綾香:「もう少しで後半戦が始まるわね。」 香玖夜:「前半戦は強豪揃いだったけど、後半戦もかなりのメンバーがそろってるものね。」 海:「ええ、でも、蓮華ちゃんたちの相手、モコナちゃんの相手も含めて全員身内でも何でもないトレーナーよ。 慎重に行かないと火傷を負いかねないわ。」 美香:「ただ、蓮華たちがそんな簡単に負けるはずはないと思うけど。」 なずな:「そうよね、蓮華はともかく、来美先輩と玲奈先輩だもんね。」 綾香:「それで、その4人の選手の事は、律子が調べたのよね?」 律子:「ええ。」 蓮華の相手のアラヤ選手、玲奈先輩の相手のレイス選手、モコナちゃんの相手のジュライ選手、そして来美先輩の相手の ラック選手。全員、ここまで来てる限りだから強いことには変わりないけど、ただそれぞれの個性が強いのがよく分かる。 それだけどんな人物なのかは分かりにくい。 律子:「でも、相手にとって不足なしってことは事実よ。」 美香:「そっか。じゃ、面白い試合が見えそうかな?」 綾香:「そのようね。あたしのバトルは終わっちゃったし、ここでゆっくりを見物しましょうかね。」 渦巻き編 12.3回戦後半!個性的バトル アナウンス:「さて、ただいまより3回戦後半戦が始まります!後半戦最初のバトルは、レイス選手対玲奈選手です。 ここまでゴルダックとラブカスのみで勝ち上がってきたレイス選手に対し、玲奈選手はどのようなバトルで攻めかかるのでしょうか?」 フィールドに出た瞬間、あたしは強烈な鋭い視線を感じた。 視線を放っているのは真正面の女性。 あたしの相手のレイス選手だ。 体のラインが普通に分かってしまうような服装をした、細めの女性だけど、何となく、胸がなくても十分綺麗な人に見える。 あたしもあんな感じの体系になれたらいいだろうな。 玲奈:「よろしくお願いしますね。負けませんから。」 レイス:「負ける気はないようね。でも、勝つのはあたしよ。あなたのように負けないといったトレーナーはみんな、あたしの手で 倒されてきたのだから。」 玲奈:「そうですか。でも、この子なら絶対に負ける気はありません!パルシェン、出てきて!」 あたしのポケモンは菜々美ちゃんや浅香ちゃんに借りたポケモンではなく、自分自身のポケモンだ。 ただ、もう一体は借りた子で、ある属性が出たら封じられちゃうわけだけど。 レイス:「相手はパルシェンか。だったら最初は、ダルト、あなたが行きなさい!」 対するレイス選手のポケモンはゴルダックだった。 パルシェンが出た事でゴルダックを先にしたということは、パルシェン対策ができてるのかもしれない。 審判:「それでは、試合開始!」 レイス:「ダルト、パルシェンに気合パンチよ!」 玲奈:「パルシェン、殻に篭って攻撃を防いで!」 始まってすぐ、ゴルダックが一気に攻め込んできた。殻に篭った事で気合パンチは防げたんだけど…、どうやらレイスさんは パルシェンの殻の強度を測っていたらしい。 レイス:「気合パンチによる殻の状態は中から上ね。だとしたら、ダルト、瓦割りよ!そしてクロスチョップ!」 ゴルダックは気合パンチを打った場所に瓦割を行い、さらにクロスチョップを放っていた。 同じ場所に対しての3回連続の格闘技は、パルシェンの殻をいとも簡単に破壊してしまっていた。 玲奈:「そんな…」 レイス:「残念だったわね、これでパルシェンはもう、攻撃から身を守ることはできないわよ。」 玲奈:「それなら攻撃あるのみです。パルシェン、トゲキャノンよ!」 あたしはパルシェンに、至近距離でトゲキャノンを打たせた。 