チカゲ:「ゲルグ、あいつらを苦しめてやるのよ!」 チカゲが放ったゲンガーがナイトヘッドを放つが、それは高速回転する花びらによって防がれた。 ラフレシアの花びらの舞だ。 小麦:「攻撃は最大の防御、…バトルもいいけど、戦うのは好まない でも、今は仕方がない」 チカゲ:「奇麗事ね」 小麦:「奇麗事でもいい でも、私は平和を信じるから ラフレシア、痺れ粉よ!」 ラフレシアが回転しながら痺れ粉をゲンガーに放つ。 だが、ゲンガーはヘドロ爆弾で痺れ粉を防いでいた。 そんな小麦の背後を何かが徐々に近づいていく。 チカゲ:「後ろががら空きよ ヨミヤミ、その小娘を引っ掻いてやりな!」 小麦の陰からヤミラミが飛び出していた。 だが、ヤミラミはニューラに弾かれていた。 ニューラの横には刹那の姿がある。 刹那:「私がいることを忘れていたのか?」 チカゲ:「ちっ、だったらドルス、そこの小娘どもにシャドーボール乱れうちよ!」 ヤミラミとゲンガーを阻まれ、流石にチカゲも舌打ちを繰り返す。 そしてジュペッタで攻撃を始めていた。 だが、シャドーボールは全て、何かに当って消滅している。 ノーマルタイプのペルシアンだ。 ノーマルタイプにはゴーストタイプの攻撃が通用しない事で攻撃を消したようだ。 小麦:「ペルシアン、ご苦労様 うふふ、残念でした♪」 ペルシアンのトレーナーは小麦だった。 ゲンガーと戦うラフレシアに指示を出しながら、小麦は後ろ手にボールを掴み、ペルシアンを放っていたのだ。 小麦:「バトルは刹那と海ちゃんに教えてもらってたから、多少は出来るのよ」 刹那:「このまま、お前を倒す!」 チカゲ:「キィィィ! どこまでも邪魔な小娘が! あんたたちの泣く姿、絶対見てやるわ!」 第3章 21.激闘〜集まる仲間〜 チカゲ:「ドルスは驚かす攻撃、ゲルグはナイトヘッド、ヨミヤミは乱れ引っ掻きよ!」 3体のゴーストタイプが一斉に攻撃を開始した。 だが、チカゲは忘れていた。 驚かす攻撃もゴーストタイプだという事に。 小麦:「効いてないよ ペルシアン、見破って切り裂く攻撃よ! ラフレシアは花びらの舞!」 刹那:「ニューラ、高速移動からブレイククローだ!」 ジュペッタの驚かす攻撃はペルシアンに通用せず、驚かす攻撃の最中に見破られたジュペッタは、切り裂く攻撃によって薙ぎ払われ、 ラフレシアは花びらの舞で再び、ナイトヘッドを防いでいた。 さらに乱れ引っ掻きを高速移動で交わしたニューラは、そのまま鋭い爪を使ってブレイククローを放つ。 ペルシアンの見破る攻撃の範囲にヤミラミがいたことも幸いし、ブレイククローはヤミラミにしっかり決まっていた。 チカゲ:「ドルス!ヨミヤミ!」 小麦:「刹那、やったね!」 刹那:「小麦、強くなりましたね」 小麦:「だから敬語はやめてよ…、ラフレシア、もう一度、花びらの舞!」 小麦は刹那の敬語に難色を示しながら、ラフレシアの花びらの舞をもう一度使わせた。 これを使えば混乱するのだが、キーの実を持っているために一度目の混乱は大丈夫なのだ。 チカゲ:「ふっ、いつまでそんな攻撃を使うつもり? ゲルグ、ナイトヘッドよ!」 花びらの舞しか放たないラフレシアを見て、チカゲは優位に思っていた。 だが、何故かゲンガーが攻撃をしない。 チカゲ:「ゲルグ、何をやってるの!」 不審に思うチカゲ。 そして気づいた。 ゲンガーが戦闘不能になっていることに。 小麦:「気づかなかったかな? ラフレシアがゲンガーに近づいていたことに」 チカゲ:「…まさか!」 小麦:「えへへ、ラフレシアのメガドレインが、ゲンガーの力を吸い取ってたのよ もう、あなたはポケモンを持ってないでしょ ここで降参した方がいいよ」 チカゲ:「くそっ…」 がっくりするチカゲだったが、突如煙玉を使って逃げ出していた。 小麦:「あぁ!」 刹那:「待てっ、逃がすか!」 ハヤテ:「俺を炎で足止めしたようだが、油断しているのはお前達だ! バクフーン、火炎車!」 