何だか今回のアクアカップは熾烈を極めてると、あたしは思う。 まぁ、蓮華ちゃんたちみたいな強いポケモントレーナーが多く集まった大会になっちゃったからだと思うけど、 ここまで来るとすごいメンツかな、やっぱり。 ポケモンマスターのあたしもアメタマたちを連れて参加したかったってすごく思ってるくらい。 でも、ポケモン協会の特別委員のあたしと律子はどうなっても出る事はできないから残念なところだし、 あたしはどういう大会であっても、マスターランクの大会しか出れないから、一般も参加できるこの大会は無理。 律子はどうなのか知らないけど、あの子はバトルやコンテストは好きでも大きい大会には出ようと思ってないし。 ともかく、残り2日。 2日ですべての片がつく。 今日、4回戦が行われ、午後から5回戦が行われる。 そして明日6回戦、いわゆる決勝戦が行われ、同時に3位決定戦も行われ、この大会は終わるんだから。 そして次の日、このコロシアムは再び水の中に身を潜め、3年後、再び姿を見せる事になる。 残っているのは蓮華ちゃん、来美さん、ヒカリ、モコナちゃん、カルラス、レイス、姫乃さん、シルバーさんの8名。 このうち、4回戦で4名に、5回戦で2名になり、その2名が決勝戦でバトルをする事になる。 ただ、問題は5回戦。 5回戦は今までは行わなかった、今年から始める新しい形式で行う。 それにしても、マヤさんも思い切ったことをやったわよ。 二人の紳士的なトップコーディネーターの水使いコンビに頼まれて、それを了承しちゃうんだから。 でもまぁ、いいかな。 あの方法は結構面白いし、まだカントウ、ジョウトでは行われてない方法だから。 だって、あれはホウエンのルネジムでの方式だもの。 渦巻き編 13.熾烈極る4回戦!負けられない戦いは続く アナウンス:「お集まりの皆さん、ついにアクアカップ4回戦を迎えました!」 日が昇り、海が穏やかな状況を迎え始めた頃、昨日に引き続き、同じルールでの4回戦が始まろうとしていた。 観光客、観戦客もさらに増え、コロシアムはすごい人数でごった返している中、とある親衛隊と、とある団体はいつものように いつもの場所でその様子を観戦していた。 アナウンス:「アクアカップ4回戦も、3回戦同様に、ポケモン2体を使用したシングルバトルとなります。それでは、最初のバトルに いってみましょう!4回戦最初のバトルは、ここまでポケモン2体のみで勝ち上がってきました、レイス選手と、会場をファンシーに沸かす モコナ選手です!」 スレンダーな衣装を身に纏ったレイスと、反対にかわいい衣装を身に纏ったモコナがフィールドに現れた。 レイスのまっすぐな冷酷な視線に、涼しい顔でモコナは返している。 どうやらレイスの視線攻撃が、モコナには全く効いていないようだった。 レイス:「昨日の相手とは違って楽しめそうね。」 視線を受け止める彼女に、レイスはモコナの別格さを感じたらしかった。 モコナ:「あたしはそう感じました。あなたは他の人とは違ったオーラがある気がします。その分、楽しめそうです。」 レイス:「でも、勝つのはあたしよ。」 モコナ:「それを言う人が負けるんじゃないんですか?」 レイス:「あたしは別格なの。」 モコナ:「そうですか、それじゃ、トドクラー、出てきてね!」 モコナのポケモンは氷タイプを兼ねたトドクラーだった。 レイス:「あなたのポケモンは大体がこの子で対抗できそうで助かるわ。ダルト、出なさい!」 対するレイスのポケモンはゴルダックのダルト。 格闘技で玲奈のパルシェンを倒したほどの力を持つため、格闘タイプを弱点に持つポケモンを多く持つモコナには、 注意が必要のようだ。 審判:「それでは、試合開始!」 モコナ:「格闘技に気をつけなきゃね。トドクラー、アイスボールよ!」 トドクラーが口から氷の塊を発射した。 レイス:「ダルト、メガトンパンチで破壊するのよ!」 モコナ:「続けて2発目、3発目よ!」 レイス:「ダルト、クロスチョップから瓦割りよ!」 ゴルダックはメガトンパンチで1発目を軽くこなし、続けてクロスチョップで2発目、3発目を同時に破壊。 さらに4発目を瓦割りで破壊していた。 アイスボールは発射するごとに大きさや威力が増してくる技だが、それを軽く破壊していくゴルダックの姿に、 モコナはこのゴルダックの攻撃力の高さを感じていた。 モコナ:「だったらトドクラー、凍える風を纏いながら5発目よ!」 トドクラーは、口から放つ巨大な塊を形成しながら、同時に相手からの攻撃を防ぐように凍える風を体から発し、体に纏っていた。 