マユミ:「あんた達なんかに付き合ってられないわ! ウィンディ、神速で塔を上るのよ!」 モコナとミサトのトゲのある言葉によって切れたマユミは、ウィンディを出してその場を離れようとしていた。 しかし、ウィンディは神速を出す直前に水の波動を足元に放たれて落下していた。 モコナ:「逃がしたりなんかしないよ!」 放ったのはモコナのシードラだった。 アクアカップが終わったとき、モコナはナナに卵を貰った。 その時に生まれたポケモンの一人がこのシードラに進化する前のタッツーだったのだ。 ミサト:「そうそう、ここはおとなしくしたらどうですか?」 そこにミサトのニョロトノとヤドキングがやってきて、催眠術と欠伸によってウィンディを眠らせていた。 マユミ:「くっ、ウィンディが眠ってしまうなんて…! よくもやってくれたわね」 ミサト:「まだやる気ですか?」 モコナ:「私たちは能力者じゃないけど、その辺の普通のトレーナーじゃないんだから!」 ミサト:「軽い気持ちだと怪我しますよ♪」 マユミ:「この小娘が…!! シザリガー!ナッシー!ゴルダック!行きなさい!」 ウィンディを必死で起こそうとしながらも、マユミは3体のポケモンを2人に放っていた。 モコナ:「ミサト行くよ!」 ミサト:「うん!」 2人はそれぞれのポケモンと共に動き出した。 モコナ:「シードラ、竜巻よ!」 ミサト:「ニョロトノはゴルダックに体当たりして歌い、ヤドキングは残りの2体に水の波動よ!」 シードラが竜巻を起こしてマユミごとウィンディを吹き飛ばし、ニョロトノはゴルダックに掴みかかり、ナッシーとシザリガーは ヤドキングに攻撃を放たれていた。 マユミ:「そんな攻撃で勝つつもり? ゴルダック、破壊光線よ!」 マユミの叫びを聞いて、ニョロトノを引き剥がしたゴルダックが立ち上がった。 第3章 22.残党の大掃除〜地上の戦い〜 しかし、立ち上がったはずのゴルダックはその場に倒れこみ、同時にニョロトノも倒れていた。 吹き飛ばされたウィンディも、塔に激突してそのまま気絶している。 マユミ:「ゴルダック!?」 ミサト:「残念でした ニョロトノの滅びの歌を聴いて、ゴルダックはもう戦えなくなったのよ」 モコナ:「ウィンディも戦えないしね」 マユミ:「よくもーっ!! ナッシーは卵爆弾、シザリガーは挟む攻撃よ!」 一気に2体倒されたためか、小娘に翻弄されたのが嫌なのか、マユミはヤドキングを集中的に攻撃し、倒してしまっていた。 だが、ヤドキングも倒れる直前に冷凍ビームを放ち、水で濡れていたナッシーを倒していたが。 ミサトはヤドキングに駆け寄った。 ミサト:「ヤドキング、よくやってくれたわ」 だが、気づけばシザリガーはミサトのすぐ前まで来ていた。 マユミ:「ふんっ、それがどうしたっていうの? シザリガー、その小娘も挟んでおやり!」 ミサトに向かってくる巨大な挟み。 モコナが駆け寄ろうとするが、キュウコンとラブカスが立ちふさがり、駆け寄ることができない。 しかし、シザリガーがミサトを挟む直前、何か鈍器のような音がして、シザリガーが倒れていた。 マユミ:「何っ!」 さらにミサトのそばから水鉄砲が吹き出し、キュウコンは攻撃を受けて倒れこむ。 モコナ:「やったぁ!」 マユミ:「そこの小娘、一体何をしたの!」 モコナ:「簡単よ 水溜りを作ってシャワーズを忍ばせていただけ シャワーズ、ラブカスに電光石火よ!」 水溜りから飛び出したシャワーズが、電光石火でラブカスを薙ぎ払う。 どうやらシザリガーはアイアンテールを受けて倒れたらしい。 これでマユミのポケモンは一気に一掃された。 マユミ:「くっ…」 モコナ:「ここまでよ」 ミサト:「もう逃げ場はないし、降参したら?」 マユミ:「誰がするか! ウィンディ、神速だ!」 