葛葉:「こんな所で裏切り者を発見できるとはね」 竹巳:「オマケに能力者の仲間も一緒にいるしな」 葛葉:「あなたたちを倒す事は、我が風の一族にもネオアース団にとっても、確実にやらなければならないこと 悪いけど、死んでもらうわ」 竹巳:「友達ごっこは楽しかったぞ、翼に悠也」 キンセツシティの近くで葛葉と竹巳に遭遇したのは美香、翼、悠也、鈴香の4人だった。 ひとまずカイナシティに向かうべきと考え、急いで向かっていたのだが、偶然にも出会ってしまったのだ。 美香:「あんた達の好き勝手にはならないんだから」 鈴香:「お姉ちゃんの恨み、教えてあげるよ」 翼:「そうだな 俺たちも奇襲を受けた分、仕返ししてやらないといけないし」 悠也:「悪いが、簡単には倒されないぜ」 4人を倒そうとしている葛葉と竹巳だが、飛びかかろうとした直後、炎の矢が飛んできて攻撃を受けていた。 さらに風と水のダブルの力が働き、水手裏剣と風の刃が葛葉と竹巳に降り注ぐが、戦い慣れているらしく、二人は簡単に避けていた。 葛葉:「弱いわね でも、簡単にやられないなら、絶望の淵まで行ってもらうわ」 竹巳:「葛葉、裏切り者はお前に任す 俺はそこにいる能力者風情をやってくる」 葛葉:「頼んだわよ、竹巳」 一瞬で倒そうと考えていた2人は、それでも戦おうとする4人を見て面白く思ったらしい。 2つに分かれて倒そうと、竹巳は美香と翼を巻き込み、竜巻と共に姿を消した。 鈴香:「2人をどこにやったのよ」 葛葉:「知らないわ、竹巳の好きにするだけよ」 悠也:「ってことは、お前が俺たちの相手か?」 葛葉:「ええ、ツチニン、フォレトス、行くのよ! 葛葉はツチニンとフォレトスを出し、戦闘態勢の構えを取っていた。 ポケモンバトルをしながら鈴香と悠也を倒そうといった所だろう。 鈴香:「売られたバトルは買わなきゃね」 悠也:「そうだな エアームド、行くぞ!」 鈴香:「バルーン、行くよ!」 鈴香と悠也がプリンのバルーンとエアームドを出すと、フォレトスが向かってきていた…。 第3章 19.風使いとの大バトル 葛葉:「フォレトス、まきびしで動きを止めるのよ!」 フォレトスから大量のまきびしがばら撒かれ、鈴香と悠也の足元にまきびしが落ちてきた。 鈴香:「これじゃバルーンが動けない…」 悠也:「任せろ、エアームド、低空飛行で鋼の翼だ! そしてそのままフォレトスに突っ込め、ドリルくちばし!」 まきびしは背中に翼を持つトレーナー3人には効果がないにしても、唯一飛行タイプを持たないバルーンには厄介な代物。 そのため、エアームドが低空飛行で鋼の翼を使い、まきびしを弾き飛ばした。 葛葉:「だったらフォレトス、高速スピンよ! ツチニン、プリンにメタルクロー!」 鈴香:「バルーン、丸くなって転がるのよ!」 エアームドのドリルくちばしに高速スピンで対抗するフォレトス。 虫タイプだが、鋼タイプを兼ねているので防御力は持っている。 そのため、エアームドとの強力な鋼の戦いを起こしていた。 一方でツチニンは地面タイプを持っているが、虫タイプのために転がる攻撃に弾き飛ばされていた。 丸くなった事で、バルーンの転がる攻撃の力が上がったらしい。 だが、その直後、ツチニンは光りだした。 鈴香:「進化!?」 葛葉:「フフフ、これを待ってたのよ」 ツチニンは進化して、テッカニンになっていた。 葛葉:「テッカニン、嫌な音よ!」 テッカニンの羽から放出される嫌な音がバルーンとエアームドを攻撃し、あまりの嫌な音にエアームドは意識を逸らしてしまう。 そのために、エアームドはフォレトスに弾かれてしまった。 