それにより、パルシェンの殻を割ったことで痛めていたゴルダックの手を負傷させる事に成功したのでした。 玲奈:「腕を封じた後は額を封じるのが一番ね。パルシェン、氷柱針でゴルダックの顔を攻撃して!」 今までのバトルから分かってる事で、ゴルダックの額の宝石が封じられると、破壊光線などの光線技や、念力などのエスパー技を 封じる事ができるのだ。氷柱針で宝石を破壊してしまえば、殻が割られていても勝算はある。 レイス:「あらあら、それで勝てると思ったのね。でも、残念だけどそれは無理よ。」 玲奈:「何ですって?」 レイス:「ゴルダックを持つものは、それに対抗する手段もこの大会で考えているものよ。ダルト、サイコキネシスで氷柱を受け止めなさい! そしてパルシェンにお返ししてあげるのよ。」 氷柱針が命中する直前、ゴルダックのサイコキネシスが氷柱を受け止めてしまい、逆にパルシェンが氷柱の攻撃を受けてしまった。 レイス:「これ以上、ポケモンを痛めるのは悪いわね。ダルト、アイアンテールよ!」 玲奈:「させないわ!パルシェン、オーロラビームよ!」 レイスさんはパルシェンの状態を見て、1体目の勝負に出ていた。 でも、もう終わりなんてさせない。 あたしはオーロラビームを放たせたんだけど、ゴルダックは柱を飛び回ってオーロラビームをかわしてしまい、逆に生身のパルシェンに アイアンテールを打ちつけ、パルシェンをノックアウトしてしまった。 審判:「パルシェン、戦闘不能!」 玲奈:「パルシェンが負けるなんて…。」 レイス:「これがあたしのゴルダック、ダルトの実力よ。さて、次は誰を出すのかしら?」 玲奈:「次はこの子よ!ランターン、行きなさい!」 あたしの2番手は、菜々美ちゃんに借りた、電気タイプポケモンでもあるランターンだ。 ゴルダックは水タイプ、ランターンの攻撃なら勝ち目がある。 玲奈:「一気に片付けるわよ!ランターン、スパークよ!」 ランターンはボールから飛び出してすぐに、ゴルダックに向かって電気を帯びた状態で突進した。 あたしは避けられるかもしれないと思ってたけど、なぜか避けられずに、ゴルダックはランターンを受け止めて、 技のダメージを受けて倒れていた。 審判:「ゴルダック、戦闘不能!」 玲奈:「どうして…」 レイス:「さぁ?どうしてかしら?でも、次で分かるわよ。ラブラ、出番よ!」 レイス選手の2番手はラブカス。 ゴルダックとラブカスで来る事も、使う技も大体は今までの試合を見てきたから分かってるけど、どうして天敵の電気タイプを前にして、 あそこまで冷静にしているのだろうか? 玲奈:「考えても仕方がなさそうね。ランターン、もう一度スパークよ!」 スパークによって倒すか、麻痺するほどのダメージを与えて様子を見ようかと思った。 でも、いつまでたってもランターンはスパークを出そうとしない。 いや、出せないようだ。 玲奈:「ランターン、どうして…?」 レイス:「うふふ、残念でした。これがダルトがランターンを受け止めた理由よ。ダルトはスパークを受け止めると同時に、 金縛りでスパークを封じたの。電気タイプの技は、もう出せないわよ。」 玲奈:「そんな…」 残念だけど、浅香ちゃんは最近フスベシティに出向き、ランターンの電気技をスパークオンリーにしてしまってるので、 雷や10万ボルトを使う事はできない。 厄介だ…。 レイス:「動かないようだから、次はこっちから行かせてもらうわよ。ラブラ、高速移動から水の波動を連続で打つのよ!」 当たらないかもしれないのに、水の波動や水鉄砲を連続で発射するラブカス。 ランターンが避けていても発射し続けていて、当たらない攻撃は柱に当たって四散していた。 