蓮華:「またあたしが一番乗りみたいだね、キレイハナ。」 キレイハナ:「う〜ん、2年前もこうだったね、そういえば。」 蓮華:「頑張ろうね、ドリームを、伝説のデオキシスを封印するために。」 キレイハナ:「ええ。」 あたしたちはドアを開けた。 ドリーム:「久しぶりだな、草使い。」 そこはあの時と同じ、王様のいるような場所になっていた。 蓮華:「ええ、久しぶり。」 キレイハナ:「今日あたしたちが来た理由、分かってるんでしょ?」 ドリーム:「ああ、私を封印するつもりであろう?しかし、私の封印は既に解けた。これを見るがいい!」 ドリームが指差した場所には、十字架に貼り付けにされた、ナナと律子の姿があった。 ナナシマ編 22.戦いの集結!癒しの封印 ナナ:「ごめんね、蓮華ちゃん。」 律子:「油断しちゃって、カケラ、取られちゃったの。」 蓮華:「そんな…」 ナナと律子の持ってたカケラも手に入れたということは、ドリームは本格的にデオキシスとして復活してるんだ…。 蓮華:「で、でも、あたしは負けないよ!我が力よ、相手に癒しと安…」 ドリーム:「うるさい蝿だな。」 ドリームの片手から出された力の波動は、あたしを強く跳ね飛ばしていた。 蓮華:「ん…、強い…、強すぎるよ…。」 ドリーム:「口ほどにもないな。その状態で我を封印するつもりか?」 キレイハナ:「するわよ、必殺、ソーラー弾!」 ドリーム:「シャドーボールだ。」 キレイハナの放ったソーラー弾もドリームには意味がなかった。 シャドーボールがソーラー弾を吸収し、大きくなってキレイハナを跳ね飛ばす事になったのだ。 ドリーム:「どちらも口ほどにもないな。私が代わりに封印しよう、この地に。」 あたしはその後、気がつくまで何があったのか、覚えていない。 気づいた時、あたしは真っ暗な場所にいたから。 誰もいない、真っ暗で、自分の姿も分からないくらい、感覚も何も感じないような場所に。 綾香:「あそこだよ、何か邪悪な気配がする!」 香玖夜:「綾香の言うとおり、あそこがドリームの部屋よ。」 あたしたちは哲也先輩や志穂ちゃんたちとも合流してドリームの部屋に辿り着いた時だった。 あたしたちが見たのは…。 哲也:「蓮華!」 悠也:「蓮華が…沈んでいく…」 鈴香:「お姉ちゃん…」 志穂:「これは…逆封印…」 あたしたちが見たのは、蓮華が魔方陣の中に沈んでいく姿だった。 ドリーム:「おやおや皆さん勢ぞろいですね。今ちょうどあなた方の仲間で唯一の草使いは、私が封印されていた魔方陣に 代わりに封印されました。これでもう、私が封印される事はないでしょう。」 来美:「そんな!」 志穂:「そんなことはないわ。封印する方法は幾らでもあるし、草使いの蓮華ちゃんがいなくても、草ポケモンの力を 結集すればそれくらい…」 ヒカリ:「そうだよ、やってみなきゃ分からない。」 ユウ:「デオキシス一匹に俺たち全員が相手になって負けるはずがないんだ。」 ライ:「アタイの故郷のナナシマを乱した罪は思いからな!」 あたしたちはポケモンを出し、ドリームに攻撃する態勢に入った。 ドリーム:「すごい敵意ですね、十分でしょう。行きますよ!」 あたしたちは攻撃した。 でも、それを覆すほどの攻撃をドリームが行ってきていた…。 美香:「蓮華をよくも!必殺、不死鳥の舞い!エイパム、スピードスター!マリルリは目覚めるパワー!」 美香が炎の矢を放つと、スピードスターと目覚めるパワーを纏った状態で火の鳥の姿に変わり、ドリームに突撃していた。 海:「式神召喚、攻撃の式神、闘錬鬼!カポエラー、一緒にメガトンキックよ!」 海の攻撃を司る鬼の式神が、カポエラーと共にキックを放つ。 なずな:「ヤミカラス、騙まし討ちよ!