**********  リベンジャー  第6話「海上戦闘」 ********** 「いきなり最悪だな・・・・」 「コパァ・・・・」 少し暑くなったので、ヘアバンドを頭から首におろしながら、カイとクーラルはつぶやいた。 彼らはタンバ島に向かっていた。ポケモンリーグという大会にでるためである。 本来、ロケット団への復讐が旅の目的だが、トレーナーとして旅に出るんだから、やってみたら?と、ティナに薦められたからだ。 リーグに出るには、一定の地域内、例えばカイの場合、ジョウト地方内にある8つのジムに行き、ジムリーダーに勝ち、ポケモンリーグ公認バッジを8つすべて手に入れなければならない。そこでカイは、1番近いジムがあるタンバ島に向かっていたのだが・・・・・。 「なぁ・・・お前ら、そこ通してしてくんねぇかな・・・・」 海上を移動しているのだから、別にまっすぐ言っても問題はなかった。 しかし、ギンバネ島と、タンバ島の間に1つだけ問題があった。 「もしかして、俺達、お前らのナワバリに入っちゃったとか・・・・・?」 「彼ら」は無言でうなずいた。そう、「彼ら」こそがそのたった1つの問題なのである。 「さて・・・どうするよ?クーラル」 「コパァ・・・・(いや、俺に言われても・・・・)」 その「彼ら」とは、世界のどこかに「凶悪ポケモンリスト」というものがあったら、確実にトップ5に入るポケモン、その名の通り、凶悪ポケモン・ギャラドス・・・計10匹である。 ギャラドス達はギャラドス特有の不気味な唸り声を出しながら、カイ達を睨んでいる。 カイはどうしたもんかと考えながら、ギャラドス達を見つめる。 「あのさ、話し合えばきっとお互いわかり・・・・って人の話し聞けー!」 ギャラドス達が一斉にカイ達に向かって突進を繰り出した。 しかし、カイ達は全くあせることなくギャラドス10匹分の突進をすり抜けるようにかわした。 「ふう、あぶねぇな、オイ」 カイはギャラドス達を指差し、こう言い放った。 「オイ、お前ら、海上の戦闘で、俺達に勝てると思うなよ!」 「コパァ!」 その直後、ギャラドス達は己の目を疑った。 消えうせたのだ。目の前にいた人間とゴルダックが、一瞬で消えたのである。 次に、ギャラドス達は自分達の真上に気配を感じた。見上げると、そこにはこちらを向いたまま空中浮遊している人間とゴルダックの姿があった。 「拡散・・・破壊光線!」 「コパァ!」 ドドドドド! ズガァァァァァーーーーン! クーラルの額から発射された光線は、ギャラドス10匹の内、5匹に直撃した。 「おし!5匹ノックアウト!で?お前らもくらいたいか?」 バシャンという音と共にカイとクーラルが落ちてきた。そして、すぐにギャラドス達に向かってこう言った。 「もう1度言うぜ・・・・お前らもくらいたいのか?」 「・・・・!!」 ギャラドス達は身の危険を感じたのか、気絶した仲間を引きずってどこかへ消えてしまった。 「ふう、やーっとあいつらってああああーーーー!?」 「!?」 「や、やべぇぞ、クーラル!」 「コパ?(どした?)」 「俺達・・・・迷っちまった!」 「コパァーーーーー!?(何ぃーーーーー?)」 そう、先ほどの戦闘でかわしたり飛んだりしていたせいで、方向がわからなくなってしまったのである。 途方にくれていた2人(?)だったが、すぐにチャンスが訪れた。 「!オーイ!そこの人ー!正確にはプテラに乗ってる人ーー!」 カイが空に向かって叫んだ。クーラルが上を見上げると、そこには竜のようなポケモンが空を飛んでいて、その上に人が乗っている。 「・・・・・?何だ・・・・?」 プテラに高度を落とさせ、乗っていた人・・・おそらくプテラのトレーナー・・・が返事をした。銀色の髪をしていて、青いジャンバーを着て、黒いズボンをはいている。 「あのさ、タンバ島ってどっちかわかる?」 「タンバ島・・・?ああ、それならここから南西の方角・・・・方向でいうとあっちだ」 プテラのトレーナーが指を指して言った。 「おお!サンキュー!恩に着るぜ!」 カイは手早く礼を済ませると、すぐにその場を立ち去っていった。 「・・・・?変な奴だ」 プテラのトレーナーは、またプテラに高度を上げさせた。そして、 「行くぞ、ジーテ」 と言って、飛び去っていった。 「おお!見えてきたぜ!タンバ島」 「コパァ!」 カイはこの時はまだ知らなかった。先ほどのプテラのトレーナーが、自分にとって最大のライバルになることなど・・・・。  つづく  あとがき 謎の銀髪トレーナーの登場でした。最大のライバルとかいっときながら、少しの間、登場しません。 彼の2度目の登場をご期待ください。いつでるかわかんないけど(笑)