そして突然、ラブカスの姿が消えてしまった。 玲奈:「今度は何なの?ラブカスが消えるなんて…」 レイス:「消えてないわよ。フィールドを利用して特性を発動しただけ。ラブラ、スピードスターよ!」 いきなりランターンの背後に現れたラブカスがスピードスターを放って姿を消す。 どうやら、水の波動や水鉄砲をわざと柱に打ち、それを四散させる事を続け、一時的な雨乞いに近い状態を作り出したみたい。 それによって特性の「スイスイ」が発動し、動きがすばやくなったから、ラブカスの動きが肉眼で捕らえにくくなったらしい。 でも、それならこっちにも考えがあるわ。 玲奈:「ランターン、じたばたして水面に波を起こして!」 じたばたによって起きる波が、ラブカスの居場所を教える形になる。 そう呼んで行い、それは当たった。 でも、それはすでに遅かった。 レイス:「もう少し、早く動けたらよかったかもね。ラブラ、捨て身タックルよ。」 すでにラブカスは攻撃態勢に入っていたため、こちらが攻撃する前に、すでにランターンに攻撃を放っていた。 捨て身タックルによって柱に跳ね飛ばされるランターン。 そして、柱にぶつかり、そのまま動かなかった。 審判:「ランターン戦闘不能!よってこの勝負、レイス選手の勝利!」 相手を侮っていたわけじゃない。 でも、相手の独特の攻撃にこちらのペースが乗せられてしまった事がよく分かった。 冷静さを少し欠いていたし、負けちゃったのもよく分かる。 すでにあたしに目をくれず、クールに立ち去ったレイス選手。 かなり強いわ。 あの2体での勝ち上がり、そして首にかけているモンスターボール付のアクセサリー。 あの中には、ゴルダックとラブカス以上のポケモンが入っているのかもしれない。 だとしたら、今後のバトルでは大きな敵になるんじゃないかな? アナウンス:「さて次のバトルは、おおっと、キリンリキが会場に現れたか?いや、着ぐるみ好きのトレーナー、ジュライ選手の登場だ!今までにオオタチや ハブネーク、ヌオーなどの着ぐるみを着て登場したジュライ選手、お気に入りのキリンリキを着て、勝利を願おうというところなのか? 対するは、元気いっぱいにバトルを制してきた少女、モコナ選手の登場だ!このバトル、会場を沸かせられる二人のトレーナーによって、さらなる 会場のヒートアップが期待できるだろう!」 モコナ:「君がジュライ君だね?あたしはモコナ、よろしくね!」 ジュライ:「うん、よろしくね。でも、僕の方が絶対に強いからね。」 モコナ:「そうかなぁ?あたしの方がもっと強いと思うけど?まっ、やってみればわかるよね。シャワーズ、出てらっしゃい!」 モコナのポケモンは貯水を特性に持つイーブイの進化系のシャワーズだった。 ジュライ:「シャワーズかぁ。それじゃ僕は、ミロカロス、君に決めるね!」 対するジュライのポケモンはミロカロス。 シャワーズより大きな体でシャワーズを圧倒しているようだったが、逆にシャワーズはすまし顔で全く見ていなかった。 ジュライ:「あれっ?おかしいなぁ、僕のミロカロスは普通よりも大きいからシャワーズも圧倒されるかと思ってたのに…」 モコナ:「残念だったね、あたしのシャワーズは陽気そうに見えて結構冷静な性格だから、簡単には驚いたりしないんだよ。」 二人のトレーナーは、バトルが始まる直前まで、のほほんとした雰囲気をかもし出し続けていた。 審判:「それでは、試合開始!」 だが、試合が始まった時、二人の目の色が微妙に変化した。 モコナ:「シャワーズ、水に飛び込むのよ!」 ジュライ:「ミロカロス、竜巻を起こしてシャワーズを巻き上げるんだ!」 