一志:「何っ!」 結人:「げっ、マジかよ…」 一志と結人は、ハヤテの言葉の直後、背後の炎が起き上がったのを見て察した。 背後にバクフーンがいたことを。 しかし、そのバクフーンは、遠くから放たれた渦を巻くような水鉄砲によって吹っ飛ばされていた。 ハヤテ:「何っ!」 海:「全く、油断しすぎですよ」 現れたのは海だった。 志穂との作業が終わり、嫌な予感を感じてここまでやってきたのだ。 彼女の横にはキングドラの姿があった。 ハヤテ:「新手か しかし、今の攻撃、バクフーンは火炎車の炎を消されたに過ぎない まだ戦うだけの体力は残っている お前達で勝てるのか?」 一志:「勝つに決まってるだろ」 ハヤテ:「面白い、バクフーン、火炎放射!」 バクフーンは火炎放射を再び放ってきた。 だが、キングドラの水鉄砲が相殺し、龍の息吹がバクフーンを攻撃する。 海:「バクフーンの相手は私よ! キングドラ、水鉄砲!」 龍の息吹がかわされ、再び水鉄砲で攻撃するが、バクフーンは火炎車を纏う事で攻撃をガードしていた。 さらに、海に向かって2体のポケモンが躍り出る。 ワカシャモとキュウコンだった。 ハヤテ:「余計な事をすれば傷つくこともなかっただろうにな ワカシャモは突付く攻撃、キュウコンは鬼火だ!」 攻撃はキングドラではなく、海に向いていた。 しかし、ワカシャモの突付く攻撃はヤルキモノに白羽取りされ、キュウコンは鬼火を出す前にオオスバメの電光石火で 弾き飛ばされていた。 一志:「俺たちがいること」 結人:「忘れてないか?」 ハヤテ:「…忘れていた」 海:「私も」 結人:「お、おい!」 一志:「はっきり言いやがって…」 実際、油断していた2人とは違い、真剣勝負をしているのがハヤテと海だったため、忘れていても仕方なかったりはした。 そして一志と結人がうなだれた隙に、ハヤテは再び攻撃を放ってきた。 ハヤテ:「まぁいい 雑魚が揃ったとしても、俺は負けない 敗北という文字が載っていない辞書を持つ限りな バクフーンは火炎放射、キュウコンは再び鬼火、ワカシャモは引っ掻く攻撃だ!」 バクフーンが再び火炎放射を放ってきた。 しかし、キングドラの水鉄砲が再び火炎放射を相殺する。 海:「キングドラ、竜巻よ! そしてハイドロポンプ!」 キングドラの起こした竜巻がバクフーンに突き進み、その竜巻にハイドロポンプが注入されていく。 そして竜巻の幾つかの部分からハイドロポンプが噴水のように吹き出し、バクフーンを何度も攻撃していく。 ハヤテ:「くそっ、バクフーン、電光石火だ!」 海:「影分身!」 電光石火で竜巻とハイドロポンプの合体技をかわすバクフーンだが、キングドラは影分身をしてしまい、攻撃は空を切った。 そして背後からのハイドロポンプがバクフーンを直撃し、バクフーンは倒れていた。 結人:「ヤルキモノ、引っ掻く攻撃を自然の流れに沿って避けろ! ヒート&ウェイ戦法だ!」 ヤルキモノはワカシャモの攻撃を全て、波が打ち返すようにして避けていた。 相手のスピードを逆手に取り、攻撃を避け続けたのだ。 さすがに避け続けられると腹が立つのか、ワカシャモは引っ掻く攻撃をやめると炎の渦を放ってきた。 結人:「自分から攻撃するとはな …ヤルキモノ、連続で切り裂く攻撃だ!」 ヤルキモノは炎の渦を切り裂くと、相手の懐に飛び込み、切り裂く攻撃でワカシャモを薙ぎ払った。 切り裂く攻撃を至近距離で受けた事で、ワカシャモは崩れ落ちた。 一志:「オオスバメ、ツバメ返しだ!」 電光石火で向かうことによって鬼火を受けたオオスバメだったが、火傷状態になってもオオスバメの力は変わらなかった。 特性の根性のおかげだ。 根性によって、状態異常のときに攻撃力を高め、ツバメ返しでキュウコンを弾き飛ばし、キュウコンもこれで倒れていた。 一志:「ここまでだな」 結人:「悪いけどさ、まだポケモンが発育途中だぜ」 海:「敗北という字、辞書に書き足した方がいいですよ」 ポケモンが倒され、ハヤテは追い詰められていた。 