形勢不利になったマユミは、いつの間にか『元気の欠片』を使っていたらしい。 復活したウィンディに乗って逃げようとしていた。 そしてこの島から別の小島に飛び移ろうとした時だった。 海面から噴出した水がウィンディごとマユミを吹き上げ、モコナとミサトの前に戻していたのだ。 ミサト:「逃げても無駄なのよ ホエルオーがこの近くで待機してくれてるから」 モコナ:「まっ、このオバサンは知らないと思うけどね」 そう話す2人だが、すでに気を失っているようで、マユミには全く聞こえていないのだった。 エイジ:「いちいち意味の分からない事を言う奴だな だが、お前は俺に負ける気がする」 神楽:「そんなことはない! 行ってくれ、ハブネーク!」 神楽はハブネークを出した。 しかし、エイジが出したのはよりにもよって、エスパータイプのネンドールとメタグロスだった。 〜神楽の心の中〜 神楽:「どうしよう…ハブネークが負ける…」 纏:「神楽、少しの間寝てろ 俺が行く」 神楽:「けど…兄さん…」 纏:「眠いんだろ? 少し休んでいろよ 俺がもう少し頑張ってやるからさ」 神楽:「…………うん、それじゃお休み…グ〜…」 纏:「全く、世話のかかる奴だ」 〜心の中の会話 終了〜 神楽:「ハブネーク、エスパータイプの技を受けたらマズイ! 穴を掘って逃げるんだ!」 その直後、サイケ光線とサイコキネシスが放たれたが、穴を掘ることでハブネークは助かっていた。 エイジ:「その程度か? ネンドール、地震だ!」 神楽:「させるか! ハブネーク、穴から飛び出して蛇睨みだ!」 ネンドールは地震によって穴を掘った状態のハブネークに大ダメージを与えようとした。 しかし、地中から飛び出したハブネークが蛇睨みで麻痺状態にしたために、地震は不発に終わっていた。 エイジ:「貴様…! メタグロス、ハブネークにコメットパンチだ!」 神楽:「当たらせない! ハブネークは戻れ! そしてアサナン、行って来い!」 コメットパンチが当る前にハブネークを戻す神楽。 そしてアサナンを出していた。 神楽:「心の目から爆裂パンチ!」 エイジ:「そんな攻撃が通用するか! メタグロス、コメットパンチだ!」 アサナンに対抗してメタグロスも攻撃を放つ。 しかし、メタグロスの攻撃は何故か不発に終わり、アサナンの爆裂パンチがメタグロスを殴り倒していた。 エイジ:「そんな…」 神楽:「残念だが、アサナンの首に下がっているものに見覚えはないのか?」 エイジ:「なっ、それは…」 神楽:「そうだ これは光の粉 相手のポケモンの命中力を下げる力のあるアイテムさ」 エイジ:「そういうことだったか …だが、お前のデータは十分に取れた 次からは負けない! エレブー、サイドン、出て来い!」 エイジは神楽に向かってエレブーとサイドンを放ってきていた。 そして一瞬のうちに、尻尾を振る攻撃でアサナンを倒してしまうサイドン。 神楽:「何っ!」 エイジ:「ふっ、サイドンは俺が一番手潮にかけて育てただけあり、素早さは普通の倍以上もあるのさ お前のポケモンの動きなんて、 ハエが止まっているようにしか見えないのさ」 神楽:「くそっ…」 エイジ:「サイドン、そこのガキにも尻尾を振ってやれ!」 サイドンの尻尾が神楽に向かってきた。 避けようにもスピードが速く、神楽は避けきれないが………何かがそれをがっしりと掴んでいた。 エイジ:「何だと!」 そこにはヘラクロスの姿があり、スピアーとアメタマの姿もある。 ナナ:「全く、何が普通よりも速いの? スピーダーを使っただけじゃないの」 エイジ:「お前か、マスタージムリーダーのガキが舐めた真似してくれたな」 ナナ:「別に 卑怯な事をする人が許せないのよ 纏君、後は私に任せて」 神楽:「え、俺の名前…」 ナナ:「人格が変わってることくらい見抜いてるわ 私を翻弄したり欺いたりできるとでも思ってるの?」 