悠也:「エアームド、金属音で対抗しろ!」 嫌な音も金属音も、防御力や特殊防御力をガタッと落とすだけの力を持った技である。 それだけに、金属音はテッカニンの嫌な音を止め、今度はテッカニンとフォレトスが顔をしかめていた。 鈴香:「バルーン、今のうちに火炎放射!」 葛葉:「させないわ、破壊光線よ!」 悠也:「何っ!?」 今のうちに炎で倒そうとした鈴香だったが、葛葉の破壊光線の指示に2人は戸惑った。 フォレトスもテッカニンも破壊光線を出そうとしていないからだ。 だがその直後、バルーンは破壊光線で吹っ飛ばされた。 悠也:「なんだ、アイツ…」 葛葉:「知らないの? あれはヌケニンよ ツチニンは進化すると、成虫のテッカニンと抜け殻のヌケニンになるの」 悠也:「くそっ、エアームド、スピードスターだ!」 スピードスターが飛ぶが、ヌケニンには全く効果がない。 鈴香:「もしかして、ゴーストタイプじゃ…」 葛葉:「そのとおりよ でも、これでもう、あなたたちには勝ち目はないわ 一斉に破壊光線よ!」 3体のポケモンから、破壊光線が打ち出され、鈴香と悠也の場所で大爆発が起きた。 葛葉:「これで片付いたわ あっけなかったわね」 鈴香:「誰が呆気ないですって?」 葛葉:「何っ…!」 鈴香:「スカイ、ツバメ返しよ!」 爆風と煙の中から何かが飛び、その直後、ヌケニンが倒れた。 鈴香:「更に風起こし!」 そして煙が葛葉のほうに吹くが、葛葉は能力で煙を四散させていた。 すると、鈴香のそばにヤンヤンマがいるのが分かった。 さらに悠也の横にはボーマンダがいた。 悠也のコモルーが進化したらしい。 悠也:「こいつのおかげで助かったぜ ボーマンダの破壊光線は、そいつらの破壊光線よりも強かったのさ」 葛葉:「くっ、テッカニン、乱れ引っ掻きよ!」 悠也:「カブトプス、硬くなって身を守れ! そして原始の力だ!」 テッカニンは特性によってスピードを上げていた。 だが、エアームドから交代されたカブトプスには攻撃が通用しない。 逆に、原始の力によって岩のエネルギーを高めた波動を纏う、カブトプスの一撃がテッカニンに向かい、テッカニンは倒されていた。 葛葉:「それならフォレトス、大爆発よ!」 テッカニンとヌケニンが倒れた事で、葛葉は最後の手段に出ていた。 だが、大爆発の直後、火炎放射が葛葉に向かって飛び、彼女は火傷をしたらしい。 小さな叫びと共に、フォレトスを残し、葛葉は逃げ去っていた。 悠也:「逃したか…」 鈴香:「みたいだね でも、私たちが助かってよかったと思う」 悠也:「そうだな 奴らは本気で俺たちを倒そうとしているし、早く翼たちと合流しような」 鈴香:「うん!」 そんな時、鈴香がみたのは砂漠だった。 普段は砂嵐になってるはずの砂漠も、今はグラードンの影響により、砂嵐が止み、日照りが続いている。 鈴香:「このままじゃ、絶対にいけない」 悠也:「そうだな」 自然が奇妙な状態になっていくのをほおっておけなく、鈴香と悠也は更に強い思いを胸に覚えていたのだった。 竹巳による竜巻に巻き込まれた美香と翼が行きついた場所は、砂漠に近い岩山の上だった。 美香:「ここで私たちを始末する気?」 翼:「というより、そうらしいぞ」 竹巳:「御名答 君たちは弱いようだし、バトルの腕は予想通りのはず 勝たせてもらうよ」 竹巳はマニューラとポリゴン2を放った。 だが、美香と翼よりもある意味ワンパターンであるのが竹巳だと思える。 しかし、2人が竹巳とバトルをするのは初めてなので、そうとは知らなかった。 美香:「ここは使い慣れた子でいくほうがいいかな?」 翼:「そうだな ハッサム、行け!」 