ジョウト、とある神社に伝わる伝説。 黒き魔物再びこの世に目覚める時、大地は割れ、空は狂い、世界は闇に包まれる・・・・・・。 同時に、この地に“闇を斬る力”を操る聖戦士現れる。 その者に“鋼鉄の宝玉”授けよ。 さすれば、緑の剣士、紅の剣士となりて闇を切り裂き、世界は光に包まれる・・・・・・・。 *************  リベンジャー  第31話「神聖なる神社」 ************* 「問題はこの中で誰が雨男かってコトだ」 「俺はどっちかってーと晴れ男だろ?」 「勘違い野郎は黙ってろ」 「あぁ!?誰が勘違い野郎だって!?クロ!」 「お前以外に誰がいんだよ?」 「2人ともケンカしないでよもう!」 ここはウバメの森。 カイたちはこの森に入った矢先、雨に降られ雨宿りできる場所を探して走り回るハメになっていた。 ドロドロになりかけている地面を踏みしめながら、走り続ける一行。 「お!?なんか雨宿りできそーな場所発見!」 コウが前方を指差しながら言った。 道の横に石段があり、上れるようになっている。 「よっしゃあ!突っ込めェェェェ!」 「言われなくても突っ込むよ!」 3人と1匹が階段を駆け上がっていく。 そこで3人と1匹が目にしたものは・・・・・・・・。 「・・・・・・神社だな」 「神社だね・・・・・・」 階段を上りきったそこには、少し古ぼけた神社があった。 神社へ続く道のサイドにはウインディをデザインした狛犬が置かれている。 「とにかく突っ込めェェェェ!!」 「ちょ、ちょっとコウ!?」 少々近寄りがたい神社を前にしてコウはためらいもなく走っていく。 それにユウラがつづく。 「まったく・・・・・・あのバカ・・・・・・」 カイもコウにつづこうとしたが、自分の横に置いてある奇妙な石版の存在に気がついた。 カイは自分が雨に打たれていることも忘れ、その石版を見つめる。 石版には文字が刻めれていたが、いつの時代のものかさえわからない文字が刻まれていた。 当然、今のカイの脳みそでは解読不可能である。 「カイー!なにやってんの!風邪ひくよ!」 「あ、ああ。すぐ行く」 ユウラに呼ばれ、カイは石版のことはとりあえず忘れ神社のほうに向かって走っていった。 「なんだこりゃ?」 3人はタオルで頭を拭き風邪を予防すると、奇妙な大仏様の前に立っていた。 クロは寒いと言ってボールの中に閉じこもってしまっている。 「変わった神様だな・・・・・・・腕6本ある上に全部武器持ってるぞ?」 カイの言葉のとうり、大仏には腕が6本あり、それぞれ刀やら斧やらいろいろな武器を持っている。 顔はやたらと険しい顔つきで、見るものに恐怖を与える顔だった。 (さっきの意味不明な石版といい、この仏像といい、なんなんだ?ここは・・・・・・) カイが頭をボリボリ掻きながら考え込む。 「随分と戦い好きみたいだよね」 ユウラがぼそっとつぶやいた、そのときだった。 「だが、その神はあまり戦いを望んでいなかった」 突然、カイたちの後方から声がしてきた。 女の声だった。 カイたちが急いで振り向く。 そこには、黒髪を後ろで1本に縛り、巫女服で身を包んだ女が立っていた。 女性・・・・・・とはいえず、少女ともいえない背丈だった。 17、8歳ぐらいだろうその人物は出口の前に立っていた。 が、おかしなことに体はまったく濡れていなかった。 外から入ってきたのなら濡れているはずである。 ましてや傘も持っていなかった。 女の横には精霊ポケモン・ネイティオが立っていた。 (!?バカな・・・・・・、まったく気がつかなかった!?) カイが心の中で舌打ちした。 「・・・・・そうとうヤバイ神様なんだな・・・・・こんなに武器持ってよ」 コウが頭の後ろで手を組み、大仏様を見上げながら言う。 下から見上げると、さりげなく雰囲気が出てくる 「これは・・・・・鋼の神と呼ばれる神だ」 「鋼の神?」 コウが聞き返す。 「はるか昔、このあたり一帯の鋼ポケモンたちを支配していた神だ。  向かうところ敵ナシだったと伝えられている」 「ふ〜ん・・・・・・」 ユウラが鋼の神を見上げながら言う。 「そろそろ聞いていいか?」 「へ?」 女の問いについて、カイは解読できなかった。 「ここで何をしている?」 そう言いながら1歩1歩カイたちに近づいてくる。 その後ろから低空飛行でネイティオがついてくる。 「え〜と・・・・・ちょっと雨宿りを・・・・・・」 「雨宿り・・・・・・・?」 カイの返答に、女は首を傾げる。 女が立ち止まった。 「セイレーン」 女がネイティオの方に顔を向けて言った。 セイレーンと呼ばれたネイティオがコクリと頷く。 セイレーンが出口に向かって念力か何かを放った。 すると、閉じていたふすまがひとりでに開いた。 「・・・・・アレ?」 「・・・・・・・え?」 「マジ・・・・・?」 彼らはふすまの向こうの景色を見て固まった。 そこには、雲ひとつない快晴が広がっていた 彼らは再び深い森の中を歩いていた。 