レイス:「トドクラーに一度に同じ技を行わせて、ダルトからの攻撃によるダメージを少しでも抑えようとしてるのね。 なるほど、あたしが他と違うと感じたわけだ。ダルト、あなたの力でも5発目は不利、破壊光線よ!」 トドクラーが体に纏った凍える風と一緒にアイスボールを発射した時、同時にゴルダックも破壊光線を発射していた。 レイスの読みは当たり、破壊光線がアイスボールを破壊し、そのままトドクラーに突っ込んでいく。 だが、トドクラーはその場に崩れ落ちる事はなかった。 レイス:「ダルトの破壊光線を受けて倒れないなんて…」 モコナ:「残念でした。トドクラーは気合の鉢巻を持ってるのよ、首に下げてるだけでも効果を発してくれたの。」 レイス:「どこにそんな…、その紐が!?そういうことだったのね。」 トドクラーが首に巻いていたのは紐だったが、それは気合の鉢巻で編まれた紐だったのだ。 モコナ:「さてと、ゴルダックが反動で動けないうちに、トドクラー、眠って体力を回復するのよ!」 トドクラーは眠り始めた。 同時に体力と傷が回復していく。 レイス:「眠って回復か。でも、その状態ではダルトと戦えなくないの?ダルト、乱れ引っ掻きよ!」 ゴルダックはトドクラーに近づき、攻撃しようとした。 だが、突如トドクラーの口から発された声を聞いて驚き、後ずさっていた。 レイス:「なるほど、トドクラーのいびきね。」 モコナ:「ええ、そう簡単にはトドクラーに攻撃をさせないってわけよ。」 レイス:「だったら今度はこれよ!ダルト、念力でトドクラーを浮き上がらせるのよ!」 ゴルダックの念力がトドクラーを浮き上がらせる。 だが、今度はトドクラーから別のものが発された。 それは凍てついた風の波動、イコール吹雪で、再び念力をとめて、ゴルダックは攻撃をかわしていた。 レイス:「寝言で吹雪を出すとは…、侮れないわ。」 モコナ:「そんなこんなでトドクラーは起きたし、こっちが有利ね。トドクラー、オーロラビームよ!」 トドクラーがゴルダックに向けてオーロラビームを放つが、 レイス:「ダルト、ジャンプして避けるのよ!そしてそのままトドクラーに破壊光線よ!」 オーロラビームを交わしたゴルダックがトドクラーに突進するように破壊光線を発射した。 だが、そのためにゴルダックの動きは止まっているようなもの。 モコナも勝負に出ていた。 モコナ:「トドクラー、絶対零度よ!」 ゴルダックが破壊光線、トドクラーが絶対零度を放ち、それが両者にぶつかった。 そして、両者は共に攻撃で倒れていた。 審判:「トドクラー、ゴルダック、共に戦闘不能!」 レイス:「ダルト、よく頑張ったわ。破壊光線を発射した直後に絶対零度を放つとは、ギャンブラーね。」 モコナ:「でも、あなたのゴルダックの強さはすごかったわよ。乱れ引っ掻きが不発に終わったけど、気合の鉢巻で編んだ紐がかすられたことで 切れてしまったし、体力が回復できたままのトドクラーを破壊光線の一撃で倒してしまったほどだもの。」 レイス:「お互い、次のポケモンで決まるわね。あたしのポケモンはこの子よ、ラブラ、出なさい!」 モコナ:「あたしのポケモンはこの子だよ、昨日進化させたの、十分育ったから。パルシェン!」 レイスのポケモンはラブカス、モコナのポケモンはゴルダックと当たっていたら殻を割られていたのかもしれないパルシェンだった。 だが。 レイス:「パルシェンが相手か。ラブラの相手にふさわしいわね。」 パルシェンの相手と知っても涼しい顔のレイスに、モコナは再び、何気ない何かを感じていた。 レイス:「あたしから行くわよ!ラブラ、高速移動から影分身よ!」 パルシェンの周囲をラブカスの分身が囲んでいく。 モコナ:「パルシェン、殻に篭って鉄壁、さらにトゲキャノンよ!」 パルシェンは殻に篭った状態で、トゲキャノンを周囲に一斉発射した。 それによって攻撃と防御を同時に行うのだが、周囲のラブカスが一気に消え、すべてが分身だった事が分かった。 モコナ:「本体がいない!」 レイス:「ここよ!ラブラ、どくどくよ!」 ラブカスが水中から飛び出し、殻を開けたパルシェンにどくどくを吹きかけた。 モコナ:「パルシェン!…だったら氷柱針よ!」 パルシェンが氷柱をラブカスに向けて発射するが、ラブカスはそれを普通に受け止めていた。 何故かダメージを受けていない様子。 モコナ:「嘘…」 レイス:「水中に飛び込んでる間にラブラは自己暗示を行ってるの。それでパルシェンと同じくらい防御力が上がってるのよ。 並みの攻撃ではラブラには適わないわけ。」 モコナ:「なるほどね、やられたわ。」 レイス:「それにどくどくを受けてるから、後数ターンでパルシェンは倒れるわよ。