ホウエンの事件が終わってからも、蓮華たちはあの扉を使ってポケモン世界を行き来していた。 時にはスズカやユウキ、ミューズたちが訪れる事もあり、それによる感動の再会が起きる事もしばしば。 いつまでも楽しい時間が続いていくと思われていた。 しかし、成長するにつれて、その時間は徐々に減っていくのだった。 それは、徐々に個人的にやる事が増えていったことにもよる。 律子や海のように、セレビィによって、式神によってポケモン世界に行く事が出来た。 それでも、ポケモン世界に行くことは徐々に減っていたことには変わりなかった。 それに、ポケモン世界と現実世界の時間は全く同じように動いていた。 その理由は、幻島を一定の時間軸に永く存在させたことが関係した。 それが原因で、時間と空間に強い影響を与えてしまったのだろう。 もう、一日で2日分楽しむことなどは出来ない。 けれど、誰もそれを残念に思う者はいなかった。 何故なら、誰もが幸せだったからだ。 それに、行きたいと思ったときに行けることには変わりなかったからだ。 前と同じように。 そして、あの事件から6年の歳月が流れようとしていた…。 アビリティーガールズ最終回 終わりは始まり 始まりは終わり 涼治:「な、なぁ、大丈夫だよな?」 蓮華:「う、うん…」 哲也:「蓮華、何かやることはあるか?」 海:「それなら、手を握っててくださいね」 なずな:「そうすれば、蓮華ちゃんも落ち着けるはずですよ」 涼治:「あ、ああ…」 哲也:「涼治、焦ってきつく握るなよ」 涼治:「わ、分かってますよ 先輩こそ…」 蓮華:「だから2人とも握り過ぎだって……涼治も哲兄も落ち着いてよ」 海&なずな:「(……………親馬鹿と兄馬鹿だ……)」 ここは病院の一室。 数年前に合併を果たし、海の父親が院長を務め、涼治やなずなたちの親が勤める病院だ。 その一室に彼ら、彼女らの姿があった。 蓮華の右手を涼治が、左手を哲也が強く握り、動揺しながら、緊張しながらも蓮華に話しかけていた。 そして、近くには医師や看護士と共になずなと海の姿がある。 それも、思いっきり呆れた表情で…。 そして、その部屋の外には久美や来美たちの姿があった。 病室(?)の中とは違い、こちらは逆に落ち着きを払っていた。 いや、中の声が嫌でも聞こえるために、そのおかげで落ち着けているといった方がいいだろう。 久美:「全く、落ち着きがないって言うか…あれじゃ蓮華ちゃんがかわいそうだよ…」 来美:「そうそう、秋一も雷司君もあんな風じゃなかったし、どうしてあの2人って、蓮華ちゃんが絡むとああなのかしら?」 希:「結婚式の時も…二次会で哲也、物凄くお酒を飲ませてたもんね…」 神楽:「…そして涼治が気絶した」 秀治:「だよな その後で蓮華がマジ切れして…」 秀治が笑いを抑えきれなくなるが、希の視線を受けて笑うのを止めていた。 久美:「…ったく、子供を生もうとしてる方の蓮華が落ち着いてて、そうじゃない馬鹿兄と馬鹿親が緊張してちゃ、逆じゃない?」 来美:「もう少し落ち着いていてほしいわよね 秋一の爪の垢でも飲ませたいわよ」 久美:「その時は雷司の汗も一緒に入れない?」 来美:「いいわね」 秀治:「おいおい…、…だけどあれだとな…」 神楽:「うん…、…これで涼治は親馬鹿になる…気がする」 久美:「それは…」 来美:「ええ…」 秀治:「確かになるな、あれだと」 希:「…あんたも十分親馬鹿だけどね」 実は、すでに神楽を除く全員が結婚しているのだ。 久美は部活の先輩と、来美は秋一と、哲也は玲奈、蓮華は涼治とである。 そして秀治はすでに2児の父親という状況で、その様子をよく知る妻である希は呆れて言葉を発したのだ。 家では2人の女の子に『**でちゅか〜?』と言ってるほどのために。 ちなみに、久美と来美も子供は作っていた。 今日は最愛の夫に任せてきたらしい。 秀治と希の子供は託児所に預けられていた。 希:「そういえば、あんたは結婚しないわけ?」 久美:「そうよね、神楽、纏はもういないし、あんたでも一人暮らしは出来てるんでしょ?」 神楽:「できるけど…」 来美:「できるけど?」 秀治:「っちゅうか、確かコイツ、恋人い……熱っ!」 