スズカ:「カイナシティも海に沈んでしまったわね」 海:「ええ、でも、ここに何人かが来てるって聞いたので…」 ミューズ:「これだけ建物の半分が海に沈んじゃってると見つけにくいなぁ」 ミシロタウンを出た海は、プータルにスズカを乗せてカイナシティまでたどり着いた。 その横には、アゲハに乗ったミューズと、人間の姿のままピジョットのポーに乗ったソルルの姿がある。 ここまで来る間にソルルの直感が頼りになる事が多かったため、人間の姿を保っていたのだ。 海:「ん?」 ミューズ:「どしたの?」 海:「今、何か呼ばれ…いたわ!」 そんな時、海が何かに反応し、誰かを見つけた。 それは空中で手を振る瑞希の姿だった。 スズカは少々驚いている様子だったが。 ミューズ:「瑞希ちゃん!」 瑞希:「よかったです、皆さんも御無事で…」 海:「他のみんなは?」 瑞希:「あちらの大好きクラブのボートの一つに集まってます それにしても、スズカさんが蓮華ちゃんのお母様だったなんて、驚きです」 どうやら、瑞希は知り合いのようだった。 スズカが驚いたのも、瑞希がこっちの世界にいたからなのだろう。 それは置いとくとして、海たちが瑞希の先導により大き目のボートにたどり着くと、そこには見覚えのあるメンバーの姿があった。 ただ、スズカは知り合い(実は夫)を見つけて別の場所に行ってしまったが。 綾香:「あ、海ちゃん!」 海:「綾香に秀治先輩もここにいたのね 神楽先輩もいるし…」 他に、エイク、ルリ、アヤネ、アリサ、ヒカリ、ユウ、ミサト、モコナ、ヒロに加え、美咲と渚の姿もある。 綾香:「今はナナちゃんが連絡を暮れるのを待ってるとこなの」 秀治:「哲也たちはナナの元にいる 他の奴らも目指すべき場所に向かってるはずだ」 海:「そう …美咲ちゃんたちは救援?」 美咲:「ええ、今、拓也が捨てられ船の方に向かってるはずよ」 渚:「ジムリーダーの皆さんは、各地で避難誘導をしながら、ネオアース団と戦ってるはずです」 と、そんな時に電話が鳴った。 ナナからだった。 第3章 20.目指すべき場所へ ヒロ:「ナナ、一通り、集まれるメンバーが集まったぞ」 ナナ:「そう 今ツツジたちから連絡が入ったわ 久美ちゃんと海斗君もそっちに向かってるはずよ ネオアース団には苦戦を強いられた そうだけど、2人とも無事だから」 美咲:「拓也は?」 ナナ:「残念ながら、アクアカップの時にいたアミカって人に負けたみたい」 ミサト:「あいつがいるの?」 ナナ:「ええ」 モコナ:「許せない…」 ミサトとモコナはアクアカップの時に蓮華たちと知り合っている。 その時にアミカがトレーナーつぶしをしていたのだが、ミサトはアミカによって潰された友人を持っていた。 そのため、ミサトとモコナはアミカを許せないのだ。 海:「美香たちは?」 ナナ:「さっき連絡が入ったわ 菜々美ちゃんたちと合流して、涼治君やヤツデ君たちとも一緒に天空の塔に向かってる 氷雨さんが夢枕に立ったそうよ」 氷雨という名前を聞いて、表情が引き締まる数名。 海:「氷雨さんが…」 綾香:「何だったの?」 ナナ:「氷雨さんが夢で見た、伝説で言われているグラードンとカイオーガを沈めるべき場所へよ」 ミューズ:「どこ?」 ナナ:「天空の塔 …一応、志穂ちゃん達の力を使って、幻島を今の時間軸に置き、グラードンとカイオーガをそこに呼び込もうとしてるけど、 それにはレックウザの力が必要だから レックウザを目覚めさせなきゃ、全てが上手くいかないわ そこで、今から言うメンバーは天空の塔に入り、レックウザを目覚めさせて それ以外は、天空の塔に集まると思われるネオアース団と戦ってね」 ナナはさっさとこれからのことを話していた。 ヒロ:「その様子だと、急ぎのようだな」 ナナ:「ええ、親友の事だし ヒロ、頼むわよ」 ヒロ:「ってことは、俺が中に入るのか?」 