ラブラ、もう一度高速移動から影分身よ!」 再びラブカスは高速移動と影分身で、パルシェンを取り囲んだ。 モコナ:「だったらパルシェン、吹雪よ!」 パルシェンは周囲に向けて吹雪を発射した。 分身が消えると同時に海が凍りつき、今度は潜っていなかったらしいラブカスも氷漬けになっていた。 パルシェンの背後を位置するラブカスのそばには球体の氷が転がっている事から、水の波動で攻撃をしようとしていたらしい。 だが、氷漬けになってしまい、ラブカスはもう動けないようだった。 だが、吹雪が止んだ直後、ラブカスが凍っているのが確認できるのと同じ時、パルシェンがその場で倒れるのだった。 審判:「パルシェン、ラブカス、共に戦闘不能により、このバトルは引き分けとなり、神官マヤさまの判断を仰ぐ事になります!」 バトルにおいて引き分けが決まる事は滅多になく、その際は審判団が決めることも多いが、今回は神官マヤが決めることになり、 勝負の行方は後で分かる事になった。 レイス:「楽しかったわよ。これで負けても悔いはないわ。」 モコナ:「あたしもです。楽しかったです。ラブカスも、ゴルダックも、すごく手強かったし。」 レイス:「そう。」 二人とも、これで負けだと感じていたが、数時間後、二人は驚く事になる。 何と、マヤは二人とも勝利とし、5回戦の進出を認めたのだから。 これは今までにないことで、急遽5回戦のトーナメント表を作成する事になるのだが、その裏に、一人のポケモンマスターの少女が マヤに助言をしていたのでもあった。 アナウンス:「さて、次のバトルは、優勝候補のシルバー選手の登場です!対する相手は、水を纏う人魚のごとく、ポケモンと戯れる ジムトレーナー、来美選手!二人はどのようなバトルを見せてくれるのでしょうか?」 シルバー:「今度の相手は水の能力者さんだと、なずなから聞いてます。お強いそうですね。」 来美:「ええ、でも、優勝候補のあなたには苦戦しそうだわ。同時に楽しめそうでもあるけど。」 シルバー:「それはあたしもです。」 来美:「そう、それじゃ、行くわよ。ラブカス、出番よ!」 シルバー:「ダック、頑張って!」 だが。 二人のポケモンが出て、試合が今始まる、というときだった。 突然、空に気球が現れ、ラブカスとゴルダックが網で捕らえられていた。 シルバー:「何?」 来美:「これは…?」 空に姿を見せたのは、「S」の文字がついたラッタ型の気球だった。 ヤマト:「一体何者なの!と聞かれたら...」 コサブロウ:「答えてあげないの普通だが...」 二人:「まあ特別に答えてやろう!」 ヤマト:「地球の破壊を防ぐため...」 コサブロウ:「地球の平和を守るため...」 ヤマト:「愛と誠実の悪を貫く...」 コサブロウ:「キュートでお茶目な敵役...」 ヤマト:「ヤマト!」 コサブロウ:「コサブロウ!」 ヤマト:「宇宙を駆ける元スペース団、今はスペース強盗コンビの二人には...」 コサブロウ:「ショッキングピンク、桃色の明日が待ってるぜ!」 ヤマト「なーんてな!」 アナウンス:「おおっと、突然現れた乱入者によって、シルバー選手と来美選手のポケモンが捕らえられてしまいました!」 ヤマト:「オ〜ホホホホ、このポケモンを返してほしかったら、神官の持つ海の魂をこちらに渡すのよ!」 コサブロウ:「これは特殊なハイパースペシャル合金MAXでできた強力な網でね、ポケモンの技は全く通用しないのさ。 会場にいるポケモントレーナーがちょっとでも動けば、この網に電流が流れる事になるぞ!」 この言葉に、ポケモン警察は何も言えない状態だった。 だが、二人は忘れていた。 作戦がうまくいっていたために、この会場には、一般人とポケモン以外にも彼らがいるということを。 そして、それはすぐに分かるのだった。 球体の塊が一気に通り過ぎると共に、網が切れ、ゴルダックとラブカスが解放されていた。 ヤマト:「なんですって!?」 コサブロウ:「いきなりなんだ?」 二人は驚くが、 律子:「教えてあげるわよ!」 美香:「あたしたちのこと、お忘れ?」 海:「ポケモンは助けさせてもらったわよ、化粧の濃いオバサンにコサンジさん!」 蝶の羽を持つ少女に、炎の翼を持つ少女、そして変わった生き物に乗る少女の姿を見て、思い出した。 でも、 ヤマト:「オバサンですって!?」 コサブロウ:「俺はコサンジじゃない!コサブロウだ!」 二人は別のことで怒っていた。 来美:「3人とも、後はあた…」 シルバー:「来美さん、ここはあたしに任せてくださいね。」 そこへ聞こえてくるのはシルバーの声。 彼女は一つのボールを投げた。 