蓮華:「はぁ〜、やっと出られたね。」 ミューズ:「蓮華が道を間違えるからじゃないの!」 蓮華:「だって地図が間違ってるから…」 ユウキ:「蓮華が地図を逆に見てたからだろ?全く、1日で出るはずが3日もかかるとは思わなかったよ。」 あたしと蓮華とユウキの旅は、ネオアース団がやってくるって言う厄介なイベントを新たに仕入れて続いていて、 前回はユウキが洗脳を受けてしまい、蓮華が久々に自信をなくすという事件が起きた。でも結局、あたしやナナ、ユウキ自身からの説得で こうして旅が続けられていた。 そして気を引き締めていこうとした途端、蓮華が地図を逆に読むという大失敗をしでかし、あたしたちは普通の3倍も時間をかけてトウカの森を 抜けているのでした。 そんなこんなをしていて、実際はトウカの森じゃない森の中も通ったから、トウカの森を出てすぐの場所にある木の実ショップをしっかり通り過ぎてしまい、 そこでポロックに必要な木の実をもらえなくなり、ユウキがとっても怒っているのです。 だからUターンしたことはしたけど、最悪な事につい先ほど売り切れたとのこと。 ユウキ:「地図を逆に読まなかったらこんな事にはならなかったんだよね。」 蓮華:「だから謝ってるじゃないの!」 ユウキ:「俺が道案内をするって言ったのを、自分がやるって勝手にでしゃばったのは誰だよ!」 蓮華:「それは…」 ユウキ:「俺が退院したばかりだから疲れさせない為って言ったけどさ、逆に俺たちが疲れさせられた気がするよ。」 というわけでこの状況、旅に喧嘩はつきものだとは聞くけど、互いを受け入れた直後に起きるこれにはあたしもメウロも参っていた。 そしてようやくあたしたちは、カナズミシティに到着したのです。 第3章 9.大ピンチ?岩のタッグは喧嘩中 ポケモンセンターに訪れたあたしたちを迎えてくれたのは、一人の優等生風の姿をした、あたしより少し年上かなって感じの女性でした。 ユウキは誰か知ってるみたいだけど、森を抜けてから全く口を開かず、あたしが喋りかけても何も言ってくれない。 何かを言ったとしてもあたしの悪口だけで、あたしも流石にムカつくから何もいう気がないし。 だから話しかけたくなくなってて、ずっと無視したままここに来たのです。 ???:「何やら喧嘩をしてらっしゃるようですが、はじめまして、蓮華さん。カナズミシティへようこそ。私がジムリーダーのツツジです。 ナナさんやいろいろな方からことのあらましは聞いていますのでご安心くださいね。」 ツツジさんはとっても礼儀正しい人で、あたしに挨拶してからミューズやユウキなんかにも挨拶をしていた。 蓮華:「あの、それであたし、ジム戦がしたいんですけど、いいですか?」 ツツジ:「ええ、あなたとのバトル、楽しみにしていました。けど、お疲れのようですね。」 ユウキ:「どっかの誰かが地図を逆に読んだからな。」 蓮華:「だからあれは!くどいから女の子にもてないんじゃないの?」 ユウキ:「うるせえ!」 ミューズ:「ず〜っとこんな感じなのよ。」 あたしとユウキが喧嘩を始めると、ミューズとメウロが即効避難して、ツツジに耳打ちをしていた。 ツツジ:「まだまだ若いですわね。そのような些細な事で喧嘩をなさるのですから。両者が言いたい事を言い合えればいいのですが、トウキさんは 全く…。私が何を言っても聞かないだけですから…。」 ミューズ:「恋人がいる人は大変ですねぇ〜」 メウロ:「ブースタ(ホント、ホント)!」 ツツジ:「それではこうします。二人は今日はポケモンセンターでお休みくださいね。明日、私のジム、カナズミジムでジム戦を行わせていただきます。 使用ポケモンなどの事はその時に言いますので、十分に準備していらしてくださいね。ユウキさん、あなたも来るのですよ。蓮華さんと私のバトルを見て勉強してくださいね。」 