シリーズ・ケンカ とぅえるべ!! サトシ君とカスミちゃん。 二人はよくケンカをします。 原因は些細な事なんです。 でもお互い意地っ張りで、頑固者ですから。 ついついケンカになっちゃうんですよね。 それを見てタケシ君は「やれやれまたか」って…頭を抱えてしまいます。 ケンカって迷惑ですよね? 自分にとっても、ケンカ相手にとってもいい事なんてありませんよね? まわりの人も不快にしちゃいますよね? 場合によってはケガなんかもしちゃいますよね? じゃあ。 ケンカって、悪い事なのでしょうか? ケンカって、しちゃいけない事なんでしょうか? 目的地目指してテケテケ歩くサトシ御一行の頭上には雲一つ無い。 お日様元気でいい天気♪ってわけだ。 しかし。 この上サトシとカスミの仲も平穏無事、これ良好……では、この話は進みやしない。 ええ、タイトル全てを否定することになってしまいます。 ……そんなわけで。 (作者の勝手な都合の所為で)今日もサトシとカスミの間には深くてくら〜い溝があるわけで。 さて、今回のケンカの理由はなんでしょうか? 大方くだらん事でしょう。 どうなの?タケシ君? 「……道が二股に分かれてたんだ」 ……なんか、話読めたんですけど。 「サトシは右って言ってな。カスミは左って言ったんだ」 …………あなたは、なんと? 「すぐに合流するから、どっちの道も同じだって……あれだけ言ったのに……何でケンカを……」 だからって…泣くことはないと思うんだけど……… 「俺…針の筵(むしろ)状態なんだよ……お互いの一挙手一投足にすぐつっかかって… その度に仲裁して……ああ、助けてパーマン」 え、えらいものに助け求めますね、あなた。 よりにもよってパーマンですか。 「藁にもすがりたいんだよ……この際パーマンでなくてもドラえもんでもハットリ君でも何でも構わん」 なんで全部藤子不二雄なんすか? 「ああ…早くポケモンセンターについてくれ……」 ……胃に気をつけなよ。 その夜 ポケモンセンター。 「はぁ〜……」 つかれてます、タケシ君? 「そりゃもう。心の潤いのジョーイさんもお忙しいらしくてお話もできないし…」 …ところで夜も深けて(ふけて)きたこんな時間にロビーでなにやってるんです? (漢字、「更けて」かもしれません) 「それは――」 「あれ?タケシ?」 おや?サトシ君? 「サトシ?どうした、こんな時間に?」 「いや、別に…」 「…部屋でカスミと二人っきりだと間が持たないか?」 「……」 どやら図星のようです。 「図星か?」 「そ、そんなこと無いよ!」 「うそつけ。いつもならずーっとカスミとしゃべってるじゃないか。俺達の事無視してさ」 「なっ!?」 俺達?……ああ、ピカチュウとトゲピーを含めてですね。 「そ、そんなことないよ!!」 「いや、真っ赤な顔して言われても説得力が無いぞ」 「あ…う……だー!!そんなことはどうでもいいんだ!!タケシはここで何をやってるんだよ!?」 「俺か?俺はほら、これだよ」 「…地図?」 「そう、地図だ」 地図?…あ、なるほど。 「……地図なんか見てて楽しいのか?」 「そうじゃないよ」 「??」 「地図を見てポケモンセンターの位置を確認して、この先のルートを確認してるんだよ」 「あ、なるほど」 どうやらサトシ君も納得したようです。 「どれどれ…今いるのがここだよな?」 「ああ。実は今悩んでるんだ」 「へ?なにを?」 「明日のルートだよ。どうしようかと思って」 「悩むって……見た感じ次のポケモンセンターまで一本道みたいだけど?」 「よく見てみろ」 「??」 サトシ君じっと地図を見詰めます。 「……やっぱり一本道じゃん」 「違うって。いいか?明日はこう進んでくだろ?そうすると……ほら」 タケシ君の指がぴたっと止まります。 