美香:「エイパム、頼んだよ!」 エイパムとハッサムがマニューラとポリゴン2の前に躍り出る。 竹巳:「エイパムとは弱そうだな 先に片付けてやるよ マニューラ、ブレイククローだ!」 美香:「エイパム、アイアンテールで対抗して!」 マニューラの爪とエイパムのアイアンテールの尻尾が対抗する中、ハッサムがマニューラに向かっていく。 翼:「高速移動でメタルクローだ!」 竹巳:「させるかよ、ポリゴン2、サイケ光線だ!」 マニューラに攻撃があてられるかと思えば、ハッサムの前にポリゴン2がやってきて攻撃を阻止していた。 光線は当らなかったものの、ポリゴン2の動きは妙に素早い。 美香:「だったらエイパム、高速移動で穴を掘るのよ」 エイパムは地面に姿を消した。 ハッサムは影分身をしてマニューラとポリゴン2をさらに撹乱している。 そしてポリゴン2の背後にエイパムが現れた。 美香:「エイパム、威張る攻撃よ!」 エイパムが威張る事でポリゴン2は混乱するかに見えたが、何故かその様子がない。 竹巳:「残念だったな 俺のポリゴン2はラムの実を持ってるのさ」 美香:「嘘…、ヤバい…」 竹巳:「ここで終わりだ! ポリゴン2、エイパムにトライアタックだ!」 威張る攻撃によって攻撃力を3段階あげていたために、ポリゴン2の力は数倍に上がっていた。 その状態でトライアタックを放ち、エイパムは大きく吹っ飛ばされていた。 だが、エイパムは何故かボールに戻り、逆にリザードが姿を現していた。 竹巳:「…バトンタッチか」 美香:「ええ、私のエイパムの専売特許よ リザード、ポリゴン2に火炎放射!」 竹巳:「くっ、ポリゴン2、凍える風だ! マニューラ、ハッサムに乱れ引っかきで攻めろ!」 翼:「そうは行かないぜ、竹巳 ハッサム、剣の舞から切り裂く攻撃だ!」 エイパムによって素早さの上がった状態を受け継いだリザードは、ポリゴン2が凍える風を使うよりも早く火炎放射を放つことで ポリゴン2を焼き焦がし、さらにハッサムも、分身を攻撃して空を切ったマニューラに切り裂くを浴びせ、マニューラを倒していた。 しかし、その直後、ハッサムと翼が悲痛な声を上げた。 美香:「翼先輩!?」 ハッとして振り向くと、肩を押さえるハッサムと、右腕を押さえる翼の姿があり、2匹のマニューラが爪を伸ばしている。 美香:「卑怯な奴…」 竹巳:「ふっ、戦いに情けは必要ないのさ マニューラ、その子にもブレイククローだ!」 竹巳の非道なやり方を批判する美香だが、全く気にしていない竹巳は、翼に更にオニドリルを放ち、美香にも攻撃を加えていた。 だが、2匹のマニューラとオニドリルは、突如放出された炎によって弾かれていた。 竹巳:「何っ!」 美香:「リザード?」 炎が放出された場所には、光り始めるリザードの姿があった。 どうやら卑怯な事に怒ったのは美香だけではないらしい。 リザードの身体が大きくなり、翼を持ち、リザードンの姿へと変わっていった。 竹巳:「こんな時に進化だって!?」 美香:「人を思う気持ちが、仲間を思う気持ちが進化を促したのよ! リザードン、熱風よ!」 リザードンは広範囲に渡って熱風を放ち、隠れていたオニドリルやマニューラ共々、彼らを攻撃していた。 竹巳:「くそっ、一気にやられるとはな」 美香:「まだやる気?」 竹巳:「くっ、次は確実に倒してやる! 待ってろよ!」 竹巳は不利だと感じ、捨て台詞を残して去っていった。 美香:「先輩、大丈夫ですか?」 翼:「何とかな…」 美香:「ヒーリング能力、互いに持ってないし…」 そこに鈴香と悠也が向かってくるのが見えた。 鈴香:「大丈夫だった?」 