ユウキ:「は〜い…」 ユウキはあたしの名前を聞くと、露骨に嫌そうな表情を見せた。 あたしもユウキに見られるのは今回は嫌かな。 指示ミスしたら何か笑いそうだもん。 ひとまず違う部屋にしてもらった。 ユウキ:「発育してない人の部屋をのぞく人なんているわけないのにな。」 なんて言いやがったけどね、あいつ。 だから、 蓮華:「恋人もいないのに二人部屋はかわいそうね。夜はお母さんに甘えれなくて淋しいんじゃないの?」 って言ってやった。 ツツジ:「全く、あの二人の喧嘩はレベルが低すぎますわ。」 ミューズ:「でしょう?だからさ、あたしもメウロも参ってるのよ。」 蓮華とユウキがそれぞれ、一人部屋に入ってくつろいでいる頃、あたしはメウロとツツジさんと一緒にお茶を楽しんでいた。 普段はカナズミシティのポケモンスクールで忙しいツツジさんだけど、今日は休みの日で仕事も大してないから大丈夫らしい。 ミューズ:「木の実のお店は明日も開いてるし、明日には仕入れが終わってるんだよ。またもらいに行く事もできるのにさ、メウロも全然待てるって言ってるのに、 あの木の実でポロックを今日作る予定だったとか言って聞かないのよ。それを蓮華がどうでもいいことで片付けちゃったからさらに油が注がれてね、 最後にはあたしとメウロを引き合いに出してどっちが美しいってコンテストで認められるかまで争う始末よ。」 ツツジ:「あらあら…、その様子じゃ、当分喧嘩は収まりそうにありませんわね。」 ミューズ:「ええ。…だから、お願いがあるんだけど、いい?ついさっき協力を要請したから多分、何とかなると思うけどね。」 ツツジ:「協力?何をなさるおつもりですか?」 ミューズ:「あの二人の喧嘩を止めるのよ。簡単にとめたんじゃ面白くないし、ちょっと凝った方法よ。もしばれても、あたしとメウロが脅してやらせたって言ったら、 引き合いに出した事、謝ってくれるだろうし。ねぇ、メウロ!」 メウロ:「ブースター(ねえ、ミューズ)!」 あたしとメウロはまだ1週間くらいしか経っていないけど、気の合う親友になっていた。 だからついさっき思いついたことを話すと、すぐに賛同してくれたのだ。 それからあたしは、協力を要請した。 何だか忙しそうで、あたしが電話をしたら驚いてたから、多分ネオアース団関係のことで、あたしたちに知られちゃいけないことなんだと思うけど、敢えて聞かず、 ちょっと来てくれないかと頼んだ。わけを話すと、乗り気になっていたからやり過ぎなきゃ良いけどな。 ツツジ:「それでは分かりましたわ。何をなさればいいのです?」 ミューズ:「実はね…」 あたしはにっこり笑って話した。 メウロ:「(…ミューズ、賛成はしたけど、その笑い方は怖いわ)」 〜そして数時間後〜 ユウキ:「メウロ?メウロ!どこだ?」 やることがなくなり、バルキーとの特訓を終えた直後、辺りを探してもメウロの姿が見当たらない。 ポケモンセンターはある一室を除いて全部探し終えたけど、どこにもいなかった。 まっ、あの一室の前を通った時もメウロの声は聞こえなかったけどな。 そんな時だった。 蓮華:「ミューズ、どこ〜?」 なんとも間の抜けた声が聞こえ、目の前に蓮華がやってきた。 ユウキ:「ポケモンに逃げられたのか?」 蓮華:「そういうあなたも探してるみたいだけど、あなたこそ逃げられたんじゃないの?」 ユウキ:「そんなことない。お前とは違うんだよ。」 蓮華:「どうだか?男は女の気持ちが分からないから、メウロの気持ちもわかんないんじゃないの?」 ポケモンに逃げられてる奴には言われたくなく、そのまま通り過ぎようとした時だった。 俺のカゲボウズのカロロが、蓮華のアゲハントと一緒に大慌てで飛んできたのだった。 どっちもひどく傷つき汚れている。 そして、カロロは気を失う前にカナズミバッジを俺に見せ、気を失った。 一瞬、蓮華のアゲハントが攻撃をしたと思いかけたが、カナズミジムで何かあったらしい。 