秀治が横から口を出した直後、神楽の顔は真っ赤に染まり、秀治がお尻を抑えて飛び上がった。 久美:「え、いるの?」 希:「誰?」 来美:「へぇ〜、できたのね」 秀治:「い、いや、確か4年位前から付き合ってるよな あの小麦って子と」 この直後、神楽は秀治に火を放ち、病室から出てきた海にバケツで水をかぶる2人。 海:「火気厳禁って、そこに書いてありませんか?」 神楽:「あ、ゴメン…」 海:「もう、面倒かけすぎないでくださいね 中の二人だけで十分なので」 なずな:「次やったら、手加減しませんからね」 更に顔をのぞかせるなずな。 そして海となずなはさっさと部屋の中に戻っていった。 後にはびっしょり濡れた秀治と、寸ででかわした濡れていない神楽、そして笑っている3人がいた。 希:「全く、何やってんだか」 秀治:「…しょうがねえだろ、今のは神楽が…」 神楽:「秀治が約束破ったから…」 久美:「はいはい、それでやめましょ」 来美:「神楽、手加減しながら秀治を乾かすのよ」 神楽:「……ちっ」 来美:「か・わ・か・す・の・よ!!」 神楽:「…………はい……」 久美:「それにしても、それで小麦が今日来ないって言ったわけね」 来美:「ここに来たらバレバレだもんね」 来美に根負けした神楽は秀治を乾かしていた。 時々秀治が声を上げてはいたが…。 そこに綾香と玲奈がやってきた。 玲奈:「どう? 生まれた?」 綾香:「蓮華ちゃんは……まだみたいですね」 久美:「えぇ、まだまだよ 哲也と涼治君が緊張してて、秀治と神楽がふざけてるだけ」 綾香:「あらら…秀治さん、バラしちゃったんですね」 この様子だと、綾香も知っている口だったらしい。 それは置いといて、玲奈は部屋の方を見つめ、ポツリと発した。 玲奈:「あの分じゃ、中で手伝ってる海ちゃんとなずなちゃんの苦労、計り知れないわね」 すでに海となずなが中にいる理由に気づいたものもいたとは思う。 だが、一応説明しておこう。 海となずなは看護大の研修として中にいるのだ。 噂によると、海が頼み込んだらしいが…。 綾香:「ところで、美香や香玖夜は? 菜々美は来れないって言ってたけど…」 希:「美香ちゃんは翼君と一緒に海外に行ったままよ 香玖夜は一志の遠征に付き添ってるから来ない筈だし」 綾香:「ふぅ〜ん、見習い社長婦人とサッカー選手の奥様は大変ね」 久美:「それを言うなら、ヤツデ君は一緒じゃないの?」 綾香:「晃正君たちと遠征中なんですよ 気が散るとか行って私と浅香ちゃんはついてくの、断られちゃいましてね…」 玲奈:「ただ、それでも浅香ちゃんはこっそり行っちゃったみたいよ」 綾香:「だから、私たちだけなんですよ 予定では浅香ちゃんも一緒だったのに…」 美香は翼と婚約し、親の会社の1つを2人で経営している最中。 菜々美は歌手として女優として活躍していて、休みが取れないと綾香や蓮華に電話で愚痴っていた。 その相手の健人もひょんなことから菜々美に芸能界に連れ込まれて以来、俳優業を続けていて、そのせいでここにはいない。 一志はサッカー選手に、晃正はバスケ、ヤツデは水泳の選手になり、それぞれ遠征中らしい。 彼らの結婚相手は会話で分かるとおり、美香が翼、香玖夜が一志、浅香が晃正、綾香がヤツデである。 そして玲奈の相手は哲也だった。 律子:「皆さん、おそろいですね あ、でもまだ来てない人もいるみたいだけど…」 そこに律子がやってきた。 ただ、他と違うのは律子が来ているのも子供を生んだ母親が来ているものと変わりないもので、横には流宇斗(ソルル)が 付き添っていた。少々落ち着きがないのは気になったが…。 秀治:「なんだ、お前らも来たのか」 律子:「当たり前よ、蓮華ちゃんの出産だもん その様子だと、涼治君と哲也先輩が、流宇斗の二の舞になってるみたいね」 流宇斗:「よ、よせよ…」 久美:「うん、二の舞になってるわよ 流宇斗も中に入ったら確実に海ちゃんたちが切れるわね」 その直後、突然部屋の中から看板が投げられた。 そこには『これ以上、厄介な人たちを増やさないでください』と書かれていた。 外の会話は十分に聞こえていたらしい。 