美香:「私はね…でも…」 鈴香:「あ、ヒーリングなら少しできるよ でも、私も得意じゃないなぁ…」 ハッサムの怪我はポケモン用の傷薬で回復できるのだが、翼の怪我は少し深そうで、血止めと簡単な応急処置しか出来そうになかった。 悠也:「この近くに仲間がいればいいんだけどな…」 翼:「しかし、みんな避難したんだろ?」 美香:「うん…、カイナまで持つといいんだけど…」 一同が不安になる中、不意に鈴香が感じた。 鈴香:「ちょっと待って …いるよ、誰か」 美香:「えっ?」 鈴香:「離れてるけど、山2つくらい越えればいる!」 どうやら音の能力者である鈴香は、誰かの声を感じ取ったらしい。 音といっても主に声を司り、歌を能力とするのが鈴香の力。 だから遠くの声を聞き取る事も可能なのだ。 鈴香:「あの声は…健人先輩、菜々美ちゃん、涼治さん、あと…ヤツデ先輩だ!」 美香:「ホント? 菜々美ちゃんたちもヒーリングは可能だけど、ヤツデ君なら一番確実じゃん!」 翼:「だったら声をたどっていくか?」 悠也:「それがいいな …だが、あいつらは無事なのか?」 鈴香:「…あ、戦ってる でも、優勢みたいだし、今行けば戦いは終わってるよ」 鈴香は呆気なく言った。 そのため、翼を美香のリザードンに乗せた状態で、ボーマンダも出した状態で、一同は4人がいると思われる場所に向かい始めた。 その数時間前から、健人たち4人も、突然現れたネオアース団員と戦っていた。 4人がいるのはヒワマキシティから少し離れた、お天気研究所が近くにある場所だった。 菜々美:「何者?」 リース:「私は風使い一族を味方する雷光の能力者リース ヒワマキでは失敗したけど、今度はあなたたちを倒すわ」 菜々美:「ヒワマキ…、綾香たちか」 涼治:「でも、そっちは一人、こっちは4人だけどな?」 リース:「そうかしら?」 4人は突如閃光によって目をくらまされた。 そして、視界がようやく安定してみれば、いつの間にか団員が2人増えていた。 リース:「こちらは3人だけど、私は幹部クラスのものよ 2人で十分じゃない?」 スペント:「リース様の御命令上、お前達を焼き殺す」 タロス:「さて、俺のケンタロスに踏み潰されたい奴はどいつだ?」 リースは兎も角、スペントとタロスは菜々美が覚えていた。 菜々美:「スペントは確か炎タイプを持ってたわ タロスはケンタロスばっかり持ってたけど、小麦ちゃんでも倒せるくらい弱かったし」 健人:「だったら、スペントの相手は決まりだな」 涼治:「任せるぞ」 ヤツデ:「えっ、俺?」 涼治:「当たり前だろ 先輩、俺はタロスを倒します 雷光の能力者の方、頼みますね」 健人:「ああ お前達も気をつけろよ」 菜々美:「それじゃ、ヤツデ君、泡でタロスとスペントを別方向に飛ばしてね」 以上、小声での会話である。 これによってヤツデがホエルコを出し、白い霧を放つまでにわずか3秒。 スペントとタロスは泡に包まれ、リース、健人、菜々美の元を離れていた。 リース:「…やられたわ でも、どうやら私の相手があなたたちであることには変わりないみたいね」 健人:「そういうことさ」 菜々美:「雷光の能力者だろうと、私たちは負けないわよ」 リース:「面白いじゃない 私を倒すつもりかしら? 行くのよ、フシギバナたち!」 リースは鼻で笑ってボールを6つ投げた。 すると出てきたのは6匹のフシギバナだった。 一瞬にして、健人と菜々美は囲まれていた。 リース:「これでもそんな強気でいられるかしら? フシギバナ、一斉に蔓の鞭よ!」 フシギバナから一斉に蔓の鞭が飛び出て、健人と菜々美に襲い掛かった。 