを認めるくらい、弱気になっていた。 目の前にはブレイクという団員がいて、そいつのポケモンに俺のケンタロスやダグドリオたちは敗れてしまった。 初めに出してきたカビゴンとバクオングを倒す事で、俺の行動が全て把握されてしまったようだったのだ。 さらに、ブレイクのポケモン、カイリキーとツボツボは未だに戦える状態であり、ブレイク自身も半端じゃない力を持っていた。 大地の力を使って戦った俺だったけど、ケンタウロスの姿になっても敗北を喫し、両足が折られ、片手も折られてしまい、 俺は動く事もできず、痛みと苦痛を耐えるしかなかった。 そして、ブレイクたちは近づいてくる。 負けない気持ちで一杯だったけど、弱気になんかならないでいようとしていたけれど、でも、俺はもう、恐怖に負けるほど 弱くなっていた。 負けを認め、死を覚悟していた。 晃正:「氷雨さん…ごめんなさい…」 ??:「何謝ってるの?あなたはまだ戦えるんじゃない?勇気を出して。ケンタウロスの力はこんなものじゃないわよ! ケンタウロスは戦いの獣。大地の恵を受け入れて、早く立ち上がりなさい!」 そんなときの脳裏に響いた声は、俺を叱咤した。 でも、俺は怖かった。 ブレイクに恐怖を感じ、動き出そうとも思えなかった。 ブレイク:「勝負あったな。小僧、一思いに楽にしてやるよ。」 ブレイクの手が首にかかった。 これで終わりなんだ。 ずっとそう思ってた。 でも、それは阻まれた。 突然噴出した水が、ブレイクをふっ飛ばし、カイリキーとツボツボを激流が押し流したから。 ??:「全く、どうしてそんなに弱気になっちゃうのかな?足が2本折られたときはまだそれでも戦おうとしていたのに、 敗北したって思ったら、もう戦う気力も薄れちゃうものなの?氷雨が何を教えてくれたのか、あなたは忘れてしまったの?」 そして目の前に現れたのは、パープル色の長い髪の、スレンダーな女性だった。 ??:「あなたはまだ戦えるのよ。傷はあたしが治してあげるわ。」 晃正:「えっ…、!!!!!!」 目の前の女性は突然俺にキスをしていた。 ??:「これで大丈夫よ。立ってみて。」 晃正:「は、はい…」 俺は折れている左腕を地面にまずついた。しかし、痛みが感じない。 そういえば、キスされてから痛みも苦痛も感じない。 何気なしに足をついたけど、俺は痛みを感じる事がなく、そのまま立ち上がる事ができた。 ボールが揺れるような気がすると思えば、ボールの中でさっきまで倒れているポケモンたちも元気になっている。 晃正:「ありがとう、お姉さ…あれっ?」 お礼を言おうとしたら、お姉さんの姿はなく、そしてブレイクが立ち上がるのが見えた。 ツボツボは先ほどの激流で戦闘不能になったようだったけど、カイリキーはまだ戦えるようだ。 ブレイク:「さっきのが何かは知らないが、お前が立ち上がったところを見ると、まだやるつもりだな! カイリキー、あいつを押さえつけてやれ!」 カイリキーは向かってきた。 あの構えは、地獄車の構えだ。 させるか! 晃正:「ヤミカラス、影分身から突付く攻撃だ!そしてダグドリオ、地割れだ!」 ヤミカラスがカイリキーの周囲を囲み、突付く攻撃でその場に足止めをした。 そこを地割れが襲い、カイリキーは地面に飲み込まれた。 ブレイク:「くそっ、一撃必殺か!ならば俺のパンチであの世に送ってやる!」 カイリキーがやられると、ブレイクは再び襲い掛かってきた。 晃正:「もうお前には負けない!俺はあの人に勇気を貰ったんだ!大地よ、俺の力となれ!ブレイクに、大地の怒りを教えるんだ! アーストマホーク、必殺、グランドブレイカー!」 俺のケンタウロス時の武器、大地を割り、地割れや地震を起こす事のできる巨大な斧、アーストマホークによる、必殺技、 特大の地割れによって相手を倒す攻撃は、ブレイクに命中し、ブレイクもまた、カイリキーと共に地面に飲まれていった。 でも、人を殺すわけにはいかない。 