だが、そこに煙玉が投げ込まれ、チカゲがハヤテを連れて逃げ始めていた。 チカゲ:「ハヤテ、ここは逃げるよ! 逃走って文字はあるだろ?」 ハヤテ:「くっ…、仕方ない!」 だが、その数秒後、2人は眠気に襲われ、意識を失っていた。 刹那:「逃げられるはずがなかろうに」 小麦:「刹那、どうもありがとう」 チカゲとハヤテは、刹那が背負って飛んだラフレシアの眠り粉によって眠り込んでいたのだった。 結人:「それじゃ、少しでも痛い目を見た奴のために、こいつらに悪夢を…」 小麦:「ダメよ 眠らせてあげましょ♪」 結人:「おい…」 小麦:「だって、この人たち、絶対に何かひどい目に遭ってるから、こうなってるだけだと思うもん」 海:「…小麦ちゃんが言うなら、そうかもね…」 小麦:「でしょ?」 葛葉:「お前が何をしようとも、私には勝てない!」 葛葉が指を鳴らすと、雪美は地中から飛び出した蔓に身体を巻きつかれ、さらにストライクが鎌を振りかざして飛びかかってきた。 雪美:「…遅いわ」 だが、雪美の目の色が青から赤に変わると同時に、ストライクの両鎌は氷の塊に変わり、更に蔓は冷気を感じて地中に逃げ帰っていた。 葛葉:「何っ!」 雪美:「雪女の力を見くびりすぎよ あなたに私の力を使うほどのことはないわね」 葛葉:「くっ、クロバット!」 葛葉が片手を挙げると、クロバットが雪美に飛来する。 しかしそれを受け止めたのは、サイドンだった。 さらに地中から現れたウツボットが向かってこようとするが、空から舞い降りてくるチルタリスによって行く手を阻まれ、 ストライクもポワルンに阻まれていた。 葛葉:「いつの間に…」 雪美:「あなたと同じで、既に出していたわ」 葛葉:「くそっ…、やれ!」 葛葉が指を鳴らすと、ポケモンたちは襲い掛かってきた。 しかし、雪美は3体の葛葉のポケモンの動きが目で追うように見えていた。 雪美:「ポワルンは粉雪、チルタリスは神秘の守りから突付く攻撃、サイドンはメガトンパンチよ!」 ストライクの翼で打つ攻撃はポワルンがかわし、そのままサイドンがそれをメガトンパンチで受け止めて跳ね飛ばす。 そして、ストライクから離れたポワルンは、サイドンが相手をするはずだったクロバットに粉雪を吹きつけた。 ストライクとクロバットは飛行タイプであり、岩タイプを持つサイドンには攻撃がほとんど通じていなかったのだ。 そのため、サイドンはクロバットとストライクの攻撃を受けても、傷みさえも見せていなかった。 さらに、ウツボットは神秘の守りで毒の粉を防がれてしまい、チルタリスの突付く攻撃に悲鳴を上げていた。 葛葉:「くそっ、ストライクは電光石火、クロバットは鋼の翼、ウツボットはヘドロ爆弾だ!」 雪美のポケモンたちにさらりと攻撃をかわされ、倒されかけたために、葛葉は指示を出していた。 だが、チルタリスとポワルンは上空に舞い上がってしまい、クロバットとウツボットの攻撃は空を切った。 さらに、サイドンに電光石火は通じず、サイドンの尻尾を振る攻撃で、ストライクは弾き飛ばされ、その場に倒れていた。 雪美:「尻尾を振る攻撃は相手の防御力を下げるといわれているけど、至近距離からの攻撃としてのダメージも中々なのよ」 葛葉:「ここまでとは…」 雪美:「まだ終わってないわ ポワルン!チルタリス!」 雪美が叫ぶと、上空からは炎に包まれた何かが猛スピードで舞い降りてきていた。 それは炎に包まれたチルタリスだった。 炎に包まれたチルタリスは、クロバットとウツボットをそのスピードによる体当たりで吹っ飛ばされ、そのまま倒れこんでいた。 葛葉:「そんな…」 雪美:「今のはポワルンの火の粉を身体に纏った、チルタリスのゴッドバードよ もう、あなたは戦えないわ」 葛葉:「そんなことはな…」 雪美:「だって、もう氷漬けだもん お札で溶かそうとしても無駄よ 私の力には、能力封じや結界破壊の札でさえも、 効果はないんだからね」 冷たく笑う雪美の前には、驚いた表情のまま凍りつく、葛葉の姿があるのだった…。 