だが、『ドレミ』の音色と共に何かが蔓にぶつかり、さらに数本の蔓が勢いよく押し返されていく。 リース:「なるほど、音と闘力か」 リースもこれには驚きかけ、そして納得した。 菜々美の持つメガホンから飛び出たミサイルが音色と共に蔓にぶつかり、ミサイルを受けたフシギバナはすさまじい音を聞いたような 顔をしている。同時に、健人が蔓の鞭を素手で投げ飛ばしたのだ。 リース:「でも、そんな状態で長くは続かないわよ」 菜々美:「分かってるわ、オドシシ、地震よ!」 健人:「サイホーン、砂嵐だ!」 リースは2人がポケモンを出してこないと思っていたために隙が生まれていた。 その隙を利用し、健人はサイホーンを、菜々美はオドシシを出している。 砂嵐と地震が発生した事で、フシギバナたちは一斉に攻撃を受け、一部はダメージにうろたえ、一部は砂が目に入ったために 苦痛を訴えている。 そして、砂嵐が消えると、2人の姿も消えていた。 リース:「くっ、奴らはどこに…」 菜々美:「ここよ!」 リースが辺りを見回していると、上空から声がした。 上にはいつの間にか、蝶の羽をつけた菜々美がバタフリーと共にいる。 さらにバタフリーの背中にはヘイガニの姿もあった。 菜々美:「ヘイガニはバブル光線、バタフリーは痺れ粉よ!」 上空から痺れ粉がバブル光線と共に降り注いだ。 同時攻撃により、痺れ粉はバブル光線に多く付着し、フシギバナを確実に痺れさせている。 リース:「空にいるならこっちの力を使う! 食らいなさい、雷光の波動!」 フシギバナが麻痺をしていることに焦り、リースは能力を使うことで、菜々美たちを打ち落とそうとしていた。 だが、麻痺した状態のフシギバナたちが邪魔になって、なかなか狙いが定められずにいる。 さらに、放ったはずの攻撃が、何故か別の場所に向かって流れていった。 リース:「嘘…」 健人:「残念だが、俺のサイホーンの特性は避雷針だ 雷を使おうとも、そういう攻撃は全てこいつが無効にしてくれる」 リース:「だったら、まずはあなたのサイホーンから倒す! フシギバナ!」 健人:「させるかよ、エビワラー、爆裂パンチだ!」 麻痺状態のフシギバナの動きは遅く、ビルドアップを終えた健人のエビワラーの爆裂パンチが、軽く3匹のフシギバナを弾き飛ばしていた。 菜々美:「こっちも行くわ! オドシシは神通力、マリルリは凍える風、ホエルコは水鉄砲よ!」 凍える風と水鉄砲が合わさり、神通力によって氷の龍となり、フシギバナたちに向かっていった。 麻痺状態になっているために素早さを遅く、氷の龍によって2匹、倒されていった。 さらに、爆裂パンチで飛ばされた3匹は、エビワラーのスカイアッパーやバタフリーのサイケ光線で倒されている。 リース:「こんなはずでは…!! フシギバナ、のしかかりよ!」 リースは残り1体のフシギバナに指示を出すが、麻痺状態がここまで響き、バタフリーから落ちてきたヘイガニのクラブハンマーで 倒されていったのだった。水タイプの技で敗れたために、どうやら最初の地震によるダメージが大きかったのがよく分かる。 菜々美:「さあ、これでもまだ負けないつもり?」 健人:「おとなしく、観念しろ!」 菜々美と健人が強気でリースに向かうのだが、リースは何故か、笑っていた。 リース:「うふふふ、残念ね まだ強気になるのは遅いわよ 私には最後の駒が残ってるもの」 菜々美:「駒ですって?」 リース:「ええ、行くのよ、デオキシス!」 リースはデオキシスを出してきた。 言葉が発せられた時から身構える健人と菜々美だが、出てきたのは不完全な形をしたデオキシスだった。 