人を殺した時点で、俺も凶悪妖怪の仲間入りをしてしまうからだ。 晃正:「地割れ解除、飲み込まれた生き物よ、再び地上に浮上せよ!」 俺は、ブレイクとカイリキーを地割れから出した。 でも、二人は白目を向いて気絶しているのだった。 晃正:「やりすぎたかな?それでにしてもな、…あのお姉さんは、何者なんだ?新しい仲間なのか?」 やっぱり導くものを失った能力者たちは、自分で気づいてなくても結構ダメージがいってるのね。 あたしが加勢して形成を変えなかったら、明らかに敗北していたわ。 形勢を変えてからのバトルを見る限り、形勢を変えなくても勝てたとしか思えない相手と戦ってたのが丸分かりだし。 うふふ、もう少し、見てまわろうかしら? あらっ?あそこにいるのは…天狗…? 結人:「お前の実力ってさ、そんなもんだったんだな。お前のことを悪く言う奴が多いわけだ。」 悠也:「それは…分かってる。分かってるけど、俺だって頑張ってるんだ!風使いの一族を馬鹿にしたお前には、絶対に負けないぞ!」 結人:「ふぅ〜ん、でも、口だけだな。」 アリアドスの糸を吐く攻撃がカブトプスを襲い、カブトプスは切り裂く攻撃で糸を切ろうとしたが、逆に糸に絡まってしまった。 そしてそのままアリアドスはナイトヘッドや毒針で、カブトプスを地に伏せさせてしまった。 悠也:「カブトプス!?」 結人:「やっぱり雑魚だな。そんな攻撃で、俺のポケモンを倒すなんて無理だな。弱いし、俺が遊び半分に友情の誓いとか言ってやると 嬉しがってるし、そんな弱い心で、優しすぎる心で俺は倒せないぞ!そのままプライドだけで破滅したらどうだ?」 結人は笑いながら言った。 悠也は頭に血が上っているのか、攻撃が一方的になっていることに気づいていなかった。 なるほどね…。わざとからかって本気を見ているのか。 でも、やりすぎね。 天狗の坊や、少し、頭を冷やしなさい! 結人:「悠也、これでお前も終わりだ!アリアドス、蜘蛛の…」 結人が攻撃の指示を出そうとした時、突如二人には水が降りかかっていた。 結人:「うわっ!」 悠也:「何だ?一体…」 二人は突然水を被った理由が分からずにいたが、悠也はその時に思い出した。 悠也:「そういえば、こんなことがあったっけ…」 俺が結人と初めて出会ったとき…。 こいつ、わざとからかって、俺を怒らせて本気を出させたんだよな。 俺が一族を告げないって大人に言われてて、諦めてたから。 もしかして結人は今もそうなのか? 結人を見ると、水を被った理由を考えているのが見えた。 そして視線に気づくと、一瞬笑いかけ、また厳しい表情に戻った。 やっぱり…。 悠也:「コモルー、出ろ!」 結人:「あれっ?まだやるのかな?アリアドス、蜘蛛の巣で絡めとれ!」 コモルーは蜘蛛の巣状の糸に巻きつかれた。 でも、まだ俺は動く気じゃなかった。 結人:「どうしたんだ?攻撃しないのか?そうか、負けを認めたんだな?やっぱり弱い奴は弱いんだな。 アリアドス、近づいて毒針だ!」 アリアドスはコモルーに向かって、お尻の針をむけ、突き刺そうとしていた。 が、俺が待っていたのはその時だった。 悠也:「コモルー、今だ!ドラゴンクローだ!」 コモルーの強力な一撃が、アリアドスに叩きつけられた。 悠也:「さらに龍の息吹だ!」 そしてコモルーから発せられた息吹は、アリアドスを麻痺状態にしていた。 結人:「アリアドス!?」 悠也:「お前も油断したな。」 結人はアリアドスが倒れた時に一瞬隙ができ、俺はその隙をついて、結人を羽交い絞めにした。 そして、技をかけてやった。 悠也:「よくも挑発してくれたよな?」 結人:「それはお前が…痛い!やめろ!ギブギブ…!!」 悠也:「相変わらずやり方が汚いぞ。俺が気にしてることも言いやがったし、それに風の一族を乗っ取るだって? お前の先祖と俺たちの先祖が昔交わした協定を破るような事を言った罪は重いぞ!」 結人:「それは言葉のあや…」 悠也:「問答無用だ!」 