俺はジョーイさんにカロロを預けて走り出した。 だが。 いきなり足を何かに掴まれて、俺は思いっきりこけた。 蓮華:「どこに行くのよ!」 俺を転ばせたのは蓮華だった。蓮華の手から蔓の鞭が伸びている。 ユウキ:「うるさい!お前には関係ない!」 蓮華:「関係あるわよ、あたしのアゲハが怪我してきたのよ!何か知ってるんじゃないの?」 ユウキ:「別に。」 俺は無視して走り出した。 すると蓮華までついてきた。 ユウキ:「ついてくるなよ!」 蓮華:「嫌よ。アゲハとカゲボウズは一緒にいたもの。あんたが行く場所に何かあるはずよ。」 ユウキ:「ふん、勝手にしろよ。」 俺は無視してカナズミジムまでやってきた。 何か、前に来た時よりも冷えた空気が漂っている。 そんな気がした。 しかし、中に入ってみるが、そこには何もない。 岩のバトルフィールドが広がっているだけだった。 蓮華:「ここがカナズミジムか…。ミューズ、いるの?」 その時、俺と蓮華は聞いた。 とっても聞き覚えのある曲が流れ出したのを。 蓮華:「…これ、まさか…」 ユウキ:「もしや、ネオアース団か?」 俺たちはそう思った。 だが、今回は何故か違っていた。 俺の見たことのないユニフォームを着た3人が姿を現したのだ。 でも、一人を見て俺は驚き、他の二人を見て蓮華が驚くのだった。 ヒカリ:「何も言ってくれなかったけど、もし一体何なのと言われたら…」 ユウ:「めんどくさくないけど、適当に答えてやるよ…」 ヒカリ:「銀河の破滅を防ぐため…」 ユウ:「銀河の滅亡守るため…」 ヒカリ:「勇気と光が悪を貫き通す…」 ユウ:「プリティー・ガール・ボーイな敵役…」 ヒカリ:「ヒカリ」 ユウ:「ユウ」 ヒカリ:「全銀河を飛ぶ、ベストアーク団の二人には…」 ユウ:「ゴールデンセンチ、黄金のオアシスが待ってるよ」 二人:「「よろしくねっ♪」」 ツツジ:「そして岩の宇宙で身を任せ、学問の波を泳ぐ、私、ベストアーク団の幹部ツツジが、ここであなた方を沈めさせてあげますわ。」 スペース団でもロケット団でも、ネオアース団でもないユニフォームを着た3人が、ライトアップされたフィールドの中に姿を現していた。 ヒカリ:「久しぶりね、蓮華ちゃん。」 ユウ:「仲間だった奴を攻撃するのは気が向かないが、これが任務だ。倒させてもらうよ。」 あたしはわけが分からなかった。 仲間じゃなかったの? 蓮華:「どういうこと?あなたがアゲハを倒したの?」 ユウキ:「俺のカロロを傷つけたのはお前らなのか?」 冗談だと言ってほしかった。 でも、実際は違った。 ヒカリ:「ええ、弱かったわ。とっても。雑魚ね、雑魚。」 ユウ:「この女を洗脳して仲間に加えようとしたら攻撃したから追い払ったまでさ。」 蓮華:「ヒカリ、どういうことなのよ!ナナシマでカンナさまの元で修行してたんじゃないの?」 ヒカリ:「ええ、強くなってベストアーク団として、世界を征服するためにね。」 悪夢だと思いたかった。 蓮華:「そんな…」 ユウ:「じゃまっけな存在を全て仲間にできるように、仲間に転がって正解だった。蓮華、そしてそこの少年、お前らも仲間になってもらうぞ。」 ユウキ:「誰がお前らの仲間になるかよ!」 ヒカリ:「そう、それじゃ、この子達はどうなってもいいのね?」 ヒカリが何かの機械を作動させた。 すると出てきた檻の中に、ミューズとメウロの姿があった。 二人とも傷つき、倒れ、弱りながらもあたしたちを呼んでいた。 ヒカリ:「この子達を助けたかったら、あたしたちの仲間になりなさい。」 ユウ:「仲間にならないなら、弱いこいつらはフエンの火山に放り込む。」 ツツジ:「仲間になることをお勧めするわ。でも、二人とも、この二人が弱かったらどうするのです?せっかく仲間になっても使えなかったら 意味がありませんわよ。」 ヒカリ:「それもそうね、いいわ。