ジュペッタはナイトヘッド!」 ヤミカラスが急転回しながらドリームに近づき、ジュペッタは黒い波動を打ち出す。 小麦:「戦いは嫌だけど、戦いを生み出す人はもっと好きじゃないです!必殺、カマイタチ!」 刹那:「小麦の力に上乗せするよ!あたしもカマイタチ!」 小麦と刹那の風の波動が、 悠也:「風よ、竜巻を起こせ!マンタイン、竜巻にバブル光線だ!」 悠也のマンタインが悠也と共に作った水の竜巻が、 哲也:「ピジョット、同時に行くぞ!」 ピジョット:「理解した、風起こしだ!」 哲也とピジョットの起こした突風が、ドリームに向かっていく。 しかし、7人の強烈な攻撃は、ドリームが手をかざすとすっと消えてしまった。 ドリーム:「残念だが、そのような攻撃は効かないな。私にはもう一つ、機械によって私の生命エネルギーを作り出していてね、 6の島にその機械が封印してあったのさ。」 悠也:「6の島!?あの記しの林のか!」 ドリーム:「さよう。あれは封印されている間も生命エネルギーを周囲から吸収し蓄えていた。そのために変わった模様の 場所となったがね。あれが先ほど、私の封印が完全に溶けたときに復活し、私に最高の力を届けてくれたのさ。 しかし、残念な事に、一度エネルギーを放出したらあの機械は壊れてしまう。だからもう私はエネルギーをあの機械から もらうことはできないのさ。でも、その時に貰った力でも、君たちの攻撃を消すくらい、簡単な事だ。」 菜々美:「ふざけないで!あたしたちはそんなに簡単に力を消されないから!必殺、高音の波動!」 鈴香:「お姉ちゃんを返して!ヤンヤンマ、ソニックブームよ!」 玲奈:「アゲハント、銀色の風!」 清香:「トリケラトプスの角の化石よ、私に力を!オムスター、トゲキャノンよ!」 菜々美や鈴香の音の攻撃が、玲奈のアゲハントの風が、清香の力を纏ったオムスターの攻撃が、ドリームに向かう。 同時に反対側からも、 ヒカリ:「フライゴン!」 ユウ:「ボーマンダ!」 ライ:「ボイン!」 3人:「破壊光線よ(だ)!」 海斗:「ドククラゲ、オーダイル、ハイドロポンプだ!」 浅香:「ハガネール、龍の息吹よ!」 美咲:「コータス、オーバーヒート!」 拓也:「ライボルト、電撃波だ!」 ナナシマを攻撃したスペース団に恨みを持つヒカリたちの怒りの破壊光線や、海斗たちのポケモンの攻撃が炸裂していた。 ドリーム:「前と後ろですか。でも、効かないですね。カウンターとミラーコートです。」 ドリームはそれでも動かず、逆にカウンターとミラーコートの両方を融合させた壁を前後に出して攻撃を全て反射させていた。 ナナ:「みんな!」 律子:「強い、強すぎるよ…、これじゃ、勝ち目はあるの!?」 ナナ:「蓮華、お願いだから、戻ってきて!」 ここ、どこなんだろう…。 暗い、誰もいない、怖い、寂しい…。 一体、一体あたしに何が起きたの? みんなはどこにいるの? キレイハナは?41の絆たちは? どこなの?どこにいるの? 一人にしないで!あたしを一人にしないでよ! 怖いよ!誰か助けてよ! あたしは怖くて、寂しくて泣き出していた。 誰もいない、暗くて、感覚さえもつかめない、静かで声も響かないこの空間で。 蓮華:「どうして、あたしは一人なの…?」 ??:「一人ではない。」 あたしは誰ともなく、ただ独り言みたく言った。 その言葉に反応した人がいた。 誰かがいる。 蓮華:「誰?」 ??:「我が名はデオキシス。」 蓮華:「え…デオキシス!?」 びっくりした。 真っ暗な場所で突然響いてくる言葉に、あたしは驚きを隠せずにいた。 蓮華:「どうして、あなたはここにいるの?あなたは封印が解けていて、ドリームと融合したんじゃ…」 デオキシス:「らしいな。