ナナ:「ええ、後は美咲ちゃん、綾香ちゃん、秀治君、渚ちゃん、それに、何かあったときの連絡係としての瑞希ちゃんもお願いね」 美咲:「これだけなの?」 ナナ:「一応ね ただ、救援は随時向かわせるわ ネオアース団が既に天空の塔に着いているし、私たちが向かうことは向こうも考えているはず だから、何かしらの手を打ってくると考えれば、後はそこに集まったメンバーを救援として向かわせるくらいしか出来ないし、今のメンバーじゃ 少なすぎるもの」 渚:「けど、私まで…」 ナナ:「現段階の状況を見る限り、トレーナーの手は猫の手も借りたいほどよ ただ、海ちゃんはミューズたちと一緒に幻島に行って」 ミューズ:「どうして?」 ナナ:「幻島をこの時間軸に置いて保たせるには、志穂ちゃんとセレビィの力だけじゃ足りないから ネオアース団が攻めてくるかもしれないから、 味方のポケモンも多い方がいいし」 海:「分かったわ」 ミューズ:「任せてよ」 徐々に向かうメンバーが決まりつつあった。 そんな時、海はナナに伝説の事を聞いていた。 ナナ:「あの伝説の事?」 海:「ええ、氷雨さんが夢に見た人、私が思うに、健人先輩と菜々美ちゃん、蓮華、涼治君、美香、翼先輩、玲奈先輩、哲也先輩、律子、 志穂ちゃん、鈴香ちゃんに悠也、そしてユウキ君なのは確実よ」 ナナ:「うん、でも、花を纏う人は分かってないわ」 海:「それなんだけど、蓮華に関係する人が一人いるわ ミューズよ」 ミューズ:「私?」 ナナ:「そうね それ以外になさそうね 分かった、それじゃまず、海ちゃん、ヒカリとユウを護衛にして、ミューズたちを連れて幻島に向かって」 ナナはさっさと指名した。 驚くユウだが、ヒカリは既に準備していた。 ヒカリ:「分かったわ ライやセイラムたちもこっちに向かってるって聞くし、できるだけのことはするから」 ユウ:「お〜い、勝手に決めるなよ」 ヒカリ:「いいでしょ、別に それに、ユウは美香たちに会わなきゃいけないし」 海:「どういうこと?」 ヒカリ:「それは…」 ユウ:「俺が言うよ キワ婆さんに頼まれて、技教えの伝授をしに来たんだ そろそろ蓮華、美香、涼治の持ってるファーストポケモンが 最終進化系になる時期が来たはずだからって」 ミューズ:「ダネッチはまだだけど、その言い方だと、多分2人のポケモンは進化してそうね でも、何のために?」 ユウ:「夢枕に立った女の人、多分氷雨さんだと思うけどさ、あの人が必要になるからって言ってたぜ」 海:「それじゃ、早く向かいましょう」 海はプータルを出し、ミューズやポケモンの姿に戻ったソルルたちをボールに戻すと、ヒカリやユウと共に先に旅立っていった。 エイク:「それじゃ、俺たちも行こうぜ」 アヤネ:「水タイプのポケモンはたくさんあるし、ミサトがホエルオーを持ってるからみんなで乗っていけばいいもんね」 ミサト:「そうね」 ヒロ:「待て 確か天空の塔の床は崩れやすいと聞いた 普通に向かっても、能力を使って飛べないものには不利じゃないのか?」 ヒロの言葉を受け、一瞬で表情が重くなりかけた。 しかし、そこにスズカが入ってきた。 スズカ:「大丈夫よ ミラクル自転車のオーナーが、みんなのためにマッハ自転車を準備してくれたわ 使ってきなさい」 どうやら話を聞き、手を打ってくれたらしい。 スズカ:「蓮華とユウキのこと、任せるからね」 海:「分かりました」 綾香:「責任持って、私たちが世界を守ります」 この後、同時に久美や海斗も合流し、一同はホエルオーに乗り、天空の塔に向かって旅立っていくのだった…。 その頃、泉と双葉はそれぞれ、グラードンとカイオーガの足止めをはじめていた。 泉:「確かに大きい魚が向かってるわ ジュゴン、ミロカロス、手伝って!」 カイオーガを迎え撃つために海を進んでいた泉は、巨大な物体が進んでくる気配に行き当たった。 泉は津波を起こしながらもジュゴンとミロカロスを出して、海を凍らせていく。 