ナナの目が一瞬細くなり、神楽を打ち抜いていた。 流石に表情が青くなる神楽はその場を少し離れた。 ナナ:「分かったならいいわね それじゃ、そこの若いって自称してるオジサン、私と勝負よ!」 ナナのヘラクロスが勝負といった直後にサイドンを投げ飛ばし、サイドンをノックアウトさせていた。 エイジ:「くそっ、エレブー、電光石火から電気ショックだ!」 オジサンと言われた事がムカついたのか、エレブーに指示を出すが、電光石火はスピアーとアメタマに軽くかわされていた。 更に電気ショックはアメタマのバブル光線で相殺されている。 ナナ:「スピアー、ダブルニードルよ!」 電光石火に勝るスピードで飛ぶスピアーのダブルニードルがエレブーに刺さり、エレブーはここで倒れた。 すると、地面からは今度はハガネールが飛び出してくる。 どうやらまだやる気のようだ。 しかし、そのハガネールもヘラクロスに投げ飛ばされていた。 ナナ:「成長途中のハガネールね 艶も悪いし、身体のあちこちに傷がついてるし、こんな状態で勝てるとでも思ったわけ?」 エイジ:「くそっ…覚えてろ!」 ナナ:「いつ逃すって言った? アメタマ、バブル光線よ! スピアーは糸を吐く攻撃!」 エイジ:「なっ…うわっ!」 ナナ:「全く、いい大人が何してるんだか…」 ハガネールも倒された事でエイジは逃げようとしていたが、スピアーの糸を吐く攻撃で足を取られ、バブル光線を受けて気絶したのだった。 それを見届けると、すぐにナナは走り出した。 今時分がいる場所とは全く別の方向で、終わる事を知らない爆破音が聞こえていたからだ。 神楽:「ナナさん、コイツは…」 ナナ:「あなたに任せるわ! 戦いを終えたトレーナーと一緒に倒れた団員を一まとまりにしておくのよ!」 神楽は走るナナに尋ね、ナナはそう言って走り去っていった。 爆破音が聞こえる場所には、ボムとワタル、ゲンジの姿があった。 しかし、ワタルとゲンジのマントは既にボロボロで、服のあちこちを泥で汚し、かなり苦戦しているようだった。 ボム:「ポケモンを一時的に締まったのが運の月 そろそろ終わりにしてやるよ」 ワタル:「くっ…」 ゲンジ:「隙をつかれたな…」 戦いが始まり、ボムが爆弾使いと知っている2人は別の場所に彼女を誘導したはずだった。 しかし、結果は2人が彼女に誘導されていたのだ。 そしてカイリュウとボーマンダを一時的にボールに締まった直後、2人は多数のイシツブテ、ビリリダマの自爆攻撃を受け、 動くに動けない状態になっていたのだ。 ボム:「まだ戦う気があるようだが、これで終わりだ ゴローニャ、大爆発! そしてイシツブテ、ビリリダマ、お前たちもだ!」 その場のポケモンたちが、一斉に強い光を放ち始めた。 しかし、突如その光は消え、ポケモンたちは苦しい表情でぷすぷすと不完全燃焼の煙を立ち昇らせながら倒れていった。 ボム:「これは一体…」 ゲンジ:「どうやら救援があったようだ」 ワタル:「そうですね」 ボム:「何っ…、お、お前は!」 ボムは、ワタルとゲンジの前に誰がいるのかに気づいた。 そこには、ナナとニョロゾの姿があったのだ。 ニョロゾの特性「湿り気」によって爆発を封じたようだ。 ナナ:「誰かが絶対にボムに苦戦してると思ったら、まさかあなたたちだったとはね」 ワタル:「ナナ、助かったよ」 ナナ:「助けたばかりでなんだけど、後はお願いね 私はここでニョロゾと待ってるから」 ゲンジ:「どうやら、一勝負してきたようだな」 ナナ:「うん、楽勝だったけど疲れちゃったし、それに、後輩にいいところ見せなくてどうするの?」 ワタル:「相変わらず、厳しい奴だな」 そう笑いながら、ワタルとゲンジがボムに再び対峙する。 