シルバー:「こういうことが起きたから使う事になったわ。ピカッチ、雷よ!」 ボールから出てきたピカチュウの雷が、気球を貫き、 シルバー:「さらにおまけの10万ボルトよ!」 10万ボルトが気球に命中し、大爆発と共にヤマト、コサンジ、いやコサブロウは吹っ飛ばされていった。 ヤマト:「あ〜ん、せっかくいいところまでいったのにぃ〜!」 コサブロウ:「あいつらのことを忘れてしまったとは…」 二人:「やなきもちぃ〜!!」 そして、 泥棒コンビがいなくなり、ポケモンの回復を行ったすぐ後、数分して、 二人のバトルが始まろうとしていた。 審判:「乱入者による妨害行為などがありましたが、ただいまより、試合開始!」 来美:「ラブカス、高速移動で近づいて、ゴルダックに甘えるのよ!」 ラブカスがゴルダックまで一気に近づき、甘え始めた。 それによって動揺し、攻撃力を下げるゴルダック。 シルバー:「ダック、引っかく攻撃でラブカスを跳ね除けるのよ!」 来美:「ラブカス、潜ってかわして!」 ゴルダックの引っかく攻撃を水に潜ってかわすラブカス。 来美:「そのままメロメロよ!」 ラブカスは水中からウインクしてゴルダックを誘惑し始める。 シルバー:「ダック、避けて波乗りでラブカスを押し流しなさい!」 ラブカスのウインクで出てきたハートを避けたゴルダックは、波乗りでラブカスに向かっていき、大波がラブカスを押し流していく。 だが、再びラブカスは、高速移動でゴルダックに向かっていた。 来美:「ラブカスがそんなに簡単には波に流されたりはしないのよ。ラブカス、影分身からもう一度メロメロよ!」 波乗りの波を逆流しながら、高速移動でジグザグに動き、影分身をして分身を続けながら、ウインクを放っていた。 そして、流石にジグザグ攻撃に参ったか、ゴルダックはメロメロを受けてしまっていた。 シルバー:「ダック、しっかりして!」 来美:「そのまま今度は天使のキッスよ!」 メロメロを受けて、それを立ち直ろうとするゴルダックだが、続けて受けた天使のキッスで、ゴルダックは完全に混乱していた。 シルバー:「ここはポケモンを戻さなきゃ。ダック、戻…」 来美:「させないわよ、ラブカス、捨て身タックルよ!」 メロメロや天使のキッスと、来美の作戦が決まった今、来美のペースにシルバーは押されてしまっていた。 捨て身タックルがボールに戻る前のゴルダックに決まり、ゴルダックは戦闘不能になってしまったのだ。 審判:「ゴルダック、戦闘不能!」 来美:「どう?あたしのラブカスは。」 シルバー:「やりますね、メロメロと天使のキッスのコンボでは、どちらかを回復しても動くに動けませんから。 でも、次で押し返します。ジュエロ、出てきて!」 シルバーの2番手は氷タイプを兼ね、ヤツデや綾香を警戒させたジュゴンだった。 来美:「どんな相手が来ても負けないわよ!ラブカス、高速移動から…」 シルバー:「ジュエロ、猫騙しよ!そして破壊光線よ!」 ジュゴンの猫騙しがラブカスをひるませ、破壊光線の一撃がラブカスを襲った。 そしてラブカスは吹っ飛ばされ、柱に叩きつけられていた。 審判:「ラブカス、戦闘不能!」 シルバー:「残念でしたね。流石に同じラブカスを持っていれば、ジュエロのこの方法で封じる事は考えれますから。」 来美:「やられたわ。でも、この子にはどう戦うのかしら?マンタイン、出てきて!」 来美は少し顔を歪ませたが、すぐに思い返してマンタインを投入した。 マンタインは飛行タイプを兼ね、水中でも自由に舞うポケモンのため、水を舞うジュゴンに立ち向かうには十分な力を持っていた。 来美:「マンタイン、ジュゴンにツバメ返しよ!」 マンタインは水から空中に上がり、大きく舞いながらジュゴンに攻撃した。 シルバー:「ジュゴン、水に潜るのよ!そして相手の出方を見て!」 ツバメ返しはジュゴンに軽いダメージを与えただけに過ぎなかったようで、ジュゴンは水に潜っていった。 来美:「水の中にいるのね。だったらマンタイン、竜巻でいぶりだすのよ!」 マンタインが竜巻を起こし、水を吸い上げながらジュゴンを海面に引き寄せていた。 シルバー:「だったら竜巻は壊すまでですよ。ジュエロ、冷凍ビームよ!」 ジュゴンの冷凍ビームが竜巻を凍らせ、再び水に潜っていった。 来美:「それなら今度はバブル光線よ!そして水の波動!」 バブル光線が、水の波動が、水面から見えるジュゴンに向かって放たれるが、ジュゴンは水の中で優雅にかわしていた。 シルバー:「今度はこっちから行きます!ジュエロ、波乗りよ!」 ジュゴンが水から飛び出し、大波と共にマンタインの元に向かっていく。 