そこに、氷を割りながら進んでくるカイオーガがやってきた。 泉:「来たわね」 カイオーガはジュゴンとミロカロスの冷凍ビームを、久美や海斗とバトルした時のように瞑想を使って進み続けている。 そして、泉に向かってハイドロポンプを放ってきた。 泉:「小さいわ」 泉は片手を上げて波を立て、ハイドロポンプを波で相殺した。 そして人魚の足である尾を使って、大津波を作り、逆にカイオーガを押し返していた。 自然の中で生まれた人魚の泉の大津波は、久美や海斗が苦戦を強いられたほどのカイオーガでも、楽に押し返している。 泉:「この様子だと、ユウキ君の力が確実に全て発揮されているようではないわね 多分、無理やり能力を珠が放出させている事で、 カイオーガの力を上げているに過ぎない 彼の場合、確かまだ、覚醒して数日しか経ってないんだから…」 同時刻、双葉もグラードンの足止めに成功していた。 双葉:「大地の化身で、植物を熱で蒸発させるのが目じゃないかもしれないけど、世界を股にかけた氷雨の妹分の、この古椿の双葉様を倒そうとは、 いくら蓮華ちゃんを核にしてたとしても、無駄なんだからね!!」 双葉は泉と違って、ちょっと熱くなっていた。 グラードンは巨大な大木の枝に締め付けられて唸っている。 さらに、枝のいくつかにはモンジャラ、メガニウム、ウツボット、マダツボミの姿があった。 双葉:「みんな、一斉に蔓の鞭! そしてメガドレインよ!」 ギリギリまでグラードンの体力を削り、力をなくしてから連れて行こうとしているのだ。 相手が地面タイプだった事もあり、双葉はグラードンよりも優位に立っていた。 それに、連れて行く前にもう一つ、双葉はやろうとしていたことがある。 双葉:「上手くいくかな…?」 とは言っているものの、双葉の神経が数本、グラードンに差し込まれ、蓮華に思いを伝えようとしていた。 同じように、海上では歌の力によって言霊をぶつけ、カイオーガの中のユウキを正気に戻そうと泉も頑張っている。 そんな時に突然だった。 グラードンとカイオーガが強く吠えたのは。 その直後から、グラードンとカイオーガの目の色が変わった。 双葉:「これは…」 泉:「嘘…」 グラードンは身体から炎を吹き出して双葉と草ポケモンから解放されると、真っ直ぐに海水を蒸発させるように歩き出し、 カイオーガは泉の大津波をかきわけて泳ぎ始めていた。既に双葉と泉の手には負える状態でなくなっている。 これには理由があった。 実は、吠えた事で互いの声を聞き、互いのライバルである相手を感じ取ったのだ。 双葉:「このままじゃ、一番厄介な事になる…」 泉:「せっかく、足止めできたはずだったのに…」 離れた場所で同じ想いになる2人。 しかし、そんなグラードンとカイオーガに攻撃を放ち、2体を誘導するかのようにして別の方向に向かわせる物体が現れた。 双葉:「アレは一体…」 グラードンに氷をぶつけて動かしているのは氷の形をしたものだった。 すると、そこからプテラに乗った香玖夜がやってきた。 香玖夜:「双葉さん、後は任せて!」 双葉:「どういうこと?」 香玖夜:「今、清香先輩と四天王のプリムさんが、レジアイスを操ってグラードンを幻島に向かわせているんです」 泉:「それじゃ、カイオーガの誘導は確実なのね?」 ルナ:「そのはずです 今は浅香ちゃんとカゲツさんの力に頼るのみ もう少ししたら、晃正君がダイゴ君たちとレジロックを連れて やってくるはず その時に馬鹿力を使ってカイオーガたちを更に一箇所に追い込みます」 海の上ではエアームドに乗ったルナが、泉に説明していた。 少し先ではレジスチルに乗った浅香とカゲツが、嫌な音を放出し、凍える風を吹かせてカイオーガを追い立てている。 浅香のポケモンであるランターンやレアコイルたちも力を貸していた。 