でも、それは私ではない。」 蓮華:「どういうこと?」 デオキシス:「私はデオキシスであって、デオキシスではない。言ってみれば、奴の良心みたいなものだ。」 蓮華:「デオキシスの…良心?」 人はいい人ばかりではないし、全てがいい人であるわけでもない。 人の心には少なからずの悪意があるわけだし、悪い人の心にも少なからずの良心があるという。 ってことは、ドリームにも、デオキシスにもあってもおかしくない…。 蓮華:「もしかして、封印が解けているのはデオキシスの悪意の部分なの?」 デオキシス:「ああ、私は封印されてからもずっと、悪意の心を捕まえていた。しかし、悪意の塊と呼ぶべき人間によって 封印が解けた時、奴の悪の部分が、核となる部分が解放されてしまったのだ。」 悪意の塊の人間…ドリームのことね。 蓮華:「それで、ここはどこなの?」 デオキシス:「ここは7の島の中心、私自身が封印されている場所だ。お前が奴によって封印されてしまったようだがな。」 それで、こんな状態なのね。 封印された事で、能力も、ポケモンたちも一緒に封印されたんだ…。 蓮華:「ここから出る方法はないの?」 デオキシス:「ないことはない、一つだけあるぞ。ただし、私にはできなかった。お前にできるかどうかも分からない。」 蓮華:「教えて!どうすればいいの?」 志穂:「必殺、火雷砲!ブラッキー、騙まし討ちよ!」 涼治:「ライボルト、雷だ!カメール、バブル光線!」 来美:「必殺、スプラッシュショット!」 秋一:「ギャロップ、炎の渦だ!」 翼:「ハッサム、銀色の風!」 久美:「メガニウム、ソーラービームよ!」 希:「ヌオー、マッドショットよ!」 能力者やポケモンたちの攻撃は続いていた。 ドリームは次々に攻撃を跳ね返し続け、既に何人もの仲間達が、ポケモンたちが倒されていった。 しかし、それでも攻撃がやむことはなかった。 だが、彼らが怒るほど、ドリームの攻撃は力を増し続けていった。 晃正:「大地の怒り!アーストマホーク!」 香玖夜:「闇の波動、ダークブラスト!」 綾香:「火の粉の舞!」 ヤツデ:「泡の波動だ!」 ストール:「オーダイル、ハイドロポンプだ!」 渚:「プクリン一同、全員で天使のキッスよ」 輝治:「カイリュウ、龍の舞から破壊光線だ!」 結人:「天狗の力を見くびるな!雷撃波だ!」 天知:「僕も雷攻撃だ!」 健人:「エビワラー、ビルドアップから気合パンチだ!」 一志:「我の力よ、高まれ!炎の波動だ!」 だが、どんな攻撃も結局は消され、跳ね返され、ドンドン力尽きていくばかりだった。 美香:「これじゃ、きりがないよ…」 涼治:「一体、どうすれば…蓮華!」 蓮華:「力を使う?!封印されてるのに?」 デオキシス:「そうだ、聞けばお前の力はどうやら草と癒しの力じゃないか。それならば、癒しの力によってこの闇の力を浄化し、 封印を内側から解く事は可能なはずだ。それができるかは分からないが、やってみるしかないだろう。」 蓮華:「分かったわ。」 我が力、私の体内に宿りし、封印され、潜在されていた力よ、目覚めよ!そして、私の力となり、この闇を浄化せよ! あたしは心に力を集中させ、心に祈りを込め、時には落ち着き、深呼吸しながら力を集中させていた。 お願い、みんなのいる世界が闇に消えないためにも、大いなる悪の国にならないためにも、あたしはここを出るの。 そして、再びドリームごと、封印をしなきゃいけない。 この世界、ポケモン世界も現実世界も、確かにいたるところに闇はあるし、災いも、残虐な事も、悪事もかなりあるよ。 でも、必死で生きようとしている人がいる。 自分より、誰かのために生きようとする人がいる。 