リース:「ネオアース団では不完全ながら、デオキシスのコピーを多く作り出した コイツはその中のうちの1体さ 未完成だとしても、1発だけの攻撃は山をも砕く! デオキシス、サイコブーストだ!」 もはやリースは正気を失っているようだった。 だが、今はそんなことを言っている暇はない。 菜々美と健人は攻撃を迎え撃つ必要があるが、目の前から感じる波動には、自分たちでも仲間のポケモンたちでも対抗できるようではなかった。 菜々美:「ここまでなの…?」 弱気な声が出る菜々美。 そして、とてつもない波動は打ち出された。 しかし、菜々美と健人は倒れる事はなかった。 リース:「何っ、サイコブーストが消されただと!?」 健人:「どうやら、こっちの運の方が強いらしい シザリガー、水の波動だ! サイドン、メガトンパンチ!」 リースはうろたえていたが、実は、健人のポケモンがようやく進化したのだ。 ヘイガニが進化してシザリガーになることで、悪の属性を持ち、エスパータイプのサイコブーストを受けても平気だったのだ。 悪タイプにはエスパータイプの攻撃は効果がないために。 そして、未完成なデオキシスはサイコブーストを1発打っただけで消滅し、リースは2つの攻撃を受けて気絶した。 菜々美:「何とか勝てたわね」 健人:「デオキシスが出たときには驚いたが、どうやら未完成だったことと、ヘイガニが進化したことが俺たちを救ったようだ」 菜々美:「涼治君とヤツデ君は大丈夫かしら?」 健人:「一応、行ってみるか あいつらが苦戦していたら大変だからな」 菜々美:「特に涼治君ね」 健人:「ああ ここで倒れられたら氷雨さんに合わす顔がない」 その時だった。 菜々美:「ちょっと待って 誰か来るよ」 健人:「誰だ?」 菜々美が立ち止まって耳を済ませた。 菜々美の表情から、健人は相手が敵ではないことを悟る。 菜々美:「鈴香ちゃんと美香、それに、翼先輩に悠也先輩も!」 健人:「久々に会えるな ようやく合流だ」 菜々美:「うん、でも…翼先輩、怪我してるみたい …私たちも、まずは4人に合流しましょ」 健人:「そうだな」 健人はプテラ(実は持ってた)をだし、菜々美と共に空に飛翔していくのだった。 ただし、リースは樹にがんじがらめに縛り付けていったが…。 タロス:「俺の相手が貴様だと? お前みたいな半端な洗脳幹部にはやられるか!」 涼治:「まさか俺のことを覚えていたとはな だが、お前は元々弱かった 今でも同じだ!」 タロス:「くそっ、言いやがって! ケンタロス、グランブル、出てきやがれ!」 タロスとバトルをすることになった涼治は、頭に血が上ってると思われるタロスを挑発していた。 そして見事に挑発に乗ったタロスは、ケンタロスにグランブルを出していた。 涼治:「共に特性は威嚇か だったら俺は特殊攻撃で行くか カメールにフィート、頼むよ!」 涼治が対抗手段に出したのは、大きさに違いが出るほどのポケモンだった。 エーフィのフィートに、カメールなのだから。 タロス:「そんなんで勝つつもりか? グランブル、雷だ! ケンタロスは地割れをお見舞いしてやれ!」 涼治:「カメール、フィートに乗れ! フィート、テレポートでかわすんだ!」 雷と地割れが一気に放たれる。 だが、ギリギリまで攻撃を待ち、フィートはカメールを乗せてテレポートし、見事に攻撃をかわした。 地割れはそのまま地面を突き進み、天気研究所の一部を破壊したが…。 タロス:「何! …ならばグランブル、ビルドアップして突進だ!」 涼治:「フィートは電光石火で避けろ! そして自己暗示だ! カメール、お前は欠伸だ!」 