止まったのは道が二股に分かれている地点。 …………二股に別れた道……………やな感じ。 「ここで絶対おまえらがケンカすると思うんだ、俺は」 「……」 「サトシはどうしたらいいと思う?」 「どうしたらって…」 「どうしたらサトシとカスミはケンカせずに済むんだろうなぁ〜」 「う…」 サトシ君黙っちゃいました。 タケシ君結構意地悪です。 「で、どうする?」 「…わかった。明日はカスミに譲る。どっちの道に進むかを」 「そうしてくれると助かるよ。お前達にケンカされるときついものがあるからな」 「…わるいな。いつもいつも」 「気にするな。もう慣れたよ」 そう言って笑うとサトシ君は苦笑してタケシ君に背を向けました。 「サトシ?」 「ちょっと外行って頭冷やしてくる。部屋戻ってもカスミと気まずいだけだからさ」 「わかった。遅くなって締め出されるなよ」 「わかってるよ」 サトシ君は手をひらひらさせながら出て行ってしまいました。 よかったですね、タケシ君。 とりあえず明日はケンカにはなりそうにありませんよ。 「さて、と………そろそろ出てきたらどうだ?」 ?? 「…いつから気づいてたのよ?」 オゥ!物陰からカスミちゃん登場。 「いつからって、カスミがそこに来てからずっと気づいてたぞ」 「うそぉ!?なんで気づいたわけ?」 「なんでもなにもずっと影が写ってたぞ。床に」 な、なんて初歩的なミスを。 「サトシを探しに来たのか?」 「ち、違うわよ!」 「嘘つけ」 「ほんとよ!その…喉。そう!喉が渇いたからジュース買いに来たのよ!」 「……ふ〜ん」 ジュースの自販機があるのはロビーじゃなくて食堂なんですよね〜。 カスミちゃん焦っててその事に気づいてないようですけど。 「ま、いいけど。それよりはやいとこ仲直りしてくれよ」 「……わかってるわよ」 ちょっと拗ねた様子のカスミちゃん。 先ほどの様子を見る限り、サトシ君は大分落ち着いていましたし、 カスミちゃんも大分冷静になったと考えるべきなんでしょうね。 「ところでタケシはここで何してたの?」 「(サトシと同じ事聞くんだな)俺か?俺はほら、これだよ」 「地図…明日のルートの確認?」 「まあな」 「…あ、ここ。道が二つに分かれてる」 おや、カスミちゃん明日のキーポイントに気づきましたね? 「ん〜…そうするとまたサトシとケンカになっちゃうかな?」 「さあ、どうかな?」 おやおやタケシ君。 ケンカになんてならないってわかってるのにそんなこと言っちゃいますか? 「……そうね。たまにはあたしが譲るべきかもね。サトシも一応男の子だもん。プライドだってあるし、 やっぱり自分の主張が通った方が気持ちいいだろうしね」 「そうだな」 「うん、きめた!じゃあタケシ、明日はそう言う事で。ケンカにならないと思うから安心して。 ごめんね。いつもいつも」 「いいっていいって」 「じゃあもうねるから。タケシもあんまり遅くならないようにね」 「ああ。おやすみ」 カスミちゃんもお休みと言って部屋に戻っていきました。 しかし………… 「いや〜…よかったよかった。あの様子なら明日はケンカになりそうに無いよ」 安心しきった様子のタケシ君には悪いのですが……………… な〜んか妙な胸騒ぎを覚えるのですが? 翌日 「だ〜か〜ら〜!あんたの好きな道を選べばいいの」 「それはこっちのセリフだ!カスミが選べよ!オレはそっちについていってやるからさ!!」 「ついていってやるぅ〜!?なによ!その上から見下した言い方は!!?」 「誰もそんな言い方してないだろ!!?」 ありゃりゃ。 予感的中ですか。 「(泣)」 タケシ君……気持ちはわかりますが止めてあげてください。 「……神は…死んだ……」 またそんなこと言って…… 「助けて。猫型ロボット……」 ………… おわり