誰かを愛し、愛し続ける人がいる。 人の心は儚いけれど、それでも人の心には光があるの。 その光が闇に包まれてしまうと、全てが闇に消えてしまうの。 お願い、私の力、目覚めて! 戦うのではなく、心からの癒しで、安らぎで、世界が幸せになるために。 そして、明るくて平和な日々が続くようにするために…。 あたしだって、まだやりたいことはいっぱいあるし、涼治との恋も発展させたいし、血がつながっていなくても、親戚と呼んでくれる 家族ができたし、あたしをここまで育ててくれた人がいるし、ここでずっと暗闇の中にいるわけにもいかないの。 みんなが、みんながあたしを待ってるし、心配してるから。 あたしは元の世界に、みんなのところに戻りたい! お願い、あたしの力よ、目覚めて! この時、あたしの胸の奥で、何かが弾けた音がした。 そして、体中に力がみなぎってくる気がした。 蓮華:「封印が…解けた…。よし、我が力よ、この世界の闇を浄化せよ!」 あたしは力を放出した。 すると、周囲の闇は消え、キレイハナたち41の絆がボールから飛び出していた。 キレイハナ:「蓮華、すごいよ。闇の空間を光の空間に変えたんだもの、すごいよ。」 蓮華:「うん!」 その時、小さな光の竜巻のようなものがやってきた。 蓮華:「あなたなの?デオキシス。」 デオキシス:「ああ、これが私の姿だ。私がそのドリームというものの中に入れば、奴の力は制限されるだろう。 奴は周囲のマイナスエネルギーで強くなるだけで、私によって力が制限されれば、ほとんどの力は制限される事になる。 普段なら吸収できるマイナスエネルギーの量もな。」 それで、あたしやキレイハナが攻撃しよう、封印しようって、敵意を持って考えていたから、だから強かったのね。 でも、もうそれも終わり。 彼を安らぎと癒しと共に封印する。 彼だって、こうなるために生まれてきたわけではないから。 ドリームも、悪意のあるデオキシスも、元々は何かの手で愛されて生まれたはずだから。 一度も愛された事がない人はいない。 どこかで、知らないところで必ず、誰かの手で、何かの手で愛されて、生まれてきたんだから…。 デオキシス:「では、外に出ようか。」 デオキシスのあけた白いゲートから、あたしたちは元の場所に戻った。 蓮華:「みんな!」 キレイハナ:「派手にやられたわね。」 戻ってすぐに見たのは、哲兄や美香や涼治たち、みんなが、ポケモンたちがやられ、倒れている姿だった。 そして、ドリームがいた。 みんなは多分、倒したい気持ちで、ドリームを憎む気持ちでいっぱいだったから、だから逆にドリームを強くさせてしまい、 倒されてしまったのだろう…。 ドリーム:「何故だ…、あの封印を解いて出てくるとは…。」 ドリームはあたしが封印を破って自分から戻ってきた事に驚いていた。 蓮華:「あたしは奇跡の妖精よ。やられたって、何度でも蘇るわ!癒しの力よ、あたしの仲間を助けて!ライトニングヒールフラッシュ!」 あたしから太陽の光よりも強力な光が放出し、部屋中を照らし出していた。 ドリーム:「ぐはっ!何だ、この光は…」 ドリームは光を受けて苦しんでいた。 彼が受けた、最初のダメージだった。 その隙に、デオキシスの良心はドリームの体に入っていった。 直後。 ドリーム:「ぐわぁ!何だ、何が起きたのだ…私の力が…制限されるだと…!?馬鹿な…。」 ドリームはおもいっきり苦しみ始めていた。 力が制限された事、良心によって悪意を抑えられたこと、色々な事が重なり、彼は苦しんでいた。 今しかない、そんな気がした。 蓮華:「キレイハナ、ダネッチ、一緒に来て!みんなは哲兄たちを助けて!あと、涼治と美香を連れてきて!」 