ボム:「ポケモンマスターはそこで見ているのか そうかそうか、だが、今すぐそこの2人を倒し、お前も倒してやるからな」 ナナ:「無理ね、きっと あなたの目の前にいるドラゴン使いは只者じゃないって、すぐに分かるわ」 ボム:「戯言を…」 ボムは指を鳴らした。 すると、どこからともなくメタグロス、マルマイン、オニゴーリ、ゲンガー、ハガネール、カビゴン、そしてパルシェンが姿を現した。 ワタル:「カイリュウ、バンギラス、プテラ、行ってくれ!」 ゲンジ:「ボーマンダ、コモルー、チルタリス、お前達に任せるぞ」 対するワタルたちもポケモンを出し、ワタルはプテラに、ゲンジはボーマンダに跨っていた。 そしてポケモンたちと共に爆発を封じられたポケモンたちに向かっていく。 カイリュウはメタグロスに、バンギラスはオニゴーリに、コモルーはマルマイン、チルタリスはカビゴンに向かい、ワタルはプテラと共に ゲンガーに、ゲンジはボーマンダと共にハガネールに向かっていった。 そして、一匹残ったパルシェンはナナに向かってくるが、ナナは自分にも来るだろうと気づいていたので、慌てずにヘラクロスを放っていた。 カイリュウがドラゴンクローでメタグロスをひっくり返すが、メタグロスはサイコキネシスで浮上し、カイリュウに突進を仕掛ける。 しかし、突進を怪力で止めたカイリュウは、地球投げでメタグロスを地に沈め、逆鱗のパワーでメタグロスを倒した。 オニゴーリは吹雪を放っていくが、岩タイプのバンギラスには効果が薄く、逆に噛み砕く攻撃を受けて身体にひびを入れられ、 破壊光線で一掃されている。 ナナ:「ヘラクロス、パルシェンを角で突くのよ!」 パルシェンは殻にこもって棘キャノンを放っていたが、すべてヘラクロスの乱れ突きで弾かれていた。 そして角で突かれ、殻にひびが入るパルシェン。 ナナ:「前よりも脆いわね ヘラクロス、メガホーンよ!」 ナナは角で突く攻撃でパルシェンの強度を確かめ、メガホーンで殻を砕いてパルシェンを倒していた。 同時に向かってくるイシツブテとビリリダマは、バルビーとイルミーが水の波動とシグナルビームで一掃していった。 コモルーはマルマインの電撃波やスピードスターを、殻にこもることで全て防いでいた。 そして近づいた所を龍の息吹で麻痺状態にし、ドラゴンクローで倒していた。 チルタリスはカビゴンの頭突きやメガトンパンチのダメージをリフレクタで半減し、破壊光線で一掃している。 一度は眠ったカビゴンも、チルタリスの滅びの歌を受けて最後には倒れていた。 ワタル:「プテラ、超音波でゲンガーを炙り出せ!」 ゲンガーは姿を消し、突然背後などに姿を現してナイトヘッドを打ち出していた。 ワタルはプテラを上手く誘導し、かわしながらゲンガーを攻撃していた。 そして、空中に放出された超音波がうまくゲンガーを捕らえた。 ゲンガーは混乱しているようだ。 ワタル:「今だ、高速移動で背後に回り、思いっきり噛み付いてやれ!」 プテラは混乱しているゲンガーの背後に回りこみ、ゲンガーを噛み付いた。 あまりの痛さで目が覚めるが既に遅く、プテラは次の攻撃を放とうとしていた。 ワタル:「トドメの大文字だ!」 ゲンガーは紅蓮の強力な炎により、海に落下していった。 同時に火炎放射はボーマンダからも出ていた。 ハガネールは龍の息吹を使ったが、ゲンジの操るボーマンダには当る事がなく、逆にボーマンダは火炎放射でハガネールを倒したのだ。 しかし、全てのポケモンが倒されてもボムは動じていなかった。 それどころか、ケーシィのテレポートで姿を消してしまったのだ。 ナナ:「逃げられた…」 ワタル:「アイツはポケモンGメンでも手配中だが、いつか必ず捕まえてやる」 ゲンジ:「ナナ、レックウザの方はどうなっているんだ?」 