道にはいくつも水たまりがあり、突然上がってしまったあの雨が幻ではなく現実だったことを物語っている。 「神・・・鋼の神ねぇ・・・・・・聞いたことねぇな」 「本土のことに興味なかったからなぁ、俺」 「ていうかさっきの雨も不思議だよね、急にあがっちゃってさ」 「ま、どうでもいいさとっととこんな森抜けて・・・・・・・」 ・・・・・・・刹那。 コォォォォォォォォォォォォ!!! 「!!?」 ユウラにとっては聞きなれた不気味な鳴き声が、3人の耳に響き渡る。 3人が同時に振り返る。 そして、同時に先ほど立ち寄った神社を頭に思い浮かべる。 「・・・・・・なんだ!?」 「この声は・・・・・・ゴースト・・・だよな?」 「しかもすごい数の声だよね・・・・・・1匹じゃ出ないよ、あんな声・・・・・・」 沈黙。 「戻るぞ!」 カイがそう言いながら走り出した。 それに無言で2人が続いた。 「よっしゃ!着いたぁ!」 3人が石段の前で急ブレーキをかけた。 そして石段の上を見上げる。 石段の上に3つの黒い塊が見えた。 ゴーストである。 その3匹に突然衝撃波が襲った。 3匹はいとも簡単に吹き飛ぶ。 「今のは・・・・・・・サイコキネシス・・・・・!あのネイティオか!」 「おっしゃぁぁぁぁ!!助太刀すっぞぉぉぉぉ!!」 コウがまたバカみたいにでかい声を張り上げ、石段を駆け上がろうとする。 が、カイに肩をつかまれ、あっけなくスピードダウンする。 「なにすんだよカイ!」 「バカ!俺たちが加わって人数は4人!この数はな、スッゲェやりにくいんだよ!  増えるんなら増えるでかなり人数がいたほうがいいんだ!  だからといって1人じゃキツイ!4人だとお互いの足引っ張るだけなんだ!」 「じゃあどうすんだよ!」 「この場合はな・・・・・・・」 そう言いかけると、カイがすごいスピードで石段を駆け上がった! 「2人がちょうどいい!お前らはそこで待ってろ!」 「・・・・・・・・・・!」 コウはカイの後姿をを黙って見守る。 「ね、ねぇいいの!?1人で行かせて!」 ユウラがコウの体をゆすりながら言うと、コウは 「あいつが待ってろって言ったんだ、待つしかねぇさ」 と言った。 やたらと確信めいた、似合わない顔で。 「ク・・・・・・・!」 女が舌打ちした。 その横には相変わらず無表情のネイティオ、セイレーン。 そして女とセイレーンを取り囲む謎のゴースト軍団。 ゴーストたちが動いた。 その体から離脱した手を突き出し、女とセイレーンを襲う。 (ここまでか・・・・・・・!!) 女が目を閉じ、さらに両腕で頭を覆い隠してあきらめかけた、その時だった。 「風斬核!」 (・・・・・・・?攻撃してこない・・・・・?) 女が腕をどけ、恐る恐る目を開ける。 そこには、目の前で停止して動かない大量のゴーストの姿があった。 「コ・・・・コ、コォォォォォォォォォォ!!!」 ゴーストが悲鳴をあげた。 そして、突然その場か消えうせたのである。 ゴーストの姿が消え、そこに残っていたのは本来の大きさよりはるかに小さいサイズのゴーストがいた。 ミニサイズのゴーストはすぐに森の中へ消えていった。 「な・・・・・・・・なにが起きたんだ・・・・?」 「大丈夫ッスか?おねーさん?」 突然の少年の声に、女が振り向いた。 そこには、先ほど雨宿りしていた少年の姿があった。 もちろん、カイである。 「初めてにしちゃあイイカンジだったぜ?カゼマル」 カイが女をはさんで向こうの景色を見ながら言った。 女が再び振り返る。 そこには、1匹のストライクがこちらを見つめていた。 「!?ちょ、ちょっと待て!今のはまさか・・・・・・・・このストライクがやったのか!?」 女が驚きながら言った。 「ん?そうだけど?」 「お前が・・・・・・・いや、そなたがあの“闇を斬る力”を操る聖戦士・・・・・!?」 「へ?せいせんし?いったい何のこと・・・・・・・!?」 カイが何かの気配を感じ取った。 「・・・・・・・まぁいいや、その話はこいつらぶっ飛ばしてからにしようや」 その声と同時に、カイたちを30匹は越えそうな数のゴーストが取り囲んでいた。 2人が無意識に互いに背を合わせ、ゴーストたちに対峙する。 「そなた、名をなんと申す?」 「カイ!あんたは?」 「シノだ。背中あわせに敵と対峙するということは、共同戦線を張る・・・・・と受け取っていいか?」 「ああ!俺はそのつもりで戻ってたんだからよ!」 セイレーンとカゼマルが構えた。 2人が一斉に叫んだ。 「セイレーン!サイコキネシス!」 「カゼマル!風斬核!」 2匹のゴーストが、吹き飛び、切り裂かれた。  つづく  あとがき 冒頭だけなんかシリアスでした・・・・・・。ホント冒頭だけ・・・・・。  次回予告 ゴーストたちと交戦するカイとシノ。そこに突然、ゲンガーが現れた。 しかし、そのゲンガーはただのゲンガーではなかった・・・・・。 第32話 暴走(仮) ちなみに色違いではありません・・・・・・念のため。