グランブルのビルドアップを自己暗示したフィートは、電光石火でグランブルを跳ね除け、カメールは欠伸を放ってケンタロスを 眠らせていた。ケンタロスは眠ってしまって動かない。 タロス:「くそっ、いいとこだってのに……、…グランブル、もう一度雷で攻めろ!」 タロスは指示を出すのだが、グランブルは周囲を走り回り、たまに突っ込んでくるフィートに翻弄されていて、雷を出せずにいた。 他のポケモンを出さないところを見ると、逃げるための手段か、それとも楽に勝てると油断していたかのどちらかだろう。 涼治:「カメール、殻にこもってロケット頭突きだ!」 そしてグランブルは、フィートの翻弄によってフラフラになり、ロケット頭突きを受けてノックアウトしていた。 だが、それと同時に起き上がったケンタロスが、カメールを跳ね飛ばしていた。 涼治:「カメール!」 タロス:「油断したな ケンタロス、破壊光線だ!」 涼治がカメールに駆け寄った時、ケンタロスの角から破壊光線が発射された。 だが、破壊光線は軌道を変えて、ケンタロスに戻っていた。 タロス:「何だと!?」 涼治:「油断したのはお前だぜ、タロス こっちにはまだエーフィのフィートもいる サイコキネシスで破壊光線の軌道を捻じ曲げたのさ カメール、ケンタロスに水鉄砲だ! フィートは目覚めるパワー!」 破壊光線を発射したケンタロスは動く事が出来ず、水鉄砲と目覚めるパワーによって倒された。 すると、形勢不利と見たのか、やはり別のケンタロスを出して逃げ始めるタロス。 だが、既に涼治はポケモンを放っていた。 涼治:「ヤミラミ、そいつを黒い眼差しで動けなくしてやれ! そして催眠術だ!」 涼治が大きく叫ぶと、タロスの背後の影からはヤミラミが飛び出し、ケンタロスの動きを止めていた。 そして、タロスとケンタロスは、催眠術で眠り込むのだった…。 涼治:「ふぅ、これで片付いた …カメール、どうしたんだ?」 ホッと一息つく涼治とフィートだが、カメールの様子がどこかおかしい。 すると、カメールは光り出し、進化を始めていた。 カメールは進化して、カメックスになっていた。 涼治:「そうか、お前、やっと進化したな」 そんな時、涼治の背後を何かが横切っていた。 それは白い人間のような何かだったが、涼治は気づかないのだった…。 健人、菜々美、涼治がバトルを終える中、唯一苦戦していたのがヤツデだった。 確かにスペントの持っているポケモンが炎タイプだったのは事実。 しかし、ヤツデは苦戦していた。 スペント:「バグーダは砂嵐、コータスは噴火で攻め立てろ!」 別の場所に移ったヤツデだったのだが、スペントのコータスのスモッグを受け、ボールを取り落としてしまったのだ。 拾っているうちに煙幕に包まれてしまい、更に砂嵐と噴火によって苦戦していたのだ。 スペント:「お前の事は覚えているぞ 確か一度は仲間を裏切ったスパイだったな バトルの腕も初心者に近かったと聞いている 俺と勝負しようなどとはな」 スペントの高笑いが聞こえるが、ヤツデは気にしていられるような状態ではない。 今ポケモンを出したとしても、スモッグによって毒を受けてもおかしくないのだから。 それに、風下に自分がいる以上、今は攻撃が跳ね返される可能性もあった。 ヤツデ:「(あと少しで風向きが変わるはず それまで耐えられれば…)」 一応攻撃よりも、防御や回復に徹するべき能力者なので、ヤツデは泡に包まれることでスモッグと噴火で飛来する炎を避けていた。 だが、スペントが木炭を多く持っているらしく、長く噴火が続く様子。 ヤツデは耐久戦に追い込まれかけていた。 そんなときだった。 スペント:「何っ!?」 ヤツデ:「マジかよ…」 突如、2人の頭上を雪が降り始めたのだ。 