************  リベンジャー  第4話「海の神、参上」 ************ 「オイ、お前!」 「ン?何だ小僧?」 カイは港につくとすぐに白服の男に怒声を浴びせた。 ライラとカゲロウも、戦闘体制に入っている。 ピチューとヒトカゲというあまり戦闘に向かないポケモンだが、その目は怒っていた。 「お前・・・・!よくも母さんを!」 「何言ってるんだ?コイツ。オイ、始末しとけ」 「はっ」 カイの前に黒服の男が出てきた。もちろん、胸に「R」のマークがプリントされている。 「オイ!僕はそっちの奴に用があるんだ!そこをど・・・・!?」 カイの言葉は途中で途切れてしまった。 突然黒服の男に蹴り飛ばされたのだ。カイは崩れた建物に突っ込み、ガレキの中へと埋もれていった。 「ホラよ」 「!」 その後すぐに、ライラとカゲロウもカイと同じようの蹴り飛ばされてしまった。 「オイお前!やめろぉ!」 「ん?」 コウが走ってその場に駆けつけた。カイが蹴り飛ばされたところを目撃して、助けに来たのである。 「チ・・!めんどくせぇな。パルシェン、遊んでやれ」 黒服の男が放ったボールから、2枚貝ポケモン・パルシェンがでてきた。200種類を超えるポケモンの中でも、かなりの防御力を誇るポケモンの1つである。 「く・・・・!」 「さて、オレはさっきのガキを・・・・」 「どうするんだ?」 「!?」 その場にいた全員の背筋が凍りついた。異常なほど殺気ごもった声が、ガレキの中から聞こえて来たのある。 「・・・・・・・ったく、よくもまぁふっ飛ばしてくれたもんだ」 ガラリ・・・・・・・。 カイがガレキをめんどくさそうにどかしながら這い出てきた。カイは異常な形相をしていた。漢字1文字で表すなら、【鬼】そのものであった。 それと同時に、ライラとカゲロウが埋まっていたあたりから、まばゆい光が伸びてきた。その光は唐突に途切れ―― 二匹がガレキに中からでてきた。ねずみポケモン・ピカチュウと、火炎ポケモン・リザードになって。 「い・・・一体何が・・・?」 「へ?」 突然、コウの横から聞きなれた声がしてきた。コウが恐る恐るゆっくりと横を見てみると、そこにはいつの間にかティナが立っていた。 「うお!?お前いつの間に!?」 「え?さっきからいたわよ?・・・・それで、一体何が・・・・?」 「あ、ああ。あの2匹、蹴り飛ばされた怒りで進化したんだ・・・・!」 「そっちじゃなくて、カイの事よ。いつもと口調が・・・・」 「よくも母さんを!ライラ!10万ボルト!カゲロウ!火炎放射ぁ!」 ライラがすさまじい電撃を、カゲロウが激しい炎を吐いた。電撃と炎は、黒服の集団を包み込んだ。 「うわぁぁ!」 「やめてくれぇぇ!」 黒服の集団はカイ達に命乞いをはじめた。がしかし、2匹が攻撃を止める気配は全く見られない。 「オイ、カイ!?」 「ん?何だコウじゃねぇか・・・・」 恐る恐るカイに話し掛るコウの顔は、いささか震えていた。 「お前、大丈夫なのか?」 「何言ってんだ?俺はいつもどおり・・・・・」 「な!?」 カイが突然倒れてしまった。それに共鳴するかにように、暴れまわっていた2匹も倒れてしまう。 「一体、何が・・・・・」 「やってくれたぜ・・・・!あのガキ・・・・・!」 「!」 白服の男が言った。この男も先ほどの攻撃に巻き込まれており、バンギラスも、多少だが傷を負っていた。 「あのガキ、ぶっ殺して・・・・!?」 不意に、辺りが暗くなった。 何かが太陽の光を遮断している 男は呆然と空を見上げ、硬直している。 「何だ!?ありゃ!?」 コウがカイを背負ったまま叫んだ。ちなみに2匹も、コウがかろうじて抱きかかえていた。 コウも、ティナも、港の人たちも、黒服の集団も、皆、口をポカンと開けたまま見上げていた。 そこには、銀色にきらめく翼をもった巨大な竜のようなポケモンが飛んでいた。 大きな手のような翼を大きく広げる、巨大なポケモン。 ポケモンはギンバネ島上空から彼らを見下ろしていた。 「おお・・・・!あれこそ、我々が捜し求めていたポケモン、海の神、ルギア!!!」 男の手が無意識に空を仰ぐ。 「海の神、ルギア・・・・・!」 コウがそうつぶやくと、カイが目を覚ました。 「コウ・・・・?」 「お!目が覚めたか、カイ」 「あれは・・・・?」 「奴らが言うには、ルギアっていうポケモンらしい」 「ルギア・・・・」 「少年達よ」 突然、ルギアがカイ達に話し掛けてきた。 「すぐにこの場を立ち去るがいい・・・後は私に任せろ」 「で、でも奴らはあんたを狙ってんだぞ!?あんたは隠れてた方が・・・」 「いけ!」 「・・・・・!」 コウはもう何も言わず、町にの方へ走り去っていった。 「さぁロケット団よ、私が相手だ!」 (んで、ルギアが奴らを追っ払ったんだよな・・・その後、コウの家に寝泊りしながら、家建て直したんだよな・・・・) カイはチラッと時計を見た。 「!?」 次に、カーテンを開けて外を見た。 「・・・マジで?朝になってら・・・ハハ・・・・よし、待ってろロケット団、必ず俺がぶっ潰してやる・・・・!」  つづく  あとがき えー、やっとカイの回想録終りました。3話分もかかっちゃいました。 そして次は!ついに!旅に出ます!(やっとだよオイ・・・)