うふふ、天狗の坊やもやりすぎたわね。 ま、これでここのバトルも終わったし、これでいいのかな? 天狗の坊やはあの少年の力を確認できたようだし、後はあの少年に任せるのが一番ね。 さて、次はどこに行こうかしら? あらっ?向こうに見えるのは…ロボット? 鈴香:「スカイ、ソニックブームよ!バルーンはハイパーボイス!」 あたしは苦戦していた。 相手はスペシャル合金で作られたロボット。 あたしの音波攻撃も、ヤンヤンマのスカイのソニックブームも、プリンのバルーンのハイパーボイスも効果がなかった。 地上戦ができれば、ボイスやパイロの力が借りれるけど、このロボットは動きも素早いし、巨大すぎて、地上戦では扱いきれない。 だからあたしは空中からの攻撃に移ったんだけど…。 ヒュンレイ:「音の力はそれっぽっちか?行くぞ!ロケットパンチ4連発だ!」 鈴香:「バルーン、スカイ、一旦戻って!必殺、爆音の波動!」 あたしは、菜々美ちゃんと同じ武器のメガホンから破壊音波を放ち、ロケットパンチの軌道を外したはずだった。 でも、ロケットパンチは再びカイリキーの腕に戻ってしまうだけだった。 鈴香:「これじゃ…駄目…」 機械に音が通じないなら、叩く事はできないし…。 でも、あたしは負けない。 この力を、ヒュンレイに見せてやる! 鈴香:「我が体内に秘められし、妖怪の誇りよ、翼となり、力を見せよ!」 あたしの姿は、滅多に見せない妖怪の姿、妖鳥セイレーンの姿に変わった。 鈴香:「これがあたしの本当の姿よ!必殺、羽嵐!」 あたしの大きな翼から放たれる大量の羽毛が、カイリキーロボに纏わりつき、小さな隙間から入って機械を狂わせていった。 ヒュンレイ:「くそっ、舐めた真似をしやがって!」 鈴香:「まだよ。必殺、破滅の歌。」 セイレーンの歌う事のできる歌は様々、幾通りも存在している。 癒しの力や魅惑の力を持つ歌、攻撃力を高める力を持つ歌などなど。 そして、この破滅の歌は、威力によっては相手を死にも追い詰められる。 でも、あたしは未熟だから、相手を恐怖に追い込むくらいしかできないけど。 ??:「力を貸すわ、セイレーン。」 鈴香:「誰?」 ??:「あたしは…それよりも、早く歌うわよ。」 鈴香:「ええ、必殺!」 鈴香&??:「破滅の歌!」 あたしたちの歌の力は強力だった。 歌を聞かせる相手が、ヒュンレイに対してと考えて、思っていたことで、他の野生のポケモンたちが苦しむ事はなく、 この歌が歌い終わる時には、カイリキーロボはバラバラに分解され、中にいたヒュンレイもヨロヨロになって出てきた。 ヒュンレイ:「防音装置をつけていたから助かったが…よくもやってくれたな!チャーレム、パルシェン、行け!」 どうやら生きていたらしい。 気づけば、あたしと一緒に歌ってくれた女性の姿はなく、あたし一人だった。 あの力…、あたしの同類としか思えないけど…。 ひとまず、ヒュンレイをどうにかしないとね。 鈴香:「さっき散々遊んでくれた仕返しよ!パイロ、スカイ!出てきて!」 あたしはスカイと、ブースターのパイロを出した。 ヒュンレイ:「そんなポケモンでは俺は負けない!チャーレム、ブースターに飛び膝蹴りだ!パルシェンはヤンヤンマに 冷凍ビームだ!」 鈴香:「パイロ、スカイ、影分身よ!」 パルシェンは動きが遅いし、チャーレムも一度攻撃に狙いをつけたらその狙いにまっすぐしか攻撃ができない。 だから影分身をしたことで、チャーレムは逆に足を痛める結果になった。 ヒュンレイ:「チャーレム!」 鈴香:「チャンス!スカイ、チャーレムにソニックブームよ!パイロはパルシェンに炎の渦!」 ヒュンレイの目がチャーレムに行った隙を突いた攻撃は、見事にパルシェンを倒し、同時にチャーレムも倒れた。 ヒュンレイ:「あぁ!?くそっ、こうなったら…」 鈴香:「逃がさないわ!ボイス、破壊光線!」 ヒュンレイは逃げようとしたのか、奥の手(?)を出そうとしたのか分からないけど、ボイスの破壊光線を食らって、吹っ飛んでいった。 