来美:「それならマンタイン、ジュゴンに翼で打つ攻撃よ!」 ジュゴンが水から上がり、攻撃に移ってきたために、マンタインも翼で打つ攻撃で攻めようとしていた。 だが。 シルバー:「ジュエロ、そのまま頭突きよ!」 波乗りから飛び出したジュゴンは、マンタインに頭突きを食らわし、マンタインを海面に落下させた。 来美:「マンタイン、もう一度立ち上がって!」 シルバー:「させませんよ、ジュエロ、物真似したバブル光線よ!」 ジュゴンは水に飛び込みながら、バブル光線を放ってマンタインが空中に舞い戻ろうとするのを邪魔していた。 そしてそのまま水に飛び込むジュゴン。 シルバー:「ジュエロ、とどめよ!破壊光線!」 ジュゴンから、水の中から破壊光線が放たれ、マンタインは破壊光線を受けて宙を舞った。 そしてそのまま海面に叩きつけられ、倒れた。 審判:「マンタイン、戦闘不能!よってこの勝負、シルバー選手の勝利!」 シルバー:「強かったですよ。でも、ジュゴンの方がレベルは上だったみたいですね。」 来美:「ええ。…もう少し、育てが必要だったみたいね。あたしのジュゴンを出していたらどうなっていたかしら…。 またいつか、あなたとバトルがしたいわ。」 シルバー:「あたしもです。」 来美:「これから、また頑張ってね。」 シルバー:「はい!」 アナウンス:「次のバトルは、優勝候補選手として名を連ね始めました、蓮華選手の登場です!対する相手は謎のトレーナー、カルラス選手。 二人はどのようなバトルを見せてくれるのでしょうか?」 蓮華:「来美ちゃんは負けちゃったかぁ…。後はヒカリは能力者じゃないから、身内はあたしだけになったってことか。 みんなの分も頑張って、優勝しないとなぁ。」 そんなあたしをじ〜っと見つめる人がいた。 あたしの相手、カルラスだ。 何か、じ〜っと見ていて、あたしに暗示や催眠術をかけてるみたいだけど、もしかけてるとしても、言葉巧みにあたしを負ける方に導こうとしてると しても、多分、それはあたしには通用しないと思う。 あたしには、あのドリームでさえも、洗脳攻撃でダメージを与えられなかったのだから。 カルラス:「君の優勝は無理だね。君は私に負ける運命なのだから。」 何て言ってるけど、あたしは適当に無視しておいた。 それに、今回のあたしのメンバーは、カルラスに十分対抗できる二人なんだから。 蓮華:「あたしには、何を言っても無駄だからね。もし暗示や催眠をかけようとしてたとしても。」 哲也:「蓮華は勝ちそうか?」 涼治:「多分勝ちますよ。」 志穂:「というより、勝つわね。相手のレベルは低そうだし、蓮華ちゃんにアレは通用してないもの。」 美香:「アレって?」 志穂:「海ちゃんは分かるわよね?」 海:「ええ、あれは言葉と視線を利用して、相手を巧みに気づかれないように弱気にさせて、暗示をかけ、負ける方向に導く、かなりレベルの高い、 一般の人にもあまり気づかれないような催眠術のかけ方ですね。」 志穂:「エイク君の時から気づいてたけど、様々な話術を利用して、時には相手が勝った様にも思い込ませ、さりげなくエイク君の精神に 軽めであり、そして深めの暗示をかけてるわ。今までの挑戦者の試合をナナちゃんにお願いしてビデオで見せてもらったけど、 全員気づかれないうちに暗示をかけられてた。あの催眠術と暗示は、軽いショックで解けるようになってるから、負けたことでがっくりしたことで、 すべてが解けているようよ。」 なずな:「それってインチキじゃない?」 綾香:「アミカ以外にも潰しはいたってことですね。」 玲奈:「でも、ナナちゃんには知らせたのよね?」 志穂:「ええ。カルラスがもし勝っても、カルラスの負けは決まってますから。それに、蓮華ちゃんは癒しの能力者。 催眠術や暗示、洗脳のような精神に揺さぶりをかける攻撃は全く通用しませんよ。」 香玖夜:「それなら安心ね。」 海斗:「そうだな。万が一の時は、俺たちが飛び出してもいいのか?」 律子:「いいですよ、あたしが許可をもらいましたから。」 そんな会話が客席で行われているとは知らず、カルラスは自信ありげに蓮華に暗示をかけようとし、蓮華はかかる振りをしながら、涼しい顔で それをあしらっていた。 カルラス:「私の予言では君は負けるだろう。占いにもそう出ている。」 蓮華:「でも、あたしは負けません(てゆか、やっぱり暗示だよね。ばっかみたい)。ハッスル、あなたに任せるわよ!」 カルラス:「ホエルオー、相手に実力を教えてあげなさい。」 あたしのポケモンは、昨日ハスブレロから、水の石を使ってルンパッパに進化した、水・草タイプのハッスル。 