モコナ:「それなら水に溶けるのよ!」 ミロカロスの起こした竜巻がシャワーズを包み込もうとした時、シャワーズの体は溶けるようにして水に混ざり、姿を隠すようにして 竜巻から逃れていった。 モコナ:「シャワーズの細胞の一つ一つが水のように変化する力を持ってるから、水に入ってしまえばシャワーズのフィールドになるわ。 シャワーズ、ミロカロスに噛み付くのよ!」 竜巻が消えた後、シャワーズが現れるのを待って辺りを見回し、警戒していたミロカロスだったが、突然水が形を成してミロカロスの 尻尾にまとわりつき、尻尾を力強く噛み付いていた。 周囲がほとんど水なので、ミロカロスがどんなに警戒していても、姿を見つけられなかったのだ。 ジュライ:「ミロカロス、アイアンテールで跳ね飛ばすんだ!そして破壊光線だ!」 シャワーズの噛み付いていた尻尾が光りだし、シャワーズを振り回しながら跳ね飛ばすミロカロス。 そして、跳ね飛ばした場所に破壊光線を放った。 だが、 モコナ:「シャワーズ、電光石火でかわすのよ!」 シャワーズは電光石火のスピードを利用して破壊光線から避けて、ミロカロスの真正面に当たる陸地にたどり着いていた。 モコナ:「強いミロカロスだね。油断してないけど、ドッキドキだよ。」 ジュライ:「そうなんだぁ、でも、そのシャワーズも強いよ。破壊光線の反動が収まったら、すぐにシャワーズを倒せるように頑張っちゃうけどね。」 モコナ:「できたらいいね?」 ジュライ:「えっ?」 モコナ:「だって、もう無理だよ。シャワーズ、恩返しよ。」 モコナがシャワーズに指示を出した直後、シャワーズからは光り輝くようなとてつもない強力な波動が放出し、ミロカロスを陸地から跳ね飛ばし、 遠くの柱にめり込むまでに叩きつけていた。 審判:「ミロカロス、戦闘不能!」 ジュライ:「僕のミロカロスが…一撃でノックアウトするなんて…」 モコナ:「あのね、あたしが卵の時から、イーブイのときからずっと育ててるのが、このシャワーズなの。 だから、簡単に負けるわけないんだよ。シャワーズとは、10年以上の付き合いだもん。それだけ懐いてるし、 信頼してるから、恩返しの威力も大きかったの。シャワーズが相手だったのが、敗因になっちゃうかもね。」 ジュライ:「すごい懐き度だね…。それじゃ、僕の次のポケモンは、カブトプス、君に決めるよ!」 ジュライはモコナのシャワーズのすごさを目の当たりにし、多少驚きと恐怖で体が震えていた。 でも、それでもカブトプスを出したら、先どおりの自信ありげな表情に戻っていた。 モコナ:「カブトプスが相手なら、シャワーズは勝てないね。ポケモンは交代するね。シャワーズ戻って、ジーランス!」 互いに岩タイプを兼ねたポケモンを出していた。 ジュライ:「岩タイプで来るんだ…。でも、負けられないよ。カブトプス、連続切りから切り裂く攻撃だ!」 モコナ:「効果が薄くてもカブトプスの切れ味は抜群だもんね。だったらジーランス、硬くなる攻撃で防御に徹して!」 カブトプスの攻撃力は高いので、岩タイプの体に鋭い切れ味が、効果は今一つであっても、モコナにとっては念のためには欠かせないものだった。 そのために硬くなる攻撃を行い、切り裂く攻撃から身を守っていた。 ジュライ:「それならカブトプス、マッドショットだよ!」 カブトプスが放った泥の塊が、ジーランスを襲う。 マッドショットは地面タイプの攻撃なので、岩タイプのジーランスには天敵の技の一つだった。 モコナ:「ジーランス、避けて!」 マッドショットの猛攻から逃げるジーランスと指示するモコナだったが、途中からジーランスをカブトプスに近づけている事に気づくのだった。 