同時に風向きも変わり、スペントのコータスが出した煙や砂嵐は、一気にスペント側に流れていた。 ヤツデ:「チャンスだな ホエルコ、潮吹きで炎を消すんだ!」 このチャンスをヤツデがほおっておくわけがなく、潮吹きは風や雪を味方につけて、噴火の炎を一掃した。 すると同時に風が止み、雪が降るのが止まった。 スペント:「くそっ、バグーダ、突…!?」 ヤツデ:「ホエルコ、転がる攻撃だ!」 スペントは攻撃に出ようとしたのだが、何故かバグーダの背中の噴火口から不完全燃焼的な煙が立ち昇っており、その隙にホエルコの 転がる攻撃がコータスを吹っ飛ばしていた。スペントが慌ててかき出す所を見ると、落ち葉などが詰まったらしい。 なぜかは知らないが、ヤツデに有利な状況になっていた。 ヤツデ:「よし、ホエルコ、水遊びから雨乞いだ!」 ホエルコが水を放出して周囲にばら撒き、炎タイプの力を半減させると同時に、大量の雨が降り始めた。 これによってバグーダとコータスの背中からは、更に不完全燃焼のような煙が昇り始めていた。 スペント:「くっ、日照り状態のはずだというのに…」 ヤツデ:「(ん、そういえばそうだな…)」 ヤツデはスペントの言葉でふと気がついた。 この辺りはグラードンの影響下なので、雨乞いはすぐに消えてしまうはずなのだ。 それもあって、最初は大苦戦だった。 しかし今、天候は曇りを示し、周囲も湿った状態だった。 つまり、炎タイプには断然不利という状況なわけだ。 ヤツデ:「まぁ、いいや キングラー、バブル光線だ! ホエルコは水の波動!」 不可思議といえば不可思議だったが、今ヤツデは気にすることがなく、そのまま攻撃に移っていた。 バブル光線と水の波動を受け、バグーダとコータスはあっけなく崩れ落ちた。 スペント:「そんな…くっ、ここは逃げるしかない! 再びいつか、お前を倒してやる!」 スペントは逃げ出した。 しかし、ヤツデよりも先に、スペントを追おうとした者がいた。 ホエルコだ。 しかも、光りだしていた。 ヤツデ:「ホエルコ…」 スペント:「なっ、何っ!? …うぎゃ〜っ!?」 ホエルコは進化してホエルオーになり、スペントはホエルオーにのしかかられて、気絶したのだった。 〜数時間後〜 ヤツデと涼治は、健人や菜々美、美香たちと合流を果たしていた。 負傷していた翼も、ヤツデの力が回復している。 美香:「涼治のカメールも進化したのね」 涼治:「ああ リザードもしたってことは、あとは蓮華のフシギソウだけか」 鈴香:「それより、さっきの天候、おかしかったですね」 菜々美:「うん、普通じゃ考えられない力が働いたみたい…」 ヤツデ:「氷雨さんみたいな…力ですよね…?」 ヤツデの一言で、8人は押し黙っていた。 氷雨はなかなか出て来れないはずなのだ。 それに、さっきのが雪美の仕業だったとしても、自分たちの前に出てこないのはおかしい。 健人:「多分、俺たちのことが心配なんだろうな」 美香:「特に、涼治とヤツデ君は特にね」 菜々美:「黙ってる所を見ると、当ってるみたいだし…」 涼治:「…うるせえ」 鈴香:「兎も角、カイナシティか、天空の塔、だっけ?」 菜々美:「うん、氷雨さんの夢枕だと、天空の塔に最終的に行かなきゃいけない」 美香:「それじゃ、カイナにいるみんなもそっちに向かうことを信じて、私たちも行かない?」 悠也:「そうだな 最終決戦の舞台はそこかもしれないしな」 健人:「きっと、そこに集まる可能性がある ヤツデ、お前のホエルオーで行くぞ」 ヤツデ:「はい!」 こうして、一同はホエルオーに乗り、海を進み始めていくのだった…。