*********** リベンジャー  第1話「今日で最後」 *********** 「ハァ・・・」 髪の色は青、瞳の色も青、青いジーンズに黒いシャツを着た少年が、腰をおろしたままため息をついた。少年は砂浜にいた。 遠くの方の港には船が何隻かとまっている。夕日が沈みかけてきていて、灯台に明かりが灯っている。 「・・・・・」 少年はただ目の前の海をじっと見つめていた。彼の前を1匹のシェルダーが通りかかった。 シェルダーは少年の方をじっと見つめていたが、まったく動かない少年を見ていて飽きたのか、海の中と消えていった。 少年は腰に手をやり、2つのモンスターボールを取り出し、横の方へと投げた。 「ピカ」 「ガウ」 その2匹のポケモン・・・ピカチュウとリザードはしばらく何も言わない主人の顔を見ていたが、その場にこしをおろし、主人と同じように海を見つめた。 「なぁ・・・」 「?」 突然声をかけられた2匹は、主人の方へ顔を向けた。 「明日・・・出発だな・・・」 少年そう言った後、また黙りこくってしまった。そして、 「・・・悪い、言いたかったのそれだけなんだ。すまなかったな。」 そう言って、少年は再び2匹をボールに戻した。 「・・・」 しばらくの間、少年はボーっとしていた。30分ほどすると、そろそろ戻るかといった感じで立ち上がろうとしたその時、 「やっぱりここにいた」 「!」 少年は声のしてきた方角に顔を向けた。そこに1人の少女がいた。少年と同じくらい・・・11歳ほどの少女だった。茶髪のロングヘアーに青い半ズボン、赤いシャツを着ている。 「なにやってたの?カイ、たそがれてた?」 「お前には関係ないだろ・・・ティナ」 その後、2人の間に沈黙が走った。 「・・・明日・・・だね」 「・・・ああ・・・」 「私のこと、絶対忘れないでよね。」 「なるべくな」 「ルギアには言ったの?」 「言うチャンスがないだろ・・・」 「はは、確かにそうだね」 2人は何気ない会話をしていた。だが、明日になればこんな会話もできなくなる。 「・・・そろそろ戻ったら?親子で涙のお別れでもしといたら?」 「そういう言い方するか普通・・・ま、それっぽいことするかな・・・」 2人はその場で立ち上がると、それぞれの家へと戻っていった。 あまり、心は晴れやかではなかった。  つづく  あとがき この小説でのポケモンの声は、名前のまんましゃべったりしません。 ゲーム本編で聞こえたまんま書くつもりです。 でも、声として成り立ってないものは、そのまんましゃっべたりします。(笑)