ツツジさん、あなたがこの二人をお相手してあげたらどう?あたしたちはこの奥でそれを見ているわ。 それまで、この子達は預かっておくわね。」 ユウキ:「待ちやがれ!」 蓮華:「ミューズ!」 ユウ:「うるせえな、雑魚が。」 あたしたちの目の前でヒカリとユウが姿を消し、それと共にミューズたちが連れて行かれた。 ツツジ:「うふふふ、あなた方、準備はよろしいのですか?私を倒せなければ、あなた方の大事なポケモンは、消滅の糸をたどる事になりますわよ。 でも、無理でしょうね、私を倒す事は無理でしょうから。」 ユウキ:「無理なもんか!行け、リョク!」 蓮華:「サゴッピ、お願い!」 あたしはサニーゴのサゴッピを、ユウキはリョクっていう名前のジュプトルを出した。 ユウキ:「邪魔するなよ、俺は俺で戦う。」 蓮華:「そっちこそ、サゴッピの邪魔はしないでよね。」 ツツジ:「それでは私のポケモンは、イシツブテにイワーク、出ていらして!」 ツツジのポケモンはどちらも岩・地面タイプのポケモン、イワークとイシツブテ、特性も「石頭」か「頑丈」だ。 ユウキ:「さっさと倒してやるよ!リョク、電光石火でイワークの背後に回れ!そこからリーフブレードだ!」 蓮華:「サゴッピ、イシツブテに水鉄砲よ!」 ユウキはイワーク狙い、あたしはイシツブテ狙いで攻撃に出た。 ツツジ:「イシツブテ、その場で転がる攻撃です。イワーク、叩きつける攻撃ですわ!」 しかし、イシツブテが転がる攻撃で回転し、その回転力で水鉄砲を弾き、水鉄砲はイワークを攻撃しようとしたジュプトルに当たった。 そして隙ができたジュプトルは、リーフブレードを放つ状態で、イワークの尻尾に叩き飛ばされ、サゴッピを攻撃していた。 ツツジ:「お二人とも、ポケモンが急所に当たって倒れたようですわよ。弱いですわね。」 ユウキ:「違う、そこのポケモンマスターとか自慢してる奴が悪いだけだ!考えて攻撃しないで俺のリョクを攻撃しやがって!」 蓮華:「そっちこそ!サゴッピを切り刻むなんて敵はあっちじゃないの!相手もろくに見えないの?」 ツツジ:「うふふふ、その様子では、私にはこれっぽっちも勝てませんわよ。イワーク、そこの二人に龍の息吹ですわ!」 イワークはあたしたちに襲い掛かってきていた。 〜カナズミジムin別室〜 ミューズ:「うっわぁ…、最悪。」 ヒカリ:「普通ならあれくらい蓮華ちゃん、簡単に倒すと思うけど…」 ユウ:「あのユウキって奴も、トウキさんやアスナからいろいろ聞いてたけど、全然話と違うな。」 メウロ:「ブースタ…(ユウキ、情けなさすぎ…)」 人質になっているはずの二人が、ヒカリとユウと共に仲良くテレビで様子を見ていた。 傷だらけだったはずなのに、二人には傷一つついていない。 それどころか、アゲハとカロロの姿もあった。 ミューズ:「それしても、忙しいところ、来てくれてありがとう。助かったわ。」 ヒカリ:「いいのよ、あたしたちもいろいろと助けられた事あるし。」 ユウ:「仲直りのために、無理やり芝居するのも結構良いぜ。だけどさ、あの状態で大丈夫なのか?」 テレビには龍の息吹と転がる攻撃から逃げ惑う二人の様子が出ていた。 ミューズ:「力をあわせてタッグバトル=ダブルバトルでツツジさんのイワークとイシツブテを倒させなきゃ。普通、これくらいしないとさ、駄目だと思うんだ。」 ユウ:「確かにそうだな、これを見ていると協力してなかった昔の俺たちがそのまんまでてるよ。」 ヒカリ:「いえてる。あたしやカエデみたいな、ね?」 ミューズ:「そういうことよ。」 ユウキ:「くっ、逃げてばかりじゃ意味ないな。タク、怪力でイシツブテを受け止めろ!」 蓮華:「クピー、イワークを噛み砕くのよ!」 あたしはクチートのクピーでイワークを狙い、ユウキはバルキーのタクを出してイシツブテの転がるを受け止めた。 