泉:「それじゃ、私は双葉と合流し、避難誘導を手伝うわ」 ルナ:「お願いしますね」 こうして、レジ3体も力を発揮し始め、徐々に天空の塔と幻島の周辺には主だったメンバーが集まり始めていた。 〜その頃〜 天空の塔のある島には、多くのネオアース団の姿があった。 そこにはボムが多くの団員を取り仕切っている。 そしてこの島と周辺は、眠っているとはいえレックウザが上空にいるためか、グラードンとカイオーガの影響が消えていた。 ボム:「お前達、よく聞くがいい もうすぐここに、何人ものトレーナー達がやってくるだろう しかし、ネオアース団の計画を成功させるには 彼らの排除が必要となる すでにボスと4幹部様が塔を上っている以上、排除は最優先任務だ!」 ボムの言葉に敬礼し、次々に様々な場所に向かったり、配備したりする団員達。 中にはバイツやベイル、マユミ、エイジ、ヤマト、コサブロウ、チカゲ、ハヤテ、葛葉、竹巳、アミカの姿もあり、さらに、昔ムサシやコジロウが 使っていたようなポケモンの形をしたメカに乗っている団員もいる。 厳戒態勢が取れたような状態だ。 しかし、突然一人の団員が、ボムに攻め立てられ始めた。 団員:「な、なんですか?」 ボム:「お前、ネオアース団じゃないね」 団員:「いえ、僕は…」 ボム:「お前は先ほどから妙な動きをしている 姿を現しな!」 ボムが鞭で叩くと、団員の姿は消え、コスチュームだけが残った。 団員(?):「バレちゃ仕方ないな」 そして現れたのは、ポケモンGメンの制服を纏った輝治の姿だった。 輝治:「今までの会話、全て盗聴し、送信させてもらったよ」 ボム:「やはりお前だったか」 輝治:「ああ、ワタルさんの命を受けて、ずっと変装して紛れ込んでいた もうすぐここに…いや、もう来たようだ」 輝治が言い終わると同時に、カイリュウとボーマンダが飛来し、多くの団員達を破壊光線で攻撃していた。 そして舞い降りたのは、ドラゴン使いのワタルとゲンジだった。 ワタル:「輝治、今までご苦労だったな」 ゲンジ:「ここからはこやつ等の一掃 手間はかかるが、お前も手を貸すのだぞ」 輝治:「はい!」 さらに、同時刻、3人の近くで光が立ち上り、吹雪が舞った。 そして、数名の男女が姿を現していた。 雪美:「あ、ここに出たみたい でも、ちょうどよかったわ」 輝治:「救援に来てくれたんですね」 雪美:「ええ、現実世界にいるできるだけのメンバーを今、連れてきたわ」 現れたのは、雪美を筆頭にした能力者たちだった。 小麦に刹那、一志に結人、なずな、希、そして来美の姿がある。 さらにチルタリスと共に、ナギとストールもやってきた。 ナギ:「ポケモン協会の命を受け、私も参戦する」 ストール:「これだけの数だ 多い方がいいだろう?」 そして、カイナを出発したホエルオーも到着した。 さらにナナ、哲也、玲奈も空中からやってきた。 ナナ:「最終決戦よ あなたたちがどんなに思い通りにことを進めようとしても、簡単にはいかないわ」 哲也:「既に幻島は現れた 後はレックウザの解放のみだ」 玲奈:「あなたたちにはこれ以上、悪巧みは続けさせないから!」 ナナ:「哲也君、玲奈ちゃん、あなたたちも塔に行って! 後、来美ちゃんに希ちゃん、なずなちゃんも!」 哲也:「分かった 一志、頑張れよ!」 玲奈:「みんなの想い、必ず成功させるわ」 ヒロ:「俺たちも行くぞ!」 そして、哲也と玲奈を筆頭に、ヒロたちは天空の塔に入っていった。 ボム:「逃すか!」 迎え撃とうとするネオアース団だが、それぞれトレーナー達が団員の前に出て、その場を足止めしていた。 ボム:「私にたてつくつもりか?」 ボムはカイリュウの破壊光線で足を止めた。 彼女の前にはワタルとゲンジの姿がある。 ワタル:「悪いが、Gメンとしてこれ以上のことは見逃せないからな」 ゲンジ:「これ以上ホウエンで悪さを続けるというのなら、その根性を叩きなおさねばならぬ」 ボム:「おや、そんなことができるのかい?」 