伝説では、炎と水と草の力で封印するべきだけど、でも、その伝説が元になって、ファーストポケモンが決まったなら、 そのポケモンたちを持っている人が、封印をするべきなんじゃないかな? 癒しと安らぎを与える妖精のあたしと、あたしと友情で結ばれてる美香、あたしと恋の力、愛情で結ばれてる涼治でなら、 癒しの封印ができるんじゃないかな? そこに、ソルルやよまに連れられて、涼治と美香が駆けつけた。 二人も何が起きるのか分かっていて、リザードとカメールを出していた。 結局3匹とも進化しなくて、キワさんの所で大技を教えてもらう事はなかったね。 ちょっと残念かも…。 でも。 美香:「リザード、あなたの力を信じてるからね。」 涼治:「カメール、最後の戦いだ。力を出し切れよ!」 あたしたちは3人とも、フシギソウ、リザード、カメールのままだけど、それでもいい。 進化しなくても、絆で結ばれ、信頼できる仲間なら。 蓮華:「やるよ。」 美香:「ええ。」 涼治:「分かったよ。」 あたしは正三角の頂点に立ち、あたしたちの前にはポケモンたちが立って、ドリームを囲んだ。 蓮華:「我が力よ、フシギソウに草の持つ安らぎを、癒しを、恵みを与えるエネルギーを与えよ。」 あたしからフシギソウに緑色の光が放たれ、フシギソウを包み込んだ。 美香:「我が力、炎よ、私たちを見守る、温かい安らぎを、熱き力を与えよ。」 涼治:「我が力よ、我らを潤す水の獣に落ち着きの心を、静める魂を与えよ。」 そして美香からは赤い光が、涼治からは青い光が放たれ、リザードを、カメールを包み込んでいた。 3匹たち、それぞれがあたしたちそれぞれの力を受け、包まれ、光り出し、そして、光の柱に変わった。 蓮華&美香&涼治:「炎よ、水よ、草よ、この世界に悪しき事を招き、悪の繁栄を企もうとする輩を封印せよ!」 地面には魔方陣が現われ、ドリームの体を封じ込めようとしていた。 でも、ドリームはまだそれを拒もうとしている。 あたしはさらなる呪文を唱えた。 蓮華:「そして、永眠と共に、癒しと安らぎの空間を与え、彼を永久に癒し続けよ!我は植物の戦士、癒しの力を持つ少女なり! 我が力よ、癒しの光で闇を浄化せよ!究極奥義、癒しの封印!」 光の柱から多数の光が飛び出して、そしてあたしの体から無数の光が放出して、ドリームを包み込んだ。 ドリーム:「これが…癒しの力か…しかし、これで勝ったとは思うでない!いつか、再びこの地で…ぐはっ!」 ドリームは悪の力を持ったデオキシスと融合していた。 だが、その力があたしの放った光で、あたしたちの呪文によって生まれた光で次々と浄化され、封印していた。 苦しんでいたドリームも、癒しと安らぎの力によって徐々に安らかな顔になり、地面の魔方陣の中に入っていくのだった。 そして全てが入り、封印ができたとき、魔方陣は、光と共に浄化するかのように消えていった。 ドリームとデオキシスが封印された場所はあたしたちも分からない。 でも、分からなくていい。 多分、光の中に封印され、ナナシマ列島中にその光が散ったのだから。 この時誕生の島でも、再びデオキシスの核の封印が確認されたらしい。 魔方陣に封印された時、光と共に彼の核が、誕生の島に舞い戻ったのだろう。 そして、あたしたちの目の前には、オーロラの珠が落ちていた。 ナナ:「これを現実世界で封印して。そうすれば、もうこんな事は起きないはずだから。」 志穂:「分かったわ。」 オーロラの珠を壊し、カケラを一つずつ封印するのは、志穂ちゃんの役目となった。 こうして、長かったような、短かったようなナナシマでの旅は終わった。 ナナシマ列島は今、スペース団が消滅、解散し、復旧作業が続けられていた。 ヤマトやコサンジといった下っ端の団員たちはポケモン警察によって逮捕され、全国各地に運ばれていった。 