竹巳:「くそっ、葛葉!」 ストール:「行かせるかよ、ゴローニャ!」 バトルの最中、ストールを無視して葛葉の元に向かおうとする竹巳だったが、ゴローニャの転がる攻撃に阻まれていた。 ストール:「お前の相手はこの俺だ 俺を倒してからここを通りな」 竹巳:「…野郎っ!」 竹巳はハッサムとオニドリルを出し、ゴローニャに向かってきた。 だが、オニドリルはどこからともなく飛んできた蔓に身体を締め付けられ、ゴローニャも転がる攻撃でハッサムと対抗している。 竹巳:「草タイプと岩タイプで飛行タイプと鋼タイプに勝てると思ってるのか?」 ストール:「お前とは格が違うからな」 竹巳:「言ったな! オニドリル、フシギバナにドリルくちばしだ! ハッサムはメタルクロー!」 オニドリルはドリルくちばしでフシギバナに突っ込んでいき、ハッサムもメタルクローをゴローニャに叩き付けようとしていた。 しかし、フシギバナもゴローニャも逃げず、逆に攻撃を与えられると、その場で姿を消してしまった。 竹巳:「身代わり!?」 ストール:「ああ、古い技マシンをナギさんがくれたからな それに、フシギバナ、ハードプラントだ!」 フシギバナは草タイプ最強の技を使い、オニドリルとハッサムを倒していた。 しかし、竹巳は別のハッサムを放ち、ストールを背後から攻撃しようとしていた。 だが、ハッサムの動きが途中で止まっていた。 いや、止められたのだ。 竹巳:「何っ!」 ハッサムは、ストールの背中から伸びた、いくつかの蔓によって身体をがんじがらめに締め付けられ、動きを封じられていた。 ストール:「俺の能力は確かに能力を奪うことだ だが、今は能力を信頼しているものから借りる方向に役立てている これはフシギバナから借りた蔓の鞭 そして、これが恩返しのパワーだ!」 ストールはハッサムを綺麗な孤を描いて投げ飛ばしていた。 それはストールの持つポケモン6匹から借りた力によるもので、ただ投げられたはずなのに、ハッサムの身体にはひびが入って いるほどだったのだった…。 竹巳:「マジかよ…ここはひとまず…」 こうなってしまっては、竹巳は逃げるしかなかった。 しかし、身体が動かない。 何故か、身体が張り付いたように動けなくなっていた。 竹巳:「くそっ、どうして…」 香玖夜:「当たり前よ」 竹巳が顔を上げると、そこには香玖夜の姿があった。 香玖夜は清香のプテラを借りて、ここに駆けつけたのだ。 ストール:「なるほどな 闇と影の能力で影を捕まえたのか」 香玖夜:「ええ 当分、あなたは動けないわ 私に影を捕らえられているから」 竹巳:「くそっ…」 香玖夜とストールの前には、苦渋に満ちた表情の竹巳が今にも走り出そうとする状態でいる姿が残されていた…。 アミカ:「悪いけど、あなたたちの相手はしていられないのよね」 久美と海斗に行く手を阻まれたアミカだったが、煙玉を使って2人の視界を奪い、ギャラドスを出して塔を上っていこうとしていた。 だが、ギャラドスは雷によって落下していた。 アミカ:「ギャラドス…、…やってくれるわね」 久美:「別に …あなたに対しては恨みを抱く人も多いわ その人の分も含めて、ここであなたを倒すわ」 アミカ:「やれるもんなら御自由に まぁ、その前に私があなたたちを倒すのでしょうけどね」 ギャラドスを打ち落としたのは、久美のエレブーだった。 久美:「あなたが持っているのは水タイプ 私の電気タイプには勝てないわ」 アミカ:「それはどうかしら?」 久美:「どういう意味?」 アミカ:「後ろを向けば分かるわよ」 その直後、海からハリーセンとサメハダーが飛び出し、久美に襲い掛かってきた。 だが、 海斗:「させるか! ジュゴン、冷凍ビームだ!」 海斗のジュゴンが、冷凍ビームで道を作り、その上を滑るようにして久美の前に立ちはだかっていた。 海斗:「ジュゴン、シグナルビームだ!」 