だが、イシツブテを投げつけた先にはクピーがいて、クピーはそのままイワークとイシツブテに倒されてしまった。 蓮華:「ちょっと!邪魔しないでよ!」 ユウキ:「そっちがそんなところにいるからだろ?タク、そのまま…、あれっ?」 二人が目をそらした隙に、イシツブテとイワークはフィールド上にいなかった。 いや、穴を掘っていたのだ。 そして出てきたのは、ユウキの足元からだった。 ユウキ:「うわっ!」 ユウキは退院したとはいえ、まだ素早く動けるわけじゃない。 それにあたしが3日間も歩かせたから疲れが残ってる。 あたしは、穴に落ちそうになったユウキを見て、咄嗟に動いていた。 蓮華:「ユウキ!」 ユウキ:「蓮華?」 あたしはユウキの手を掴み、持ち上げようとした。 そこにイワークの頭突きが迫ってきていた。 ユウキ:「タク、受け止めろ!」 イワークを受け止めたのはバルキーのタクだった。 でも、まだイシツブテがいた。 イシツブテは、ユウキを穴の中に引きずり込もうと、穴の中からユウキの足を引っ張っている。 徐々にあたしもタクも押され気味になっていた。あたしは徐々に穴の中に体が近づき、タクも受け止めにくくなってきている。 ユウキ:「蓮華、放せ!放せばお前は助かる!」 蓮華:「駄目!どんな相手でも、あたしは放さない!手を放したら後悔するだけだもん!絶対に放さない!」 ユウキ:「蓮華…」 あたしはユウキがあたしのことを考えて手を放そうとしていた。 でも、あたしはしっかり握っていた。 どうしてこんな事になったのかって言えば、あたしがユウキを怒らせて、それで喧嘩になってたから。 あたしのせいだもの。 蓮華:「絶対に放さないからね。…ゴメンね、あたしのせいでこんなことになって。」 ユウキ:「謝るなよ。どうでもいいことで喧嘩をしてた俺が悪いんだ。」 蓮華:「でも…」 その時だった。 あたしとユウキは地面が崩れたために、そのまま穴の中に落下してしまっていた。 同時にバルキーはイワークに弾き飛ばされていた。 ミューズ:「嘘っ、穴に落ちちゃった!」 メウロ:「ブーズター!(あのイシツブテ、後でしめる!)」 ヒカリ:「これじゃ、仲直り作戦微妙に失敗?」 ユウ:「嫌、待てよ。見ろ!」 画面に顔を近づけた二人と4匹は、穴から光があがってくるのが見えた。 ツツジ:「ピジョット?」 穴から現れたのはピジョットで、蓮華とユウキを乗せて穴から上がってきていた。 蓮華:「あたしのピジョンが、あたしの危険を知って進化してくれたの。」 ユウキ:「それに、タクも進化のときが来たようだな。」 ツツジ:「何ですって?」 見ると、バルキーのタクも体が光りだしていた。 その姿は、子供のような外見の格闘家から、角が生えたかわいいような外見のポケモン、カポエラーに進化していた。 蓮華:「これで形勢逆転よ。」 ユウキ:「もう、さっきのようには行かない。」 ツツジ:「どうかしら?イシツブテ!イワーク!」 穴からはイシツブテとイワークが飛び出した。 ツツジ:「イシツブテ、ピジョットにメガトンパンチよ!イワークはカポエラーを締め付けるのよ!」 イシツブテがピジョットに向かうが、ピジョットは翼でイシツブテを打ち返し、カポエラーは打ち返されたイシツブテを踏み台にしてイワークから逃れ、 トリプルキックでイワークを沈めていた。 ツツジ:「イワーク!」 蓮華:「ピジョット、カポエラーを乗せて飛ぶのよ!」 ユウキ:「カポエラー、空中から心の目だ!そして爆裂パンチだ!」 イシツブテはピジョットにカポエラーが乗っているために攻撃を当てる事ができず、逆に急降下してきた時の爆裂パンチで倒されていた。 ツツジ:「そんな…私のポケモンが負けるなんて…」 蓮華:「仲直りしたあたしたちには」 ユウキ:「ツツジさんのポケモン以上のチームワークがありますからね。」 二人:「簡単に負けたりしませんよ。」 ヒカリ:「何?負けちゃったの?残念ね。」 