対するカルラスのポケモンは、巨大なくじら型のポケモン、ホエルオーだった。 でも、たとえ相手が大きくても、ハッスルなら大丈夫。 そういう自信があたしにはあった。 そして、カルラスもあたしの様子を見て、暗示がかからない体質だと見抜き始めていた。 あたしにそれが分かったのは、布の間から見える目から強い視線が消えてからだった。 審判:「それでは、試合開始!」 そしてバトルは始まった。 カルラス:「ホエルオー、潮吹きで攻撃だ。」 一発目から体力満タンのホエルオーによる潮吹き攻撃が発射され、水の塊がハッスルを襲っていた。 でも、ハッスルは得意なステップを踏みながら、それをかわし、たまにかかる水を頭の蓮にためながら、動いていた。 蓮華:「ハッスル、ホエルオーの上に乗って!そのまま潮吹き孔にどくどくを入れるのよ!」 ハッスルは軽くステップを踏みながら飛び上がり、先ほどまで潮を吹いていた穴に毒を放った。 その瞬間、ホエルオーの体がしなるように動き、大波が立ち、ホエルオーが苦しみ始めた。 カルラス:「ホエルオー、眠って体力を回復するんだ!」 ホエルオーは眠ろうとした。 だが、それができそうにない。 なぜなら、ホエルオーの上で踊っているルンパッパの声がうるさいのだ。 蓮華:「簡単に回復はさせないわよ。ホエルオーが大きいから、小さな、それも自分の上に乗った相手には攻撃する事がやりにくい。 あなたはポケモン選びに失敗したわね。」 カルラス:「何だと?」 蓮華:「ちなみに、ルンパッパが騒いでるから眠れないのよ。元々騒ぐ攻撃を使うと、ポケモンは眠りから覚めるから。 眠ろうとしても、騒いでいる間は無理。その間にどくどくで体力が減っていくわよ。」 カルラス:「くっ、それなら今度は跳ねてルンパッパを振り落とせ!」 ホエルオーは苦しみながらも跳ね始めた。 だが、ステップを踏み、跳ねる攻撃を楽しんでいるルンパッパには全く効いていない。 逆に、 蓮華:「ハッスル、葉っぱカッターと種マシンガンのコンビネーションよ!」 踊りながら放つ葉っぱカッターと種マシンガンを体に受け、ホエルオーの動きはだんだん静かになっていた。 カルラス:「こうなれば最後だ、ホエルオー、もう一度潮を吹け!」 ホエルオーの状態を見て、カルラスはついに勝負にかけてきた。 だが、ホエルオーの潮吹きとして出た水はほんの少しだけで、そのままホエルオーは動かなくなった。 審判:「ホエルオー、戦闘不能!」 カルラス:「くそっ、せっかくのチャンスだったのに…。」 蓮華:「ちりも積もれば山となる。些細な攻撃の積み重ねと、相手との大きさの違いがここで勝負を決めたのよ。 これがダブルバトルだったら違ってたかもしれないけど、シングルバトルでは自分の大きさが逆に自分を追い込むことになったのね。」 あたしがズバズバと言ってやると、流石にムカッときたらしい。 カルラスは、視線を再びあたしに向けてきた。 まっ、あたしには通じないけど。 カルラス:「黙ってきいていれば、大人に対して失礼な事を!だが、こいつにはそのポケモンでは適うわけがない!ギャラ…」 蓮華:「そう、それなら交代しようっと。」 カルラス:「何っ…!?」 カルラスが適わないと言ったから、あたしはわざとポケモンをかえてやった。 ポケモンの入れ替えは自由なので、失格や反則ではない。 だが、この交換は不意打ちで、カルラスも流石に唖然としていた。 しかも、カルラスのポケモン、水・飛行タイプの凶悪ポケモンギャラドスの威嚇は、あたしのポケモン、ドククラゲのメノノには 特性のクリアボディによって、まったく通用していなかった。 カルラス:「くそっ、続けてチャンスを踏みにじるとは…!!」 蓮華:「残念でした。メノノ、ギャラドスにバブル光線よ!」 カルラス:「そんな攻撃、ギャラドスに効くとでも思ったのか?ギャラドス、10万ボルトだ!バブル光線ごと、ドククラゲを攻撃しろ!」 ギャラドスは体から電気を発し、バブル光線を弾き、メノノに攻撃した。 でも、カルラスは知らないけど、あたしのメノノ、電気は効かないのよね。 そして、10万ボルトが終わった直後、それを知ったカルラスは驚いていた。 蓮華:「残念でした。メノノ、怪しい光よ。」 メノノの二つの赤い玉が光をサーチライトのように放出し、10万ボルトを放ったばかりのギャラドスを照らした。 直後、ギャラドスは柱に頭をぶつけ始めていた。 カルラス:「ギャラドス!混乱するな!正気に戻れ!くそっ、キーの実を持っているのにどうして混乱を…」 蓮華:「それって、アレの事?」 カルラス:「ん?何っ!?」 ギャラドスが持っていたはずのキーの実は、いつの間にかメノノの触手の一つが握っていた。 