ナナ:「まだ連絡がないからまだみたい でも、きっと大丈夫よ 私の期待できる人に任せたから」 ヒュンレイ:「俺の大事なメカをよくも壊しやがったな! どれだけ金がかかったと思ってるんだ!」 ルリ:「それなら作らなきゃいいじゃん」 エイク:「確かにそうだな」 ヒュンレイ:「物の価値が分からない奴らめが…!!」 メカを壊されたことで怒りに燃えるヒュンレイはポケモンを放っていた。 飛び出してきたのはチャーレムとアーボだ。 ルリ:「アメスケ、アーボに泡攻撃よ!」 エイク:「カメカメ、チャーレムにメガトンパンチだ!」 ルリはアメタマを、エイクはカメックスを出し、それぞれの相手に攻撃を仕掛ける。 だがその直後、ルリとエイクの背後からはドードリオが飛び出した。 エイク:「何っ!」 ヒュンレイ:「ドードリオ、そこのガキを乱れ突きで突っついてやれ!」 攻撃はエイクに迫り、背後からの奇襲をエイクはかわせずにいた。 だが、ドードリオの攻撃は何かに守られた。 ポケモンの守る攻撃によるもので、その場にいたのはハスブレロだった。 ルリ:「エイク、大丈夫?」 エイク:「サンキュー、ルリ」 どうやらルリのポケモンらしい。 だが、ヒュンレイにとっては相手は自分のポケモンが有利なタイプ。 何も考えずに攻撃を仕掛けに来ていた。 ヒュンレイ:「チャーレムは雷パンチ、アーボは溶解液、ドードリオは突付く攻撃だ!」 エイク:「カメカメ、高速スピンで跳ね除けろ!」 ルリ:「アメスケは水の波動、ハススンは葉っぱカッターで攻撃を足止めして!」 エイクとルリには相性の悪い攻撃が飛ぶ。 しかし、カメックスの高速スピンはチャーレムのパンチを回転によって跳ね除け、溶解液も水の波動によって貫かれていく。 そして突付く攻撃を行おうとするドードリオも葉っぱカッターによって足と足元を攻撃され、その場で跳ね続けるだけだった。 ヒュンレイ:「何っ!? どうしてなんだ!?」 ルリ:「苦手な攻撃にも対抗できなきゃ、ポケモンバトルを有利に進められないでしょ?」 エイク:「それが分からなきゃ、お前が勝つことは出来ないのさ! ルリ、行くぞ!」 ルリ:「ええ!」 エイク&ルリ:「トリプル水鉄砲!」 エイクとルリの声と共に、カメカメ、アメスケ、ハススンが一斉に水鉄砲を放ち、ヒュンレイはポケモンと共に吹っ飛ばされていったのだった。 バイツ:「ヤミカラス、ヤミラミ、そこの2人に強さというものを教えてやるのだ!」 アリサ:「レアちゃん、ヤミカラスに嫌な音よ!」 アヤネ:「ペリッパー、ヤミラミを吹き飛ばして!」 ヤミカラスとヤミラミを放つバイツに、アリサはレアコイルを、アヤネはペリッパーを出して反撃する。 しかし、レアコイルは嫌な音が出せずにいた。 アリサ:「レアちゃん!?」 アヤネ:「アリサちゃん、無理だよ レアコイルが挑発されてるもん」 アリサ:「そんな…」 どうやらヤミカラスの挑発を受けたらしく、レアコイルは攻撃しかできないようだ。 さらにヤミラミも、ペリッパーの吹き飛ばしをかわしていた。 アリサ:「それなら電気ショックよ!」 アヤネ:「ペリッパー、水鉄砲!」 ヤミカラスには電気技で対抗しようと電気ショックを放つレアコイル。 ペリッパーの水鉄砲も加わり、水と電気の攻撃が2体に向かう。 ヤミラミは避けていたが、ヤミカラスには攻撃が掠め、きつい表情を出していた。 アリサ:「よぉし、レアちゃん、もう一回電気ショックよ!」 バイツ:「そうはいかないな ヤミカラスはいちゃもん、ヤミラミはシャドーボールだ!」 電気ショックを出そうとするレアコイルの電気が出なくなった。 いちゃもんによって、同じ技を続けて出せられなくなったのだ。 同時にペリッパーにはシャドーボールが連続で放たれている。 