そして、流宇斗も実は、律子が生むとき(それも一週間前)に同じような状態だった。 ただ、あの時は部屋中を歩き回るというものだったが。 綾香:「私の時どうなるんだろう…ヤツデ、結構緊張に弱いし…」 玲奈:「…確かに心配よね、アレじゃ」 綾香と玲奈は哲也たちの様子に自分の将来を不安げに思った。 希:「だけどね…みんなが秀治みたいに、出産の時に遊びに行くのも嫌だけどね」 秀治は希が最初の時、遊びに出かけて朝帰りをしていたのだ。 希の言葉に悪びれるのだが…、 神楽:「しかもキャバクラはしご…」 秀治:「おい、神楽!」 久美:「え、そうだったの?」 来美:「秀治、最低…」 神楽の仕返しによって、さらに肩身の狭い思いをする秀治。 来美:「でも、…舞さんに見せたかったよね 蓮華ちゃんの赤ちゃんを…」 久美:「うん…」 律子:「そっか、3年前だっけ」 能力者の仲間が続々と集まる中、舞の姿がいない。 それは当たり前だった。 来美:「舞さん、もうちょっと生きてくれてたらよかったのにね」 律子:「仕方ないですよ、能力を誰かに受け継がせる時期だったんですから…」 〜3年前〜 氷雨:「ついにこの日が来ちゃったわけか…」 舞:「ええ…でも、心残りはないわ」 舞は『年』の属性を持つ能力者。 彼女は氷雨以外には、あと150年ほど生きられるはずだと話していたのだが、実は違っていた。 すでに200年が経とうとしていて、舞は自分の力を受け継ぐものを探していた。 それに本当なら再び16から人生を続けられるとも言っていたはずなのに、それも嘘だったらしい。 能力を受け継いだら、その時から200年経つまでがその能力者の寿命。 ただし、能力者の攻撃を受ける事がなく、自分の周囲数メートルの攻撃を無効化できるなど、様々な特典がつくのではあるが。 雪美:「けど、本当にいいの?」 双葉:「舞だったら、私たちと同じ妖怪に転生する事も今なら可能なのよ」 泉:「そうそう、それに、来美ちゃんが結婚して間もなくなのに…」 舞:「…いいの これからはもう、私がいなくてもみんな、大丈夫だから 後のこと、よろしくね」 そう言うと、舞が手をかけたのはあの扉だった。 扉の向こうに立っていたのはヒカリ。 彼女が受け継ぐものなのだ。 それも、自分から受け継ぐことを決意していた。 ヒカリ:「私の準備は出来ました」 舞:「そう、それじゃ、この先はお願いね 現実世界のみんなは能力者の争いを止める事が十分にできると思う でも、こちらの世界はまだ不十分な事が多いわ あなたに、全てを任せることに決めた あなたが望んだからよ 悲しいこともたくさんあるけど、 忘れないで、頑張るのよ」 ヒカリ:「はい!」 そして、舞は昇天していった。 氷雨:「忘れないわよ、あなたのこと」 舞:「ありがとう、氷雨 …蓮華ちゃんのこと、よろしく頼むわよ あの子は、私がいなくても大丈夫だし、幸せだけどね」 氷雨:「ええ、分かってる」 瑞希:「それでは、行きましょうか」 舞:「ええ」 蓮華のことを氷雨に託し、能力をヒカリに託して。 そして瑞希が成仏するのを覚悟で舞と共に、昇天した。 その後、瑞希も成仏したのか、姿を見せていない…。 〜回想終わり〜 玲奈:「ヒカリちゃん、どうしてる?」 律子:「相変わらずですよ でも、あと約200年はあのままなんですよね 泣き虫なのに、大丈夫なのやら…」 どうやら最近会ったらしく、不安な表情をしていた。 希:「あっちでも結婚したりとか、いろいろあるんでしょ?」 律子:「う〜ん、ミューズのことは言いましたよね 後、美咲ちゃんとアヤネちゃんも結婚しましたよ」 久美:「美咲の相手は拓也よね? アヤネちゃんは誰と?」 律子:「もちろんエイクです ルリとアリサちゃんはそれぞれ一人立ちして、自分のお店を構えてましたよ」 来美:「徐々に変わっていくわけね」 そこに今度は海斗と清香が走ってきた。 後から見えるのは志穂だ。 玲奈:「清香たち遅いじゃん」 清香:「仕方ないって、水族館の終了時間までは出られなかったんだもん」 清香は海斗と結婚し、海斗の家の水族館を共に経営していた。 ただ、最近は海斗が海関連の色々なライセンスを取るために勉強していて、清香一人が経営を営んでいたが。 