パウワウのときは覚えないのだが、ジュゴンに進化するとこの技を覚える事が出来る。 ジュゴンは角からのシグナルビームによってサメハダーとハリーセンを振り払った。 ハリーセンは毒タイプなので平気のようだが、やはり悪タイプのサメハダーには、虫タイプのこの技は効果が抜群だったらしい。 その場で倒れていた。 アミカ:「サメハダーがやられるとはね でも、ハリーセン、毒針よ!」 久美:「させないわ、エレブー、雷パンチよ!」 ハリーセンがジュゴンと海斗に向かって毒針を放つが、それを弾くように雷パンチが打ち出された。 そして続けて電気ショックが放たれ、ハリーセンはその場に転がっていた。 アミカ:「私の水ポケモンをこうも簡単に倒しちゃうなんて…」 久美:「言ったでしょ、同じ手は食わないって」 海斗:「もう逃げられないぞ」 アミカ:「どうかしら? ドガース、スモッグよ!」 アミカは煙玉を投げ、さらにドガースのスモッグを使おうとした。 しかし2種類の煙が突如、風に吹き飛ばされてしまった。 アミカ:「そんな…」 海斗:「悪いが、これまで多くの人間が食ってきた手で逃げられるわけには行かないのさ」 海斗のそばにはアメモースがいた。 どうやら煙を吹き飛ばしたのはアメモースのようだ。 海斗:「それに、ドガースもそこに隠れているマタドガスも使わせはしない! オーダイル、吠える攻撃だ!」 オーダイルが強く吠えると、ドガースとマタドガスはアミカのボールに入っていってしまった。 海斗:「これでもう、逃げるのは無駄だな」 久美:「おとなしくしているのね」 アミカも流石にここまでやられたら手を打つことが出来ず、久美の作った結界にも反抗せずに自分から閉じ込められにいくのだった。 久美や海斗たちのようにトレーナーや四天王がネオアース団の主だったものと戦っているとき、幻島にも続々とネオアース団員が 攻撃を仕掛けていた。 しかし、それらの場合は幻島にいる能力者たちの手によって追い返され続けていた。 健人:「エビワラー、マッハパンチ!」 菜々美:「バタフリー、超音波!」 健人の闘力パワーを受けたエビワラーのマッハパンチが空気を強く振動し、強風を起こして波を揺るがし、さらに菜々美の音の力を 纏ったバタフリーの超音波がそれらと共鳴して、津波を起こしてネオアース団の乗る船を逆方向に流したり、転覆させたりしている。 律子:「チルタリスは龍の息吹、マンタインはバブル光線よ!」 鈴香:「バルーン、ハイパーボイス!」 悠也:「ボーマンダ、破壊光線だ!」 志穂とセレビィを守るために、律子や鈴香、悠也もポケモンを放ってネオアース団を遠距離攻撃で攻めていた。 そんな時、島の裏側に回る団員も現れていた。 しかし、彼らは突如、奇妙な泣き声を聞いた。 誰かが泣き叫んでいるため、人質にしようと近づいていくと、何故か見えない壁にぶつかってしまう。 その時になって、数人の団員が別の場所から行こうとしたのだが、気づけば彼らは見えない壁に囲まれてしまっていた。 団員:「くそっ、一体どうして…」 美香:「残念でした、あの泣き声はウソハチちゃんですよ〜!」 そこに美香が現れた。 足元にはウソハチとマネネの姿がある。 美香の言葉からすると、先ほどの泣き声はウソハチの嘘泣きのようで、団員達を囲んでいる見えない壁は、ウソハチの作り出した バリアや光の壁などだろう。 団員:「騙しやがったな!」 美香:「あんな手に引っかかるあなたたちが悪いんです サーナイト、彼らを眠らせなさい!」 美香のサーナイトが団員達を一気に眠らせ、更にサイコキネシスでボートに戻していく。 美香:「それにしても、海ちゃんがこの子達を残してくれて助かったわ ウソハチ、マネネ、他の場所に行くよ!」 実はこのウソハチとマネネは、海の新しいポケモンだった。 病院に入院していた時に、大きな戦いに行くという我が子を思った父親が、海に対してくれた卵から生まれたのだ。 