アリサ:「レアちゃん…」 アヤネ:「ペリッパー…」 バイツ:「よく見たか これが強さというものだ ヤミカラス、凍える風でトドメだ!」 アリサとアヤネに向かって、氷を纏う様な風が放たれた。 それは波が岸にぶつかるときに出る潮と共に混ざり、妙な霧のようなものを作り、2人の姿をも隠していた。 バイツ:「くっ、ヤミカラス、この霧を吹き飛ばせ!」 2人がどうなったかを確かめるために、ヤミカラスが風を起こした。 その直後、ヤミカラスとヤミラミに向かって強い光が放出されていた。 バイツ:「これは…っ!?」 まぶしくて目をくらますバイツ。 その直後、倒したと思っていたアヤネとアリサの声が聞こえてきた。 アリサ:「レアちゃん、10万ボルトよ!」 アヤネ:「ペリッパー、ハイドロポンプ!」 バイツがハッとした時には遅かった。 ヤミカラスとヤミラミは攻撃によって倒され、そこにはレアコイルとペリッパーに、モココを加えた状態で立っている2人の姿があった。 アリサ:「さっきの霧は、アヤネちゃんのペリッパーの白い霧よ」 アヤネ:「場所も上手く使わないとね」 バイツ:「やりやがったな…、ヘルガー、火炎放射だ!」 倒された事で怒りを覚えたバイツはヘルガーを放つが、ヘルガーの攻撃はペリッパーによって守られていた。 アヤネ:「ペリッパーの守る攻撃にはどんな攻撃も効かないよ」 アリサ:「それじゃ、モコちゃん、電磁砲よ!」 モココの身体に電気のようなものが集まっていき、そして放出された電磁砲は、ヘルガーを倒し、そのままヘルガーを推し進めて バイツに突っ込ませていた。 バイツ:「そ、そんなバカなぁ…!?」 バイツは電磁砲によって倒れ、彼の銀髪は電磁砲によってショートし、焦げ焦げで銀色の面影は残されていないのだった…。 ベイル:「むっ…、バイツがどこかでやられてしまったか だが俺はやられない ストライク、ゴース、行け!」 輝治のボールを2つ残して破壊したベイルは、ストライクと共にゴースも放つ。 しかし、ゴースの姿はなく、輝治は気になったものの、ストライクを攻撃していた。 輝治:「チルット、乱れ突きだ!」 輝治のチルットの攻撃でストライクはすぐに倒れたが、その直後に背後で物音がした。 ハッとして振り向く輝治の前には、いつの間にかゴースの姿が。 ベイル:「ゴース、舌で舐めろ!」 輝治:「ぐっ…」 輝治は避けきれず、ゴースに顔を舐められていた。 それによって輝治の視界が閉ざされ、目が麻痺して見えなくなっていた。 輝治:「チルット、歌え!」 輝治は感覚を頼りに指示を出し、ゴースを眠らせ、突付く攻撃で倒したが、その間にベイルは更に2体、ポケモンを出していた。 ベイル:「視界が封じられた状態で、この俺に勝てるのかな?」 輝治:「俺はどんな逆境にも負けないと決意したんだ ヨーギラス、お前も行ってくれ!」 あざ笑うかのようにベイルの声が聞こえるが、輝治は音と感覚を頼りにバトルを続けることにした。 輝治:「ヨーギラス、嫌な音だ! チルットはポケモンが表情をしかめた時に歌ってやれ!」 すると頭に響く声と共に歌う声が聞こえ、何かが倒れる音がした。 ベイルの様子からポケモンが眠ってしまったようだ。 だが、眠ったのは1体だけらしい。 ベイル:「くそっ、吹雪で奴を凍らせろ!」 輝治:「吹雪ってことはデリバードだな チルット、風起こしで吹雪を吹き飛ばすんだ! ヨーギラス、同時にもう一度嫌な音だ!」 多分、渚以外は輝治のこれまでの履歴を忘れ、スペース団に操られていた男としてしか覚えていないかもしれない。 だが、輝治にはある履歴があった。 渚にとっては輝治は3回、死を経験しているということと、輝治がポケモンリーグで優勝した履歴を持つということだった。 死んだ事は兎も角、リーグ優勝の経験があることが、今の状態を何とか持ち堪えさせていたのだ。 