ユウ:「せっかくこの女を仲間にできたのだが、このジムリーダーはもはや必要ないな。こいつは捨てるか。」 ヒカリ:「そうね。」 あたしたちがツツジさんに言った直後、ヒカリとユウがミューズとメウロを連れて現れた。 そしてツツジさんの足元に穴が開き、ツツジさんの姿は消えた。 ユウ:「いらぬものは消滅のみ。」 ユウキ:「お前ら、何てことを!」 蓮華:「許さないわよ。」 ヒカリ:「ふぅ〜ん、許さないか。」 ユウ:「望むところだな。ヒカリ、行くぞ。」 ヒカリ:「ええ、ユウ。…それじゃ、フライゴン、行くわよ!」 ユウ:「ボーマンダ、出て来い!」 二人はツツジさんに目もくれず、フライゴンとボーマンダであたしたちを圧倒しようとしていた。 でも、あたしもユウキも、そんなことで圧倒されるわけがない。 蓮華:「ゴン、やるよ。」 ユウキ:「ソルロン、出番だ。」 あたしはカビゴンのゴンを、ユウキはソルロンと呼ばれたソルロックを出した。 ヒカリ:「フライゴン、龍の息吹よ!」 ユウ:「ボーマンダ、火炎放射だ!」 2体のドラゴンポケモンがそれぞれ息吹と炎を吐き、それらはあたしたちに向かってくる。 でも、 ユウキ:「ソルロン、コスモパワーで受け止めろ!」 攻撃はソルロックのソルロンによって受け止められていた。 さらに火炎放射の炎に包まれたソルロンは、炎の渦を放出して、逆にフライゴンとボーマンダに攻撃していた。 ユウキ:「ソルロン、そのままカビゴンとスキルワップ、さらにフライゴンとスキルワップだ!」 『スキルワップ』とは自分と相手の特性を入れ替える技。 今ソルロンはゴンの免疫と自分の浮遊を交換し、さらにフライゴンの浮遊と免疫を入れ替えた。 それで何になるかというと、ゴンとソルロンは浮遊属性になり、地震を使っても二人は攻撃を受けないという事だった。 さらにそれにより、さっきまで飛行していたフライゴンが飛べなくなり、地面に地をつけたまま動けずにしていた。 ヒカリ:「フライゴン!」 蓮華:「今よ、ゴン、地震よ!」 ユウキ:「ソルロン、ボーマンダをフライゴンに近づけるなよ!サイコウェーブだ!」 ゴンの地震がフライゴンを、ソルロンから放たれた強力な念の波動がボーマンダを攻撃し、2体に大ダメージを与えた。 ヒカリ:「そんな…」 ユウ:「くそっ…」 そして、 ユウキ:「ソルロン、最後だ!フライゴンにソーラービームだ!」 蓮華:「ゴン、ボーマンダに冷凍パンチよ!」 あたしとユウキの最後の攻撃によって、フライゴンとボーマンダはその場に倒れるのだった。 ユウキ:「見たか、俺たちの力を。」 蓮華:「あたしたちは簡単に負けたりしないわよ!」 あたしとユウキのタッグは、彼らを圧倒していた。 すると、 ヒカリ:「さっきまで仲間割れしてたくせに、もう仲直りしたのね。3日間歩き回らされて、ほしかったものも手に入らなかったのは その子のせいなのよ。」 ユウ:「自分のポケモンが傷ついたのは、そこの少年の指示がミスってたからなんだぞ。」 二人はなぜか知らないはずのことを言っていた。 ユウキ:「どうして知ってるか知らないが、些細な事で衝突していた自分の馬鹿さ加減がよく分かったんだよ。蓮華にいらつきを全部ぶつけていた 俺が悪いんだ。それが分かったら、喧嘩してる事が馬鹿らしくなっただけだ。」 蓮華:「あたしはユウキを怒らせることをしても、あたしは悪くないって思い続けてた。でも、ユウキは穴に落ちそうになってあたしが助けようとしても、 あたしまでが穴に落ちないように気遣ってくれた。あんなに怒らせたのに、あたしの事を気遣ってくれている。それなのにあたしが怒ってるなんてありえない。 自分の悪かった事を素直に受け入れられたの。」 ミューズ:「それじゃ、これからは些細な事で喧嘩しないって言える?あたしたちを引き合いに出したりはしない?」 蓮華:「絶対しない!…あれっ?」 