ワタルとゲンジの言葉に挑発されず、鷹をくくるボムだったが、ふざけたような態度の彼女には二人の厳しい眼が飛んだ。 ワタル:「ああ、やってやるさ」 チカゲ:「私の相手って〜、君たちなの〜?」 新しい人形を持つ彼女の前に躍り出たのは、平和主義を突き通すお嬢様トレーナーの小麦と、小麦を親友として守りたいと 従者のような事をしていることが多い刹那。 チカゲがユウキに行ったことを聞いている2人は、チカゲの様子に表情を険しくしていた。 チカゲ:「ちょっとぉ〜、そんな怖い目で睨まないでよ〜」 小麦:「人の不幸を笑っている人が、可愛い子を演じようとしても無駄ですよ」 小麦の鋭い言葉が飛ぶと、チカゲの口調と様子が変貌した。 チカゲ:「何で私が人の指図を受けなきゃいけないの? あんたたちも苦しむがいいわ!」 小麦:「…人を傷つけた分、罪は償ってもらいますからね」 刹那:「そして今から行う惨劇についても同じことだ!」 ハヤテ:「俺の相手はお前らか だが、俺に敗北の文字はない」 チカゲの横に並ぼうとするハヤテだったが、彼の足元には炎が上がり、一志と結人が立ちはだかった。 一志:「いい気になるのは今だけだ」 結人:「実際は2人も必要じゃないけどな」 既に戦う気の2人を、ハヤテは面白そうに見ていた。 しかし、2人は気づいていなかった。 2人の背後をバクフーンが近づいていることも…。 葛葉:「こんな所まで来て、妖怪風情が何になるというわけ?」 一部では風が舞い、一部では吹雪が舞っている。 葛葉の相手は現在の現実世界最強妖怪に君臨した雪美。 投げつけられる札を全て氷に変え、葛葉を冷たく眺めていた。 雪美:「教えてあげるわ その風情呼ばわりされる妖怪の力、そして、本当の絆を」 竹巳:「確かお前、悪事を起こして逃げたんだよな? こんな所まで逃げて恥ずかしくないのか?」 ストール:「誰がそんなデマを言ったんだ? 俺から見れば、友情を弄び、自分を消して人を消すお前らの方がもっと恥ずかしいな」 竹巳:「言ったな」 ストール:「言ったぜ」 竹巳とストールはある意味、一番近づきたくない毒の投げ合いから始まっているようだ。 アミカ:「あらあら、さっき負けたのに、また戦う気?」 捨てられ船でチカゲとハヤテに負けた事を出し、笑いに笑うアミカ。 久美:「二度も同じ手は食わないわ」 海斗:「アクアカップの分も含めて、お前の信念を崩させてもらうよ」 しかし2人は、負けた事を後悔している様子もなく、勝つ気だけで立っていた。 マユミ:「その辺の砂利トレが、私に勝てると思ってるの?」 ミサト:「やるだけのことはやるわ」 モコナ:「それに、負けるつもりもないしね!」 マユミはどうやら、アクアカップに2人が出ていたことを覚えていたらしい。 能力者ではない一般のトレーナーが自分には勝てないと踏んでいるようだ。 だが、ミサトとモコナが別格だとは気づいていなかった。 モコナ:「売り子のオバサンに何言われても怖くないもん!」 ミサト:「ねぇ〜!」 マユミ:「だ、誰がオバサンですって!?」 モコナ&ミサト:「あんた」 マユミ:「(ぷちっ…!)」 エイジ:「お前の事はデータではないが、ないということは弱いんだな?」 神楽:「…眠いからすぐに終わらせるよ」 エイジ:「なんだと?」 纏:「いや、すぐ終わらせるって言ったのさ お前が弱いからな」 神楽はこの一連の出来事で自分の兄(別人格)の存在には気づいたらしいが、あまり気にしているようではない。 だが、それを知らないエイジにとっては、神楽はふざけた奴にしか見えず、それを纏は知りながら遊んでいた。 別の場所にいるマユミと同様に、切れやすいコンビだと思える。 ヒュンレイ:「お前らごときが俺に勝てるのか?」 天空の塔の島に近い、小さな小島の上では、ニャースの形をしたロボットに乗った団員がいた。 一度ナナシマの1の島で双葉たちに敗れたヒュンレイだ。 