そろそろ、みんなと合流できる時かな? そんなことを考えてたら、お姉ちゃんと合流した。 蓮華:「鈴香、大丈夫だった?妖怪の姿に戻ってるけど…」 鈴香:「うん!あたしは大丈夫よ。ヒュンレイもやっつけたし、早くスペース団を倒しに行こう!」 蓮華:「そうね。」 あたしと鈴香が歩き始めた時だった。 どうしてこんな時に出てくるのかなって思いたくなる奴らが出たのだ。 しかも、相変わらず口上を言わせようとしている。 鈴香:「お姉ちゃん、どうする?」 蓮華:「ここは言うしかないでしょ。」 キレイハナ:「それじゃ、あたしが言うね。一体何なのよ!」 あたしたちが言おうとしていたら、キレイハナが出てきて叫んでいた。 すると。 案の定。 いつものが出てきたのだった。 マユミ:「一体何なのよ!と聞かれたって」 キレイハナ:「はぁ、いつもいつも飽きないわね。」 蓮華:「キレイハナ!」 キレイハナ:「蓮華、こういうのは言ってやったほうがいいよ。」 蓮華:「ううん、そうじゃなくて、聞こえるように言ってやるのよ。どうせ口上が終わるまでは言い返してこないから。」 ぷっつり! エイジ:「答えるか否かはわれらの勝手」 鈴香:「それじゃ答えなきゃいいと思うんだけど?ばっかみたい!」 ブチブチブッチリ! マユミ:「世界の破滅を防ぐため」 蓮華:「防ぐ前に消されるのがオチよね。」 ムカッ! エイジ:「宇宙の輝き護るため」 鈴香:「輝いてない人が守れるのかなあ?お姉ちゃん、あのオジサンとオバサン、まだ存在してたのね。」 蓮華:「うん、しつこいよね。」 キレイハナ:「同感、しつこい、しつこい!」 ムカムカムカッ! マユミ:「愛と勇気の悪を貫く」 蓮華:「そろそろ、力を溜めておこうっと。キレイハナ、みんなに言って。」 キレイハナ:「了解、ボソボソボソ…」 エイジ:「ラブリークールな敵役」 鈴香:「えっ、オジサンがクールって…似合わない。ダサい!キモい!」 蓮華:「鈴香言い過ぎだよ、パソコンオタクの根暗野郎で十分だよ。」 キレイハナ:「えぇ〜、両方言ってもいいじゃん。」 ブチムカブチムカ… マユミ:「マユミ」 鈴香:「名前に不釣合いな顔…」 エイジ:「エイジ」 鈴香:「何か頭が良さそうな名前だけど、名前負けしてそう…」 鈴香のボソッとした声は、二人をさらに逆上させていた。 マジ切れにマジ切れを重ねた、強力な怒りだった。 しかし二人は何故か、口上をやめなかった。 鈴香:「変なプライド…」 確かに。 マユミ:「この宇宙にきらめくスペース団のものすごくかっこよくて若いりりしい有望な二人には」 蓮華:「自分で言ってる…」 鈴香:「変な奴だよね。」 キレイハナ:「蓮華、いいよ!」 蓮華:「うん、みんな、出てきて!」 エイジ:「スペシャルミントブルー、清き、すばらしく美しい青の明日が待っている」 蓮華:「さて、あたしも力を溜めようかな。」 鈴香:「妖怪変化、セイレーン!」 キレイハナ:「ソーラービーム、発射準備!」 マユミ:「絶対にね!…あんたたち、人のことをよくも!」 エイジ:「今日という今日は許さ…おい、やめろ!」 蓮華&鈴香&キレイハナ:「一斉射撃、発射!」 蓮華と鈴香のポケモン全員と、蓮華、鈴香の必殺技がマユミとエイジとそのポケモンたちに炸裂し、彼らは何もする間もなく、 遠くに吹っ飛んでいった。 蓮華:「さて、みんな、戻って!」 鈴香:「弱いね、簡単だったし。お姉ちゃん、そろそろ出かけよう。」 蓮華:「ええ。」 あたしたち姉妹の前では、どんな敵もイチコロよ! ??:「うふふふ、あの姉妹、セイレーンちゃんと、草鬼様の娘さんは、とんでもなく面白い人たちね。 笑いが止まらないわ。もう少し、様子を見ておこうかしら。このあたし、7つの海を牛耳る海の女神、マーメイドの泉が みんなを導かないとね。氷雨のためにも。」 泉は、ヒレの羽で空を飛びながら、別の能力者の元に飛び立っていった。