モコナ:「ジーランスを近づけてる…!ジーランス、カブトプスから逃げて!」 モコナは何が起きるのかを察した。 だが、それに気づくのが遅かった事も察した。 ジュライ:「モコナさん、気づくのが遅いよ。カブトプス、メガドレインだ!」 メガドレインは「吸い取る」攻撃や「ギガドレイン」と同じ、相手の体力を吸い取る技だ。 ただ、威力はギガドレインより少し劣るものだったが。 ジーランスは水・岩タイプなので、草タイプのメガドレインは天敵の技。 だが、モコナはすぐに対抗策を立てた。 モコナ:「動かないポケモンは絶好の的になるんだよ。ジーランス、欠伸だよ!」 ジュライ:「えぇ〜!!カブトプス、逃げろ!」 ジュライは慌てたが、カブトプスは逃げられなかった。 欠伸を受けて眠ってしまったカブトプス。 こうなると、形成はジーランスの側に逆転するのだった。 モコナ:「ジーランス、バブル光線と水鉄砲のコンビネーションよ!」 水タイプの技で攻めるジーランス。 だが、水をかぶっても目が覚めないカブトプスは、そのまま水面に落下していた。 ジュライ:「お〜い、起きてくれよ〜!」 ジュライの言葉を聞いても起きないカブトプス。 モコナ:「こうなったら、最後に決めちゃうね!ロケット頭突きだよ!」 そしてロケット頭突きまでに及んだ時、カブトプスがようやく目を覚ましたのだが、カブトプスは柱に叩きつけられ、そのまま伸びてしまうのだった。 ジュライ:「カブトプスぅ…」 審判:「カブトプス、戦闘不能!よってこの勝負、モコナ選手の勝利!」 モコナ:「やったぁ!モコナちゃんのバトル、3回戦もドッキドキ!このまま4回戦もドッキドキだぁ!」 モコナが喜びに溢れ、ジュライは着ぐるみの首まで下げて、がっかりしているのだった。 アナウンス:「さて次のバトルは、ついに登場!優勝候補の一人、蓮華選手だ!対するのはアラビア風の衣装を纏ったトレーナー、アラヤ選手! 二人はどのようなバトルを行うのでしょうか?」 ついにあたしの番になった。 綾香や玲奈先輩、希先輩や海斗先輩が次々と敗れていってるけど、あたしは絶対に勝つんだから。 負けたりなんかしない。 あたしはあたしらしく、ミューズたちもボールの中で応援してくれてるし、ポケモンを信じて、勝利を掴んで見せなきゃ! あたしの反対側から歩いてきたアラヤ選手は、アラビアンナイトの衣装を纏った人だった。 そして、フィールドに出てくるまでの間、ライボルトに乗り、ドガースを連れて歩いていた。 とってもとっても変わった人だった。 でも、あたしみたいな人が変わってるなんて言うべきじゃないかもしれないけど。 アラヤ:「こんにちはぁ〜、あたしはアラヤ。ずっとオアシスを巡って旅をしてたんだ。でも今は海を旅してるの。 あたしのポケモンで、あなたのポケモンを倒しちゃうからね。」 蓮華:「そう、でも、あたしも負けないよ。」 アラヤ:「負けないよ、っかぁ。でも、あたしの方が頑張れるよ。アメタマ、出てきて〜。」 アラヤのポケモンは虫タイプを兼ねた水タイプのアメタマだった。 相手がアメタマだから、あたしがこれから出すポケモンは、相手にどう影響を出すのかと思うと、面白そうだと思った。 絶対に飛びのくだろうと。 蓮華:「あたしのポケモンはこの子!コイッチ、出てきて!」 あたしのポケモン、1番手はギャラドスのコイッチなのだ。 出た瞬間、思ったとおりのことが起きた。 アメタマは、自分の何倍もあるギャラドスの姿を見て、そして特性の威嚇も発動していたので、アメタマは表情が蒼くなり、 一時はアラヤの後ろまで逃げてしまっていた。 