蓮華:「泥棒させてもらいました。じゃないと、怪しい光が通用しないもん。」 カルラス:「な、な、な、な…」 蓮華:「驚いて声も上げれないみたいね。メノノ、決めちゃうよ。スパークよ!」 今度はメノノから電気が放出され、メノノはそのままギャラドスに絡みついた。 電気が体中に流れ、ギャラドスはとてつもない雄たけびを上げ、そしてその場に崩れ落ちた。 審判:「ギャラドス戦闘不能!よってこの勝負、蓮華選手の勝利!」 すごく楽な試合だったと思った。 でも、それはハッスルとメノノのおかげだけど。 二人とも、すっごく頑張ってくれた。 そのおかげで、あたしはここまで頑張れた。 逆にカルラスは崩れ落ちていた。 自分の精神攻撃も通用せず、逆にあたしのペースにはまって、倒されちゃったんだから。 まっ、自業自得ね。 それより、このまま優勝狙って、一気にガンバロウッと! アナウンス:「さて、次で4回戦最後の試合となります。最後の試合、出場者は姫乃選手とヒカリ選手です!」 アナウンスの声が聞こえると、姫乃親衛隊の応援が始まっていた。 同時に、蓮華たちがヒカリコールを行い、姫乃とヒカリ、それぞれのコールが会場を響かせていた。 アナウンス:「優勝候補の強豪、姫乃選手に対し、四天王カンナさまの弟子、ヒカリ選手はどのようなバトルをし、 二人はわれわれに、どのようなバトルを見せてくれるのでしょうか?」 ヒカリ:「負けないよ。あたしは今まで修羅場をくぐってきた分、経験を積んでるから。あなたが強豪でも、簡単には負けない。」 姫乃と顔をあわせたすぐのヒカリの一言だった。 いきなりこんな事を言われたが、姫乃は涼しい顔で、 姫乃:「そう。」 としか返していなかった。 姫乃:「何を言ったとしても、あなたが水を好きでなければ、私には勝てないわよ。」 ヒカリ:「あたしは水より氷が好き。あたしの夢はアイスマスターだもの。アクアマスターとなるあなたを、アイスマスターを目指す あたしが氷漬けにしてあげるわ。」 姫乃:「できるかしら?あなたがいくら強いトレーナーだとしても。…あなたが私以上に水を愛していないのだったら……私には勝てないわね。」 ヒカリ:「それじゃ、それを証明しましょ。ラプラス、行きなさい!」 姫乃:「ラグージ、出番よ。」 ヒカリのポケモンは氷タイプを兼ねた貯水特性のラプラス、対する姫乃のポケモンは、地面タイプを兼ねたラグラージだった。 審判:「それでは、試合開始!」 ヒカリ:「ラプラス、水鉄砲よ!」 姫乃:「ラグージ、水の波動よ。」 地面タイプを兼ねているラグラージには水タイプの攻撃は普通に効くため、水鉄砲で様子見をかねて放つラプラス。 だが、水鉄砲は水の波動に押され、ラプラスはとっさに潜って水の波動をかわした。 姫乃:「様子を見るだけの攻撃ではあたしには勝てないわよ。ラグージ、マッドショットよ。」 泥の塊がラプラスに向かって放たれ、水中のラプラスは外に引きずり出されていた。 ヒカリ:「水中から出して攻撃する気ね。ラプラス、白い霧よ!霧にまぎれて波乗りよ!」 水から出た瞬間、ラプラスは霧を放出した。 白い霧がフィールドを包み、ラプラスの居場所をラグラージは掴みにくくなっていた。 ヒカリ:「いくらラグラージのひれがレーダーの代わりをするといっても、この白い霧に包まれた状態では攻撃は無理よ!」 姫乃:「果たしてそうかしら?これくらいで私があせるなんてこと、ありえないわ。ラグージ、見破って濁流よ。」 ラプラスはすでに波乗りを行おうとしていた。 だが、それよりも早くラグラージはひれのレーダーでラプラスの大まかな位置を測り、見破る攻撃で攻撃を確実に当てられるようにし、 波乗りを濁流で押し流していた。 波乗りが濁流で押し流され、ラプラスはラグラージの前に落下していた。 姫乃:「濁流も波乗りも、平均的な威力数値は同じよ。でも、ラグージの濁流の方が威力が大きかったようね。ラグージ、そのままラプラスに アイアンテールよ!」 ラグラージによる鋼の技が決まり、ラプラスは倒された。 審判:「ラプラス戦闘不能!」 ヒカリ:「ラプラスが倒されるなんて…」 姫乃:「私をあせらせようとしても無駄よ。正々堂々と真正面から攻撃しない限り、あたしには勝てない。」 ヒカリ:「それならやってあげるわよ。ジュゴン、行くわよ!」 姫乃:「それでは、あなたが真正面から来れるように選手交代よ。ミカロス!」 ヒカリの2番手は氷タイプを兼ねたジュゴン、対する姫乃のポケモンは色違いのミロカロスだった。 姫乃:「先に行かせてもらうわ。ミカロ…」 ヒカリ:「ジュゴン、猫騙しから頭突きよ!」 