秀治:「どうなんだよ、色々勉強してるだろ?」 海斗:「それが予想以上に難しくてさ…」 清香:「そうなのよね だからって、今日みたいな大事な日も忘れてたんだから」 だが、一同が見る限り、夫婦でこの場所に来る所を見ると、うまくいっているのだと感じさせられていた。 志穂:「それにしても、結構賑やかね…」 来美:「仕方ないって、このメンバーが集まることなんて滅多にないのよ 前回会ったのって、蓮華ちゃんの結婚式の時でしょ?」 久美:「それから1ヶ月も経たないうちって言うのがね…どうして蓮華ちゃんは妊娠に気づいてなかったんだろう…」 志穂:「蓮華ちゃんだから、仕方ないでしょ」 そう言いながらも、志穂は少々羨ましいらしい。 お見合いなどはしているものの、自分のお目どおりの叶う相手が現れないという。 そこに鈴香や悠也がやってくるのが見えた。 鈴香:「ほら、みんな集まってるよ!」 悠也:「分かったって…」 鈴香は悠也との結婚はまだしていなく、現在も交際中なのだが、見る限り、結婚後の位の高さは歴然としていた。 …徐々に変わっていくそれぞれの生活。 まだ発展途上のものもいることはいるが、それぞれ幸せに暮らしていた。 だが、舞のように、既にこの世を去ったものもいる それを彼女たちは忘れていなかった…。 その時、子供の泣き声が聞こえてきた。 哲也&涼治:「バンザーイ!バンザーイ!バンザ…」 海:「赤ちゃんを胴上げしないで!」 なずな:「ちょっと、蓮華ちゃんのほうは心配じゃないわけ!?」 哲也と涼治が浮かれる声と、海となずなが切れる音が聞こえ、直後に哲也と涼治の悲鳴も聞こえる。 どうやらなずなが必殺技を放ったようだ。 鈴香:「…流石はなずなちゃん」 清香:「100年の恋はしっかり冷めたみたいね」 久美:「うふふ…、それにしても生まれたわね」 来美:「これからが大変よ だってまだ涼治君は医大生だし…」 玲奈:「それを言うと、私たちも実際そうですけどね」 綾香:「そうですね」 蓮華は大学を中退しているが、涼治は医大に通っていて、玲奈も専門学校に、綾香も大学に通っていた。 中で多分なずなの攻撃にやられているだろう哲也も、大学を休学してバスケの選手として輝かしい結果を残していた。 だから学生である事には変わりない。 律子:「でも、何とかなりますよ 流宇斗みたいな人でも今みたいになりますから」 流宇斗:「お、おい…俺は必死でここまで…」 ソルルこと流宇斗は、氷雨たちに助けられて戸籍を作ってもらい、自学で勉学に励みながら肉体労働をかなり続けていた。 そして今は、その努力が実り、とある会社(美香・翼・小麦の系列以外)で働ける所まで上り詰めている。 久美:「はいはい、そうね」 玲奈:「確かに」 流宇斗:「おい!!」 来美:「ふふふ… …さて、蓮華ちゃんを見に行きますか」 海:「どうぞ〜♪ 邪魔な人はなずなが外に出しましたから」 なずな:「多分、今雨が降ってるから、目を覚ました頃じゃないかと」 久美たちは流宇斗が怒るのを無視して立ち上がった。 律子がからかっていることにも、流宇斗は気づいていない様子だったが…。 果たして男の子か、それとも女の子か…? 〜その頃〜 ジョーイ:「生まれましたよ、元気な男の子が」 ユウキ:「ハァァァ…、よかった…」 美咲:「全く、拓也もそうだけど落ち着きがないんだから…」 拓也:「…」 ポケモン世界でも1つの命が生まれていた。 それはミューズとユウキの子供だった。 ナナ:「確か、蓮華ちゃんも今頃頑張ってるはずだったし…」 ルナ:「姉弟そろって、同じ日に子供が出来たんだったりして…」 アヤネ:「お姉ちゃんの子供かぁ…、私もほしいなぁ」 エイク:「…俺は、その…別に作りたいなら…」 美咲:「ここにも馬鹿親が一人…」 子供が生まれたニュースを聞いて浮かれながらも、ユウキはミューズに駆け寄っていた。 ミューズ:「ユウキ、生まれたよ」 ユウキ:「ああ、そうだな」 そこに続々と、現実世界と同様にやってくる来客たち。 ルリ:「ようやくか」 アリサ:「どんな子なの?」 瑞希:「見せてくださいね」 一瞬、アレッと思うかもしれないが、成仏したと思われていたこの少女は、実は、まだいた。 