ヒータスとレイクは、涼治やあたしの口添えで逮捕は免れ、旅立っていった。 その時に涼治とヒータスはあつい友情に結ばれたように見えたけど…、その直後にヒータスは、涼治の頬にキスしていたので、 すぐに友情は壊れたのかもしれない。 でも、それはあたしにはよく分からない。 ガントスやブレイク、ヒュンレイやバイツ、ベイル、タロスたちは戦った誰かの攻撃を強く受けたために、警察病院に 入院となった。そこを出たら再び逮捕されるだろうけど、聞くところによると、バイツやベイルはジョーイさんをナンパしているらしい。 また、バイツたちの力はドリームから貰っていたらしく、ドリームを封印した事で力はなくなった。 でも、ブレイクやガントスの力は彼ら自身の物だったので、今後のことを考えた結果、泉さんが封印を施していた。 セイラム、ルイトス(スパイル)、ブラストの3人は改心し、ナナシマの復旧に力を注いでいるらしい。 セイラムとヒカリは毎日喧嘩を繰り広げ、ルイトスはライにアプローチを続けているらしく、ユウとブラストには頭が痛い話らしい。 でも、マユミとエイジ、カエデとコタロウのコンビと、爆弾使いのボムは姿をくらましていた。 また再び、あたしたちの前に現われるかもしれない。でもその時は、みんなの力を借りてもう一度打ち勝ってみせる。 だってあたしたちは、信頼しあってる仲間だから、だから、これからも何があっても乗り越えられるんだ。 他の3幹部のうち、ミアトスはおとなしく刑務所に入ったが、セクトスは彼女の技術が認められ、保護観察を受けながらシルフカンパニー で働いていると聞く。何もないことを祈りたい。 マルトスはあたしたちの世界のアフリカに当たる場所で、あの部屋の森にいたポケモンたちと静かに暮らしているそうです。 後、ドリームのポケモンたちはナナが預かっているらしい。 ナナのポケモンたちに揉まれながら楽しく暮らしているそうだから、少し安心かな。 そして…、あたしたちは現実世界に戻ってきた。 蓮華:「あれだけあって、一週間しかいなかったの…?」 美香:「みたいだね、でもさ、あたしたちはともかく、涼治君は大変だね。」 蓮華:「うん…。」 涼治は今、晃正君を結局巻き込んでペナルティを受けていた。 あたしが参加するはずだった応援はすでに終わっていて、他のみんなのところも、色んなスケジュールが狂ったみたい。 特に、菜々美のスケジュールが一番狂ったようだ。 ライブ活動、二日目まで延期したからなぁ…。 ヤツデ君も実はペナルティを受けている。スパイ活動のツケがここに回ったらしい。 バトルが終わって落ち着いた頃なので、清香先輩や玲奈先輩も、哲兄も鬱憤晴らしに参戦してるんだって。 涼治のペナルティよりもきついらしいけど、綾香は何も教えてくれなかった。 後、香玖夜は闇の能力者であることをクラスメイトにカミングアウトした。 始めは引いていたクラスメイトも、あたしや綾香の口添えで普段の生活ができている。 ヒカリたちとはナナシマで別れ、美咲ちゃんともクチバで別れた。 ストールもホウエンに戻り、今までの日常が再び始まっている。 こんな感じで、新しく入った能力者仲間も多くて、少しうるさくなった日常でもある。 でも、楽しいからまぁいいやって感じ。 こんな幸せがずっと続くといいな。 律子:「蓮華、このフォーメーションの練習するから参加しに来て!」 浅香:「先輩、来なかったら本当に幽霊部員化しちゃいますよ!」 蓮華:「分かってる!それじゃね、美香!」 美香:「ええ!」 あたしの夏休み、中学校生活最後の夏休みは始まったばかりだ。 少しは楽しむこともしたいけど、部活だって、頑張らなきゃね!