アラヤ:「アメタマ、大丈夫だよ。絶対に、大丈夫だからね。」 アラヤがアメタマをやさしく諭す姿、何となくだけど、アラヤの優しさを感じさせてくれた。 審判:「それでは、試合開始!」 アラヤ:「アメタマ、バブル光線よ!」 始まってすぐにアメタマは普通以上の量のバブル光線を放っていた。 さらに水の波動も放たれるが、コイッチには全く何も感じないようで、尻尾で攻撃を跳ね飛ばしていた。 蓮華:「ここはアメタマとギャラドスの格の違いを教えるべきかな。コイッチ、ハイドロポンプよ。」 あたしはわざと、アメタマの近くの水面にハイドロポンプを放った。 それによって津波が起き、アメタマは水の勢いに負けて流されていた。 アラヤ:「あ〜、アメタマ〜!!」 蓮華:「これが格の違いだよ。コイッチ、雷を落としちゃって。」 ここまでやるといけないかなって思いかけたけど、ここはアメタマを倒して次のバトルを楽しむべきじゃないか、そう思い、指示を出した。 それによって焦げて倒れるアメタマ。 審判:「アメタマ、戦闘不能!」 アラヤ:「あ〜、負けちゃった。蓮華さん、すごい強いですね。あたし、もう負けてもいいので、楽しんでバトルしますね。 マンタイン、出てきて!」 アメタマが倒れた事で、アラヤは開き直ったようだ。 こうなると、あたしもポケモンを交代して楽しみたくなった。 アラヤ自身がマンタインを出しても、負けてもいいといった以上、多分、勝てないと悟ったらしい。 現に、コイッチは雷や10万ボルトが使えるので、飛行タイプのマンタインでは勝てないと感じたに違いない。 蓮華:「コイッチ、戻って!そしてサゴッピ、行くよ!」 あたしは飛行タイプには有利な岩タイプを兼ねた、サニーゴのサゴッピを出した。 蓮華:「サゴッピ、トゲキャノンよ!」 トゲキャノンを受けて宙を優雅に舞いながら、マンタインは水に飛び込んだ。 サゴッピも続けて飛び込むが、 アラヤ:「チャンスだ!マンタイン、渦潮だよ!」 マンタインの渦潮に、サゴッピが閉じ込められてしまっていた。 アラヤ:「そのままバブル光線にスピードスター!」 渦潮に巻き込まれると、高速スピンのような攻撃ができないと、渦潮を打ち破る事はできない。 そのため、サゴッピはバブル光線やスピードスターによって動けないまま、攻撃を受けてしまった。 アラヤ:「次は空から攻撃するよ!マンタイン、水面から飛び出して、渦の中央にバブル光線だよ!」 あたしは渦潮から出る方法を思い悩みかけた。 でも、アラヤの出した指示がヒントになった。 蓮華:「アラヤ、自分の指示が、自分に帰ってくるよ。」 アラヤ:「えっ?」 蓮華:「サゴッピ、ダイビングで渦潮から脱出して!そして体当たりよ!」 サゴッピは渦の中で、海の底まで潜っていき、そして思いっきり飛び上がり、渦から外に飛び出していた。 そしてそのスピードを利用して、体当たりでマンタインにぶつかっていった。 アラヤ:「なるほどね、渦の中央がヒントになっちゃったのか…。でも、今度こそバブル光線だよ!」 蓮華:「サゴッピ、ミラーコートよ!」 渦潮に巻き込まれた時は使えなかったけど、水からあがってしまえばこっちのものだった。 サゴッピのミラーコートで、倍返しのバブル光線がマンタインを攻撃し、マンタインはその勢いで海面に落下したのだった。 審判:「マンタイン、戦闘不能!よってこの勝負、蓮華選手の勝利!」 あたしはコイッチとサゴッピが互いに元気な状態で勝利できた。 嬉しかった。 でも、何故かアラヤも喜んでいた。 あれって思ったけど、微妙だけど直感できた。 