ユウキ:「俺もしない、って、ミューズにメウロ、それにツツジさん!?」 蓮華:「ど、ど、ど、どういうこと!?」 ユウキ:「メウロ、お前、傷だらけだったんじゃ…」 あたしとユウキは突然の言葉に答えながらも、突然現れた3人に驚いて、混乱していた。 ミューズ:「ああ、あの傷?あたしも菜々美ちゃんに教えられたこと、ちゃんと活用できるようになったのよね。特殊メイクよ。あんなの傷でも汚れでもないわよ。 あ、あとアゲハとカロロもね。ちょっと互いにナイトヘッドとメガドレインを使ってもらっただけよ。全然、傷ついてないわよ。それに、全部お芝居だし。」 ユウキ&蓮華:「お芝居!?」 数時間後、コスチュームを脱いだヒカリとユウ、ツツジさんが戻ってきた。 あたしとユウキの喧嘩を止め、仲直りさせるために、ミューズとメウロが仕組んだものだったらしい。 蓮華:「喧嘩を止めるためにここまでやることないじゃない!」 ユウキ:「本気で心配したぞ。」 ミューズ:「その二人の喧嘩に、あたしとメウロがどれほどまで迷惑したと思ってるの?メウロが喋れたら、あたしと同じくらい文句言ってるんだからね。 さっきだって二人を穴に引きずりこんだイシツブテを、「後でしめる」って言ってたんだから。」 メウロ:「ブースター(ミューズ)!!」 ミューズ:「ゴメン、ゴメン…。でもね、あたしたち、引き合いに出されて迷惑だったし、ホントにどうでもいいことなのよ。メウロはポロックを全然我慢できるって言ってたし。 あたしはコンテストはあんまり出たくないの!美しいのは当たり前なんだから。だからさ、悪いけど、今後また、変な引き合いにあたしたちを出したら、 今度は本気で、全員で脱走するからね。」 流石にこの一言は、蓮華とユウキには効いたようだった。 だって、喧嘩仲直り作戦のバトルでめちゃくちゃなバトルに出されて、今サゴッピたちも結構頭に来ていた。 普段の蓮華らしくないと言ってたし、ソルルやパルもあきれてた。 だから、決めたのだ。 今度、あたしたちを引き合いに出すまでの馬鹿らしい喧嘩をするようなら、あたしとメウロでポケモン全部を外に出し、全員で脱走する事を決めたのだ。 蓮華:「ごめんなさい。」 ユウキ:「もう絶対にしません。」 二人が謝ってくれたので、あたしたちは許す事にした。 ちなみに、これとジム戦は別個のはずだったらしいが、何故か、ツツジさんはあたしにバッジをくれた。 ツツジ:「本当ならジム戦をするはずだったわ。でも、あなたの力は十分に分かったわ。タッグバトルによる協力がどこまでできるかも、バトルセンスも。 だから、私とバトルをするまでもありません。あなたはバッジを受け取るのにふさわしい方だと。ユウキさんも、トウキさんからいただいたバルキーを よくここまで育てましたね。トウキさんもほめてくださいますわ。それでは、私はこれからジムのバトルフィールドのお手入れと、ポケモンたちのマッサージがあるので 失礼いたしますわ。」 彼女はそう言い残すと帰っていった。 ヒカリ:「それじゃ、あたしもこの辺で。」 ユウ:「カンナさまに頼まれた用事があるんだ。じゃあな。…ただ、俺、トウキさんやアスナと知り合いなんだ。」 ツツジさんが帰ると、二人も立ち上がったのだが、ユウの言葉はユウキの表情を変わらせた。 ユウ:「一応、ツツジさんはトウキさんには言わないって言ってたけどさ、喋っておくからな。」 ユウはそう言いながら帰り、ヒカリも帰っていった。 蓮華:「ユウキ?」 ミューズ:「どうしたの?」 ユウキ:「ヤバイ…。俺、トウキさんやアスナに怒られる。確実に怒られる。」 怒られる理由はあたしには分からないが、多分、ユウキは何かを感じたのだろう。 それはともかく、あたしはカナズミシティに来てすぐに用事が終わってしまったので、明日からはムロ島に向けて出発する事が決まるのでした。 一体、トウキさんってどんな人なのかな?