嫌な音によって風の止む音がする。 チルットの声が聞こえることから、デリバードが吹雪を止めたのだろう。 そう感じた輝治はヨーギラスに指示を出した。 輝治:「ヨーギラス、目覚めるパワーだ!」 それと共に何かが発射された音と、デリバードと思われるポケモンが倒れる音がした。 ベイル:「くそっ、目を封じたというのに… だが、お前は気づいていないな」 輝治:「なっ……ぐはっ…!」 輝治は突如、背後からの攻撃を受けた。 背中に対する硬くそして少し丸みを帯びたような形の物体…。 輝治:「ハッサムが目を覚ましていたか…」 ベイル:「御名答 更に言えば、お前のポケモンはゴーストの催眠術で眠っているぞ もうお前は戦えない ハッサム、その男に メタルクローだ!」 輝治は衝撃を覚悟していた。 しかし、そこに何か気持ちのいい、すがすがしい気持ちになる音を耳にした。 すると、徐々に視界が元に戻り、目が見えるようになっていた。 さらに、チルットとヨーギラスも起きていて、自分の様子を見て喜んでいる。 ベイル:「くそっ…こんなはずじゃ…」 輝治がベイルの方を見れば、ハッサムと共に何かの植物によって巻き付かれて動きを封じられていた。 そしてゴーストはその場に倒れている。目を回していて、もう戦えないようだ。 ??:「大丈夫か?」 そして、輝治の前に現れた青年はどこかで見覚えがあった。 輝治:「あなたは確か、ナナシマで…」 ??:「あぁ、恋人やその仲間も頑張っているからな 俺も応援に駆けつけたのさ ただ、ここに来るのに時間はかかったけどな ミルタンク、タマタマ、それくらいでいいよ」 青年がタマタマにそう告げると、ハッサムとベイルを縛り付けている植物が徐々に成長を止め、種に戻っていった。 どうやらタマタマの宿木の種のようだ。 とすれば、先ほど聞こえた音は、ミルタンクの癒しの鈴だろう。 輝治:「どうもありがとうございます でも、ここからは俺がやります」 ??:「分かった …俺は秋一、よろしくな」 輝治:「よろしく …ベイル、今度はさっきみたいに行かないぞ!」 ベイル:「ふんっ、勝手に言ってな ハッサム、メタルクローだ!」 輝治:「ヨーギラス、硬くなって受け止めろ!」 本来なら岩タイプのヨーギラスに鋼タイプのメタルクローは不利がある。 だが、硬くなったヨーギラスは同時に進化を果たし、サナギラスになって攻撃を防いでいた。 進化したことで防御力も上がったのだ。 ベイル:「何っ!?」 輝治:「チルット、トドメの翼で打つ攻撃だ!」 ハッサムが戸惑いを見せているうちにチルットの翼で打つ攻撃も決まり、ハッサムは鋼タイプではありながら、飛行タイプと岩タイプに 敗れたのだった。 そしてチルットは、チルタリスに進化していた。 ベイル:「ここまで無様にやられるとは…」 輝治:「まだやる気か」 ベイル:「いや、いつか再びお前達を倒す! ケーシィ、テレポートだ!」 ベイルはケーシィで逃げようとした。 しかし、ケーシィはテレポートのポーズになるが、逃げるに逃げられないでいる。 秋一:「悪いけど、それは無理だな ウツボット、蔓の鞭だ」 秋一のウツボットはベイルを縛り上げて気絶させていた。 その横にはソーナンスがいたため、輝治はケーシィがテレポートを使えなかった理由を知った。 輝治:「そうか、特性の影踏み…」 秋一:「そういうことさ …こいつを連れて早く戻ろうか 仲間達が待ってるはずさ」 輝治:「はい!」 こうして、天空の塔のある島にいたネオアース団員たちは倒されていったのだった。 後はレックウザを起こし、塔の中にいる幹部達を倒して、この現象を収めるために姿を貸してもらうのみ。 だが、外での戦い以上に、塔の中では強力な幹部達が姿を現していたのだった…。