ヒカリ:「瑞希ちゃん、さっさと行っちゃうんだから」 しかも、ヒカリの元で暮らす、元幽霊、今は人間という姿で…。 そんな中、ナナがさっさと飛び出していった。 それに続くのはアヤネとエイク、そして現在まだ病院にいるはずの、子供を生んで3日目の美咲。 行く場所は勿論、蓮華たちの元である。 …こうして、能力者たちの日々は続いていく。 能力は子供に受け継がれ、大変なこともあるが、彼らの生活は続いていく。 そして、それからさらに14年の月日が流れた…。 ??:「ナゾノクサ、甘い香りよ!」 ??:「ロゼリア、かわして葉っぱカッター!」 2人の少女がポケモンバトルをしている。 一人は母譲りの黄緑色の髪を持ち、もう一人は父親譲りの黒髪を伸ばしていた。 だが、そんなバトルの途中で何かに気づいたのか、バトルをやめて走り出す2人。 そして…、 ??:「氷雨さん、雪美さん、こんにちは!」 ??:「遊びに来ちゃいました♪」 2人が遊びに来たのは、元は蓮華たちが暮らしていたあの家だった。 今は氷雨と雪美が暮らしているのだ。 2人は相変わらず、能力者を導くものとして過ごしているのだ。 氷雨:「いらっしゃい リリカちゃんに美砂ちゃん」 雪美:「今日は、何しに来たの?」 尋ねてきたのは蓮華と律子の娘達だった。 リリカというのが蓮華と涼治の子供、美砂というのが律子と流宇斗の子供で、リリカは草と風の、美砂は光と闇の能力者だった。 リリカ:「前にポケモンの世界があるドアがここにあるって言ってましたよね?」 美砂:「お母さんのセレビィが昔住んでたって言う所…」 氷雨:「ええ、あるわよ」 雪美:「階段を上がって2階の、すぐのドアよ」 リリカ:「開けてもいいんですか?」 氷雨:「ええ」 氷雨が頷くと、リリカと美砂は嬉しそうに走り出した。 リリカの後をナゾノクサが、美砂の後をロゼリアが追いかけていく。 氷雨:「うふふ、なんか蓮華ちゃんと律子ちゃんを見てるみたいね」 雪美:「確かにそうですね 性格もほとんど似てるし…」 その頃、ポケモン世界のナナの家にも、来客が来ていた。 ナナ:「いらっしゃい 今日は何しに来たの?」 ??:「おば…じゃなくて、ナナ姉さん、あのさ、俺の母さんが生まれた世界に行けるドアがあるって聞いたんだけどさ…」 ??:「そうそう、俺の父さんや母さんが生まれた世界でもあるって聞いたぜ あるんだろ? ナナおば…じゃなくてナナさん」 ナナ:「今、オバサンって言おうとしなかった?」 ??:「いえ、そんなことは絶対無いです!」 ??:「右に同じ!」 ちなみに、ナナは20年経った今でも相変わらず、蓮華と初めて会ったときのような、14歳の姿でいた。 だが、2人の少年を見つめる視線は明らかに怒りを秘めている。 ナナ:「そぉ〜? …まぁ、いいわ 今度言ったら…」 ??:「分かってます!」 ??:「家の掃除、全部俺たちが引き受けます!」 ナナ:「ならいいわ」 この様子、明らかに何度か言いかけたり言ったりした経験がある様子だった。 ナナ:「でも、珍しいわね その話、タツキもサクヤも親から聞いたの?」 タツキ:「う〜ん、なんっちゅうか、母さんが昔ポケモンで、父さんを助けるために怪我をして、人間に変わったって聞いて、 なんか、実際ありえない気はしたんだけどさ、ナナ…さんみたいな人もいるし」 ナナ:「今、間が開かなかった?」 タツキ:「気のせいです」 ナナ:「そう …サクヤも同じ?」 サクヤ:「いや、俺はタツキに誘われてきただけで…」 ナナ:「ふぅ〜ん」 この会話で薄々気づくと思うが、タツキはミューズとユウキの子供、サクヤは美咲と拓也の子供である。 2人も能力者であり、タツキは草と水、サクヤは炎と雷の力を持っていた。 ナナ:「あのドアよ」 タツキ:「それじゃ、開けてみるよ イーブイ、行くぜ!」 サクヤ:「ヒトカゲも来いよ!」 2人の後を2体のポケモンが続いていく。 そして、現実世界でリリカと美砂が、ポケモン世界でタツキとサクヤが、あのドアに手をかけていた…。 これからは、彼らの物語が始まることになるのだろう…。 そして、彼らの物語が続いていく…。 人とポケモンの物語、それは永遠に終わらない………(完)