アラヤは、楽しいバトルができたから喜んでいるんだろうな。 あたしはこの楽しさを、次のバトルでも忘れないようにしようっと。 そうすれば、冷静さを失わないで、落ち着いてバトルができると思う。 アナウンス:「さて、3回戦も残り1試合になりました。最後のバトルは、来美選手対ラック選手です。 ハナダジムのジムトレーナーの経験がある来美選手に対し、ヤマブキシティの格闘道場で修業中のラック選手は、 どのようなバトルを繰り広げるのでしょうか?」 あたしが今日のトリを勤める事になるとはね。 身内が何人か負けちゃったけど、蓮華ちゃんやヒカリちゃんは勝利したし、あたしも頑張らなきゃね。 あたしの目の前には黒帯を締めた少年がやってきた。 彼がラック選手ね。 気合を入れているし、結構自信はありそうだわ。 でも、どんなポケモンが現れても、あたしの選んだこの子達なら、勝ってくれると思うわ。 ラック:「俺の気合の入ったポケモンで、お姉さんを倒して次のステージに進むんだ。お姉さんは残念だけど、ここでリタイアになるよ。」 来美:「そうなるのかしら?」 ラック:「ああ、その証拠がこいつだよ。ルンパッパ、出て来い!」 ラックの1番手は草タイプを兼ねたルンパッパだった。 来美:「あたしの1番手はこの子よ。ラブカス、お願いね。」 あたしがポケモンを出すと、ラックはガッツポーズをしていた。 勝つ気満々のようだけど、あたしのラブカスを甘く見られちゃ困るわね。 審判:「それでは試合開始!」 来美:「ラブカス、ルンパッパの前に出て!」 あたしはわざとルンパッパの前に出てもらった。 ラック:「ラッキー、それならルンパッパの絶好の的だ!ルンパッパ、葉っぱカッターで攻撃だ!」 するとラックは喜んで攻撃を始めた。 でも、それをあたしは狙ったのだ。相手を出方を見るためとして。 来美:「ラブカス、水の波動よ!」 ラブカスは水の波動を駆使して葉っぱカッターを相殺し、次に飛んできた種マシンガンも水鉄砲で相殺していた。 どうやら草タイプの技は結構使えるようだが、このルンパッパの使う技の威力は低いらしい。 だとしたら、特殊攻撃力が低い事になるのかな。 来美:「ラブカス、ルンパッパの口に水の波動よ!そして冷凍ビーム!」 今度はラブカスの攻撃でルンパッパの口を封じた。 試せる事は全部試してみるために。 そして、ルンパッパに大ダメージを与える技を出すために。 ルンパッパの口が凍った事を見て、ラックは慌てながらもある指示を出した。 ラック:「ルンパッパ、日本晴れだ!日本晴れで口の氷を溶かすんだ!」 フィールドが照らされて日本晴れの状態になった。 すると、日本晴れによって口の氷が解け、元気になるルンパッパ。 逆にラブカスのスピードは落ちていた。 ラック:「よぉし、このままルンパッパ、ソーラービームだ!」 来美:「させないわよ。ラブカス、目覚めるパワーよ!」 先制の爪を持っていたので、ラブカスはソーラービームが発射される前に目覚めるパワーを放てていた。 目覚めるパワーは日本晴れの力を受けて回転を増し、そのままルンパッパに突っ込んでいった。 そして攻撃を受けて倒れこむルンパッパ。 何故なら、この目覚めるパワーの属性は「炎」なのだ。 来美:「あたしの狙いを十分にあなたがはまるように引っかかってくれて助かるわ。このまま炎の目覚めるパワーでルンパッパを焼いてあげるわね。」 こう言ってみると、再び慌てだすのがラック選手。 どうやら落ち着きがないようだ。 それのおかげであたしは嬉しい思いをしているんだけど。 ラック:「ルンパッパ、日本晴れは危ない!雨乞いにするんだ!」 