美香:「それにしても…志穂ちゃん、大丈夫かな?」 翼:「今時間軸に幻島を出し、グラードンとカイオーガを入れたら一時的に空間を閉じる そしてレックウザの力を借りるときにもう一度出すってわけか」 涼治:「それだけじゃなく、幻島にあの2体を呼ぶのは、多くの街に影響を与えないためでもありますけどね」 ヤツデ:「この幻島もレックウザの特性『エアロック』の範囲内 グラードンの日照りとカイオーガの雨降らしの力を消せるだけでもいい感じっすよ」 美香:「でも…どこまで上手くいくかしら?」 その時、彼らの上空に大きな岩の物体が姿を現した。 美香:「あれ…晃正君?」 ルナ:「レジロックが来たのよ」 ナナ:「ようやくの御登場でね」 晃正の姿を確認する美香だが、岩の物体が分からないでいた。 すると、ルナとナナが答えてくれていた。 ナナ:「レジロックが来たってことは、もう少ししたらグラードンとカイオーガも来るわ ルナ、ここはお願いね」 ルナ:「お願いって?」 ナナ:「私もちょっと天空の塔に行ってくるわ ミューズ達も来て…っていうか、なんかあなたたちの力を借りる必要がありそうだもん」 ナナは何か分からないが、何かを感じたらしく、ミューズたち蓮華のポケモンを連れて、ケーシィのテレポートでその場を離れていった。 そんな時、岸辺で大きな爆発が起きた。 美香:「菜々美ちゃん!何があったの?」 急いで駆けつける一同。 すると、そこには普通のボートではなく、巨大な船が向かってくるのが見えた。 大砲の姿もあり、今の攻撃はそこからだろう。 菜々美:「いきなり撃ってきたの」 健人:「やり方が激しくなってきたな」 ルナ:「そうかもね 能力者の力を纏ったポケモンの攻撃には歯が立たないから、この島ごと葬ろうって気よ」 ダイゴ:「ルナ、レジロックの力を使うか?」 レジロックの馬鹿力なら、大きな船の攻撃にも耐えられるだろう。 しかし、そうするとグラードンとカイオーガを抑えるのが難しくなる。 抑えるには3体の力を同時に使わなければならないのだ。 ルナ:「それは…」 ??:「いいえ、ここは私に任せて」 向かってくる船に不安を抱きかけた一同は、その時に声を聞いた。 その声に聞き覚えのあるものは多く、志穂でさえも動揺した表情を見せている。 ??:「みんな、何動揺してるのよ 今はやらなきゃいけないことがあるでしょ?」 美香:「で、でも…」 菜々美:「まだ出て来れないんじゃ…」 ??:「実際にはまだよ」 健人:「それじゃ、どうして…」 ヤツデ:「俺が負けそうになったときのもそうだとしても…おかしいっすよ」 ??:「ひどいわね 能力は使えるのよ、実体がないだけで」 涼治:「実体がないって…」 ??:「分からないけど、今まで頑張ってきた事が報われたみたい 実体を復活させるにはまだ300年以上かかるみたいだけどね、 幽霊と同じで、物に手を触れたりすることは出来ない状態にはなるけど、その姿で復活する事は出来たの だから、幽体みたいなものかな」 声の主は笑いながら言った。 そして船が近づく中、島全体が吹雪きに包まれ始めていた。 フヨウ:「私の元に瑞希ちゃんを連れてきたのもあなただったんですね」 ??:「ええ、そうよ ヤツデ君をスペントから助けたのも私 健人君たちに会ったときはまだ精神を外に出すのが精一杯だったけど、 今まで消滅してからいた世界の偉い人が力をくれて、何とかこうなったわ 後は任せてね この島とみんなを守るくらい、私には可能だから」 光と風、雪が徐々に集まり、人の姿を作り出していく。 その姿は、健人や菜々美が幻影の塔で出会った姿と全く同じ姿だった。 ??:「長く険しい季節が終わり、ようやく春を迎えるためにも、平和を迎えるためにも、この戦いは早く終わらせなければならない 今ここに、雪女の氷雨、肉体はないけど華麗に復活するわ!」 そして、吹雪が止むと同時に、船は氷の壁に閉じ込められ、能力者たちの前には透明な氷雨の姿があるのだった…。