シリーズ・ケンカ さーてぃん! 「ケンカするほど仲が良い」 誰が言ったか知らないが……どうなんだろね、これ? この言葉に従うと◯◯国と☆☆国は大変仲が良いと言うことになるのだが…… ありえへん!! まあそれはそれとして。 この二人の場合はどうなんだろうね。 今日も今日とて緊張状態にあるサトシとカスミの二人。 …なんか曖昧な表現です。 ……実は…真面目にこのシリーズのネタが尽きてきました。 誰かネタをください。 ネタを。 閑話休題。 とにかくいつものようにケンカ状態にあるお二人さん。 サトシは(やれやれといった様子の)ピカチュウを肩に乗っけて先頭をずんずんと歩き、 カスミは(いつも通りの)トゲピーをギュッと抱きしめて最後尾をすたすたと歩いています。 ちなみにタケシは二人の中間点よりもやや前方、つまりサトシの近くを歩いています。 ケンカの原因はなんでしょうか? カスミがまたサトシの事をおこちゃまとでも言ったのでしょうか? サトシの無神経な一言がまたカスミを傷つけたのでしょうか? いえいえ、大事な事はそんなことじゃありません。 大事なのはいかにして二人が仲直りをするかって事なのです。 そして……仲直りにはきっかけが必要なんです。 しばらく歩くと道が二股に分かれていました。 先頭を歩いていたサトシが振りかえってタケシに話しかけます。 「おいタケシ。道別れてるぜ」 「ああ、ちょっと待ってろ。今地図を確認する」 その場に立ち止まり、リュックから地図を取り出します。 ちなみにカスミはサトシとの微妙な距離をとったまま立ち止まってます。 そんなカスミの様子を一瞥しつつサトシはタケシに問います。 「で、どっちいけばいんだ?」 「ん〜…どっちでもよさげだな」 「は?どーゆうことだ?」 「どっちの道行っても日が暮れる頃にはポケモンセンターに着くし、最終的に目的の街にもつく。 まあ道程はかなり異なるけどな」 「ふ〜ん……」 「で、どっちいく?」 普通ならここでどちらの道を行くか一悶着ある所だが、幸か不幸か(?)すでに一悶着あった後。 これ以上悪くはならないでしょう………………多分。 「そーだなー……」 サトシはじぃ〜っと地図を見ました。 そして、ふとある事に気づいて決断しました。 「よしこっちだ!こっち行こうぜ!」 「ん?そうか?」 タケシはサトシが指差した道を地図でもう一度確認しました。 間違いなく目的の街へと続いています。 ポケモンセンターも要所要所にあります。 危険地帯もありません。 「じゃあ行くか」 「おう!」 サトシとタケシは歩き出します。 カスミも微妙な距離を保ってついてきました。 しばらく歩いて、タケシはふと思いついてサトシに話しかけました。 「なあサトシ」 「なんだ?」 「なんでこっちの道にしたんだ?」 「へ?な、なんだよいきなり?」 「いや、だってな。あっちの道もこっちの道も特にこれと言った特徴無い道だよな?」 「そうだけど…それがどうしたんだよ?」 「だとしたら、何が決め手でこっちの道にしたんだ?」 「…別に。どっちでもよかったからテキトーだよ」 そう言ってサトシはぷいっとそっぽを向いてしまいました。 サトシの様子が腑に落ちなくてタケシは地図を取り出して道を見比べてみる事にしました。 「……別に普通だよなぁ…」 「だろ?」 「山あり谷あり川あり森………もり?」 タケシが森と言った瞬間、サトシの肩が僅かに反応しました。 タケシはそれを見逃しません。 「森……そうか!森か!」 タケシはもう一度地図を見比べました。 そして…判明しました。 あちらの道は今歩いている道に比べて森の中を通る事が多いんです。 つまり―― それだけ虫ポケモンに合う可能性が高いんです。 タケシはニヤ〜ッと笑います。 そして、 「なーるほど!あっちの道行くとカスミの嫌いな虫ポケモンがいっぱい出てくるもんなぁ〜!! だからわざわざこっちの道にするなんて、サトシは優しいなぁ〜!!」 「ば、ばか!声がでかい!!」 「もご――!??」 サトシは慌ててタケシの口をふさぎました。 ……ピカチュウで。 けれど。 そんなのは後の祭で。 カスミは驚いた様子でサトシを見ていて。 サトシは照れてしまって耳まで真っ赤にしていて。 タケシはピカチュウの体毛を吸い込んでしまって激しく咳き込み。 で、結局…………………… ポケモンセンターに着く頃にはすっかり仲良しな二人に戻ってましたとさ。 めでたしめでたし♪ おわり