忠告 この第8話からポケモン同士の会話が入ります。 その会話をポケモン語のまま書いたらわけわかんないので、人語に訳したものを『・・・・・』で書きます。 ********  リベンジャー  第8話「挑発」 ******** 「さて、どうするか・・・・」 カイは迷っていた。 このバトルは2対2、カゲロウがやられた今、残り使用可能ポケモンは1体しかいない。 (ライラで速攻戦でいくか・・・?いや、次に何が出てくるかわからない今、ライラはマズイ・・・・。格闘タイプは地面タイプの技が使えるやつがいるからな・・・・。リングは問題外・・・・・、ってことは・・・・) 「どうした!降参か!?」 なかなか次のポケモンを出さないカイに腹を立てたのか、シジマが少し強めの怒鳴った。 「ハ・・・!冗談じゃないよ。俺の二番手は、コイツだ!」 カイがこのバトルで最も有利に戦えるポケモン、ゴルダックのクーラルを出そうとした、その時! ガタガタ・・・・・ 「!」 突然、カイの腰にあったボールの1つが激しく動き出した。 カイはクーラルのボールを腰に戻し、代わりに騒いでいたボールを手にとった。バトル中にボールがひとりでに動き出す。それは大半の場合、中のポケモンが「自分を出せ」といっているのである。 「・・・・・・」 カイは迷った。相手が格闘ポケモンプロフィッシャル、シジマとわかった時点で、このポケモンは使わないと決めていた。 が、いくら待ってもボールは騒ぐのをやめなかった。 カイは決意した。 「しかたねぇ・・・・いって来い!リング!」 カイがボールを放り投げた。ボールが開き、まばゆい閃光が走った。 ジム内が騒がしくなっていた。 しきりに門下生たちが、コソコソと話をはじめていた。 門下生といっても、ほとんどが子供だったためか、その内緒話はカイの耳にしっかり届いていた。 「なぁ、あいつバカじゃねぇか?」 「ああ。何で、わざわざ格闘タイプに弱い悪タイプなんか出すのかなぁ」 カイが投げたボールから出てきたのは、月光ポケモン・ブラッキーだった。 小柄で黒い四足ポケモンで、体に数個ある黄色い輪の模様が特徴だ。 門下生たちの言葉は正しかった。悪タイプであるブラッキーは格闘タイプの技に弱い。 ましてや、ジムリーダーシジマに対し、悪タイプを出すことなどバカげた話だった。 「お前、本当にそいつでやる気か?」 「ああ」 このバカげた現実に、シジマが確認を取ってきた。カイはそっけなく答えた。 「変えるなら、まだ認めてやってもいいぞ?」 「いいッスよ、別に。それに・・・・・」 カイがリングをチラッと見た。 「こいつ、やる気満々だし」 「ギュララララ!」 リングがそのとうりといった感じで答えた。 「オコリザル対ブラッキー、始め!」 「そ、そんなばかな・・・・」 シジマは愕然となってしまった。 シジマの目線には倒れているオコリザル、そしてその奥には、余裕な顔をしたブラッキーがいた。 リングがとった行動、それは、たった1つの技を放っただけだった。 しかしその技とは、格闘ポケモンにとってもっとも恐怖の技、サイコキネシスだった。 相手が格闘タイプで自分がエスパータイプならば、多少レベル差があっても一撃で倒してしまう技、それがサイコキネシスである。 「ク・・・!戻れ、オコリザル・・・」 シジマはオコリザルのダウンを認め、オコリザルをボールに戻した。 「オコリザル戦闘不能!ブラッキーの勝ち!」 「いよっし!いいぞ、リング!」 「ギューッラッラッラッラ!」 苦手な格闘タイプを相手に勝利したためか、リングはすごくうれしそうな声をあげた。 「なかなかいい育ちをしているな、そのブラッキー」 喜びに浸っていたカイたちに、少し悔しそうなシジマな声が飛ぶ。 「へへ・・・まぁな!」 「だがな・・・・次はこうはいかんぞ!ゆけ!」 シジマがボールを放った。ボールが開き、光が部屋中を照らした。 光の中から現れた青い体は、さっそうとリングの前に立ちはだかった。 そこには、おたまポケモン・ニョロボンがその素晴らしい肉体美を見せ付けていた。 『フン・・・こんなやつが俺の相手だと・・・?悪タイプなんぞにやられるほど、俺は甘くはないぞ?』 ニョロボンがリングをなめきった口調で言い放った。 が、リングは全く動じないでいた。それどころか、逆に反感を買うような口調で言う。 『・・・・10秒!』 『何?』 『10秒であんたを倒す!』 『・・・!おもしろい・・・・!』 「あいつ、まさか挑発してんじゃねぇだろうな・・・・」 カイの予想は見事に的中していた。  つづき  あとがき 今回からポケモン同士の会話が入ってきました。 リング、挑発してます。果たして本当に10秒で倒すことができるんでしょうか!? リングの無謀な挑戦が始まる・・・。