************  リベンジャー  第10話「絶対ヒット」 ************ ここ、アサギシティの天気は快晴だった。 が、このときの季節は夏の終わり、少しは涼しくなっていたが、まだまだ太陽が地面を照らしていた。 港には朝から漁船が出入りしていた。このあたりの海域は魚がよく取れ、巷では“恵まれた港”ともいわれている。 さらにここの灯台はなんとポケモンがだす光で成り立っているというから驚きだ。 「・・・・・」 カイは歩いていた。が、どこか変だった。 汗を流し、ちょっとイライラしているようだった。 カイの数メートル先に1人の少女が歩いていた。白いワンピースを着て、サンダルを履き、茶髪のロングヘア、その上から暑さをしのぐように麦わら帽子をかぶっている。 (もうちっと速く歩いてくんねぇかな・・・・) カイとその少女が歩いているのは狭い歩道だった。カイの歩くペースに比べ、少女の歩くペースは遅かった。そのため、カイは速く歩けずイライラしているのだ。 (・・・・ん?) カイが何かに気づいた。それと同時に歩くのをやめる。 数メートル先を歩く少女をカイはしばらく見つめながらしばらく考える。そして突然建物の裏道へ入っていった。 その裏道でカイはぶつぶつと何かつぶやいていた。そして、リュックの中から地図を取り出した。 「…やっぱりあってんだよな・・・・この方向に歩いていきゃジムがある・・・じゃああの子はいったい・・・」 ジムトレーナー・・・・? ジムリーダーの子・・・・? 近所に住む子・・・・? ジムリーダー・・・・? (んなわけないか) カイは再び道に出て歩き出した。 (・・・・・・・・・・へ・・・・・・・・・・・?) 「・・・・?どうかしましたか・・・?」 カイはバトルフィールドに立っていた。そう、アサギジムのバトルフィールドである。 バトルフィールドには4つの岩山が立っていた。どう見えても岩タイプのジムのしか見えない。 「・・・・・あの、確認とっていいっスか・・・・・?」 「何をですか?」 カイがバトルフィールドの反対側に立っている少女に話し掛けた。白いワンピースを着て、サンダルを履いた少女・・・・先ほどカイの前方を歩いていた少女である。 大人しそうな、とてもジムリーダーには見えない少女。 「・・・・えっと、ここのジムリーダーって・・・・」 「・・・私がそうですか・・・・?」 ・・・・・・ ・・・・・マジ? こうしてカイがタンバジムで考えていた“ジムリーダーはみんなダンディなおっさん説”は見事に打ち砕かれたのである。 「私はアサギジムリーダー、ミカンです。よろしくお願いします」 「俺はカイっていいます。よ、よろしく」 「勝負は2対2、先に2匹戦闘不能になった時点で負けとなります。  ・・・・あ、ちなみに審判は、みんなちょっと出払ってて。  そういうわけで、審判はナシです。準備はよろしいですか?」 「ハ・・・・・ハイ(こういう子苦手だな・・・・)」 「レアコイル!」 「ライラ!」 カイはライラ、ミカンは磁石ポケモン・レアコイルを繰り出した。 「レアコイル!電磁波!」 「ライラ!高速移動!」 ミカンがレアコイルに電磁波を指示したのに対し、カイはライラに高速移動を指示した。 高速移動で電磁波を交わしながらレアコイルに近づく作戦なのだ。 「・・・じゃあレアコイル!ロックオン!」 (ロックオン?聞いたことねぇな・・・・) レアコイルが目をぎょろっとライラに向ける。その3つの眼はライラに恐怖感を与えた。 「ピ・・・!?」 「レアコイル!電磁砲!」 レアコイルの中心に電気が生じた。電気はレアコイルの中心で固まり光の玉になった。 「・・・・!?なんだありゃ・・・・・」 「発射!」 レアコイルから光の玉が発射された。光の玉はグングンライラとの距離を詰める。 「ライラ!交わせ!」 ライラはあっけなく電磁砲を交わした。そしてすぐにレアコイルとの距離を詰める・・・・が! 「!?マジかよ!?ライラ、後ろだ!」 「!?」 なんと交わされたはずの電磁砲がUターンして戻ってきたのである。 「ロックオンは次の攻撃を絶対にヒットさせる技です。逃げられませんよ」 ミカンが静かに言った。その表情には、勝利を目前とした笑顔になっていた。 「ぜってーによけれない・・・・か。ライラ!高速移動でレアコイルに近づけ!」 「!?」 一瞬、ライラはカイの指示が理解できなかったが、すぐに理解し、レアコイルとの距離を縮め出した。 「・・・・?いったい何を・・・?レアコイル、10万ボルトで迎撃!」 レアコイルが10万ボルトを放つ。が、ライラは高速移動で簡単に交わした。 「あ!レアコイル!前!前!」 「!?」 レアコイルの眼は高速移動で姿を消したライラを探していた。が、目の前には、先ほど放った電磁砲が迫っていた。 レアコイルに電磁砲がヒットした。が、電気タイプだったせいか、レアコイルの特殊防御力が高いせいか、あまりダメージは見られなかった。 「あれ・・・・・?」 「?」 ミカンとレアコイルはすぐに“それ”を探した。しかし、“それ”は全く見当たらなかった。 「いけ!ライラ!爆裂パンチ!」 突然上から何か降ってきたかと思った矢先、“それ”は強烈なパンチをレアコイルに打ち込んだ。 三角形の陣を組んでいたレアコイルの上に配置されていたコイルにバキッとひび割れが生じ、崩れ落ちる。 それに共鳴するように、残りの2体も崩れ落ちた。 「・・・・え・・・・・」 「おし!まずは1匹!」  つづく  あとがき おそらく、次回からオリジナル技が登場します この小説は、もうオリジナル技使い放題の小説になると思います。 次回予告・第11話 灼熱の奥義(仮)