今度はフィールドに雨が降ってきた。 ラック:「これでルンパッパの特性、雨受け皿で復活だ!」 ラックはそう言ってるけど、本当にそうかしら?そう思っていると、フィールドの様子を見て、ラック選手は再び慌てだした。 ようするに、あたしのラブカスは、日本晴れでも雨乞いでも、それなりの効果を発する事ができるというわけだ。 今、素早さがあがり、高速移動も加わって、肉眼で捕らえにくいほどにまでスピードが上がっているように。 ラック:「ルンパッパ、種マシンガンで動きを止めるんだ!」 来美:「遅いわよ。ラブカス、天使のキッスよ!そして、メロメロにしちゃいなさい!」 種マシンガンを発射しようとしたルンパッパは、ラブカスが背後にいることに気づかず、ラブカスの天使のキッスを受けて混乱をしていた。 そして、メロメロを受けて、その場にルンパッパは倒れこみ、全く技を放とうともしなくなっていた。 天使のキッスとメロメロによって、戦意が喪失されたのだ。 審判:「ルンパッパ、戦意喪失により、戦闘不能とみなします!」 ラック:「そんなぁ…。ルンパッパ、戻れ。今度はニョロボンだ!」 ラックはがっかりしながらルンパッパを戻し、ニョロボンを出してきた。 ニョロボンは格闘タイプを兼ねているし、攻撃力や素早さもそれなりに高い。 ここはラブカスを戻すとしましょうかね。 来美:「ラブカス、戻りなさい。そして、チョンチー、出番よ。」 あたしの2番手は電気タイプのチョンチーだ。 しかも、今は雨乞い状態。 チョンチーが出た時点で、ラック選手の顔はすぐに青ざめていた。 ラック:「ニョロボン、急いで水に飛び込むんだ!」 雷が発動するという事を呼んだらしい。 それが大当たりなんだけど、あたしにはまだ、雷をニョロボンに当てる方法を知っていた。 来美:「チョンチー、広範囲に渡って怪しい光よ。」 チョンチーの二つのライトから放たれる光が広範囲に広がりながら、水面に放出され、怪しい光から逃げるように、ニョロボンが飛び出してきた。 ラック:「ニョロボン、チョンチーに向かってバブル光線だ!」 来美:「チョンチー、スパークで泡をはじくのよ!」 ニョロボンは攻撃態勢に入っていたので、すぐに雷を打つことはできなかった。 でも、体をスパークさせることで泡をはじき、ダメージを受けずにはすんでいた。 来美:「これで決めるわよ。チョンチー、雷よ!」 水タイプの攻撃が来たら、スパークを使って水を弾いてしまえばいい。肉弾戦で来た時も同じ。 だったら、ニョロボンの攻撃はチョンチーに当てる事はかなり難しい。 そのため、ラックが頭を抱えだし、あたしは最後の宣告的に、攻撃を行わせた。 雨乞いの威力は収まりつつあったが、雷はニョロボンに落ち、ニョロボンは倒れるのだった。 審判:「ニョロボン戦闘不能!よってこの勝負、来美選手の勝利!」 来美:「もう少し冷静に、慎重に技を選んでいたら勝利していたのかもしれないわよ。慌てすぎが、自分を追い詰めたのね。」 あたしはがっくりしているラック選手を見ながら、そう言ってあげたんだけど、彼は失意のどん底にいるようで、全くその事を聞いていないようだった。 そして、アクアカップ4日目の、3回戦のバトルがすべて終了した。 勝ち残ったのは、あたしと蓮華ちゃん、レイス選手、姫乃選手、ヒカリちゃん、シルバー選手、モコナちゃん、カルラス選手の8名。 この8名が明日、4回戦と5回戦で対戦する事になる。 4回戦は今日と同じ、2対2のシングルバトルだけど、5回戦からはバトル方式が微妙に変わるらしい。 その事も考えて、しっかりと作戦を練らなきゃいけないわね。