ロボットの横には壊れた砲台があり、その横にはエイクとルリの姿があった。 エイク:「ああ、お前らごときじゃなく、お前ごときに勝つのさ」 ルリ:「絶対負けないよ」 実は砲台を壊したのはこの二人だった。 ルリの炎で熱し、エイクの水で冷やして脆くしたのだ。 ヒュンレイ:「名前がない奴ほどよく吠える お前らはこのメカで一撃だ!」 ルリ:「そう? でも、もうそのメカ、動かないよ」 クスクス笑うルリ。 確かにそうだった。 既に腕が焼け落ちているのだから。 ヒュンレイ:「何っ!?」 エイク:「気づかなかったのか? よっぽどの馬鹿だな」 ヒュンレイ:「くっそぉ〜…!!!」 ヒュンレイは怒りに燃え上がった。 バイツ:「弱そうだな」 氷と風の攻撃を受けたバイツは雪美が来たと思ったのだが、姿を現したのはアリサとアヤネ。 そのためにこんな言葉が飛び出していた。 けれど、 アリサ:「違うよ」 アヤネ:「信念はあなたよりももっと強いから」 バイツがどんな奴か知らないものの、2人はバイツの毒を薙ぎ払い、逆に言い返していた。 アリサ:「人の心を無視して、人を操ろうとする人だけは一番許せないから」 アヤネ:「この戦い、見てるだけかもしれなかったけど、あなたを倒す事で少しでも貢献するわ!」 バイツ:「ふっ、できるかな?」 輝治:「お前をここから通すわけには行かない」 ベイル:「誰かと思えば、スペース団を裏切った野郎か 今はGメンにいるようだが、悪事を働いたものがそんな場所で優位に立てるのか?」 塔に入ろうとするベイルを背後から羽交い絞めにした輝治。 ベイルは逃げようとせず、冷静に輝治を責めるが、輝治は全く動じていなかった。 輝治:「十分に立てているぜ 俺が操られていた事は証明されているし、俺のことを信じてくれる人は大勢いる だが、俺を操り、 リュークとして働かせたのはお前の力によるものでもある 俺はお前を許していない!」 ベイル:「そうか いつか来ると思ったよ 復讐にね」 輝治:「復讐か …けど、俺は復讐まではしない Gメンの一人として、ネオアース団を潰…、何っ!」 輝治が背後に気配を感じ、振り返ると、腰に下がっていたボールのいくつかがその直後に攻撃された。 さらに輝治は鳩尾に一撃を食らい、膝をつく。 ベイル:「油断したのはお前だ やはり負けるのはお前だね モンスターボールの開閉装置が壊れた以上、お前が僕に勝てるわけがない!」 背後から襲ったのはストライクだった。 輝治の近くには4つのボールが転がり、全ての開閉装置が破壊されている。 しかし、輝治の手には、壊れていないボールが2つあった。 輝治:「そう簡単に、お前の思い通りにはいかないけどな」 ベイル:「ふっ、やるな だが、僕には勝てない それはさっきも言ったけど、絶対にね!」 天空の塔がある島の上で、周囲の海上で、島々で、大きな戦いが始まりを迎えようとしていた…。 〜さらにその頃〜 健人:「間に合いそうか?」 志穂:「海ちゃんやみんなの力も借りたし、後は私の力だけでも上手く行きそうよ」 菜々美:「よかった…、…来る!」 鈴香:「敵が近くまで来てるよ!」 時間と空間の歪みをこじ開け、志穂が幻島を出現させ、セレビィと協力して今の時間軸に幻島を存在させていた。 そんな幻島にも、ネオアース団は向かってきている。 涼治:「どうやら風使いも何人か混じってるようだな」 悠也:「やられた分、ここで返すとすっかな」 美香:「えっ、自分の一族なのに?」 悠也:「別に関係ないぜ」 そして塔の中では、火の鳥の姿に変わった美咲が希や来美、渚、綾香を乗せ、瑞希や哲也が飛び、ヒロや玲奈、秀治、なずなが マッハ自転車を使って駆け上がり始めていた。 しかし、塔の中には幹部達がいるという。 一体、幹部達は何者なのだろうか。 そして美咲たちは、レックウザを目覚めさせる事が出来るのだろうか…? 今、最終大決戦の幕が上がる…。