ジュゴンの猫騙しがミロカロスをひるませ、その隙にジュゴンは頭突きでミロカロスを突き飛ばした。 姫乃:「ミカロス、アイアンテールよ。」 ヒカリ:「ジュゴン、守る攻撃でかわして、ミロカロスに叩きつける攻撃よ!」 守る攻撃でアイアンテールが止められ、さらにミロカロスをジュゴンのひれが叩きつける。 姫乃:「なるほど、確かに真正面から来たわね。でも、打撃攻撃はミカロスには通じないわよ。ミカロス、自己再生よ。」 ミロカロスの自己再生が、頭突きと叩きつける攻撃のダメージを回復する。 ヒカリ:「それなら、ジュゴン、シグナルビームと冷凍ビームのコンビネーションよ!」 ジュゴンの角からシグナルビームが、そして冷凍ビームが放たれた。 だが。 姫乃:「ミカロス、竜巻でシグナルビームを跳ね返し、ミラーコートで冷凍ビームを跳ね返しなさい。」 ミロカロスの尻尾から出た水竜巻がシグナルビームを反射させ、さらにミラーコートが冷凍ビームを反射し、 逆にジュゴンを攻撃していた。 ヒカリ:「そんな…」 姫乃:「攻撃としては間違っていないけど、ミカロスにはそんな攻撃は当てられないわよ。ミカロス、メロメロよ。」 ミカロスのメロメロ攻撃がジュゴンに当たった時、ジュゴンの目がハート型になっていた。 ヒカリ:「ジュ、ジュゴン!?」 姫乃:「よかったわ、そのジュゴンがメスで。オスだったら通用しなかったもの。その様子ではもう、ジュゴンは攻撃できないわね。」 ヒカリ:「くっ…」 ジュゴンはメロメロになりながら、ミロカロスに近づいていった。 姫乃:「これで決まりね。今度こそ、ミカロス、ジュゴンにアイアンテールよ。」 ジュゴンはメロメロのため、守る攻撃ができず、アイアンテールによって沈んだ。 そして浮かんできたのだが、もう戦える状態ではなかった。 審判:「ジュゴン戦闘不能!よってこの勝負、姫乃選手の勝利!」 審判の声と共に、親衛隊が大盛り上がりで騒ぎ始めていた。 姫乃:「ほら……だから言ったじゃない。やっぱり、貴方が私に敵うわけがない。」 ヒカリ:「そうね。まだ上には上がいたってことだもの。またカンナさまの元で修行しなおすわ。」 姫乃:「そう。」 アナウンス:「これにて4回戦が終了しました。午後からは5回戦を開催いたします。勝者となりました5名の選手の方々は、 ロビーにありますスクリーンにお集まりください。トーナメント表を発表いたします。」 アナウンスの言葉に、蓮華が、シルバーが、姫乃が、モコナが、レイスが一同に喫した。 5人の抽選により、姫乃とモコナ、蓮華とシルバーのバトルが決まり、姫乃とモコナはどちらかが勝つとそのまま決勝進出に、 蓮華とシルバーは、勝った方がレイスとバトルし、勝者が決勝戦に進出と決まった。 モコナ:「この5人の誰かが優勝ってことよね?」 蓮華:「楽しめそうね。」 レイス:「確かに。この5人はすべての参加者の中では別格のものばかり。バトルを普通以上に楽しむのにはふさわしいだろう。」 姫乃:「私をあせらせるものが出るかもしれないわね。」 シルバー:「そして、最高の悔いのないバトルが行えるかもしれない。楽しみだわ。」 姫乃:「私を十分に楽しませ、あせらせるバトルをしてほしいわ。」 モコナ:「あたしなんかができるか分かんないけどさ、よろしくね。」 蓮華:「なずなちゃんや玲奈先輩から聞いてます。よろしくお願いしますね。」 シルバー:「レイスさんにも挨拶をするということは、あたしに勝つつもりなの?」 蓮華:「はい!」 レイス:「面白い子ね。」 シルバー:「ふふ、確かに。負けないわよ。」 レイス:「負ける気など持たない。」 蓮華:「あたしだって。」 ロビーには挑戦者と審判員、神官以外はいなかったが、この5人はそれぞれが微妙な、かつ強力なオーラを放出していた。 それはバトルに対する意欲と思いが合わさったもので、それぞれが笑顔の割にすさまじいものを出していた。 そのため、審判員や神官はその場を離れたい思いが強く、気づけば5人以外、ロビーに近づけるものはほとんどいなかった。 ほとんど、というのは、いたということで…、 ナナ:「出場者の皆さん、それぞれ控え室へどうぞ。今回は個室になっておりますから。」 律子:「時間が来るまで、そこでポケモンの手入れや回復をしたり、5回戦のポケモンを決めたり、5回戦での方式やルールについてを 学んだりしてくださいね。」 マヤ:「あなた方の誰かが、海の魂の祝福を受ける事を、そして海の勇者としてすばらしいバトルを行う事を楽しみにしていますわ。」 3人の、ある意味、さらにすごい別格が5人を控え室に案内していたのだった。